こんにちは!初めまして。
私は大学3年生で日商簿記2級を取得後、日本の公認会計士を目指し試験勉強をしていたのですが、得意な英語を活かしてキャリアを積みたいという気持ちが大きくなり、思い切ってUSCPAに乗り換え、現在に至ります。
日本の公認会計士の勉強をある程度進めていたため、簿記の知識はもちろん、財務諸表論についてもそれなりに理解していたつもりではいたのですが、勉強の難易度としては日本のそれよりも易しいはずのFARの試験に一度不合格になっています。
この記事では、そんな私の不合格体験談を交えながら、合格するためのFARの勉強法を詳しく紹介していきます。
この記事の著者:まー
大学を卒業したばかりの新社会人で、USCPAを目指して勉強中(FARとAUD合格済)。大学在学中に日商簿記2級を取得。英語力:TOEIC 750点、IELTS 5.5
監修者:Ryo
大学大学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就職したことがキッカケでUSCPAの勉強を開始、アビタスを利用して約半年で全科目に合格しました。
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目次
USCPAの勉強を始める前に知っておくべき3つのこと
本題に入る前にまず、勉強を始める前に知っておくべきことについてお伝えできればと思います。
4科目の学習順番を決める
USCPA試験は4科目で構成されており、自由な順番で受験できることはご存知かと思います。
ですが、ほとんどのUSCPA受験生は1番最初にFARを受験し、予備校でもそれが推奨されています。
これは、FARの内容が全ての科目(特にAUD、BEC)の基礎となるものであり、その後の学習をスムーズに進めることができるためです。
特段の事情がない限り、FARは1番最初に勉強を始めましょう。
ちなみに私は、FAR→AUD→BEC→REGの順に学習しました。
2番目に勉強する科目についてはAUD派とBEC派に分かれるのですが、私は難易度が高いとされるAUDを早めに攻略しておきたかったからです。
また、簿記の勉強をしていた頃、管理会計論は比較的得意かつ好きな科目でもあったため、後回しにしても大丈夫だろうと考え、この順番で受験しました。
今の立ち位置を把握する
当たり前ですが、USCPA試験では英語力と会計知識が求められます。
そのため、予めどれ程の英語力、実務経験などを含めた会計知識があるのかによって、合格までの時間は大きく左右されます。
英語力についてはよくTOEICの点数を用いて説明されることが多いですが、TOEICの点数がそれほど高くなくても、英語の読解が苦なくできれば十分です。
参考までに私の場合、USCPAの勉強を始めた頃、冒頭でお話したように簿記の知識はある程度あったのですが、TOEICの点数についてはあの独特の形式があまり得意ではなく、700点程度でした。
それでも特に英語力で苦労することはなかったです。強いて言えば、会計用語の英単語を覚えることくらいでしょうか。
判断が難しいという方は、一度試験問題を読んでみると良いでしょう。
以下は、実際の試験問題の一例です。
会計知識については、例えば日商簿記2級程度の知識があれば、英文会計と重複する範囲も多いほか、会計独特の考え方にも慣れていると思いますので、最初の方で大きくつまづくことはないと思います。
加えて会計に関する実務経験のある方であれば、監査の現場を知っている方も多いかもしれません。そのような方は、FARはもちろんその後に学ぶAUDで特に有利になります。
AUDは主に監査業務についての深い理解を要する科目なのですが、試験勉強の範疇だけでは全体像の理解に時間のかかる内容であり、実務を知っているのといないのとではそのスピードに大きな差が生まれるからです。
いつまでに合格したいか?から逆算して計画を
まず前提として、USCPA試験では、短期勝負で合格を勝ち取る意識が大切です。
というのも、USCPA試験の制度上、最初の科目に合格してから18ヶ月以内に他の科目にも合格しないと、それまでの合格実績が無効になってしまうからです。
また仕事と勉強を両立している社会人受験生の割合が多いことも踏まえると、何年もかけて勉強を続けることの精神的負担は大きいと思います。
全体としての勉強期間は大体1〜1年半、長くても2年程度が望ましいです。各科目あたり2、3ヶ月程度の学習時間を目安に調整すると良いでしょう。
