




「MBAに興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」──そんなあなたに向けて。
本記事では、MBAとは何かという基本から、海外MBA取得のメリット、必要な費用や入学要件、試験対策の進め方まで、初心者にもわかりやすく徹底解説する。
アメリカ・イギリス・アジアなどの主要ビジネススクールの情報も紹介しており、これからMBAを本気で目指す人の道しるべとなる内容を網羅している。
目次
MBAとは?
MBA(Master of Business Administration)とは、ビジネスやマネジメントを体系的に学べる経営学修士号である。
資格(会計士や税理士など)とは異なり、「学歴・学位」であるため、取得するには国内外のビジネススクールの関連修士課程に入学し、規定の単位を修了して卒業する必要がある。
MBAのプログラムは戦略、会計、マーケティング、リーダーシップなど、幅広い分野をカバーしており、キャリアアップや転職、起業を目指すビジネスパーソンにとって強力なツールだ。
ビジネススクールにおけるMBAの位置づけ
ビジネススクールとは、経営学やその関連分野を専門的に学ぶ高等教育機関である。
「MBA=ビジネススクール」と誤解されることが多いが、実際にはMBAはビジネススクールで学べる複数の専攻の一つに過ぎない。
ビジネススクールではMBA以外にも、より専門性の高い学位プログラムが提供されている。たとえば、金融やマーケティング、ビジネスアナリティクスに特化した修士号も存在する。
以下は代表的な専攻の一例である。
学位名 | 内容 |
---|---|
MBA(Master of Business Administration) | 経営学修士。経営管理全般を学び、ジェネラルマネジメントスキルを強化するプログラム。 |
Master of Finance | ファイナンス専攻。資本市場や企業財務管理を専門的に学ぶ。 |
Master of Accounting/Accountancy | 会計専攻。財務会計や監査、税務に焦点を当てた高度なプログラム。 |
Master of Marketing | マーケティング専攻。消費者行動や市場戦略、ブランドマネジメントについて深く学ぶ。 |
Master of Business Analytics | ビジネス分析専攻。データ分析とその活用による意思決定を学ぶプログラム。 |



MBAの主要カリキュラムと学べるスキル
MBAでは、ビジネスの全体像を把握するために幅広い科目が用意されている。以下は主要な科目と学べるスキルの一例である。
科目 | 内容 |
---|---|
財務会計 | 企業の財務状況を分析し、意思決定に活かすスキル。 |
マーケティング | 消費者行動の理解と市場戦略の策定。 |
経営戦略 | 長期的なビジネス計画の立案と実行。 |
オペレーション管理 | 生産や業務プロセスの最適化。 |
リーダーシップ | チームや組織を牽引する能力の開発。 |
MBAは単なる「知識の習得」ではなく、実践力やリーダーシップ力の向上も重視されている。
MBAプログラムの種類と選び方
MBAプログラムには、学習形式や対象者によって複数の種類が存在する。
まず、通学型(オンキャンパス)とオンライン型という形式の違いがある。さらに、それぞれにフルタイム(全日制)、パートタイム(夜間・週末型)があり、学ぶペースや働きながら通えるかどうかが異なる。
また、一定の職歴を持つ管理職以上のプロフェッショナルを対象としたエグゼクティブMBA(EMBA)も存在する。
形式 | 特徴 |
---|---|
フルタイムMBA | 学業に専念し、キャリアを一時的に中断して参加する形式。キャンパスでのネットワーキングが充実している。 |
パートタイムMBA | 夜間や週末に授業を受ける形式。仕事を続けながら学べるため、キャリアを中断する必要がない。 |
オンラインMBA | 世界中からアクセス可能。ビデオ講義やオンラインセミナーを活用し、場所に縛られない学習が可能。 |
エグゼクティブMBA(EMBA) | 主に10年前後の実務経験を持つ中堅~管理職向け。短期集中・モジュール型が多い。 |
海外キャンパスで学ぶ場合、フルタイムの通学制が主流であり、学生ビザの関係上、原則としてパートタイムでは入学できないケースが多い。
一方、仕事を辞めずに学びたい場合は、オンラインMBAや日本国内のビジネススクールのパートタイムプログラムが選択肢となる。

