USCPAに必要な勉強時間は、およそ1000時間とされてはいますが、それって信じていいのでしょうか?
合格体験記などを見ると、ほんの数ヵ月の勉強で合格した人もいれば、かなりの時間を費やしたという人もいて、その差は大きく、バラバラのようです。
残念ながら1000時間というのはあくまで目安ですので、実際は、受験者の能力やバックグラウンドによってかなり変わってきます。
英語が苦手な自分だとどうなのか?まったく知識ゼロでも大丈夫なのか?気になるところだと思います。
そこで、受験者のバックグラウンド別に考えられる勉強時間を想定してみましたので、自分が勉強するなら、どれくらいの時間が必要なのか、参考にしていただければと思います。
この記事の著者:Haru
会計なんて自分には関係ない世界の話、と思っていた数字苦手人間でしたが、ひょんなことからUSCPA受験を勧められ、ゼロレベルからの挑戦。苦労しつつも全科目合格。意外にも会計の面白さ、奥深さに目覚め、会計知識やUSCPA資格を広めるべく、教育分野で奮闘中。
監修者:Ryo
大学大学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就職したことがキッカケでUSCPAの勉強を開始、アビタスを利用して約半年で全科目に合格しました
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目次
USCPAの勉強時間の実態と傾向
USCPA合格に必要な勉強時間の目安
USCPA合格に必要な勉強時間は、「およそ1000時間」と言われています。しかし、これには注意が必要です。
言うまでもないことですが、必ず1000時間勉強すれば合格できる、というものではありません。
どの試験でもそうですが、集中してあっという間に合格を手にする人もいれば、どれだけ長時間勉強しても合格できない方もいます。
USCPA試験の「試験内容」や「合格率」等の情報は、客観的事実ですが、こと「必要勉強時間」に関しては、その人個人の資質、能力、バックグラウンド等が大きく関わってくるものです。
「1000時間」という単位だけで、一括りにUSCPA試験の難易度を図ることは難しいでしょう。
USCPA合格に必要な勉強時間 = 英語力×会計力
では、どういった方であれば、平均的な勉強時間でUSCPAに合格できるのでしょうか。
そして、短期合格できるのはどのような能力がある方でしょう?言い換えるならば、USCPA試験合格に必要とされる能力とは何でしょう。
ズバリ、「英語力」と「会計力」です。試験名が表す通りですね。
そこに一定のハードルが設けられているわけですから、英語と会計知識にアドバンテージを持つ方は、当然合格までの時間は短縮できるはずです。
特に、英語・会計知識ともに自信のある方は、1000時間も必要ないかもしれません。
では、英語は自信があるけれど、会計知識はゼロです…という方や、日本の会計知識はあるけれど英語が苦手です…という方はどうでしょう。また、学習経験こそないもののも、関連する実務経験がある方もいらっしゃるでしょう。
そこで、英語力、会計力、実務経験という切り口で、バックグラウンド別に、USCPA合格までに必要な勉強時間を深堀りしてみたいと思います。
USCPAの勉強時間を英語力から比較
USCPAに合格するには、英語は避けて通れません。英語が得意な方にとっては有利な試験であることは間違いありません。
しかし、英語が苦手な方も、何も英語を一から英語を勉強し直す必要はないのです。必要なのは、「USCPA試験に必要とされる」英語力です。
TOEIC800点以上の方
TOEIC800点以上の方、あるいは英検準1級の英語レベルの方は、英語の4技能(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)において平均以上の能力を有しているはずですから、この時点で、USCPA試験に必要な英語力は十分備えているといえます。
この類の試験を受験したことのある人であれば、USCPA試験には、知らない単語はほぼ出ないでしょうし、問題の読解も難なくできるはずです。
ビジネス科目で、一部ライティング問題が出題されますが、要点を押さえて定型的な解答ができればよいのです。
つまり、今以上に高い英語力は必要とされません。その分、会計知識の勉強に注力できます。
学習に際して、英語まじりのテキストにも抵抗がないはずです。英語に自信があるという方は、スムーズに学習を進めることができるので、その部分で100時間以上は短縮できるはずです。
TOEIC500~800点の方
ある程度英語の読み書きはできるが、リスニングやスピーキングはちょっと苦手。
このゾーンが、日本人ではボリュームゾーンだと思うのですが、そんなあなたにこそおすすめしたいのがUSCPAです。USCPA試験で求められる英語力は、読解力です。
とはいえ、会計分野の読解なんて専門用語が多く難しそう、と思われるかもしれませんが、日本の会計用語以上に、見たことのある単語が多いはずです。
基本的によく出てくるのは、sales、expenses、profit、lossなど日本語でもよく使う言葉。
