大学留学先として候補に挙げられる主な国といえばアメリカやイギリスですが、費用が高額ということでも有名。
そこで、留学費用を抑えながらも質の高い教育を受けることができるとして注目を集めている国が「ドイツ」です。
日本人にとって馴染みの薄いドイツ留学ですが、留学先の選択も広がっている今、ぜひ検討してみたい国の1つ「ドイツ留学」。
今回のこちらの記事では「ドイツ留学」についての詳しい情報をまとめてみました。
この記事の著者:Antie やや
タイ在住。語学力を生かし現地でボランティア活動を中心に毎日を過ごす。バンコクでインターナショナルスクールを卒業し、現在イギリスの大学で心理学とマーケティングを学ぶ息子あり。
目次
ドイツの大学の特徴
教育の質の高さなど、さまざまな観点において定評のあるドイツの大学。そんなドイツの大学へ留学をしようとEU圏からはもちろん、世界中から多くの留学生が集まります。
ドイツの大学は大きく3つのカテゴリーに分類することができます。
① 総合大学(Universität / University)
自然科学系、人文科学系、医学系など多岐にわたる専攻/学部があり、基礎研究や応用研究など「学問を学ぶ」ことに重点が置かれています。
② 専門大学(Fachhochschule / University of Applied Sciences)
ビジネススキルや技能の取得を目指す専門大学では、IT系やエンジニア系など技術系の学部が多くあります。さらに、企業へのインターンシップが組まれているため、学生は自分の知識を一般企業などで試すことができます。卒業後は、即戦力となることも多く就職率もよいとも言われています。
③ 芸術やスポーツなど特定の分野を学ぶ大学
芸術大学(Kunsthopchschule)や音楽大学(Musikhochschule)など、それぞれの芸術分野により大学が分かれています。
ドイツ国内で公的に認定されている高等教育機関は約400校ほどあり、そのほとんどが国立大学(国立大学とはいえ、ドイツでは教育行政は州単位で行われています)。
国公立校の場合、小学生から大学院まで国籍に関わらず学費が原則無料となっています(大学院や博士など一部の課程、私立は有料)。
ただし、共済費(Semester Fee)として200から500ユーロ / 学期が請求されます。また2017年秋学期以降、一部の州の大学ではEU圏以外からの留学生には1,500ユーロ / 学期が課されています。
このように、州にもよりますがドイツの大学は原則学費が無料だということが特徴の1つ。ただし各大学によりいろいろな条件が異なるため、希望する大学の情報を細かくチェックすることが大切です。
ドイツの教育制度
ドイツの大学入学制度は、日本のように行われる入学試験というものがありません。
しかし、「入試がない = 誰でも大学に入学できる」というわけではなく、小学生を卒業した時点から入試に代わる「選別」が行われています。
Germanyより引用
ドイツでは基礎学校(小学校)を修了した時点で将来の進路を選択(上図を参考)。小学校卒業後の進路は主に3パターンで、
・ 基幹学校:就職コース
・ 実科学校:専門職コース
・ ギムナジウム(Gymnasium):大学進学コース
となっています。
実科学校でもよい成績を修め条件を満たしてギムナジウムに編入、そして大学進学という進路変更も可能ではありますが、大学進学を視野に入れているのであれば、小学校卒業の時点で「ギムナジウムに進む」という1つ目の「選別」をクリアする必要があります。
その決定は、学校の成績だけではなく、本人や親の希望も重視。しかし、定期的に行われる評定で一定のレベルに達していないと判定されると「落第」しなければなりません。
したがって、たとえギムナジウムに入学しても学業についていけない場合には必然的に留年。最悪の場合には別の学校へ転学ということも。
ギムナジウムを卒業するまで13年間を要しますが、この間の進級試験をくぐり抜いてきた学生のみが、ギムナジウムの卒業試験「アビトゥーア(Abitur)」を受験。
アビトゥーアとは日本でいう「高卒認定」のようなもので、アビトゥーア合格→ギムナジウム卒業→大学入学資格を獲得、ということとなります。
このアビトゥーアが大学入学のカギとなるため、アビトゥーア受験にたどり着き合格するということが2つ目の「選別」といえるでしょう。
日本のようにきちんと真面目に学校へ通っていたら、中学校までの義務教育はもちろんのこと、高校まで留年せずに進学できるとは限らないドイツの教育制度。
大学入試はありませんが、大学入学資格を得るためのアビトゥーア試験という関門を突破しているということは、平均してすでに高い学力水準に達しているということ。
つまりはここに「ドイツの大学は教育水準が高い」といわれる理由があったわけです。
