英語圏の高等教育機関への出願に活用されたり、留学・就労などの際に英語力の実力を証明するIELTSですが、その中で日本人受験者が難しいと感じるセクションがスピーキングのセクションです。
「そもそもスピーキングの流れがわからない。」
「初めてのIELTS試験で緊張する。」
と感じている人は少なくないと思います。
今回の記事がそんな皆さんの役に立てば嬉しいです。ぜひ、最後までチェックしていってください。
この記事の著者:Yuta
4年生大学にて英語学(統語論・音韻論)専攻。大学卒業後はフィリピンに留学し大学で1年間自己の英語力を伸ばす。TOEIC公開テストL&Rでは945点、IELTS(Academic)では8.0点 C1 Levelを獲得済み。現在は私立教員とWebライターとして活動している。
IELTSスピーキングの本試験では、4ヶ月ごとに同じ問題プールが使われ、直近過去問からも3割〜5割程度は出題。
オリジナル解答例+音声を含む140ページ以上の学習資料を活用しよう!
IELTS直近過去問をみる
目次
IELTSスピーキングの全体の流れ
IELTSテストを初めて受験する方はテストの流れを把握することがとても重要です。流れを知っておくとテストでの気持ちの持ちようが変わってくるからです。
IELTSは4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)を測定します。
それぞれがどのような時間帯で行われたり、試験時間を把握することはテストで高得点をとることにつながりますよ。
私の初めてのIELTSテストはぶっつけ本番で、流れ・時間などはまったく調べませんでした。もちろん結果は惨敗です。
その後、しっかり流れを確認し、無駄な緊張をすることがなくなったため、のびのびと試験に望むことができました。
IELTS試験におけるスピーキングの順番
IELTS試験におけるスピーキングの順番は以下の通りです。
ライティング→リーディング→リスニング→スピーキングの順番が標準になります。
なので、スピーキングテストは最後の技能になることを理解しましょう。しかし、先ほどの流れは単なる目安です。試験会場や日程によって変わる場合があります。
よくあるパターンは、ライティング→リーディング→リスニングは一日目に実施。2日目にスピーキングのみ実施のパターンです。
日を跨ぐこともあるので、自分の試験会場の日程をよく確認しましょう。
最後にスピーキングが来るということは、他の3技能で頭を使っている状態なので、脳に疲労が溜まることが予想できます。
例えば、その場合休憩時間にどれだけ頭をリフレッシュできるかなどが試験の際には役に立ちますよ。
以下はIELTS公式サイトからの目安の流れになります。
試験開始 | 9:00頃 |
問題冊子・解答用紙配布 | 9:00〜9:20 |
ライティング(60分) | 9:20〜10:20 |
回答用紙・問題冊子回収、配布 | 10:20〜10:30 |
リーディング(60分) | 10:30〜11:30 |
回答用紙・問題冊子回収、配布 | 11:30~11:40 |
リスニング(40分) | 11:40〜12:20 |
回答用紙・問題冊子回収 | 12:20〜12:30 |
試験終了 | 12:30頃 |
*スピーキングは午後の部で行う(13:00 ~ 19:30)
スピーキング全体の流れ、所要時間
それではIELTS試験全体の流れを把握できたので、次はスピーキングテストの全体の流れを確認しましょう。
以下がスピーキングテストの大まかな流れです。
Part | 試験時間 | 内容 |
パート1 | 4-5分 | 自己紹介や身近なトピック(友人・家族・仕事・趣味など)に関する質問に答える |
パート2 | 3-4分(準備時間1分・スピーチ2分) | 提示されたトピックに対してスピーチを行う |
パート3 | 4-5分 | パート2に関連した抽象的な質問に答える(自分の意見を述べる場合が多い) |
表を見るとわかる通り、IELTSスピーキングテストの構成は3パートです。
基本的にパート1から3になるにつれ、専門的な話題になるのでパート1が比較的優しくパート3が難しいと言えるでしょう。
試験時間は全てのパートで約5分程度かかります。なので、トータルで約15分の試験時間を要するでしょう。
持ち物リスト
