日本やアメリカでは、1・2年次に一般教養課程を履修し、専門科目は3年次以降に学ぶ4年制の大学が一般的ですが、
出願時に選択した学部/ 学科に応じて入学後すぐに専門科目の履修が始まるイギリスの大学は基本的に3年制。
集中して専門的な知識を習得できるためイギリス留学は、これから学びたいことが明確である、将来就きたい職業のためにより専門的な知識をつけたい、といった方におすすめです。
そんなイギリスの大学といえば、世界最高峰の大学として名を馳せているオックスフォード大学やケンブリッジ大学など、誰もが一度は聞いたことであろう名門大学を思い浮かべる方も多いかと思いますがそれだけではありません。
イギリスの大学ではそれぞれの大学ごとに特化した分野が異なるため、専攻科目別大学ランキングの上位にランクインするその他の名門大学も数多く存在します。
そこで今記事では、理工系に特化した大学「インペリアルカレッジロンドン (Imperial College London) 」をご紹介。
ロンドンの高級住宅街として知られるサウスケンジントンにメインキャンパスを構える同校は、オックスブリッジと並んで英国を代表する屈指の名門校の1つとして知られています。
タイ在住。語学力を活かし現地でボランティア活動を中心に毎日を過ごす。バンコクでインターナショナルスクールを卒業し、現在イギリスの大学で心理学とマーケティングを学ぶ息子あり。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
目次
イギリスの名門校:インペリアルカレッジロンドンとは
インペリアルカレッジロンドンの基本情報と歴史
基本情報
名称: Imperial College London(インペリアルカレッジロンドン)
所在地:South Kensington Campus London SW7 2AZ United Kingdom
電話番号:+44 (20) 7589-5111
創立年:1907年
学校形態:大学・大学院(Master, Reseach Degree)
学生数:学部生 10,457名 大学院生 9,477名(2019-20)
ICLの歴史
インペリアルカレッジロンドンの歴史は、ロンドン市内数カ所に医学教育を提供するための教育施設が設立された1823年までさかのぼることができます。
それら医学学校の中で、1851年設立の Royal School of Mines、1881年設立の Royal College ofScience、そして1884設立の City and Guilds Collegeの3つのカレッジが1907年に統合、同年正式に大学設立を許可されロンドン大学に加盟。
インペリアルカレッジロンドンの前身とされています。
その後、創立100年にあたる2007年の7月にはロンドン大学から独立し、現在ではインペリアルカレッジロンドンが独自に学位を授与しています。
インペリアルカレッジロンドンは、理工系の名門大学としてイギリス国内はもちろん、海外でもその名を馳せていますが、2004年に開校したインペリアルカレッジ・ビジネススクールも世界の中でも優れた教育機関として高評価を取得。
マネージメント教育を評価する3つの国際認証機関(AMBA, EQUIS, AACSB)から認証を受けています。
インペリアルカレッジロンドンの特徴
特徴
インペリアルカレッジロンドンは、イギリスの優秀な研究型大学24校で構成される「ラッセルグループ」、またオックスフォード大学とケンブリッジ大学、ロンドンにキャンパスのある4大学を合わせた名門6大学「ゴールデントライアングル」に属しています。
また同校は、科学、工学、医学の分野に焦点を当てているイギリスで唯一の大学。
イギリスを代表する理系に特化した同校は、国内有数の研究機関として広く知られ、専攻科目別ランキングでは、多くの科目が上位にランクインするなど、理工系大学ではトップクラスの高等教育機関となっています。
インペリアルカレッジロンドンは他のイギリスの大学と比べても留学生の比率が高く、全体の6割以上が留学生。
大学には留学生サポートオフィスが設けられており、海外からの留学生がインペリアルカレッジロンドンでの学業や研究活動を円滑に遂行できるよう、さまざまな支援を行っています。
世界高水準の教育機関であるだけでなく、キャンパス内には380以上の学生主導によるクラブ活動やプロジェクトが提供されているインペリアルカレッジロンドン。
学業以外の部分においても多くを学ぶ事ができる環境が整っています。
世界大学ランキングとその評価
インペリアルカレッジロンドンは、国内外の各種ランキングで常にトップレベルの大学として上位にランクイン。
