海外留学や海外MBAを目指すうえで重要なのは学校選び。
しかし、海外の学校を選ぶうえで、一つ大変なのは情報集めである。日本語の情報も少なく、イベントや学校説明会も気づいたら終わっていることも多い。
これは、そんな学校を選ぶうえで役に立つであろう情報、サイトを、学校ごとにまとめていくシリーズ第2段。今日は、シンガポール国立大学(NUS)。
WEBページを行ったり来たりする手間や、有用な情報を探す手間が省け、本来やらなければならないことに時間が使えるようになれば幸いだ。
また、ここのページに漏れており、有用だと思う情報があれば、ドシドシコメント欄に共有してほしい。
目次
シンガポール国立大学MBAの概要
シンガポール国立大学の基本情報
シンガポール国立大学は、1905年に設立されたシンガポールの総合大学である。
大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)「2024年世界大学ランキング」では、世界8位、アジア1位の評価を得ている(東京大学は世界28位、京都大学は46位)。東南アジア諸国、中国、欧米やアフリカなどを含め、100ヶ国以上からの留学生を迎え、非常に国際色豊かな大学でもある。
NUSのビジネススクールでは、欧米式のビジネスモデルをアジアのリーダーシップに融合させて学ぶことで、アジア全体のビジネスに対して幅広い洞察力をつけることができるだろう。
また、広大なキャンパスには、11の学部とスクール、研究所、図書館、学生寮、食堂、病院、プールなどの施設が立ち並んでいる。
- 正式名称:National University of Singapore
- 公式HP(大学全体):https://nus.edu.sg/
- 公式HP(ビジネススクール):https://mba.nus.edu.sg/
- 所在地:21 Lower Kent Ridge Road Singapore 119077
- 大学院生数(2022-2023):16,197名
- 提供プログラム(大学院):フルタイムMBA、パートタイムMBA、その他医学や科学など
学費とクラスプロファイル
学費
- プログラム期間:17ヶ月
- 学費(2023年):SGD 94,730
クラスプロファイル
- 学生数(フルタイムMBA):120名
- 女性比率:37%
- 留学生比率:92%
- 平均勤続年数/平均年齢:6年/29歳
就職状況・平均給料
- 卒業後の平均給与/中央値:$73,892/ $65,986
- 卒業3年後の平均給与:$159,877
- 卒業後3ヶ月以内の就職率:94%
出典:NUS Business School、2023年8月時点
NUS MBAランキング
#1 in Asia QS World University Rankings 2024
#8 in the world QS World University Rankings 2024
MBAカリキュラム
NUS MBAのカリキュラムの特徴は、Academic(座学)とExperimental(実践)のバランスに優れていることである。
授業はそれぞれCore(固定授業)とElective(選択授業)に分かれており、一般的なビジネスの知識から、特定の分野や技能に特化した授業まで、幅広いプログラムが提供されている。
必修科目
Academic Coreでは、経営戦略や財務、組織マネジメント、マーケティングなど、基本的な経営の知識を習得する。
特徴的なのはExperimental Coreで、3,4ヶ月にわたって実在の企業に対してコンサル業務を行いながら実践的なアウトプットの力を養成できる、MBA Consulting Projectというプログラムがある。
Academic Core | Experimental Core |
|
|
選択科目
Academic Electivesでは、7つのコースで合わせて50以上の授業が提供されており、自身の関心やキャリアゴールに合わせた選択をすることができる。
Experimental Electivesでは、起業やHealthcareといった、特定の分野や課題、技能をテーマにした授業が提供されている。他大学や他学部との共催プログラムも多く開講されている。
Academic Electives | Experimental Electives |
|
|
専攻
特定の分野への関心が強い場合、9つのSpecialisationから専攻を選択することも可能である。
- Analytics & Operations
- Consulting
- Digital Business
- Finance
- Real Estate*
- Innovation & Entrepreneurship
- Marketing
- Strategy & Organization
- Healthcare Management*
*Real EstateもしくはHealthcare Managementを専攻したい場合、出願の時点でその旨を伝える必要がある。
交換留学
また、交換留学や研修旅行といったようなプログラムの機会もあるようだ。
- Student-led Study Trips
特定の学びをテーマに、生徒が世界各国でのstudy tripsを主催することができる
- Global Exchange Programee
提携大学への交換留学プログラム
- Global Network for Advanced Management (GNAM)
GNAMと呼ばれるビジネススクールのネットワーク間で提供されるオンラインコースやコンペティションに参加することができる
- Internships
