TOEFLのリーディングやリスニングで、目標スコアに必要なミス許容範囲を知りたいと思ったことはないだろうか?
TOEFLのリーディングやリスニングは選択式のため、自己採点を行うことが可能だ。
しかし、TOEFL特有のスコア換算(Raw ScoreからScaled Scoreへの変換)の仕組みを理解していないと、目標スコアに向けた具体的なミスの許容範囲が分からず、学習の効率が下がることがある。
この記事では、リーディングとリスニングのスコア換算表を使い、どれだけのミスが許容されるのかを具体的に解説する。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
目次
TOEFLスコアの仕組みを知る
TOEFLは2023年7月26日に試験形式が改訂され、試験時間が約2時間となった。
この変更により、リーディングやリスニングの問題数が減少し、各問題の重要性が増している。
スコアを効率的に伸ばすためには、この新形式に基づいたスコア計算の仕組みを理解することが重要である。
スコア計算の基礎知識
TOEFLのリーディングおよびリスニングのスコアは、以下のプロセスで算出される。
Raw Score(生得点)
Raw Scoreは、各セクションで正解した問題数をもとに計算される。2023年の新形式では次のように構成されている:
- リーディング:1パッセージ10問×2パッセージ(合計20問、Raw Scoreは22点満点)
- 1問1点。1パッセージの最後の1問はRaw Score2点
- リスニング:講義形式18問+対話形式10問(合計28問、Raw Scoreは28点満点)
Scaled Score(換算スコア)
Raw Scoreを基に、ETS独自のアルゴリズムで0〜30点のScaled Scoreに換算する。
このアルゴリズムは、受験時の問題セットの難易度を考慮して調整されるため、同じRaw Scoreでも問題セットの難易度に応じてScaled Scoreが異なる場合がある。
例
- リーディングで18問正解(Raw Score 18)の場合、Scaled Scoreは24–29点程度となる。
- リスニングで25問正解(Raw Score 25)の場合、Scaled Scoreは25–30点程度となる可能性がある。
スコア換算が重要な理由
スコア換算の仕組みを理解することは、目標スコアを効率的に達成するために不可欠だ。
目標スコアに向けた具体的なミス許容範囲の把握
新形式では、問題数が少ないため、1問のミスがスコアに与える影響が大きい。
スコア換算表を活用することで、目標スコアに対して何問までミスを許容できるかが明確になる。
例えば:
- リーディングで28点を目指す場合、2~5問のミスが許容される。
- リスニングで26点を目指す場合、3~6問のミスが目安となる。
学習の優先順位を決める指針となる
スコア換算を通じて、どのセクションで得点を伸ばすべきか、またどの分野に注力すべきかを判断できる。
例えば:
- リーディングで1パッセージあたり1問以内のミスを目標とする場合、速読力や設問形式への対応力を優先的に強化。
- リスニングで講義形式の理解が苦手であれば、講義特有の話の構成を把握する練習やメモ取りスキルを重点的に磨く。
TOEFLリーディングのスコア換算表と学習のポイント
TOEFLリーディングセクションでは、正答数(Raw Score)を基に0〜30点のスコア(Scaled Score)が算出される。
換算表の具体例
以下は、リーディングセクションのRaw Score(正答数)とScaled Score(換算スコア)の対応表である。
正答数が減るとスコアが急激に下がるため、ミス数を把握しておくことが学習計画の鍵となる。
Raw Point Total(正答数) | Scaled Score(換算スコア) | ミス数 |
---|---|---|
22 | 30 | 0 |
21 | 29–30 | 1 |
20 | 28–30 | 2 |
19 | 26–29 | 3 |
18 | 24–29 | 4 |
17 | 22–28 | 5 |
16 | 21–26 | 6 |
15 | 19–25 | 7 |
14 | 18–23 | 8 |
13 | 16–22 | 9 |
12 | 14–20 | 10 |
11 | 12–19 | 11 |
10 | 11–17 | 12 |
9 | 9–16 | 13 |
学習のポイント
目標スコア別のミス許容範囲を意識する
- 28点を目指す場合:2問以下のミスが目安。練習時には1パッセージあたり1問以下のミスを目標とする。
