この記事の著者:コロンビアコーヒー
初めまして。現在イギリス、ロンドンに在住中のコロンビアコーヒーです。日本の大学&大学院理学部を卒業後、博士課程に進めるべくオックスフォード大学に入学し、その後卒業。現地就職をしイギリスと日本で職務経験を積みました。 個人的には、TOEFLiBTのスコアは英語力を測るより、体力と根性が試されている試験だと思っています。がむしゃらに勉強して2ヶ月で99点から 109点にすることができました。その時の勉強方法、体験談、イギリスの大学院等について紹介できればと思います。
目次
109点までの道のり 私のTOEFL iBT直前対策
TOEFL iBTの試験対策は本当に色々あると思う。予備校に行ってTOEFL iBTの試験を学ぶ人や、英単語を片っ端から暗記する方法など色々である。
しかし、短期間で入学に必要なスコアを上げるには予備校などに行っても間に合わない。筆者はイギリスの博士課程コースに奨学金付きで合格したが、条件付合格だった。
入学における英語の条件を真面目に考えていなかった自分が悪かったのだが、3ヶ月で99点から103点にしなければならなかったのだ。
103点に到達しなければ奨学金はおろか、入学も出来なくなる。これば大変だ!ということで必死に勉強した。
たった4点アップくらい、楽勝だろうと思われるかもしれないがTOEFL100点の壁はとても高く、あなどってはいけない。
とにかく筆者は直前2ヶ月間は試験対策だけを行い、その結果109点まで到達した。
今、思い返して見ると、109点に到達させるには、いろいろな対策もあるが、単刀直入に言うと全ての面で試験に対し「慣れ」が一番重要であると思う。
TOEFL109点の難易度
TOEFL90点、100点とそれ以上ではどの程度難易度が違うのだろうか?ETSが公開しているパーセンタイルという概念が参考になる。
パーセンタイルとは、自分が母集団のどの位置にいるのかを示している。上記表でいうとTotal Scale Score 100点=Percentail Rank 78、つまりTOEFL100点は母集団の下から78%の成績を取っていることがわかる。
わかりやすくいうと、Percentail Rank 78は上位22%に入っているということだ。
下記、90点から100点超えまでのパーセンタイルをまとめてみた。
スコア | パーセンタイル | 上位 |
112点 | 96 | 4% |
108点 | 92 | 8% |
104点 | 86 | 14% |
100点 | 78 | 22% |
96点 | 70 | 30% |
92点 | 61 | 39% |
90点代は10人中4人はいるが、100点を越えるためには10人中2人、110点は10人中1人程度となる。
倍率で考えると90点台は2.5倍、100点超えは5倍、110点は10倍程度のレベルになる。
総合的な英語力より、TOEFLに「慣れる」
はっきり言う、TOEFL iBTのスコアが高くても実生活ではほとんど役立たない。これはイギリスの大学院に行き、その後イギリスで仕事をしている筆者が断言する。
スピーキング試験のような話し方は実生活では話さない。TOEFL iBTの点が高くても友達作りの英語には全く役立たない。
従って、TOEFL iBTのスコアを高めるには自分の総合的な英語力アップはまずは諦める。筆者は英語力アップのために英語で映画を観たりしたがそのようなことはストップした。
まずはTOEFL iBTの独特な英語に自分の脳、目、耳を慣れさせることが、スコアアップの近道になる。
さて、本題の「慣れ」だが、その1つが長時間に及ぶ試験に対する慣れである。初めてテストを受けたときは4時間弱、パソコンの前に座りっぱなしでとにかく疲れたし眠たかった。
また、自分が真面目にリーディングをしていると、隣の人間がマイクテスト用に大きな声を出して話すのでとにかくうるさくて集中出来ないし余計に疲れてしまう。
