



これまで学位取得を目的とした留学といえば、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの英語圏が主流でしたが、近年ではあえて非英語圏を選ぶ学生も増えています。
非英語圏の多くの国では、英語による授業で学位を取得できるプログラムが充実しており、留学先の選択肢はますます多様化しています。
中でも注目されているのが、英語プログラムを多数提供する欧州連合(EU)加盟国への留学です。EUは、言語や文化、歴史、宗教が異なる27の国から構成されています。
本記事では、その中でもオランダにある名門「ユトレヒト大学」をご紹介します。
ユトレヒト大学は、アムステルダム・ロッテルダム・ハーグに次ぐオランダ第4の都市、ユトレヒトにキャンパスを構える歴史ある総合大学です。
筆者紹介:Antieやや
タイ在住。語学力を活かし現地でボランティア活動を中心に毎日を過ごす。バンコクでインターナショナルスクールを卒業し、イギリスの大学で心理学、大学院で戦略マーケティングを学んだ息子あり。
目次
オランダの名門校:ユトレヒト大学とは

ユトレヒト大学の基本情報と歴史
基本情報
- 名称:Utrecht University(ユトレヒト大学)
- 所在地:Heidelberglaan 8,3584 CS Utrecht The Netherlands
- 番号:+31 30 253 35 50
- 創立年:1636年
- 学校形態:大学・大学院
- 学生数:総学生数39,000名~
歴史
ユトレヒト大学は、ライデン大学(創立1575年)、フローニンゲン大学(創立1614年)に次ぐ、オランダの中で3番目に古い歴史ある大学。
ユトレヒト大学の歴史は1470年、市がユトレヒトに大学を設立することを提案したことに始まります。
それから164年後の1634年、市からの支援金でIllustrious Schoolを設立するためのユトレヒト財団が設立され、1636年には州政府から学位授与権を獲得。
独立した大学として正式に開学した当初は、7人の教授(外国人プロテスタント)とドイツ、イギリス、スコットランドを含む、学生数わずか数十人からのスタートでした。
17世紀になりオランダの黄金時代に大きく貢献していたユトレヒト大学は、他大学との競合のため植物園や天文台など大学の施設を増設し、18世紀には学生数が400人まで増加。
1815年、オランダ王国独立に伴い、ライデン、フローニンゲン、ユトレヒトの3つの大学が国立大学の称号を取得し、ユトレヒト国立大学となりました。
その後、政府財政難、ユダヤ人教授と学生による反乱など幾多の困難を乗り越えてきたユトレヒト国立大学は、学部数の増加に伴い学生数も増え続け大きく成長。
大学は1992年に民営化されたことでその名称がユトレヒト大学 (UU) となり、世界に開かれた大学として新たな歴史を刻むため、さまざまな改革に挑戦し続けています。
ユトレヒト大学の特徴と学部紹介
特徴
あらゆる学問・研究は、持続可能な未来のためにあると考えるユトレヒト大学。
現代社会が抱える多様な諸問題と向き合い、問題の根幹はどこにあるかを正しく理解し、対処策や解決法を導き出せる創造力と実行力をもった人材を育成することを使命としています。
オランダには現在54の大学があり、学術的な科学研究を重視する教育を行うReseach University: WO(研究大学)と、実践的な高等職業教育に力を入れるUniversity of Applied Sciences: HBO(応用科学大学) の2つの種類の大学に分けられます。
WO(研究大学)であるユトレヒト大学は、ヨーロッパの学術研究分野でトップクラスを誇る大学から成るLeague of European Research Universities:LERU(ヨーロッパ研究大学連盟)に加盟。
これまでに12人のノーベル賞受賞者を輩出するなど、研究上の使命、社会の発展に寄与する研究課題に取り組み、優れた研究成果と新たな研究分野を創出し続けています。
学部
ユトレヒト大学は、学士課程レベルまたは大学院(修士/ 博士課程)の過程を有する7つの学部 (Faculty)に分けられ、それぞれが専攻分野をさらに細分化した学科またはスクール (Department or School) を設置。
オランダ語および英語による幅広い分野に関連した学位プログラムを提供しています。
- 地球科学学部(Faculty of Geosciences)
- 人文学部(Faculty of Humanities)
- 法・経済・ガバナンス学部(Faculty of Law, Economics and Governance)