私も初めに各科目を3ヶ月ずつで勉強期間を割り振りました。
FARの1回目の受験の後は、合格発表を待たずすぐにAUDの勉強に入ったため、不合格と発表された後はAUDをやりながらFARを再度復習し2度目の受験に備え、トータルの勉強期間に影響しないようにしていました。
FARの試験概要
ここでは、FARの大まかな試験概要について説明していきす。まず試験全体の構成は以下の通りです。
- 試験時間:4時間(テストレット3の後に15分間の休憩あり)
- 問題構成:MC66問、TBS8問
どの科目にも共通することですが、USCPAの試験問題は「テストレット」と呼ばれる5つのパートに分かれています。
「大問」と訳すと分かりやすいかもしれません。
FARの場合、テストレット1と2はMC、テストレット3~5はTBSで構成されています。
また、配点割合は出題分野とスキルレベルでそれぞれ設定されており、AICPAが公表するBrueprintsによると、以下のようになっています。
出題分野ごとの配点割合
- 概念的枠組み、基準設定と財務報告:25~30%
- 財務諸表の勘定科目の選択:30~40%
- 取引の選択:20~30%
- 州政府および地方自治体:5~15%
スキルレベルごとの配点割合
- 評価:0%
- 分析:25~35%
- 応用:50~60%
- 記憶と理解:10~20%
FARにおいては、「記憶と理解」の割合が低く、暗記すれば解けるようなMC問題は比較的少ないです。
反対に、「応用」が半分以上の割合を占めていることから、MCよりもTBS問題の方が配点比重が大きいと考えられます。
他の受験者の声を聞いていると、公会計の問題が沢山出たという意見が多いのです。しかし公会計はどちらかというと覚えてしまえば解ける分野のため、必然的にMCでの出題が多くなります。
そもそもMC問題は少なめであることから、公会計が多く出題されているように感じやすいのかもしれません。
私が試験を受けた際は、もちろん噂通り公会計はまあまあの問題数が出題されたように感じましたが、それよりもリースや現在価値の割引計算の問題が思っていた以上に出題されました。
また、私が受験する直前期にチェックしたSNSでは、公会計のTBS問題が出題されたと言っている方が一定数いたのですが、私が受験した際は出題されませんでした。
なので、必ずこれが出る、と言いきれる訳ではありませんが、頻出分野や配点割合を把握しておけば効率よく点が取れるということは間違いないでしょう。
問題形式
FARの試験問題形式は、MCとTBSの2パターンがあります。MCはMultiple Choiceの略で、いわゆる四択問題です。
TBSはTask Based Simulationの略で、例えば提示された資料を基に正解を導くなど、応用力が試される問題です。
テストレット番号 | 問題形式 | 問題数 | 時間配分の目安 |
1 | MC | 33 | 44分 |
2 | MC | 33 | 44分 |
3 | TBS | 2 | 38分 |
4 | TBS | 3 | 57分 |
5 | TBS | 3 | 57分 |
時間配分はあくまで目安なのですが、MCは1問あたり80秒、TBSは1大問あたり約19分で解くのが良いと思います。
基本的にTBSは時間がかかるものが多いので、いかにテストレット1と2のMCを早く終わらせるかがカギです。
USCPAの試験では、難易度が高いうえに採点されないダミー問題が全体の約20%を占めていると言われています。
そのためわからない問題や難しい問題に出会ったらダミー問題の可能性が高いため、あまり時間をかけすぎないようにしましょう。
解けそうにない問題は、潔く捨てることも必要です。2分考えても全く解法が浮かばなかったら次へ行く、など自分なりのルールを決めておくと良いでしょう。
試験本番では計算用の用紙が配布されます。私の場合、テストレットが変わるごとに、画面上のタイマーが何分になるまでに終わらせるべきか分かるよう、その用紙の端に予め時間を記していました。
時間配分を常に意識し、最後まで解ききるようにしましょう。
出題傾向や頻出分野
本格的な学習を始める前に、出題傾向を把握しておくと良いです。
AICPAのサイトでは各科目のBlue Print(設計図)が公開されており、求められているスキルや出題分野、問題形式ごとの出題割合などの大まかな情報を知ることができます。
このページでは、科目別のMCとTBSの問題数、分析や評価などの求められているスキルについての説明がされています。