ドイツの大学に正規留学するための基本条件とは
ドイツの大学の学部課程に正規留学するためには、最終学歴に応じて入学に必要な条件や入学できる学科/専攻が異なるため、「ドイツの大学へ行く!」と決めたらまずは必要な条件を調べる必要があります。
ドイツの大学の学士課程への入学には主に2つの大きな基本条件があります。
①「HZB」と呼ばれる学歴上の入学資格を得る
HZBは、「Hochschulzugangsberechtigung」の略。
ドイツで教育を受けた学生は、アビトゥーアの試験に合格することで大学入学資格を得ることができますが、その他の国の教育制度で教育を受けた学生がドイツの大学の学部課程で学ぶためには、まず入学資格があるかどうかを確認しなくてはなりません。
入学資格を確認するためにまずはuni-assist Check : university admissionにアクセス。ここでは国別にどのような入学資格が必要なのかを確認することができます。
日本の教育制度で教育を受けた学生が、ドイツの大学に正規留学するための出願をする場合では、日本で高校を卒業したという卒業証明書だけでは入学資格を得ることができません。
学歴上の入学資格を得るためには、12年間の学校教育を修了して日本の高校を卒業し、さらに以下の中のいずれかの方法で証明書を取得し提出することが条件となっています。
- 大学入学共通テストを受験
高校3年間を通して国語、数学、理科(1科目)、外国語(1科目)を履修し日本の高校を卒業。
そして大学入学共通テストを受験し、受験科目で62%以上の成績を修めた科目の学科および関連学科へ出願ができます。
大学入学共通テストを受験する科目は、出願する大学の専攻により異なるため注意が必要。事前に出願予定の大学に問い合わせすることをおすすめします。
- 日本の短期大学を卒業
日本の短期大学で履修した専攻学科への出願ができます。
専攻の変更を希望する場合には、Studienkolleg(大学入学準備課程コース)でその分野のコースを受講。
コースの終了時にはFeststellungsprüfung(大学入学資格試験)を受験し合格する必要があります。
- 日本の4年制大学(全日)で1年以上を修了
1年以上修了した専攻および関連学科へ出願ができます。ただし、1年間で35単位以上を習得していることが求められています。
- 日本の4年制大学(全日)で2年以上を修了
2年以上修了した専攻および関連学科へ出願ができます。ただし、2年間で70単位以上を習得していることが求められています。
- 日本の4年制大学(全日)で3年以上を修了
3年以上修了した専攻および関連学科へ出願ができます。ただし、3年間で105単位以上を習得していることが求められています。
- 日本の大学を卒業
4年制以上の大学(全日)を卒業し学士号を取得した場合には、ドイツの大学への正規留学の入学資格を得ることができます。これによりあらゆる分野の専攻への出願が可能となります。
- IB Diploma(IBディプロマ)を取得
IBディプロマを取得した場合には、一定の条件のもとドイツの大学への出願が認められています。詳細は、Recognition of the IB-Diploma in Germanyで確認することができます。
② ドイツ語能力を証明する
学歴上の入学資格「HZB」を得たら、次はドイツ語能力を証明する必要があります。
ドイツのほとんどの大学の学位プログラムでは、ドイツ語の知識は大学へ入学するための前提条件(ただし英語で開講される学位プログラムについてはドイツ語は必須ではない)。
大学出願にあたりドイツ語能力証明として認められているテストは、大学や出願する専攻により異なりますが、以下のいずれかのテストで必要なスコアを取得することが求められています。
TestDaFは、 TestDaF Institutが主催するドイツ語検定。大学入学や就職活動においてドイツ語の能力を証明するための証明書となります。
TestDaFの証明書はドイツの全大学で認められており、一度取得したら生涯有効です。
言語能力のレベル分けは、 TestDaFレベル(TDN3、および4、5)の3段階評価。
4つの試験項目(読解、聴解、文章表現、口述表現)のうち全項目でTestDaFレベル(TDN4)と評価を受けることで、大学出願にあたり語学力証明として認められます。
TestDaFは世界各国で受験することができ、日本ではGoethe-Institut Japan in Tokyo(ゲーテインスティテュート東京)または、獨協大学で受験することができます。
日程、受験料、申込み手続きなどの詳細については、各テストセンターウェブサイト、またはTestDaF Institutウェブサイトにて確認することができます。
