TOEFL iBT:メモ取りの必要性と注意点
TOEFLが難しい理由
TOEFL(読み方:トーフル、トフル)が難しい一つの理由に、IELTSと比較してメモ取りが非常に重要になってくることがある。
TOEFLでは、Reading、Listening、Speaking、Writing、全てに置いてメモが必要だ。
IELTSはリスニングのみメモ取りが必要になってくるが、答えとなるワード以外のメモを取ることはかえって問題解答の妨げとなる。また、TOEICではメモ取りは禁止させている。
メモ取りの重要性
- 集中力維持・正解を導くためのメモ
TOEFL iBTのリスニングは4,5分と長いので、なんも書かずに聞き流すと、すぐ気が散ってしまう。書くことによって集中力が保てる。
ただ、そのメモの究極的な目的は正答を見つけるヒントになることなので、聞いたことをすべてメモする必要はない。だらだらメモしたら、逆に答えがどこにあるか見つからなくなることが多い。
- 特別な人以外、メモ取りのスキルは高得点に必須
もちろん世の中、リスニングに集中するため一切メモを取らない人もいる。その中高得点を取った人もいる。そういう人たちは、高度なリスニング力、理解力と記憶力の持ち主だ。
リスニング力、理解力と記憶力、この三つの力にどれか若干自信がないとしたら、安定的に高得点を取るため、安易に「メモを取らない」作戦を取らず、きちんとメモ取りのスキルを磨こう。
- リスニング力はメモ取りの根本
TOEFLのリスニングは、「聞く」力が最も重要で、メモはあくまで補助的な役割を担ってくれる。メモを見ながら、先ほど聞いた内容を短期的に記憶喚起して、正答を見つけていく。
もともと聞き取れていない内容、聞き間違えている内容に対して、いくらメモを見ても意味がない。
つまり、根本的には、リスニング力を磨くことが大事。リスニング力が付いている上で、満点近くを狙うためにはメモ取りのトレーニングすべきである。
本番のメモ用紙と筆記用具について
TOEFL iBTでは、試験中にメモ用紙が提供される。このメモ用紙はA4サイズ程度で、表裏両面を使用できる。
足りなくなった場合は、試験官に手を挙げて補充を依頼することが可能である。ただし、試験終了後に全て回収されるため、持ち帰ることはできない。
また、メモ用紙と共に鉛筆が支給されるが、消しゴムは提供されない。そのため、訂正が必要な場合は線を引いて修正する必要がある。
特にリスニングやスピーキングでは、試験の進行中に交換を求めると集中を妨げる可能性があるため、可能であれば休憩時間中に交換を依頼するのが望ましい。
あなたのメモをチェックしてみよう
TOEFL受験者は、誰もがどうやってメモを取ることが効率的なのか模索し、悩んでいるハズである。例えば、こんな悩みとか・・・
- 書くことに精いっぱいでリスニングの内容に追いつかない!
本当の良いメモはたくさんの文字数がいらず、数十ワードで十分内容を網羅することができる。
また、メモの際は英単語そのままではなく、自分が認識できるような記号や単語の省略等を極力使って、書く時間を短縮すべき。
- たくさんメモしたのに問題は解けなかった!
これは、リスニング材料にある正しい情報を掴んでいないからだ。無駄な内容をメモしていたということ。
レクチャーの時、教授が喋り始めるとさっさと書き出す、という必要がない。メモするにはタイミングがあり、ヒントとなるキーワードもあるので、有用な情報と不要な情報を聞き分けてメモしよう。
もう一つの可能性は、メモから一つの単語を見かけて、「あ、選択肢Bにもこの単語がある!Bだ!」と安易に判断した結果間違った選択肢を選んでしまうこと。
多くの場合、正解はリスニングそのままではなく、ある程度パラフレーズしたものなので、きちんと内容を理解しよう。
- メモ用紙足りなくなった!
同上。不要な情報を書きとりすぎではないか?
また、メモ用紙は試験中手を上げると係員が追加を補充してくれる。できれば休み時間中に交換したいものだ。
- 自分で書いたメモが、自分で読めなかった!
