日程:2024年10月26日(土) 14:00〜17:30(入退場自由)
場所:シェラトン都ホテル東京
参加校(一部):Imperial College London, New York University, Johns Hopkins University, NUS, University of Leeds
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みなさん初めまして。現在、イギリスのヨーク大学の修士課程に所属しているeministerと申します。
海外大学院進学と聞くと、英語力が堪能で勉強もずば抜けて得意な人だけが選ぶことができる選択肢だと感じる方も多いと思います。
しかし、私は決して英語が最初から得意だったわけではなく、成績も良い方ではありませんでした。
今回の記事では、イギリスの大学院の特徴やヨーク大学の魅力、そしてヨーク大学の修士課程への出願方法や私の所属するコース等について紹介していきます。
この記事の著者:eminister(エミニスタ)
北海道生まれ北海道育ちの道産子で、札幌市の中高一貫校に通ったのち、一浪をして関西学院大学の総合政策学部に入学。2022年3月には関西学院大学の総合政策学部国際政策学科を卒業し、9月からヨーク大学のMA in Applied Human Rightsに所属。IELTS6.5。
目次
イギリスの大学院について
ここでは、イギリスの大学院の特徴を二つ紹介します。
一年で卒業が可能
他の英語圏であるアメリカやカナダ、オーストラリアやニュージーランドと比較した際のイギリスの大学院の最大の特徴はやはり、一年で卒業ができることなのではないでしょうか。
コースにより例外はありますし、フルタイムで授業を受けるか、働きながらパートタイムで大学院に通うかによっても卒業までの必要期間は変わってきますが、殆どの日本人留学生が選択するであろうフルタイムでの必要期間は一年です。
多くの国で二年かかるところを一年で終えることが出来るということは、それだけ授業が一年間に凝縮されるということですし、論文執筆のために当てられる期間も短くなってしまいますが、出来るだけ早く修士課程を終えたい人には嬉しい特徴の一つだと思います。
私は、大学受験に失敗したことで一浪をしており、その時点で現役で大学に合格していた周りの人たちよりも遅れているという意識がありました。
そのため、一年間でサクッと修士号を取得できるイギリスの大学院が魅力的に感じました。また、二年で卒業するプログラムに比べて一年分の費用を節約できるので、資金面もイギリスを選んだ大きな理由です。
ラッセルグループ
みなさんはラッセルグループという言葉を耳にしたことはありますか?
ラッセルグループはイギリスの中でも最も優れた24の研究機関(大学)だけで構成された集団の総称でアメリカでいうアイビーリーグのようなものです。
世界的に有名なオックスブリッジはもちろんのこと、私が通うヨーク大学も加盟しています。
大学・大学院選びにおいてこのグループに加盟しているかどうかだけが重要なわけではありませんが、加盟できるほどの高い教育レベルを保持しているという指標にはなるため、一つの目安にすることをおすすめします。
私も大学院を絞る際には、ラッセルグループに入っている大学というのを一つの条件にしていました。
ちなみに、ラッセルグループのの大学は以下の通りです。
バーミンガム大学、ブリストル大学、ケンブリッジ大学、カーディフ大学、ダラム大学、エジンバラ大学、エクスター大学、グラスゴー大学、インペリアルカレッジロンドン、キングスカレッジロンドン、リーズ大学、リバプール大学、ロンドンスクールオブエコノミクス、マンチェスター大学、ニューキャッスル大学、ノッティンガム大学、オックスフォード大学、ロンドン大学クイーンメアリー校、クイーンズ大学ベルファスト、シェフィールド大学、サウサンプトン大学、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ、ウォーリック大学、ヨーク大学
ヨーク大学(University of York)について
概要
さて、私が所属しているヨーク大学は、イギリスの中間あたりに位置しており、南のロンドンにも北のエディンバラにも電車で2〜3時間程度で訪れることができます。
電車のヨーク駅からバスに乗れば、15分程度でキャンパスにアクセスすることができます。
キャンパス自体は非常に広大で、キャンパスの中に購買はもちろんのこと、図書館が三つ、ジム兼体育館兼運動場が二つ、11の学生寮が存在しています。
そしてイーストキャンパスとウェストキャンパスの二つに分かれており、キャンパス間を結ぶバスも運行しています。
また、大学内は緑がいっぱいで、鴨や白鳥などの鳥類やウサギ、リスなど野生動物も多く目にします。