理工系の大学において世界トップレベルに位置づけられており、QS World University Rankings by Subject 2021: Engineering & Tecnology で世界8位にランクイン。
特に工学、自然科学、生命科学系の分野別ランキングで高く評価されています。
インペリアルビジネススクールは2004年開校とその歴史は長くはありませんが、修士課程におけるQS World University Rankings 2022年度の専攻科目別ランキングでは、
- MSc Strategic Marketingが第3位
- MSc Business Analyticsが第5位
- MSc Management が第10位
- QS Global MBA Rankings: Europe 2020ではMBAが第9位
にランクインするなど、各専門分野において優れた学術水準を備えています。
イギリスの大学を検索する際に1つの指標としてよく利用されるものが「英国クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds: QS)」による大学ランキング。
以下の表は2022年度発表のランキングとなります。
UK Rank | Global Rank | Institution |
1 | 2 | オックスフォード大学 |
2 | 3 | ケンブリッジ大学 |
3 | 7 | インペリアルカレッジロンドン |
4 | 8 | ユニバーシティカレッジロンドン |
5 | 16 | エジンバラ大学 |
6 | 27= | マンチェスター大学 |
7 | 35 | キングスカレッジロンドン |
8 | 49 | ロンドンスクールオブエコノミクス |
9 | 61 | ウォーリック大学 |
10 | 62 | ブリストル大学 |
※ 参照元:QS World University Rankings 2022-Top Universities in the UK
偏差値と難易度
アメリカやイギリスの大学には、日本のように一斉に行われる大学入学試験がないため、合格できるスコアの数値化が難しく偏差値というものがありません。
偏差値は、各大学の難易度を示す1つの指標となりますが、イギリスの大学では偏差値の代わりに最終成績を入学要件の1つに設定。
これら要件を満たすことで合格が決まり、その成績基準は出願をする専攻科目によって異なります。
インペリアルカレッジロンドンの各専攻科目で設定されている成績基準は、他のイギリスの大学と比べても高く入学難易度は非常に高め。
オックスフォード大学、ケンブリッジ大学に次ぐ最難関大学といわれています。
- A レベル(A*A*A* 満点) A*A*A以上(776 at Higer Level)
- 国際バカロレア(45満点)40以上
- Aレベル(A*A*A* 満点) AAB以上
- 国際バカロレア(45満点)35以上(665 at Higher Level)
インペリアルカレッジロンドンの著名な卒業生
理工系の最高峰ともいわれる教育機関の1つ「インペリアルカレッジロンドン」は、工学、科学、医学の分野で抜きん出ており、当然ながら卒業生には、科学者、物理学者など、多くの研究者が名を連ねています。
また過去には14人のノーベル賞受賞者を輩出していることでも知られています。
その他、経済界、ミュージシャン、小説家など幅広い分野で活躍する人材も多く輩出。
社会に出て活躍している卒業生同士とのつながりが強く、また在学生は卒業生とのネットワークを通じて、就職のための生きた情報を得る機会が多くあります。
サー・アレクサンダー・フレミング(Sir Alexander Fleming)
1881年8月6日ー1995年3月11日、スコットランド出身の細菌学者。
抗菌物質リゾチームと青カビから見出した世界初の抗生物質「ペニシリン」の発見者として知られています。学生時代にはロンドンに移住し、Royal Polytechnic Instituion(現ウェストミンスター大学)を卒業。
会社に4年間勤めた後の1903年には、ロンドン大学セントメリーズ病院医学校(1988年にインペリアルカレッジと合併)に入学、1906年に同校を卒業しました。
1945年には、ペニシリンの発見および伝染病に対する治療効果の発見を称えられ、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
イアン・リード(Ian Read)
1953年、スコットランド出身のアメリカ人実業家。
生後6ヶ月で両親と共にジンバブエへ移り幼少期を過ごしました。1974年にはインペリアルカレッジロンドンにて化学工学の学士号を取得。1978年には公認会計士の資格を取得し、監査人としてファイザー社でのキャリアをスタートしました。