DSHは、ドイツの大学入学を希望する外国人のためのドイツ語試験。
ドイツ国内の大学でのみで受験することができます。DSHは、各大学が作成しているため試験構成や難易度(一定の基準あり)が異なります。
言語能力のレベル分けは、DSH1、DSH2、DSH3の3段階評価。
一次試験の筆記試験(聞き取り、作文、読解、文法問題)、二次試験の口頭試験(自己紹介、大学志望動機など、専門分野に関連する文章の要約と質疑応答、事前に渡される記事に対しての質疑応答など)で、DSH2もしくはDSH3に合格することでドイツの大学の学部に入学基準として認定されます。
試験の結果はドイツ国内の大学の間で適応することができますが、大学によっては他の大学のDSH合格証を受け付けない場合も。大学へ直接問い合わせ、事前に確認しておくことをおすすめします。
その他にも、ドイツ文化センターGoethe-Insititutが主催するドイツ語検定Goethe-Zertifikatや、ドイツ市民大学連盟の下部組織であるtelc GmbHにより運営されているtelc Deutschなどもあります。
どの試験のスコアの提出が必要かなど各大学で求められている言語要件についての詳細は、留学希望の大学の応募要項を確認してください。
ドイツ留学にかかる費用はどのくらい?
非英語圏であるにも関わらず、留学先として年々注目が高まりつつあるドイツ。
多くの留学生がドイツを留学先に選ぶ理由はいくつかありますが、まずは冒頭でも述べたようにドイツ留学は、アメリカ、イギリス、オーストラリアといった主要な英語圏への留学と比較し、経済的な負担を抑えることが可能という点にあります。
ドイツの大学に留学する場合に必要となる費用の内訳は大きく分けて以下の通りになります。
学費
ドイツ留学のためにかかる主な学費は授業料と共済費(Semesterbeitrag)です。
授業料に関しては、私立大学や一部の州※を除き大半の国公立大学で原則として無料。
これは1970年代のドイツ社会民主党(SPD)による政策の1つで、「誰もが平等に教育を受ける権利がある」と掲げたことから高等教育の無償化が始まりました。
しかしその後、財政危機でこの制度は見直されましたが、2013年以降は再びほとんどの州で授業料は無料に。留学生に対しても同様に適応されるようになりました。
※ 2017年より Baden-Württemberg (バーデン・ビュルテンベルク州)では、EU以外からの留学生の授業料を改定。学期ごとに1500ユーロ(およそ18万円:2020年7月為替レート)を支払う必要があります。
共済費は、留学生のみならず全ての学生が大学に学生登録することにより支払いが生じる費用のこと。
この共済費には、学生登録費や学生自治会費といった事務管理費に加え「Semester ticket」という州内で公共交通機関が乗り放題のチケットも含まれています。
共済費は大学により異なりますが、目安としては150から350ユーロ / 1学期(18,000から42,000円 )となっています。
生活費(家賃 / 食費など)
生活費は州や都市、また個人のライフスタイルにより大きく異なってきますが、家賃等も含めた平均的な1ヶ月の生活費の内訳例をみてみましょう。
家賃(学生寮の場合) | 250~450ユーロ | 30,000~55,000円 |
食費(自炊をメインとした場合) | 200~400ユーロ | 24,000~48,000円 |
通信費(携帯代など) | 10~50ユーロ | 1,200~6,000円 |
その他(娯楽費、雑費など) | 50~200ユーロ | 6,000~24,000円 |
合計 | 510~1,100ユーロ | 62,000~140,000円 |
※ 1ユーロ=121円で換算(2020年7月)
学生寮に滞在する場合、基本的に光熱費、水道代などは家賃に含まれていることがほとんどです。
健康保険費
健康保険の証明は学生ビザを取得する際にも必要な書類の1つ。ドイツの法律により、留学生は健康保険への加入が義務付けられています。
ドイツには、1. 公的強制健康保険 、2. 民間の健康保険の2種類があり、学生はいずれかを取得する必要があります。
さまざまな保険プランが用意されていますが、学生向けの健康保険は、月々80ユーロ程度となっています。
健康保険についての詳細はStudent Health Insurance in Germany : A Guide for Foreignersを参考にしてください。
このようにしてみてみると、ドイツ留学のためには1年間で最低でも約100万円かかることになる計算となります。
飛行機代などの出費も含め、余裕を持った予算計画を立てましょう。
どうやって大学を選ぶ?
