「海外の大学に進学したいけれど、いつ出願すればいいの?」
「日本の大学入試とはどう違うの?」
海外大学への進学を考え始めたとき、多くの人が最初にぶつかるのが 「入試スケジュール」 の問題です。
日本の大学入試は1月〜3月頃に集中しているため、それを基準に考えると「海外の大学も同じような時期に出願すればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、海外大学の出願時期は国や大学ごとに大きく異なります。
出願のタイミングを間違えると、志望校を受験できなくなる可能性もあるため、早めの準備が必要です。
本記事では、主要な英語圏の国々(アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ・シンガポール・香港)の大学入試時期を整理し、受験生がスムーズに進学準備を進められるようにわかりやすく解説します。
各国の詳細な出願スケジュールとポイント
海外大学の入試スケジュールは、日本の大学とは大きく異なります。
国や大学ごとに異なる出願時期を把握し、計画的に準備を進めることが重要です。
また、以下は一般的な時期をまとめていますが、出願のデッドラインや合格発表の時期は大学によって異なることが多いため、必ず志望校もHPから出願時期を確認しましょう。
海外大学の出願時期・合格発表・学期開始一覧
国・地域 | 出願時期 | 合格発表 | 学期開始 |
---|---|---|---|
アメリカ | 通常:1月 早期出願:11月 | 12月〜4月 | 8月or9月 |
イギリス | 通常:1月 オックスブリッジ:10月 | 1月〜5月 | 9月 |
オーストラリア | 2月入学:9月 7月入学:2月 | 出願から1-2ヶ月後 | 2月or7月 |
カナダ | 10月〜1月 | 1月〜4月 | 9月 |
シンガポール | 10月〜3月 | 4月〜6月 | 8月 |
香港 | 9月〜1月 | 1月〜4月 | 9月 |
アメリカの大学入試
アメリカの大学は、出願方式が複数あるのが特徴です。
一般出願のほか、早期出願制度(Early Action, Early Decision)や、合否が早く決まるローリング入試(Rolling Admission)などがあります。
- 一般出願(RegularxDecision): 1月前後が締め切り(大学によって異なる)
- 早期出願(Early Action / Early Decision): 11月頃締め切り、12月に合否通知
- ローリング入試(Rolling Admission): 締め切りなしの大学もあり、早い者勝ちで合格枠が埋まる
- 早期出願は、合格率が高くなる傾向があるが、Early Decisionの場合は合格すると進学が義務付けられる
- 推薦状・エッセイ・SAT/ACTスコアなど、必要な書類が多いため、余裕を持った準備が必要
イギリスの大学入試
イギリスの大学は、「UCAS(ユーカス)」という統一出願システム を通じて出願します。
日本のセンター試験のように全国共通のプラットフォームを使うため、基本的なスケジュールは全国一律です。
- UCASを通じた出願: 出願締め切りは1月中旬(毎年固定)
- オックスフォード・ケンブリッジ: 出願期限は10月中旬(一般よりも早い)
- 合格発表: 1月~5月(段階的に合格通知が届く)
- Personal Statement(志望動機書)の出来が合否に大きく影響する
- A-levelやIBなどの成績提出が必須。日本の高校生は国際バカロレア(IB)やSATのスコアで出願することが多い
オーストラリア・ニュージーランドの大学入試
オーストラリアとニュージーランドの大学は、日本の大学とは異なり、1年に2回の入学時期(2月・7月) があるのが特徴です。
大学ごとに出願時期が異なるため、希望する大学の公式サイトでの確認が必須です。
- 2月入学の出願時期: 前年の9月
- 7月入学の出願時期: その年の2月
- 合格発表: 出願から1-2ヶ月後
- 条件付き合格(Conditional Offer)を活用すれば、英語力不足でも入学準備が可能
