英語圏の高等教育機関への出願に活用されたり、留学・就労などの際に英語力の実力を証明するIELTSですが、その中で日本人受験者が難しいと感じるセクションがSpeakingのセクションです。
「スコア別のレベルってどのくらいなんだろう?」
「スピーキングの採点基準が知りたい!」
と感じている人は少なくないと思います。
今回の記事はそんな皆さんに役に立つでしょう。ぜひ、最後までチェックしていってください。
この記事の著者:Yuta
現役私立教員。大学の4年間で英語学の統語論・音韻論を専攻。TOEIC 945点。IELTS(Academic) 8.0。教員経験もしており、自分の英語学習法を伝える仕事をしております。皆さんに少しでも今後の英語学習に役に立てば幸いです。
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目次
IELTSスピーキングのスコア別の英語力レベル
そもそもIELTSスピーキングテストとは?
そもそもIELTSとは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏の国に留学する際や、現地で働く、移住を志願する人々の英語力を測定する英語試験です。
IELTSはInternational English Language Testing Systemの単語の頭文字を取ったもので、世界各国の英語が第二言語の方々に向けての試験になります。
IELTSの試験内容は4つの技能(書く、読む、聞く、話す)で構成されています。
IELTSのスピーキングは試験官と一対一の面接形式のテストです。
パート1から3までの三つのパートで構成されています。それぞれ以下の通りです。
- パート1・・・家族・仕事・趣味・勉強=日常生活などの一般的な会話
- パート2・・・自身に関すること・友だちに関すること・自分の周りに関することなどのトピックについてのスピーチ
- パート3・・・パート2に関連した抽象的な質問にディスカッションをする
IELTスピーキングテストの評価基準はこの4つ!
IELTSスピーキングのテストには大きく4つの評価基準が設けられています。
採点する面接官によって評価のばらつきがあると不平等だからです。
具体的には以下の通り4つです。
- 流暢さと一貫性(Fluency and coherence)
- 語彙力(Lexical resource)
- 文法(Grammatical range and accuracy)
- 発音(Pronunciation)
1. 流暢さと一貫性(Fluency and coherence)
言葉に詰まることなく回答できているか・適切な接続詞を用いて回答できているか
2. 語彙力(Lexical resource)
トピックに応じた様々な語彙を柔軟かつ適切に使用しているか
3. 文法(Grammatical range and accuracy)
様々な構文を自然かつ適切に使用しているか
4. 発音(Pronuunciation)
正しい発音を生成できているか・聞き取りやすくわかりやすい発音か
以上が評価基準です。配点はそれぞれ25%の計100%で計算されるので満遍なくスコアを上げることが全体のスピーキングのスコアをあげることにつながります。
IELTSスピーキングテストに望む方は必ず4つの評価基準を把握しておきましょう。
バンドスコアについて
次にバンドスコアについてです。
IELTSでは0から9までの「バンドスコア」で英語技能能力が評価されます。バンドスコアは0からスタートして0.5刻みで点数がだされます。
4つの技能(書く、読む、聞く、話す)でそれぞれバンドスコアが測定され、その4つの平均点を「オーバーオール」と言います。
就労や留学などの手続き上で相手から見られるのはこのオーバーオールになるのでよく覚えておきましょう。
ちなみに、2019年データによる日本人の平均は?
Overall平均 | 5.8 |
Speaking平均 | 5.8 |
また、国別の平均と比べると日本は?
Country | Overall |
日本 | 5.8 |
韓国 | 5.8 |
中国 | 6.2 |
カナダ | 6.6 |
フランス | 6.8 |
日本はヨーロッパの国よりも平均スコアが低いことがわかりますね。
スコア別の英語力レベルはどのくらい?
