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「海外の大学院に進学したいけれど、どの国が自分に合っているのか分からない」
「学費や生活費が心配で、一歩を踏み出せない」
という悩みを抱えていませんか?
そんな方におすすめなのが、 オーストラリアの大学院留学 です。
温暖な気候や多文化共生の社会で、留学生に優しい環境が整ったオーストラリアは、初めての海外留学先としても人気があります。
学費や生活費が高いイメージがあるかもしれませんが、アルバイトや奨学金制度を活用することで負担を軽減することが可能です。
この記事では、オーストラリアの大学院の特徴や留学のメリット、学費・生活費の目安から、大学選びや出願のステップまでを詳しく解説。ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事の著者:Yuki Aus
長崎県生まれ・育ちの日本人。早稲田大学卒業後、オーストラリア University of Queensland の修士課程に進学、応用言語学を専攻。卒業後は東京を拠点に法人クライアントのあらゆる言語ニーズに応える個人事業を開業。日本語・英語学習サービスの作成・管理、語学参考書の執筆、大学会議の通訳やビジネス文書翻訳・ゲームのローカライズ業務など、多岐にわたる言語サービスを提供している。
目次
オーストラリア大学院の基本情報
オーストラリア大学院の特徴
大学数と国公立の割合
オーストラリアには全国で43校の大学が存在し、そのうち40校が国公立です。
日本の大学が約800校あることを考えると、非常に少ないことがわかります。
ただし、この少数精鋭の教育体制が、高い教育水準を維持する要因となっています。
特に、政府の支援を受けた国公立大学がほとんどで、安定した教育品質が期待できます。
Group of Eight(Go8)の強み
オーストラリアには、国内トップ大学のGroup of Eight(Go8)と呼ばれるグループがあり、研究力や教育水準で世界的にも高い評価を受けています。
この8大学は国際ランキングでも上位にランクインしており、留学生に人気の高い進学先です。
- Australian National University (ANU)(オーストラリア国立大学)
- The University of Melbourne(メルボルン大学)
- The University of Sydney(シドニー大学)
- The University of Queensland (UQ)(クイーンズランド大学)
- The University of New South Wales (UNSW)(ニューサウスウェールズ大学)
- Monash University(モナシュ大学)
- The University of Western Australia (UWA)(西オーストラリア大学)
- The University of Adelaide(アデレード大学)
これらの大学は、国際的なキャンパス環境、強力な研究資金、充実した施設などを特徴とし、多くの分野で高い評価を得ています。
修士課程の柔軟性(コースワーク・リサーチ)
オーストラリアの大学院修士課程には、コースワーク(coursework)とリサーチ(research)という2つの選択肢があります。
コースワーク修士
座学を中心とし、決められた授業を受講して単位を取得する形式です。
専門知識の深化やキャリアアップを目指す学生に最適で、実務で活かせるスキルを学べます。
リサーチ修士
独自の研究計画を立て、実際に研究を進めながら学ぶプログラムです。
博士課程(PhD)への進学を目指す学生や研究職を目標とする人に適しています。
入学時には研究計画書や研究経験が求められるため、ハードルはやや高めです。
私自身は、修士課程ではコースワークを選びました。
学部で学んだ内容をさらに深く掘り下げることで、実務で活用できるスキルを身につけることができました。
授業では多国籍の同級生たちとディスカッションを重ね、視野が大きく広がったと感じています。
学期制度と学位プログラムの選択肢
オーストラリアの大学は、1年を2つの学期(セメスター制)で構成しています。学期のスケジュールは以下の通りです。
- 第1セメスター:2月~6月
- 第2セメスター:7月~11月
大学やプログラムによる違いはあるものの、多くのプログラムではどちらの学期でも入学が可能です。
さらに、セメスター間にあたる6~7月の1か月間は冬休み、11月~2月の3か月間は夏休みとなり、旅行に行ったり、アルバイトに勤しんで生活費を稼ぐことができます。