アメリカやイギリスといった留学先として人気の国と比べて、日本でドイツの大学情報を入手するのは容易なことではありません。
それでも大学選びは留学を成功させるためにも大切なこと。しっかりとリサーチをしましょう。
大学ランキング
いざドイツに留学すると決めても一体どこの大学を受験したらいいものか悩むところ。そこで1つの指標となるのが「世界大学ランキング」です。
世界大学ランキングとは、高等教育機関をさまざまな評価指標により順位づけ。雑誌、新聞、および政府や企業などの機関が独自の指標を定めランキングを発表しています。
その中でも代表的な大学ランキングの1つがイギリスの教育専門誌「タイムス・ハイヤー・エデュケーション (Times Higher Education :THE)」。THEが発表したドイツ国内の大学ランキングは以下の通りです。
ドイツランキング | 大学名 | 都市 |
1 | LMU ミュンヘン | ミュンヘン |
2 | ミュンヘン工科大学 | ミュンヘン |
3 | ハイデルベルク大学 | ハイデルベルク |
4 | ベルリン・フンボルト大学 | ベルリン |
5 | シャリテー・ベルリン医科大学 | ベルリン |
6 | フライブルク大学 | フライブルク |
7 | テュービンゲン大学 | テュービンゲン |
8 | RWTH アーヘン大学 | アーヘン |
9 | ボン大学 | ボン |
10 | ベルリン自由大学 | ベルリン |
※ 11位以下の詳しいランキングについてはBest Univeristies in Germany / THE Rankingsを参照
その他、Centre for Higher Education : CHE ( University Ranking for Germany ) からは学部別に大学をリサーチ。CHEは、THEのようにランキング形式で表示されませんが、大学の学部別でスコア付けされています。
日本を含むアジア圏では一流の大学がいい、という認識が強く大学のランキングや知名度で大学を選ぶ傾向があります。
しかしドイツでの教育の質はどの大学でも同じようにハイレベル。大学間の質の差があまりないため「一流の大学」というよりも「自分の学びたいことが学べる大学」を選択することがよいと考えられています。
大学の情報を収集する
さて、上記ランキングからドイツにはどんな大学があるのか理解できたところで、どの大学で何が勉強ができるのかなどの具体的な情報を入手していきましょう。
ここでは、そのための方法をいくつか紹介していきます。
ウェブサイトでリサーチ
これらウェブサイトでは、大学データベースにより専攻、取得できる学位、出願条件などドイツの大学についての包括的な情報を入手することができます。
また学びたい専攻/学部が決まっている場合も、これらウェブサイトからどの大学にその専攻/学部があるのかを調べることができます。
志望大学へ直接問い合わせる
志望する大学がある程度決まったら、各大学のホームページに記載されている基本情報を確認。それでも疑問点があれば、大学のアドミッションオフィスへ直接問い合わせましょう。
留学については、志望する大学の留学生課 ( Akademische Auslandsamt : AAA / International Office :IC ) へ連絡。
ここでは、入学要件、出願締め切り日など申請プロセスに関する包括的な情報が得られる他、入学準備から住居探しまでさまざまな手続きに際してのより具体的なサポートを受けることができます。
欧州留学フェアへ参加する
駐日欧州連合代表部が開催する欧州留学フェアでは、ドイツを含む欧州諸国の大学への留学に関心のある高校生、大学生、社会人を対象に、ヨーロッパの高等教育機関がそれぞれの学部案内をすると共にさまざまな質問に直接答えてくれます。
志望する大学が出展している際には要チェック。2020年以降に開催される日程などの詳細は欧州留学フェアのイベント公式ウェブサイトで確認することができます。
英語だけで入学できる学部はある?