ヨーク大学の設立は1617年から提案されていましたが、実際に設立されたのは1960年とイギリスの大学の中では歴史が浅い大学の一つです。先述したラッセルグループの中では、ヨーク大学は一番若い大学となっています。
ラッセルグループの公式サイトによると、ヨーク大学の35%の研究がworld-leading、さらに48%はinternationally excellentと評価されています。
つまりヨーク大学で行われている研究の約八割が国際的に認められる高い質を誇っているということになります。
これは入学してくる生徒の質が高いことはもちろんのこと、教授陣の質の高さや研究へのサポートの手厚さがあるからこその結果であると言えます。
また、ヨーク大学は、生徒からの満足度がラッセルグループの中でも七番目に高く、アカデミックサポートの分野では一位を獲得しています。
毎年発表される世界大学ランキング(“QS World University Rankings”)では、2023年度の時点で139位にランクイン、ガーディアンによるイギリス内の大学ランキング(“The best UK universities rankings”)では21位にランクインしています。
ヨーク大学の概要一覧表
ロケーション | イングランド、ヨーク |
生徒数(2022年度) | 計20,735人(学部生:15195人、院生:5535人) |
一年間の留学生の大学院学費のレンジ(2023年度) | £11,130〜£29,950(約180万円〜480万円) ※理系科目は高額になる傾向あり |
一年間の学内学生寮の費用のレンジ(2022年度) | £4950〜£13,150(約80万円〜200万円) ※基本一人部屋だが、個部屋におけるバスルームやトイレ、キッチンの有無とキッチンを共有する人数によって変動 |
大学院のコース数 | 281コース |
強みの研究分野(英国内順位ベース) | 考古学(5位)、社会政策と行政(6位)英語学(8位)、言語学(10位) |
強みの研究分野(世界順位ベース) | 考古学(18位)、英語と英語文学(28位)、社会政策と行政(29位)、教育学・歴史学・言語学・哲学・心理学と社会学(世界トップ100位にランクイン) |
英国内順位・世界順位が高いコース・その他の一般的なコース一覧とリンク先
全コースの一覧はこちらから
ヨーク大学の特徴
私がこれまでヨーク大学で3ヶ月間過ごしてきた中で感じた特徴は全部で四つあります。
カレッジ制
まず一つ目はカレッジ制を採用していることです。カレッジ制とは、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学でも採用されているイギリスの伝統的な制度で、学部や学科、研究科とは別に全生徒が属す組分けのようなものです。
ハリーポッターに出てくる、グリフィンドールやスリザリンといったイメージを持ってもらえると想像がしやすいと思います。カレッジ制は全てのイギリスの大学が導入しているわけではありません。
ヨーク大学では各カレッジごとに頻繁にイベントが開催されており、自分が所属するカレッジのイベントに参加することで、授業では出会わないような人と繋がりを持つことができるというメリットがあります。
実際に私も、自身が所属しているカレッジが開催をしていたイベントで出会った人たちが今では友人となり、楽しい大学院生活を送ることができています。
加えて、各カレッジが持っているコモンルームに足を運べば、映画鑑賞や卓球、楽器演奏なども楽しむことができます。
そして、各学生寮=各カレッジでもあるため、学校内に住んでいる生徒は、何か困ったことがあった時に、いわゆる大学の事務室のような場所に行かなくても、すぐにカレッジにアドバイスを求めにいくこともできます。
留学生へのサポート
二つ目の特徴としては、多様性とその多様性に対応するためのサポートの手厚さが挙げられます。
ヨーク大学には150 カ国以上からの留学生が在学しており、グローバルな環境であることは間違い無いのですが、それだけではなく、LGBTQ+のアイデンティティを持つ生徒や、障がいを持った生徒、また難民のステータスを持つ生徒も多く存在します。
そして、このような多様性を持った生徒が、自分らしく快適に学生生活を過ごせるための包括的なサポートが、ヨーク大学では手厚く行われていると感じます。
例えば、ヨーク大学には、LGBTQ+や障がい者、黒人やアジア人、エスニックマイノリティーなど多様性を構成するそれぞれの分野にコミュニティーやネットワークがあるのですが、大学の生徒会がそれらの組織を運営するための役員を選出していることから、大学自体がサポートに積極的な姿勢を取っていることがわかります。
私自身、このような集まりに一度参加したことがあるのですが、少し人見知りの私でも、非常にウェルカムで参加しやすく発言しやすい雰囲気があったことを覚えています。
また、難民の生徒に対しては、社会制度が原因でさまざまな困難に直面していることを理解しているため、難民の生徒だけが申請できる奨学金や学習サポートを提供しています。