2010年にはファイザー社のCEO(最高経営責任者)に就任。2019年末におよそ9年間務めたCEOを退職することを発表し、新たに会長に就任、現在に至ります。
インペリアルカレッジロンドンの学士課程
学部
インペリアルカレッジロンドンの学部は大きく分けて16つで構成。
それぞれの学部では学位取得のための幅広い分野に関する専門科目を提供しています。専門科目のリストと詳細については、各学部のページにてご確認ください。
学費と留学費用の目安
学費
インペリアルカレッジロンドンの学士課程では、イギリス政府の規定により現地の学生またはEU/ 留学生により異なる授業料(fee status)を設定。
その金額は選択する科目、または追加のプログラム費用の有無により異なります。
一般的に理系科目は文系科目より学費が高めの傾向にあるイギリスの大学。
理工系に特化しているインペリアルカレッジロンドンの2021/ 2022年度の学費は36,200ポンド(約570万円※)からとなっており、イギリス国内の他の大学と比べても高めとなっています。※2022年1月為替レート
各専攻科目の授業料についての詳細は、Tuition feesまたはUndergraduate Course Pages for 2022にてご確認いただけます。
留学費用
留学予算を立てる際には、学費の他に以下のような追加費用を考慮する必要があります。
- イギリスまでの渡航費用
- 滞在費
- 食事代
- 生活費
- 医療保険
- ビザ代
滞在費は、大学の寮、アパートメントなど滞在タイプ、また契約をする期間により異なります。
インペリアルカレッジロンドンでは12つの学生寮を提供。
全ての学部1年生は、期限までに申請を完了することを条件に寮での滞在が保証されており、学部生の90%以上がいずれかの寮に滞在しています。
その他、ロンドン市内には民間が管理する学生専用宿泊施設がいくつもあります。
また、物価の高いロンドンでアパートを借りるとなると高額になるためルームシェアをする学生も多くいます。
インペリアルカレッジロンドンでは、民間の賃貸アパートなどでの滞在を希望する学生のためにさまざまな情報を提供。詳細はPrivate Accommodationページをご覧ください。
留学生がイギリス留学に向けてビザ(Tier 4)を申請する際には、
授業料や生活費(滞在費を含む)などの留学費用をカバーできる資金があるということを証明する財政能力証明書を提出するよう求められます。
イギリスの高等教育機関への留学のビザ申請の際には、1年目の授業料、ロンドンでの生活費として毎月1,334ポンド×9ヶ月分(約190万円※)の資金保持の証明書を提示する必要があります。※2022年1月為替レート
ビザ申請についての詳細は、GOV.UK Student VISAをご参照ください。
留学生向けの奨学金制度
インペリアルカレッジロンドンでは多くの 奨学金や資金援助制度などを提供。
そのほとんどは現地の学生が利用できるものとなりますが、中には留学生向けの資金援助制度も。出身国別により利用できる資格や内容の異なる制度を提供しています。
インペリアルカレッジロンドンが提供する奨学金制度、President’s Undergraduate Scholarshipsは日本人の学生も利用できる制度の1つ。
成績が優秀な学生に与えられる返済不要の奨学金制度で、毎学年ごと(最大4年間)に1,000ポンドが支給されます。
この制度を利用するための申請は必要なく、入学プロセスの過程で出願を受け付けた学部側が判断。奨学金授与者には出願後、3月までに通知されます。
返済義務のない給付型奨学金を受けるためには、高校での学業成績や家庭の経済状況の審査など、厳しい条件が課されている場合がほとんどです。
募集人員も少なく「狭き門」となりますが、利用できるものがないかどうか調べてみましょう。
インペリアルカレッジロンドンへの留学方法と入学条件
学士号取得を目的とするインペリアルカレッジロンドンへの留学方法は、
- 高校卒業後にそのまま入学
- ファンデーションコースに在籍してから正規留学を目指す
という2通りの方法があります。
高校卒業後に直接入学する方法
出願資格
インペリアルカレッジロンドンへの出願は一般的に、
- A-levels
- 国際バカロレア (InternationalBaccalaureate: IB)
- Advanced Placements (AP)
の最終スコアを提出。
入学要件となるスコアは各専攻科目により定められています。
その他、異なる各国のカリキュラムにより教育が実施されている学生ためにさまざまな出願資格を設定しています。
インペリアルカレッジロンドンが認定している資格は、AcademicRequirementsよりご確認いただけます。
