




TOEFLは、留学や移住、奨学金申請など、英語力を証明するために世界中で使われている定番の試験です。
なかでも最もよく利用されているのが「TOEFL iBT」で、満点(最高点)は120点。
また、日本の大学では団体受験用の「TOEFL ITP(満点:677点)」も多く採用されています。
でも、「満点ってどれくらい難しいの?」「何点から“すごい”って言えるの?」「実際、自分は何点を目指せばいいの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、TOEFLの形式ごとの違いや、それぞれの満点・最高点の意味や難易度をわかりやすく紹介。
記事の後段ではTOEFL iBTにスポットを当てて、目標スコアの立て方や学習法について解説します。
目次
TOEFLの満点は何点?形式ごとのスコアと特徴を比較
TOEFLと一口に言っても、実は複数の試験形式があり、それぞれ満点スコアやその難易度は異なります。
まずは全体像を示したうえで、各形式の詳細を解説していきます。
iBT、ITP、Essentialsの満点と難易度比較【早見表まとめ】
TOEFLには複数の試験形式があり、それぞれ試験時間や構成、満点スコアに違いがあります。
まずは、代表的な3形式(iBT、ITP、Essentials)の特徴を一覧で比較してみましょう。
試験形式 | 満点 | 試験時間 | 主な受験目的 | セクション |
TOEFL iBT | 120点 | 約3時間 | ・海外大学、大学院出願 ・ビザ申請 | R / L / S / W(4技能) |
TOEFL ITP レベル1 | 677点 | 約115分 | ・学内英語力診断 ・奨学金選考 | R / L / 文法(3技能) |
TOEFL ITP レベル2 | 500点 | 約70分 | ・初級者向けの学内評価 | R / L / 文法(3技能) |
TOEFL Essentials | 12点 | 約90分 | ・英語力の総合評価 | R / L / S / W(4技能) |
これらの形式ごとに満点スコアは異なりますが、「そのスコアがどれくらいのレベルなのか?」を判断するための基準として活用されているのがCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)です。
以下の表は、TOEFL各形式のスコアがCEFRのどのレベルに相当するかを示した換算表です。
CEFR | iBT | ITP(レベル1) | Essentials |
C2(熟練者) | 114-120 | – | 12.0 |
C1(上級者) | 95-113 | 620-677 | 10.0-11.5 |
B2(中級者) | 72-94 | 543-619 | 8.0-9.5 |
B1(中級者) | 42-71 | 433-542 | 5.0-7.5 |
A2(初級者) | – | 343-432 | 3.0-4.5 |
A1(初級者) | – | – | 2.0-2.5 |
参照:TOEFL公式サイト
形式によって「満点スコアの重み」や「到達難易度」が大きく異なることが分かります。
ここからは、それぞれの試験形式についてスコア配分・試験内容・CEFRでの難易度をより詳しく解説していきます。
TOEFL iBTの満点:120点
TOEFL iBT(Internet-Based Test)は、最も一般的で広く受験されている形式のTOEFL試験です。
試験はインターネットを通じて実施され、主に海外大学・大学院への出願、ビザ申請、英語力証明などに使用されます。
- 各セクションの満点:30点
- 総合スコアの満点:120点(※総合スコアは4セクションの合計値で算出)
- 満点の難易度:CEFR基準でC2レベル(114点以上)
セクション | 時間 | 質問/タスク | 配点 |
---|---|---|---|
リーディング | 35分 | 20の質問 | 0~30点 |
リスニング | 36分 | 28の質問 | 0~30点 |
スピーキング | 16分 | 4 課題 | 0~30点 |
ライティング | 29分 | 2 課題 | 0~30点 |
合計 | 約3時間 | – | 0~120点 |