イベントの多さ
三つ目の特徴は、イベントの数の多さです。
先述したようなカレッジが開催するイベントに加えて、生徒会や留学生サポートチーム、院生の学生協会など様々な団体がイベントを開催しています。
ジャンルも様々で、近くの都市への日帰り旅行、フリーフードイベント、スポーツ観戦、クリスマスやお正月などのお祝いなど、勉強以外にも学生生活を楽しむことができる機会が多くあります。
私も実際に幾つかのイベントに参加した経験があり、どれも楽しく思い出に残っています。(1枚目:フリーピザイベント、2枚目:ダラムへの小旅行)
日本人が比較的少人数
そして、最後である四つ目の特徴は、日本人が比較的少ないということです。
海外留学の目的の一つとして、語学力の向上を目指す方も多いと思いますが、その観点から、日本人にとってヨーク大学は穴場だと言えると思います。
現在、ヨーク大学で勉強をしている日本人の数は46名のみで、私が知っている範囲では、日本人の大学院生は10名程度です。つまりヨーク大学の修士課程に所属している全生徒の約5500人に対して、日本人の割合は0.1%程度となります。
そのため、留学でよくある失敗の一つである、日本語を話しすぎてしまうという問題に直面するリスクを少なくでき、英語力を伸ばすには最適な環境であると言えます。
もちろん自分で意識をすれば、日本人が多い環境でも日本語を話さない努力はできると思いますが、より多くの場面で英語を使わなければいけない環境に身を置くことも、語学力向上の一つの鍵になるのではないでしょうか。
私がヨーク大学を選んだ理由
冒頭でイギリスの1年制とラッセルグループについて紹介しましたが、ラッセルグループが24校ある中で私がどのように志望校を絞り、ヨーク大学に決めたのかを紹介します。
まず一つ目は、人権に関する分野のコースを提供しているかどうかです。私は人権法ではなく、広義の人権を学びたかったため、この時点で選択肢は少なくなります。
また、二つ目の条件として、ロケーションがありました。生活費をできるだけ抑えるために、ロンドンにある大学は条件から外していました。
この二つの条件を満たす大学院は、ラッセルグループの中だと、エクスター大学、グラスゴー大学、マンチェスター大学、シェフィールド大学、そしてヨーク大学のみでした。
これらの大学院のプログラムを考慮した上で、一年という短い期間でフィールドワークに行けることが魅力的に感じ、ヨーク大学を第一志望に決定しました。
ヨーク大学の修士課程への出願について
ここでは、ヨーク大学の修士課程への出願方法を、私の経験やアドバイスを交えて説明します。本題に入る前に、イギリスの大学院の合格通知の種類を紹介します。
イギリスの大学院に出願し、いくつかの合格基準を満たしていると判断された場合、多くの出願者はconditional offer(条件付き合格)というものを受け取ります。
条件付き合格とはその名の通り、ある一定の条件を入学までに満たすことができれば入学できるという意味で、その条件を満たすとunconditional offer(無条件合格)をもらうことができます。
条件付き合格の条件でよくあるのが、
- 卒業をすること(日本の学部生が出願するタイミングは卒業前のため)
- 英語力を基準まで上げること
- GPAを卒業までに上げること
の3点です。
卒業だけは絶対にしなければいけないのですが、英語力とGPAに関しては、達成することができなくても、合格をもらうことができる方法がいくつか存在します。
私も実際にGPAが足りなかったのですが、最終的には無条件合格を与えられました。もう少し詳しい説明については後ほど言及します。
必要書類
イギリスの大学院受験方法は、日本の大学院と違って殆どの場合試験がありません。
いくつかの大学院では面接が行われますが、ヨーク大学への受験は書類の提出をもって行われます。
必要書類に関しては、受験時のステータスが学生か社会人かによって変わりますが、当時大学生だった私が提出したのは、パーソナルステートメント・英語力のスコア証明・成績表・推薦状の四つです。社会人であれば、CVの提出が必要です。
- パーソナルステートメント
- 英語力のスコア証明
- 成績表
- 推薦状1通
- CV(社会人の場合)
以下では、私が現在所属をしているMA in Applied Human Rightsの受験で求められた条件等を詳しく説明します。
パーソナルステートメント
パーソナルステートメントとは、志望理由書のようなもので、今までの自分の経験や将来のキャリア計画などを織り交ぜながら、どうしてその大学院でその分野を学びたいのかを説明した書類になります。
私のコースは、750文字の文字制限を課していたため、その文字数を守りつつ、指示された内容にそって書き進めました。