入学要件
理工系の名門大学として評価の高いインペリアルカレッジロンドン。高度な専門知識を学ぶために世界中から優秀な学生が集まります。
そのため申請プロセスは非常に競争力のあるもとなり、専攻する科目によっては入学要件に定められている最低スコアよりも高いスコアを求めている場合もあります。
入学要件は各専攻科目により異なり、それぞれが必須科目や成績などを含む諸条件を定めています。
またインペリアルカレッジロンドンでは多くの専攻で面接が課され、面接以外の別途試験を受ける必要がある場合もあります。
各科目のカリキュラムや入学要件、申請プロセスなどについての詳細は、Courses for 2022ページにて検索、確認するようにしてください。
必要書類
- UCASアプリケーションフォーム
- 高校の成績証明書
- 卒業証明書
- 英語能力証明書
- パーソナルステイトメント(志望動機書)
- 推薦状
以下はインペリアルカレッジロンドンが認定する代表的な英語能力テストとスコアとなります。
英語要件は各専攻科目によって異なり、それぞれのコースが求める英語能力レベル「Standard」または「Higher」のいずれかを満たす必要があります。
英語能力テスト | Standard | Higher |
Duolingo English Test | 115 Overall with no less than 105 in any band score | 125 Overall with no less than 115 in any band score |
IELTS (Academic) | 6.5 Overall (minimum 6.0 in all elements) | 7.0 Overall (minimum 6.5 in all elements) |
TOEFL iBT and iBT paper | 92 Overall (minimum 20 in all elements) | 100 Overall (minimum 22 in all elements) |
IB English A: Language & Literature | Grade 4 (if taken at either Standard or Higher Level) | Grade 4 (if taken at either Standard or Higher Level) |
IB English A: Literature | Grade 4 (if taken at either Standard or Higher Level) | Grade 4 (if taken at either Standard or Higher Level) |
IB English B | Grade 6 (if taken at Standard Level) or Grade 5 (if taken at Higher Level) | Grade 6 (if taken at Standard Level) or Grade 5 (if taken at Higher Level) |
※ 出典:English language requirement/ Tests we accept
イギリスの学士および修士号取得のための留学に必要な学生ビザ(Tier 4 )を申請する際にも英語能力証明書の提出が必要。
そのため多くの留学生は、IELTS for UKVI Academic を受験しています。
パーソナルステイトメント
海外の入試において重要な要素であるエッセイ。イギリスの大学でもエッセイ「パーソナルステイトメント」は、志望する大学の学部に対して自分の志望動機を伝えるための大切な資料となります。
専攻科目を決めて出願するイギリスの大学では、なぜこの専攻科目を選択したのかを読み手に伝えることがポイント。
専攻する学問分野に関連して取り組んだ課外活動、読んだ本、習い事、インターンシップなどの経験から、なぜこの専門科目を勉強したいのか、将来はどのような職業に就きたいのかなどを明確にまとめることが大切となります。
パーソナルステイトメント作成のヒントは、Personal StatementまたはHow to Wirite a Personal Statement/ Imperial College Londonをご参考ください。
インペリアルカレッジロンドンへの出願は、イギリス版の大学共通願書UCASを通じて行います。UCASは、出願だけではなく情報収集、出願後の流れを追跡できるシステムのこと。 5つのコース(異なる大学でも可)へ一括して出願することができます。 まずは出願の大まかな流れを早めに把握し、必要な準備や手続きを抜け漏れなく着実に進めていきましょう。 UCASウェブサイトにてユーザー登録をし、ユーザー名とパスワードを取得、 UCASアカウントを設定します。 UCASアプリケーションの主な入力内容は、出願の流れ
