近年ますます人気の高まっている資格、米国公認会計士(USCPA)。
USCPAの取得をきっかけにキャリアチェンジを望む方は多いと思います。
この記事に興味をお持ちの方も、そろそろ転職活動を始めようとしている時期なのではないでしょうか。
「USCPAの転職ってどんな感じ?」
「大手監査法人に入りたいけど、科目合格者は不利になる?」
「そもそも何から始めればいいのかわからない!」
そんな転職のお悩みを抱えるUSCPA合格者・学習者の皆さんの不安を少しでも解消できればと思い、この記事を書きました。
- USCPA学習者(全科目合格者含む)が就活においてBIG4監査法人を目指すべき理由
- 2科目合格者であった筆者が実際にBIG4への就職を決めた方法
以上についてご紹介いたします。
この記事の著者:エザキ豊
大学卒業後、働きながらUSCPAの学習を開始。科目合格者としてBIG4監査法人へ転職、その後全科目合格を達成。USCPA学習と監査法人で培った知識や海外移住経験を活かし、現在はライターとして活動中。
監修者:Ryo
大学大学中に日本の公認会計士試験に合格し、大手監査法人に勤めた後スタートアップでIPOや投資を経験。その後アメリカにMBA留学し、卒業後に現地の会計事務所に就職したことがキッカケでUSCPAの勉強を開始、アビタスを利用して約半年で全科目に合格しました。
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目次
USCPA学習者が大手・中小監査法人へ転職をすべき理由
監査法人は常に人手不足
私が大手監査法人で働いた実感として、監査部門(特に金融)は常に人手が足りていません。
目まぐるしく変化する業界動向と新たな規制へのスピーディな対応を求められ、業務量は年々増大する激務傾向にあります。
業界・部門として成長段階にあり、それだけ人材を欲しているということです。
また、昨今は監査難民という言葉があるように、新規で上場を目指すスタートアップを監査する監査法人が不足しており、中小・中堅監査法人が増えております。
このことから、採用人数は絞らず、一定の基準をクリアした人ならばいくらでも採りたいという意向を強く感じます。
実力にも関わらず、人数制限のため泣く泣く落とされる……ということがなく、純粋に自分の実力で就活を戦えるというところに勝機はあります。
充実した支援体制で監査業務未経験者も安心
上記のような事情から、監査法人では特に採用した人を長期的に育てるという方針を持っています。
中小監査法人ではいわゆる即戦力を求められることが多いため、最低条件が全科目合格者、その中でも経理・監査経験者が優先される傾向にありますが、昨今では中小でも新卒の会計士の採用を初めており、研修・育成環境が整備されてきました。
そのため、未経験者・科目合格者でも採用のチャンスがあるのです。
また科目合格者で入所した場合、全科目合格するまでは学業を優先させてもらえます。
日々の勉強時間が確実に取れて、仕事と勉強の両立が容易であること。
その利点がいかに大きいかは、社会人の身で学習を始めた方は特に身に染みて感じるのではないでしょうか。
年収UPと将来のキャリアアップに有利
監査法人に就職ができれば、シニアスタッフ、マネージャーで900万円〜1000万円ほどの年収を狙うことができます。
日本の公認会計士と比較して、難易度が低いとされるUSCPAの資格ではありますが、監査法人就職後の年収は日本の公認会計士と同じレンジになるのです。
年収は年齢や経験によっても左右はされますが、USCPAを獲得することで年収アップの可能性が高くなることには間違いないでしょう。
また、年収UPだけでなく、USCPAをきっかけに大きくキャリアチェンジを望むのならば、その入口となる最初の法人のネームバリューは今後のプランに絶大な影響を及ぼします。
更なるキャリアアップを目指す方にとって、BIG4監査法人出身という肩書きは大きなアドバンテージとなりますし、転職活動における自信にも繋がるはずです。
日本で大手監査法人に位置付けられるものは以下の4社。通称BIG4と呼ばれることがある。
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- PwCあらた有限責任監査法人
未経験・科目合格者が大手監査法人へ就職できた理由
当時のスペックは微妙なところ
ここまで偉そうに色々書いておきながら恥ずかしいですが、就活を始めた当時、30代前半の私のスペックはお世辞にも高いとは言えないものでした。
USCPA:2科目合格(FAR・AUD)
面接時点では3科目めのBEC学習中であり、試験日は決めてある状態でした。