指示された内容は、”Your personal statement must demonstrate your enthusiasm for the course you’re applying to. For example, you might explain your intellectual passion for the subject, or show your interest through discussing practical or work experience you may have gained”というものでした。
求められた英語力
出願のために必要な英語力は受験する大学によって様々ですが、個人的な感覚だと、IELTS Overall 5.5~7.0程度だと思います。
私のコースでは、IELTSで四技能全てで6.0以上、Overallで6.5以上が必要でした。TOEFLだと各技能で21以上、Overallで87以上を取る必要があります。
ちなみに、英語のスコアが求められている点数より低くても、大学院に入学できないわけではありません。
他の提出書類が認められて、足りないのが英語力だけの場合は、入学前の夏に行われる十週間の準備コースを完了することで、入学することができます。
成績
大学院出願時には、卒業予定、または卒業した大学での成績も重要です。私の通っていた大学では、4段階評価方式を採用していたのですが、その換算方式でGPA3.0以上が必要でした。
後述しますが、私は出願時に成績が少し足りず、最初の結果通知の際には成績を上げることを条件に条件付き合格をもらっています。そして、最終成績も求められていた成績に届かなかったのですが、無事無条件合格を獲得することができました。
前提として、日本とイギリスの成績の換算方法は少し異なります。日本式では4を取るために必要な成績が90点以上なのに対し、イギリス式では80点以上で4がつくため、イギリス式に換算すると日本での成績の値がグンと上がるのです。
そして、私が利用していた留学エージェントのBEOでは、イギリス式の成績に換算した際の証明書を発行することができ、その証明書を提出したことで、私は成績が3.0以上とみなされ合格することができました。
推薦状
ヨーク大学の出願に必要な推薦状は一通のみでした。私は、二年間お世話になったゼミの教授にお願いをし、用意をしてもらいました。
その先生は、大学の中でも有名な方で、さまざまな推薦状は書き慣れていたのですが、それでも自分が特に大学院にアピールしたい内容(リーダーシップ経験やゼミでの活躍など)を伝えて、含んでもらえるように働きかけました。
大学は高校などと違い、クラス担任が存在しないので、誰にお願いするべきか悩む方も多いと思います。
部活などに所属していて、顧問の先生との関わりが深いのであれば、顧問に頼むのも一つだとと思います。
また、よく取っていた授業の教授や、大学のプログラムに参加した際に距離が近くなった教授も、人によっては選択肢に入ってくるのではないでしょうか。
もしお願いする方が、推薦状を書き慣れていないのであれば、大学院のホームページや留学斡旋エージェントのアドバイスを参考に、望ましいフォーマットや含めるべき内容を一緒に伝えることもポイントだと思います。
ヨーク大学院の費用・奨学金について
ヨーク大学院の費用は、一年間で£11,130〜£29,950(約180万円〜480万円)となっています。(2023年度)
特に、理系科目は学費が高くなる傾向があります。
また、仕事をしながら2年や3年かけて卒業を目指す場合は、パートタイム扱いになるので、一年の学費は通常の学費の半分程度になります。
ヨーク大学では、修士課程の生徒に向けた奨学金もいくつか用意されています。
留学生が対象の奨学金としては、GREAT Scholarships, Postgraduate 60th Anniversary Scholarships, York Graduate Loyalty Discountの三つがありますが、多くの日本人が対象となるのは、現時点ではPostgraduate 60th Anniversary Scholarshipsのみとなっています。
GREAT Scholarshipsは、インドや中国、アフリカ諸国など出身地が限定されており、York Graduate Loyalty Discountはヨーク大学を卒業したことのある人のみが対象になっているためです。
Postgraduate 60th Anniversary Scholarshipsは、4月ごろまでに無条件・条件付き合格を取得しており、政府や会社から100%の奨学金を受ける予定のない留学生全員が対象です。
しかし、この奨学金は自ら申請できるものではなく、大学側から支給対象者が決められます。どのような基準で決定されるのかは、私自身もわかりません。
もし選ばれることができれば、£5000、£7500、£10000と三種類の金額の中から受け取ることができる金額が決まり、支給されます。(詳しくはこちらから)