- ステップ5:出願期限を確認する
年度により日程に多少の差は生じますが、2022年度秋入学エントリーの主な出願期限は以下のようになります。
- 2021年9月7日ーUCAS申請受付開始
- 2021年10月15日18:00(イギリス時間)ーオックスドード大学とケンブリッジ大学、または各大学の医学部、獣医学、歯科学への出願締切日
- 2022年1月26日18:00(イギリス時間)ー全てのコースの出願締切日
- 2022年3月31日ー2022年1月26日までに受理されたほとんどの申請については、この日までに合否判定が行われます。
インペリアルカレッジロンドンの学士課程における出願プロセスでは、専攻科目により追加の入学試験BioMedical Admissions Test (BMAT)、またはMathematics Admissions Test (MAT)を受験する必要があります。
志望する専攻科目の入学要件を確認し、受験を必要とする場合にはスコアの提出方法や期限などを確認の上、計画を立てるようにしましょう。
全ての入力が完了したら出願料(1コースの場合は22ポンド、複数コースの場合には26.50ポンド)を支払います。
出願料は毎年異なりますので、UCASウェブサイトより最新情報を入手してください。
UCASウェブサイトでは、オンラインアプリケーションの内容、作成方法に関するヒントを掲載しています。
詳細はFilling in Your UCAS Application をご参考ください。
- ステップ6:出願の追跡。
提出後はUCAS内のTrackにて自分の出願状況を確認。
その他、合否結果を含む出願状況、出願に関する最新情報、面接が必要な場合の通知などを確認することができます。
なおインペリアルカレッジロンドンの合否結果は基本的に、
- 「Unconditional offer(無条件合格)」
- 「Conditional offer(条件付き合格)」
- 「Unsuccessfull(不合格)」
となります。
無条件合格とはオファーをもらった時点で合格が決定。条件付き合格とは、提示された条件を満たした場合に合格が認められます。
条件の例としては、公的機関(IELTSなど)の英語能力テストのスコア、最終学歴、特定の科目の成績などがあります。
インペリアルカレッジロンドン学部課程についての詳細はこちら。
ファンデーションプログラムから入学する方法
イギリスの教育システムとの違いにより、入学後すぐに専門科目を学ぶイギリスの大学へは、一般教養課程を履修していない日本の高校を卒業したばかりの学生は直接入学することができません。
そのため高校を卒業後にインペリアルカレッジロンドンへ留学したい場合には「ファンデーションプログラム」を受講する必要があります。
インペリアルカレッジロンドンでは、大学が運営するファンデーションプログラムを提供しておらず、以下2つのいずれかのプログラム修了後に進学するルートが一般的となっています。
大多数の学部ではファンデーションプログラムを経てからの進学を認めていますが、中にはそうでない学部もあります。
プログラムを選ぶ際には、ファンデーションプログラム修了証明を認定しているか、また学部入学に必要な成績など、ご自身が志望する学部へまずは問い合わせをし確認するようにしてください。
UCL UPCSE(ユニバシティーカレッジロンドン理工系学部入学準備証明)
ロンドン中心部にキャンパスを構えるUCLが提供するファンデーションプログラムの1つ。
UCLでは目的に合わせたいくつかのコースが提供されていますが、UPCSE (Undergraduate Preparatory Certificate for Science and Engineering) は、工学、生命科学、数学、物理学など理工学部の学位を目指す学生を対象としているプログラムとなります。
- UPCSE開講日(2022/ 2023年度)
- 学費
UPCSEの学費は22,550ポンド(2022/ 2023年度)となっています。
日本人の学生が利用できる奨学金制度には、
- プログラム修了時の成績トップ2名
- UCLの学部課程への進学を条件に毎学年ごとに5,000ポンド
支給されるものがありますが、プログラム修了後インペリアルカレッジロンドンへ進学する場合には適用されません。
- 出願資格
- プログラム開始時の年齢が16歳以上
- プログラムへの出願時で高校最終学年、または卒業している
