私は16歳で初めてIELTSを受験、総合スコアは6.0でした。
そこからイギリスの大学を受験するうえで必要となる7.0に達するために勉強し、1年後に総合スコア8.0(2回の受験でリスニング8.5と9.0)を取得し、結果イギリスにある某大学の文系学部に合格しました。
それまで英検やTOEICなどを受験していましたが、IELTSのリスニングの難易度の高さに最初は驚いたのを覚えています。
それでも1年間でリスニングのスコアを2.5(6.5→9.0)まで上げることができました。
今回はその勉強法を含めて、IELTSのリスニングセクションについて解説します!
16歳の時にイギリスのボーディングスクールに渡り2年間を過ごし、大学を受験。2020年9月よりロンドンの某大学にてPPE(Philosophy, Politics and Economics)を専攻する予定。渡英するまで一度も海外経験がなく、ゼロからの英語学習を経験した。
IELTSリスニングの基本
IELTS試験の流れ
出展;IELTSテスト内容
IELTSはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4セクションに分かれて分かれており、試験の構成は以下のようになっています。
- ライティング 60分
- リーディング 60分
- リスニング 40分
- スピーキング 15~20分
リスニング問題自体は30分間流れています。最後に10分間、解答を用紙に移すための時間が設けられており、計40分の構成となっています。
IELTSのリスニングは選択式の解答に加え、一部で解答を直接記述する部分があります。
記述部分は、表やポスターの穴埋め問題が多いです。記述の際も多くて三単語までの記述が一般的であり文章を丸々記述することはありません。
リスニングの問題形式
日常会話&日常的なモノローグ
日々の生活の中での会話や、店や会社への電話などなど…実生活でも聞きそうな会話がもちろん出題されます。
ほとんどがイギリス英語でのリスニングとなるので、日本国内での英語学習者にはあまり慣れないアクセントが多いかもしれません。
そのため、イギリス英語のリスニング練習を多く実践することがスコアアップに繋がります!
学術的な会話・モノローグ
IELTSはイギリスの大学・大学院で生活するうえで要される英語力の試験です。
つまり、大学生活のワンシーンや講義の一部、チューターとのやり取りを正しく理解できるかを問う問題にも重点が置かれています。
ここでは大学内での会話に加え、専門用語を交えたスピーチのような問題が出されることもあります。
そういった際に大切なのは、「IELTSで問われているのは英語力だけだ」ということを忘れないこと。
専門的な知識を問われることはないはずですので、分からない学問的な用語におじけづくことのないようにしましょう。
IELTSリスニングの難易度
バンドスコア | 解説 | テスト比較 |
9 | 4技能全てにおいてネイティヴ並みの語力と理解力がある。 | T:118-120 |
8, 8.5 | 多少のミスは見受けられるが十分通用するレベルである。筋の通った議論が可能。 | T:110-117 |
7, 7.5 | 豊富な語彙と複雑な英語を理解する能力があるが、場面によってはミスが生じる。 | T:94-109英検1級 |
6, 6.5 | 状況による英語力の差が大きいものの、理解し英語をうまく使う能力がある。 | T:60-93英検準1級 |
他の試験との比較
試験形式や問題内容が違うので一概には表せませんが、一般的にIELTSの総合スコア7.0は英検一級程度に相当する、といわれています。
TOEICではおおよそ900点台前半、TOEFLでは94-101点あたりになるようです。
ちなみにIELTS総合スコア7.0は、多くのイギリスの大学・大学院で留学する際に必要なスコアですので、1つの目標とするとよいです。
留学で受けることが多いTOEFLとリスニングセクションを比較すると、IELTSのリスニング7.0はTOEFLのリスニング24-26点程度であることがわかります。
TOEFL Listening | IELTS Listening |
---|---|
0–2 | 0–4 |
3 | 4.5 |
4–6 | 5 |
7–11 | 5.5* |
12–19 | 6* |
20–23 | 6.5* |
24–26 | 7* |
27 | 7.5* |
リスニング対策準備:リスニング力アップ
現在のスコアを把握し学習計画を立てる
最初に、先ほどの練習問題の動画を続けて聞いて最後まで一通り問題を解いてみましょう。
最後の部分で答え合わせができるので採点まで終わらせましょう。40問中で何問正解できたでしょうか?
