




アメリカをはじめとする海外の大学には、「え?これが授業なの?」と思わず驚いてしまうようなユニークなクラスが存在します。
たとえば、木の上で学ぶコーネル大学の自然科学、人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を題材にした文学研究、カードゲームを通じて歴史を学ぶUCバークレーの授業など。
こうした体験型・対話型の授業は、単に知識を詰め込むのではなく、学生が主体的に考え、自分の視点を深めるための「しかけ」になっています。
この記事では、実際にアメリカの名門大学で開講されているちょっと変わった授業を8つ厳選してご紹介。
「海外の大学に進学すると、どんな学びが待っているのか?」を、楽しくイメージできるような内容になっています。
これから海外大学への進学を考えている高校生や、将来を応援したい保護者の方にとっても、「学びの世界が広がる」きっかけになれば嬉しいです。
それでは、さっそく見ていきましょう!
目次
アメリカ大学のユニークな授業8選【大学別に紹介】
コーネル大学|木登りで学ぶ自然科学
大学紹介
コーネル大学(Cornell University)は、アメリカ・ニューヨーク州にあるアイビー・リーグの名門大学。
研究・教育の水準は世界トップクラスであり、特に農学や自然科学、エンジニアリング分野に強く、世界中から優秀な学生が集まる人気校である。
授業の概要・ユニークな点
コーネル大学の「Tree Climbing」コースは、アウトドア教育の一環として提供されている異色の授業。
2005年に開講されて以来、学生は実際の森の中で、安全な装備を使って木に登る技術や、木の構造、生態系との関わりなどを学ぶ。
教室では得られない“リアルな自然体験”が、授業の中心だ。
この授業から学べること
このコースでは、身体を使ったアクティブな体験を通して、自然との共生や環境保全への意識を高めることができる。
さらに、リスク管理やチームワーク、集中力といった“生きる力”が問われるのも特徴。
自然科学に関心がある学生だけでなく、将来国際的に活躍したい学生にとっても貴重な学びの機会になる。
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南カリフォルニア大学|セルフィーから読み解くアイデンティティ
大学紹介
南カリフォルニア大学(USC)は、ロサンゼルスに位置する西海岸の名門私立大学。
映画・メディア・芸術系に特に強く、エンタメ業界を目指す学生に絶大な人気を誇る。
授業の概要・ユニークな点
「Writing 150: Identity and Diversity」では、“セルフィー”を題材に、自分自身のアイデンティティを分析するという課題が出される。
学生は5枚のセルフィーを撮影し、その背景や自己表現の意図について論じる。
この授業から学べること
現代社会において、写真やSNSがどれだけ自分の「見せ方」に影響しているかを客観視できる。
メディアリテラシーや批判的思考を養うのに最適なトレーニングとなる。
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タフツ大学|ヒップスター文化研究
大学紹介
タフツ大学(Tufts University)は、ボストン近郊に位置するリベラルアーツ系の名門大学。
国際関係学や芸術、人文学分野に強く、少人数制の丁寧な指導とグローバル志向で知られる。アートやサブカルチャーへの関心が高い学生も多く集まっている。
授業の概要・ユニークな点
「Demystifying the Hipster(ヒップスターを解剖する)」というこの授業では、映画、小説、音楽、ファッションなどを題材に、“ヒップスター”という現代的サブカルチャーの変遷を探求する。
学生たちは自らヒップスター像を定義し直し、アイデンティティや文化との関係を考察する。
この授業から学べること
「流行」や「アイデンティティ」はどのように作られるのか?
社会学・文化研究・メディア論の観点から思考を深めることで、現代社会における“見えない価値観”への感度が育まれる。
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ペンシルベニア大学|ネット時間を文学に昇華
大学紹介
ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)は、アイビーリーグに属する米国屈指の総合大学。
特にビジネス、政治学、人文系に強く、国際的な評価も高い。
授業の概要・ユニークな点
「Writing for the Web」では、SNSやチャット、動画視聴など“ネットでの時間の使い方”を、文学の素材として活用。
学生は3時間ネットに没入し、その記録をもとに創作やエッセイを書く。
この授業から学べること
日常的な行動の背景にある「感情」や「思考」に気づく訓練。無意識の消費が創造に変わるという、現代的なアプローチ。
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UCバークレー|三国志カードゲームで学ぶ歴史
大学紹介
カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)は、世界屈指の公立研究大学。
特に人文学・社会科学・STEM分野の教育と研究水準は世界トップクラスで、日本人留学生からの人気も高い。
授業の概要・ユニークな点
三国志をテーマにした中国のカードゲーム「三国殺(Sanguosha)」を教材に、歴史・戦略・文化理解を深める授業。
ゲームを通じて三国時代の人物像や時代背景を学ぶと同時に、戦略思考も鍛える。
この授業から学べること
文化的背景を持つゲームから、歴史を“体験”として理解するアプローチ。
抽象的な歴史の知識を、人物像や物語として記憶に定着させる効果がある。
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MIT|Street Fighting Math(直観と論理)
大学紹介
マサチューセッツ工科大学(MIT)は、世界大学ランキングで常に上位にランクインする理工系の最高峰。
応用数学・物理・工学を中心に、理論と実践の融合を重視した教育が特徴。
授業の概要・ユニークな点
「Street Fighting Mathematics」は、精密な計算に頼らず、直感や近似、概算で問題を解く“ストリート流”の数学。
複雑な数式を使わずに、現実世界の課題を数学的に分析・解決していく。
この授業から学べること
「理論」よりも「思考の柔軟性」や「問題解決力」にフォーカス。データ分析やエンジニアリングに必要な“現場感覚”を身につけられる。
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バージニア大学|ゲーム・オブ・スローンズで読む文学と社会
大学紹介
バージニア大学(University of Virginia)は、トーマス・ジェファーソンによって創設された由緒ある州立大学。
リベラルアーツの伝統と政治学・文学の強さが特長で、知的好奇心の高い学生に人気。
授業の概要・ユニークな点
大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(GoT)」と原作小説を題材に、政治・権力・ジェンダー・宗教などのテーマを文学的・社会学的に掘り下げる授業。
この授業から学べること
エンタメ作品の裏にある「社会の構造」を読み解く力が養われる。複雑なストーリー構造や人物関係の考察を通じて、批評的思考力が高まる。
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シカゴ大学|日本の幽霊文化を深掘り
大学紹介
シカゴ大学(University of Chicago)は、経済学・政治学・哲学などで知られる世界屈指の研究型大学。
リベラルアーツと独自のカリキュラムで、「考える力」を徹底的に育む。
授業の概要・ユニークな点
「Otherworldly Literature: Ghosts, Afterlives, and the Supernatural in Japan(異世界文学:日本の幽霊、後世、超自然)」では、日本の幽霊・超自然現象を文学・絵画・映画・ドラマなどを通して分析する。アニメや怪談の文化的背景に注目。
この授業から学べること
異文化理解の一環として、非西洋圏の価値観や死生観、宗教的感性を探求できる。文化人類学・比較文学の視点を自然と身につけられる構成。
参考リンク


