アイエルツの学習を始めた当初、所謂”純ジャパ”で仕事でも英語を使う機会はほとんどなかったことから、「大学受験やTOEIC対策の知識を駆使することで、英語は何とか読めるが、聴けないし書けないし喋れない」という状況でした。
しかしながら、IELTSについては効率的に対策を進めることで3か月でOA7.5を取得することができ、特にリスニングについてはのべ6回の受験で8.5を3回、9.0を1回出すことができ、得点源とすることができました。
そこで今回は、純ジャパのための短期間のIELTSリスニング対策について勉強法を紹介させて頂きます。
この記事の著者:LDNN3
MBA留学のためにIELTSを複数回受験し、MBA卒業後はロンドンで働いています。純ジャパの英語学習方法や留学・海外就業を通じて得た知見を共有します。
目次
IELTSリスニングの試験概要
リスニング試験は、ある程度試験内容がパターン化していることから、基礎的な英語力がある人がコツさえつかめば高得点を安定的に取ることも難しくありません。
海外のトップスクール等でOA7.5以上が必要とされる場合において、ライティングやスピーキングで思うようにスコアが伸ばせない場合は、リスニングおよびリーディングで8.0以上を狙う戦略も有効です。
実際に留学・海外就職して実感することですが、IELTSのリスニング試験で必要な能力(文脈の理解、パラフレーズ、数字の書き取りや位置情報の把握等)は、アカデミアやビジネスの現場で自身の力を発揮するために必須のものですので、十分に取り組む価値のあるものと言えます。
リスニング試験形式
リスニングは、IELTS試験の机上試験の中ではライティング・リーディングに続く最後に登場します。2019年3月までは最初でしたが、4月から順番が入れ替わりました。
全40問の試験で、10問ずつ4つのセクションに分かれています。
後半に進むにつれて難易度は上がりますが、各問の配点は変わりません。イギリス英語に限らず、アメリカ英語、インド英語といった様々なアクセントの英語が流れます。
ペーパーベースの試験時間は40分となっていますが、最後の10分は回答欄への転記時間で、実質的に音声が流れるのは最初の30分です。また、ガイダンス各セクションの合間には30秒の回答時間が設けられています。
なお、コンピューターベースの試験では30分(答案転記のための10分間は無く)、リスニング中に答えをすべてタイプしておく必要があります。
問題用紙には、あらかじめ問題文がすべて記載されており、事前に目を通すことや鉛筆で問題用紙にメモを取ることが許されています。
穴埋め問題などでは、問題からリスニングの内容を類推することも十分可能です。
答案用紙には、リーディングと同様に空欄が40問分あるだけで、選択問題も書き取り問題もすべてこの中に書くことになります。
リスニングの各セクション
近年、リスニングの4つの各セクションには決まった出題パターンがあります。
- セクション1 日常的なダイアローグ(お店への問い合わせ、予約など)
- セクション2 日常的なモノローグ(旅行ガイド、場所の説明など)
- セクション3 学術的なダイアローグ*(学校の先生と生徒の議論など)*登場人物が3人以上になるケースもあり
- セクション4 学術的なモノローグ(大学の講義や演説など)
スコアと正答数は以下のようになっています。後半の難易度が上がることを考慮すると、前半のセクション1~2はなるべく満点を目指す必要があります。
- 正解数 40-39:スコア 9.0
- 正解数 38-37:スコア 8.5
- 正解数 36-35:スコア 8.0
- 正解数 34-32:スコア 7.5
- 正解数 31-30:スコア 7.0
IELTSリスニングの設問内容&対策
総論 (テクニック&文法)
IELTSリスニング試験は、その実、半分くらいはリーディングの試験と言えます。これは、問題文が与えられているからです。
そのため最重要テクニックとしては、ガイダンスやセクション間の回答時間中に問題文にざっと目を通し、オーディオから拾うべき情報にあたりをつけることとなります。
基本的に問題が対象とする情報は、オーディオの中では順番に登場します(Q1はオーディオの前半の情報で答える)。
そのために、まずはリスニングで出題される問題形式を把握しておく必要があります。
- 書き取り問題
- 穴埋め問題
- 文脈選択問題
- マッチング問題
- 図形問題(地図、間取り図など)
各論
書き取り問題
主にセクション1において、名前のスペリングや電話番号(稀にレファレンスナンバー等)の書き取りが求められます。
対策としては、動画共有サイトで「Telephone Number Listening Practice」等で検索することで、大量のサンプルに挑戦することができます。
穴埋め問題
問題文が表やノートになっており、穴埋めするものです。基本的にオーディオの情報をサマライズし、特に重要な情報やワードが空欄になっていますので、ある意味素直な問題です。
一方で、肝心のワードを聞き逃すとリカバリーしようがないので、まずは求められている品詞を特定し、可能性のあるワードをメモしておくことが有用です。
また、空欄前後に and/orなどがある場合は並列構造となりますので、対になる情報から特定することも可能です(ただし、 ___and___のように両方とも回答を求められることもあります)
なお、単数形/複数形などでも正誤が分かれますので注意が必要です。
文脈選択問題
オーディオの内容を満たす選択肢を選ぶ問題で、文脈の理解が必要となります。また、複数回答が求められることが多く、難易度が高い部類に入る問題です。
穴埋め問題とは異なり、オーディオ内の情報は同義語や同じ意味にパラフレーズされていることがほとんどです。そのため、聞こえたワードが入っている選択肢を選ぶのは危険です。