- Aレベルや国際バカロレアなど直接学部入学のための資格を保有していない
- 入学要件
UPCSEへの主な入学要件は、
- 日本の高校を卒業
- 高校の成績証明書(必修科目あり)
- UPCSE が定める英語要件を満たす
出願に求められる成績は国ごとに細かく定められており、日本の高校を卒業後に出願する際には、全体の平均成績が3以上、さらに以下を含む関連科目で一定の成績(4以上)を修めていることが必須となります。
- 生物
- 科学
- 数学
- 物理
入学要件に関する詳細はEntry requirementsにてご確認いただけます。
- 必要書類
- アプリケーションフォーム
- 高校の卒業証明書
- 高校の成績証明書
- 英語能力証明書
- パーソナルステイトメント(500文字以内)
- 推薦状英語能力証明書
ファンデーションプログラムへの入学には英語能力証明書の提出が必要。
留学生はビザ申請の際にも必要となるため、ほとんどの学生はIELTS for UKVI Academicのスコアを提出します。
以下の表は学生ビザを申請する際に必要となる最低スコアを示しています。
出典:English language requirements
- 出願の流れ
- ステップ1 アプリケーションフォームを作成、必要書類を送付する
UPCSEへの出願は、Undergraduate Preparatory Certificate for Science and Engineeringポータルを通じて行います。
まずはアカウントを作成。記入ステップに沿って必要箇所を入力し、関連する全ての必要書類を添付の上、送信します。
- ステップ2 エントランステストを受ける
アプリケーションフォームと必要書類を提出後、入学要件を満たす場合にはエントランステストについての案内が届きます。
UPCSEへの出願を希望する学生は、生物、科学、数学、物理の中から希望する各専攻科目に関連する2科目を受験することを求めています。
エントランステストについての詳細はEntrance Testsで確認。ここではサンプルテストなども掲載しています。
- ステップ3 面接を受ける
エントランステストでの成績が50%以上の場合には面接へと進みます。面接から数日後に受験者への合否連絡が届きます。
Warwick IFP(ウォーリック大学インターナショナルファンデーションプログラム)
ロンドンから電車で北に1時間ほどの場所にキャンパスを構えるウォーリック大学のファンデーションプログラム(IFP)。
同プログラムは国内のファンデーションプログラムの中で最も古い歴史があり、国内の名門大学への架け橋として質の高いプログラムを提供しています。
ウォーリック大学のIFPでは10つのコースを提供。ご自身が希望する学部に関連するコースを選択します。
インペリアルカレッジロンドンへの学部課程進学に関連するコースには、
- Biological Sciences and Psychology(生物科学および心理学)
- Computer Science(コンピュータサイエンス)
- Mathematics and Statistics(数学および統計学)
- Physics and Engineering(物理学および工学)
などがあります。
入学要件はコースにより異なり、それぞれが必須科目や成績などを含む諸条件を定めています。
入学要件や申請プロセスについての詳細は各コースのページにて確認することができます。
- ウォーリック大学 IFP開講日
Main IFPプログラム:2022年9月26日
プログラム終了日 :2023年6月30日
- 学費
ウォーリック大学IFPの学費は21,710ポンド(2022/ 2023年度)となっています。
IFPでは成績優秀者に対し、2,000から5,000ポンドまでの返還を要しない奨学金を授与。これは出願と同時に自動的に検討され、IFPアドミッションチームにより決定が行われます。
奨学金制度についての詳細はこちら をご覧ください。
- 出願資格
- プログラム開始時の年齢が16歳以上
- プログラムへの出願時で高校最終学年、または卒業している
- Aレベルや国際バカロレアなど直接学部入学のための資格を保有していない
- 入学要件
IFPへの主な入学要件は、
- 日本の高校を卒業
- 高校の成績証明書(必修科目あり)
- FPが定める英語要件を満たす
となります。
出願に求められる成績は国ごとに細かく定められており、日本の高校を卒業後に出願する際には、以下の関連科目で一定の成績を修めていることが必要です。
なお、IFPでは志望するコースにより履修するべき科目を定めています。詳しくはこちらでご確認ください。