卒業までにかかる年数は修士課程で2年、博士課程で3~4年が一般的ですが、プログラムによっては1年半などで卒業でき、学費を抑えられるものもあります。
また、学位プログラムには以下の選択肢があります。
- Graduate Certificate(半年)
- Graduate Diploma(1年)
- Master’s(1~2年)
これにより、留学生は自身のキャリアプランや予算に合わせた柔軟な選択が可能です。
たとえば、短期プログラムで試してから本格的な修士課程に進むこともできます。
オーストラリア大学院の国際ランキング
オーストラリアの大学は、世界的なランキングにおいても高い評価を受けています。
特に、QS世界大学ランキングでは、多くの大学が上位にランクインしており、教育・研究の質の高さを裏付けています。
QSランキング(2023年)と各大学の特徴
QSランキング | 大学名 | 特徴 |
---|---|---|
30位 | Australian National University(オーストラリア国立大学) | 国際関係学や政治学での評価が高く、研究力に優れている。 |
33位 | The University of Melbourne(メルボルン大学) | 多文化的なキャンパスを持ち、医学やビジネス分野での高い評価が特徴。 |
41位 | The University of Sydney(シドニー大学) | 歴史ある大学で、医学、芸術、ビジネス分野で特に人気が。 |
50位 | The University of Queensland(クイーンズランド大学) | 生物科学や環境学での実績が豊富で、研究中心のプログラムが充実。 |
57位 | Monash University(モナシュ大学) | ビジネス・工学分野での強みがあり、留学生に特化した支援体制が整っている。 |
90位 | The University of Western Australia(西オーストラリア大学) | 地域研究や環境科学での評価が高く、自然に恵まれたキャンパスが魅力。 |
オーストラリアの特化分野
オーストラリアの大学院では、以下の分野で特に国際的な評価を得ています。
- 環境科学・エネルギー(例:クイーンズランド大学、オーストラリア国立大学)
- 医学・公衆衛生(例:シドニー大学、メルボルン大学)
- 観光・ホスピタリティ(例:グリフィス大学)
- ビジネス・経営(例:ニューサウスウェールズ大学、モナシュ大学)
これらのランキングや特化分野を参考に、学びたい分野やキャリアに合った大学を選ぶことが重要です。
オーストラリア大学院留学のメリット
オーストラリアの大学院留学には、他国にはない魅力的なポイントが多くあります。
提出書類の少なさと条件付き合格
オーストラリアの大学院留学の大きな特徴は、提出書類が比較的少ないことと、条件付き合格(Conditional Offer)を活用できる柔軟な制度です。
以下では具体的な書類内容や基準について詳しく解説します。
提出書類一覧
出願に必要な書類は、プログラムや大学によって若干異なりますが、一般的には以下のものが求められます。
書類名 | 内容 |
---|---|
学位証明書(Award Certificate) | 卒業大学で発行される卒業証明書 |
成績証明書(Academic Transcript) | 大学の成績が記載された公式書類 |
英語力証明書(IELTSまたはTOEFLのスコア) | 英語力を示す試験結果 |
職務経歴書(Resume/CV) | ビジネス系や特定の分野では職務経験が求められる場合あり |
推薦状(Letters of Recommendation) | 一部プログラムで必要 |
研究計画書(Research Proposal) | リサーチ系プログラムの場合、研究計画を提出 |
上記を見ると、アメリカやイギリスで一般的な推薦状や志望動機書(Personal Statement)が不要な場合も多いことがわかります。
この点がオーストラリア留学のハードルの低さに繋がっています。
出願基準の目安
出願基準は大学やプログラムによって異なりますが、以下が一般的な目安です。
- GPA: 3.0程度
- 英語力スコア:
- IELTS: 全体スコア6.5以上
- TOEFL iBT: 79点程度
- 一部のプログラム(例: MBAや法学系)では、IELTS 7.0以上やTOEFL 100点以上が必要
これらの基準は、アメリカやイギリスのトップ校と比べると相対的に緩やかと言えます。
