多くの日本人にとって難関となっているIELTSのスピーキングセクション。なかなか情報が少なくて対策に困ってる人も多いのではないでしょうか。
今回は3ヶ月でスピーキング4から6.5に上げた経験をもとに、高得点を取るための対策とコツをご紹介したいと思います。
過去に二度の長期留学(オーストラリア・イギリス)をしました。留学前にTOEIC 900、IELTS 7.0取得。趣味は旅で去年はヨーロッパ周遊をし、今年はアジアを中心に回るのが目標です。
目次
IELTSスピーキングの採点基準
それではどのようにIELTSスピーキングでスコア6.5を取るのか見ていきましょう。まず、IELTSスピーキングセクションでどのような観点から評価がされるのかを見てみます。
- Pronunciation(発音)
- Lexical resource(語彙力)
- Fluency and coherence(流暢さと一貫性)
- Grammatical range and accuracy(文法と正確性)
が評価項目となっております。
つまり、簡単に言い換えると、
- きれいな発音、
- 言い間違いがなく、
- 豊かな表現で正確に言いたいことがスラスラと言える
と言うことになります。これらの視点からIELTS Speaking 6.5を取得する対策をしましょう。
スピーキング対策のコツ① 発音と流暢さ
発音の違いをわかるようにする
まずは、日本人がかなり苦手としている発音から。
コミュニケーションを取る上では英語の発音は完璧である必要はありませんが、IELTSの評価では発音の良さが評価項目の一つとなっているため、対策が必要です。
「どんな種類の発音があって、どのような違いがあるのか」を理解するところから始まります。
例えば、何となく英語っぽく話すために不要なところで舌を巻いてしまいがちですが、基本的にRの発音のところでしか巻かないと言うことがわかっていれば、間違った発音はしません。
言語学者によって主張が少し異なりますが、英語における母音と子音はそれぞれ20種類以上あるとされています。
特に、日本語にはない発音を意識するといいでしょう。そのためには下記のような発音記号を覚える必要があります。
- restaurant [réstərənt]
- pronunciation [prən`ʌnsiéɪʃən]
- hippopotamus [hìpəpάṭəməs]
平仮名が読めないと漢字の読み方もわからないように、発音記号が読めないと英語そのものを正しく読むことができないので、発音記号を読めるようにしましょう。
これがわかると自分で単語の発音を確認することができるので効率よく勉強することができます。
発音記号の一覧や正しい発音の方法に関して、こちらのWeblioの記事でよくまとめてあるのでご活用ください。
シャドーイングで発音できるようにする
発音をよくする方法で私がお勧めするのはシャドーイングと言う方法です。
やり方は簡単で、文章を読みあげる音声を聞き、一文を聞いたら止め、文章を見ながら直後に全く同じように真似をします。
初めのうちは音声をつけたり止めたりの繰り返しをし、次第に慣れてきたら流しながら音声を追うように話します。最終的には音声と同時に話すようにすると言う方法です。
同じペースで話せるようになったら、今度は文章を読まないで話せるようになるまでひたすら繰り返します。
自分の発音を録音してCDとどこが違うのか客観的に聴き比べてみるのも有効な方法です。
シャドーイングをやる際には以下のようなポイントに留意するといいでしょう。
- ゆっくり再生
- 簡単な文章から選ぶ
- 一文ずつやっていく
初めのうちは0.5倍速や0.75倍速で始めても構いませんので、自分のレベルに合った速度で試してみましょう。
次に、簡単な文章から始めることをお勧めします。「なんだ、簡単だな」と思うくらいのレベルから始めた方がいいです。
継続的にやるためにも簡単なものから始め、小さな成功体験を積むように次第にレベルを上げていきましょう。
最後に、なるべく短い単位で繰り返し読んでいくと、短いフレーズで英語を覚えることができますので、一文ずつやっていくことを推奨します。
シャドーイングをすると頭で考えて口から発するのではなく、自然と口から英語が出てくるようになるので、流暢に話しているように見えます。
私はイギリス英語が好きだったのでシャドーイングの以下の教材を使いましたが、継続的に続けることの方が大事なので自身のレベルと趣向に合ったものを選びましょう。
スピーキング対策のコツ② 語彙力と文法の強化
次に「豊かな表現で」伝えられるように語彙力と文法の強化しましょう。
言い換えの単語・フレーズ集を作る