- 医学部(Faculty of Medicine)
- 理学部(Faculty of Science)
- 社会・行動科学学部(Faculty of Social and Behavioural Sciences)
- 獣医学部(Faculty of Veterinary Medicine)
※学部についての詳細はこちら→Organisation/ Faculities
- ケルト語・文化(Celtic Languages and Culture)
- 薬科学カレッジ(College of Pharmaceutical Sciences)
- 経済学およびビジネス経済学(Economics and Business Economics)
- 英語・英米文化(English Language and Culture)
- グローバル持続可能性科学(Global Sustainability Science)
- 歴史学(History)
- 言語学(Linguistics)
- 文学研究(Literary Studies)
- メディアと文化(Media and Culture)
- 分子・生物物理生命科学(Molecular and Biophysical Life Sciences)
- 哲学・政治・経済(Philosophy, Politics and Economics)
- ユニバーシティ・カレッジ・ルーズベルト(University College Roosevelt)
- ユニバーシティ・カレッジ・ユトレヒト(University College Utrecht)※
※ University College Utrechtは、ユトレヒト大学の一部として独立したカレッジです。
英語による学位プログラム(学士課程)についての詳細はこちら→Bachelors Progammes
世界ランキングとその評価
ユトレヒト大学は、特定の世界大学ランキングに対して情報提供を行っておらず、2024年度版「Times Higher Education(THE)」ランキングからは意図的に姿を消しています。
一般的な大学ランキングは、各大学が提出したデータをもとに作成されます。しかしその評価手法に疑問を持ち、情報提供を行わない大学もあり、ユトレヒト大学もその一例です。
同大学は、ランキングが教育の質向上ではなく過度な競争を促していると懸念しており、大学選びにおいては「学びたい分野があるか」「将来の目標に合っているか」といった中身を重視すべきだとしています。
なお、他のランキング(QSやShanghaiRanking)にユトレヒト大学が掲載されることもありますが、それらは大学の公式データに基づいていない可能性があります。
大学選びでは、ランキングだけでなく、公式サイトや在学生の声、留学生サポート体制など、多角的な視点で判断することが大切です。
ユトレヒト大学の学費・留学費用と奨学金
学費
ユトレヒト大学の授業料は、EU/ EEA圏内の学生か、それ以外からの学生かで金額が異なり、留学生の授業料は現地の学生よりも高めに設定されています。
英語による学位プログラム(学士課程)の授業料(2024-2025年度)は以下の通りです。
Celtic Languages and Culture | €12,598 |
College of Pharmaceutical Sciences | €26,686 |
Economics and Business Economics | €12,598 |
English Language and Culture | €12,598 |
Global Sustainability Science | €16,034 |
History | €12,598 |
Linguistics | €12,598 |
Literary Studies | €12,598 |
Media and Culture | €12,598 |
Molecular and Biophysical Life Sciences | €16.034 |
Philosophy, Politics and Economics | €15,004 |
University College Roosevelt | €10,910 |
University College Utrecht | €16,034 |
※為替レート:1€=約168円(2024年7月24日時点)
授業料についての詳細は、各プログラムのページまたはInstitutional Fees Bachelors 2023-2024 and 2024-2025にてご確認ください。
滞在費・生活費
滞在費