FARの出題分野と、求められているスキルが割合で表記されています。
ここから、FARでは「財務諸表勘定の選択」が最も大きなウェイトを占めながらも、「公会計」が5−15%と決して少なくない割合で出題されることが読み取れます。
また、Application(応用)が最も求められているスキルであることもここから分かります。
Blueprintsを読むことで、どこに注力すれば点数が取れるかが分かるので、必ず目を通しておきましょう。
FARの勉強方法4のステップ
ここからは、具体的な勉強方法を紹介していきます。
私は予備校のアビタスの教材を使用していたためそれを前提に話を進めていますが、皆さんが既にお持ちの教材を使用してくださいね。
MCとTBSをまずは3周解き、基礎を固めていく
講義やテキストに軽く触れたら、すぐに問題集に手をつけましょう。
始めのうちは時間がかかって当然ですので、解けない問題、難しい問題でもあまり考え込まず先へ進み、まずは3周回しましょう。
問題を解く途中で、必要があればテキストや講義を随時見返すというやり方で行えば、基礎的な理解は自然と固まっていきます。
問題ごとに正答率を記録し、苦手な範囲を可視化する
問題を解く際には、問題ごとの出来を記録することをおすすめします。問題集に直接書き込んでも良いですし、手書きの表や、エクセルの表でも良いと思います。
私の場合はルーズリーフで手書きの表を作り、「日付」、「理解度」、「余裕で解けた度」の3つの項目を用意し、1〜3周目の記録が横並びになるように記録していました。
このようにすることで、問題集を1周するのにかかった日数、正答率の上昇具合や毎回間違えてしまう問題などがはっきり分かるため、その後の学習計画に大いに活かすことができます。
参考までに、私が自作していた表の画像を載せておきます。
左から理解度、余裕度の順とし、◎⚪︎△の3段階評価で記録しています。
1つの問題集を、解法を暗記してしまうまで繰り返す(6、7周)
さて、問題集を3回転させ基礎がある程度固まったら、次のステップへと進みましょう。
このステップでは、既に身についた基礎をさらに深め、また試験をより意識した学習を行います。
といっても、使用する教材はこれまでと変わりません。ここまで使用してきたものと同じ問題集を、さらに3〜4周、解法を覚えてしまう程やり込むのです。
上述のように問題ごとの出来が記録してあればそれを活用し、苦手を潰していきましょう。
ここまでやれば、同じ問題に6、7回出会ったことになり、「問題文を1行見ただけで答えが何となく思い出せるくらい覚えてしまった」という問題がほとんどになると思います。
この段階まで来れば、合格に達するだけの実力はほぼ付いていると言っても過言ではありません。
なぜなら、本番の試験問題の解法パターンはある程度決まっていて、問題集をやり込むことでそのパターンを覚えてしまいさえすれば、本番は問題集で解いたものと似た解き方で解けるものがほとんどだからです。
本番でもし見たことのない問題に出くわしたとしても、他の受験生も解けていない可能性が高いため、気にする必要はありません。
本番形式の問題を活用
勉強を始めて間もない段階で、1度本番形式の演習をやりましょう。当然、全く解けない、または問題文すら理解出来ないという状態だと思いますが、気にする必要はありません。
ここでの目的は問題を解くことではなく、敵を知ることにあります。
そもそも私達が勉強する目的は試験に合格することであって、財務諸表論のプロになることではありませんから、早いうちに敵=試験問題を知っておくことで、その敵を倒すためには何をすれば良いか?を考えながら、その後の学習を圧倒的に効率よく進めていくことができます。
具体的には、リリース問題を少なくとも過去5年分×3回と、AICPAのサイトで受験できるサンプルテストを最低でも試験の1ヶ月前には解き始めることをおすすめします。
過去問の中でも、過年度の実際の試験問題1セットをリリース問題といいます。こちらは予備校に通っていれば、複数年度分が簡単に入手できるかと思います。
サンプルテストは、本番の試験に最も近い環境が体験出来るお試しのテストです。問題数や時間は半分程度に設定されているものの、一部を除き、本番の試験と同じツールを使うことができます。
予め必要な操作を理解しておけば、本番であたふたしたり、余計なことに気を遣わなくて済むため非常に役に立ちます。
