英語圏の高等教育機関への出願に活用されたり、留学・就労などの際に英語力の実力を証明するIELTSですが、その中で日本人受験者が難しいと感じるセクションがスピーキングセクションです。
「スピーキングって難しいって言うけど、何がむずかしいのかな?」
「実際に受験した方の話が聞きたい!」
と悩んでいる人は多いですよね!
今回は、IELTSスピーキングが難しい理由やよくある失敗のケースを紹介します。失敗を克服する対策方法も解説するので、ぜひ最後までチェックしていってください!
この記事の著者:Yuta
4年生大学にて英語学(統語論・音韻論)専攻。大学卒業後はフィリピンに留学し大学で1年間自己の英語力を伸ばす。TOEIC公開テストL&Rでは945点、IELTS(Academic)では8.0点 C1 Levelを獲得済み。現在は私立教員とWebライターとして活動している。
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目次
IELTSスピーキングは難しい?よくある失敗のケース
IELTSスピーキングは4つの項目(話す・聞く・読む・書く)の中でも難しいセクションだと言われています。
実際に試験を受けた方の失敗のケースをよくチェックしておくことも大切です。
今回は私の失敗談を紹介します。(この失敗談は他の受験者も経験したことが多いものです。)
そのスピーキングでの失敗談・難しい理由は大きく以下の3つです。
- トピックが難しい
- スピーキング時間が余る
- 言い直しが多くなる
では、詳しく見ていきましょう!
トピックが難しくて話すことが思いつかない
IELTSスピーキングテストは3つのパートで構成されています。
- パート1・・・家族・仕事・趣味・勉強=日常生活などの一般的な会話
- パート2・・・自身に関すること・友だちに関すること・自分の周りに関することなどのトピックについてのスピーチ
- パート3・・・パート2に関連した抽象的な質問にディスカッションをする
パート1・2は自分ごとの話や自分の周りについてのトピックが多いので、そこまで難しい印象はありません。
思ったよりもカジュアルな話題が多く、友だち同士でも話すようなトピックが多いでしょう。
しかし、パート1・2でも自分に馴染みのない話題が来ることもあります。
例えば、「あなたはジュエリーを普段から付けますか?」の問題が出たとして、自分がジュエリーに全く興味がなかったら話の引き出しが少なくなりますよね。
IELTSスピーキングの難問はパート3です。パート3は、パート2に関連した抽象的な質問についてディスカッションします。
法律・科学技術・ビジネス・医療・歴史・文化・生き方などの日本語でも話すのが難しいだろうという内容です。
医療のトピックで「昔の医療と今の医療でどのような違いがありますか?」と聞かれたことがあります。
医療の専門知識がないですし、「今までそんなこと話したことないよ!」と試験中に思ったことがあります。
時間が余る
IELTSスピーキングは試験官が質問をし、自分がスピーキングします。
基本的に試験官は質問以外は話さないので、自分がどれだけ英語を話せるかを見られます。時間が余ってしまうとスコアは伸びないです。
特にパート2では2分間という時間が設けられていて、その間は自分が一方的に英語を話さなければいけません。
普段から練習をしていないと、2分間ほどのスピーキングができないでしょう。
私のIELTS初めての試験では、1分ほどで言うことがなくなってしまい、そのあとは黙ってしまうことがありました。スコアは伸びず5.5-6.0で止まっていました。
言い直しが多くなる
IELTSスピーキングで日本人が失敗してしまうのが、英語の言い直しが多いことです。
試験では初見の問題が渡され、自分の頭でアイデアを考えながら話さなければいけません。
よくあるのが、次に言うことを考えているときに、さっき言ったことをもう一回言ってしまうことです。
また、すでに述べていることを単語を変えて言い直しただけの解答をやりがちです。
私は現に、スピーキングスコア6.0の時に大体10箇所くらいの言い直しがあったと思います。
発音や語彙の部分で評価が高く付けてもらえた気がしますのでスコア6.0まではいきました。
原因はトピックに対してのアイデアが固まっていない状態で話をしているから。また、論理的に話を展開できていないからでしょう。
- 流暢さと一貫性(Fluency and coherence)
言葉に詰まることなく回答できているか・適切な接続詞を用いて回答できているか
があります。
この項目では言い直しは流暢さに欠けると判断され、スコアが伸びないことがあります。
IELTSスピーキングでスコアが伸びない2つの理由
私のIELTSスピーキング失敗談はどうでしたか?次にスピーキングでスコアが伸びない理由を具体的に解説します。
参考:IELTSスピーキングの日本人平均スコア
IELTSでは0から9までの「バンドスコア」で英語技能能力が評価されます。
バンドスコアは0からスタートして0.5刻みで点数がだされます。
4つの技能(書く、読む、聞く、話す)でそれぞれバンドスコアが測定され、その4つの平均点を「オーバーオール」と言います。
そもそも日本人の平均スコアはいくつでしょう?