どうしてアメリカの授業はこんなにユニークなの?
「木登り」や「セルフィー分析」、「カードゲームで歴史学習」など、一見“遊び”のような授業が大学の正式な科目として成立している——。
なぜアメリカではこんなにユニークな授業が生まれるのでしょうか? その背景には、教育制度や学びに対する価値観の違いがあります。
教育制度・哲学の違い
リベラルアーツ教育の影響
アメリカの大学教育の大きな特徴のひとつが「リベラルアーツ(教養教育)」です。
分野を問わず広く学びながら、自分の関心や適性を深めていくこの仕組みは、学問に対する柔軟な姿勢を育みます。
その結果、映画やゲーム、SNSといった身近なテーマを切り口に、歴史・哲学・心理学・文学などを探究する自由な授業が生まれやすくなっています。
自由選択型カリキュラムの柔軟性
アメリカの大学では「履修の自由度」が非常に高く、専攻とは無関係の授業でも選択可能。
たとえば理系の学生がアートや文学の授業を受けたり、逆に文系の学生がロボティクスや数学に挑戦したりと、好奇心の赴くままに学べるのです。
こうした自由な学びの環境が、型にはまらない独自の授業設計を可能にしています。
批判的思考・創造力重視の文化
アメリカの教育では、「自分の頭で考え、意見を持つこと」が非常に重視されます。
講義を“聞くだけ”でなく、授業内でディスカッションをしたり、プロジェクトを通して考察を深めたりするのが当たり前。
そのため、授業設計も「問いを投げかける」「体験から考えさせる」ようなクリエイティブな形式が主流になっているのです。
日本に大学との違いは?
一斉講義と主体的学習の違い
日本の大学では、大人数で同じ内容を一斉に学ぶ「講義形式」の授業が中心です。
知識の伝達が主目的となりがちで、学生が自ら考えたり、意見を出す場は限られています。
一方アメリカでは、たとえ大人数の授業でも学生参加型の工夫が凝らされており、インタラクティブな学びが奨励されています。
授業が「進路選択」のきっかけになることも
アメリカの大学生は、専攻を決める前に幅広く授業を体験します。
その中で「これ面白い!」と思った科目が、将来の専攻やキャリアの方向性を決めるヒントになることも多いのです。
つまり、授業そのものが「自分の未来を考えるためのきっかけ」になり得るというわけです。


