英語力を測る試験には、TOEFL、TOEIC、IELTS、英検など多くの選択肢がある。
これらの試験を受験する目的は様々だが、特に海外留学や大学院進学を目指す場合、TOEFLのスコアが求められることが多い。
しかし、TOEFLスコアがどのように他の試験スコアと比較できるのか、またPBTやCBT、ITPといった種類の違いについて疑問を持つ方も多いのではないだろうか。
本記事では、TOEFLスコアとTOEIC・IELTS・英検スコアの比較表を提供し、それぞれの試験の特徴や目的も解説。
自分に最適な試験を見つけるための情報をぜひ参考にしてほしい!
目次
TOEIC・IELTS・英検・TOEFLとのスコア比較【CEFR準拠】
英語力を評価する国際基準であるCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、A1(初心者)からC2(上級者)まで6段階で構成されている。
この基準を用いることで、TOEFL、TOEIC、IELTS、英検といった異なる試験のスコアを共通の指標で比較することが可能である。
これにより、各試験の位置づけがより明確になり、自分の目標に適した試験選びがしやすくなる。
各試験の特徴と目的
- TOEFL
学術用途に特化した試験で、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能を総合的に評価する。主に留学や研究機関への進学で求められる。
- TOEIC
ビジネス英語を中心に評価する試験で、リスニングとリーディング(L&R)が主な評価対象である。日本の企業で広く採用されている。
- IELTS
海外留学、移住、就労を目的とする試験で、アカデミックモジュールとジェネラルモジュールの2種類がある。リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングを含む4技能を総合的に評価する。
- 英検
日本国内で広く認知される試験であり、資格取得や英語教育の指標として用いられる。多くの級で4技能評価を取り入れている。
CEFR基準によるスコア比較表
以下は、TOEFL、TOEIC(L&R)、IELTS、英検のスコアをCEFR基準に基づいて比較した表である。
CEFRレベル | TOEFL iBT | TOEIC (L&R) | IELTS | 英検 |
---|---|---|---|---|
C2 (Proficient) | 120-114 | – | 9.0-8.5 | – |
C1 (Advanced) | 113-95 | 990-945 | 8.0-7.0 | 1級 (一部C1) |
B2 (Upper-Intermediate) | 94-72 | 940-785 | 6.5-5.5 | 1級 (一部B2), 準1級 |
B1 (Intermediate) | 71-42 | 780-550 | 5.0-4.0 | 準1級 (一部B1), 2級 |
A2 (Elementary) | 41-0 | 545-380 | 3.5-3.0 | 準2級 (一部A2), 3級 |
A1 (Beginner) | – | – | – | 3級 (一部A1) |
TOEFL 80点を目指す場合
このスコアは、交換留学や海外大学の学部課程への出願要件としてよく設定される基準である。
また、日本人にとって馴染みのあるTOEICスコア785点や英検準1級と同等とみなされるため、B2レベルを達成することが目標になる。
TOEFL 100点を目指す場合
TOEFL iBTで100点を取得することは、大学院・MBA課程や一部の難関大学への出願要件を満たす基準であり、CEFR基準ではC1レベルの高度な英語運用力を示す。
例えば、スタンフォードは学部・大学院もミニマムスコアは100点、ハーバードは学部は100点で教育学の大学院は104点、MBAは109点等の基準を設定している。
このスコアは、TOEICスコア945点以上や英検1級の取得と同等であり、プロフェッショナルな場面や学術的な文脈でも十分通用するレベルといえる。
TOEFLの試験形式について【iBT、ITP、PBT、CBT】
TOEFLには過去から現在に至るまで、いくつかの試験形式が存在する。
その中でも、現在広く利用されているのはiBT形式であるが、他にも教育機関で使用されるITP形式、そして現在廃止されているPBTやCBTも存在する。
TOEFLの主な試験形式
- iBT (Internet-Based Test)
現行の主流形式であり、インターネットを通じて実施される。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能を評価する。
学術的な英語力を総合的に測定することを目的とし、海外大学や大学院への出願で求められることが多い。
- ITP (Institutional Testing Program)
教育機関内での英語力評価に特化した形式で、リスニング、リーディング、文法の3セクションを含む。
公式スコアとはみなされないため、進学用途には利用できないが、大学内のクラス分けやプログラムの適性評価に使用される。
- PBT (Paper-Based Test)
ペーパーテスト形式のTOEFLで、リスニング、リーディング、文法の3セクションを評価する。現在は廃止されており、新規の受験はできない。スピーキングセクションがないため、学術的な4技能評価には対応していなかった。
- CBT (Computer-Based Test)