オーバーオール平均 | 5.8 |
スピーキングバンドスコア平均 | 5.8 |
また、国別の平均もご覧ください。
オーバーオール | |
日本 | 5.8 |
韓国 | 5.8 |
中国 | 6.2 |
カナダ | 6.6 |
フランス | 6.8 |
(https://ielts.org/researchers/our-research/test-statisticsより参照)
日本人はスピーキングスコア平均5.8
ちなみに、短期・語学留学経験者で 5.0~5.5程度、英語圏の大学に入学できる・英語の授業についていける方で6.0~6.5程度が目安スコアです。
なので、平均スコア5.8は”自分の考えや意見を英語で発信することが難なくできる人”でないと到達するのは難しいでしょう。
オーバーオール目標点が7や7.5を目指す人でも、スピーキング6まで到達するのは多少難しさがあります。
英語で会話することに慣れていない
先ほどの国別IELTS平均点を見ると中国・フランスが6点以上を採っているのがわかります。
他にもタイのスピーキングスコアは平均5.9などほぼ6点をとっています。
圧倒的な違いは日常で英語を話す機会があるかないかです。
例えば、多くの国では母国語以外に英語で授業を行ったり、会社でも英語を使う機会が多いです。
下の動画は、単語レベルですがわかりやすく日本語発音と英語の違いをあげているものです。
単語レベルでこの違いがあるということは、文章を読むと大きく違いが出るのは明白ですね。
日本語発音がスピーキングスコアに影響を与えるのがよくわかります。
日本語でも自分の意見がでない
先ほどの失敗談でもあるように、難しいトピックは日本語でも意見を出すことが難しいのでスコアが伸びづらい原因となります。
基本的に、「日本語で言えない言葉は英語で言えない」と思ってください。
英語は外国語なので母国語が日本語の私たちにとって、英語を覚えるにも日本語訳が必ず必要になってきます。
なので、難しいトピックに対して日本語で議論ができない限りは、それを英語で説明するのは不可能に近いです。
IELTSスピーキングでスコアを上げるための対策方法
2で述べたIELTSスピーキングが難しい理由を克服し、スコアを上げるための対策方法をご紹介します。
日本人である私が色んな勉強方法を行ってきた中で、一番ベストな方法をご紹介します。
表現力を上げる
続いてご紹介するのは、英語の表現力を上げる方法です。
語彙というのは終わりがないので、どこからどこまで学習するのが良いか曖昧ですよね。
もちろん多くの語彙を習得するに越したことはないですが、ある程度の目安を知った方がいいので、私の今までの経験からご紹介します。
英検準1級レベルの単語まで覚える
IELTSスピーキングの単語・フレーズを覚える目安はどこなのかを紹介します。
私が思う目安は「英検準1級レベル」の語彙力です。なぜ、英検準1級を選んだかというと、
- 日本人は比較的英検になじみがある
- 英検準1級レベルはネイティブと会話をしたり、多少難しいトピックで議論を交わすこともできる
の一番理想の語彙力レベルだからです。
私の経験ではネイティブと話すうえで英検準1級の語彙力を持っていれば会話に困ることはほぼありません。
むしろカジュアルな会話では英検準1級よりも2級・準2級レベルでも問題ないかもしれません。
英検準1級レベルの単語力がないとスコアは上がらないということをおさえましょう。
おすすめの教材は「でる順パス単熟語」がオススメです。
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このレベルの単語帳は口から即座に出てくるレベルまで努力していきたいですね!