こちらはAICPAのサイトからいつでも、何回でも受けることができます。
リリース問題やサンプルテストから似たような問題が出ることもあるようなので、試験直前期はもちろんの事、学習進度に合わせてなるべく沢山解くようにしましょう。
不合格経験から考える、やってはいけない勉強法
ここでは、1度FARに不合格になった私の経験を踏まえ、やってはいけない勉強法についてお話します。
インプットに時間をかけすぎる
講義を何度も聴いたり、テキストを隅々まで読み込んで理解するまでは問題集には手を付けない、という方も多いですが、これはあまり効果的な勉強法とは言えません。
不合格時の私は、問題演習よりもテキストと講義を理解することを最優先にしていました。ですがインプットばかりに時間をかけることは試験に合格するという意味では非常に遠回りです。
FARは特に範囲が膨大であるため、テキストを最後まで読み切るだけでも大変ですし、読み切る頃には最初の方はほとんど覚えていないのが現実です。
実際、FARの圧倒的な範囲の広さ、先の見えなさに挫折してしまう方も少なくないです。そうならない為、最初は講義やテキストの内容は軽く触れる程度に留めておき、それよりも問題演習を優先的に行いましょう。
テキストは問題を解いていて気になるところがあった時に開くなど、あくまで必要に応じて辞書のように使用することをおすすめします。
その方があやふやな部分の理解が深まったり、記憶に定着しやすくなるほか、試験に出やすい分野や問題形式が分かってくるため対策がしやすくなります。
メリハリをつけて学習を進めることが出来、はるかに効率が良いです。
頻出分野を意識しない
頻出分野を意識して学習することは、範囲が広いFARでは特に重要です。
試験である以上、出題者にとって「これについてちゃんと理解している受験生を合格させたい」という分野が少なからずあります。FARにおいては、公会計でその傾向が強いです。
公会計は英文会計独自の概念ですので、日本で生活する私たちにはなかなかイメージが湧きにくいところがあり、理解に時間がかかります。
そのうえ範囲も広いため、対策が手薄になってしまわないよう意識する必要があります。
頻出分野を知るには、過去問演習を繰り返したり、予備校からの情報、SNSを利用して既に試験を受けた受験生の発信をチェックする、などの方法が考えられます。
私の場合、試験直前期はTwitterで情報集めをしており、既に試験を受けられた方の投稿を参考に「公会計のTBSが出ることがあるらしいから、もう一度復習しておこう」など直前の勉強に活かしていました。
本番で他の受験生が正答する問題を落とさないためにも、頻出分野を意識した勉強を心がけましょう。
本番形式の演習を後回しにする
不合格時の私は、試験の約1週間前の直前になるまでこれらに手をつけなかったため、3年分をそれも各年度1回しか解く時間が取れず、その際浮き彫りになった弱点を十分に対策することができませんでした。
試験の少なくとも1ヶ月くらいから、5年分くらいを3周以上は演習するべきだったと反省しています。
まとめ〜深堀りしすぎず、効率的な学習を〜
いかがだったでしょうか。ここまで、FARの勉強法について、勉強を始める前の段階からかなり具体的にお話してきました。
とにかく範囲が膨大なFARを、短期間で効率的に合格レベルまで持っていくためには、全体的に広く浅く理解し、得点に繋がる分野のみ理解を深める姿勢が大切です。
試験である以上、しっかり時間をかけて理解すべき部分と、そこまでしなくてもよい部分があります。
全ての範囲を細かい論点まで網羅しようとしていては、合格までの道程がどんどん遠のいてしまうばかりでなく、精神的負担も募り挫折してしまいかねません。
上述したBlueprintsなどの情報をもとに、まずどこに労力をかけるべきかを判断しましょう。そしてリリース問題やサンプルテストでの演習を適時に行いながら、自身が苦手とする部分を自覚し、問題演習を繰り返しましょう。
テキストに載っているからといって全部の情報が同じだけ重要という訳ではありませんし、全てを完璧にしなくても合格できる試験であるということを忘れないでください。
インプットはほどほどにしておき、演習を出来るだけ多く積むことが鍵になります。
この記事を参考に、ぜひ効率的学習を進め、合格を勝ち取ってください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事は、インターンのKazuによって編集されました。