シャドーイングをすると体が英語を覚えるようになってきまので、すぐに忘れてしまわないように、シャドーイングと同時にノートを作りましょう。
ポイントは似たような表現やフレーズは同じページに書くことです。
例えば、
I would like to emphasise ~(私は〜を強調したい)
と言う文章と
It can’t be emphasised too strongly that~ (〜と言うことはどんなに強調してもしすぎることはない)
のようなフレーズは同じページにひとまとめにし、後日復習するときに同じようなフレーズを合わせて思い出しましょう。
たまにノートをまとめることに注力する人がいますが、ノートはあくまでもメモのようなものなので、読める範囲で書けば結構です。
テンプレートは最低限、構成を整える
シャドーイングを繰り返し、ノートを充実させ、テストの問題を予想してテンプレートを作ればいい点数が取れるようにも思えますが、実はそうでもありません。
評価項目にはありませんがIELTSのテストは自分の言葉で話しているかどうかも見ているらしく、試験官が「この人は用意したテンプレートを言っているだけだな」と判断したら評価が下がってしまうこともあるそうです。
あるいは突然トピックや質問を変えてくるといった場合もあるようです。
一言一句何を言うかまでのテンプレートといった過度の暗記は自分の首を絞めることにもなるので、柔軟に質問にも対応できるような言い回しの引き出しを用意することが重要なのです。
強いてテンプレートを作るとすれば構成に関するものが効果的です。例えば、
- Well, I agree with the idea that~/ I still believe that~.
- First of all,~
- Second, ~
- Lastly, ~.
のように自分の意見を構築するためのテンプレートといったようなもので、こういった流れに慣れていると本番で焦らず話すことができますし、自然と自分の言葉で話せるようになります。
文法の注意点
シャドーイングを繰り返していくと、文全体で英語を覚えていくことできるので、「ここの時制は合っているかな?」「次の前置詞は何を置こう」といった文法的な不安は自然と解決されていきます。
英語を体で覚えて無意識のうちに英語が出るようになっているので、基本的に英語の文法は特別気にしなくてもいいかもしれませんが、特に以下の二つの種類の文章のシャドーイングを集中的にやる時間を設けましょう。
主語が長い文
過去形の場合などは特に気にする必要はありませんが、現在形の時などは動詞が名詞によって変わります。例えば、
The number of people who go to the gym has increased for the past 3 years. (ジムに行く人の数はここ三年の間に増加した。)
この文章の主語はThe number of people who go to the gymですが、少し長いので、話している途中で主語がThe number なのかpeopleなのか分からなくなってきます。
この場合の主語はthe number なのでhas increasedと続きますが、この主語がもっと長くなるとさらに混乱するものになるので、シャドーイングに慣れてきたらこういった主語が長い文章を重点的にやってみましょう。
仮定法を使う文
仮定法も日本人にとって複雑に見える文法の一つですが、その一つに時制が一つ過去に戻ると言う点が挙げられます。例えば、
If I had money, I could buy this phone. (もしお金があれば、この携帯電話が買えたのに。)
となり、これが過去になると、
If I had had money, I could have bought that phone. (もしお金をもっていたなら、あの携帯電話を買えていたのに。)
と、日本語でも少し複雑になってきます。
こちらに関してはシャドーイングをする前に一度文法書を読み直してから進めると良いでしょう。
文法書は高校の時に使っていたものがあればそれでいいですが、もしなければ以下の本をお勧めします。
TASK1 (自己紹介インタビュー)
次に具体的にIELTSのタスクごとに特徴と対策を見ていきます。
自分の過去や趣味・家族ことについて振り返ってみる
TASK1はGeneral Questionと呼ばれ、自己紹介と日常に関することが聞かれます。例えば、
- What do you do ?
- Which part of Japan are you from?
- Do you like your hometown?
