



「将来のキャリアを考えたとき、USCPAとMBA、どちらを目指すべきか…」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。
どちらも就職・転職・キャリアアップにおいて非常に有効な選択肢であり、国際的にも高い評価を受けている資格・学位です。
しかし、それぞれが求めるスキルや適性、そして取得後に広がるキャリアの方向性は大きく異なります。
この記事では、「USCPA」と「MBA」の基本情報をわかりやすく整理し、特徴や目的の違い、難易度や費用感まで比較しながら、あなたに合った選択のヒントをお届けします。
どちらが“上”というわけではなく、どちらが“あなたに合っているか”を見極めることが何よりも重要です。
目次
USCPAとMBA、それぞれの概要と違い
USCPAとMBAは、いずれもキャリアアップや海外就職に役立つ資格・学位として知られています。
ただし、その性質や目的、取得のプロセスは大きく異なります。
このセクションでは、それぞれの基本をわかりやすく整理し、違いを明確にしていきます。
USCPAとは?|特徴・取得メリット
USCPA(米国公認会計士)は、アメリカの国家資格であり、会計・財務・監査の知識を証明する国際的に認知された資格です。
アメリカ以外の国でも企業からの評価が高く、日本国内でも外資系企業や監査法人を中心に高い需要があります。
特徴:
- 会計・監査・税務などの専門知識を体系的に学べる
- 英語での学習・試験が前提だが、国際的な通用力がある
- 資格の保持により、専門職・管理職へのキャリアパスが開ける
取得のメリット:
- グローバルな会計人材として認められ、海外勤務や外資系への転職に有利
- 公認会計士協会への登録により、職業的信用や報酬の向上が期待できる
- 転職市場において、専門職ポジションの応募資格が広がる
USCPAは国家資格であるため、更新・継続教育も必要ですが、実務に直結した知識が得られる点が強みです。


MBAとは?|取得目的・プログラムの種類
MBA(Master of Business Administration)は、経営学の修士号です。
財務・マーケティング・人事・戦略など、ビジネス全般の知識を体系的に学ぶことで、経営幹部やマネジメント職としてのキャリアを目指す人に向いています。
取得の目的:
- マネージャーやリーダーとしての資質を高めたい
- キャリアの方向転換(キャリアチェンジ)を図りたい
- 起業・事業開発など、経営視点を持った仕事に就きたい
主なプログラムの種類:
- フルタイムMBA(海外大学の1〜2年制が主流)
- パートタイムMBA(社会人向けに日本国内でも提供)
- エグゼクティブMBA(管理職向けの高額短期プログラム)
MBAは学位であり、チームワークやケーススタディなど、実践的な経営課題に取り組む経験が得られます。


資格と学位の本質的な違いと、キャリアでの活かし方
USCPAとMBAの違いを端的にまとめるなら、「USCPAは専門性を証明する資格」、「MBAは経営知識を体系的に学ぶ学位」です。
比較軸 | USCPA(資格) | MBA(学位) |
性質 | 会計の専門ライセンス | 経営学の修士号 |
主な目的 | 専門職としての信頼性と実務力 | ビジネスリーダーとしての能力向上 |
活かせる職種 | 会計士、監査法人、FP&A、経理など | 経営企画、事業開発、コンサル、起業など |
評価される業界 | 会計・財務・監査系 | 幅広い業種・業界で汎用的に評価 |
どちらもキャリア形成には大きく貢献しますが、「現場で専門スキルを武器にしたい人」にはUSCPA、「広い視野で戦略や組織を動かす仕事をしたい人」にはMBAが向いていると言えるでしょう。