条件付き合格(Conditional Offer)
英語力や学業成績が基準を満たしていない場合でも、条件付き合格を取得できる制度があります。
この制度では、以下のような条件をクリアすれば正式に入学が認められます。
- 英語スコアの追加提出: 出願時点でスコアが不足している場合、指定の期限までに基準を満たすスコアを提出。
- 大学提携の英語コース受講: 大学が提携する英語学校で、一定期間の集中コースを修了。
- 追加書類の提出: 卒業見込みの学生は、卒業後に正式な学位証明書を追加提出。
この制度により、特に英語スコア不足の場合でも、入学準備期間を確保しながら進学が可能です。
私自身もIELTSのスコアが当初基準に達しておらず、条件付き合格(Conditional Offer)を活用しました。
渡航後に大学提携の英語コースを受講し、必要なスコアをクリア。これがなければ留学を諦めていたかもしれません。
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学費・生活費を補うアルバイトと奨学金制度
オーストラリアは物価が高いことでも知られていますが、学生ビザでのアルバイトや奨学金制度を活用することで、学費や生活費を補うことが可能です。
学生ビザでのアルバイト
オーストラリアの学生ビザでは、2週間に40時間以内のアルバイトが認められています(現在は一時的な緩和措置で無制限)。
最低賃金が時給約18〜20ドル(約1,800〜2,000円)と高いため、少ない労働時間でも十分な収入を得られる可能性があります。
- 主なアルバイト例:日本食レストラン、カフェ、大学内の図書館や研究助手など
- 在学中の労働が可能:学業と両立しながら収入を得られるため、経済的な負担を軽減できます。
奨学金制度の充実
オーストラリアの大学では、授業料の免除や補助金を提供する奨学金制度が豊富です。以下は代表的な例です:
- Australia Awards Scholarships:授業料全額免除に加え、生活費補助も支給される奨学金。
- 大学独自の奨学金:成績優秀者や特定分野の研究者向けの奨学金が多数存在。
奨学金によっては、出願時に自動的に審査対象となるものもあり、金銭的な負担を大きく減らせる可能性があります。
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卒業後のビザと現地就職の可能性
オーストラリアの大学院を卒業すると、卒業生ビザ(Temporary Graduate Visa)を申請する資格が得られます。
このビザにより、卒業後2〜4年間オーストラリアに滞在し、フルタイムで就労することが可能です。
- 現地就職の実績:多くの留学生がこのビザを活用し、現地の企業での就職経験を積んでいる
- PR(永住権)へのステップ:特定の職業リストに関連する学位を取得している場合、PR(永住権)申請への道が開ける
卒業後もキャリアの選択肢が広がり、国際的な経験を積むことができる点が、オーストラリア留学の大きな魅力と言えます。
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多文化共生社会での学び
オーストラリアは移民国家としての歴史が長く、多文化共生社会が根付いています。
大学キャンパス内でも、世界中からの留学生が集まり、多様なバックグラウンドを持つ学生と学び合う環境が整っています。
- 国際色豊かな学び:キャンパス内では、英語だけでなくさまざまな文化や言語に触れることができるため、グローバルな視野を広げる絶好の機会となる
- 日本人コミュニティの充実:シドニーやメルボルンなどの主要都市には、日本人学生やコミュニティが多く、初めての海外生活でも安心感がある
多文化的な環境は、授業や日常生活での異文化理解を深めるだけでなく、将来のキャリアにおいても大きな強みとなります。
オーストラリア大学院留学の費用と生活費
オーストラリアの大学院留学を計画する際、学費と生活費、そして奨学金制度を理解しておくことが重要です。
ここでは、主要都市ごとの生活費や家賃の相場、大学の学費帯、奨学金制度や費用削減の方法について解説します。
各都市の学費と生活費の目安
オーストラリアの生活費は都市によって大きく異なります。以下は、主要都市ごとの年間生活費や家賃の目安です。
都市 | 年間生活費 (A$) | 家賃 (月額) |
---|---|---|
シドニー | A$25,000〜35,000 | A$1,500〜2,500 |