このように、ヨーク大学院の奨学金制度は、日本人留学生にとってあまり現実的ではないため、奨学金を狙うのであれば、JASSOやその他機関の制度を利用することをお勧めします。
私の出願スケジュールと結果受け取り
イギリスの殆どの大学院は、ローリングアドミッション形式を採用しています。
ローリングアドミッション形式とは、出願期間が始まった後に、出願をした人から審査が行われていき、合格者が決まっていく形式です。
つまり早く出願すればするほど枠が空いており、出願が遅くなると枠が少なくなる分、評価基準も上がり合格が難しくなっていきます。
そのため、できるだけ早く出願することが合格への鍵となります。以下では、私の出願スケジュールを季節ごとに紹介していきます。
春〜夏
この期間に行ったことは、IELTSのスコア取得とパーソナルステートメントの作成です。この二つは、求められた書類の中でも特に大切で、最も時間がかかります。
先ほど、英語のスコアが足りなくても準備コースを受講することで入学ができる場合もあると述べましたが、準備コースの受講には時間だけではなく何十万円もの費用がかかりますし、奨学金申請の際にもスコア証明が求められるため、やはり必要なスコアを取ることが最善であることは間違いありません。
私はこれまでIELTSを受験したことがなく、一回の受験にかかる費用も安くはないため、数うちゃ当たる方式ではなく、一回でスコアを取り切るという作戦で勉強に臨みました。
受験に際して、IELTSを戦略的に解き進めていきたかったため、English InnovationsのオンラインのIELTS対策コースを二ヶ月間受講しました。その対策コースでは、週に四回、各一技能の授業が行われていました。
具体的には、リーディングとリスニングの授業では毎週大問1〜2個の解説、ライティングでは出題形式に合わせた解説、スピーキングでは2〜3人の生徒につき先生が一人つく練習形式の授業を受講していました。
また、週に一回単語テストがあったので、そのテストの対策と、ライティングも添削を受けることができたため、毎週一題のライティングの実践を行っていました。
これらの対策をしたのち、初受験で各技能6.0以上、Overall6.5を獲得することができました。
また、参考までに私の当時の英語力を共有します。IELTSの受験をする前に、最後に英語力を測るテストを受けたのは二年前なので、目安になるかはわかりませんが、TOEICのR&Lで850点を保持していました。
パーソナルステートメントに関しては、合計5〜6回添削を経て、最終版を作成しました。そのうち一回はBEOのサービスを利用し、それ以外ではネイティブスピーカーで先に海外大学院に進学していた知り合いに添削してもらいました。
作成する中で一番大切だと感じたことは、自分だけのユニークな内容にするということです。大学院側は、多くの受験者を抱え、数々のパーソナルステートメントに目を通すため、誰でも書けるような内容を書いてしまうと簡単に埋もれます。
例えば、人権のコースであれば、「人権問題は重要だ」と書いてしまうと、殆どの人が知っていて当たり前の内容に聞こえてしまいますが、なぜ自分がそれに関わる人になりたいのかを考えて、個人的でユニークな要素を交えた上で、その内容を書き記すことができれば、目に止まりやすくなると思います。
また、将来の夢やキャリアプランについて言及する際には、理想主義的な内容よりも、現実的で論理的な内容になるように心がけていました。
また、日本の文化的な特徴として、謙遜がありますが、海外の大学院受験の際にはその謙虚さは必要ないと思います。
例えば、「今は自分の中で●●という課題があるので、それを向上していきたい」と書くよりも、「自分の強みは●●なので、それを活用して授業やクラスメートに貢献したい」と書いた方が、長所をアピールしつつ、他者にも良い影響を与えられることを伝えることができます。
9月ごろ
この時期には推薦書と成績表を準備して、出願期間が始まってすぐにBEOを通して出願を行いました。
11月ごろ
出願後約一ヶ月半で条件付き合格を取得しました。先述した通り私が課された条件は、最終成績を3.0まで上げることでしたが、達成することはできませんでした。
4月ごろ
BEOにイギリス式の成績換算証明書を発行してもらい、その書類をヨーク大学に提出しました。そしてそれが認められ、無事無条件合格を取得することができました。
私が所属するコースについて
私は現在、Applied Human Rightsというコースに所属をしています。以下ではこのコースの概要やフィールドワーク、魅力についてお伝えします。
概要
多くの人権に関する修士号コースは法律に焦点を当てていますが、私のコースでは人権という分野を、政治や法律、国際機関、NGO/NPO、アクティビストなど様々な視点から学びます。
フィールドワーク
このコースは、座学に加えて実践的な経験を積むことで、人権に対する理解をより深めるための手段を提供しています。