キャンパス内に住むということが一般的ではないオランダでは、ほとんどの大学で大学寮を保有・運営していません。
そのため、学生は自分でキャンパス外に部屋を見つける必要がありますが、学生数に対して寮の数が圧倒的に足りなく、慢性的な物件数不足が続いています。
ユトレヒト大学ではこの状況に対する対策として、新入留学生のための宿泊予約プログラムを提供。
ただし予約できる部屋には限りがあり先着順となるため、部屋が実際に見つかるかどうかは保証されていません。プログラムを利用できるのは初年度のみです。
新入留学生(学士課程)のための宿泊プログラムについての詳細はこちら→Reserved Accommodation Programme Sep 24: Bachelor’s degree students
【宿泊予約プログラムによる費用目安】

【民間の住宅の費用目安】

生活費
ユトレヒトでの生活費は、住居費、食費、その他生活費(交通費、レジャー等)を含み、およそ月額€800から€1,400(13万円から24万円)が必要とされています。


留学生向けの奨学金制度
ユトレヒト大学で学ぶための奨学金にはさまざまな種類があり、大学が提供している奨学金の他にもオランダ政府の奨学金制度を利用することも可能です。
以下は、大学で公募されている日本からの留学生が利用できる奨学金制度(返済不要)です。
奨学金の申請を希望する場合は、各奨学金制度の詳細を確認の上、指定された申込期限までに続きを行ってください。
Utrecht Excellence Scholarships- Bachelors (ユトレヒト卓越奨学金(学士課程向け))
ユトレヒト大学でのキャンパスライフ
ユトレヒト大学のキャンパス全貌
ユトレヒト大学は、ユトレヒト市内に3つのキャンパスを有し、学部ごとにキャンパスの場所が異なります。
University Quarter (city centre) キャンパス
美しい運河、歴史的建造物、趣のあるショップやカフェが立ち並ぶユトレヒト市内の中心部にあるキャンパスには、人文学部、経済/ 政策学部が設置されています。
また、ユトレヒト大学のシンボル的建物である大学ホールや大学博物館、大学図書館、文化センターなどの施設があります。
International Campus キャンパス
International Campus は、1998年にオランダ初のユニバーシティ・カレッジとして設立された University College Utrecht(UCU) を擁し、ユトレヒト大学の一部としてリベラルアーツおよびサイエンスの学部教育を提供しています。
学士課程を修了すると、ユトレヒト大学から正式な学位が授与されます。
ユニバーシティ・カレッジ とは、完全な独立大学ではないものの、学位レベルの幅広い教育を行う高等教育機関のこと。
オランダの大学は通常、専門学部で構成される3年制ですが、その中に独立した小規模組織としてユニバーシティ・カレッジが設置され、リベラルアーツ教育を提供しています。

出典:Utrecht University College/ Facts and Figures
定員約250名に対して、毎年約1,000名の応募がある人気の高いプログラムで、すべての授業は英語で実施。
国際的な教育環境のもと、学生サポート体制も充実しており、世界中から優秀な学生と教員が集う活気あるキャンパスとなっています。
University College Utrechtについての詳細はこちら→University College Utrecht
Utrecht Science Park キャンパス
市の東部に位置するユトレヒト大学のメインキャンパスUtrecht Science Park。
最大規模であるメインキャンパスには最も多くの学部が設置されています。
また、大学医療センター、研究機関と研究企業、植物園、図書館、スポーツとレジャー施設、レストランやカフェなど、充実した設備を備えています。
ユトレヒト大学の学生団体
ユトレヒト大学では、スポーツ系、文化系、技術系の他、ユニークな活動を行ったり、高い実績を上げたりしているものなど、多くの課外活動団体が熱心に活動。
共通の趣味や目的を持った仲間たちと、かけがえのない時間を過ごすことができます。
- 学生団体についての詳細はこちら→Student organisations
- 課外活動団体一覧(クラブ・サークル)はこちら→complete list of student organisations
スポーツとレジャー
スポーツへの取り組みを活発に行っているユトレヒト大学では、スポーツやレクリエーション施設を整備。
サイエンスパークキャンパスにあるスポーツセンターOlymposには、フットボール(サッカー)場、ラグビー場、ホッケー場、ゴルフ練習コース、(野外)テニスコート、スカッシュコート、フットネスルームおよび3つのスポーツホールを備えています。
また文化センターParnassosでは、学生を対象とした音楽、演劇、写真、ダンスといったスキルを身につけるためのコースを、リーズナブルな価格で提供。芸術教育を推進しています。
スポーツとレジャーについての詳細はこちら→Sports & leisure
ユトレヒト大学を選ぶ理由とは
優れた研究に取り組む大学

