派遣留学制度で留学したい!
‥でも志望動機書どうしよう、書いたことないし何を書けば良いのかも良くわからないし‥
筆者も派遣留学制度に挑戦しようと決め、一番頭を悩まされたのが「志望動機書」でした。
本記事では、派遣留学制度に合格した筆者が一人の体験者として、「合格する志望動機書のポイント」をお伝えします!
この記事の著者:のん
都内の大学4年法学部に在学中。学内の派遣留学選考に合格し、今年8月から米国マサチューセッツ州にアート留学予定。自分自身の経験や考えが、1人でも多くの人の一歩を踏み出すきっかけになればと思い執筆に挑戦中!
目次
交換留学に必須!志望動機書とは
どうして必要?どれぐらい重要?志望動機書を書かせる大学側の意図を知る
そもそもなぜ大学側は「志望動機書」の提出を求めるのでしょうか。
これをしっかり理解することが合格を勝ち取るためには不可欠です。
結論から言いますと、大学の顔として留学させる価値のある人物なのかを判断するために尽きると思います。
以下、詳しく解説していきます。
そもそも大学の派遣留学制度とは、一般的に海外協定校に一定期間の留学が許可されるというものです。留学先の学費が免除され、大学から奨学金を受けることができます。
つまり、大学の顔として協定校に派遣されるわけです。だからこそ、希望すればだれでも行けるわけではなく選考試験に合格する必要があります。
「志望動機書」は大学側が、あなたが学校を代表して留学させる価値のある人間なのかを判断する材料になります。あなたが留学するのにいくら明確な目的を持っている人物であったとしても、
それが伝わる形で志望動機書を書くことができなければ合格を勝ち取ることは難しい
と言えるでしょう。だからこそ、志望動機書で大学に自分は学校を代表して留学に行く価値のある人物だという事を示す必要があります。
文字数・書式
ここでは一般的に求められる志望動機書の文字数や形式を簡単に見ていきます。
志望動機書の形式については大学によって様々です。
志望動機のみで1200文字程度、志望動機/学習計画等をまとめて2000文字程度、さらには志望動機やアピールポイントをPower Pointでまとめてプレゼンという形式もあるようです。文字数は、800文字~2000文字が多いですね。
ちなみに、筆者の大学では「志望動機・自大学での専攻分野・派遣先での学習計画等をまとめて計2000文字程度」「受験言語で留学計画書を要約」でした。
※自大学の募集要項を必ず確認してくださいね!
志望動機書を書く前に
募集要項の熟読は絶対
募集要項の熟読は必須です。
「○○字以内で以下の項目についてまとめよ」などの記載がある場合、どんなに素晴らしい内容の志望動機書でもアウトです!
提出期限も確実に把握し、余裕を持った計画を立てて作成しましょう。
筆者は「まだ大丈夫だ~」とのんびり書いていたところ、納得のいく志望動機書を完成させるまでに想像以上の時間がかかり結局提出できたのは〆切の2分前でした…
募集要項を読んで不明な点がある場合は、すぐに学校の派遣留学担当の方に連絡して確認することも大切です!友達同士ではなく、担当の方にです。
自己分析
これが志望動機書を作成するために最も重要です!
自己分析を突き詰めて伝わる言葉にすることができれば合格は確実です。
なぜなら、読み手(審査員)はあなたが留学するにあたってどれだけ明確な目的を持ち計画的に行動できる人物なのかを判断するからです。
楽しみだな~と留学出発まで何も準備せずに過ごすのと、留学の目的から逆算して英語の勉強や知識の蓄積を行っておくのでは、留学自体の「質」が大きく異なります。
また、留学中もなんの目的なくなんとなく過ごせば帰国して何を得たのかよくわからないという事態になってしまうかもしれません。それは非常にもったいないことですよね。
留学したい!と思ったその時から、まずは自己分析を始めましょう。
留学で何をやりたいのか。自分はどういうことに惹かれるのか。留学を通してどういう自分に成長したいのか。
自己分析は想像以上に時間もかかりますし、言葉に詰まることも多いと思います。そして、自己分析にはゴールも正解もありません。
やればやるほど深くオリジナリティのある志望動機書が作成できると思って続けてみてください。
「良くない」志望動機書
多くの人の留学を志す最初の理由は「憧れ」なのではないでしょうか?