海外MBAの特徴は?国内MBAとの違いを解説
海外MBAは、国際的な環境で高度なビジネススキルを英語で学べることが最大の特徴である。
多様なバックグラウンドを持つ学生・教授との交流、グローバル企業とのネットワーク、そして世界トップレベルのカリキュラムは、国内MBAでは得難い学びと成長を提供する。
一方、日本のMBAは働きながら学びやすい設計となっており、キャリアを中断せずに学位取得を目指したい人に向いている。
以下に、両者の主な違いを表にまとめる。
要素 | 海外MBA | 日本のMBA |
学習環境 | 国際的な学生や教授陣による多様性が特徴。異文化を理解し、グローバルな視野が身につく。 | 日本人学生が中心で、日本のビジネス環境に特化した内容が多い。 |
プログラム期間 | 通常1〜2年のフルタイムが中心。短期集中型(1年)とインターンシップを含む2年制がある。 | 2年のパートタイム(夜間・週末)が一般的。通学期間は長めだが、キャリアを継続できる。 |
費用 | トップスクールでは学費1,000万円以上+生活費で総額2,000万円超も。高い投資対効果が期待される。 | 年間100〜200万円程度。比較的経済的な負担が少ない。通学による生活コストも抑えられる。 |
言語 | すべて英語で実施。英語力を実践的に鍛えられる。 | 主に日本語で実施。英語授業は一部のみ。 |
入試科目 | GMAT/GRE、TOEFL/IELTS、エッセイ、推薦状、インタビューなど多面的評価。 | 小論文、面接、TOEICなど。語学や学力よりも社会人経験や志望動機が重視される傾向。 |
就職機会 | グローバル企業や海外でのキャリア構築に直結。卒業後の平均年収も高め。 | 国内企業での昇進やキャリアチェンジが中心。グローバル転職にはやや不利な場合も。 |
海外MBAの人気校はアメリカを中心に、イギリス、フランス、スペイン、シンガポール、香港といった国・地域に広がっている。これらのスクールは国際的なMBAランキングでも常に上位にランクインしており、世界的に通用するブランド力を持つ。
一方、日本国内にも、国立の一橋大学・京都大学・横浜国立大学をはじめ、私立では慶応義塾大学・早稲田大学ビジネススクール・名古屋商科大学、そして民間のグロービス経営大学院までさまざまなMBAプログラムが存在している。卒業生や企業からの評判も悪くない。
しかし国際的な視点で見ると、日本のビジネススクールはまだ知名度が十分とは言えず、世界ランキングに名を連ねることも少ないのが現状。
教授陣の国際経験やカリキュラムの内容といった点でも、海外のトップスクールと比べると、競争力に課題がある。

海外でMBAを取得するメリットとデメリット
国内MBAとの違いを踏まえて、海外でMBAを取得するメリットとデメリットをあらためて整理しよう。
海外でMBAを取得する6つのメリット
メリット① キャリアアップが実現できる
海外MBAは、キャリアアップを目指すビジネスパーソンにとって、非常に有効な選択肢である。
戦略的思考力や意思決定スキル、リーダーシップなどを集中的に鍛えることで、より高い役職や裁量のあるポジションを目指すことができる。
特に強みを発揮するのが、外資系企業やグローバル企業への転職市場である。
アメリカやヨーロッパの有名校を卒業していれば、それだけで企業側から高い信頼を得られる。実際に、海外MBAの卒業生はプロジェクトマネージャー、CFO、CEOといった役職での活躍も珍しくない。
また、英語での議論や意思決定に慣れている点も評価され、グローバル部門や海外駐在候補として採用されやすい。
メリット② 年収アップが期待できる
海外MBA取得者の多くは、卒業後に年収が大幅に上昇する。
たとえば、アメリカのトップビジネススクールの卒業生は、初年度の年収が平均で10万ドル(約1,300万円)を超えることが一般的である。
コンサルティング、投資銀行、テクノロジー企業など、高収益分野への道が開ける。