出典:Why Study with us?
ヨーロッパ有数の研究大学の1つであるユトレヒト大学は、世界トップ大学と並んで卓越した教育研究を推進。
解決すべき社会的課題に合わせた教育と研究に対する革新的なアプローチが国際的に認められています。
活気に満ちた都市ユトレヒト

首都アムステルダムから電車で30分ほどの場所にあるオランダ中部ユトレヒト州の州都ユトレヒト。
街のシンボルであるドム塔(ドムタワー)を中心に、歴史的建造物、大聖堂、運河沿いのレストランやカフェなど、オランダらしい風景が臨める美しい街です。
数多くの高等教育機関があり、約70,000人の学生が滞在する国内屈指の学園都市と知られるユトレヒト。
学生など若者が多いため街に活気があり、生涯教育のサポート、地域ボランティア、健康づくりの活動など、大学と地域の交流や連携も活発に行われています。
外国人留学生サポート

出典:About Utrecht University
世界中から毎年約1,500名の留学生を迎え入れているユトレヒト大学は、さまざまな国からの留学生が快適な大学生活を送れるよう、学内に留学支援センターを設置。
大学生活や慣れないオランダでの生活全般を支援するほか、懇親パーティや各種イベント、オランダの伝統や文化を知ることができる体験ツアーなど、年間を通してさまざまな活動やイベントを企画しています。
外国人留学生サポートについての詳細はこちら→International Students
ユトレヒト大学に進学する方法
ユトレヒト大学の偏差値と難易度
ユトレヒト大学では、公式な合格率や偏差値は公表されていません。
しかし、外部の大学情報サイト※によると、出願者数に対する入学者数の比率やその他の入学関連データをもとに算出され推定合格率は約22%とされています。
この難易度の高さの背景には、各学位プログラムごとに設定されている厳格な入学要件(必修科目、成績基準など)の存在があります。
これらの要件のうち、1つでも満たしていない場合には「条件付き合格」となり、追加の試験や課題の提出が求められることもあるなど、非常に厳正な審査が行われています。
※ 参考:EduRank/ Utrecht University: Statistics
オランダの教育制度とユトレヒト大学留学のための出願資格
オランダの教育制度は日本と比べるとかなり複雑な構成になっています。
大まかに説明すると、義務教育は5歳から18歳までとなり、12歳までの7~8年間が初等教育。その後の中等教育からは、以下の3つの進路に分かれています。
- 大学進学コース (VWO: Voorbereidend Wetenschappelijk Onderwijs)ー6年制
- 高等一般教育コース (HAVO: Hoger Algemeen Voortgezet Onderwijs)ー5年制
- 中等職業準備教育コース (VMBO: Voorbereidend Middelbaar Beroepsonderwijs)ー4年制
オランダの大学に進学を希望する場合、6年制の中等教育課程「VWO」を修了し、全国共通の国家試験に合格することが基本的な要件となります。
そのため、日本の高校を卒業しただけでは、ユトレヒト大学の学士課程(学部)への直接入学資格を満たさないのが原則です。
オランダ国内の一部の大学では、大学進学準備課程(ファンデーションコース)を1年間履修することで学士課程への入学が認められる場合がありますが、ユトレヒト大学ではこのファンデーションコースを提供していません。
同大学に入学するには、VWOと同等レベルの学力・資格が必要です。
ただし、University College Utrechtでは独自の入学要件を定めており、日本の高校を一定の成績を修めて卒業した場合には、出願資格審査によりオランダのVWOと同等以上の学力があると認められることがあります。
入学可否は基本的には入学審査事務局の判断によります。詳細は直接 University College Utrechtにお問い合わせください。
University College Utrechtの出願/ 入学要件についての詳細はこちら→UCU Diploma and English Proficiency Requirements 2024-2025
【参考:オランダの教育制度】