- Industry Learning Opportunities
- Student Clubs and Activities
シンガポール国立大学MBAに留学する理由
アジアNo.1のMBAプログラム
NUSはアジア大学ランキングで堂々の一位。MBAプログラムもFTグローバルランキングで20位台の常連校だ。
プログラムはアジアにフォーカスしており、アジアに特化した知見を習得しつつ、総合大学としての知名度による信用力とネットワークを得るのには最適な環境だ。
留学生比率も高く、20か国以上からアジアを中心に学生が集まる。シンガポール国外のビジネススクールとの連携も強く、Exchange Programも充実している。
卒業後、アジアを中心にキャリアを築くのであればNUSは選択肢の1つになるだろう。
欧米と比較して比較的安い学費
NUSは国立大学だけあり、欧州や米国のトップ校と比較してかなり安く、17カ月のプログラムでSGD94,730(税込、約1,000万円、2023年8月時点のレート)だ。
アメリカのトップ校となると、学費が1年間1,000~1,300万円程度(2023年8月時点のレート)も珍しくなく、2年間で2,000〜2,500万円程度の学費総額になる。
ヨーロッパのトップMBAプログラムはプログラムの期間が短い場合が多いが、学費はアメリカ以上に高い。例えばINSEADは約10万ユーロ(約1600万円)、LBSは約11万パウンド(約2000万円)。
生活費に関して、シンガポールの生活費はアジアの中では高い部類に入り、特に住居費や食費は、中心部での生活を希望する場合、かなりの費用がかかることが予想されるが、アメリカの大都市(ニューヨーク、サンフランシスコなど)や、ロンドンやパリでは、シンガポールと同程度またはそれ以上の生活費が必要となることが多い。
総じて、生活費は高額になる傾向があるが、学費は欧米の半額に抑えることができるので、NUSでのMBA取得はアメリカやヨーロッパのトップスクールと比べると、コストパフォーマンスが良いと言えるであろう。
シンガポールという立地
シンガポールはタックスヘイブンの一つであり、海外進出企業への優遇措置も多いため、世界中の企業・スタートアップが拠点を置くグローバルハブになっている。
また、アジアMBAは欧州・欧米に比べると英語ネイティブが少ないため、英語のハンディキャップがある中でも活躍がしやすいだろう。
さらに、海外就職をしたいのであれば、アメリカやヨーロッパよりもシンガポールはVISAの要件も緩く、日本人も仕事が探しやすい傾向にある。
欧州・欧米のMBAホルダーが多い中、シンガポールのMBAを取得することは差別化になるかもしれない。
NUS MBAの偏差値は?出願の難易度や入学条件
海外の大学には、偏差値とという概念がないため、出願の難易度は出願の要件から判断することになる。
MBAの難易度と出願要件
シンガポール国立大学のMBAへの出願で必要なものは以下の通り。これはほとんどのMBA留学準備では同様となる。
このように、海外のMBA進学の難易度は、英語力や学力の証明など各種スコアの準備やエッセイ、インタビューなどの準備がハードルとなってくる。
- 学士号
- 最低2年の実務経験
- TOEFL100又はIELTS7.0
- GMAT又はGRE
- 英文レジュメ
- 成績証明書
- 推薦状2通(ビジネス関係)
- エッセイ(最低2つ、最大3つ)
- 財務状況を証明する書類
- インタビュー
- 100シンガポールドルのアプリケーションフィー
- 平均GPA(またはレンジ):N/A
- GMAT平均スコア(またはレンジ):670
- GRE平均スコア: Verbal 155/ Quantitative 165
- 最低語学要件:TOEFL 100/ IELTS 7.0
推薦状やエッセイなどについては、学校により要件が異なることも多いので、早めにアプリケーションのためのアカウントを作成して確認をしておくと安心だ。
留学経験や海外経験がない純ジャパが一番時間がかかるのは英語試験対策。留学準備のスケジュール感を持って対策を進めよう。
忙しい仕事の合間を縫って、スコアメイクをするのは骨が折れるが、留学にはその苦労を吹き飛ばすほどの価値があるはずだ。
出願準備はTOEFL/IELTS対策から
出願の流れ
出願の流れは、英語試験等をクリアし関連書類を準備→出願→インタビュー→合否となる。
書類通過の結果は、提出後2-4週間以内に通知される。
インタビューに進んだ場合、選考員との30分間のオンライン面接が行われる。
エッセイ対策
NUSのエッセイは2問に分かれており、それぞれ入学後のプランや過去の経験について問われる。さらに1問、オプショナルで回答できるエッセイも用意されている。
2023年の出題例(出典はこちら)から、その傾向を掴んでいこう。
How do you plan to spend your time on The NUS MBA to transform yourself personally & professionally? Briefly describe your experience to date, and how this and The NUS MBA can help you achieve your mid and long-term career goals. (350 words)
NUS MBAで何を学び、それをどう将来のキャリアに活かしたいのか問われるエッセイだ。
文中にも記載されているように、①これまでの経験 ②NUS MBAで学びたいことを整理した上で、それらが③中長期的な目標の達成にいかに繋がるのか、説得的に説明することがポイントとなる。