かつてiBT形式に移行する前のTOEFLとして使用されていた形式である。リスニング、リーディング、文法、ライティングの4セクションを評価していたが、スピーキングセクションはなかった。2006年に廃止され、現在は利用できない。
形式ごとのスコア換算と利用シーン
形式 | スコア範囲 | 利用シーン |
---|---|---|
iBT | 0~120 | 海外大学・大学院進学、学術用途 |
ITP | 310~677 | 教育機関内での評価(クラス分けやプログラム適性診断) |
PBT | 310~677 | 廃止済み(以前は進学用途で利用) |
CBT | 0~300 | 廃止済み(以前は進学用途で利用) |
iBTとITPのスコア換算
TOEFL iBTとITPは評価基準が異なるが、教育機関やETSが提供する参考資料をもとにした目安は以下の通りである:
TOEFL iBT | TOEFL ITP (推定換算) |
---|---|
120 | 677 |
100 | 600 |
80 | 550 |
60 | 500 |
40 | 450 |
- TOEFL iBTのスコアは最大120点であり、学術的な英語力を総合的に評価。
- TOEFL ITPのスコアは最大677点で、主にリスニング、リーディング、文法の3セクションを評価。
TOEFL・IELTS・TOEIC・英検を選ぶ際のポイント
英語試験を選ぶ際には、自分の目的や状況に応じて適切な試験を選ぶことが重要である。
以下では、進学、キャリアアップ、コストなどの観点から選ぶ際のポイントを解説する。
海外大学・大学院進学を目指す場合: TOEFLやIELTS
海外大学や大学院への出願では、TOEFLやIELTSが一般的に求められる。
特に、英語圏の学術的な場面での総合的な英語力を測定するこれらの試験は、進学用として最適である。
- TOEFLはアメリカやカナダの大学で採用されることが多く、学術的な文章やディスカッションに強い形式。
- IELTSは英連邦諸国(イギリス、オーストラリアなど)で広く利用されており、ペーパー試験も選べるため一部の受験者にとって柔軟性がある。
基本的にはどちらのスコアも多くの大学に認められているため、自分に合った試験を選ぶことが重要となる。
国内大学進学を目指す場合: 英検が主流
国内大学進学を目指す場合、特に英検が加点や試験免除の対象となることが多い。
準1級や1級は、多くの大学で英語力証明として評価される。
また、進学に伴い海外大学との併願を考える場合は、TOEFLやIELTSを取得することで、国内外どちらにも対応可能な戦略を立てることができる。
英検の加点の例
大学名 | 学部・学科 | 英検利用の内容 |
---|---|---|
早稲田大学 | 国際教養学部 | 英検2級以上の取得者にスコアに応じて7点~20点の加点 |
文化構想学部・文学部 | 英検CSEスコア各技能500以上、総合2200以上を出願資格として設定 | |
慶應義塾大学 | 文学部 人文社会学科 | 英検CSE総合スコア2500以上の取得者に得点換算の優遇措置 |
上智大学 | 全学部・学科 | CEFRレベルA2以上で5点以上の加点、B2以上で「みなし得点」として利用可能 |
東京理科大学 | 理学部第一部、薬学部、工学部など | 英検CSE総合スコア1400以上で10点~25点の加点 |
- 各大学の具体的な英検活用方法や基準は年度ごとに変更される可能性がある
キャリアアップやビジネス英語: TOEIC
ビジネスシーンで英語力をアピールしたい場合、TOEICが最適である。
特に、日本国内ではTOEICスコアが多くの企業で採用基準や昇進の指標として活用されている。
- TOEIC L&R(リスニング&リーディング)はビジネス英語力を評価する試験として広く認知されており、特に非英語圏の企業文化に適合。
- TOEFLやIELTSと比較すると試験の内容は実務的で、費用も比較的安価である。
コストや手軽さを重視: TOEICやITP
コストを抑えたい場合や手軽に受験したい場合、TOEIC L&RやTOEFL ITPが選択肢となる。
各試験の受験費用比較
試験名 | 受験料 | 特徴 |
---|---|---|
英検 準1級 | 10,500円 | 日本国内で認知度が高く、資格として長期的に有効。 |
TOEFL ITP | 約4,000~6,000円(学内実施) | 教育機関で実施される非公式テスト。コストが低いが、進学用には利用不可。 |
TOEIC L&R | 約7,810円 | ビジネス用途で認知度が高い。定期的に試験が開催され、受験機会が多い。 |
TOEFL iBT | 約30,000円 | 学術用途で広く認知されるが、費用が高く、国内外の進学希望者向け。 |
IELTS | 約28,000~30,000円 | 学術および移住用途に対応。ペーパー試験とコンピューター試験の選択肢がある。 |
まとめ: どの試験を選ぶべきか?
英語試験を選ぶ際には、自分の目的やゴールに合わせることが何より重要である。
- TOEFLは進学用途に最適で、特にアメリカやカナダの大学で広く認知されている。
- IELTSは留学だけでなく移住用途にも対応しており、試験形式の柔軟性が魅力だ。
- TOEICはキャリアアップやビジネス英語力の証明に強く、日本国内での企業評価において特に有用である。
- 英検は国内での利用価値が高く、特に大学受験を控えている学生に適している。
試験ごとの特徴を理解し、自分のニーズに最も合った試験を選ぶことで、効率的に目標達成を目指そう。