出典:IFP/ National School Qualifications (Japan)
- 必要書類
- アプリケーションフォーム
- 高校の卒業証明書
- 高校の成績証明書
- 英語能力証明書
- パーソナルステイトメント(600文字以内)
- 英語能力証明書
IFPへの入学には英語能力証明書の提出が必要。
留学生はビザ申請の際にも必要となるため、IELTS for UKVI Academicのスコアを提出します。求められるスコアはIFPの各コースにより異なるため確認が必要です。
- 出願の流れ
ウォーリック大学のIFPへ申し込みは、Warwick Course application formポータルを通じて行います。
まずはアカウントを作成。記入ステップに沿って必要箇所を入力し、関連する全ての必要書類を添付の上、送信します。
出典:Warwick IFP Apply
インペリアルカレッジロンドンの修士課程
インペリアルカレッジロンドンは、理工系学部に加えて研究分野でも世界トップクラス。
理工系大学としての強みと個性を最大限に発揮した世界最高峰の研究拠点を形成し、研究活動の多面的・多角的な展開を推進。修士課程でも理工系分野における幅広い専門科目を学ぶことができます。
また2004年に設立されたインペリアルビジネススクールは、理工系大学の最高峰の1つであるインペリアルカレッジロンドンの一部として、ビジネス、テクノロジー、起業家精神の融合を通じてグローバルなビジネスと社会の変革を推進することを使命とし、未来を成功に導くビジネスリーダーの育成を目指しています。
修士課程のコース
インペリアルカレッジロンドンの修士課程の学科は以下の通りです。
各学科では関連する幅広い専門科目を提供。専門科目リストと詳細については、各学科のページでご確認ください。
- Department of Aeronautics(航空学科)
- Department of Bioengineering(バイオエンジニアリング学科)
- Imperial College Business School(インペリアル・カレッジ・ビジネススクール)
- Centre for Environmental Policy(環境政策センター)
- Department of Chemical Engineering(化学工学科)
- Department of Chemistry(化学科)
- Department of Civil and Environmental Engineering(建築・環境工学科)
- Department of Computing(コンピュータ学科)
- Dyson School of Design Engineering(ダイソン・デザイン工学スクール)
- Department of Earth Science and Engineering(地球科学・工学科)
- Department of Electrical and Electronic Engineering(電気・電子工学科)
- Department of Life Sciences(生命科学科)
- Department of Materials(材料学科)
- Department of Mathematics(数学科)
- Department of Mechanical Engineering(機械工学科)
- Faculty of Medicine(医学部)
- Department of Physics(物理学科)
- Science Communication Unit(サイエンスコミュニケーション部門)
学費と留学費用の目安
修士課程の大多数のコースでは、現地学生または留学生により異なる授業料を設定していますが、中には同額を設定しているコースもあります。
修士課程での授業料は2022-2023年度で31,800ポンド(約450万円※)からとなっており、専攻科目によりその金額は異なります。※2022年1月為替レート
各コースの授業料は、Master’s courses by departmentより志望する専攻名を検索。Tuition fees and funding/ Overseas rate of tuitionよりご確認ください。
留学生向けの奨学金制度
インペリアルカレッジロンドンの修士課程で学ぶ学生のために提供されている奨学金制度の中で、日本からの留学生が利用できるものの1つに英国政府による奨学金制度Chevening Scholarshipsがあります。
この奨学金制度は、政治、ビジネス、メディア、学界等幅広い分野で将来のリーダーになる可能性があると認められた才能のある学生を対象としています。
日本からの申請方法などの詳細はこちら。
大学院への出願方法や入学条件