USCPAとMBAの難易度比較(試験/入学/英語力/費用)
それぞれの難易度や準備にかかる負荷について、以下の観点で比較します。
項目 | USCPA | MBA(海外フルタイム想定) |
試験の難易度 | 科目ごとの合格率50%前後 →継続的に合格を狙う | GMAT・英語エッセイ・面接など多段階選考 |
英語力 | TOEIC800点前後が目安 | TOEFL 100点以上/IELTS 7.0以上 |
取得期間 | 1年〜1年半(仕事と両立可) | 1〜2年(フルタイムなら留学が必要) |
費用感 | 50〜100万円(教材+受験料+ライセンス費) | 1,000〜2,500万円(学費+生活費) |
費用や準備期間で見ると、USCPAのほうが社会人にも取りやすい一方、MBAは大きな投資と覚悟が求められます。
USCPAとMBA、どっちを先に取るべき?
USCPAとMBA、両方に関心があるけれど、「どちらから始めるべきか」で悩む方は少なくありません。
どちらも時間と労力、そして費用のかかるチャレンジだからこそ、自分にとって最適な順番を見極めることが重要です。
順番を決めるポイント(年齢・英語力・職歴・キャリアプラン)
USCPAとMBAは、それぞれ求められる前提条件や得られる成果が異なります。
順番を考える際は、以下のような観点を整理しておくと判断しやすくなります。
- 年齢と職歴:MBAは通常、最低でも2〜3年以上の実務経験を持つ社会人が対象です。一方でUSCPAは新卒や職歴の浅い人でも受験可能なため、キャリア初期から資格取得を目指すことができます。
- 英語力:TOEFLやIELTSのハイスコアが必要なMBAと比べ、USCPAはReadingやListening中心の出題で、英語ハードルはやや低め。英語に不安がある場合は、USCPAから始めて徐々に英語力を高める選択もあり得ます。
- キャリアの方向性:経理・財務・監査の専門職を目指すならUSCPA、マネジメントや経営層を目指すならMBAという違いがあります。最終的なゴールから逆算して選ぶのが効果的です。


よくある進路パターン(①USCPA→MBA/②MBA→USCPA)
実際には以下のようなパターンで進む方が多く、それぞれにメリットがあります。
① USCPA → MBA
・職歴が浅い段階でまず専門スキルを身につけたい
・監査法人や経理部門に就職後、一定のキャリアを積んでからMBAでキャリアチェンジを狙う
・実務経験を補う武器としてUSCPAを取得しておく
② MBA → USCPA
・すでにある程度の職歴と英語力がある
・マネジメント寄りのキャリアだが、財務・会計の理解も深めたい
・MBA後に国際会計職や外資企業でのキャリアを想定している
どちらのルートでも成功している方は多く、自分の現状と目標次第で柔軟に設計することが大切です。


どちらか片方しか選べないときの判断軸
時間や費用の制約から、USCPAとMBAのどちらかしか選べないというケースもあるでしょう。
その場合、以下のような軸で優先順位を決めると判断しやすくなります。
- 短期間でのキャリアアップを目指す場合:取得期間が短く、即効性のあるUSCPAがおすすめです。監査法人やグローバル企業の会計職など、職種に直結する強みがあります。
- 将来的な転職・昇進やキャリアの幅を広げたい場合:MBAはネットワーク構築やマネジメントスキルの習得を通じて、中長期的なキャリア設計に大きな影響を与えます。
- 国内での専門職キャリア vs グローバルなビジネスキャリア:USCPAは会計・財務の専門性に強みがあり、MBAは経営・戦略・起業など幅広い分野に通じます。自分がどんなフィールドで活躍したいのかが大きな判断軸になります。


USCPAとMBAを両方取るメリットと注意点
「USCPAもMBAも、どちらも気になる…でも両方取る意味はあるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際に「MBA + USCPA」のダブルホルダーとして活躍している方は数多く存在します。
ただし、どちらも決して簡単な資格・学位ではないため、挑戦する価値があるかどうかは、自分のキャリアプランとの相性をよく見極めることが大切です。
ダブルホルダーのキャリアパス例(BIG4/外資/事業会社)
USCPAとMBAを両方取得した人の多くは、下記のような職種やキャリアパスで活躍しています。
- BIG4会計事務所でのキャリアアップ
USCPAで専門知識を身につけ、監査や税務の実務経験を積んだあと、MBAでマネジメントや戦略のスキルを補完することで、マネージャーやパートナーへの昇進ルートに乗りやすくなります。 - 外資系企業のファイナンス/経営企画職
MBAで経営視点を養い、USCPAで会計・財務の専門性を補うことで、CFO候補や経営管理職としての市場価値が高まります。 - 事業会社での経理・財務部門 → 経営層
経理・財務部門からスタートし、USCPAでスキルを証明。さらにMBAでマネジメント力を磨くことで、経営企画や子会社CFOなどのポジションに登用されることもあります。