ドイツで学部入学となると、先に述べた通りドイツ語能力が必要な大学がほとんどです。しかし大学によっては英語で学べる課程も。
これらの情報は、DAAD International Programmesのデータベースで検索することができます。
International Programmesでの授業は主に英語で行われるため、出願には多くの場合、TOEFLやIELTSといった英語能力の証明が求められます。
大学名リスト
ドイツには公的に認定されている大学が400校近くあり、17,000以上もの学部/研究プログラムを提供しています。
ドイツ国内の主なる大学は、List of Universities in Germanyで調べることができます。
出願に向けての準備を始めよう
志望する大学が決まったら出願へと準備を進めましょう。まずは、何ヶ月後にドイツの大学に入学しているかをイメージ。
それに応じて大学ごとの出願方法、必要書類、願書提出期限を早めに確認し、ドイツ語など出願までに達成するべきことを細かくプランすることが重要です。
出願方法
※1 DAAD the application processより引用
※2 NCとはNumerus Claususの略で、人数制限のこと。入学条件にNCと記載されている場合には、そのコースには人数制限があるという意味になります。
上記の図のとおり、ドイツの大学への出願方法は、入学したい専攻、および出身国、保有している入学資格により異なります。
日本人留学生の場合、
- Uni-assistを通して出願する
- 大学へ直接出願する
の2種類の方法での出願が可能です。
2種類それぞれの出願方法について詳しく説明していきましょう。
Uni-assistを通して出願する流れ
uni-assistとは、提携している大学への出願を行ってくれる代行機関のこと。
ドイツの大学への留学に必要な入学資格を有しているかどうか、また出願書類の内容をチェックし受験資格が認められれば、uni-assistを通じて出願書類を提出することができます。
uni-assistと提携している大学はここから確認できます。
1) 情報を入手する
ここではドイツの大学で勉強するための入学資格があるか、またはその資格を証明するための必要書類などを確認することができます。
2) 出願の計画をたてる
希望する大学が決まったら、出願方法や出願期限など詳細な情報を確認しましょう。
ドイツの大学の学期制度は一般的に冬学期(9月または10月始まり)と夏学期(3月または4月始まり)の2学期制。冬学期入学のための出願期限は7月15日、夏学期は1月15日となっています。
3) 出願に必要な書類を確認する
一般的な出願書類
- 高校の成績証明書
- 高校の卒業証明書
- 語学力の証明書
- センター試験のスコア(高校卒業からの出願の場合)
- 大学の成績証明書(4年制の大学で1年以上を修了、短期大学を卒業した場合)
- 大学の卒業証明書(大学で4年以上勉強し学士号を取得、短期大学を卒業した場合)
- パスポートのコピー
必要となる出願書類は保有している入学資格により異なります。また大学によっては志望動機書などの提出を求められる場合も。
あらかじめ進学希望の大学に直接、必要書類の内容を確認するようにしてください。
ここで注意点ですが、提出する全ての書類は英語またはドイツ語に翻訳し、それら翻訳された書類が公的であるという証明が必要になります。
そして、ドイツの大学への出願書類はオリジナルのものではなく、多くは「コピー認証」された書類を提出するのが一般的。
「コピー認証」とは、原本をコピーしたものに役所の公式スタンプと認証者の署名入りの書類を、公式書類と同じ扱いにするということです。
「コピー認証」についての基準やどこで取得できるかなどの詳細は、uni-assist : Certified copies and translationsで必ず確認。書類に不備などがないように注意しましょう。
4) uni-assistから申請する
まずはMy assistのアカウントを作成します。ログイン後は、出願者の基本情報や学歴、大学と選択する専攻など全ての質問の回答を入力します。
5) 出願料金を支払う
uni-assistを通じての出願料金は、 最初に希望する大学の専攻に75ユーロ、そして同大学の別の専攻、または他の大学へ申請するごとに30ユーロの追加料金がかかります。
出願料金は、銀行振り込みまたはクレジットカードで支払うことができます。
6) 送信および追跡
オンラインから提出可能な書類(コピー認証を必要としない書類)を、英語またはドイツ語で名前を記入してアップロードします。
大学によっては「コピー認証」されたオリジナルの書類の提出を求めています。その場合には、オンライン出願書に加えてこれら書類をuni-assistへ郵送する必要があるため要注意。
大学に直接問い合わせる、または選択した大学がコピー認証を必要としているかどうかをここからチェックすることをおすすめします。
出願後はuni-assistが出願内容を確認。これには通常4~6週間かかる場合があります。問題がなければ出願書を大学へ転送。
万が一書類に不備があった場合にはuni-assistから連絡があり、出願期限までに不足している書類を提出することができます。
その後の申請ステイタスは、My-assistアカウントでの追跡が可能。こまめにチェックをするようにしましょう。
大学へ直接出願する
uni-assistに対応している大学に出願する際には複数の大学に一括して送付することできますが、一部の大学では直接大学に出願するよう求めています。
また、大学により事前の資格審査をパスして出願が可能になるとか、大学が設けている出願用オンラインポータルから出願を行うなど、出願方法が異なるため、 入学志望の大学ごとに出願方法の要項を確認することが必要となります。
ドイツ大学、正規留学以外の方法で留学できる?
