著者紹介:KY
学生時代に留学しなかったことを後悔し、海外MBAを目指すべく一発奮起。独学でIELTS、GREを攻略し、現在は英国でMBA留学中。
IELTSスピーキングの本試験では、4ヶ月ごとに同じ問題プールが使われ、直近過去問からも3割〜5割程度は出題。
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目次
IELTSスピーキング概要
日本の受験生の多くの方はIELTS Speakingに苦手意識があるのではないでしょうか。
私もかつてそうでしたが、苦手意識だけではなく、独学では練習しづらいと思われがち(後述しますが一人でも練習できます)なことから、つい対策を怠り、結果としてスコアが一向に伸びないという悪循環に陥りがちです。
私はIELTS初受験のスピーキングは5.0という惨敗の結果でしたが、ここで紹介する対策法を実践し、独学で7.0まで伸ばすことができました。
この記事をきっかけに、今日からできることを始めて頂ければ幸いです。
スピーキングの流れと問題形式
IELTSのスピーキングは以下3つのパートから成り立っており、出題の順番と流れは以下の通りです。
なお、内容や問題形式はおおむねの傾向であり、若干異なる場合があります。
Part | 試験時間 | 主な内容 | 形式 |
Part 1 | 4-5分 |
| インタビュー |
Part 2 | 3-4分 |
| スピーチ |
Part 3 | 会話 |
| ディスカッション |
参考:https://ieltsjp.com/test-guide/ielts-speaking-test/
スピーキングスコアの採点基準
IELTSのSpeakingは、
- Fluency & coherence(流暢さと一貫性)
- Lexical resource(語彙力)
- Grammatical range and accuracy(文法の幅と正確性)
- Pronunciation(発音)
の4つの項目ごとに採点が行われ、当該4項目の平均がSpeakingのスコアとなります(カッコ内は筆者訳)。評価基準は以下から確認できます。
SPEAKING: Band Descriptors (public version)
なお、よりイメージしやすいサンプルとして①スコア7.0-8.0、②スコア5.5-6.5、③スコア4.0-5.0のサンプル動画が英検ウェブサイトに公開されていますので、ぜひ一度確認してみてください。
IELTS対策の事前準備
事前準備の基礎
①スピーキング目標スコアの設定
オーバーオール7.0目標であれば、得意不得意にもよるが、スピーキングは5.5-7.0程度の目標スコアとなります。
②瞬間英作文で基礎回路を構築
瞬間英作文で英語を話すことに慣れることが重要です。
スピーキング過去問を利用して練習することも重要です。
③直近の問題を収集
IETLS-Blogや IELTS Liz などウェブサイトも活用してみましょう。Speaking 7.0+講座もおすすめです!
IELTSの目標スコアを設定する
受験する学校のウェブサイト等で必要なIELTSスコアを確認したうえで、どのパートで何点獲得を目標にするか検討しましょう。
IELTSの特徴として、Overallスコアは4科目の平均値が四捨五入されます。
そのため、Overall7.0であれば平均値6.75を獲得すればOKです。
なお、受験する学校によってはセクションごとのミニマムスコアが決められているケース(例:Overall:7.5 & Minimum required on each component:7.0)もありますので注意してください。
私はOverall7.0かつ各パート6.0以上(願わくば6.5)が必要であったため、R7.5、L7.5、W6.5、S6.5を目標に設定しました。
» 世界トップ200に選ばれた英国の大学が要求するIELTSスコア(2019年)
» Know the minimum IELTS score required for top B-Schools(MBA)
瞬間英作文で基礎回路を構築する
授業や仕事において、英語でアウトプットする機会がこれまで殆どなかった方については、IETLSのスピーキング過去問を解く前、もしくは同時並行で、瞬間英作文を使ったトレーニングを実施することをお勧めします。
目的は、採点4項目のうち