出願資格
修士課程(MSc, MRes,MBAなど)への出願資格は、学士号を取得、一定の成績を修めていることが挙げられます。
日本の大学を卒業後に修士課程へ進学するためには最低でもB平均が必要となります。
注意するべき点は、学業上の要件を満たすことが入学を保証するものではないということ。人気のあるコースは競争力が高いため、より厳しい要件を設定している場合があります。
入学要件
インペリアルカレッジロンドンでは、実践的応用力のある高度専門職業人を目指す人材として、修士課程での研究の基礎となる当該分野や領域での学力、そしてその分野に対しての探究心や関心などを有する学生あるいは社会人を求めています。
細かな入学要件は専門科目により異なり、それぞれが必須科目や成績などを含む諸条件を設定。
募集要項に定められたさまざまな基準を満たしている必要があります。各コースの入学要件や申請プロセスについての詳細は、Master’s courses by departmentより検索、ご確認いただけます。
必要書類
- 学士号取得、成績証明書
- 英語能力証明書
- パーソナルステイトメント
- 2通の推薦状
英語能力証明書
修士課程では、以下のいずれかの方法での英語要件を満たすことが必要です。
- それぞれのコースが求める英語能力レベル (StandardまたはHigher) を満たす
- 英語能力証明書の提出を免除されている
- インペリアルカレッジロンドンが開講するPre-sessional programmeに合格する
Pre-sessional programmeのための入学要件や出願方法はこちらにてご確認いただけます。
パーソナルステイトメント
修士課程への出願は、志望する専門科目コースへ直接出願。
そのためパーソナルステイトメントでは、
- コースへの出願動機
- 出願までの背景
- キャリアゴール
- 今回の留学がキャリアゴールにどう結びつくのか等
をまとめることが重要となります。
インペリアルカレッジロンドン修士課程への出願のためのパーソナルステイトメントについての詳細はImperial College London Writing Personal Statementsをご覧ください。
出願方法
修士課程への出願は、Imperial Gatewayポータルを通じオンライン上で行います。
まずはアカウントを作成。記入ステップに沿って必要箇所を入力し、関連する全ての必要書類を添付の上、送信します。
大まかな出願の流れは以下の通りです。
- Imperial Gatewayアカウントを作成
氏名、住所、電話番号等の個人情報、必要事項を記入、アカウントを作成します。
- コースを選択する
インペリアルカレッジロンドンの修士課程では、専攻分野における理論と応用との研究能力を高めつつ、これに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための専門的知識および能力を養うことを目的としています。
そのため将来のキャリアを見据えたコースの選択が重要となります。
- 出願する
オンラインアプリケーションと共に全ての必要書類を送信。
- 出願料80ポンド/ 各修士課程コース
- 135ポンド/ MBAコース
を支払い手続きが終了します。
なお一部のコースでは、申請時に追加書類の提出が必要な場合があります。各コースの「入学要件」にてご確認ください。
- 選考プロセス
インペリアルカレッジロンドンの修士課程のほとんどのコースでは、願書を受け付けた時点で入学審査を行う Rolling Admission( ローリングアドミッション)を採用しており、定員に達した時点で締め切りとなるため注意が必要です。
インペリアルビジネススクールでは、コースによって独自の期限を設定している場合があるため確認が必要です。
主な選考プロセスは、最終学歴での成績(予測される成績)、インタビュー、パーソナルステイトメント、推薦状により評価されます。
最後に
インペリアルカレッジロンドンは理工系の分野を学びたい学生に人気の名門大学。
毎年世界中から優秀な多くの学生が志願し、厳しい入学基準を満たす学生のみが入学を許可されてます。
そんなインペリアルカレッジロンドン入学のためには高いレベルの学力と英語力が必要とされ、イギリス国内の大学の中でもオックスブリッジと並ぶ難関をくぐり抜ける必要があります。
しかし、特定の分野をインペリアルで学びたい、というのでならば、ぜひ勇気を持って一歩前に進んでみてください。
入学までには困難なこともあるかもしれませんが、合格に向けて早くからしっかりと準備を進めていきましょう。
What’s it like studying at Imperial College London?