- 24〜26点を目指す場合:3〜4問のミスが許容される。この場合、最も難易度の高い問題にこだわりすぎず、全体の正解率を上げる戦略が有効。
難易度が高いパッセージを特定し、攻略法を考える
リーディングには、パッセージごとに難易度のばらつきがあるため、特に以下を意識する:
内容が抽象的なパッセージ(哲学や文学が題材)では、要約力を重視して読む。
図表やデータが多いパッセージでは、視覚的情報を素早く読み取る練習をする。
TOEFLリスニングのスコア換算表と学習のポイント
TOEFLリスニングセクションは、正答数(Raw Score)を基に0〜30点のスコア(Scaled Score)が算出される。
リーディングに比べて1問のミスがスコアに与える影響が大きい点が特徴だ。
換算表の具体例
以下はリスニングセクションの公式スコア換算表である。
正答数(Raw Score)に基づき、ETS独自のアルゴリズムでスコア(Scaled Score)が調整される。
Raw Point Total(正答数) | Scaled Score(換算スコア) | ミス数 |
---|---|---|
28 | 30 | 0 |
27 | 29–30 | 1 |
26 | 27–30 | 2 |
25 | 25–30 | 3 |
24 | 24–29 | 4 |
23 | 23–27 | 5 |
22 | 22–26 | 6 |
21 | 21–25 | 7 |
20 | 19–24 | 8 |
19 | 18–23 | 9 |
18 | 17–21 | 10 |
17 | 16–20 | 11 |
16 | 14–19 | 12 |
15 | 13–18 | 13 |
14 | 12–17 | 14 |
13 | 10–15 | 15 |
学習のポイント
目標スコア別のミス許容範囲を意識する
- 28〜30点を目指す場合:ミスは2問以下に抑える必要がある。このスコア帯では、講義形式と対話形式の両方に高い適応力が求められる。
- 24〜26点を目指す場合:最大5問程度のミスが許容される。講義形式での理解を重点的に強化することが効果的。
高得点を目指すためのメモ取りスキルの重要性
リスニングでは音声が1度しか流れないため、正確なメモを取ることがスコアアップの鍵となる。
重要なキーワード(主題、例、結論など)に集中し、細かい単語ではなく構造を記録しよう
特に講義形式では、話の流れ(導入→主題→具体例→結論)を意識してメモを取る。
日本唯一の、TOEFLリスニングメモ取りのコースをチェックしてみよう。
リーディング・リスニングの目標スコア
セクション別のスコア目標
以下は、目標スコアに応じた各セクションの目標点数の一例である。
リーディングとリスニングで高得点を目指すことで、スピーキングやライティングの弱点を補うことが可能となる。
目標(TOTAL) | Reading | Listening | Speaking | Writing |
---|---|---|---|---|
60 | 17〜 | 13〜 | 13〜 | 17〜 |
80 | 22〜24 | 20〜22 | 15〜17 | 21〜 |
100 | 28〜 | 28〜 | 20〜 | 24〜 |
105 | 29〜 | 28〜 | 22〜 | 26〜 |
リーディングとリスニングの得点目標を活用する学習法
繰り返しになるが、リーディングとリスニングで高得点を狙うには、許容ミス数を明確にし、弱点に基づいた対策を行うことが重要だ。
例えば、100点を目指す場合、リーディングとリスニングではそれぞれ2〜3問以下のミスに抑える必要がある。
模試を活用してミスの傾向を把握し、進捗を確認しながら学習計画を調整しよう。
リーディングでは、速読力を鍛え、重要な情報を素早く見つける練習が得点向上の鍵となる。
一方、リスニングでは、多様なアクセントや音声速度に慣れ、メモ取りや要点を把握するスキルを向上させることが必要だ。
各セクションに適した戦略を立てることで、効率的に目標スコアへ近づくことができる。
セクション別の効率的なTOEFL勉強方法
リーディング勉強法
リスニング勉強法
- TOEFLリスニングでほぼ満点(29点) 獲得!【TOEFL107点・純ジャパの勉強法】
- TOEFLリスニングで満点を取った教材と勉強法 [現役MBA生が解説]
- TOEFL110点、リスニング満点の私がおすすめする勉強法
まとめ
TOEFLのスコア換算表を活用すれば、自分の現状と目標スコアの差を具体的に把握できる。
この換算表を参考に、模試や練習問題の結果を分析し、効率的な勉強法を試行錯誤していこう。
リーディングとリスニングでスコアを安定させることが、目標達成の近道となるはずだ!