「とにかく海外行きたい!」「外国人の友達欲しいな~」「英語喋れたらカッコいい!」
でも、これを志望動機として書くのはなんか違う!そこでここでは「陥りやすい『薄い』志望動機書」とその「改善例」を解説します!
(設定:開発学を学びたいA子さん)
大学二年時にフィリピンで貧困に苦しむ子供たちと一週間生活を共にした中で、先進国から送られてきた大量の衣服に虫がたかって彼らの衛生状態に悪影響を及ぼしている状況に衝撃を受けた。このような実情を知らずに、私は貧困問題の解決に貢献しようと自分が着なくなった衣服を途上国に寄付したことがあった。この経験を経て、広く効果的だと考えられている貧困問題への取り組みと実情には差があり、その差を理解してアプローチしなければ貧困問題の解決には至らないのではないかと気づいた。○○大学では、少人数の授業環境が整い、地域社会に焦点を当てたアプローチで開発学を学ぶことができる。したがって、開発学を学ぶ為に○○大学への留学を志望する。
以上の志望動機を読んでみて、どのような印象を抱いたでしょうか?
ここでは筆者が考える2つの改善点を解説します。
- 結論ファーストになっていない
- 自分の経験と学びたい分野の関係があいまい
順に見ていきましょう!
①結論ファーストになっていない
当たり前のことですが、読み手は上から下へ読んでいきます。
例文でA子さんが一番伝えたいことは「○○大学で開発学を学ぶ為に留学を志望する」という事です。しかし、それを読み手が知るのは最後の一文になってしまっています。
最初の段階で何を言いたいのかを共有することで、読み手の理解もスムーズにすることができるのです。
②自分の経験と学びたい分野の関係があいまい
A子さんは○○大学に志望理由として、世界的な学者による少人数授業を受けることができる点と地域社会に焦点を当てたアプローチをする点を挙げています。
しかし、A子さんの経験との繋がりが明確に書かれていません。
A子さんはなぜ、少人数授業であることに魅力を感じるのか、そしてなぜ地域社会へのアプロ―チにこだわるのか を伝えることができれば、
読み手は一つのスト―リーとしてA子さんの志望動機を理解することができます。
良い志望動機書の書き方
以上、「良くない」例を見てきましたが、どのようにしたら「良い」志望動機書を作成することができるのでしょうか。
ずばり『留学したい自分に「なぜ」を問いかける』ことがポイントです!
「なぜ」を追求する
「留学したい!」と思ったからには何かしら理由があります。
なんとなく~かっこいいから~と思う方も、その気持ちに真剣に向き合ってみると
自分の過去の経験がその気持ちの影響している…などという事に気づくはずです。
ご参考までに、「アメリカ絵画を学びたい!」と志して留学を決めた筆者が自分に投げかけた「なぜ」を一部ご紹介します。
- なぜアメリカで学ぶ必要があるの?(絵画を学ぶなら日本でもいいのでは?
- 何が留学したいという気持ちにさせたの?
- 留学と自分の経験の関係は?
- なぜ今留学したいの?働いて自分でお金をためてからではだめなの?
- なぜ○○大学なの?他の大学ではだめなの?
(※筆者が実際に使っていたノートの一部)
一度考えだしてみると、
「私ってこんなこと思っていたのか!」「全然関係ないと思っていたけどこの経験も今の気持ちに繋がっているのかも‥」とか新しい発見に出会えると思います!
- なぜ「○○を学びたいのか」
- なぜ「今、留学する必要があるのか」
- なぜ「○○大学を志望するのか」
……などなど
頭で考えるだけではなく、必ず紙に自分の言葉で書いて、その都度思い浮かぶ答えに「なぜ」を問いかけ続けてみてください。
自分の気持ちを言葉にしようと思うと想像以上に難しく時間がかかります。
しかし、志望動機書を作成するためには不可欠な過程です!