メモは、別に綺麗な字で書く必要が全くないが、「自分だけ読める」というのは最低限だろう。
字が下手であれば、前述したように、自分で分かるような単語の省略や記号を代わりに使おう。
- メモは書いたけど、覚えたTOEFL Speaking Templateが思い出せなかった!
Templateをたくさん覚えても高得点には繋がらないため、テンプレートは最小限にして内容を充実させる必要がある。
Templateの例は非帰国子女が一発で24点を取ったTOEFLスピーキング完全対策を参考にしよう。メモ取り力をつけて喋る内容を充実させよう。
これは余談だが、かつてリスニングのダミー問題中にスピーキング用のテンプレートをメモする方法が流行っていた。しかし、2018年頃からダミー問題で毎回新しい問題が出題されるようになり、この戦略は取らなくなった。
そのため、リスニング力とメモ取り力をつける戦略を取ることがスコアアップへの近道となる。
良いメモはどんなもの?
- 会話/レクチャーの流れと一致していて、自分のメモを見ながら、会話/レクチャーを自分の言葉で復唱・再現できる。これができれば、内容が聞き取れた、しかも構造も把握しているという証拠だ。
- 20-40単語程度で簡潔に。これぐらいは誰でも聞きながら書けるだろうし、問題を解く時も参考しやすい。
- 必要な情報(質問に対する答え)が網羅され、瞬時で正解を特定できる。
会話のメモ例:TPO14- Listening Conversation 2
レクチャーのメモ例:TPO50 Listening「The Classification of Creatures」
※いずれもTOEFL Listening 28+オンライン講座の講師Chaoyiの手書きメモ。
TOEFL メモの取り方5つのコツ(リスニング、スピーキングも!)
では、メモ取りのスキルはどうやって磨けるの?学校で取るノートを想像して見よう。ノートの取り方、メモの仕方って100人いたら、100人異なる。人のノート見ても、ノートの取り方を聞いても、かえって混乱することが多いと思う。
予備校が教える、用紙に線を引いてReason1、Reason2….と分けるといった方法はテクニックでも何でもない。そもそも何をメモすべきか、というのを知らないと、メモ用紙を折ったり線を引いたりしても得点に結びつかない。
ここでは、効率的・効果的なメモの取り方を解説する。
キーワードをメモ
キーワードというのは、リスニングのトピック内容に関連している単語で、実際の意味を持っている単語、これらの単語をつなげば、センテンスは思い出せる。
前置詞とか冠詞とか書かなくてよい、或いは記号で表示する。主語は通常、トピック自体か前の文の目的語のことが多いので、特にメモする必要がない。
Student: Do you have any advice on how I should cover the story?
Advisor: Well, Max will want to talk to you but I am sure he will tell you to find out things like why the physics department’s worried about enrollment? Has the number of students been getting smaller in recent years? By how much? What kinds of plans are they considering to address this problem?
ここでAdvisorのアドバイスをメモすると、これだけのキーワードは必要:
why worried? # stu ⤵? %⤵? plan?