また、例えば、勘定科目のことをAccountsといいますが、Accounts receivable(売上債権)、Tax payable(未払税金)、Travel expenses(旅費交通費)、Interest payable(支払利息)など、知っている単語からイメージしやすいものも多いです。
こういった限られた会計用語が繰り返し登場するので、自然と覚えます。
そして、限られた会計用語が繰り返し登場するので、自然と覚えます。
このゾーンの方にとっては、「ちょうどよい英語の勉強になる」英語レベルですので、「勉強するうちに英語力がアップするというおまけつき」と思って、ぜひ挑戦していただきたいです。
このゾーンで、平均1000~1200時間が想定されます。
TOEIC500未満、英語が苦手という方
英語が苦手な方も、尻込みすることはありません。USCPA試験に「必要な」英語力だけがあればよいのです。
最低限の英語の構文、中学英語レベルは理解している必要がありますが、USCPAに必要なのは、主に読解力です。
基本構文さえわかれば、テキストや問題集に登場する用語を覚えていきましょう。それ以外に、際限なく単語を暗記していく必要はありません。
最初は、テキストや問題を読むだけでも、人一倍時間がかかると思いますが、繰り返し問題を解くうちに、読解スピードもアップしていくはずです。
ただし、勉強開始時には、確実に時間は必要です。平均プラス200~300時間はかかると思って取り組みましょう。
USCPAの勉強時間を会計資格から比較
英語力に加えて求められるのが会計知識です。この分野の知識をすでにお持ちの方は確実に有利です。特に、会計資格を保有している方はいうまでもありません。
会計知識というのは、国をまたがっても、根本的な考え方は共通していますので、その土台の上に学習をスタートすることができるのです。
日本の会計士試験合格者
日本の会計士であれば、最も勉強時間を短縮して合格を狙えます。
深い会計知識が要求される日本の会計士試験と比較して、USCPAは広く浅い試験内容で、難易度も低いといわれています。(最終合格率を比較すると一目瞭然で、日本の会計士・税理士資格は、落とすための試験、USCPAは合格させるための試験と言われます。)
特に、財務会計や監査で出題範囲が重複する部分においては、日本の会計知識で回答できる問題も多くあります。
よって、日本の会計士の出題範囲外の領域(例「財務会計」の公会計)や、日米でルールが異なる部分(「ビジネス法規」等)をしっかり学習し、他は問題集で効率よく学習することで、大幅な時間短縮が可能です。
実際に、日本の会計士で、半年ほどの勉強で、颯爽と日米のダブルタイトルホルダーとなった方を複数知っています。
会計士試験で、ご自分なりの勉強方法も身に着けているはずですから、その経験値も大きいでしょう。平均時間マイナス200~300時間は短縮できます。
しかも、キャリア面でも、合格によるシナジーが最も期待できる資格です。
簿記1級・税理士資格保有者
簿記1級や税理士保有者も、会計士と同様、会計知識・試験に対する経験値において有利です。
会計知識や計算問題に対するアウトプットはお手の物でしょうから、それ以外の分野を重点的に学習すればよいのです。特に「監査」科目は、新たに注力して学ぶ必要があります。
税理士の方は、日本での税務知識があるだけに、日本と異なる部分に戸惑うことがあるかもしれませんが、そこはアメリカの試験と割り切って、日本と違う部分だけを注意していけばいいわけです。
すでに持っている深い知識を、薄く横に広げるイメージで、その他の科目の学習を進められるはずです。平均時間マイナス100~200時間は短縮できるでしょう。
簿記2級、3級保有者
簿記2・3級に合格された方も、USCPAを学習するにあたって必要な知識を備えています。
何より、「仕訳が理解できる」というのは強みです。会計学習の基本のきである、「仕訳」の理解でつまずく方も多いのです。
また、簿記2級合格者であれば、原価計算を学習済ですから、ビジネス科目でこれまた有利です。
このように、簿記2・3級の内容には、USCPA学習の前段階として、非常に重要な知識が含まれています。
もちろん、簿記の知識がなくてもUSCPAを一から学習することは可能ですが、特に英語が苦手という方は、日本語で簿記の基本を理解していると、スムーズにUSCPAの学習に入ることができます。
実は、「簿記2・3級レベルの知識があり、英語がある程度は読める」というレベルの方こそ、平均学習時間1000時間を想定していると言われています。
中小企業診断士保有者
会計の資格に関連して難関資格といわれているのが、中小企業診断士です。
ビジネスに関する幅広い知識を証明する資格で、カバーする領域も広い、ということで、もちろん、日米の違いはありますが、USCPAの試験範囲と重複する部分も多いのです。
財務会計にはじまり、経済学、経営情報システム、等の範囲が共通していますので、すでに学習済の分野の知識を転用できます。
中小企業診断士も、試験範囲が広く、平均勉強時間1000時間とされていますから、USCPAの試験勉強とイメージ的には似ているかもしれません。