それがフィールドワークです。このフィールドワークは、11月ごろにヨークか南アフリカで行われ、自分が選んだ機関においてリサーチに加わることができます。
私は南アフリカのケープタウンで、International Labour Research and Information Group(ILRIG)という機関を通して、アパルトヘイト政策時代に作られた黒人専用居住区に住む人々にインタビューを行いました。
最終的にはそのインタビュー内容がILRIGのブックレットの一部になり、発行される予定です。
個人的な感想にはなりますが、必須モジュールの”Practice of Fieldwork”で学んだ内容を実際に意識したり、体験したことで、研究者の卵としての経験が積めたことはもちろん、アパルトヘイトの負の遺産である居住区の住民から直接話を聞いたことで、アパルトヘイト政策や人権問題への理解を深めることができたと感じます。
ちなみに費用は全て自費で、飛行機代や宿代、食費など全て合わせて20万円ほどかかりました。
魅力や一学期を終えた感想
まずは、先述したように、座学だけではなくフィールドワークに赴くことによって、学んだことを実践にうつすことができたことが大きな収穫だったと感じます。
イギリスの大学院では一年という短い期間で修士号の取得をするため、フィールドワークを導入している大学院は非常に少ないです。
ヨーク大学でも、全てのコースにフィールドワークがあるというわけではないため、自分の関心のある分野でフィールドワークまで経験できるということは、コース選びの決め手にもなりました。また、教授陣のサポートの手厚さに感謝することが非常に多かったです。
私は少し人見知りな性格が元々ある上に、クラスメイトのほとんどが英語圏出身のため、自分の英語に自信がなくなってしまい、発言したいことはあるのにできないという葛藤を持ち続けていました。
折角時間をかけて予習をして、意見をまとめて授業に臨んでも、発言ができない自分の弱さと不甲斐なさにがっかりすることが多かったのですが、自分一人で解決できないなら教授に相談してみようと思い、何人かの教授に直接話をしにいきました。
すると、私のことを責めるわけでもなく、どうすれば私が発言できる環境づくりができるかを一緒に考えようという提案をしてくれました。
そのおかげで、それまで持っていたもやもや感や葛藤が消え、少しずつ発言ができるようになっていきました。このようにサポーティブな教授が多いことは、このコースの魅力だと思います。
そして、イギリス人が多いこともこのコースの特徴です。最初は英語に自信がなくなってしまった原因になっていましたが、今ではイギリス人が多い学習環境で良かったと思えるようになりました。
今まで私が述べてきたような魅力は、他のコースにも当てはまると感じています。
私は化学専攻や公共政策専攻、女性学専攻など、さまざまな専攻の友人から話を聞く限り、どのコースでも教授はサポーティブな印象があります。
実際に、授業や課題に困難を感じ、教授に助けを求めた友人もいますが、放任されたりぶっきらぼうな態度を取られたという話は聞いたことがありません。むしろ親身に寄り添ってもらえたという話をよく耳にします。
イギリス人の生徒の割合はコースによりますが、日本人が全体の0.1%と圧倒的に少なく、常に英語を使わなければいけない環境なので、そのコースに進学しても英語力は確実に伸ばせると思います。
そしてヨークという場所は、こじんまりとしていて自然が豊かな街です。
先述したようにこの三ヶ月間は新しいことの連続で落ち込むことも多くありましたが、そんな中で穏やかで自然に囲まれた場所に身をおけたことは、考え事をしたり、勉強の息抜きをするのに最適な環境だったと感じます。
ここまで述べてきたように、これまでの三ヶ月間は山あり谷ありでしたが、それでもヨーク大学を選んで後悔したことはありません。
もし少しでも、ヨーク大学に興味を持ってもらえたなら、ここに書ききれなかった魅力もたくさんあるので、オンラインのキャンパスツアーや説明会などを利用して皆さんにも自ら魅力を見つけていってほしいです!
終わりに
長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
周りのほとんどの友達が就職活動に励んでいる傍らで、一人海外大学院進学を決めるのは勇気がいることだったのを覚えています。そして、大学院受験のために情報収集をしていた際には、ヨーク大学や人権分野を専攻している方の情報を日本語で見つけるのに非常に苦労しました。
だからこそ、今回自ら筆を取りたいと心から感じましたし、この記事を読んで少しでもヨーク大学の魅力を感じていただけたら嬉しく思います。
そして海外大学院受験を悩んでいる方の参考になることを祈っています。
Postgraduate campus tour of University of York