ここまでドイツ正規留学についての情報を幅広く解説してきましたが、ドイツ留学といってもいろいろな形があります。
「なぜドイツに留学したいのか」など目的に合わせて留学スタイルを選択することができます。
語学留学:ドイツ語を学ぶために現地の語学学校や大学の語学コースに
短期での語学コースは1コース2週間から3ヶ月ほどで、大学の夏期講習、GOETHE INSTITUTの短期コース、私立の語学学校などから選ぶことができます。
ある程度ドイツ語能力があるのであれば、大学附属のドイツ語準備コースからの履修がおすすめ。大学入学を目的としたドイツ語の試験対策を行うことができます。
TestDaFやDSHなどのドイツ語試験準備のための授業を行っているところ、ビジネス会話を中心に教えているところなど、語学学校によりその内容もさまざま。しっかりと下調べをして自分の目的に合った学校(コース)を選ぶようにしましょう。
交換留学:ドイツと日本の大学間で提携されているプログラムに参加
大学間の協定に基づき海外(ドイツを含む)との派遣留学を実施している場合、そのプログラムに参加を希望することができます。
その他ドイツ学術交流会DAADでは、大学間パートナーシップなどドイツの大学を対象とした助成プログラムを通じてネットワークを支援。
DAADウェブサイトでは、日本の大学が参加できるプログラムを紹介しています。
大学院留学:日本の大学を卒業後に大学院へ進学
ドイツの大学院は学士課程同様、世界的に見ても高い評価を受けています。
学術的研究を中心としたものからビジネスでの実践的なスキルの習得、またアートや音楽などの芸術系など、さまざまな目的に合った修士課程があります。
大学院では英語で開講しているコースも数多くありますが、学びたい分野によってはドイツ語のみも。そのため、英語とは別にドイツ語の語学証明も必要となります。
卒業後のキャリアは?
最後に考えておきたいことが、ドイツ留学後のキャリア。
ヨーロッパ圏では、企業本採用の前にインターンシップを挟むケースが多くあります。そのためほとんどの学生たちは夏休み、冬休みを利用してインターンシップを経験。
ドイツでも就活システムの1つとしてPraktikumというインターンシップ制度があります。ドイツの学生にとってインターンシップとは就職のための知識と経験を蓄える重要な機会。
就活の際の職歴にも記載することができ、多くの企業ではインターンシップ経験の有無を重視します。
しかし職種は何でもいい、ということではありません。企業の募集要項には、企業側が求める人物像や経歴、スキルが明確に書かれています。
そのため、卒業後のキャリアを見据えてから大学でその専門を勉強し、インターンシップでその分野での仕事の経験を積んで就活、というケースが一般的。
新卒とはいえ、即戦力として見込める経験者を優先して採用する傾向にあります。
今や海外の大学を卒業したからといって、無条件に仕事が見つかるわけではありません。しかし自分の学歴とスキルが希望する仕事とマッチさえしていればチャンスはあるはず。
このようなことからも、「なぜドイツに留学するのか」または「ドイツの大学で何を学びその後のキャリアにどういかしたいのか」などを明確にしてから留学を決めることが重要となります。
オマケ:ドイツはどんな国?