①Fluency & coherence、
③Grammatical range and accuracy
を向上させることです。
教材は「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」→「ポンポン話すための瞬間英作文パターン・プラクティス」→「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフル」の3冊をお勧めします。
1冊は最長2週間で1周回し、2周から3周回した時点で次の教材に移りました。
本来は声に出して作文することが理想ですが、難しい場合には頭の中で作文するだけでも効果はあります。
実際、私は行き帰りの通勤計2時間を全て瞬間英作文の勉強時間に充てていた時期がありました。
ただし上記3冊の難点として、不自然な例文も見受けられる点が挙げられます。
そのため、例文をそのまま暗記するために使うのではなく、あくまで前述した評価項目2点を向上させるための基礎トレーニングとして実施しましょう。
直近の問題を収集する
IELTSを受験すると分かりますが、試験官は問題冊子を見ながら受験生に質問しています。
残念ながら受験生は問題冊子を見ることはできませんが、問題自体は世界共通で使用されており、数か月ごとに更新されることが分かっています。実際私もPart1で同じ質問を受けたことがあります(質問文も同一)。
IELTSの公式問題集で対策をすることも可能ですが、現在どのような問題が出されているか確認する方が効率的かつ効果的です。
当然ながら、現在利用されている問題は公式には公開されていません。
しかしながら、以下のウェブサイトにおいて、世界中の受験生がスピーキング(他の3技能も含む)でどのような質問を受けたか投稿していますので、ぜひ確認することをお勧めします。
私は直近の過去問のうち、Part1を中心に、答えづらそうな質問については単語カードにまとめ、本番でも回答できるよう練習しました。
実際、単語カードで練習していた例題を本番でそのまま聞かれたことがあります。
①IETLS-Blog
トップページ左側メニューバーのRECENT IELTS EXAMSから、受験生が遭遇した質問内容がまとめられたページに飛ぶことができます。
受験生の投稿を管理人の方が編集されているので、整理されており、見やすいです。
②IELTS Liz
トップページ右側のRecent IELTS Test Questionsから、受験生が遭遇した質問内容を自由に投稿できるフォーラムに飛ぶことができます。
情報量は①IELTS-Blogより多いものの、掲示板形式のため、やや見づらいのが難点です。
③IELTS Spaking 7.0+
こちらのクラスは、IELTSスピーキングの問題プールを期間ごとにまとめ、模範解答をネイティブ音声と共に提供しています。
IELTSのスピーキングの問題プールは年に3回更新され、1~4月、5~8月、9~12月のそれぞれの期間で同じ問題が使われるので、効率的に問題を集めて対策したい人にはおすすめです。
スピーキングパート別対策
Part1
Part1では、日常的なトピックを中心に質問されます。前述したとおり、トピックは定期的に入れ替わるものの、以下のウェブサイトに典型的なトピックが載せられています。
まずは上記のウェブサイトのうち、Main Topicsと位置付けられているWork、Study、Hometown、Homeは受験時期によらず、ほぼ聞かれる質問と思って間違いないですので、全ての質問に答えられるよう、自分なりの回答例を作り、練習しておきましょう。
なお、基本的に社会人の方はWork、学生の方はStudyの質問が割り当てられます。
※入室後、スピーキング開始時に社会人か学生か聞かれます。
肝心の回答ですが、質問に対し長文で答える必要は無く、基本的には「直接の答え+補足説明」というスタイルで、それぞれ1文ずつ、計2文で十分でしょう。
個人的には、Part1は英語圏におけるSmall Talkの位置づけ(本題に入る前のアイスブレイクを目的とした雑談)と考えており、複雑な構文や文法(例えば仮定法過去完了など)を使う必要は無く、テンポよく回答することが試験官に良い印象を残すことに繋がると思います。
またPart1でつまづくと、その後のPart2、Part3まで精神的に引きずってしまうこともありますので、その観点からもPart1をスムーズに回答できるよう練習しておきましょう。