メルボルン | A$22,000〜30,000 | A$1,200〜2,200 |
ブリスベン | A$20,000〜28,000 | A$1,000〜2,000 |
パース | A$18,000〜26,000 | A$900〜1,800 |
アデレード | A$18,000〜25,000 | A$900〜1,700 |
生活費には、家賃、食費、交通費、通信費、光熱費が含まれます。
都市部では家賃が高くなる傾向がありますが、シェアハウスや学生寮を利用することで費用を抑えることが可能です。
生活費の大部分を占める家賃ですが、日本と違い1人用の手頃な値段のアパートというのはあまり一般的ではありません。
大学が提携する学生寮・アパートに2人~4人のルームメイトと住むのが一般的であり、家賃も抑えられます。この場合家賃は月5万円~15万円ほどで、都市部に近くなるほど、また部屋をシェアする人数が少ないほど高くなります。
食費についても、日本と比べ外食はかなり高い(安めのものでも1人1食1000円~2000円程度)ため、自炊前提の生活になります。
WoolworthsやColesといった大衆向け大手スーパーなら手頃な値段で食品をそろえられ、月2~3万でやりくりできるでしょう。
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大学ランキング別の学費
大学やプログラムによって学費は大きく異なります。以下は、大学のランキング別に見た年間学費の目安です。
大学のランク | 年間学費 (A$) |
---|---|
名門校(Group of Eight) | A$28,000〜45,000 |
中堅校 | A$20,000〜35,000 |
地方大学 | A$18,000〜30,000 |
例:
- メルボルン大学(The University of Melbourne): A$40,000〜50,000(MBAなど一部プログラムではさらに高額)
- クイーンズランド大学(The University of Queensland): A$32,000〜38,000
- 南オーストラリア大学(University of South Australia): A$25,000〜30,000
専攻分野によっても学費は変動します。特に医学、工学、ビジネス系の学位は高額になりやすい傾向があります。
オーストラリア大学院プログラムの選び方と入学条件
オーストラリアの大学院進学には、大学やプログラムの選定から出願準備、合格後の手続きまで、いくつかのステップがあります。
それぞれのプロセスを把握し、スムーズに進めるためのポイントを解説します。
大学とプログラムの選び方
学びたい分野の特定
まずは、自分が何をしに院に行くのか?を明確にする必要があります。
オーストラリアに限らず、大学院というのはただ知識を受動的に与えてもらう場所ではありません。
自分の学ぼうとしていること、研究しようとしていることを自覚して、それを実現するために主体的に授業や研究に参加しなければいけません。
ビジネス系の学位であればさらなるキャリアアップのため、IT系の学位であれば海外でエンジニアになるためなど、留学の目的をはっきりと言語化しておきましょう。
そのうえで、コースワークかリサーチかを選びます。
リサーチは研究・アカデミック界の進路を考えている人向けであり、入学時にも研究経験が求められます。
日本の4年制大学を卒業した人はコースワークを選ぶのが一般的です。
大学の比較方法
学びたい分野がある程度固まったら、その分野の修士(Master’s degree)や博士(Doctorate degree)課程を提供している大学を探しましょう。
「Australia master of(分野)」などと検索すると主要な大学院やプログラムがヒットする他、Study Portals、Educations.com、Masterstudies.com などといった比較サイトを活用すれば、自分の希望分野のプログラムがある大学を学費や在学年数などで見比べることができます。
複数の大学を比較検討する際は、以下の要素を基準に選びましょう。
- 大学のランキング: QSランキングやTimes Higher Educationランキングなどで大学の評価を確認。
- 学費と生活費: 予算に応じた選択が必要。
- カリキュラム内容: コースワークとリサーチ、学びたい分野に合ったプログラムを選ぶ。
- 留学生サポート体制: 学内で提供される留学生向けのサービスを確認。
また、修士課程の期間は1年から2年が一般的ですが、プログラムによって異なります。