どちらも大変な試験ですが、診断士試験合格者なら、より効率よく、USCPAの学習も進められるでしょう。
USCPAの勉強時間を実務経験から比較
資格こそないものの、少しでも実務に関わった経験があるという方、そんなあなたもUSCPA受験においては一歩有利です。あなたの仕事が、試験内容に直結していることもあります。
一般企業での経理部・財務部経験者
経理部・財務部での経験がある方は、企業がどのようなルールで会計情報をまとめ、報告するかという、財務会計の流れをご存知のはずです。
それこそ、財務会計分野で必要とされる基本知識です。また、会計用語にも馴染みがあるはずですから、基本的には英語に置き換えるだけですので理解が早いでしょう。
外資系企業であれば、なおさらです。普段の仕事がそのまま試験に直結していることもあります。
末端の一部の作業しか担当したことがないという方も、あなたのその作業が、企業の財務諸表につながっているのです。
その完成形、大枠をイメージしながら、実感をもって学習を進めることができます。
特に管理職ポジションなどで、長年経験のある方は、平均より100~150時間は短縮できるはずです。また、今後のキャリア面においても、USCPA取得は確実に有利です。
会計事務所、税理士事務所経験者
会計事務所、税理士事務所での経験がある方も、いわずもがな、会計や税金の専門知識をすでにお持ちのはずですから、当然有利です。その知識を生かすことで、効率的に勉強ができます。
また、日本の会計士や税理士試験を勉強中の方、チャレンジしようと思っている方も多くいらっしゃると思います。そんな方にもぜひおすすめしたいのがUSCPAです。
試験が英語という違いはありますが、はっきり言って、日本の会計士・税理士試験より、ハードルは低いといわれています。
長年勉強しているが、なかなか結果が出せないという方がいらしたら、目先を変えてUSCPAも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
基礎は十分あるはずですから、思いのほか早く、タイトルを手に入れられるかもしれません。
一般企業にお勤めの方
会計や財務とはまったく縁のない初心者でも、多くの方がUSCPA取得を目指し、実際に合格されています。
それは、USCPAの試験範囲が、舞台がアメリカという違いはあれ、広く「ビジネスにおける会計の基本ルール」を学ぶことを目的とする試験であるからだと思います。
企業が資金調達して、ビジネスに投資をし、回収する。ルールに則ってステークホルダーに財務報告をし、監査を受ける、納税する、といった一連の流れ、そのビジネスの一部に、みなさんのお仕事があるはずです。
その流れを学ぶことで、ビジネスや社会の仕組みの全体像が見えてきます。
日本の会計士、税理士試験は、専門分野に特化して深い知識が求められますが、そこまでの必要はない、しかし、会計の全体的な仕組みが学びたいという方、さらに、英語力もアップしたいという方にはぜひおすすめです。
平均的な勉強時間1000~1200時間を想定して、挑戦しましょう。
USCPAの科目別の勉強時間の目安
1科目目はFARから
このように、USCPAの合計の勉強時間はバックグラウンドによって大きく変わってきます。勉強時間レンジで言えば、800~1500時間程度でのバラツキはあるでしょう。
そして、科目別の中でも最も勉強に時間がかかるのは、多くの方が1科目目に選択をするであろうFARです。
体感的には、FARは全体の勉強時間の4割程度(300時間〜500時間程度)を占め、FARがクリアできれば残りは6割程度(各科目200時間〜300時間程度)でクリアできると思います。
FARでは計算と理論がバランスよく出題されるので、計算問題の練習に多くの時間が割かれますが、AUD、REGは理論中心、選択科目(BAR想定)も計算問題の難易度はそこまで高くないため、FARの半分ほどの時間でクリアできる難易度です。
残りの3科目は省エネ戦略で
私もそうでしたが、FARが一番時間がかかるのは、そのボリュームだけでなく、USCPA勉強の1科目目であることから、より完璧を目指して勉強をしているからかと思います。
実際のところ、科目ごとに勉強が進むにつれ、自分に合った勉強方法や効率性が上がってくるため、徐々に削減されることが想定されます。
私の場合、FAR→AUDの順番でUSCPAの勉強方法がだいぶ整理されたため、それに続く2科目については勉強時間を100時間程度は削減できました。
USCPAは合格率50%程度の試験のため、各科目を完璧に仕上げる必要はありません。上位1/2〜1/3に入る努力ができれば合格レベルに達成するのです。
受験生の中には、仕事が忙しかったりやる気が出ずに、ほとんど勉強せずに試験に挑むような方も2-3割はいる印象です。
10人の受験生の中で、上位3割程度に入る勉強時間を確保できれば、合格の可能性はぐんと上がることでしょう。
勉強時間の確保とスケジュール管理の重要性
英語力、会計知識、実務経験、どれもありません、という方、ご安心ください。そんなあなたに必要なのは、そう、やる気です!
