TOEFLは、英語力を測る試験の中でも特に留学や移住を目指す人々にとって重要なテストです。
その満点である120点は、確かに一つの目標として魅力的に見えるかもしれません。
しかし、実際に満点を目指す必要がある人はほとんどおらず、多くの場合、現実的で効率的なスコア設定をする方が、限られた時間とリソースを有効活用する上で賢明です。
この記事では、TOEFLの満点がどのような位置付けにあるのか、そしてどのようなスコアを目指すべきかを解説します。
TOEFLのスコアと難易度
TOEFLの満点は何点?
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は、英語圏の大学や大学院への出願に必要な試験で、満点は120点です。
このスコアは、以下の4つのセクションごとに30点満点で構成されています。
セクション | 時間 | 質問/タスク | 配点 |
---|---|---|---|
Reading | 35分 | 20の質問 | 30点 |
Listening | 36分 | 28の質問 | 30点 |
Speaking | 16分 | 4 課題 | 30点 |
Writing | 29分 | 2 課題 | 30点 |
スコアが高いほど、学術的・専門的な場面での英語力を備えていることを示し、CEFRレベルでC2(熟練レベル)に相当するスコア(114点以上)は、英語ネイティブに近い能力とされています。
スコアの分布から見るTOEFL満点の難易度
TOEFLスコアの分布に基づき、セクションごとの満点の難易度、総合スコアの難易度を見ていきましょう。
総合スコア
- 120点(満点)は、全受験者のうちわずか1%以下の上位ランクに該当します。
- 104点:上位約17%の受験者に位置。
- 92点:中央値(50%)付近。
セクション別スコア
- Reading・Listening
- セクションスコア30点(満点)は、それぞれ上位7~9%。
- セクションスコア26点は、それぞれ上位40%程度。
- Speaking
- 満点の30点は上位2%に該当。
- セクションスコア26点は、上位12%程度。
- Writing
- 満点スコア(30点)は、上位1%と極めて限られた受験者のみが達成。
IELTS ・英検との比較
TOEFLの満点を他の試験と比較すると以下のようになります。
TOEFL114点以上はCEFR基準でほぼネイティブと同等水準にあたり、TOEFL95点で英検の最上位である1級に相当することが分かりました。
TOEFL満点の120点は、それ以上の難易度に当たることを考えるとその難しさが想像できるのではないかと思います。
CEFR | IELTS | TOEFL iBT | 英検 | TOEIC |
9.0 | 118 | ― | ― | |
8.5 | 115 | ― | ― | |
C2 | ― | 114 | ― | ― |
8.0 | 110 | ― | ― | |
7.5 | 102 | ― | ― | |
C1 | ― | 95 | 1級 | 990 |
7.0 | 94 | ― | ― |
引用:https://www.jp.ets.org/toefl/test-takers/ibt/scores/understand-scores.html
TOEFL満点を目指す必要がない理由
大学・大学院が求めるスコア
TOEFLで満点(120点)を目指すのは立派な目標に見えますが、ほとんどの受験者にとって現実的な選択ではありません。
大学・大学院の出願プロセスを考慮した場合、以下の3つの理由から、満点を目指す必要性は限られるといえます。
- 一般的なアメリカの大学:80〜90点(最低要件)。
- 名門大学やMBAプログラム:100〜110点。
- 専門職大学院(法律、医療など):100点前後(セクションごとの最低スコア要件あり)。
例えば、アメリカのハーバード大学のMBAや、イギリスのオックスフォード大学ではTOEFLスコア110点以上を求めており、110点以上が求められる学校は事実上存在しておりません。
また、英語力以外の評価(エッセイ、学業成績、推薦状など)が重視されることが多い出願プロセスでは、TOEFLスコアが基準を満たした時点で、他の準備に集中する方が合理的です。
満点で得られる価値は限られる
TOEFLスコアが120点か、110点かは実際の出願プロセスにおいて大きな違いを生みません。
必要なのは、大学が求める「最低スコア」を上回ることです。
さらに、海外大学への出願では、研究テーマや課外活動、リーダーシップ経験など、TOEFL以外の要素が選考で重視されます。
満点に近づくために努力するよりも、全体的な出願書類の完成度を高める方が合格率を向上させます。
TOEFLで目指すべきスコアを設定する方法
出願先や目的に応じたスコアの目安
TOEFLで目指すべきスコアは、進学先の要件や個々の目的によって異なります。以下は、一般的なスコア目標の例です。
一般的な大学出願(80点〜100点)
中堅レベルのアメリカやヨーロッパの大学では、80点〜90点を最低要件とする場合が多いです。基準を超えるスコア(+5〜10点)があれば、余裕を持って出願できます。
競争率の高いプログラム(100点〜110点)
名門大学やMBAプログラム、医療や法律といった専門職大学院では、90点〜100点以上が求められることが一般的です。105点以上を目指せば、特に競争の激しいプログラムでも英語力の面で高い評価を得られるでしょう。
また、財団からの留学奨学金や大学からの奨学金を狙う場合、高いスコアがあると有利になる場合があります。
模試・本試験を受験してスタートラインを知る
目標スコアを設定する前に、自分の現在の英語力を把握することは非常に重要です。
この作業を怠ると、スタートラインと目標スコアの差が分からないまま、非効率な学習をしてしまう可能性があります。
まずは、公式模試(例:ETSのTPOや模試)を活用し、現在のスコアを確認しましょう。
模試結果を分析し、セクションごとのスコアを確認します。
特にSpeakingやWritingで弱点があるか、時間配分に問題がないか、試験全体の集中力に課題がないか等を知ることが大切です。
セクションごとのスコア目標に落とし込む
目標スコア別のTOEFL勉強法
80〜90点を目指す場合:基礎力の強化
- リーディングとリスニング:基本的な単語力と文法力を固め、アカデミックな内容に慣れることが重要です。短い英文を丁寧に読み解き、リスニングでは聞き取れたフレーズを書き出す練習を行いましょう。
- スピーキングとライティング:シンプルで正確な表現を心がけ、テンプレートを活用して回答の型を身に付けると効果的です。
100点を目指す場合:応用力の向上
- リーディングとリスニング:速読力や要約力を鍛え、複雑な文脈や学術用語にも対応できるようにします。TED Talksや学術論文を使った練習が有効です。
- スピーキングとライティング:具体例を使った説得力のある回答や、論理的な構成を重視します。自分の意見を論理的に述べる練習を繰り返しましょう。
110点以上を目指す場合:完璧さを追求
- リーディングとリスニング:細かいニュアンスや言い回しに注意し、正確さを高めることに集中します。複数の素材を活用し、多様なアクセントや分野に慣れましょう。
- スピーキングとライティング:流暢さと説得力を両立させ、自然な表現を心がけます。エッセイやスピーチの録音・添削を繰り返して仕上げていきます。
まとめ
まとめます。
- TOEFL満点を目指す必要はなく、現実的なスコア目標を立てることが成功の鍵
- 本質的な英語力を重視した学習が、試験対策の効率を高める
- 自分に合った学習方法を見つけ、継続することが重要
本記事が、あなたのTOEFL学習を効果的に進めるための一助となれば幸いです。