Part 2
Part2はスピーチのお題が書かれたカードが渡され、1分間で準備し、1-2分間のスピーチを行うことが求められます。
Part2では日本語でも回答しづらい質問が出題されることがあり、受験生泣かせのPartではありますが、私は以下の対策で乗り切りました。
どんなトピックでも対応可能なネタを3つ程度用意する
自分が情熱をもって話せる定番ネタをあらかじめ用意しましょう。
例えば、私の持ちネタの一つはドラえもんでした。実際に私がスピーキングで7.0を獲得した際の事例のひとつを、分かりやすいよう日本語で記載します。
(質問)
子供のころの夢を話してください。
(私の回答)
①導入
私が小学生の時は、エンジニアになりたいと思っていました。なぜなら、暮らしを便利にするイノベーティブな製品を作りたかったからです。そもそものきっかけは、子供のころに見ていたドラえもんというアニメです。
②展開
ドラえもんとは~~(以下、持ちネタを話す)
③まとめ
しかし、残念ながら数学が苦手だったため、エンジニアの道は諦めました。しかし、生まれ変わることができれば、夢に挑戦したいと思っています。
いくら定番ネタを話すとはいえ、トピックと全く関係ないスピーチを行った場合、質問に答えていないとみなされ、スコアが大きく減点されてしまいます。
そのため1分間の準備時間は、いかに自分の定番ネタと結び付けて話すか、つまり上記の①、③の構成を考える時間としました。
ただし1分間の準備時間でスクリプトを用意することは現実的ではないため、全体の構成をメモした上で、使いたい表現(特に論理展開を示すもの)や単語を書き留める程度です。
3つ程度の異なるネタを用意しておけば、おおよそのトピックには対応できると思います。
IELTSは英語の試験ですので、実際とは異なる内容(例えば、東京出身だが、沖縄出身と答えるなど)を話しても全く問題はありませんが、定番ネタについては、自分の興味や関心、情熱が持てるものを選んだ方が覚えやすく、実際の英会話の場面でも使うことができるでしょう。
また、同様の理由から、他人の回答をそのまま覚えるのではなく、自分で表現や単語を調べながら、回答案を作成することを強くお勧めします。
私の場合、定番ネタの中にレベルの高い語彙や構文を適度に盛り込み、
②Lexical resource(語彙力)
③Grammatical range and accuracy
をアピールできるよう心掛けました。
ここで身に着けた単語や表現は、Part1やPart3、さらにはライティングでも使える表現となることでしょう。
対策ブログや記事によっては、必ず回答しなければならないと記載されているケースもありますが、’You “should” say’ と記載されていることから、3つの質問への回答は’must’ではないと考えています。
Part3
Part3は試験官のアドリブ質問も発生するため、最も対策がしづらい(逆に言うと純粋なスピーキング力が求められる)といえます。そこで私が取った戦略は以下の3つです。
①質問を理解する
What~と聞かれているのに、質問を聞き取れず(又は理解できず)適当にyes/noと答えてしまう等の惨事が発生しないよう、質問が聞き取れなかった又は理解できなかった場合には、必ず聞き返しましょう。
リスニングのテストではないため、スピーキングの試験時間を圧迫してしまうほど何度も聞き返す等ではなく、1、2回程度の聞き返しであれば、スコアには影響しないはずです。
②難しい語彙や文法を使おうとしない
Part3は試験官と双方向のコミュニケーションしながら進めていくパートです。
市販の教材集には4-5文程度の回答例が掲載されていましたが、私の場合、意図的に難しいフレーズや文法をひねり出そうとすると、文法エラーが発生したり、会話が止まってしまうリスクがありました。
そのため、会話を楽しもう、という心掛けのもと、時には短文で回答しても良いと割り切りました。実際私がSpeaking7.0を獲得した際も、全ての質問に4-5文程度で回答した訳ではありません。
(質問1)
今の日本の子供たちの夢は、あなたの頃と比べて変化していると思いますか?
(私の回答1)
小学生や中学生の中ではスポーツ選手が変わらずに定番ですが、最近ではxxxも人気だと聞き、驚きました。
(質問2)
なぜxxxが人気なの!?