カナダの大学入試
カナダの大学入試は、アメリカと似ていますが、早期出願の制度が一般的ではない点が異なります。
カナダの大学では、州ごとに異なる出願システムがあるため、志望校のある州の方式を確認する必要があります。
- 出願時期: 10月〜1月(大学による)
- 合格発表: 1月〜4月
- 学期開始: 9月(大学によっては1月開始もあり)
- 英語のスコア(IELTS/TOEFL)や高校の成績が最重要
シンガポール・香港の大学入試
シンガポールと香港の大学は、イギリスのUCAS方式に近い一括出願方式を採用していることが多いですが、大学ごとの個別出願も可能です。
- シンガポールの大学(NUS・NTUなど): 10月〜3月 に出願し、4月〜6月に合格発表
- 香港の大学(香港大学・香港中文大学など): 9月〜1月 に出願し、1月〜4月に合格発表
- シンガポールの大学は TOEFL・IELTSに加え、SAT/ACTのスコア が求められることが多い
- 香港の大学はイギリスの方式に近く、A-levelやIBの成績 で評価される
海外大学の入試時期は、日本とは大きく異なるため、志望する国・大学の出願スケジュールを早めに把握することが重要です。
- アメリカ → 早期出願(11月)、一般出願(1月)
- イギリス → UCAS出願(1月)、オックスブリッジは10月
- オーストラリア・NZ → 2月入学と7月入学があり、出願時期が異なる
- カナダ → 10月〜1月に出願、州ごとに異なる
- シンガポール・香港 → 10月〜3月(シンガポール)、9月〜1月(香港)
海外大学の出願準備|スケジュールと必要な書類を解説
海外大学への進学を成功させるためには、計画的な準備が不可欠です。
特に英語試験のスコア取得やエッセイ作成には時間がかかるため、1年以上前から準備を始めるのが理想的です。
以下では、スケジュールごとに出願準備の流れを説明します。
出願準備のスケジュール
時期 | 主な準備内容 |
---|---|
高校1年〜高校2年(1年以上前) | 英語試験の準備開始(IELTS・TOEFL・SATなど)、海外大学の情報収集 |
高校2年後半〜高校3年初め(1年前) | 受験する国・大学を決定、エッセイ・推薦状の準備開始、本番用英語試験のスコア取得 |
高校3年の夏〜秋(6ヶ月前) | 本命の大学リストを確定、出願書類の作成・エッセイのブラッシュアップ |
高校3年の秋〜冬(3ヶ月前) | 出願書類の提出、面接対策(必要な場合) |
高校3年の冬〜春(受験後) | 合格発表を待ちながらバックアッププランを検討、奨学金申請・渡航準備 |
高校1年〜高校2年(1年以上前):英語試験の準備と情報収集
海外大学を目指す場合、英語試験のスコアが重要な選考要素となるため、できるだけ早く試験対策を始めることが重要です。
IELTSやTOEFL、SATなどの試験は一度で高得点を取るのが難しいため、高校1年のうちから学習を開始し、高校2年の終わりまでに一度試験を受けておくのが理想的です。
また、各国・各大学の入試方式や出願条件は異なるため、海外大学の情報収集もこの時期に進めておくと、スムーズに準備が進められます。
- TOEFL・IELTSの準備開始(単語・リスニング・リーディングを中心に学習)
- 試験の種類を決める(IELTS・TOEFL・SATのどれを受けるかを検討)
- 模擬試験を受けて現在のレベルを把握
- 海外大学の情報を収集(入試方式、奨学金制度、カリキュラムなどをリサーチ)
- 課外活動に積極的に参加(部活動、ボランティア、インターンなど)
高校2年後半〜高校3年初め(1年前):大学選びと英語試験の本番受験
この時期には、受験する国や大学を具体的に絞り込み、必要なスコアや出願要件を確認します。
英語試験の本番受験もこの時期に行い、必要に応じて再受験のスケジュールを立てましょう。
また、エッセイや推薦状の準備も早めに進めると安心です。
- 受験する国・大学を決定
- 英語試験の本番受験(IELTS・TOEFL・SATのスコア取得)
- エッセイの準備を開始(自己分析を行い、大学にアピールできる内容を考える)