また、オーディオの情報を拡大解釈は選択肢は不正解となります(オーディオで「Aの状態の人は多少いた」となっているとき、”There are few people in A”は「ほとんどいない」という意味で原文と異なるので不正解です)。
このように量的・質的な表現でのパラフレーズを一致させることができると正答率が上がります:barely, merely, hardly, slightlyなど。
マッチング問題
4~7つくらいの一言または一行の問題に対して、(多くの場合は)同数の選択肢が与えられており、それらを正しい組み合わせでマッチさせる問題です。
問題の順番でオーディオ内でも登場してくることが一般的です。問題数が多く、対象となる情報はオーディオ内の分散していることが多いので、気を抜けません。
基本的な解き方は文脈選択問題と変わらず、パラフレーズに注意することですが、選択肢がMECEになっているので、自分の中で対比させながら情報を整理すると簡単に解けるようになります。
図形問題
オーディオ内で言及されている施設などについて、地図の中での場所を選ばせる問題です。
部屋の間取りなどバリエーションがありますが、いずれも位置関係を示す前置詞や副詞の理解が重要となります(東西南北で表現するケースが多いです)。
こちらも重点的に練習したい場合は、動画共有サイトで「IELTS map labelling」と検索すると練習問題が多数ヒットします。リスニング中は実際に地図上でペンで辿ると良いでしょう。
リスニング勉強方法&教材
単語対策
IELTSリスニングの英単語の難易度は日本の大学受験レベルですが、リーディングやライティングまで含めて考えると、アカデミックな単語も習得する必要があります。
一般的な英単語の紹介は他に譲るとして(ちなみに私はDuo3.0派です)、IELTSに頻出の英単語をターゲットにしたものとしては、Cambridge出版のものがオーソドックスです。
また、Collinsのものでもそこまで内容に差はないように感じられました。
いずれも単語帳のようになっているわけではなく、頻出単語を多用した練習問題形式になっていますので、試験に慣れる意味でも有用です。
おすすめの文法書
IELTSにおいて求められる文法のレベルは、GMATのSCと比較すれば多少易しく、高校生レベルで十分対応可能です。
英文法はリスニングのみならず、リーディングやライティングにおいても必要不可欠な要素ですので、受験対策の初期に集中的にやり直されることを強くお勧めします。以下に、私が実際に取り組んだ教材を紹介します。
Essential Grammer in Use
オーソドックスな教材としては、Cambridge出版の”Essential Grammer in Use”シリーズです。
Elementary, Intermediate, Advancedの3段階がありますが、IELTSレベルであればIntermediateで十分です。
なお、日本語訳されているものもありますが、どちらでも構いません。かなり分量がありますので、コンスタントに解き進める必要があります。
リスニング力向上のおすすめ学習素材
IELTSのオーディオは、アメリカ英語やインド英語などさまざまなアクセントが混在していますが、やはりイギリス英語が多めの印象です。
スピーキングでは特定の動画やポッドキャストをひたすらシャドーイングして話法をインプットする方法が考えられますが、リスニングの場合はいろいろなテーマに対応できるように数多くのオーディオに触れると良いと思います。
教材は、公式問題集に加え、以下のようなメディアがお勧めです。
TED App
米国発祥のプレゼンテーションカンファレンスのスマホアプリです。
プレゼンテーション(=モノローグ)ですので主にセクション4対策として有効ですが、特にこのアプリのメリットとしては、以下が挙げられます
- アカデミックな英語プレゼンテーションの動画アーカイブを無料で閲覧可能であること
- App内で動画をダウンロード可能であること
- 字幕を表示可能であること
スピーカーも人によってはネイティブではないため、苦手な英語なまりを集中的に練習することも可能です。
私はインド英語とフランス語なまりの英語(あまりIELTSで出題されることはないですが)が苦手だったので、話者の名前でそれらしい人を見つけて移動中の電車でシャドーイングをして耳を慣らしていました。
実際に留学をすると、特に欧州の学校や職場では様々な訛りの英語が飛び交っていますので、無駄にはならないと思います。また、留学後にプレゼンテーションをする際の練習にもなります。
BBC Learning English
ESL (English as a Second Language) としてのメディアで、ビジネス会議やアカデミックな議論などの動画教材にアクセスできます。英語のスピードはIntermediateといったところです。
また、コンテンツのうち”Learn with the News”は実際のBBCのニュースをスクリプト付きで紹介してくれており、スピードも現実のビジネスレベルとなっています。
私は事前にWifi環境でレッスンをダウンロードしておき、
- 通勤中に流聴きで耳慣らし
- 内容をざっくりと把握
- ニュースからIELTSだったらどこが聞かれるか想像しながらリスニング
の手順でIELTSリスニングの対策に活用していました。
まとめ
本稿では、IELTSリスニング試験について、試験概要を説明したのち、各セクションの特徴・対策と勉強方法について筆者の体験も交えながら紹介しました。
リーディングとの比較では英語のレベルが若干平易であることから、パターンと解法を習得すれば得点源として狙うことが可能です。受験生の皆さんの健闘をお祈りします。
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