出典:ELAB/ Education system in the Netherlands
※ 名称(アルファベット表記)についての説明については、Wikipedia/ オランダの教育をご参照ください。
ユトレヒト大学への留学方法
日本の高校を卒業後にユトレヒト大学へ留学する方法は、
- 高校卒業後に学士課程に直接進学する(出願資格を満たす者)
- 日本の大学の交換留学制度を利用する
という2通りの方法が一般的となります。
方法① 高校卒業後に学士課程に直接進学する(出願資格を満たすもの)
ユトレヒト大学では、専門的な知識の習得に重点を置いたカリキュラムが提供されており、入学直後から専門科目の履修が始まります。通常3年間で学士課程を修了することが可能です。
日本の高校を卒業した学生が直接出願するためには、大学が定める入学資格(オランダのVWO修了と同等の学力)を証明する必要があります。
具体的には、国際バカロレア(IB)などの国際的に認められた資格を取得し、さらに各プログラムごとの必修科目や成績基準(例:数学や理科の履修、スコア要件)を満たすことで、出願が可能となります。
■ 入学要件
ユトレヒト大学の入学審査は、日本のような一斉試験ではなく、高校での成績と英語力など基にした書類審査で行われます。場合によっては追加の試験や面接が課されることもあります。
各プログラムにはそれぞれ異なる入学要件(履修科目、スコア基準など)が設定されているため、出願前に希望するプログラムの募集要項を必ず確認してください。
〈例〉Economics and Business Economics(経済学・ビジネス経済学部)の入学要件