何気に4時間たっても疲れずに集中力を保てるくらいに試験に慣れることは非常に重要である。
慣れると、まず試験に対して緊張しない、時間配分も分かる、長時間パソコンのスクリーンを見ても目が疲れずに続行して試験に集中できる、緊張しないためスピーキングでは途切れなく話せるようになる、など色々お得である。
このように、実はTOEFL iBTの試験は肉体的にシビアであり訓練が必要なのである。
試験の雰囲気、形式に慣れる
では、どのように自分を試験に慣らすのかというと、当たり前かもしれないが、試験を沢山受けるという方法がある。
筆者の場合とにかく時間がなかったため、試験会場が満員になって試験が受けれないということをとにかく避けたかった。
従って、近場の試験会場をとにかく予約して試験を受けた。2,3週間に1度のペースだったかもしれない。
試験料金も高いがこのときばかりは仕方がなかった。これだけ頻繁に試験を受けるととにかく慣れるし、狭いブース内で試験を受けることも苦痛でなくなる。
試験を何度も受けて、試験会場の雰囲気や試験の流れに自分を慣らすのは、何気に試験対策云々の前にとても重要である。
TOEFLの試験内容に慣れる
スピーキング対策
また、質問内容の慣れも重要である。特にTOEFLスピーキングのIndependent Taskは簡単そうで非常に難しい。
質問内容について実生活で真面目に考えたことがないので、いざ試験で質問として聞かれると大分焦ってしまう。
例えば、スピーキングの場合は自分の好きな親戚、一番好きだった旅行、一番好きな場所などについて、たった15秒で考え30秒で話す。まず15秒でぱっと好きな親戚やら場所なんて思いつかない。
やっと思いついても説得力のある内容で30秒間できちんと話せない。15秒間なんてあってないような時間である。
Independent Taskに慣れるには、とにかく質問に慣れること。Independent Taskに出題され得る質問を50項ほどリストアップして、この質問にはこの回答!と先に決めておく。
例えば、
- 一番好きな親戚は幸子おばさん、何故ならば勉強を教えてくれて学年トップになれた、そして私に自信をくれた
- 一番好きだった旅行はボーイフレンドとハワイに行ったこと、何故ならば初めて2人きりで行った旅行で彼氏が私が泊まりたいと言っていたホテルを予約して毎日海を眺めることが出来たから
などとにかく質問に対して回答を事前に作って慣らしておく。
回答内容は嘘でもいいので話やすく内容に説得力があるように自分で作っておく。すると大分慣れて自信を持って話せるようになる。
スピーキングで重要なのはもちろん内容も重要だが、いかに聞きやすい英語でかつ時々頭が良さそうと思われる単語を使って話すことだ。
採点者が自分の話す英語が聞いていて心地よければ良いわけだ。
スピーキングのスコアアップに筆者が最も有効的だと思ったのは、
- 実際に自分で話す英語をレコーディングし、その後自分で聞く、
- そして駄目だったところや詰まったところを修正し、
- 再度スピーキングしレコーディング、
- そしてそれを聞く。
レコーディングをすると少し緊張感が出るので本番と似たような雰囲気になるので良い訓練になる。
また、レコーディングを聞いた後に、品の良い単語に置き換えたり、同じ単語ばかり繰り返しているようなら類義語に置き換えてみる。
レコーディングをしながらスピーキングを練習すると、時間はかかるが採点者の視点から自分のスピーキングを聞くことが出来、スピーキングの質を高めることが出来る。
リーディング対策
次に、TOEFLリーディングについて。実は筆者がTOEFL iBTを初めて受けた当時、一番苦しめられた。長時間パソコンのスクリーンに向かって大量の英語を読むことに慣れていなかったからだ。
初めは疲れすぎて頭がキーンとしたり、目がショボショボしたりし本当に肉体的に辛かった。読んでも読んでも続く英語の文章に圧倒された思い出がある。