ここまで、バックグラウンド別に考えられる合格までの勉強時間をみてきましたが、最終的に、一番大きく関わるのは、その方の試験への目的意識、そして取り組み方です。
何としてでも1年や2年以内に合格したいという目標があり、それを最優先で生活すれば、なせば成るです。しかし、それができるかどうかは、その方の置かれた状況やライフスタイルにもよります。
学生の方
学生のうちにUSCPAの取得を目指そうと考えたあなたは、目が高いです。在学中に4科目合格できれば、希望に沿った就職活動ができることは間違いないでしょう。
会計知識や英語力・社会人経験がなくても、学生のあなたには、平日休日を含め思う存分勉強できる時間があるはずです。
その時間は将来への投資です。有効に使うか、無駄にするかは、意志の力にかかっています。
目的意識をしっかり持って集中して取り組めば、短期合格も目指せるのがUSCPAです。受験に必要な単位取得などもありますので、計画的に取り組みましょう。
社会人の方
社会人でUSCPAを目指すあなたは、キャリアチェンジやポジションアップなど、何らかの目的意識がある方でしょう。
しかし、働きながらUSCPAを目指すのは大変なことです。平均1000時間といわれる勉強時間の確保にはじまり、自己管理を徹底しないと、長期戦になってしまう可能性もあります。
そこで、いち早く合格というゴールまでたどり着けるかどうかは、結局はご自身のモチベーションや目的意識に大きくかかわってきます。
仕事の合間に細々と勉強を続けて長期的に合格を目指すのもスタイルですが、短期合格を目指すのであれば、合格の目的を明確にする、転職の期限を決める、家族や周囲に宣言するなどして、ある程度短期的に追い込んでいくことも必要です。
極端な方では、休職・退職などして退路を断って勉強に取り組み、最短の学習スケジュールで結果を出しています。
結果の出し方は人それぞれですが、モチベーションとタイムマネジメントが問われる試験であることは間違いありません。
まとめ
平均1000時間といわれる難関のUSCPA試験ですが、英語力、会計力、実務経験、といった自分の手持ちのカードによって、勉強時間を効率よく短縮させることは可能です。
また、資格試験や受験勉強などでアウトプットに慣れている方も有利でしょう。
しかし、最終的ものをいうのは、どうしてもこの試験に合格したい、という本人のモチベーションです。
目的意識をはっきりさせて、うまくモチベーションをコントロールすることで、効率的な合格を目指しましょう!
こんにちは。
幸い私はアメリカに住んでいるので、CPAの恩恵は大きいです。
米人に「なんの仕事してるんですか」何か聞かれ「CPA」と答えると、結構驚かれます。日本人が受かることあるの?という感覚だそうです。
(US)CPAのメリットは、海外でこそ発揮されます。
例えばイギリスの会計士を受験するときに8科目免除になりますが、日本の会計士は1科目もなりません。
大学でも習得単位の2/3が免除(180→60)になり、半年でマスターを取れるなど他所の国との相互認証も強いです。
日本の会計士のほうがはるかに難しい、といっても日本以外で経理や会計士やるならUSです。
こちらの監査法人にも日本の会計士持ちはいます。すでに入社時点でマネージャーレベルの知識があるので、アメリカ人は大変驚きます。BIG4でも通用する力を持っているので流石だとは思います。
アメリカではCPAとBAR(弁護士)どちらが難しいか?という事がしばしば議論になります。私はBARのほうが受験準備含めて大変だと思いますが、CPAのほうが難しい、という人も結構います。もしかしたら英語に苦がない人ならそうなるかもです。
小室さんの苦労を見てもBARは相当の難関ですからそのぐらい難しいものと認識されているってことです。
また、アメリカ人でCPAを受ける人は、学部卒だと単位がたりないので修士も沢山います。
すでに会計を大学で学んでいるネイティブが、さらに大学院で勉強してから受けて各科目5割合格×4科目というのはなかなかきついです。なので、英語ができない、会計分からない、という方が予備校で1000時間で受かるわけが本来ありません。
日本の会計士や弁護士などはあまりにも難しい(タイの会計士などもめちゃくちゃ難しい)ので、どうしてもそれと比べられて「私でも受かるかな」となるのが、この地獄への入り口です。アリジゴクです笑