短期で卒業可能なプログラムは学費を抑えることができますが、自分の学習ペースや目標に合っているかを確認しましょう。
治安、現地コミュニティの重要性
最後に、候補の大学に通うことになった場合の生活面もしっかり考慮しましょう。
その大学がある都市・地域の治安、交通の便や物価のほか、日本人の数なども調べると、自分にとって暮らしやすい場所かどうかの判断材料になります。
前述の通りオーストラリアは全国的には治安が良く、シドニー、メルボルン、ブリスベンなどの主要都市であれば日本人もたくさんいます。
とはいえ、大学キャンパスは広大な場所が必要なため郊外に位置していることもあるので、その周辺に暮らして毎日キャンパスへ通うことを想定して下調べをしましょう。
出願準備と必要書類
必要書類
出願に必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 概要 |
---|---|
学位証明書(Award Certificate) | 卒業大学が発行する卒業証明書。英語版がない場合は、公式な翻訳を用意する必要がある。 |
成績証明書(Academic Transcript) | 大学の成績が記載された公式書類。指定されたフォーマットやGPAの計算方法が記載されているか確認する。 |
英語力証明書(IELTS/TOEFLのスコア) | 英語力を証明する試験結果。IELTSは全体6.5以上、TOEFLは79点以上が一般的。スコアの有効期限(2年)に注意し、期限切れにならないようにする。 |
職務経歴書(Resume/CV) | ビジネス系プログラムや特定分野では、職務経験が求められる場合がある。英語でフォーマットを整え、適切な内容にする。 |
推薦状(Letters of Recommendation) | 一部のプログラムで必要となる書類。推薦者が具体的に能力を証明できる内容を書く。教授や上司に余裕を持って依頼し、フォーマットを確認して準備する。 |
研究計画書(Research Proposal) | リサーチプログラムの場合、研究の方向性やテーマについて記述する書類。大学の要件に基づき、明確で具体的な計画を提示する。 |
一般的にクリアすべき要件は卒業した大学の成績と英語力の2点ですが、プログラムによっては追加で職務経験(professional experiences)や推薦状(recommendation letter)が求められることもあるのでよく確認しましょう。
出願までのタイムライン
出願準備から合格後の手続きまで、以下のスケジュールを参考に計画を立てましょう。
出願の〆切日は一般的に第1セメスター(2月)入学なら前年の11月~12月、第2セメスター(7月)入学なら同年の4月~5月が〆切とされていることが多いです。
遅くても入学の1年前には動き始めるようにしましょう。
時期 | タスク |
---|---|
入学1年前 | 大学とプログラムのリサーチを開始、必要な英語試験の準備を開始。 |
入学10〜6ヶ月前 | IELTSやTOEFLを受験し、必要書類の準備を進める。 |
入学6〜4ヶ月前 | 出願書類を提出し、大学からの連絡を待つ。 |
入学3〜1ヶ月前 | 合格後の手続き(保険加入、学生ビザ申請、渡航準備)を行う。 |
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合格後に必要な手続き
保険加入
オーストラリア留学では、Overseas Student Health Cover(OSHC)という留学生向け健康保険への加入が義務付けられています。
保険に加入しないと学生ビザの申請ができないため、速やかに手続きを行いましょう。
学生ビザの取得
学生ビザ(Subclass 500)は、オンラインで申請可能です。申請には以下の書類が必要です。
- 合格通知(Confirmation of Enrollment: CoE)
- OSHC加入証明書
- 財政証明書(生活費を支払える証拠)
- パスポートのコピー
ビザの発給には数週間かかるため、早めに申請を済ませましょう。
渡航準備
渡航前に以下を確認・準備しておくことをおすすめします。
- 住居の確保: 大学寮やシェアハウスを事前に予約。
- 航空券の手配: 学期開始日に合わせて、余裕を持ったスケジュールで購入。
- 荷物の準備: 必要な書類や衣類、電子機器を忘れずに持参。
オーストラリア大学院留学のデメリット
オーストラリアの大学院留学には数多くの魅力がありますが、一方で注意が必要な点もいくつか存在します。