メリット③ グローバルな人脈が築ける
MBAプログラムでは、世界中から集まる多様なバックグラウンドを持つ学生と出会う機会がある。
同級生や教授陣、卒業生ネットワークは、ビジネスにおいて重要なアセットとなる。
特に、起業を考えている場合やグローバルなプロジェクトを目指す際に、このネットワークは不可欠だ。
メリット④ 海外就職のチャンスが広がる
海外MBAでは、現地でのインターンシップやキャリアフォーラムを通じて、海外企業に就職するチャンスが多く用意されている。
実際に、卒業後にそのまま現地で採用されるケースや、グローバル企業の本社ポジションに転職するケースも多数ある。
英語での業務経験や国際感覚を備えた人材として、高く評価される傾向が強い。
メリット⑤ 実践的な英語力が身につく
英語を日常的に使用する環境で学ぶことは、ビジネスにおける実践的な英語力を大幅に向上させる。
講義、グループプロジェクト、ケーススタディ、インタビューなど、すべて英語で行われるため、自然と高度な英語スキルが身につく。
これにより、国際的なビジネスシーンで即戦力となることが期待される。
メリット⑥ 人生を変えるような経験が得られる
海外MBAは、学業だけでなく、異文化との交流や新しい価値観の発見といった人生経験をもたらす。
特に、留学を通じて得られる視野の広がりや、困難を乗り越える経験は、一生の財産となる。
異国での生活や国際的なネットワーク作りは、個人の成長に大きく寄与する。
海外でMBAを取得する3つのデメリット
デメリット① 高額な費用負担
海外MBAは学費だけでなく、生活費や渡航費も含めると2,000万円を超えるケースも少なくない。
そのため、家計やキャリアプランにおいて慎重な資金計画が求められる。
特にフルタイムで学ぶ場合は収入が一時的に途絶えることから、ローンや奨学金を活用する必要が出てくる。
デメリット② キャリアの一時中断が必要
フルタイムの海外MBAでは、現在の職を辞めて数年間学業に専念する必要がある。
キャリアの流れが中断されることに不安を感じる人も多く、復職の際に希望通りのポジションに戻れる保証がない点はリスクといえる。
デメリット③ 文化・語学の壁とストレス
全授業が英語で行われ、さらに異文化の中での生活が求められる。
語学力が不十分な場合は授業についていくのが難しくなることもある。また、慣れない環境での人間関係や生活上のストレスも少なからず影響する可能性がある。

海外MBAの入学要件と難易度
海外MBAを目指すには、一定の英語力・学力・職務経験を求められるほか、志望理由や人柄を示す資料の質も問われる。
以下は、主な入学要件と概要をまとめたものだ。
要件 | 概要 |
学歴 | 通常、4年制大学の学士号が必要。トップ校では学歴や成績(GPA)も厳しく見られる。 |
職歴 | 多くの学校で3年以上の実務経験が求められる。マネジメント経験や成果があると有利。 |
英語力 | TOEFL(100点以上)またはIELTS(7.0以上)が目安。国・学校により基準が異なる。 |
GMAT/GRE | 多くのスクールで必須。トップ校ではGMAT700点以上が推奨。GREでも可。 |
エッセイ・推薦状 | 志望理由や過去の実績、将来のビジョンなどを問われる。論理性・一貫性が重要。 |
インタビュー | 最終選考で実施される。学校との相性や熱意が問われる。 |
学歴・GPA
海外MBAでは、原則として大学卒業(学士号)の資格が必要である。
さらにトップ校では、GPA(大学の成績)の評価も重視される。一般的に、GPA3.3以上が目安とされるが、多くのトップスクールでは、GPA 3.5(4.0スケール)以上が理想とされる。
例えばハーバードやスタンフォードでは平均3.6〜3.7以上の志願者が多い。
GPAが基準を満たしていない場合でも、優れた職歴や高いGMATスコアで補うことは可能である。
職歴・リーダーシップ経験
海外MBAは、基本的に社会人向けのプログラムであり、3年以上の職歴が一般的な応募条件となる。特にリーダーシップやチームマネジメント経験、事業推進力などが評価対象となる。
- 例1: 中小企業でチームを管理していた経験
- 例2: 大手企業で部門横断的なプロジェクトを主導した実績
- 例3: 起業やスタートアップの立ち上げに関与した経験
職歴が短い場合は、起業家としての実績や業界での卓越した成果が評価されることもある。
英語力(TOEFL・IELTS)
非英語圏出身の志願者は、TOEFLまたはIELTSのスコア提出が求められる。トップ校では以下のスコアが一つの基準となる:
- TOEFL iBT:100〜109点以上
- IELTS:7.0〜7.5以上
なお、欧州の学校ではIELTSが好まれる場合もあり、アメリカではTOEFLの提出を推奨している学校が多い。
GMAT / GRE
ほとんどのビジネススクールでは、GMATまたはGREのスコア提出が必要である。特にトップスクールでは以下のスコアが目安となる。
- GMAT:700〜730点以上
- GRE:Verbal+Quantitative 合計で320〜330点以上
スコアだけでなく、数学的リテラシーやロジカルシンキング、問題解決力が問われる試験である。
エッセイ・推薦状・インタビュー
志望動機やキャリアビジョンを伝えるエッセイ、第三者からの信頼性を示す推薦状、そして最終選考としてのインタビューは、書類上では見えない「人間性」や「熱意」を伝える重要な機会である。
エッセイでは、過去の経験をふまえた「なぜ今MBAが必要なのか」「なぜその学校か」という論理的な構成が求められる。
推薦状は、上司や顧客など、応募者の業績を具体的に説明できる人物から取得することが望ましい。
インタビューでは、学校との相性、グローバルな視点、将来のキャリア像が評価される。