(私の回答2)
分かりません!(I’m not sure!) でも子供たちは良い給料(six-figure salary)が貰えると思っているのかもしれません・・・。
※xxxは職業名が入りますが、貶める意図は全く無く、誤解を防ぐため伏字にしました
上記でお分かりいただけるとおり、回答1や回答2は一般的な回答例と比べ短いものとなっています。
ただし、テンポよく会話を進められたこと(実際は回答2以降も会話は続いています)、six-figure salaryなど少しだけレベルの高い語彙・フレーズを使ったこと、などが良いスコアに繋がったものと思われます。
なお、語彙についてはPart1やPart2対策で覚えたものを使ったため、自然と口にできたものです。
③身近な例に引き寄せ、具体的に回答する
②のポイントと重複する点もありますが、高度な回答をしなければ!と思うあまり、抽象的な内容や学術的な内容を回答しようとすると、適切な語彙や表現が浮かばず、答えに窮する恐れがあります。
例えば前述した「今の子供たちの夢」という例において、以下の回答を淀みなく正確に表現できるでしょうか。
私の時代においては、将来の夢は画一的でしたが、今の子供たちの夢は私たちのころと比較し、多様化していると思います。これにはインターネットやグローバル化の影響もありますが、政府が詰込み型教育から子供たちの自主性を伸ばすという方向性に切り替えたことも影響していると考えられます。しかしながらゆとり教育にも弊害があり・・
勿論、上記をエラー無く流暢に回答できれば素晴らしいことですが、私も含め多くの方には難易度が高すぎることと思います。
内容の高尚さはスコアに全く関係ありませんので、話しやすい内容(具体的にイメージしやすい内容)を話すことを心がけましょう。
スコア向上のためのコツ・テクニック
録音して聞いてみる
本番を想定した練習をする際は、ぜひ自分の声を録音し、聞き直してみてください。
私の場合、文法エラーや何度も同じことを言っている、フィラーが多いなどに気づきましたが、最も顕著だったのは語尾を無駄に上げていたことです。
自分の声を録音する取り組みを始める前、ネイティブの方から緊張しているの?と何度か聞かれたことがありましたが、少なくとも練習の場では緊張しているつもりはなく、なぜそう聞こえるのか分からなかったのですが、録音して気づくことができました。
自信が無いことから語尾が自然と上がってしまっていたことと思われますが、疑問文でもないのに語尾を上げることはスコアダウンの要因になりえるため、意識して修正しました。
練習の成果を対人で試す
日常的な練習は一人でも全く問題ありませんが、自分の回答案をブラッシュアップする(発音の修正やより良い表現の習得など)目的で、英会話講師によるフィードバックは受けた方がベターです。
私は単価の安かった英会話学校(イングリッシュビレッジ)で、週末に1時間から2時間程度、練習を行いました。
なお、英会話学校に通うだけでは効果は上がらず、あくまで自分自身の回答例の改善や本番のプレッシャーを意識した練習を行う場と位置付けないと、スコア向上は難しいと思います。
試験当日はカラオケへGo
IELTSの試験当日は午前中の筆記試験が終わり、昼ご飯を食べた後、Speaking試験までの待ち時間は毎回カラオケに行っていました。
勿論歌うのが目的ではなく、最後の練習が目的です。カラオケであれば周りを気にせず、しっかり声を出して練習することができます。
待ち時間の間に英会話レッスンを入れたこともありますが、テスト直前のレッスンで言い換え表現などを提案されても、短時間で覚えて使いこなすのは難しかったため、私の場合はあえて一人で練習することにしました。
納得いかない場合は再採点を申し込もう
私はしばらくSpeakingスコアが5.0と5.5を行き来していましたが、日ごろの練習の甲斐もあり、英会話講師の方から、次回は6.0か6.5以上を確実に取るレベルに達しているから自信を持ってよい、と言われたことがありました。
しかし、まさにその次回の試験において、試験官の方との相性が悪く、またもや5.0というスコアとなりました。
5.0というスコアは到底納得できるものではなかったため、再採点を申し込み、結果として6.0までスコアが上昇しました。
あまりこのような事は申し上げたくないのですが、試験官の方も経験不足感が垣間見え、すでに別の質問で答えた内容を再度聞かれる、Part3でPart2と関係ない質問を突然される等がありました。
対面で行う試験である以上、試験官による採点ムラは0にはできないため、納得がいかない場合は再採点を検討してみてください。
最後に:後回しにせず、今からでも対策を
Speakingは一朝一夕に伸びるものではなく、また漫然と英会話学校に通っていても伸びるものではありません。
いかに流暢に口にできる表現パターンを増やすか、という点を考えると、必ずしも常に対人で練習する必要は無く、自分一人でも練習できることはたくさんあります。
ぜひ今日から毎日コツコツと練習していただければと思います。
とても参考になりました。ありがとうございます!
ひとつお聞きしたいのですが、Part2で3つ定番ネタを用意したとのことですが、ドラえもんの他に何を用意されたのでしょうか?また、用意する際の具体的なコツ(トピックの選び方、センテンスの数など)を教えていただけますと幸いです。
ネタの作り方について、こちらの記事も参考にしてみよう!TOEFL対策の記事だけど、IELTSでも考え方は通用するよ!
https://www.path-to-success.net/toefl-speaking-independent-task-1