①これまでの経験については、自分の強み/資質が発揮されたエピソードを数個記載しよう。自己分析においては、NUSのコアバリュー(Excellence, Care, Innovation, Integrity, Teamwork)を参照すると良いだろう。またビジネススクール全般で重視されるリーダーシップのスキルについても、どこかで例を示せるように私用。
③中長期的な目標については、詳細まで記述する必要はないが、抽象的な回答は避けたい。あくまで説得力があり、リアルな目標(例えば就きたい役職や働きたい業界など)を示せると良いだろう。目標の内容説明だけでなく、その目標を持つようになったきっかけや、達成したい理由について記載することも重要である。
②NUS MBAで学びたいことでは、Experimentalな授業の数々やグローバルネットワーク、学外での豊富なプログラムといったNUSの特色を含められるといいだろう。
How have people, events, and/or situations in your life influenced who you are today? (250 words)
過去の経験が今日の自分をどう形作っているかという、1問目よりもパーソナルな部分を深掘りされるエッセイだ。
過去の経験それ自体を説明するだけでなく、そこから何を得て自分の中で何が変化したのかという部分に焦点を置いて記述しよう。
またオプショナル問題を除いて、エッセイは基本的に2問しか出題されないため、1問目でアピールできなかった自分の強みを記述するのが良いだろう。
Is there any additional information relevant to your application that you’d like to share with the Admissions Committee? (200 words)
ここでは先の2問でカバーしきれなかったユニークな経験や、あるいは追加の説明をしておいた方が良い事項(ギャップイヤーの理由、テストスコアについての補足など)について記述することができる。
面接質問集
昨日NUSのスカイプ面接を受けてきました。
面接官は2人で、大体20分ぐらいの駆け足で進み、ちょっと予想外の質問もありました。インターネットの調子もあまりよくなくて、騒音もありましたが、なんとかやり切りました。
- Introduce yourself
- What have you been doing since you left the previous company? / When did you quit?
- Do you listen to CNN news?
- Why MBA
- To be a consultant is not easy, it is a competitive job, what do you do?
- What will you do if you are turned down by all top consulting firms such as EY, McKinsey… in Singapore…? go back to Japan?
- Conflict experience
- Any question?
シンガポール国立大学MBA日本人向けの情報
日本人向けサイト
https://nusmbajapan.wordpress.com/
多くの海外MBAは日本人向けのアンオフィシャルサイトがある。
学校の特色や合格体験記など、リアルな情報を得ることができるので、積極的に活用することをおすすめする。
日本人のブログ
- シンガポールMBA留学記(Class of 2022)
- NUS(シンガポール国立大)MBA留学日記 (Class of 2015)
- IZA! MBA (Class of 2013)
- これからシンガポールMBAの話をしよう~NUS白熱教室 (Class of 2012)
これで全てではないかもしれないけど、日本人の私費や社費の先輩たちが、趣味、自己満足、後輩たちのために受験準備・合格体験談をブログに書いてくれている。
全部読む必要はないが、気になっているMBAの日本人ブログを読むと、英語の情報を読むよりサッと頭に入るから時間の節約になる。
大学院、MBAイベント情報
学校説明会イベント情報(in Japan)
https://nusmbajapan.wordpress.com/
終わりに
今回はシンガポール国立大学(NUS)MBAについて網羅的な解説をした。
情報は毎年変わるため、必ず最新の情報をHPで確認しよう。
MBAのイベント情報などは、Twitterでも随時情報発信しているため是非フォローしてほしい!
シンガポール:
香港:
中国:
はじめまして
NUS MBAの2020INTAKEのピータックと申します。
NUS MBAの受験時より当サイトを参考にさせていただいており、
無事オファーをいただくことが出来ました。
ここに御礼を申し上げます。
また、これからNUS MBAを目指す後輩達になにか恩返しができないかと、
私もNUS MBAの留学ブログを開設いたしました。
http://pi-tak.asia/
いまだ入学しておらず、新型コロナの関係で入学時期が不透明な状況ですが、
現在のNUSの入学状況を懸念している後輩たちにリアルタイムで情報を提供できるようにしたいと考えておりますので、
もしよろしければ日本人ブログの項目に追加いただければ幸いです。
今後も英語学習及びMBA情報楽しみにしております。
ピータックさん
コメントありがとう!そして合格おめでとう!
ブログを追加したよ。
コロナの中でいろいろ大変だと思うけど、留学生活存分に楽しんでね!