ロジック関係をメモ
リスニング会話もレクチャーも、センテンスの間、或いは段落の間にはすべてロジック関係が存在している。TOEFLで良く現れるロジック関係は下記いくつかある:
- 定義を付ける
- 例を挙げる
- 分類/カテゴライズする
- 比較/対比
- 因果関係
- 並列/順番付
- 問題と解決策
- 提案/評価
このような関係性を聞き取ってメモの中で反映しなければならない。
省略・記号・言い換え等を使ってメモを簡潔に
省略とは、例えば「oppotunity」を「opp.」に。「Increase」は「↑」、「Decrease」は「↓」にする。
また、簡単な例だと、よくロジック関係を反映する記号は以下のようなものがある。
≠ different, unlike, contradict, rather than
<> belong to, be part of
∵due to, because, reason
∧ but, however, yet, in fact, actually, while
これは100人100色のもので、それぞれの人が独自の慣れているやり方がある。原則は一つだけ:自分が分かる/読めること。
無駄な話しの時間を有効活用
例えば会話の中、トピックと関連性のないか、自分の意見を言っていないような「雑談」がちょこちょこある。前に書こうとしたけど書けなかったものがあれば、そういう雑談の時、メモを補完しよう。
つまり、もしメモする時少し漏れとかがあったら、慌てずに、まずその情報を頭の隅に置きながら、聞き続ける。会話やレクチャーのノンセンストークの隙間に、補足すれば大丈夫。
聞き取れていない単語や文にこだわらず、重要な情報をメモ・整理
リスニングの時、分からない単語やセンテンスに遭遇した場合、「あれ、さっき何言ったっけ?」とつい頭の中で考えてしまい、次の文を聞き逃してしまうことがある。
実は、あまり使われていない単語とかが出た場合、その後説明が付くことが多いので、落ち着いて聞き続ければわかるようになるかもしれない。その説明を聞いて重要な情報をメモしよう。
TOEFLのListeningで繰り返し説明される内容は、必ず重要なものであり、メモに残そう。
例えば、下記のレクチャーの内容に、重要な情報はどれとどれ?
Ok, a lot of people think of earth’s orbit around the sun as being perfectly circular, as smooth and as regular as, say, the way that hands move on a well-made watch, but it just doesn’t work that way. You are probably aware that the earth’s orbit around the sun, it is not shaped like a perfect circle. It is more of an oval, it is elliptical. But the shape of this orbit isn’t consistent; it varies over time, over a period of about a thousand years. Sometimes it is a little more circular, sometimes it is more elliptical. And when earth’s orbit is more elliptical, earth is actually closer to the sun during part of the year. Which makes earth, and in particular, the northern hemisphere, warmer. And why is that important? Well, because most of the planet’s glaciers are in the northern hemisphere, and if it gets too warm, then glaciers will stop forming. And we’ve already talked about how that affects earth’s overall temperature。
大切なのは三つしかない。
一つは、「earth’s orbit around the sun is more like an oval」。このことについて三つの文を使って繰り返し説明した。「it is not shaped like a perfect circle.」「It is more of an oval,」「it is elliptical.」どれか聞き取れれば大丈夫だろう。
二つ目の重要情報、「shape of this orbit isn’t consistent」。これも繰り返し説明した。「it varies over time」「Sometimes it is a little more circular, sometimes it is more elliptical.」。
三つ目の重要情報、「この軌道の変化はglaciersの形成に影響する」。
聞きながらこういう重要情報を頭の中で整理して、メモに残そう。
終わりに
重要なのはとにかく実践問題を繰り返し行い、どのようにメモを取ればパフォーマンスが上がるのか自分で実験・模索することだ。そのための材料が中国TPOである。
また、繰り返しになるが、重要なのはメモ取りよりも、リスニング力の向上であることを忘れてはいけない。内容が理解できなければ、メモを取るのは100%不可能だ。
毎回参考になる記事をありがとうございます。
実際にスピーキング(integrated task)のメモ取りをしてて疑問に思ったのですが、リーディングのパッセージはメモを取るべきなのでしょうか?
ネットで調べてみてもリスニング部分はメモのテクニックが出てきますが、リーディングの部分のメモ取りについては全然見つかりませんでした。
そもそも40~50秒で文章を読み終えるのに精一杯でメモを上手く取ることが想像できないのですが、メモを諦めるべきか読みながら書けるように訓練するべきかご意見をいただければと思います。
N.Y.さん
質問ありがとう!
Integretedタスク(スピーキングもライティングも)のリーディング部分もメモがあったほうが良いとは思うよ。
メモは20ワード程度で、それぞれの段落のキーワード(メインアイディア、例、理論など)を書いておこう。
どのようにキーワードを特定するのか、どうやってメモを取るのか、具体的にはこちらのIntegratedライティングの講座で言及しているので、ライティングの悩みや添削のニーズもあればおすすめだよ!
一方、ライティングに関して特に指導が要らない場合は講座は不要とも思うので、また自分でリーディングのメモ取りの練習をしてみて質問があればコメントしてね〜!