- 国名 ドイツ連邦共和国 Bundesrepunlik Deutschland
- 首都 ベルリン Berlin
- 公用語 ドイツ語
- 面積 約 357,000 k㎡
- 人口 約 83,150,000人(2019年9月 独連邦統計庁)
- 通貨 EUR(ユーロ、ドイツ語読みではオイロ)
- 日本との時差 マイナス8時間(サマータイムはマイナス7時間)
ここでは、ドイツ留学をするに当たって、最低限知っておきたい情報や歴史を紹介します。
ドイツの正式名称は「ドイツ連邦共和国」。通称「ドイツ(英語ではGermany)」は、ヨーロッパのほぼ中央に位置しています。
北はデンマーク、東はポーランドおよびチェコ、南はオーストリアおよびスイス、そして西はフランス、ルクセンブルグ、ベルギー、オランダと、四方は9つの国に囲まれています。
現在のドイツの領土は、日本の石器時代の頃から主にゲルマン民族が居住していたエリア。9つの国に接しているドイツは隣国との争いが多く、ドイツという国家の構成に至るまでに歴史が深く関わっています。
その中でも、第二次世界大戦敗戦後は国が2つに分断されていたことは誰もが知る歴史の1つ。
1945年6月5日のベルリン宣言により、英仏米とソビエトによる分割占領が開始し、1949年、西側連合国の占領地域はボンを首都とするドイツ連邦共和国(西ドイツ)、ソビエトの占領地域は東ベルリンを首都とするドイツ民主共和国(東ドイツ)として2つに分かれていました。
1950年から1960年にかけて東ドイツの経済状況はどんどん悪化。これに対して西ドイツは経済成長を続けており国民の生活は豊かでした。
こんな状況から東ドイツの人々は自国を去り西ドイツへ移動するようになり、東ドイツの政府高官はこのままでは理想とする社会主義国が作れないと危惧。
そして東ドイツの人々が西ドイツへ逃げられないようにと、1961年8月13日にベルリンの壁が作られました。
その後も東ドイツからの逃亡者は後を絶たず多くの犠牲者を出すことに。
そして東ドイツ市民の大量出国という事態にさらされていた東ドイツ政府が、1989年11月9日の夜にその対応策として、旅行および国外移住の規制緩和の政令を発表。
これをきっかけにベルリンの壁が壊され、28年間にわたる東西分断の歴史は終結しました。
このような波乱万丈な道のりが、ドイツという国の多様性を形成。
北側はバルト海に続き、中央は丘陵地と低い山脈地帯、南側には東西に連なるドイツアルプスと豊かな自然で覆われたドイツには多様な16の州があり、それぞれが独自の文化を持ち合わせています。
歴史の古いドイツですが、現在では学問、経済など各分野で世界をリードしEUの国々の中でも中心的存在。
また中世の美しい街並みやビール、グルメなど魅力が多く、留学生にとっては住みやすい国の1つ。ヨーロッパ各国へのアクセスもよいので、留学しながら観光を楽しむ事もできます。
最後に
ドイツの大学留学のためには入学条件があり、さらにはドイツ語が必須となるなどハードルは決して低くはありません。
しかし、今やEUの国々をリードし、常に新しい情報を発信し続けるドイツには魅力がたくさん。
留学をすることにより、自分の将来に繫がるスキルを磨くことができることでしょう。充実した留学生活を送るためにも、しっかりとした計画と準備を進めてください。
Antie やや様
突然のご連絡となり、申し訳御座いません。
現在、ドイツの大学院を検討しているものです。
既にUniassistを通じて、複数大学院に出願しているのですが、
決済と書類Updateをして、特に反応がありません。
1. 原本の送付が必要、コピー承認が必要など、記載されているサイトが多いのですが、
それは今後、Uniassistや大学院から連絡が来るのでしょうか?
(大学サイトでは特に記載なし。)
2. 書類Update後、どれくらいで連絡が来るのでしょうか?
ご教示頂きたく、何卒宜しくお願い致します。
高校三年間で理科一科目とは、理科基礎でなく、理系の方がとる専門理科のことでしょうか?
理科の1科目は、高校3年間ずっと履修(合格も)していることが要件で、科目の難易度とは関係ないみたいだね。
理科基礎はおそらく1年生だけかな?その場合は要件を満たさないと思うよ。