これらのデメリットを事前に理解し、適切な対策を取ることで、留学生活をより快適に過ごせるでしょう。
サービスの質や物価、公共交通機関の問題
オーストラリアは全体的に物価が高く、日本のような便利さやきめ細やかなサービスを期待すると、違和感を覚えることがあるかもしれません。
サービスの質のばらつき
オーストラリアはのんびりとした国民性が特徴で、行政や医療サービス、公共機関などで対応が遅れたり、情報が一貫しないケースが発生することがあります。
病院や保険会社でトラブルが生じることもあり、特に重要な場面では事前に情報を調べる、友人に助けを求めるといった準備が必要です。
物価の高さ
シドニーやメルボルンなどの都市部では家賃や外食費が高額です。例えば、シェアハウスでも月5万円〜15万円、一人暮らしではさらに高くなる場合があります。
外食文化は発展していますが、1回の食事に1,000〜2,000円程度がかかるため、自炊が一般的となります。
公共交通機関の料金も高く、交通費が生活費の大きな負担となることがあります。
公共交通機関の不便さ
郊外や地方都市では公共交通機関の本数が少なく、移動の自由度が低い場合があります。大都市以外では車の所有が必須になることもあります。
学生が多い地域では、大学キャンパスの周辺での移動は公共交通機関でも問題ない場合が多いですが、都市部ほどの利便性は期待できません。
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紫外線や健康面の注意点
オーストラリアは豊かな自然環境が魅力ですが、紫外線量が非常に高いため、健康面での注意が必要です。
紫外線の強さと健康リスク
オーストラリアの紫外線量は日本の約6〜7倍とされ、皮膚がんの発症率が世界的に高い水準にあります。
日常的な紫外線対策として、日焼け止めクリーム、帽子、サングラスの使用が不可欠です。また、長時間の屋外活動では肌を守るために薄手の長袖を着用することが推奨されます。
生活への影響
外出時に必ず紫外線対策が必要なため、日常生活における手間やコストが増加する場合があります。
紫外線の影響を考慮した生活スタイルが求められ、特に肌が敏感な人や小さな子どもを連れている場合は注意が必要です。
よくある質問
オーストラリア大学院留学に関して、よく寄せられる質問をまとめました。
これから留学を目指す方が疑問に思いやすい点について、具体的に解説します。
オーストラリア大学院のIELTS/TOEFL要件とは?
オーストラリアの大学院では、IELTSやTOEFLのスコアが出願条件として求められることが一般的です。
大学やプログラムによって異なりますが、以下が一般的な目安です。
学位 | IELTS(全体) | TOEFL iBT | 備考 |
---|---|---|---|
修士課程(一般) | 6.5以上 | 79点以上 | 各セクションで最低6.0以上(IELTS)または17点以上(TOEFL)を求められることが多い。 |
MBAプログラム | 7.0以上 | 94点以上 | スピーキングやライティングで高得点(24点以上)が必要な場合もある。 |
特殊プログラム | 7.0〜7.5以上 | 100点以上 | 医学、法学、翻訳・通訳など、高度な英語力が求められるプログラムの場合。 |
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奨学金の申請方法とタイミング
オーストラリアの大学院では、多くの奨学金制度が提供されています。
奨学金を活用することで、学費や生活費の負担を軽減することが可能です。
奨学金の種類
- 大学奨学金: 各大学が提供する奨学金で、成績優秀者や特定の専攻分野に進学する学生を対象
- 例: The University of Melbourne’s Graduate Research Scholarship(全額学費免除+生活費補助)
- 政府奨学金: オーストラリア政府が支援する奨学金制度で、国際学生も対象
- 例: Australia Awards Scholarship(全額学費免除+生活費支援)
- 日本国内の奨学金: 日本学生支援機構(JASSO)や民間財団が提供する奨学金
申請タイミング
- 大学奨学金: 多くの大学では、出願時点で奨学金申請が自動的に考慮される。特に成績証明書やエッセイが重要。
- 政府奨学金: 出願から6〜12ヶ月前に申請が必要な場合が多い。締切が早いため、早めのリサーチが重要。
- 日本国内奨学金: 出発の1年前から募集が始まることが多く、推薦状や面接が必要な場合がある。
オーストラリア大学院の条件付き合格とは?