AUDとBECで一度ずつ不合格の経験があったため、面接時点で約1年半の学習期間に対し合格科目は2科目のみでした。
大手予備校が謳う必要学習時間としては約1000時間くらいとのことですから、それにしてはやや時間を掛け過ぎていると思われていたかもしれません。
英語力:TOEICは730点、実用性は微妙なレベル
前職は海外とのメール・英文資料を扱う機会が多かったため、読み書きは少しできました。
しかし、英会話は全くできなかったのです。
その点は面接において正直に打ち明け、「これから努力します」と意欲でカバーしました。
職歴:酷い
- とある零細企業で事務職として半年(ほぼバイト扱い)
- 別の零細企業で営業職として約1.5年
新卒での就活に失敗して、どこでもいいからと入社した企業でした。
そんな理由ですからモチベーションも極めて低く、営業という職種にも当時いた業界にもあまり興味を持てずにいました。
勉強するでもスキルを身につけるでもなく、ダラダラと目の前の作業をこなす毎日……。
ハッキリ言って給料泥棒でした。
このままではマズいと一念発起して、USCPAの存在を知り、すぐに学習を始めました。
そしてFARの合格を期に退職、以降は学習に専念するため無職となりました。就活時点において職歴の空白期間は約1年でした。
未経験で大手監査法人への転職を成功した理由
まず断っておきますと、これは法人の正式な回答ではありませんのでご了承ください。
入所後、採用担当の方と個人的にお話しした際に得られた所感です。
- 社会人経験があり、マナーや常識がしっかりしていたこと
前職が営業だったこともあり、人と接する際の最低限の礼儀は心得ていました。
といってもいわゆる『社会人のマナー』については本やネットで学んだことばかりですので、その程度の知識があれば誰でもクリア可能です。
どうしても自信がないという方は、何でもいいのでマナー本を一冊買って読破してみましょう。
- 長く働けそうだと判断されたこと
採用した人が短期間で辞めてしまうのは法人にとっても損ですから、長く続けられる人を選びたいはずです。
長く続けられる人とは、つまり法人の方針や気風とマッチしている人ということです。
その点を上手くアピールするためには、何よりも『志望動機』に説得力を持たせる必要があります。
私の希望する働き方について考えを徹底的に固め、それがいかに法人の方針や制度とマッチしているかを一つ一つ説明できるようにしました。
志望先以外の法人についてもしっかりと企業研究を行い、目指す法人にしかない特徴を上手くつかむことが鍵になると思います。
- 確実に全科目合格できる見込みがあったこと
法人にとって、科目合格者を採用するリスクとはいつまでも全科目合格できない人を採ってしまうことです。
私の場合は面接時点で2科目合格しており、3科目めの試験日・4科目めの学習スケジュールも固まっていました。
また1科目めのExpireまで余裕があったことから、全科目合格の見込みが十分にあると判断されたようでした。
では、学習が思うように進んでいないという方はどうすればいいでしょうか?
その場合も、とりあえず最終科目合格までの学習スケジュールを立てましょう。
できれば試験予定日まで決めておき、全科目合格までの明確なプランは考えてあるということをアピールしてください。
それだけでも心象はかなり違うはずです。
以上の3点が、採用担当者が特に気にしていたポイントでした。
細かく挙げていけば他にも要因はあるかもしれませんが、最低限ここだけは抑えておくと減点回避に繋がるのではないでしょうか。
大手監査法人への転職・就職活動の流れ
さて、ここからは私が実際に就活で体験した内容についてまとめました。
具体的にしたこともいくつか載せてありますので、何をすればいいかわからないという場合の転職ロードマップとして参考にしていただければ幸いです。
情報収集はアビタスキャリアセンターで
転職活動を始めるにあたって、まずUSCPA予備校(アビタス)のキャリアセンターへ相談をしました。
アビタスのキャリアセンターでは、募集中の求人情報がウェブや校舎でいつでも閲覧可能です。
特に大手の求人が充実しており、採用セミナーのお知らせも頻繁にメールで届きます。
もし良い求人が見つからなくとも諦めず、キャリアセンターの方に直接相談してみてください。
サイト未掲載の求人や、未確定の情報を教えてもらえるかもしれません。
その他の就活サイト(マイナビ・人材ドラフト等)にも一応は登録していました。
しかし大手の求人が充実している・きめ細かな個別相談をしてもらえるという点で、アビタスが一番優れていると感じました。
採用セミナーで各監査法人の特色を理解
私が就活を始めた頃は4法人が立て続けにセミナーを開催していた時期だったため、全て申し込みしました。