ネイティブが使うようなフレーズを学習する
フレーズの学習はネイティブが使うような日常的なフレーズを学習しましょう。
いわゆる句動詞(Phrasal verb)と呼ばれるもので、基本的な動詞(get,make, put,turn…)に前置詞がついて様々な意味を表すフレーズです。
ネイティブはこの句動詞をよく使いますが、多くの日本人が苦手とする部分です。留学経験や現地の人と話さないと中々気づかない部分でもあります。
私は昔ルームメイトに、”I ran out of shampoo.”と言われたときに「??」となったのを鮮明に覚えています。
run out of ~で「~が切れる・なくなる」という意味で「シャンプーが切れた」と言っていました。
このように、中学生レベルの動詞と前置詞の組み合わせで意味を表す句動詞はネイティブが多く使います。
IELTSスピーキングでも語彙力の面ではフレーズの部分で加点をもらうことができます。
オススメはGrammar in use シリーズから出ているEnglish Phrasal Verbs in Use Intermediate Book with Answersです。
英語で全て書かれているのでネイティブの感覚で句動詞を学ぶことができます。
流暢さ
「流暢さ」は英語がスラスラと話せているか?や、言い直しがない・同じ内容を何度も言っていないか?が難しいポイントでした。
流暢さを身に着けるには、シンプルに普段の勉強から英語を使って慣れていくしかありません。
勉強法で具体的に2点ご紹介します。
スピーキング録音→訂正→再び録音
スピーキングの内容を必ず録音して→自己採点→再び同じ内容を録音してみましょう。
皆さんはスピーキングの練習時はIELTS公式問題集を使って練習していると思います。
やり方は以下の通りです。
- スピーキングの勉強時には、必ず自分の声を録音するようにする
- 一回練習が終わったら、自分の録音データを聞き返す。
- 自分で自己採点を行う
- 修正した解答を何度も音読・見ないで読むなどで頭に入るまで読みこむ
- 最後の仕上げでもう一回同じ問題を行って録音する→聞き返す
①スピーキングの勉強時には、必ず自分の声を録音するようにする。
必ずスピーキングは本番同様に通しでやるようにしましょう。
②一回練習が終わったら、自分の録音データを聞き返す。
ポイントはこの時に
- 録音の声を紙に書いて可視化すること
自分の解答がどのようになっているのかが一目瞭然です。
③自分で自己採点を行う
自分で自己採点を行いましょう。
ポイントは
- 同じ単語を何度も使っていないか
→ 類義語で訂正する
例)「”ターゲットとなる単語” 類義語」で調べると類義語が沢山出てくる。
→単語だけでなくその単語が使われている例文も確認して、正しい使い方を知った上でストックしましょう。
- 文法・表現は間違っていないか
→ 正しく直す
2つの項目で自己採点が終わったら、そのスクリプトが自分だけの模範解答になりますよ。
④修正した解答を何度も音読・見ないで読むなどで頭に入るまで読みこむ
暗唱できるくらいまで音読することで、模範解答で使った語彙が能動語彙として使用できるようになります。
この積み重ねが、語彙力・表現力の向上につながるので、根気強く行っていきましょう!
⑤最後の仕上げでもう一回同じ問題を行って録音する→聞き返す
①〜④の一連の流れを全ての問題で行えば、英語の流暢さは段違いに上がっていきます。
一回、二回では効果は出ません。地道に継続していけば徐々に変化がでてきます。
ちなみに、私は1年間かけて取り組みました。基本2日に1回のペースで行っていました。
特にオンライン英会話や留学が必要ではなく、一人でも必ずできる方法なのでオススメです。
音読・シャドーイング
次に音読とシャドーイングです。
中学生の頃から授業で音読をしたことがあると思います。
「音読してきたけど効果を感じたことないよ。」と感じる方も多いですが、それは大きな間違いです。
音読はシンプルですが、一番スピーキング改善に役立つ練習方法です。
私は留学と同時にIELTSの勉強を始めたので約1年間音読練習を行いました。
その結果、最初のIELTSテストでは5.5スコア、1年後に6.5と1スコアも上げることができました。
やり方は音源を用意して①②を行ってください。
- 一文ずつ音源を聞く→発音する
- *必ず音源とそっくりに発音する。
- ターゲットとなる文の意味はわかった状態で発音する
- *意味を理解せず発音はNG!