従って、数あるリーディングの対策に筆者が集中したのは、CD-ROMがついているTOEFLの参考書を購入し、本番と同じような内容と量の模擬試験を実際にパソコンを使って行った。
自宅で主に勉強していたが、あえてラジオを流してうるさい環境でも集中できるように慣らさせた。
このような訓練をすることでまずはパソコン上で大量の英語を見ることに対して抵抗力をつけた。
また、リーディングでは生物・文学・歴史・経済・地学などのアカデミックな分野が出題される。
例えば、もし、問題集や実際の試験で天文学の内容が出題されていたら、筆者はさらに天文学の内容が書かれた英文に慣れるため、アメリカやイギリスの大学のホームページから天文学部のホームページに行きシラバスを読んでみた。
さらに、教官のウェブサイトを読んだり論文に目を通すようにした。
天文学についてある程度英語で頭にインプットしておくと、天文学について英語書かれていても抵抗感がなくなるからである。とにかく内容にも慣れて、目も頭も慣らさせる。
このようなことを積み重ねると、様々な分野のアカデミックリーディングに慣れてきて、単語力もついてくる。
もちろんパッセージに出ている英単語はすべて理解する、解らない単語は調べてノートに書き込み暗記する。
あとは繰り返し様々な参考書を解いていけば大分リーディングにも慣れるはずである。
ライティング対策
ライティングも当初はなかなか苦手だった。
ライティング対策用の参考書も色々あるが1冊選び、その本から使えるテンプレートを選び、暗記し、そのテンプレートに従って文章を作成する練習をし、短時間で書き終えるように慣らさせる。
また、賢そうなアカデミック単語や類義語を覚え、接続の表現の幅を増やしてTOEFL用のライティング表現力を強化した。
賢そうなアカデミック単語の例としてはsee→ observe, say→opinionated, think→ considerなどである。あとは、海外の添削サービスを使用するのも一つの手段である。
筆者はとにかく時間がなかったので、TOEFL iBT用にネイティブに自分の書いた英語を添削し、改善点を指摘してほしかった。
また、自分では気がつかない文法ミスを指摘してもらいたかったので、ネイティブが実施しているTOEFL添削サービスを使った。
添削された後、自分のなぜミスをしたか考え、ミスした文と訂正された文をノートに書き、比較した。
これらを重ねていくと自分の癖が分かり、ミスをしなくなるようになりライティングのスコアが大分高くなった。
リスニング対策
最後にTOEFLリスニングについて。リスニングは筆者にとって一番苦にならず割と点数もすぐに上がったセクションである。
ポイントなのはメモの取り方である。試験はリスニングの内容にそって進行されるが自分のメモが読み取り難いとせっかくメモしても損してしまう。
リスニングの前半は大抵キャンパスにおける会話形式なので、メモ用紙の真ん中に線を引き、右と左に登場人物が話した内容を分けて書く。
例えば右は学生の話した内容、左は教授が話した内容。するとメモも取りやすいし、メモを取りながら頭が会話の内容を整理するので割りと冷静に試験問題を解くことが出来る。
また、この手のタイプの試験は、「誰が・・・・を聞きましたか?」や、「どこでこの2人は話していますか?」という質問も出るので、メモを取る際に意識することで確実に点を取れるようにする。
そして当然だが、リスニングで本当に何よりも重要なのは集中力。会話の一つ一つを確実にメモするように。
全ての単語をメモすることは大変なので、筆者は略語や記号を沢山メモに使用した。自分が一番納得するメモの取り方を試行錯誤で探し、試験で実用するのが意外と重要でる。
終わりに
以上が短期間でスコアップさせる数ある対策のうちの数点である。
短期間となるとプレッシャーもあり精神的にも参ってしまうこともあるが、TOEFL iBTは一生懸命真面目に取り組んで、繰り返し練習すると結果はついてきてくれる。
試験を受ける方の背景や状況はそれぞれ異なるだろうが希望を持って頑張って欲しい。