海外MBA取得に必要な費用と資金調達
海外MBAは人生の一大投資である。ここでは、必要な学費や生活費の目安、そして費用を補うための奨学金や資金調達方法について紹介する。
海外MBA取得に必要な学費・生活費
以下の表は、海外MBA取得にかかる学費と生活費の目安を地域別にまとめたものだ。
費用は国や都市、ビジネススクールのランキングによって大きく異なるため、事前にしっかりと調べることが重要だ。
地域 | 学費の目安(総額) | 生活費の目安(総額) | 主なプログラム期間 |
アメリカ | 1,300万〜2,000万円 | 600万〜1,000万円 | 2年制 |
ヨーロッパ | 800万〜1,400万円 | 150万〜450万円 | 1年〜1.5年制 |
アジア | 430万〜1,200万円 | 100万〜400万円 | 1年〜2年制 |
- アメリカやイギリスのトップ校(例:ハーバード、スタンフォード、ウォートンなど)は、学費・生活費を含めて総額3,000万以上になることもある。
- ヨーロッパは1年制が主流なこともあり、アメリカより総費用を抑えやすい。
- アジア(例:CEIBS、NUS、HKUSTなど)は、費用対効果が高いMBA先として人気が高まっている。
※生活費は都市ごとに異なるため、現地の物価を把握する際には以下のようなツールを活用すると便利だ。
https://www.numbeo.com/cost-of-living/
資金調達方法:奨学金情報
MBA取得には高額な費用がかかるが、資金調達の手段としては、教育ローンや勤務先からの支援など複数の選択肢がある。
その中でも、ここでは返済不要の支援である「奨学金」に焦点を当て、主な制度や申請のポイントを紹介する。
MBAでかかる学費や費用を聞くだけで、留学を諦めることはしないでほしい。
学校提供の奨学金
奨学金でまず狙いたいのは、学校から貰える学費免除の奨学金だ。
こちら基本的に1stや2ndラウンドで出願し、GMAT/GREやTOEFL/IELTSの点数が高い受験者に与えられることが多い。
日本国内の奨学金プログラム
この他にも、下記のようなMBA留学でも貰える奨学金も存在するため、積極的にチャレンジすることをおすすめする。
海外MBAの出願・選考の流れと準備スケジュール
MBA出願のプロセスは、試験対策から出願資料の作成、面接準備まで多岐にわたる。
準備が不十分なまま進めると、時間や費用が無駄になりかねない。効果的なスケジュールと準備のポイントを押さえておこう。
海外MBAの出願書類と選考の流れ
まずはMBA出願に向けた全体像を押さえておこう。一般的な出願・選考プロセスの流れは以下のとおり。
主な出願書類
- 成績証明書(大学のGPA)
- 英語試験スコア(TOEFL/IELTS)
- 学力試験スコア(GMAT/GRE)
- 推薦状(通常2通)
- エッセイ(志望動機やキャリアプラン等)
- 英文履歴書(CV/Resume)
出願・選考プロセス
- オンライン出願フォームの提出
個人情報や学歴、職歴などを入力する。 - 必要書類の提出
成績証明書、試験スコア、推薦状、エッセイなどを提出する。 - 面接(招待制)
書類選考を通過した場合、面接の案内が届く。形式は学校によって異なる。 - 合否通知の受領
面接後、合否の通知が届く。合格した場合、進学の意思を表明する。
試験対策スケジュール(GMAT・TOEFL/IELTS)
GMATやTOEFL/IELTSは出願に必須の試験であり、高スコアを目指すには計画的な準備が不可欠である。以下に、一般的な勉強スケジュール例を示す。
月数 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
1〜2か月目 | 基礎力の確認と学習計画の作成 | 模擬試験で現在のスコアを確認し、目標との差を分析する。 |
3〜5か月目 | 基礎力強化(GMAT: Math/Verbal、TOEFL/IELTS: Listening/Reading) | 正しい教材を選び、弱点を補強する。 |
6〜8か月目 | 模試と応用問題の演習 | 実践形式で時間配分の訓練を行う。 |
9か月目以降 | 試験本番に向けた最終準備 | 模試を受け、安定的に目標スコアを出せる状態を目指す。 |