IELTSテストには必ず必要な持ち物があるので、ここで必ずチェックして忘れることがないようにしましょう。当日必要な持ち物は、以下の5点です。
- パスポートの原本
- パスポートのカラーコピー
- HB・Bの鉛筆
- 消しゴム
- 水
①パスポートの原本 ②パスポートのカラーコピー
IELTS試験の時には必ず必要な持ち物です。パスポート原本とカラーコピーがない場合、試験は受けることができません。
パスポートのカラーコピーはIELTS指定の方法があるので以下の詳細をご覧ください。
詳細: https://www.eiken.or.jp/ielts/apply/#content7
③HB・Bの鉛筆 ④消しゴム
IELTS試験は鉛筆のみの使用です。シャープペンシル、ボールペン等は不可なので気を付けましょう。
⑤水
持ち込める飲み物は水のみになります。
また、水・容器共に無色透明でなければいけません。
ペットボトルの場合は外のラベルを必ずはがしての持ち込みになります。
以上の①~⑤は必須の持ち物です。それぞれルールがあるので気を付けましょう。
入室から自己紹介までの流れ
IELTSスピーキングテストの入室から自己紹介までの流れを紹介します。
ファーストコンタクトはこの入室・自己紹介です。
直接スコアに響くことはありませんが、良い印象を与えた方がスムーズに試験は進む可能性が高いです。最後までご覧ください。
流れと理想的な回答時間
以下が入室から自己紹介の流れの目安です。
- 入室
↓
- 挨拶
↓
- 試験官からの質問(名前は何か・何と呼ばばいいか・出身地)
↓
- IDの提示
入室
試験会場に入ったら椅子があるので静かに座りましょう
挨拶
試験官からGood afternoonと言われるので挨拶を返せば大丈夫です。
試験官からの質問
簡単な挨拶が終わると試験官からいくつか質問をされるパターンが多いです。
- 名前は何か?
- 何と呼べばいいか?
- 出身地はどこか?
がよく聞かれる質問です。
IDの提示
受験者のIDを提示しなくてはいけないので
- Could I see your identification, please?
- Can you show me your identification, please?
などと言われたら
- Sure.
- Here it is.
などの言葉を添えてIDを渡しましょう。
以上が入室から自己紹介の流れです。特に試験官からの簡単な質問は「絶対にこれ!」ということはないので、あくまで目安であることを頭に入れておきましょう。
気を付けるポイント
では、入室からの流れを把握したので、気を付けるポイントを紹介します。ポイントは以下の通り3つです
- 堂々と英語ができる雰囲気で話す→印象を良くするため
- シンプルに答える(余計な情報はつけない)→スコアに関係はないため
- 出身地は英語の発音を間違えないようにする→試験官にマイナスの印象を与えないため
次の動画では上の3つのポイントを良くおさえています。
日本人にとってスピーキングはとても緊張するテストですが、流れやポイントを理解しておけば少しは気持ちの準備ができると思います。
実践フレーズ・表現の紹介
- Hi/Hello
- Good afternoon [ 試験官の名前 ]. My name is ○○.
- Just call me ○○.
- You can call me ○○.
- Please call me ○○.
- You can call me by my English name, ○○.
- I’m from ○○.
- I come from ○○.
- I’m from ○○, which is in the ○○ of Japan.
パート1の流れ
次はスピーキングのパート1の流れを紹介します。
流れと理想的な回答時間
パート1は時間にして4-5分で完結するパートです。カジュアルな質問が多く内容としては自己紹介や身近なトピックです。
- 友人
- 家族
- 仕事
- 趣味
などがよくある例です
英語ではこのような質問が典型的です。
- What is your job?
- Do you like your job?
- What do you study?
- Why did you choose that subject?
- Are clothes important to you?