職種は監査やアドバイザリーなど様々でしたが、いずれも金融業界に関わる部門です。
会場はアビタスの東京校舎(新宿or八重洲)でした。
- 採用セミナーの構成
アビタスで開催される採用セミナーの大まかな構成はいずれも共通しており、下記のように前半と後半の2部に分かれていました。
前半:監査法人の採用担当者による企業説明
リクルート担当リーダーの方から、業界・実際の業務・社内制度・選考ステップなどについて一通りの説明がありました。
後半:グループに分かれての個別質問
法人の方1名につき受講生5~8名で囲んでお話しする形式でした。
法人側のメンバーは、入所したばかりの方から経営陣レベルの方まで幅広く、色々な視点での話を具体的に聞くことができました。
グループを入れ替えながら3回ほど質疑の機会がありました。
ここでの質問が合否に影響することはありませんので、気になったことは何でも尋ねてみましょう。
私の場合は「休日の付き合い等はありますか?」という質問をどの法人でも尋ねました。
プライベートを重視しており、過度な人間関係は避けたいと考えていたためです。
1ヶ所だけ「週末には上司とゴルフへ行く」という回答をもらった法人があり、そこは真っ先に志望から外しました。
このように自分に合う社風かどうかを見極めたり、入所後の不安を解消したりできる機会ですので、積極的に質問していきましょう。
- セミナーの雰囲気≒法人の雰囲気
実際に働いている方々が大勢で来ているため、セミナー自体の雰囲気も各法人で大きく異なっていました。
私見ですがE法人とK法人はいわゆる日系企業らしい真面目で組織的な雰囲気、D法人とP法人は外資色が強くフラットで気さくな印象を受けました。
また、この時の印象は入所後も特に変わることはありませんでした。
全体的な雰囲気も含め「この人たちと一緒に働きたいかどうか」という点は、セミナーの段階でしっかり見ておきましょう。
なぜならこの後の面接においても、それが大変重要となるからです。
あなたが「なんとなく合わないな……」と感じる場合、面接官からも同じように思われる可能性は大いにあります。
そういう場合は思い切って志望先から除外するという選択肢もアリだと思います。
- 各法人の『売り』に注目
社内の制度や取り組みなどといった売りにしているポイントも法人によって明確に異なっていました。
私の頃は『働き方改革』が話題だったこともあり、ワークライフバランスについて新たな取り組みを始めている法人が多かったです。
その中でも、具体的な制度や取り組み方の姿勢については法人によって様々でした。
例として、私が注目していた2点については下記のような違いが見られました。
- 女性のワークライフバランス
産休・育休に伴う支援体制が手厚く、復職後も順調に出世した女性が実際に多くいた法人もあれば、制度があまり充実していない法人・制度はあるものの形骸化していたり、復職実績が低いという法人もありました。
- 海外赴任制度や語学を生かした仕事について
「年間○人を海外拠点へ送り出す」と明確な目標と実績値を掲げている法人がある一方で、方針はあるものの直近数年の実績が全くのゼロであるという法人もありました。
また、海外案件が多く希望次第で誰でもアサイン可能という法人もあれば、英語に触れる機会はごく限られているという話を伺った法人もありました。
他法人にない制度や新しい取り組みなどは、説得力のある志望動機づくりに役立ちます。
また、似たような制度を謳っていても実情が大きく異なる場合もあります。
セミナーでの質問機会を十分に利用して、最低限、自分が重視するポイントについてはしっかりとメモして帰りましょう。
以上が、セミナーの流れと押さえるべきポイントでした。
肌感覚で自分に合うと思った法人を選んでも良いですし、志望動機が作りやすいかどうかで選ぶのも良い戦略です。
採用セミナーにはできるだけ参加して、各法人をトコトン比較しておくと、この後の書類・面接対策がグッと楽になります。
セミナー後はもらった資料や自分のメモ、各法人のHPを隅々まで読み込み、より詳細で客観的な比較をしましょう。
ノート等に項目ごと洗い出し、自分の中での優先度も加味しながらまとめることで、効果的な分析ができると思います。
履歴書の作成と面接準備
セミナーを通じてもっとも魅力的と感じた1法人に応募を絞り、書類作成・面接対策を始めました。
書類の準備
書類作成にはかなりの時間を割きました。
その間は、USCPAの学習も完全にストップしています。
2週間程度かけて企業分析・志望動機・自己PRを固め、キャリアセンターの方や家族に何度も見てもらいながら推敲を重ねました。
提出書類は3点(履歴書・職務経歴書(和文/英文))です。それぞれ押さえたいポイントを簡単にご紹介します。