など、自分に関する一般的内容が聞かれますので比較的難易度は低めですが、対策は必要です。
質問に対して一言だけで返答するのは語彙力や表現力がないと評価されかねないので、必要十分に答えなくてはいけません。
そこでタスク1に関しては「今の自分に関すること」を詳しく話してみる練習をします。例えば、
- どこで生まれたのか
- 兄弟は何人いるのか
- 今どこに住んでいるのか
- 小さい頃の夢はなんだったのか
- 今年の目標はなにか
- 祖父母と最後にいつ会ったのか 等…
質問を考えつくだけノートに書き出していってそれらに答えられるようにしましょう。
参考書にあるような頻出例題を解くことも大事ですが、このセクションに関しては自分に関することをなんでも答えられるようにすることが最良の対策法と言えるでしょう。
自分を語ることは留学中に友人とコミュニケーションを取る上で必要なので、生活の中で意外と一番重要な技術なのかもしれません。
自身に関する話なので正答などなく、自由に答えられるのがこのセクションの良いところです。その反面、あまり点数を落としたくないところでもあります。
接続語を使って詳しく説明することに慣れる
スラスラと話しているように見える人の特徴として、ひとつの事象を細かく説明していることが挙げられます。
どうしても察する文化の日本で育つと言葉足らずな感じになってしまいますが、IELTSのテストにおいて、短い文章で答えることは簡潔というより英語力が不足しているように見えてしまいます。
よく5W1Hに応えるようにすると言いますが、特に私がお勧めしたいのはbecause等の接続語で具体的に説明することです。
なぜかと言うと、物事には必ず理由があるからです。例えば、
Where did you go last night?
と聞かれたら
I went to the station.
ではなく、
I went to the station to pick up my father because it was rainy.
といったように、具体的な理由を聞かれてなくても少し意味を付け加えるようにbecauseをつかって説明するように心がけましょう。
英語で「嘘」をつく練習をする
「言い間違いがなく、豊かな表現で正確に言いたいことがスラスラと言える」がスピーキングにおける評価ポイントであると言いましたが、逆に言えば、話す内容自体は評価対象でないため嘘をついても評価が下がることはないと言うことです。
もちろん、あからさまに常識から離れたことを言うと減点対象になるかもしれませんが、確認しないと本当か嘘かわからない程度のことは言っても問題ないと言うことになります。
それは、採点基準に「真偽」と言うポイントがないからです。
大事なことはその内容に一貫性があるかどうかであり、とっさにその場で答えられれば内容は関係ないのです。状況によって話を作って難を逃れられるようにしましょう。
そこで、「英語で嘘をつく方法」、または「想像を言葉にする方法」を身につけましょう。方法論としては聞いた話をあたかも自分が経験したように話すことです。
1日一つでいいので想像の話を即興で作ってみましょう。これに関しては自分が経験したことのないことを言葉にするため意外と難しいですが、作り話をする力がないと本番で苦労します。
TASK2 (スピーチ・タスクカード)
TASK2ではトピックが書かれたカードが渡され、数分読んで構成を考える時間が設けられます。例えば下記のようなものです。
Q. Describe a film you have recently watched.
You should say:
-what film it was
-why you watched it
-what the film was about
and explain what you liked and disliked about the film.
ここでも何に関する映画を見たのか、なぜそれを見て、どう感じたのかが聞かれます。
このセクションに対応では2つのポイントがあります。
- 客観的な事象を説明する
- 主観的に意見を述べる
の2点です。つまり、
- 起きていることを説明する
- 感想を述べる。
ということになりますが、一体何から始めればいいのかわからないと思います。
客観的な事象を説明するトレーニング
「今やっていること」を英語で説明する
難しいことを考えずに「今やっていることを説明」するだけでいいのです。例えば、朝起きたら、
- I just woke up and am going to brush my teeth.(たった今起きて、これから歯を磨きます。)
- I am now changing my clothes because I am gonna go out at 9.(9時に出かけるので今着替えをしています。)
といったように「今」起きていることを口で説明するだけ話のネタはつきません。
これは今起きていることを描写することなので、現在形、現在進行形、現在完了形の練習になります。
そしてこの訓練をするうちに意外と説明するのが難しいことに気がつきます。例えば、
「上から二段めの棚から歯磨き粉を取ります。」
といった簡単そうな文章でもとっさに説明しようとするとなかなか難しいのです。
もしわからない表現があれば逐一辞書やGoogleで調べればいいと思います。全て正しく話すことも重要ですが、この場合何かを描写することに慣れることが一番大事です。
身の回りのモノや人との思い出を振り返る
もう一つ客観的描写を訓練する方法があります。それは思い出話をすることです。例えば、
- 小さい頃何のスポーツをしていたのか
- 去年どこに旅行に行ったのか
- 初めて行った海外旅行の話
- 昨日作った晩ご飯
などです。先に述べたように一番大事なことは、思い出せる限りできるだけ詳しく説明することです。
初めのうちは、
I played baseball when I was young.(小さい時に野球をやってました。)
と、大雑把な説明ができればいいです。そして
I used to play baseball because I felt really happy to play sports with my friends when I was an elementary school student.
