目次
アメリカ留学・海外赴任前の予防接種の必要性
今日は、アメリカへ留学や海外赴任前に必須となる予防接種と大まかな流れ、かかるコストについて簡単に説明したい。
実は、予防接種は保険診療ではなく、すべて自費負担、病院が自由に値段を決めて良いことになっているため、病院によって値段がかなり違ってくる。
留学の場合
予防接種と聞くと、インフルエンザ予防のような任意のものだと思うかもしれないが、実はアメリカ全土(50州)では、全ての学生が入学前に完全な予防接種を受けなければならないことが法律で決められている。つまり、任意ではなく必須!そうしないと法律違反になる。
ただ、必要な予防接種の種類に関しては全国統一の基準がなく、関連法律も各州によって異なるため、入学先によって求められる予防接種が違ってくる可能性が大きい。
また、予防接種の要件は基本、入学する人に課しているため、その家族(配偶者や子供)には求めていない場合が多い。そのため、入学のガイダンスのような資料や学校のホームページを良く読み、具体的な予防接種要件を確認しよう。
海外駐在の場合
海外赴任でアメリカに行く場合、大人にはそこまで厳しくないようだが、子供は規定の予防接種が終わっていないと学校に入学・編入できないことがある。
また、アメリカでは予防注射の種類が多くあり、日本では一般的でないものもあるので、子連れの場合はくれぐれ情報を確かめよう。
予防接種証明書の様式
イエローカードという予防接種の国際証明書がある。正式名称は、International Certificate of Vaccination or Prophylaxis。この証明書に予防接種の履歴が記載されている。
ちなみに、イエローカードをわざわざ取得する必要性は低く、病院やクリニックはこの様式の基づいて証明書を発行するため、その発行した書類を大学に提出すれば事足りる。
画像出典:厚生労働省広島検疫所
予防接種の種類
何を打つのか?ワクチンの種類
何を打つのか確認するために以下のプロセスを取る必要がある。
- 学校からの要請を確認
- 母子手帳を入手し、接種記録を確認
- 不足分に関して医師に相談
予防接種の種類や証明書提出の有無は、州によって要件が異なるため、進学する大学・お子さんが編入する小中高の学校に直接確認する必要がある。通常は”何を出せ”という連絡がくるはずだ。
例えば、大学の場合、ニューヨーク州にあるコロンビア大学、テキサス州にあるテキサス大学(オースティン)、ペンシルベニア州にあるペンシルベニア大学の要件はそれぞれ違う。
出典:コロンビア大学公式サイト
- MMR (Measles (麻疹)、Mumps(おたふく)、Rubella(風疹)混合ワクチン) ✖️ 2回
- Hepatitis B(B型肝炎)✖️ 3回
- Tdap(破傷風、ジフテリア、百日咳)✖️ 1回
- Meningococcal(髄膜炎)✖️ 1回
- Varicella(水痘)✖️ 2回
上記のように、州や地域によって必要なワクチンは異なるが、良く求められる主なワクチンは下記のいくつかだ。
- MMR (Measles, Mumps, Rubella) – 麻疹、おたふくかぜ、風疹(はしか)
- Tdap (Tetanus-Diphtheria-Pertussis) – 破傷風・ジフテリア・百日咳 三種混合
- Hepatitis B – B型肝炎
- Varicella (Chicken Pox) – 水痘
- Meningococcal – 髄膜炎
- Tuberculosis (TB) – 結核
小さい頃予防接種を受けたことがあっても、有効期限が切れている場合、再度接種を受ける必要がある。
いつ打つのか?予防接種のスケジュール
一部のワクチンは一回で済むわけではないため、遅くて出国の2ヶ月前から準備するのがおすすめだ。
主なワクチンの、一般的な要件はそれぞれ下記の通り。詳細は学校によって若干違う可能性はあるので学校側の書類を確認しよう。
そして、自身の母子手帳で接種記録を確認し、足りない分の接種の計画を立てよう。
MMR (Measles, Mumps, and Rubella) – 麻疹、おたふくかぜ、風疹(はしか)
別々の接種と3種混合の接種がある。
3種混合の場合、4週以上空けた2回の注射が必要。
別々の接種は、麻疹2回、おたふくと風疹は1回か2回が求められている。
Tetanus-Diphtheria-Pertussis – 破傷風・ジフテリア・百日咳 三種混合
Tdapは合計5回が必要。最後の接種を受けた時が2歳未満の場合、もう一回接種が必要。
Hepatitis B – B型肝炎
3回の接種が求められるのが一般的。1回目と2回目に1ヶ月、2回目と3回目は2ヶ月以上開けなければならない。
そのため、現実的には、渡航の2ヶ月前には1回目と2回目の接種を済ませ、3回目は渡航後に打つことになるだろう。
Varicella (chickenpox) – 水痘
水ぼうそうに関しては、アメリカの学校は2回の接種を求めることが多い。
一部の学校は、13歳前に接種した場合はもう1回の接種が必要で、13歳ー17歳の間に接種した場合は2回の接種(6−10週間空く)が必要、という決まりがある。
水ぼうそうになったことがある場合、発病時期が記載され、医者の印鑑が押された証明書を提出すれば接種がいらなくなるという。
Meningococcal (髄膜炎)- 髄膜炎
髄膜炎のワクチンは1回の注射が必要。特に寮に住む人が提示しなければならないことが多い。
Tuberculosis (結核)- 結核
結核に関して、ほとんどの人は小さい頃BCGワクチンの接種を受けたが、入学の際にTB testingが行われることもある。
毎年5月ー8月は海外渡航のための予防接種のピークシーズンなので、早めに病院・クリニックを予約しておこう。
どこで打つのか?
日本国内かアメリカ?
日本国内で全ての予防接種を受けておいたほうがいいか、アメリカに渡航後で受けたほうがいいかについて、様々な意見がある。
アメリカで受けるメリットは、ほとんどの大学が提供してくれる学生医療保険でワクチンの費用がカバーされるため、無料になるか、安く済ませることができる。
ただ、多くの人(特に初めて海外で長期生活をする人)は、アメリカの医療保険や病院で受診する流れなどについて全く分かっていない状態なので、日本国内で予防接種を受けたほうがもっと便利でストレスが少ない。
クリニックの費用比較
費用だけを考えるなら、街の病院よりも、国立病院や総合病院であれば費用を抑えることができる。
インターネットでは、霞ヶ関ビル診療所が人気である。また、日比谷クリニック、品川イーストクリニックも予防接種と留学に特化した部隊がおり安心感がある。
しかし、問題は値段である。街の病院は、予防接種の金額をHPに記載していない。
参考までに、B型肝炎1回の値段は、日比谷クリニック、霞ヶ関ビル診療所はは8,400円、東京理科大学は5,700円、国際医療研究センターは5,500円と、価格に1.5倍ほどの差がある。
他の予防接種費用も、概ね1.5倍ほどの金額差があると考えて問題ない。
海外渡航の予防接種ができる病院
病院リンク集