- 履歴書の資格欄にはUSCPAの合格状況を記載
科目合格の方は合格済の科目のほか、現在学習中の科目・試験予定日等もできれば書いておいてください。
学習の見通しが立っており、全科目合格の可能性が十分にあるという点は大きなアピールポイントです。
その他、簿記やTOEICなどの会計・語学分野に関する資格があれば全て書きましょう。
どんなに低い級や点数でも構いません。
「この分野に興味を持ち、最低限これだけの知識を持っている・仕事へ生かすために取り組んできている」という点をアピールすることが重要であるからです。
- 職務経歴書を書くときのコツは『推し』を布教するつもりで
転職が初めてor職務経歴書を書くのが初めてという方は特に、これまでの仕事で自分が達成したことを過小評価しがちです。
「ただの通常業務だったし……」「自分一人の成果じゃないし……」
などと弱気なことを言わず、どんなに些細な成果でも大々的にアピールしていきましょう。
あなたの好きな誰かor何かを紹介する気分で臨めば、素敵な褒め言葉がどんどん出てくるはずです。
可能であるならば、抱えていた顧客数や同時に受け持った案件数などの具体的な数字を入れておくと説得力が増しますよ。
例を挙げると、私の場合、営業時代に達成したことの一つとして以下のような内容を記載しました。
顧客を対象とした業界セミナーを主催し、100名以上の参加者を集めた。それをきっかけに、顧客からの問い合わせ件数を120%増加させることに成功した。
いかがでしょうか? なんだかすごい実績を持っているように見えませんか?
しかし種明かしをすると、実状はそれほど大したことではありませんでした。
会社が主催する業界セミナーの運営に参加し、当時受け持っていた全てのお客様に声を掛け、その一部の方に参加してもらうことができた。新人営業としての顔見せも兼ねていたため、その後問い合わせ件数が以前に比べると増えた(が、全てが受注に繋がったわけではない)
よくある業務の一環ですし、単独の成果というわけでもない。馬鹿正直にこれだけを書いても、全くアピールになりませんよね。
ですが、上の例のように具体的な数字を入れたり、ワードチョイスに気をつかったりするだけで、あなたの職務経歴は見違えるほど素敵なものに変わるのです。
- 英文の職務経歴書は時間をかけすぎない
和文さえ完成してしまえば、英文職務経歴書は翻訳するだけ。
ここの単純作業に時間をかけるより、この後の面接対策に労力を割きたいところです。
形式やよくある文言をネットで調べつつ、サクッと作ってしまいましょう。
もし心配な点があればキャリアセンターで見てもらうといいと思います。
面接対策について
アビタスを通じて書類を提出後、すぐに面接対策を始めました。
まず始めにしたのは、自分なりの質疑応答マニュアルを作成することです。
書類作成の際に考えた志望動機や自己PRをさらに掘り下げ、それと付随して聞かれそうな質問とそれに対する回答をできるだけ沢山考えました。
考えた内容はEvernoteに保存し、一つのノートブックにまとめました。
内容はごく一般的な質問に始まり「流石にここまで聞かれないだろ……」と思うようなこと(どうでもいい些末な揚げ足取りや、反対に人生観などの深すぎる質問など)までカバーできるように作成しました。
- USCPAの学習を始めたきっかけ、理由
- 会計士としての将来像、監査法人でのキャリアプラン
- 自分はどのような性格か、長所・短所は何か
- 仕事のストレスに対してどのように対処できるか
- 語学について、仕事で使えるか・どういう学習をしているか
- ライフプランについて(女性の場合は特に、結婚・出産などの)仕事に大きく影響するライフイベントについてどう考えているか
- 他に応募している法人はあるか、なぜこの法人を選んだか
などなど……。
細かく挙げれば切りがありませんが、上記のように答え方の範囲が広い質問はまず尋ねられると考えて間違いないでしょう。
回答を考える際のポイントとしては、『Why?(なぜ)』を突き詰めることです。
- 「なぜUSCPAを取得しようと思ったのか」
- 「会計や監査という分野に興味があったから」
- 「なぜその分野に興味を持ったのか」
- 「財務諸表を通して、企業や団体の全体像を数字で見ることが面白いと感じたから」
- 「なぜそれを面白いと感じるのか」……
このように、単純な質問から始まった話題でも、『Why?』によって無限に広げることが可能です。
その一つ一つを自分なりに突き詰めていくことで、思考の土台が完成します。
それによって、現実的で説得力のある回答を提示することができるのです。
想定した質問の全てが実際に面接で尋ねられたわけではありません。