実際の負担と時間・費用感(再掲)
両方を取得するとなると、当然ながら時間も費用もそれなりにかかります。
項目 | USCPA(米国公認会計士) | MBA(海外ビジネススクール) |
取得までの期間 | 約1~1.5年(社会人学習ペース) | 約1~2年(フルタイム)または2~3年(パートタイム) |
英語要件 | TOEIC800点前後 | TOEFL100点以上/IELTS7.0以上が一般的 |
費用 | 総額60〜80万円程度(受験+予備校など) | 1000〜2500万円(授業料+生活費) |
学習負担 | 科目数4科目/知識重視 | エッセイ、推薦状、面接、実務+学業 |
USCPAは比較的コンパクトな準備期間で取得可能ですが、MBAは受験準備から入学後まで長期にわたる覚悟が必要です。
両方に挑戦する場合、5年単位の長期計画が求められます。


両方取得する価値がある人・ない人の違い
全員にとって「USCPAとMBAのダブル取得」がベストとは限りません。両方を取る価値があるかどうかは、次のような点で判断できます。
両方取る価値がある人
- 将来的にCFOや経営層を目指している
- 専門職から経営職へキャリアを広げたい
- 外資・海外駐在・グローバル企業での活躍を目指している
- 明確な中長期のキャリアビジョンがある
片方に絞る方が良い人
- 時間や資金に大きな制約がある
- 専門職としてのキャリアに集中したい(例:監査、税務など)
- キャリアの軸がまだ曖昧で、学位・資格の活用イメージが固まっていない
どちらも決して“取って終わり”の資格ではありません。
取ったあとにどんなフィールドでどう活かすかを明確に描けるかどうかが、最大の判断基準となります。


USCPA・MBAそれぞれが活きるキャリアとは?
「USCPAとMBA、どちらを取るべきか迷っている」という方にとって、もっとも気になるのが「その後どんな仕事に活かせるのか?」という点ではないでしょうか。
ここでは、USCPAとMBAそれぞれが活かせる代表的なキャリアパスを紹介し、両方を取得した場合のシナジーが期待できる分野についても解説します。
USCPAを活かせるキャリア(会計/監査/経理/財務など)
USCPA(米国公認会計士)は、国際的に通用する会計・監査・税務の専門資格です。
以下のような職種・企業で高く評価され、専門職としての安定したキャリア形成に役立ちます。
分野・業種 | 活かし方の具体例 |
監査法人(BIG4など) | US GAAPやIFRSの知見を活かして監査・アドバイザリー業務に従事。 |
外資系・上場企業の経理財務 | 連結決算・開示・税務などの国際対応で重宝される。 |
海外子会社の経営管理 | 会計知識と英語力を活かし、駐在員・現地管理職として活躍。 |
国際税務・M&A支援 | トランザクションサービスや税務ストラクチャリングなどにも対応。 |
USCPAは、「会計を武器にグローバルに働きたい」「数字に強いプロフェッショナルになりたい」という志向の方に適しています。



MBAを活かせるキャリア(戦略/経営企画/スタートアップなど)
MBA(経営学修士)は、経営・戦略・リーダーシップなどを体系的に学べる学位であり、マネジメント層や経営判断に関わるポジションで力を発揮します。
分野・業種 | 活かし方の具体例 |
戦略コンサル(マッキンゼー、BCGなど) | フレームワークを用いた課題解決や意思決定支援に直結。 |
経営企画・新規事業開発 | 経営戦略や市場分析、中期経営計画の立案に貢献。 |
スタートアップCxO候補 | 経営視点での事業構築・資金調達・組織設計などに対応。 |
昇進・社内登用 | グローバル企業での昇進要件としてMBAが求められる場合も。 |
MBAは、「視座を上げたい」「ビジネスを動かす立場に立ちたい」という方に最適な選択肢です。


両方を活かせるキャリア(外資コンサル/PEファンド/CFO候補など)
USCPAとMBAを両方取得すると、「専門性×経営力」のハイブリッド人材として、以下のような高度なポジションを目指すことが可能になります。
業界・ポジション | 両方の知見が活きる理由 |
FAS・DDコンサル(Big4系など) | 財務デューデリジェンスやM&A戦略に、会計・経営両面から関与。 |
PEファンド/VC | 投資先企業の評価・支援において、数字と戦略の両軸で分析可能。 |
スタートアップCFO・経営管理職 | 資本政策や資金調達、組織設計でUSCPAとMBAが両立して活きる。 |
海外子会社マネジメント | 財務責任と経営戦略の両方を担える人材として活躍。 |