留学準備スケジュール
MBA出願は複数のステップを含むため、計画的なスケジュール管理が必要である。
時期 | タスク | 詳細 |
---|---|---|
12〜18か月前 | 学校リサーチと出願スケジュール確認 | 志望校のランキング、カリキュラム、費用を調査。 |
10〜12か月前 | 試験準備開始(GMAT/TOEFL) | 試験対策に集中し、1回目の受験日を設定。 |
8〜10か月前 | 出願資料の準備開始 | エッセイ、推薦状のドラフト作成を開始。 |
6〜8か月前 | 試験結果確定、学校別エッセイ作成 | 試験の再受験が必要な場合は、この時期に実施。 |
3〜6か月前 | 出願資料の最終化と提出 | 全ての書類を揃え、志望校ごとにカスタマイズした資料を提出。 |
3か月前以降 | 面接準備 | 模擬面接を実施し、質問への回答を練習する。 |

海外MBA学校選びの4つのポイント
自分のキャリアビジョンやライフステージに適したプログラムを見極めることが、満足度の高いMBA取得への第一歩となる。
ここでは、プログラムの期間、ランキング、地域の特徴、費用対効果という4つの観点から、学校選びのポイントを解説する。
プログラムの期間で比較する(1年制 vs 2年制)
MBAプログラムは主に1年制と2年制に分かれる。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の目標や状況に合った選択をすることが必要だ。
特徴 | 1年制MBA | 2年制MBA |
---|---|---|
主な地域 | ヨーロッパ、アジア | アメリカ、日本 |
期間 | 10〜16カ月 | 18〜24カ月 |
メリット | 時間が短く、費用を抑えられる。キャリアブレイクが最小限。集中して学びたい人に最適。 | カリキュラムが充実しており、インターンシップやキャリア探索の時間が十分に取れる。ゆっくりと学びたい人向け。 |
デメリット | 学ぶ内容が圧縮されているため、短期間での高い集中力が必要。インターンシップの機会が限られる場合がある。 | 時間と費用の負担が大きい。キャリアブレイクが長期化する。 |
ヨーロッパやアジアでは1年制MBAが主流であり、特に早期に学位を取得してキャリアに復帰したい人に向いている。
一方、アメリカでは2年制が一般的で、インターンシップや多様なコースを通じてスキルを深められる。

MBAランキングで比較する
MBAランキングは学校の評判や卒業生の実績を測る指標として活用される。
以下は、MBAプログラムを評価している主要なランキングのリンクである。これらのランキングを参考に、より多くの大学やプログラムを検討してみよう。
ランキング名 | 特徴 |
---|---|
Financial Times Global MBA Ranking | 国際的なMBAプログラムを総合的に評価。年収、キャリア進展、国際的多様性が評価基準。 |
QS Global MBA Rankings | 学術評価と雇用市場での評価を基にしたランキング。地域ごとのランキングもあり。 |
U.S. News & World Report | アメリカ国内のMBAプログラムに特化。入学要件、卒業後のキャリア展望を詳細に比較。 |
Bloomberg Businessweek MBA Rankings | 学生の満足度、就職率、給与、教育内容に基づく評価。企業リクルーターの評価も含まれる。 |
Poets & Quants Top MBA Programs | 複数のランキングを総合した全体的な評価。データが豊富で読み物としても楽しめる。 |