- When do you usually get up in the morning?
- Do you spend much time with your family?
パート1は受験者の実体験から答えられる質問がほとんどなので、回答内容が思いつかないという心配は少ないです。
回答のポイント
パート1の出題内容を紹介しましたが、実際にはどのように回答をすれば高スコアを期待できるかご存じですか?
全てのパートで言えることですが、IELTSスピーキングテストは基本的に受験者が一方的に話さなくては高スコアは期待できません。
その上で、上手く話を展開する方法があります。次のポイントです。
ポイント:PREP法意識して回答すること
PREP法とは論理的に情報を網羅しながら話す・書く方法です。PREPは以下の頭文字です。
- P=Point(要点)
- R=Reason(理由)
- E=Example(具体例)
- P=Point(要点)
この順番で展開すると、長い1分や2分の長い時間でも一人で話すことができます。
実際の例
次の動画をみてPREP法をどのように使っているかわかりますか?
以下は最初の質問[Job 仕事]についての回答をPREP法で分析しました。
P=Point(要点)
- Do you have a job?「仕事をしていますか?」
→I have a job. I work for a big bank in Tokyo, but I want to be a student again.
「はい、東京の大手銀行で働いています。ですがもう一度学生になりたかったです。」
- What do you like the most about your job?「仕事の中で一番好きなことは何ですか?」
→I help invest in small and mid-sized businesses
「中小企業への投資の手助けをしているとき」
R=Reason(理由)
- Do you have a job?
→I’m seeking to study at an MBA program~.
「MBAプログラムを勉強したいからです。」
- What do you like most about your job?
→I enjoyed it because those small and mid-sized businesses need a financial support from the bank~.
「中小企業が大手銀行から税制支援を望んでいて、それを手助けできるからです。」
E=Example(具体例)
- What do you like most about your job?
→It’s good to see that these companies grow and start making lots of profits and of course, they always see the look on their employees
「出資した会社が成長して利益を出すところを間近で見られるところがいい。もちろん我々は従業員の姿を見ています。」
P=Point(要点)
→特に自分から話してはいなかった
どうですか?一見難しく話しているようにも見えますが、PREPの流れのまま、そのトピックに合った回答をしているだけになります。
この動画ではありませんでしたが、最後のP=Point(結論)を述べるとより完結したスピーキングができます。
パート2の流れ
次にパート2の流れと回答のポイントを紹介します。
流れと理想的な回答時間
パート2は3-4分(準備時間1分・スピーチ2分)の時間を要します。提示されたトピックに対してスピーチを行います。①ー③の順番です。
- 試験官からスピーチに関するトピックカードが渡される
- *トピックの下には関連する5W1H質問が箇条書きで記されています。スピーチの時は箇条書きの質問の回答を含めましょう。
- 受験者は、メモを取ったりスピーチの内容を考えたりする準備時間が1分間与えられる
- 2分間のスピーチを行う
例)
【Describe a time of the day you like】
you should say:
・what time of day it is
・what you do at that time
・who you are usually with
・and explain why you like it
回答のポイント
先ほどPREP法を紹介しましたがパート2、3でもやることは同じです。特に2分間スピーチをするパート2ではより論理的に話を展開できるかが高スコアのカギになります。
逆にPREP法を習得していないと、よくある失敗談として
- 何度も同じことを言ってしまう
- 質問内容から逸脱する
- 途中で何を話しているかわからなくなる
等があります。日本語でも文章構成を意識しないで2分間話すのは難しいですよね。英語ではもっと難しくなります。
パート2では5W1H質問が箇条書きされています。これはPREP法を守っていれば、特に身構えるようなことではありません。なぜなら
Why~? → PREP のR=Reason(理由)で説明できるから
Why 以外の質問(何を、どこで、どのように、いつ、だれと) → PREPのE=Example(具体例)で入れざるを得ないからです。
実際の例
Q. describe the time you visited someone in another city
「地元以外の場所で誰かとあった時の時間を述べる」です。
P=Point(要点)
→I visited my friend in Paris. Her name is Julian.~ when she was a freshman student. She was in the first course. 「パリにジュリアンという友だちを訪ねた。その時は彼女が新入生の時です」
良い点:誰と・どこで・いつ会った時の話を述べている。
改善点:いつの話かが具体的ではない。何年に起こったかを言うとなおよし
R=Reason(理由)
→First, we see each other once in a blue moon.