スピーキングのバンドスコアと評価基準が理解できたら、実際にスコア別に自分がどのくらい英語力か知りたいですよね。
IELTS公式HPにも掲載されているのでこちらをご覧ください。
引用元:https://ieltsjp.com/japan/about/about-ielts/ielts-band-scores
もう少し具体的に説明をしたいと思います。
IELTSバンドスコア〜1のレベル
バンドスコア~1のレベルは単語レベルでしか発話ができない程度。文法の知識がなく、中学校1年生レベルの単語力。
IELTSのオーバーオールスコアが1以下の場合、他の資格試験で比較できるものがない。オーバーオールスコア1.5は英検5級レベルに相当する。
IELTSバンドスコア〜2のレベル
バンドスコア〜2のレベルは、身近な話題やよく知っている内容など非常に慣れた状況で、どうしても受け答えが必要な時のみ、単語2・3語で簡単な文を発話できるが時折間違いがある。
また、短い表現を使って片言で伝えたり理解したりできるレベル。他の資格試験と比較すると、IELTSのオーバーオールスコア2.0が英検4級レベルに相当。
参考:IELTS Speaking Test Band Score 2.5
IELTSバンドスコア〜3のレベル
バンドスコア〜3のレベルは、毎日の生活での会話や自分の趣味の内容など一般的な内容を英語で伝えたり理解することができるレベル。
発話時にとぎれとぎれになる、文法的な間違いがある。表現に改善の余地がある状態。IELTSのオーバーオールスコア3.0は、英検3級に相当。
参考:IELTS Speaking Test Band score 3.5 with feedback
IELTSバンドスコア〜4のレベル
バンドスコア〜4のレベルは、身近な話題の会話や文章など慣れた状況下なら、基本的な英語を理解することができる。
英語を読んだり表現したりする時スムーズにできないことも頻繁にあり、複雑な文法や用語を使った言葉遣いはできない程度の英語レベル。
参考:IELTS Speaking Test Band Score of 4 with feedback
IELTSバンドスコア〜5のレベル
バンドスコア〜5のレベルは、単純なスピーチや限られたトピックではスムーズに英語を話すことができる。
日常生活のほとんどの状況でおおまかな文章を話すことができる。専門的な分野でのスピーチに流暢さが欠け、語彙力が限定される。
IELTSのオーバーオールスコア5.0は、英検準1級やTOEFLスピーキング15-18 / 30点満点に相当。
参考:IELTS Speaking Band 5.0 Mock Test with Feedback
IELTSバンドスコア〜6のレベル
バンドスコア〜6のレベルがあれば、多少の間違いがあるものの伝えたいことを十分に伝えることがで、専門的なトピックにも十分な語彙力で会話をすることができる。
発話中のつまりが少なくおおむね流暢に発話ができる。単文と複文を混ぜて発話することができるが、複文で多少の間違いがある。
英検1級の2次試験に合格するレベルTOEFLスピーキング19-22 / 30点満点
参考:IELTS Speaking Band 6.0 Mock Test with Feedback
IELTSバンドスコア〜7のレベル
IELTSのオーバーオールスコア7.0は、海外の大学(院)でスムーズなやり取りや発表ができるレベル。
よって、海外大学への進学・大学院留学などに求められるのはこのレベルであることが多い。
ただ、繰り返し同じ表現やいくつかの文法間違いも見られる。英検1級やTOEFLスピーキング23-25 / 30点満点といったレベルに相当。
参考:IELTS Speaking Band 7.0 Mock Test with Feedback
・IELTSバンドスコア〜8のレベル
バンドスコア〜8のレベルがある学習者は英語圏のネイティブ環境で無理なく働けるレベル。
発音の特徴も十分に捉えており、ネイティブとほぼ変わらない。しかし、ごくまれに適切でない表現や間違った使い方などはまだ少し見られる。
TOEFLスピーキング27-30 / 30点満点。
参考:IELTS Speaking test band score of 8 with feedback
・IELTSバンドスコア〜9のレベル
IELTSバンドスコア9.0を取得していれば、ネイティブスピーカーと同等のレベル。
全トピックに関して正確な語彙・表現を使っている。全てのIPAを理解しており発音の間違いはほぼない。
参考:IELTS Speaking test band score of 9 with feedback
いかがでしたか?バンドスコアごとにどのように英語を運用することができるのかを説明しました。
自分が求めるレベルを確認したり、すでに結果がわかっている人は現状のレベルを知るのに役立ててください。
IELTSスピーキングのスコア別採点基準
IELTSのスピーキングにはスコア別に具体的な評価基準があります。
試験を受ける際は必ずこの評価基準を確認しましょう。
IELTS公式サイトより表の評価基準を参照することができます。今回はスコア別に評価基準のポイントをピックアップします。
スコア4以下
流暢さと一貫性 |
|
語彙力 |
|
文法知識と正確さ |
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発音 |
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スコア4~5
流暢さと一貫性 |
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語彙力 |
|
文法知識と正確さ |
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発音 |