よくある質問(FAQ)
USCPAやMBAに興味はあるけれど、実際に自分にとって意味があるのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、よくある疑問にお答えします。
Q:USCPAとMBA、どちらが転職に有利ですか?
A:転職で有利かどうかは「どの業界・職種に行きたいか」によって変わります。
たとえば、経理・財務・監査・会計系の専門職を目指すなら、実務スキルが直結するUSCPAが即戦力として評価されやすいでしょう。
一方、戦略コンサルや経営企画、新規事業など、より上流・マネジメント寄りのポジションであれば、MBAの知見が強みになります。
とはいえ、いずれも単体ではなく、「自分のキャリアビジョンと組み合わせてどう活かすか」が成功のカギとなります。



Q:未経験からUSCPAやMBAを目指すのは無謀ですか?
A:無謀ではありませんが、「目的」と「準備期間の確保」が大切です。
USCPAは実務経験がなくても試験合格は可能ですし、英語に不安がある方も日本語の対策教材やスクールが充実しています。
ただし、合格には最低1〜2年の学習期間が必要とされます。
MBAは、社会人経験が浅い場合でも出願できる学校はありますが、職務経歴のアピールポイントが少ないと苦戦することもあります。
若いうちに準備を始めることで、将来の選択肢を広げることができます。



Q:MBA卒業後にUSCPA取得は意味ありますか?
A:キャリアによっては非常に有効です。特に「経営×会計」の知見を武器にしたい方にはおすすめです。
たとえばMBAで戦略やマネジメントを学んだ後、USCPAを取得することで、企業経営の“現場の数字”を理解し実行に移す力が身につきます。
財務に強い経営人材や、将来CFOを目指す方にとっては非常に有利な組み合わせといえます。



Q:費用対効果はどちらが高い?
A:短期的な費用対効果でいえばUSCPA、長期的なキャリアの広がりでいえばMBAという傾向があります。
項目 | USCPA | MBA(海外) |
費用 | 約70〜100万円(試験・学習費用) | 約1,500万〜3,000万円(学費・生活費) |
期間 | 1〜2年(学習・受験) | 1〜2年(留学期間) |
効果 | 専門職での年収アップ・転職に即効性 | キャリアチェンジ・昇進・起業などの選択肢が拡大 |
求められる経験 | 実務未経験でも可(要出願条件) | 職歴やリーダーシップ経験が求められる場合が多い |
どちらも「取得すれば安泰」ではなく、どう活かすか・どこを目指すかが重要です。将来のキャリアプランと照らし合わせて選ぶことをおすすめします。




終わりに|USCPA・MBA、どちらも「自分のキャリア軸」で選ぼう
USCPAとMBA。どちらもキャリアアップを目指す人にとって魅力的な選択肢ですが、「どちらを選ぶべきか」「両方取るべきか」で悩むのは当然のことです。
大切なのは、資格や学位そのものをゴールにするのではなく、「自分がどんなキャリアを築きたいか」から逆算して選ぶことです。
・専門性を磨いて、安定したキャリアを築きたいなら → USCPA
・経営に関わるポジションやグローバルに活躍したいなら → MBA
・会計と経営の両輪で、将来の幹部候補を目指したいなら → 両方
どちらを選んでも簡単な道ではありませんが、しっかりと準備をすれば必ずチャンスは広がります。
そして最近では、USCPAの学習とあわせて、MBAの基礎的な内容を事前に体験できる仕組みも登場しています。
たとえば、USCPA受験指導校であるアビタスのUSCPAプログラムでは、米国MBA(UMass MBA)の基礎科目の講義(約7時間分)を無料で受講可能です。
マーケティング、組織行動論、クリティカルシンキングといった、MBAでも中核となる内容を日本語で先取りできるのは、大きなメリットといえるでしょう。


迷ったら「なぜ学びたいのか」「その先にどんな未来を描いているのか」を一度立ち止まって考えてみてください。
あなたにとって最適なキャリアの一歩が見えてくるはずです。