- 推薦状を依頼(先生や活動の指導者に早めにお願いする)
高校3年の夏〜秋(6ヶ月前):本命大学の確定と出願準備
この時期には、本命の大学リストを確定し、出願書類の作成を本格的に進めます。
エッセイは複数回の添削を受けながら完成度を高め、推薦状も最終的な確認を行うことが重要です。
- 本命の大学リストを確定
- 英語試験の最終スコア確定
- エッセイの作成・ブラッシュアップ
- 推薦状の最終確認
- 出願書類を整理
高校3年の秋〜冬(3ヶ月前):出願と面接対策
海外大学の出願締切は大学ごとに異なるため、締切を厳密に管理し、余裕を持って出願することが大切です。
特に、イギリスのUCASやアメリカのCommon Appなどの共通出願システムを使用する場合は、システムの使い方にも慣れておく必要があります。
また、面接が必要な場合は、模擬面接を通じて練習を積み重ねるとよいでしょう。
- 出願書類の提出(エッセイ、推薦状、成績証明書など)
- 面接対策を開始(大学によってはZoomなどでオンライン面接あり)
- 追加書類の提出が必要な場合は対応
高校3年の冬〜春(受験後):合格発表と進学準備
海外大学の合格発表は1月〜4月頃に行われるのが一般的です。
志望校に合格した場合、進学先を最終決定し、奨学金申請や渡航準備を進めていきます。
一方で、万が一不合格だった場合や、入学時期の調整をしたい場合には、ギャップイヤーの取得や日本の大学との併願といった選択肢を考慮することも可能です。
ギャップイヤーとは?いつからいつまで?
ギャップイヤー(Gap Year) とは、高校卒業後に一定期間大学へ進学せず、語学留学・インターン・ボランティアなどの活動を行う期間のことを指します。
期間は個人の計画によって異なりますが、一般的には高校卒業後(3月)から海外大学の入学時期(9月)までの半年間、または翌年の9月入学までの1年間が該当します。
- ギャップイヤーの一般的なケース
期間 | 内容 |
---|---|
短期(半年) | 日本の高校を3月に卒業し、9月入学の海外大学に進学。この場合、日本の教育制度と海外大学の学期制度の違いから生じる「空白期間」もギャップイヤーと呼ばれることがある。 |
長期(1年) | 高校卒業後の1年間、語学留学・インターン・ボランティアなどを経験。出願準備を進めて翌年の1月〜2月に海外大学に出願し、9月に入学。 |
- ケース① 英語力を大幅に向上(Aさん・19歳)
「高校卒業後に6ヶ月間イギリスの語学学校に通い、IELTSのスコアを5.5→7.0まで伸ばしました。その結果、志望していたイギリスの大学に合格できました!」
- ケース② キャリアの視野が広がった(Bさん・18歳)
「ボランティア活動で東南アジアに滞在し、現地の教育支援に関わる経験をしました。その経験をもとに、国際開発学を専攻することを決めました。」
- ケース③ 留学費用を貯めた(Cさん・20歳)
「1年間アルバイトをして、留学費用の一部を貯めました。奨学金と組み合わせることで、経済的に負担を減らしながら海外大学に進学できました。」
日本の大学との併願と編入の選択肢
海外大学の出願と並行して、日本の大学に併願する方法もあります。
日本の大学への進学を保険として確保しながら、海外大学の合格を待つことが可能です。
- 日本の大学との併願プラン
プラン | 概要 |
---|---|
日本の大学と海外大学を併願し、海外進学が決まったら辞退 | 日本の大学に合格後、海外大学の合格が決まれば辞退し、海外に進学。 |
4月に日本の大学へ入学 → 9月に海外大学へ転学 | 4月に日本の大学に入学し、9月に海外大学が確定したら日本の大学を退学して渡航。 |
日本の大学に1年間在籍し、翌年海外大学に編入(Transfer) | 1年間日本の大学で学びながら海外大学の編入試験を受け、翌年9月から海外大学へ編入。 |
最初から海外大学の編入を前提に計画 | 1年間日本の大学で単位を取得し、2年次または3年次から海外大学へ編入。アメリカやカナダでは編入を受け入れる大学が多い。 |
よくある質問(FAQ)
海外大学の出願に間に合わなかったらどうする?