TOEFL ITPの満点:677点・500点
TOEFL ITP(Institutional Testing Program)は、大学や企業などの団体向けに提供されるペーパーベースの試験です。
日本国内では主に学内選考や奨学金応募時の英語力診断として利用されており、個人で海外大学へ出願する際のスコア提出には使えません。
試験形式にはレベル1とレベル2の2種類がありますが、一般的には上級者向けのレベル1が広く使用されています。
TOEFL ITP レベル1(中級~上級レベル)
- 各セクションの満点:67~68点
- 総合スコアの満点:677点(※総合スコアは各セクションのスコアの平均×10)
- 満点の難易度:CEFR基準でC1レベル(620点以上)
セクション | 時間 | 質問 | 配点 |
---|---|---|---|
リスニング | 35分 | 50問 | 31~68点 |
文法・構文 | 25分 | 40問 | 31~68点 |
リーディング | 55分 | 50問 | 31~67点 |
合計 | 約115分 | – | 310~677点 |


TOEFL ITP レベル2(初級~中級レベル)
- 各セクションの満点:50点
- 総合スコアの満点:500点(※総合スコアは各セクションのスコアの平均×10)
- 満点の難易度:CEFR基準でB1レベル(460点以上)
セクション | 時間 | 質問 | 配点 |
---|---|---|---|
リスニング | 22分 | 30問 | 20~50点 |
文法・構文 | 17分 | 25問 | 20~50点 |
リーディング | 31分 | 40問 | 20~50点 |
合計 | 約70分 | – | 200~500点 |


TOEFL Essentialsの満点:12点
TOEFL Essentialsは、ETSが開発した比較的新しいオンライン試験で、「日常英語」と「アカデミック英語」の両方を評価するのが特徴です。短時間・低価格で、スマホやパソコンから受験できる手軽さがあります。
教育機関での英語力の判定など、英語力を総合的に判断する必要がある場合に適しています。
- 各セクションの満点:12点
- 総合スコアの満点:12点(※総合スコアは4セクションの平均点)
- 満点の難易度:CEFR基準でC2レベル(12点)
セクション | 時間 | 質問/タスク | 配点 |
---|---|---|---|
リスニング | 21〜34分 | 30〜45問 | 1~12点 |
リーディング | 22〜33分 | 30〜45問 | 1~12点 |
ライティング | 24〜30分 | 14~18の質問+2課題 | 1~12点 |
スピーキング | 13分 | 3課題 | 1~12点 |
合計 | 約1時間半 | – | 1~12点 |


TOEFL iBTで満点を取る難易度は?何点からすごい?
ここからは、最も一般的で広く受験されているTOEFL iBTにスポットをあて、満点の難易度について詳しく解説していきます。
スコア分布や平均点、他の英語試験との比較をもとに、「TOEFLで満点を取るのは実際どれほど難しいのか」「何点から“すごい”と評価されるのか」という疑問に答えていきましょう。
全受験者のスコアの分布から見るTOEFL iBT満点の難易度
総合スコアの分布
TOEFL公式のデータによれば、満点(120点)を取得する受験者は全体の1%未満。これは、世界中の受験者の中でもごく一部しか到達できない水準です。
- 120点(満点):全受験者のうち上位1%未満
- 104点:上位約17%の受験者に位置
- 92点:中央値(50%)付近
このように、100点を超えるとすでに“上位層”といえる水準であり、120点の満点がいかに難関かがわかります。
セクション別スコアの分布
TOEFL iBTでは、各セクション(Reading/Listening/Speaking/Writing)が30点満点で構成されています。
セクションごとの満点も、決して簡単には到達できません。
- Reading/Listening
- 満点(30点):それぞれ上位約7〜9%
- 26点前後:それぞれ上位約40%
- Speaking
- 満点(30点):上位約2%
- 26点:上位約12%
- Writing
- 満点(30点):上位1%未満