地域の特徴を比較する
地域によって教育スタイルや学習環境に違いがある。以下は各地域の主な傾向である。
以下は代表的な専攻の一例である。
地域 | 特徴 |
---|---|
アメリカ | 多くのトップスクールが集中。2年制が主流でインターンシップやコース選択の幅が広い。 |
ヨーロッパ | 1年制が主流。インターナショナルな環境で学びたい人に適している。 |
アジア | コストが比較的低く、成長市場でのキャリア構築に有利。 |
学費・費用とリターンを考慮する
MBAは数百万円から数千万円に及ぶ大きな投資である。したがって、単に学歴を得ることが目的ではなく、将来的なキャリアや年収の向上といったリターンを見据えて選ぶ必要がある。
アメリカのトップスクールは費用が高額である一方、グローバル企業への就職や高年収ポジションへの転職といった明確なリターンが期待できる。外資系企業への転職を目指す人や、将来的に海外でのキャリアを構築したい人には有力な選択肢となる。
一方、アジアの有名校(CEIBS、NUS、HKUSTなど)は、比較的低コストで質の高い教育が受けられ、費用対効果の面で優れている。費用を抑えつつもMBAを活かして国内外でのキャリアアップを図りたい人や、起業や家業の発展を視野に入れている人には適している。
ランキングやブランドだけにとらわれず、「自分がMBAで何を得たいのか」を明確にしたうえで、目的に合った投資先を選ぶことが肝要である。
海外MBAランキング2025年版|地域別おすすめビジネススクールも紹介
世界中のビジネススクールには、それぞれ独自の特色がある。
学校選びのヒントとなるよう、ここでは、世界のランキングトップ校と地域ごとの人気MBAプログラムを紹介する。
【2025年最新版】海外MBAランキングTOP10
以下は、2025年版のQSおよびFinancial Times(FT)のグローバルMBAランキングに基づくトップ10校の一覧である。QSランキングの順位を基準に並べ、各校のFTランキングも併記した。
MBAプログラム名 | 国 | QSランキング | FTランキング |
Stanford Graduate School of Business /スタンフォード大学経営大学院 | アメリカ | 1位 | ランク外 |
The Wharton School (University of Pennsylvania) /ペンシルベニア大学ウォートン校 | アメリカ | 2位 | 1位 |
Harvard Business School /ハーバード・ビジネス・スクール | アメリカ | 3位 | 13位 |
MIT Sloan School of Management /マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院 | アメリカ | 4位 | 6位 |
London Business School /ロンドン・ビジネス・スクール | イギリス | 5位 | 7位 |
HEC Paris /HECパリ | フランス | 6位 | 9位 |
Cambridge Judge Business School /ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネス・スクール | イギリス | 7位 | 34位 |
Columbia Business School /コロンビア・ビジネス・スクール | アメリカ | 8位 | 2位 |
IE Business School /IEビジネス・スクール | スペイン | 9位 | 18位 |
IESE Business School /IESEビジネス・スクール | スペイン | 10位 | 3位 |
アメリカのおすすめMBAスクール
アメリカはMBAの発祥地であり、世界のランキング上位校が多数存在する。
ファイナンス、起業、テクノロジー分野に強みを持つスクールが多く、アメリカMBAランキングは毎年多くの受験者が参考にしている。
以下は、主要なランキングで常に上位に位置する学校の一部である。
学校名 | 特徴 |
---|---|
Harvard Business School (HBS) /ハーバード・ビジネス・スクール | 起業家育成やリーダーシップ教育で有名。ケーススタディ方式を採用し、実践的な学びを提供する。 |
Stanford Graduate School of Business /スタンフォード大学 経営大学院 | イノベーションに特化し、シリコンバレーのネットワークを活かした起業志向のカリキュラムが特徴。 |
Wharton School, University of Pennsylvania /ウォートン・スクール | ファイナンス分野で高い評価を持ち、卒業生は投資銀行やコンサルティング業界で活躍。 |
MIT Sloan School of Management /マサチューセッツ工科大学 スローン経営大学院 | 技術系企業との強いネットワークを持ち、ビジネスアナリティクスやイノベーションに特化したプログラムを提供。 |
University of Chicago Booth School of Business /シカゴ大学 ブース・スクール・オブ・ビジネス | 分析的思考を重視し、学術研究の深さと実践的な教育のバランスが取れたカリキュラムを展開。 |
ヨーロッパのおすすめMBAスクール
ヨーロッパのMBAプログラムは1年制が主流で、短期間でキャリアアップを目指す人に最適だ。
例えば、INSEAD(フランス)やLondon Business School(イギリス)は、国際的な評価を持つビジネススクールランキングの常連校である。
学校名 | 国 | 特徴 |
---|---|---|
INSEAD /インシアード | フランス/シンガポール | 世界的に評価が高い1年制プログラムを提供し、多国籍企業でのキャリアに強い影響力を持つ。 |
London Business School (LBS) /ロンドン・ビジネス・スクール | イギリス | ロンドンという立地を活かし、金融やコンサルティング分野で高い評価を得ている2年制プログラム。 |
HEC Paris /HECパリ | フランス | 起業家精神を重視し、ヨーロッパのビジネススクールとして長い伝統を誇る。 |
IE Business School /IEビジネス・スクール | スペイン | オンライン教育にも強みを持ち、起業志向の学生に人気が高い。 |
IMD Business School /IMDビジネス・スクール | スイス | リーダーシップ教育に特化し、少人数制のカリキュラムで個別指導を行う。 |
アジア太平洋地域のおすすめMBAスクール
アジア太平洋地域のビジネススクールは、近年急速に評価を上げており、地域特化の知識とグローバルな視点を融合させたプログラムが特徴である。
学校名 | 国 | 特徴 |
---|---|---|
National University of Singapore (NUS) /シンガポール国立大学 ビジネス・スクール | シンガポール | アジアのビジネス環境を学ぶのに最適なプログラムを提供し、グローバルランキングでも高評価を得ている。 |
HKUST Business School /香港科技大学 ビジネス・スクール | 香港 | 金融やテクノロジー分野に特化し、香港という立地を活かしたカリキュラムが特徴。 |
CEIBS (China Europe International Business School) /シーブス | 中国 | 中国とヨーロッパのネットワークを持ち、中国市場に興味のある志願者にとって最適な選択肢。 |
Melbourne Business School /メルボルン・ビジネス・スクール | オーストラリア | オーストラリア国内でトップクラスの評価を誇り、リーダーシップとマネジメント教育に強い。 |
Indian School of Business (ISB) /インド経営大学院 | インド | インドのトップスクールであり、グローバル企業と提携したプログラムを提供している。 |
世界のMBAプログラム一覧
本サイトでは、世界各国の代表的なMBAプログラムについて、ランキング実績や学費、入学要件、特色ある教育内容を解説した個別記事を提供している。
以下の一覧から気になるビジネススクールを選び、それぞれの詳細ページで具体的な情報を確認してほしい。
北アメリカのMBAスクール一覧