条件付き合格(Conditional Offer)は、出願時に一部の条件を満たしていない場合に与えられる合格通知のことです。
例えば、以下のようなケースがあります。
主な条件の例
- 英語力の基準未達
- 例: IELTSスコアが6.5ではなく6.0の場合、大学付属の英語コースを修了することを条件に合格となる。
- 学士号未取得(卒業見込み)
- 出願時点で学士課程を卒業していない場合、卒業後に学位証明書を提出することで条件がクリアされます。
- 追加書類の提出
- 推薦状や職務経歴書の不備があった場合、所定の期限内に書類を追加提出することが求められる。
条件付き合格後の注意点
- 期限を守る: 条件を満たす期限が設定されているため、英語コースの修了やスコア再提出を早めに計画することが重要です。
- ビザ申請への影響: 条件付き合格のままでは学生ビザを取得できない場合があるため、条件を早期にクリアすることを心掛けましょう。
終わりに
今回はオーストラリアの大学院の全体的な特徴、大学探し~出願までの流れ、オーストラリアの大学院で学ぶメリットなどをご紹介しました。
オーストラリアの大学院は非常にレベルの高い教育・研究を提供していながらも、海外からくる留学生を積極的に受け入れ、サポートする懐の広さがあります。
また自分と全く違うバックグラウンドを持つ世界中の人々と暮らし、学べる環境はとても刺激的で、日本人からも留学先としてとても人気があります。
物価や学費などの壁はあるものの在学中にアルバイトができたり、様々な奨学金があったりと金銭の工面ができる機会が多くあります。
さらには卒業後も現地に残って経験を積めるビザ制度もあり、さらなる挑戦のチャンスがあるのも魅力です。
一方でこうした価値は、「何を学んでどうなりたい」という具体的なビジョンをもって自分から学んで初めて得られるものです。
オーストラリア留学を考え始めた人は、大学探しやプログラム探しと同時に、自分が進学する明確な動機をしっかり言語化するところからぜひ始めてみましょう。
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[…] なぜ私がオーストラリアの大学院留学を選んだのか?特徴と生活 […]
この春から フリンダース大学院に条件付き入学を許可されました。不安でいっぱいですが フリンダースにしてよかったと思えたブログ ❓でした
こんにちは!コメントありがとう。まずは、合格おめでとう!留学してからも色々新しいこと、チャレンジもあると思うけど、頑張ってね!応援しているよ!