海外大学に興味が湧いたら?進学への第一歩
「こんな授業があるなら、ちょっと海外の大学もアリかも…」と思った方へ。実際に海外の大学を目指すには、いくつか準備が必要です。
でも安心してください。高校生のうちから少しずつ備えることで、ぐっと現実的な選択肢になります。
海外進学に必要な基本情報(TOEFL・GPA・出願書類)
アメリカなどの海外大学へ進学する場合、以下のような出願要素が求められます:
必要項目 | 概要 |
英語力試験(TOEFL / IELTS) | 多くの大学がTOEFL iBT 80〜100点、またはIELTS 6.5〜7.5程度を要件としています。早めの受験・対策が安心です。 |
高校の成績(GPA) | GPAは出願時の重要な評価軸。日本の評定平均を4.0スケールに換算して提出します。成績の安定維持がポイント。 |
出願エッセイ(Personal Statement など) | 自分の経験・価値観・将来の目標を言語化する力が求められます。差別化・説得力が合否を左右します。 |
推薦状・課外活動 | 担任や指導教員からの推薦状に加え、ボランティア、探究学習、部活動などの実績も評価対象になります。 |
高校1〜2年生のうちに、以下の準備を意識しておくと安心です:
- ✅ TOEFLやIELTSの受験にチャレンジ
早めに受験して傾向と対策に慣れておくと安心です。
- ✅ 学校外での経験も大切にする(探究・ボランティア・留学体験など)
多様な経験は、エッセイや面接で説得力のある話につながります。



大学選びの視野を「海外」に広げてみよう
自由でユニークな授業、専門性だけでなく人間的成長を促す学び…。
そんな魅力にあふれたアメリカの大学は、「勉強=受験のため」ではなく、「学び=人生を豊かにする旅路」としての視点をくれます。
「なんとなく国内大学」と決める前に、ぜひ一度、“海外”という選択肢にも目を向けてみてください。
未来のあなたに、新しい可能性が開けるかもしれません。


終わりに|「おもしろい授業」が未来を変えるかもしれない
「木登り」「セルフィー」「カードゲーム」——アメリカの大学には、ちょっと意外でユニークな授業がたくさんあります。
でも、そこにあるのは単なる“遊び”ではなく、学びへの好奇心を引き出し、思考力や自己理解を深めるための仕掛けです。
「学ぶって楽しいかも」「こんな授業なら受けてみたい」——そんな気持ちから進路が変わることもあります。
もしあなたやお子さんが、「もっと自由に、もっと深く、自分の興味を追求したい」と思っているなら、大学選びの選択肢に“海外”を入れてみるのも一つの方法です。
海外進学は簡単ではありませんが、準備を始めるのに“早すぎる”ことはありません。
このブログでは、TOEFLやIELTSの対策、エッセイの書き方、海外大学の選び方など、役立つ情報を随時発信しています。
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