日本人の平均スコアから見るTOEFL iBT満点の難易度
Test and Score Data Summary 2023 によると、日本人受験者の平均スコアは73点。
世界全体の中央値である92点には届いておらず、90点台を取るだけでも「日本人の中ではかなりすごい」と評価される水準だと考えられます。
国名 | 平均点 |
ドイツ | 100 |
イタリア | 93 |
フランス | 88 |
ブラジル | 88 |
中国 | 81 |
日本 | 73 |
TOEFL iBTと他試験との難易度比較(IELTS・英検・TOEIC)
TOEFL iBTで114点以上を取ると、CEFRのC2(熟練レベル)に到達したと評価されます。これは、IELTSで8.5〜9.0、英検1級を超える水準であり、英語の運用力がネイティブに極めて近いとされるレベルです。
CEFR | TOEFL iBT | IELTS | 英検 | TOEIC |
118 | 9.0 | ― | ― | |
115 | 8.5 | ― | ― | |
C2 | 114 | ― | ― | ― |
110 | 8.0 | ― | ― | |
102 | 7.5 | ― | ― | |
C1 | 95 | ― | 1級 | 990 |
94 | 7.0 | ― | ― |
引用:https://www.jp.ets.org/toefl/test-takers/ibt/scores/understand-scores.html
表からもわかるように、英検1級やTOEIC満点(990点)であっても、TOEFL換算ではおよそ95点程度に相当します。
つまり、このスコア帯に達すれば「英語ができる」と十分評価されるレベルではあるものの、TOEFL満点(120点)はさらにその上をいく極めて難易度の高い領域であることがわかります。
「TOEIC満点だけどTOEFLは100点に届かない」という人がいるのも珍しくありません。TOEFLは“英語の運用力”を問う試験である分、アウトプット型の力(特にSpeaking・Writing)の要求水準が高いと言えるでしょう。
TOEFL iBTで満点を目指す必要がない理由
TOEFLで120点満点を目指すのは立派な目標に思えるかもしれませんが、大学・大学院の出願においては、満点を目指す必要性は限られています。
海外大学・大学院出願で求められるスコアは名門大学でも100~110点
多くの大学や大学院では、出願時にTOEFLスコアの“最低基準”を設けています。
目安となるスコアは以下のとおりです。
- 一般的なアメリカの大学:80〜90点(最低要件)。
- 名門大学やMBAプログラム:100〜110点。
- 専門職大学院(法律、医療など):100点前後(セクションごとの最低スコア要件あり)。
例えば、アメリカのハーバード大学のMBAや、イギリスのオックスフォード大学ではTOEFLスコア110点以上を求めています。
110点以上が求められる学校は事実上存在していません。
出願プロセスにおけるTOEFL満点の価値は限られる
TOEFLスコアが120点か、110点かは実際の出願プロセスにおいて大きな違いを生みません。
必要なのは、大学が求める「最低スコア」を上回ることです。
さらに、海外大学への出願では、研究テーマや課外活動、リーダーシップ経験など、TOEFL以外の要素が選考で重視されます。
満点に近づくために努力するよりも、全体的な出願書類の完成度を高める方が合格率を向上させます。
TOEFL iBTで目指すべきスコアを設定する方法
効率よくスコアを伸ばすためには、目的に応じて目標スコアを設定し、それを各セクションに分解して戦略的に対策することが重要です。
このパートでは、TOEFL iBTで効果的に点数を伸ばすためのスコア設計の考え方と実践方法を詳しく解説します。
出願先や目的ごとの必要スコアを確認する
TOEFLで目指すべきスコアは、進学先の要件や個々の目的によって異なります。以下は、一般的なスコア目標の例です。
一般的な大学出願(80点〜100点)
中堅レベルのアメリカやヨーロッパの大学では、80点〜90点を最低要件とする場合が多いです。基準を超えるスコア(+5〜10点)があれば、余裕を持って出願できます。
競争率の高いプログラム(100点〜110点)
名門大学やMBAプログラム、医療や法律といった専門職大学院では、90点〜100点以上が求められることが一般的です。
105点以上を目指せば、特に競争の激しいプログラムでも英語力の面で高い評価を得られるでしょう。
また、財団からの留学奨学金や大学からの奨学金を狙う場合、高いスコアがあると有利になる場合があります。
模試・本試験で現時点のスコアを把握する
目標スコアを設定する前に、自分の現在の英語力を把握することは非常に重要です。
まずは、公式模試(例:ETSのTPOや模試)を活用し、総合スコアとセクションごとのスコアを確認しましょう。
また、「スピーキングやライティングで弱点があるか」「時間配分に問題がないか」「試験全体の集中力に課題がないか」など自分の弱点を把握することも重要。
非効率な勉強を避けるためにも、正確な現状把握→ギャップ分析→戦略立案の流れを意識しましょう。
目標スコアをセクション別に分解する
目標スコアと現在のスコアが明確になったら、それを各セクションの目標スコアに分解することが重要です。
たとえば、総合スコア100点を目指す場合、各セクションで25点を目標に設定してしまいがちですが、ほとんどの日本人にとってはおすすめではありません。
というのも、スピーキング、ライティングはリーディングとリスニングよりも高得点の難易度は高く、日本人が苦手としやすいセクションだからです。
以下は、海外留学や海外経験が全くない日本人におすすめのセクション別スコアの目安です。
リーディングやリスニングの配分を高く設定することが、高得点獲得の近道です。
目標(TOTAL) | リーディング | リスニング | スピーキング | ライティング |
60 | 17~ | 13~ | 13~ | 17~ |
80 | 22-24 | 20-22 | 15-17 | 21~ |
100 | 28~ | 28~ | 20~ | 24~ |
105 | 29~ | 28~ | 22~ | 26~ |
目標スコア別のTOEFL iBT勉強法|80点・100点・110点突破戦略
最後に、目標スコア別に、おすすめの勉強法を紹介します。
80〜90点を目指す場合:基礎力の強化
- リーディングとリスニング:基本的な単語力と文法力を固め、アカデミックな内容に慣れることが重要です。短い英文を丁寧に読み解き、リスニングでは聞き取れたフレーズを書き出す練習を行いましょう。
- スピーキングとライティング:シンプルで正確な表現を心がけ、テンプレートを活用して回答の型を身に付けると効果的です。