初めまして!確認したいことがあるため、コメントしました。リーディングの最後の問題は一つミスだと-2ではなく-1なのですか?ある人は全部合ってなければ-2だと言っていたのですが…。
takaさん
質問ありがとう!リーディングの最後の問題は2点問題で、3つの選択肢全部合っている場合2点もらえて、2つ合ってる場合は1点、それ以外は0点となる。
この記事の冒頭にも書いているけど、スコアは問題の難易度によって多少異なることはあるけど、大きく前後することはない。ここで記載しているスコアを目安に問題演習をして問題ないと思うよ!
わざわざ返信ありがとうございます!精進します!
こんにちは!8月からのTOEFL変更に伴って、換算も変わったのでしょうか?
Napさん
質問ありがとう!
問題数が減ったので換算も変わったけど、現時点でスコア計算に関して確実な情報がないので、情報を入手次第シェアするね。
中国TPO(KMFのサイト)はすでに新しい形式の模擬テストができるようになっているので、そこで練習してスコアを確認するのは一つの手だね。(採点方法が本試験と完全に一致ではない可能性があるけど・・)
https://toefl.kmf.com/mock/27/0
初めまして、いつも記事を拝見させていただいている者です。突然で申し訳ありませんが、お聞きしたいことがあります。
昨年toeflで3技能の試験が変更されましたがlisteningに関しまして、かなり換算がシビアになったのでしょうか。私はひとつ前の中国tpoと最新のものを利用しているのですが、そのような印象を受けています。
例えば旧換算では3ミス→27点程度 8ミス→21点程度だったようですが、変更後の問題が適用されているkmfのlisteningでは 3ミス→24点 8ミス→16点といった
換算を受けたことがあります(これらはほんの一例ですが、以前は1ミスにつき1点減点という感覚だったのが、変更後の問題は1ミスつき2点近く減点という感覚です)。確かにレクチャーが1つ減ったというのは大きいのかも知れませんが、問題数が6問減っただけで、換算が倍近く(少し言い過ぎかもしれませんが)厳しくなっていることに驚きが隠せません。
また、litening程ではないにしても、readingにも同じような傾向を感じられます(こちらは問題数がかなり減っていますから、分からなくもないですが、語彙問題が激減していることを考慮すると少し不思議です)。
先生はどのようにお考えでしょうか??
現時点で様々な塾からの情報によると、去年8月以前も以降も本試験を受験した生徒たちから、スコアの激しい変化は見られていないらしい。
基本的には問題数が減っても、英語力が変わらなければスコアは同じになるように統計的に処理しているはずなので、大幅にスコアが下がるということは考えられないね。
新しい採点換算についてまだ情報収集と分析の段階だと思うので、KMFのTPOでのリーディング・リスニングスコアはあまり正確に反映できない可能性はある。
けど、スコアを上げるためにやらなければならないことは変わらない!純粋な英語力をつけるのが最短だね!
わざわざご丁寧にありがとうございます。おっしゃる通り、純粋な英語力が有れば影響されないというの間違い無いですね!新スコアも旧スコアと同じ扱いを受けるのですから、そうでなければtoeflの信用に関わりますしね。
1問の重みが増して、少し緊張感が増していますが、それも試験時間が減少したという負担軽減を考えれば大した事ではないかも知れませんね。
今後も純粋な英語力強化に精進します!
問題改変後のリーディングの最後の問題は一つミスだと-2になりますか?それとも変わりなく-1なのですか?
最後のまとめ問題は今まで通り、1つミスだと−1、2つミスだと−2(つまり0点)のはず。
この採点表はあくまで参考程度なので、それよりも根本的な読解力アップに力を入れて欲しい!