しかし、ここで色々と掘り下げて考えた経験は本番でのアドリブ力に生かされたように思います。
質疑応答マニュアルがひととおり完成したら、次は内容の暗記です。
Evernoteと連携できる単語帳アプリを使い、質問と回答を繰り返し音読しながら練習をしました。
この練習の目的は、とにかく内容を頭に定着させることです。
話していて「演技臭いな」「棒読みだな」と感じても気にせず、ひたすら繰り返し口に出すことで記憶します。
面接本番で頭が真っ白になっても、勝手に言葉が口から出てくるレベルを目指しました。
私は特に緊張しやすいタイプでしたので、ちょっとやりすぎというくらいに練習を重ねてようやく安心して面接に臨むことができました。
また改善すべき点を客観的にチェックするため、他人に聞いてもらう機会を積極的に設けました。
家族に頼んで毎日30分~1時間くらい練習に付き合ってもらったり、たまに友人と会う機会があれば少しだけ手伝ってもらったりと、周囲の人々の協力は欠かせませんでした。
上記の練習と並行して、本番を想定した面接練習はキャリアセンターで2回ほどお願いしました。
内容に関するアドバイスの他、面接における基本的なマナーや話し方などについても指導していただきました。
質疑応答マニュアルの内容も日々アップデートしつつ、このような練習が面接前日まで続きました。
面接当日の準備
身だしなみはプロにお任せ
そうして迎えた面接当日は案の定、朝からかなり緊張していました。
何せ相手はBIG4監査法人、新卒の頃にはまったくご縁のなかったレベルの大企業です。
その緊張を少しでも和らげるべく、まず私がしたことは面接直前の時間帯で美容院を予約し、ヘアメイクを仕上げてもらうということでした。
……。
え、それって重要なの?
そう思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、これは非常に大事なことなのです。
想像してみてください。
大事な面接の場面において「もしかして寝癖ついてない?」「眉毛が変じゃない?」などと余計な心配事を抱えたままで、果たして受け答えに集中できるでしょうか?
少なくとも私はできません。
裏を返せば「とりあえず見た目だけは問題なし!」という自信さえ担保されていれば、あとは面接の内容のみに注力することが可能になるとは思いませんか?
そういうわけで、多少の出費に目をつむってプロに丸投げしたのは正解でした。
これは女性だけでなく男性にもオススメの対策ですので、緊張しやすい方・心配性の方はぜひ試してみてください。
一次面接は終始和やかな雰囲気に
気合たっぷりに臨んだ面接でしたが、いざ始まってみれば拍子抜けするくらい平和でした。
始めの挨拶から自己紹介・志望動機の説明まではそれなりにかしこまった空気があったものの、その後は終始リラックスして世間話のような雰囲気で進みました。
面接官の方は人事専門ではなく、入所後は一緒に働く上司となる立場の人です。
そのため入所後の働き方やキャリアパスなどについて現実に即した話ができました。
また、業務に対する疑問点や職場の雰囲気などについて逆質問する機会も自然な流れでありました。
向こうからの質問は、志望動機やこれまでの経歴に沿った内容が中心でした。
ほぼ全てが事前に想定していた通りの質問だったため、自信を持って落ち着いた受け答えができ、多少のアドリブをきかせることも可能でした。
そんな心の余裕も手伝って、良い雰囲気を作ることができたのだと思います。
当たり前のことを言うようですが、やりすぎというくらいに事前の対策を練ることが何よりも重要であると感じました。
そうして約45分の面接を終えたときには、かなりの手ごたえを感じていました。
その後、期待通りに選考通過の連絡をいただき、二次面接に臨みました。
緊張の二次面接もどうにかクリア
二次面接は部門トップの方との、いわゆる社長面接のようなものでした。
『偉い人』相手のため流石に少し堅い雰囲気となり、一次面接ほどうまく喋ることはできませんでした。
また、思わぬ質問を投げかけられて返答に困る場面もありました。
なるべく一次面接との食い違いがないこと・時間がかかっても自分なりの答えを返すことを意識して話すようにしました。
面接が終わった時には正直まったく自信がなく「これは落ちたかもな……」と覚悟していたのですが、その後無事に採用決定の連絡をいただくことができ安心しました。
その後、BECの学習スケジュールの遅れが原因で、予定していた入所時期をずらしてもらうなどのハプニングはありましたが、他には大きな問題もなく入所日を迎えました。
監査法人へ就職したメリット・デメリット
入所後すぐにチームへアサインされ、実際に監査業務を始めました。
私の場合は入所直後から本格的に仕事が始まりましたが、部署やタイミングによっては必ずしもそうとは限りません。