100点を目指す場合:応用力の向上
- リーディングとリスニング:速読力や要約力を鍛え、複雑な文脈や学術用語にも対応できるようにします。TED Talksや学術論文を使った練習が有効です。
- スピーキングとライティング:具体例を使った説得力のある回答や、論理的な構成を重視します。自分の意見を論理的に述べる練習を繰り返しましょう。


110点以上を目指す場合:完璧さを追求
- リーディングとリスニング:細かいニュアンスや言い回しに注意し、正確さを高めることに集中します。複数の素材を活用し、多様なアクセントや分野に慣れましょう。
- スピーキングとライティング:流暢さと説得力を両立させ、自然な表現を心がけます。エッセイやスピーチの録音・添削を繰り返して仕上げていきます。


まとめ
まとめます。
- TOEFL満点を目指す必要はなく、現実的なスコア目標を立てることが成功の鍵
- 本質的な英語力を重視した学習が、試験対策の効率を高める
- 自分に合った学習方法を見つけ、継続することが重要
本記事が、あなたのTOEFL学習を効果的に進めるための一助となれば幸いです。




高校生で先日TOEFLを受けてr17,l17でした。模試ではRもLも回によりますが23点くらい取れることもあったので、安定感がないことが課題だと思います。1ヶ月くらいで25-7点くらいまで伸ばしたいのですが、多読多聴と精読精聴どちらを優先すべきだと考えれますか?
コメントありがとう!目標に向けては、多読と精聴を重視するのがおすすめだよ。
リーディングは、単語暗記と洋書多読をしてほしい。
精読は問題演習→間違えた部分を分析する形でOK。
リスニングは、TOEFLの音源を使って精聴しつつ、通学などの隙間時間にやや簡単なポッドキャストで多聴(精聴した音源の復習もOK)するのがおすすめかな!