出典:Economics and Business Economics/ Entry requirements
英語による学位プログラム(学士課程)についての詳細はこちら→Bachelors Progammes
■ 出願方法
ユトレヒト大学の学部課程への出願手続きは、オランダ版共通願書であるStudielinkを介して、オンライン上で行います。
■ 主な出願必要書類
- 高校の卒業証明書(IBディプロマ等)
- 成績証明書
- 英語力証明書
- 履歴書
- 志望理由書
- パスポートのコピー
※ 必要となる書類はプログラムにより異なります。詳細は各プログラムのページにてご確認ください。
■ マッチングシステムについて
大学入学と同時に専門分野の勉強を始めるユトレヒト大学へ出願する際には学位プログラムを指定する必要がありますが、入学してからこんなはずじゃなかった、と後悔しないプログラム選びのため「マッチング」というシステムがあります。
マッチングとは、将来何かしたいのか、自身の勉強スタイルなどを分析し、選択した学位プログラムが本当に自分に適しているかを評価してくれるもの。原則として、学士課程へ出願した全ての学生を対象に行われます。
マッチングについての詳細はこちら→Bachelors/ Matching
方法② 日本の大学の交換留学制度を利用する
ユトレヒト大学は、世界中の大学と学術交流協定を締結しています。
日本の大学から大学間または学部間協定に基づき派遣される学生は、交換留学生として1学期間または1年間の留学が可能です。
交換留学では、留学期間中にさまざまなサポートを受けることができ、学費の一部免除などの制度も用意されています。
学位取得を目的とする長期留学よりも語学要件や成績基準がやや緩やかに設定されていることが一般的です。
ただし、派遣人数は各大学ごとに少数枠(1校につき数人程度)であり、学内選考を通過する必要があります。
さらに、応募時点で高い英語力が求められるため、事前準備が不可欠です。
以下の日本の大学ではユトレヒト大学と協定を結び、学生の国際交流、交換留学、相互研究活動の推進を活発に行っています。
出願資格は各大学が独自に定めています。交換留学制度は希望者全員が参加できるわけではなく、学業成績、語学力、異文化適応力などが重要な選考基準となります。
通常、年に数回の募集が行われ、書類審査や面接選考を経て派遣候補者が決定されます。
学生の就職活動を支えるユトレヒト大学キャリアセンターの取り組み
ユトレヒト大学では、学生一人ひとりが目標を持って充実した学生生活を送りながら、自分の適性や希望に合った進路先を見つけられるよう、在学中の早い段階からキャリアセンターによるきめ細やかなサポートを提供しています。
セミナーやワークショップなど、多彩なプログラム
就職活動の進め方や業界・企業研究、キャリア志向のための自己分析方法、Linkedinの使い方、履歴書・カバーレターの作成方法、面接練習を含む就職対策ワークショップなど、多彩なプログラムを提供しています。
個別進路相談
キャリアセンターには進路支援を担当する専門スタッフが常駐し、3年間を通してキャリアカウンセリング(個人面談)を提供。
面接担当者は自由選択制となっており、それぞれの学生に合わせたきめ細やかな情報提供や個別指導を行っています。
ネットワークの構築
自分のスキルを活かした仕事を探すために必要なネットワークを構築する方法を伝授。
内定というゴールに向けて、企業人とのネットワークを広げるために役立つ情報を提供しています。
詳細はこちら→Networking tips
ユトレヒト大学卒業後の現地就職について(ビザ申請)
オランダで就労するには、企業が移民局から就労ビザ(労働許可証)を取得する必要があります。
しかし、たとえオランダで学位を取得したとしても、新卒の外国人が卒業後すぐに就労ビザを得ることは容易ではなく、これまでは留学後そのまま現地で就職するのは現実的ではありませんでした。
こうした課題を受けて、オランダ政府は、オランダの高等教育を修了した外国人卒業生の現地就職を支援する制度として、「オリエンテーション・イヤー・ビザ(Residence permit for orientation year)」を導入しています。
※オランダ語では zoekjaar(ゾークヤール) と呼ばれます。

出典:Octagon people/ Orientation year: guide for international graduates in NL
このビザは、EU域外出身の学生がオランダの大学や大学院などの高等教育課程を修了した場合に申請可能で、卒業から3年以内であれば、就職活動や就労のために最長12ヶ月間オランダに滞在することが許可されます。
この期間中は、オランダ国内の労働市場で制限なく就職活動や就労が可能であり、実務経験を積むチャンスにもなります。
その後、オランダでのキャリア継続を希望する場合には、高度スキル保持者ビザ(Highly Skilled Migrant Visa)の取得へとつなげられる可能性もあります。
なお、このビザの申請条件や手続きは、予告なく変更される場合があります。申請を検討している場合は、必ず日本国内にあるオランダ大使館、または現地の移民局に確認し、最新の情報を入手してください。
オリエンテーション・イヤー・ビザについての詳細はこちら→Immigrate-en Naturalisatiedienst(オランダ移民局)
最後に
西ヨーロッパに位置するオランダは、国土こそ小さいものの、中世末期から国際貿易の拠点として栄えた歴史を背景に、民族・宗教・文化の面で非常に多様性に富んだ国です。
異なる価値観や文化を尊重する、オープンで寛容な国民性でも知られています。
公用語はオランダ語ですが、国民の約90〜93%が英語を話せるとされており、英語を母語としない国の中では世界でもトップクラスの英語運用能力を誇ります。
こうした背景から、オランダの大学はEU加盟国の中でも最も多くの英語教育プログラムを提供しており、ユトレヒト大学でも英語のみで学位が取得できるプログラムが多数開講されています。
多国籍な学生が集まり、国際色豊かな学びの環境が整っています。
本記事では、そんなユトレヒト大学の特徴や魅力について幅広く紹介しました。留学先を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。