アメリカ
Georgia Institute of Technology (Scheller)
Georgetown University(McDonough)
Northwestern University (Kellogg)
University of California Los Angeles (UCLA)
University of North Carolina-Chapel Hill (Kenan-Flagler)
University of Pennsylvania (Wharton)
University of Southern California (Marshall)
University of Virginia (Darden)
University of Washington MBA (Foster)
University of Wisconsin(Madison)
カナダ
University of Toronto (Rotman)
ヨーロッパのMBAスクール一覧

イギリス
アジア太平洋のMBAスクール一覧
おすすめの関連記事まとめ
最後に、海外MBAを目指すあなたの挑戦を支えるための関連記事をまとめた。
迷いながらでも、一歩ずつ進めば必ず道はひらける。情報を味方につけて、あなたの未来を切り拓く「合格の切符」を、確実に手にしてほしい!
■各国のMBAについてもっと詳しく知りたい
- アメリカのMBAとは?特徴・ランキング・学費・入学基準まで
- イギリスのMBAとは?特徴・ランキングから学費・入学基準まで
- アジアのMBAとは?特徴・ランキング・学費・入学基準まで
- ヨーロッパのMBAとは?特徴・ランキング・学費・入学基準まで
- カナダのMBAとは?特徴・ランキング・学費・入学基準まで
■必要な費用や奨学金情報について知りたい
■入学要件や難易度、準備スケジュールの全貌が知りたい
■MBA学校選びのヒントが欲しい
■GPAについて詳しく知りたい
■エッセイ・推薦状・面接対策について詳しく知りたい
- Statement of Purpose(志望理由書)の書き方 [大学院留学]
- 海外大学院出願のエッセイの書き方と5つのポイント【2人の成功者が語る】
- 褒めるだけではダメ!MBA留学、推薦状の書き方について
- 純ジャパでも大丈夫!MBA面接準備のポイントと質問集
■試験対策(GMAT対策)について詳しく知りたい
■試験対策(TOEFL/IETLS対策)について詳しく知りたい
- TOEFL iBTとIELTSどっちが簡単?選び方と違い、特徴を徹底比較
- 【100点突破続出】TOEFLおすすめ参考書と勉強法完全MAP【保存版】
- 【7.0を超える】IELTS対策おすすめ参考書と勉強法完全MAP【保存版】

終わりに
MBAは、キャリアを大きく広げるチャンスを与えてくれる切符のようなものだ。
でも、その道のりは決して簡単ではなく、費用や準備に時間がかかる挑戦でもある。だからこそ、しっかり情報を集めて、自分にぴったりのプログラムを選ぶことが大切だ。
この記事で紹介した内容が、あなたの「なぜMBAを目指すのか?」という疑問の答えや、「どこで何を学ぶべきか?」という道しるべになっていれば嬉しい。まずは、できることから一歩ずつ始めてみてほしい。
たとえば、気になる学校を調べてみる、TOEFLやGMATの模試を受けてみる。そんな小さな行動が、数年後の大きな成功につながるはずだ。