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スコア5.5~6.5
流暢さと一貫性 |
|
語彙力 |
|
文法知識と正確さ |
|
発音 |
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スコア7~8
流暢さと一貫性 |
|
語彙力 |
|
文法知識と正確さ |
|
発音 |
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スコア8.5~9
流暢さと一貫性 |
|
語彙力 |
|
文法知識と正確さ |
|
発音 |
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IELTSスピーキング点数別の勉強法
スコア4~5
- 単文で良いので、文を組み立てて発話する
- 英検準2級レベルの語彙を抑える
- 基礎となる文法知識を使う
単文で良いので、文を組み立てて発話する
IELTSのスピーキング問題に取り組むときは、主語+動詞+目的語の基本3語で答える練習をしましょう。
可能であれば、そこから情報を加えていきましょう(どこで、誰と、いつ、どうやってを加えるイメージ)
英検準2級レベルの語彙を抑える
英検の単語帳は「英検Pass単熟語」がオススメです。
まずは準2級までの語彙を習得しましょう。覚え方は日本語→英語、例文を使って学習することがオススメです。
基礎となる文法知識を使う
まずは中学校で学習する文法知識は理解できるようにしましょう。オススメは「English Grammar in Use」という文法を英語で学ぶものです。
難しそうに見えますが、イラストや豊富な例文があるのでイメージしやすいです。ネイティブの英語の感覚を学べるので、これから英語を頑張りたい人ほどオススメです。
中学校文法を網羅しているのでこちらが理解できるようになるまで読破しましょう。
スコア5.5~6.5
- とにかくテンポよく会話を続ける
- バリエーションのある接続詞で文をつなげる
とにかくテンポよく会話を続ける
複文を作る接続詞を入れ、複雑な文章を発話する方がスコアがあがりますが、流暢さに欠けてしまっては元も子もありません。
単文でも良いので、お題に対してシンプルに解答する。情報を付け足す時は,and, but…などの簡単な等位接続詞を使うところからスタートしましょう。
バリエーションのある接続詞で文をつなげる
「とにかくテンポよく会話を続ける」で簡単な接続詞を使いながら流暢さに問題が亡くなってきたら、バリエーションのある接続詞をインプットしましょう。
下記のような「接続詞一覧表」はとても便利です。自分は机の壁に張っておき、いつでもこの表が見れるように工夫しました。
問題集で練習するときも、難易度の高い接続詞を意識的に使ってアウトプットが自然にできるまで練習しましたよ。
スコア7~8
- 幅の広い時制を使って英語を表現する
- フォーマルな語彙を安定して使う
- 複雑な複文や構文を使っても話に一貫性を持たせる
幅の広い時制を使って英語を表現する
日本人が不得意な「現在・過去完了、完了進行形」などの細かいニュアンスを伝えられないとスコア7~8は難しいです。
文法面は「Grammar in Use」の上級を熟知したいところです。
インプットしたものをアウトプットできるまで、例文を何回も声に出して読み込む。問題集の中で使っていく。を繰り返しましょう。
フォーマルな語彙を安定して使う
フォーマルな語彙は英検で言うと準1級の単語はマストで使えるようにしましょう。教材は「Pass単熟語」がオススメです。
自分は単語帳の例文から英単語を学ぶ癖を付けていました。
英単語→日本語訳では実際の会話場面では使用することは難しいので、日頃から文の中で単語を学ぶ癖を付けましょう。
複雑な複文や構文を使っても話に一貫性を持たせる
複雑な構文、接続詞を使いながら一貫性を持たせるのは大変難しいことです。練習法としては、
- スピーキングの内容は録音して、あとで文字に書き起こす
- 書き起こした内容を添削する(複雑な構文・表現・語彙と一貫性を見ながら)
- スムーズに読めるまで何度も読み込む
がオススメです。
①~③をどの問題でも繰り返すと自ずとスピーキングの質が変わってきます。
スコア8.5~9
- 発音はネイティブの音と同じレベルにする
- パート3のフォーマルな場面でも正確な文章と社会的な内容を話す
- 複雑な構文・時制は完璧にする
スコア8.5~9はほぼネイティブと変わらない方たちを指します。発音に関してはネイティブスピーカーとほぼ遜色ないレベルまでいかなければいけません。
複雑な構文や時制を使ってもほぼノーミスで話を続けることが大切でしょう。
パート3では抽象的な話題が出題されますが、ここでは文法知識と正確さだけでは不十分です。
必ず内容の部分でより深い社会的な内容を話せているかが大切です。
英語力というよりも、普段から見ているニュースや知識・新聞などにでてくるような深みのある内容でなければ評価の基準も下がってしまうので気を付けましょう。
具体的なIELTSスピーキングの勉強法はIELTSスピーキング対策・3つのコツをご覧ください。
すぐに実践できるスピーキング勉強法なので上記の説明と合わせて参照すると効果的です。
まとめ
いかがでしたか?今回はIELTSスピーキングのスコア別の難易度・レベルを徹底解説しました。
IELTSスピーキングのスコア別の採点基準を解説し、スコア別の勉強法・すべきことも紹介しました。
IELTSテストは採点基準が明確になっているので対策を行えばしっかり結果がついてきます。
この記事を参照して、これからの勉強・IELTSスピーキングテストに生かしてください。
この記事はインターンのKazuによって編集されました。