留学の計画
「なぜ」を分析していると、おのずと留学する目的が明確になってきます。
そこで次に考えるのが、【留学前・留学中・留学後の計画】です。
【留学前】
留学前の行動計画を志望動機書に織り込むことで、目的の為に計画立てて行動する姿勢を示すことができます。
もちろん志望動機書のためだけでなく、事前準備を徹底することは留学の効果を最大化できるという大きな利点があります。
準備の内容は人によりますが、英語の学習や専攻予定分野の予習復習など、自分の目的から逆算して考えてみましょう。
【留学中】
具体的には、どの授業を何のために取るのか/どのような活動(課外活動等)を行うのか。
その際に大事なことが、「達成可能な計画なのか」という事です。
あれもこれもやります!と書いて実際にできなければ意味がありませんし、読み手に「本当にやるの?口だけじゃないの?」と思われたくないですよね。
そのため、ここでも「なぜ」のように深く考える方法が役に立ちます。
10個の計画よりも、目的が明確で達成までの道筋も深く練られた1つの計画を示す方が、「良い」留学計画といえるでしょう。量より質です
この授業を取りたい!となった時には、なぜこの授業がいいのか?留学の目的との関係は?など考えてみましょう。
そのためには、派遣先のHPやシラバス、教授に連絡を取るなど、情報収集も大切な過程になります。
【留学後】
留学で得たことをその後にどのように繋げていくかというものです。具体的には、留学を通してどんな自分になりたいのかです。
自分が留学で得たことをもって、自分以外の人や社会にどのようなプラスの影響をもたらすことができるか を考えてみると良いかもしれません。
【余談】
ですが、留学後の計画について筆者の友人の悩みをシェアしておきます。同じように悩んでいる人は少なくないのではないでしょうか?
友人の悩みは、「留学中にサステナビリティを学びたいが、将来その分野の職業に就くとは考えていない。だから、留学後の計画が上手く書けない」というものでした。
結論から言うと、留学の目的と将来の夢は繋がっている必要はないというのが筆者の意見です。
友人のような悩みを持つ方の多くは、留学=大きな出来事=職業に結びつくことをしなくてはならないと考えているのかな、と思います。
留学が人生において大きな意味を持つことには変わりありません。しかし、留学で学んだことをその後どう生かすのかという道は人それぞれです。
筆者の友人について言えば、留学後は、例えば留学中に得たサステナビリティに対する感覚を家族や友人に伝えることで、少しでも日本の意識向上に貢献する だったり、将来働くだろう職場でサステナビリティを推進する事業を提案したい などなど…
目的を持って留学し知識などを得ることができた自分だからこそできる計画を明確に示すことができれば将来の夢に関係している必要はないと思います!
ご参考までに、以下は筆者の留学の計画(概要)です。
- 留学の目的:大学院進学の準備をする
- 留学前:デッサンの自主練習/大学院リサーチ/奨学金の為にTOEFLスコアを上げる
- 留学中:大学院出願書類のポートフォリオ/personal statement等の為に、技術的なdrawingの授業/writingの授業..でできるだけ少人数の授業を選ぶ
- 留学後:大学院に進学して美術学修士を取得する→アートディレクターになる
以上、【留学前・留学中・留学後の計画】についてお伝えしました。
あとは「なぜ」の答えと計画を論理的に文面で伝えれば合格する志望動機書の完成です!
「論理的に」という言葉を難しく感じてしまう方は「ストーリー性を意識して書く」と考えてみるととっつきやすいかもしれません!
留学をしたいあなたが主役のストーリ―です。
自分にしか書けないオリジナリティのある志望動機書というのは、読み進めたくなる→審査員の記憶に残る→合格する!!!!!
難しいことは考えずに、自分の気持ちや経験を分析してストーリーを伝えましょう。
「良い」志望動機書の例
ここまでご紹介したコツを使って、先述した「良くない」志望動機書を直してみましょう!