Second one, I had my Schengen visa so I tried to use it and to visit Paris
「最初の理由は、お互いたまにしか会わないから。」「二つ目は、シェンゲンビザがあるのでそれを使ってパリを訪れたかったから。」
E=Example(具体例)
→Paris has a long historical background. It has plenty of sites like Hayfield tower. and some other things. I would have to say that I was over the moon to just catch up with Julia.
「パリには歴史的な背景が沢山ある。例えばヘイフィールドタワーや他のものがあります。」
「ジュリアと久しぶりに会えて、正直とても嬉しかったです。」
P=Point(要点)
→We visited lots of places together. She showed me Paris, and I was so impressed.
私たちは一緒に沢山の場所をまわって、彼女はパリを紹介してくれました。感動的な思い出です。」
パート3の流れ
最後にパート3の流れとポイント紹介します。
流れと理想的な回答時間
パート3は4-5分の試験です。
パート2に関連した抽象的な質問に答える(自分の意見を述べる場合が多い)
パート3では、パート2のトピックに関連する質問が出題されます。パート1・2は自身の身近なできごとや経験などが問われる質問でしたが、パート3は客観的な意見や一般論を答えるディスカッション形式の試験となります。
例)
- Do you think children should study art at school?
- What makes a good student?
- Do you think there will be less illness in the future?
- Do you believe everything you read in the newspapers?
回答のポイント
パート3でも回答の手順はPREP法を守りましょう。
トピックがパート1、2に比べ、堅苦しいお題になるので、IELTSの質問例を使い、何度も自分で練習して慣れるしかありません。
詳細については、以下記事にて解説していますのでチェックしてみてください。
実際の例
実際の例
- What preparations do you have to make if you’re visiting a city that is far away?
「遠い場所に行くときはどんな準備をしなくてはいけないですか?」
P=Point(要点)
→You need to reserve the accommodation.
「宿舎の予約がまず必要です。」
→You need to make an itinerary.
「旅行表を作ることが必要です」
R=Reason(理由)
→If you don’t look it, you can just get a high rate which can cost an arm and leg for you.
「もし事前に探さなかったら、現地で事前予約よりも高い値段がついてしまうから」
→It is much more convenient to get a plan and to just make a journey according to it.
「計画をたてるのに役立つし、それにしたがって旅行をすることができる」
E=Example(具体例)
- Which city is the most popular in your country
→Moscow is the most touristic place in the country as well as probably Saint Peter’s book. It’s also attractive for foreign people, and probably Sochi is also a good option
「モスクワが一番旅行に適した場所だと思います。また、ペトロの本でも有名なので外国人には魅力的でしょう。また、ソチもいい選択ですよ。」
P=Point(要点)
→特に自分から話してはいなかった
緊張しないためのポイント紹介!
緊張しないポイントは事前準備を怠らないことです。
- 試験の流れを把握する
- 時間配分を理解する
- どのような質問がされやすいかを頭に入れる
つまり、この記事に書いてあることをまずは、頭に入れましょう。一番人間が緊張するのはアドリブや次になにをするかがわからないことです。
IELTS試験の流れがわかっていれば、あとは学習したことを生かすだけです。
試験のこと以外は余計なことは考えないのが一番でしょう。
まとめ
どうでしたか?IELTSを初めて受験する方に向けて、スピーキングテストの流れ、気を付けたいポイントを紹介しました。
ぜひ、試験前にもう一回この記事を見返しましょう。