にゃんこ先生
先生のブログのおかげでTOEFLとGREで目標のスコアを取れました(ギリギリですが)。
ありがとうございます。
いよいよ出願先の大学院を絞り込もうとしているのですが、改めて色々な国の様々なプログラムを比べてみると、人気の高いアメリカやイギリスの大学院が必ずしも充実しているわけでもない(しかも費用は高い)ような気がしています。
日本では学べる大学院があまりない理系のニッチな分野なのですが、米英の有名どころの大学院のサイトを見ても、
– あまり売りがない(”internationally renowned”の類ばかりです)
– 選択科目が充実していない
– 必修科目の内容の説明も薄い
– この分野では重要なツールが3つくらいあるのですが、そのうち1つしか扱わない
といった感じで、オーストラリアや、日本では無名で大学ランキング上位でもない欧州の小国やアジアの大学院のプログラムの方がむしろ充実している印象です。
私はネームバリューを求めているわけではなく国にこだわりがあるわけではなく、ただベターな環境で思い切り学びを深めたいと思っているのですが、アメリカやイギリスとそれ以外では教育レベルや環境に差があるものでしょうか(例えばインドのITや、西欧の芸術系や哲学など、特定の地域が特に強いと思われる分野もありますが、私の分野はそのような分野ではありません)。
分野にもよると思いますが、アメリカやイギリスに比べ、オーストラリアなど他地域の教育水準はどうなのか、印象など教えていただけないでしょうか。よろしくお願い致します。
TOEFLとGREの目標スコアが取れておめでとう!
特にネームバリューや国にこだわりがなければ、ご自身の専攻と生活環境から志望校を絞ると良い。
プログラムの充実度やカリキュラムの内容も重要だけど、科目やゼミ指導を担当する教授陣のレベル(この分野で有名で研究実績が豊富な教授がいるのか)もポイントになる。
自分の研究分野に合致している有名な教授の元で学べるなら、ランキングの高くない大学でも行く価値がある。
志望専攻が分からないので具体的なアドバイスは難しいけど、オーストラリアのG8、オランダ、カナダ、香港なども、英米に負けない教育を提供している大学がたくさんあるので、ぜひ調べてみてね。
にゃんこ先生
アドバイスありがとうございます!
(下さったコメントに「返信する」を押しても返信できないようですので、新しいコメントになってしまっていると思います)
そうなんです。プログラムが充実しているように思えるのがまさにオーストラリアとオランダ、そして政治環境的に疑問はあるものの香港の大学なのです。
教授は「希望の教授から学べるとも限らないし…」と盲点でしたが、レベルは重要ですね。
よく調べてみようと思います。重ねてありがとうございました。
にゃんこ先生
6月に志望校の絞り方についてアドバイスいただいた者です。
おかげさまでその後、オーストラリアのG8の1つからオファーをいただくことができました。重ねてありがとうございました。
ただ、学費や生活費が予想以上に高額になりそうで、容易に賄えそうにありません。オランダの大学院なら費用面は何とかなりそうですが出願期間がまだ先で、オーストラリアからのオファーも当分保留にしておけるようですので、もう少し考えたいと思います。
さて、改めてご相談なのですが、TOEFLやGREは目標スコアを取れはしたものの、これらはパターンが決まった試験で、このまま大学院でのディスカッションやプレゼンテーション、レポートや論文に対応できるとは思えません。これらに対応できるよう勉強を継続したいのですが、どこから始めればよいか、おすすめの教材や方法などアドバイスいただけないでしょうか(意外に情報が少なく、ひとまず専攻の分野については用語を覚えたり概念を英語で説明できるよう努めているところです)。
よろしくお願い申し上げます。
お〜〜〜合格おめでとう!!
勉強を継続されていて偉い!!本当に、おっしゃる通り、TOEFLやGREとかいくらスコアが取れても、実際の留学生活になると最初はショックを受けるんだよ。
ここまでに来ると、教材とかでの勉強は足りないので、まず1)リスニング力を最大限に伸ばすこと。ディスカッションに入れない多くの理由は、他の人が何言っているかわからないから。2)スピーキングは、オンライン英会話で難易度の高いトピックを選んで講師とディスカッションしていくことで磨けいける。
ただ、これらのことをすごく頑張ってやっても、思う通りに大学院の勉強に対応できるわけではなく、最初は相変わらずショックを受けると思う。海外大生活の中で磨かれていくことが多いので、その成長は楽しみだね!