(留学前・留学中・留学後の計画は省略してあります)
開発学を学ぶ為に○○大学への留学を志望する。この思いに至ったきっかけは、貧困の実情と現状のアプローチの間にずれが生じていることに気づかされたことにある。大学二年時にフィリピンで貧困に苦しむ子供たちと一週間生活を共にした中で、先進国から送られてきた大量の衣服に虫がたかって彼らの衛生状態に悪影響を及ぼしている状況に衝撃を受けた。このような実情を知らずに、国際機関の立場から貧困問題へのアプローチを研究するゼミの活動の一環で、貧困問題の解決に貢献しようと自分が着なくなった衣服を途上国に寄付したことがあった。この経験を経て、広く効果的だと考えられている貧困問題への取り組みと実情には差があり、その差を理解してアプローチしなければ貧困問題の解決には至らないのではないかと気づいた。
貧困問題の真の解決にはグローバルな視点だけでなく、各地域に焦点を当てて貧困問題を捉える必要があるだろう。このような気づきから、私の留学の目的は地域の視点から貧困問題を分析し貧困の解決に効果的なアプローチを考察することにある。
そのためには、○○大学で開発学を学ぶ必要がある。○○大学は、少人数の授業環境が整い、地域社会に焦点を当てたアプローチで開発学を学ぶことができる。授業規模が小さければ、他の学生との活発な議論から自分の考えに批判的な視点を吸収し、深い考察をすることができると考えている。また、地域社会への着眼はゼミで得た国際的な観点からの視点と比較しながら理解を深めることができるだろう。
したがって、地域に根差す貧困状況を理解し解決策を探るために○○大学で開発学を学びたい。
いかかでしょうか?
改善点として意識したのは、以下の点です。
- 結論を先に述べる
- 自分の経験と学びたい分野の関係を明確にした
結論を先に述べる点に関しては、一つのまとまり(パラグラフ)で言いたいことは一つにする点も併せて意識しました。
こうすることで、読みやすさは格段に上がります。
注意事項・心構え
時間はあればあるだけ良い!
ここまででお伝えした「自己分析」や「なぜを問う」過程は時間をかければかけるほど深くオリジナリティのある志望動機書(=合格する志望動機書)を作成できます。
一つアドバイスです!
たいていの場合、想像以上に作成に時間がかかって提出がギリギリだった…となるので一週間前などに〆切期限を自分で設けてそれに向けて全力で取り組むことを強くお勧めします。
テンプレートを使うのもいいけど、自分の思いを自分の言葉で伝えることが一番大事
ネットで「派遣留学 志望動機書」と調べると必ずテンプレートのようなものが出てきます。
筆者も使いました!!!!
しかし、忘れてほしくないのは「あなたの」志望動機書だという事です。
テンプレートを使う場合は、読み手が読みやすい構造は参考にして言葉遣い・言い回し・論理展開などは 型にとらわれすぎずに自分の意志が一番伝わる形で作成しましょう。
必ず第三者に添削してもらう
一度志望動機書が書けたら、第三者に添削をしてもらいましょう。
これは、友人や家族、学校の教授など誰でも良いです。
1人だけに添削をお願いすると、その方の考え方に偏ってしまう可能性があるため、できるだけ多くの人に読んでもらうことをお勧めします。
また、自分のことを詳しく「知らない」人にも読んでもらうことが非常に重要です。
家族や仲の良い友人など、志望理由書を見せる前から留学を決めた経緯などを知っている人の場合、文章中に書かれていないことでも無意識に想像してして論理展開の穴に気づかないという事になる可能性があります。
筆者は留学についてずっと相談していた友人に添削をお願いしていたのですが、
ゼミの先生に見せると展開の飛躍など、友人からの添削では気づかなかった点に添削が入り、ひやっとした経験があります。
このようなこともあるので、「留学を考えているなんて知らなかった!」レベルの友人や先生に添削をお願いしましょう。
まとめ
派遣留学の志望動機書をただの提出書類として片づけてしまうのは非常にもったいない!
志望動機書の作成過程で行う自己分析やリサーチを通して自分に向き合い、留学の目的を明確にすることができます。
そうすることで留学中はもちろん、留学前・留学後の行動を実りのあるものにすることができると思います。心から応援しています!!!!