たまたま閑散期に入所したため最初の1~2ヶ月は全く仕事がなく、試験勉強だけに集中できたというラッキーなケースもあるようです。
メリット:定時上がりで試験勉強が可能
科目合格で入所したメンバーは全科目合格を達成するまでの間、残業が免除されていました。
監査チームの上司にその点が周知されているため、定時になればすんなり解放してもらえます。(むしろ定時10分前には帰る準備をするよう促されました。)
この協力体制は本当に有難く、学習のモチベーションアップにも繋がりました。
デメリット:全科目合格までは契約社員扱い
勉強時間が確保できるのは大きなメリットでしたが、代わりに不利な点もありました。
科目合格で入所した場合、当初は正職員ではなく『2年間の有期雇用契約社員』という身分となります。
雇用期間内に全科目合格することができなければ、満期で契約終了の可能性があるということです。
さらに基本給は正職員より少なく、定時退社できる代わりに残業代で稼ぐこともできません。
おおよその年収としては300万円前後でしょうか(今は多少変動しているかもしれません)。
それしか貰えないのかとガッカリされる方もいるかもしれませんね。
とはいえ限られた期間の話ですし、無事に全科目合格して正式採用となれば年収は一気に500万超まで上がります。
それもまた学習のモチベーションに変え、頑張って乗り切りましょう。
USCPAの監査業界以外の転職可能性について
今回は、私の経験をもとにUSCPAの監査法人への転職を中心に見てきましたが、それ以外の分野でもUSCPAが活躍する職種や業界はたくさんあります。
USCPAに合格することで、どのようなキャリアへの道が開けるのか、少しだけ見てみましょう。
外資系・グローバル企業の経理
USCPAの資格は、外資系企業やグローバル企業の経理部門で非常に重宝されます。
特に、US GAAP(米国会計基準)やIFRS(国際会計基準)に精通している人材は、企業の連結決算や財務報告の信頼性を高めるために重要です。
米国に上場している企業や米国との取引が多い企業では、経理担当者としてUSCPA資格を持っていることが優先されることがあります。
年収は企業規模や業界によりますが、特に外資系企業の場合、マネージャーへ昇進をすることで年収800万円〜1,000万円以上を狙えるケースもあるでしょう。
会計アドバイザリー
会計アドバイザリーは、会計や財務の専門知識を生かして企業の経営支援を行う役割です。
具体的には、M&A、デューデリジェンス、内部統制の整備、IPO(新規株式公開)支援などのプロジェクトが含まれます。
USCPAを持っていることで、特にM&A関連の会計アドバイザリー業務において、グローバル基準に対応したアドバイスを提供することができ、クライアント企業からの信頼を得やすくなります。
この分野ではシニアスタッフからマネージャーで年収1,000万円を超えることもあり、キャリアアップの選択肢として非常に有望です。
内部監査
内部監査部門では、企業内部の業務プロセスやリスク管理の監視を行い、効率的かつコンプライアンスに基づいた運営を確保する役割を担います。
未経験から内部監査への転職よりは、監査法人を経て転職をした方が内部監査としてのキャリアは気づきやすいかもしれません。
内部監査のキャリアパスでは、年収は500万円〜1,200万円の範囲で、特にグローバル企業や大手企業ほど年収が高くなる傾向にあるでしょう。
新卒は監査法人へ就職できる?
新卒の場合、監査業務での監査法人への転職は難しい場合があるので注意が必要です。
一方、監査法人でも監査業務以外のコンサル職などでは、USCPAの採用も積極的に行なっています。新卒の場合は、他の大学生と比較して、USCPAに合格していることは大きなアドバンテージになるでしょう。
USCPAから監査法人への転職は夢物語ではない!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回書いたことの多くは、私が就活をした2016年時点での体験談です。そのため現在では状況が異なる部分も多少あるかと思います。
しかしUSCPAの取得はキャリアチェンジへの大きなチャンスであることに変わりはありません。
そして戦略をしっかり立てて臨めば、BIG4監査法人も決して狭き門ではないのです。
これまで積み重ねてきた努力を信じて、ぜひ挑戦してみてもらいたいと思います。
転職に悩むUSCPA学習者である皆様の背中を少しでも押すことができたならば幸いです。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
この記事は、インターンのKazuによって編集されました。