(小学生の時は友達とスポーツをすることがとても好きだったので、野球をやってました。)
のように、具体的に何時ごろ、なぜそれをしていたのかが説明できるようになるといいでしょう。
また、これは上記の現在指向に対して過去指向のため、慣れると表現の幅が一気に広がります。
主観的に意見を述べるトレーニング
二つ目のポイント「感想を述べる」も、まずは一番簡単なところから始めればいいのですが、それは寝る前に10分でいいので今日1日あったことを振り返り感想を言うことです。例えば、
I bumped into one of my university friends on Meiji street today and got really surprised to see that she was pregnant.(今日明治通りで大学の友達にたまたま会ったんだけど、彼女が妊娠していることにすごく驚いたよ。)
のようにできるだけ「なぜ」「どのような感情」を抱いたのか描写できるといいです。初めのうちは短くても遅くても構いません。
英語で思ったことを伝えようとする姿勢は留学中にも非常に大事なことで、日本にいると周りに合わせて意見を言わない傾向がありますが、英語圏では「自分はこう思う」とまず自身の意見を述べることから始まります。
それは単に自己主張が強い文化という話ではなく、他人の意見を許容するという多様性の意識が強いからだと言えます。
ですので、人が的外れなことを言っても意見そのものを否定されることはあまりありません(反対意見は言われます)。
言い換えれば、自分の意見がない(言えない)人と話すことに慣れていないとも言えるので、現地の文化に馴染みたければ主義主張を言うことは必須な力とも言えます。
そう言う意味で毎日10分の努力は非常に大事なのです。
TASK3 (ディスカッション)
TASK3はTASK2に関連した質問がされ、その特徴として、「明確な答えがない」というところが挙げられます。例えば、
- あなたの国では有名になるのは簡単ですか
- 結婚適齢期は何歳だと思いますか
- 学生服は個性を潰すか否か
のような日本語でも答えにくい一般的且つ概念的な質問です。
このフェーズでは英語力はもちろんのこと、自分の意見を明確に言えるのか、その論理に一貫性があるかなどが見られます。最後のタスクになるので難易度も一気に上がります。
こういった性質の質問には個人的価値観、上の例で言えば「有名」「適齢」「個性」とは何なのかがよく反映されます。ここでも正答はないのですが、回答すること自体が大変です。
結婚適齢期の例をさらに掘り下げると、日本の場合だと平均結婚年齢が30前後となっていますが、これはあくまで平均なのであって、必ずしも適齢ではありません。
また、身体的な適齢なのか、文化的にて綺麗なのかも場所や時代によって異なります。なので単に「30歳だと思う」と答えても肝心な「なぜ」の部分に答えられません。
日本では「あたりまえ」となっていることを聞かれると、どう答えていいのかもわからず、本番で取り繕おうとしても話が浅く一貫性がなくなってしまいます。その意味において、ある広い分野で一般的な知識も必要になります。
日英のニュースで自分の意見を
この対策としては普段からニュースに目を通しておくことが必要になります。
「なぜ」それがニュースとして取り上げられているのか、日本と海外(特に英語圏)ではどのような考えの違いがあるのか等多角的な視点から見る必要があります。
まずは日本語で知識を蓄え、日本語で自分の意見を述べられるようにすることが第一になります。その上で自分の意見を英語で述べる練習をするべきだと考えます。そこで私が提案するのは以下の方法です。
- 日本のニュースメディアを見る
- 同じ話題について海外のニュースメディア(BBC, CNN, ABC etc…)を日本語で見る
- 同じ話題について海外のニュースメディアを英語で読む
1と2に関しては情報収集のための方法です。何が起きているのかを知り、自分がそれに対してどう考えるのか、その力を育むための段階です。
3に関しては実際に英語ではどのように表現されているのかを知るために必要です。日常会話では使わないような少し硬い表現だからこそ、ニュースを見て勉強する価値があると言えます。
おわりに
いかがだったでしょうか。総括すると、繰り返し話し体で覚えることがスピーキングで高得点を取る鍵となります。
うまく話せないうちは辛い時もありますが、話せるようになると楽しい毎日が待っています。是非根気強く英語学習を頑張ってください。