はじめまして、
とても良質な記事で大変参考になりました。
にゃんこ先生は経験者なのですか?
将来起業や現在の刺激の足りない日々を変えたいと思い、MBA留学を視野にいれはじめました。
色々ご教示頂けると嬉しいです。
パブリック表示と、画像が残ることを認識出来ていなかったです、、!
出来ればコメントの非表示とクローズドで、ご相談できれば幸いです。
せっかくなので、個人情報を消してコメントを残しておいたよ。
このサイトはMBA留学経験者やTOEFL、IELTS等の高得点者たちによって運営されているので、色々と留学や英語学習に役立つ情報を提供できているんだ。
もし、留学で質問などがあれば他の人にも役に立つので、コメントしてもらえると喜んで答えるよ!
質問があります。高卒でMBA取得を目指しています。ハーバードビジネススクールは大卒の資格は必須条件ではないと聞きました。高卒がハーバードを目指したらバカみたいな話ですが、目指すだけ目指して見たいのが本音です。
高校時代は勉強など家出したことがなくbe動作でさえ分からない状態でした。この1年間本気で英語に取り組んだと言われれば全く取り組んでいませんでしたが、最近目標を固めて毎日勉強に励んでいます。
そもそも高卒でMBA取得は100%不可能なのでしょうか?長くなりましたが、本気なのでどうか質問に答えてくれたら幸いです。失礼いたします。
こんにちは、質問ありがとう。
ハーバードビジネススクールのホームページを見ると、MBAは大卒が要件の一つになっていることがわかる。
https://www.hbs.edu/mba/admissions/application-process/Pages/default.aspx
MBAは修士号のため、どのビジネススクールでも基本は学士号(四年制大学卒)が出願要件の一つ。4年制大学を出ていない場合、相当する学力(3年制の学士号等)があることを証明しなければならず、具体的には志望校のアドミッションオフィスに確認しておいたほうが良いね。
アドミッションに連絡する前に、下記を行うとより真剣に対応してもらえるはず。
1)TOEFL(またはIELTS)とGMAT(またはGRE)でそれなりの点数を取得
2)なぜMBAを取りたいのか、MBAを取ってどのようなことを実現したいのかを十分に考えて、自分のストーリーを語れるようになる
高卒でMBAを目指すのは、大卒よりハードルがかなり高くなるけど、優れたTOEFLとGMATスコアや経歴で、自分の優秀さを証明できれば、大学側が例外で採用してくれる可能性はゼロではないはず!
専門卒でも難しいですよね。
そうだね、基本的には出願にあたり4年制大学の学位が必要になるのが一般的だね・・
因みに最近はhultというビジネススクールから連絡が来ますが、こちらは記載がないですがどんな学校でしょうか。
こちらで紹介しているのは大体、アメリカや世界ランキングで上位50程度のビジネススクール。Hultはランクインしていないので、紹介していない。
入学難易度でいうと、ここで紹介している大学と比べると簡単なほうかな。
こんにちは。
TOEICを受け入れる大学(MBA)があると記載ありましたが具体的にスクール名を教えていただくことは可能でしょうか?
またもし出せるスコア水準をご存知でしたら教えてください。(TOEIC900後半を持っています)
またDuolingo受け入れ大学(MBA)に関しても大学名はよく聞くのですが、(Tuck ,Booth)
何点から受け入れているのかの情報を見つけられませんでした(ハーバードを除く)
こちらも大学名と水準が分かれば教えていただけると大変助かります。
以上よろしくお願いいたします
TOEICは知っている限り、HECやINSEADは認められてはいるけど、そう多くはないよ。
TOEICで出願するなら選択肢がかなり限られることは覚悟しておいたほうが良い。必要な最低スコアはそれぞれの大学のHPで確認してね。
Duolingoに関しては、コロナ禍において、TOEFL・IELTSの受験ができないこともあるので、採用されてきたけど、
最近はTOEFL・IELTSが通常通り受けられるようになってきたこともあり、Duolingoを認めなくなる(認めなくなった)学校も増えてきたみたいだね。
私達はあくまでTOEFL・IELTS推奨で、Duolingoについては多くの情報を集めていないので、ご自身で大学のHPで情報収集してみてね!