海外大学の出願期限は国や大学によって異なりますが、一般的にアメリカやカナダの大学は1月〜2月、イギリスは1月が締切となることが多いです。
しかし、出願に間に合わなかった場合でも以下の選択肢があります。
遅めの出願受付(Late Admission)を探す
- アメリカのローリング入試(Rolling Admission)
→ 一部の大学では締切がなく、定員が埋まるまで出願を受け付けています。
→ 例:ミシガン州立大学、インディアナ大学など。 - イギリスのUCAS Clearing制度
→ 本来の締切後でも、定員に空きのある大学が出願を受け付ける仕組み。
→ 例:7月以降、追加募集が行われる。
次の学期(春・冬)からの入学を検討
- オーストラリアやニュージーランドの大学は2月と7月の2回入学時期があるため、出願を待つことも可能。
- アメリカの一部の大学では、9月(秋学期)だけでなく1月(春学期)からの入学が可能。
→ 例:カリフォルニア州立大学(CSU)や一部の私立大学。
ギャップイヤーを活用して翌年の出願を計画
- 受験準備をより充実させるために、語学留学やボランティアを経験しながら翌年の出願を目指す。
SATやIELTSのスコアが間に合わない場合は?
海外大学の出願にはIELTSやTOEFLなどの英語試験、SATやACTなどの学力試験が必要ですが、スコアが出願期限に間に合わない場合でもいくつかの対策があります。
スコア提出期限の延長を申請する
- 一部の大学ではスコアの提出期限を延長してくれる場合がある。
→ 事前に大学の入試担当に相談し、期限延長の可能性を確認する。
仮スコアを提出して後日正式なスコアを送る
- TOEFLやIELTSでは、試験日から約10日〜13日後にスコアが発行されるため、仮のスコアを申請し、後日正式なスコアを送付することが可能な場合がある。
条件付き合格(Conditional Offer)を利用する
- 英語スコアが基準に満たなくても、プレセッショナルコース(事前英語研修)を受けることで正式入学が認められる場合がある。
→ 例:イギリスの大学では、入学前の英語コースを受講すればスコア不足をカバーできることがある。
テストオプショナル(Test-Optional)大学を検討
- アメリカの一部の大学では、SATやACTの提出が必須ではない「テストオプショナル」制度を導入している。
→ 例:ニューヨーク大学(NYU)、シカゴ大学など。
アメリカとイギリスの大学、どちらが合っている?
アメリカとイギリスの大学は受験方式や学びたい分野、大学生活のスタイルが異なるため、自分に合った進学先を選ぶことが重要です。
受験方式の違い
項目 | アメリカ | イギリス |
---|---|---|
出願システム | 各大学に直接出願(Common App, Coalition App) | UCASを通じて一括出願(5校まで) |
試験 | SAT/ACT(必須 or 任意)、IELTS/TOEFL | IELTS/TOEFL(必須) |
エッセイ | 個別のエッセイが必要(大学ごとに異なる) | 1つのパーソナルステートメントを全大学に提出 |
学習スタイルの違い
項目 | アメリカ | イギリス |
---|---|---|
専攻の自由度 | 入学後に専攻を変更可能(リベラルアーツ) | 最初から専攻を決めて出願 |
学位取得期間 | 4年間 | 3年間(スコットランドは4年) |
教育スタイル | 講義+ゼミ(ディスカッション中心) | 講義+自主学習が中心 |
どちらを選ぶべき?
- 幅広く学びたい → アメリカ → 専攻を途中で変更できるため、進路を決めきれない人に向いている。
- 専門分野を深く学びたい → イギリス → 初めから特定の分野に絞って学べるため、研究志向が強い人向け。
終わりに
海外大学進学は一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、適切な準備をすれば誰でも挑戦できる道です。
進学する国や大学を決める際には、単にランキングや知名度だけでなく、自分が学びたい分野や将来のキャリアを考慮することが大切です。
「海外で学ぶ」という選択は、学問だけでなく、異文化理解や国際的なネットワークを築く貴重な機会にもなります。
自分の目標に向かって、計画的に準備を進め、納得のいく進学を実現させましょう。