①は必ず音源をそっくり真似することです。
英語は単語と単語の音の繋がり(リンキング)や音が消える(ホールディング)・抑揚を付けるなど日本語にはない音の作りをしています。
本当はこの仕組みも学習するのが良いですが、仕組みを知らない方も、まずは音源を真似することから始めましょう。
ポイントは自分なりの変な読み方は捨てることです。完全にマネをしてください。
シャドーイングとはお手本となる英語の音声を聞きながら、自分の声をほぼかぶせるように声に出して読む練習法です。
詳しいやり方はこちらの動画を参考にしてください。
English Speaking Practice | How to improve your English Speaking and Fluency: SHADOWING
無意識で英語を話す感覚が身に着くのでスピーキング練習にはピッタリです。
この方法は[3-3-1 スピーキング録音→訂正→再び録音]の録音した音声を使ってもいいですし、よく問題集には解答音声付きのものもあるのでそちらを活用して行うと良いと思います。
トピックがなじみのない時
IELTSスピーキングが難しいと感じる理由の一つに、トピックに馴染みのない場合があります。
その場合は
- 自分の知っている話に持っていく
- どんなことに関しても必ず意見を持つ、そして自分の主張を支えるような説明をする練習
を日頃からすると良いです。
自分の知っている話に持っていく
まず、大前提としてIELTSスピーキングのテストは、トピックに対しての解答の内容を採点しているのではなく、受験者の英語力を図っています。
なので、お題に対して100点の内容を答える必要はないということです。
例えば、先ほどの「昔の医療と今の医療でどのような違いがありますか?」
トピックの内容に注目するなら、
ガンの治療部分の範囲が変わった。昔はがんに侵された部分よりも多くの周囲部分まで切除するので治療後の傷跡部分や、リハビリで苦労をすることが多かった。しかし、今の治療ではガン部分の摘出のみで済む場合が多い。なぜなら、医療知識のアップデートや機器の精密性がアップしたからだ。
がトピックに対する良い答えの一例です。
ですが、この解答は知識ベースの解答なので、知識がない方はもちろん答えられません。
反対に、自分の知っている話にもっていくなら
医療関係のドラマをよく見ますが、昔と今の医療の違いがよくわかります。それは診断を受ける際の機器の性能の良さです。昔の医療ドラマは医者が直接検診するシーンが多かったです。ですが、最近の医療ドラマではMRIをはじめとするスキャン型診察がほとんどになり体の内部を正確に診断できる技術があります…。
とドラマの話に持っていくのもありでしょう。
自分の意見をもつ練習
普段からどんな話題に対しても意見をもち、自分の主張を支える説明をする練習は必要です。
IELTSスピーキングテストの評価基準の
- 流暢さと一貫性(Fluency and coherence)
言葉に詰まることなく回答できているか・適切な接続詞を用いて回答できているか。
では、一貫性=主張・理由・具体例・結論で構成された論理的な話し方を見られます。
なので普段から主張と支える理由をセットで言える練習を行うことが大切です。
具体的に何をすれば良いかというと
- ニュースを見て自分の思ったことを考える
- そう思った理由はなぜなのか
まずはこの二つを行いましょう。
ニュースや新聞がハードルが高い人は、最近だと有名人が多く出るワイドショーも最近は多いので良いかもしれません。
自分がなるべく続けられそうな媒体を使って意見・理由を考える練習をしてみましょう。
まとめ
どうでしたか?
IELTSスピーキングの難しい理由や失敗例を知ることができましたね。
それぞれ失敗を克服するための勉強方法やコツも紹介しました。
IELTSスピーキングの勉強法については【純ジャパが8.0獲得】IELTSスピーキング対策・3つのコツでも詳しく解説していますのでご覧ください。
ぜひ、自分の勉強に活用してみてください。
この記事はインターンのKazuによって編集されました。