以下におおよそのリスニングのスコア換算表を用意したので、自分の現在のスコアを見てみましょう。動画の最後についているものと大体同じかと思います。
正解数 | 予想スコア |
39-40問 | 9.0 |
37-38問 | 8.5 |
35-36問 | 8.0 |
32-34問 | 7.5 |
30-31問 | 7.0 |
26-29問 | 6.5 |
23-25問 | 6.0 |
18-22問 | 5.5 |
16-17問 | 5.0 |
13-15問 | 4.5 |
11-12問 | 4.0 |
目標スコア(留学先で求められているスコアなど)がある場合には、それと比べてどのくらい差があるかを確認してみてください。
スコアの確認に加えて、どのセクションの点数が良くなかったかを確認してみましょう。
例えば、日常会話は聞き取れたけれど、話者が一人のスピ―チ形式のものは点数が取れていない…などです。
自分の苦手な部分を把握して、その形式の問題に重点を置いて練習できるようにしましょう。
イギリス英語慣れがスコアアップのキー!
リスニングで登場する話者の多くはイギリス人なので、イギリス英語のアクセントに慣れることでもIELTSのスコアアップが期待できます。
普段イギリス英語に聞き慣れない…という学習者におすすめなのは「イギリスの子供が触れる番組」です。
これから英語を学ぶ子供が聞くものですから、ゆっくり・はっきりと話されていますよね。
代表的なものにPeppa Pigという番組があります。イギリスの国民的なアニメ番組です。内容は子供向けですが、初級者がスタートダッシュに使うのにおすすめの英語リソースです。
Youtubeではなんと、24時間365日ライブで配信されていますから、作業中に流したりする程度でも触れているとよいでしょう。
私がイギリスに渡って最初の頃は、英語が全く聞き取れずにただただ焦りを感じていました。
友達と話して英語の練習ができない時間は、自分の部屋でPeppa Pigを流し続けながら、セリフを真似して何度もリピートして発音に慣れるようにしていたのを覚えています。
子供向けの番組なのでちょっと恥ずかしかったですが、それでも「英語力が伸びるなら気にしない!」と部屋で聞き続けていました。(笑)
ネイティブの日常会話のテンポに慣れる
子供向け番組の英語で聞き慣れてきたら、少しスピードの上がった会話にチャレンジしてみましょう。
最適な素材は、やはりイギリス発のネイティブによる番組です。ネットフリックスなどでイギリス発の番組を探して、楽しんで観れるものを選びましょう。
好きな番組やタレントを見つけて、楽しみながらリスニング練習をすると継続しやすく、またストレスも少なくリスニング力を伸ばすことができます。
私はSuitsというドラマが大好きで、字幕付きで一度見た後に字幕なしで観たり、セリフが聞き取れるまで何度も再生したりを繰り返しました。
英語の勉強だ!と思ってやったよりかは、「好き」を深めたいという気持ちが強かったですね。
以下にいくつかのおすすめを載せておきます。
① Sherlock
綺麗なイギリス英語を聞ける番組といってまず最初に思いつくのはこのドラマです。
有名なシャーロック・ホームズの作品をドラマ化した最新作で、ドクターストレンジなどを演じたベネディクト・カンバーバッチがシャーロック・ホームズ役を務めています。
② The Great British Bake Off
毎回素人の参加者が6名ほど集まり、指示通りにケーキなどのスイーツを作ってその出来を競うという番組です。
素人がただひたすら料理をして、プロが採点・ランク付けをします。最下位の参加者が脱落していき、最終的に優勝を決めます。
イギリスで国民的な人気を誇る番組ですので、ぜひチェックしてみてください。
③ The X factor
この番組は日本でも知っている人が多いでしょう。こちらも素人・無名のパフォーマーが出てきて、審査員の前で持ち前の芸を繰り広げます。
審査員に認められると次のステージに進め、優勝するとキャリアアップのためのチャンスが与えられます。
この番組から過去に様々な有名人が輩出されています。
一番有名なのはOne Directionでしょう。彼らもこの番組で受けたオーディションをきっかけにして世界的な人気を得るようになりました。
リスニングは日々の積み重ねで大きな差を生む分野です。
「よし、リスニングしよう!」と意気込んで英語を聞くのもいいですが、先に好きな番組やタレントを見つけて、楽しみながらリスニング練習をした方が継続しやすく、またストレスも少なくリスニング力を伸ばすことができるでしょう。
リスニング対策準備:試験形式に慣れる
一日一題
Youtubeにて毎日IELTSのリスニングの試験形式問題をアップしているチャンネルがあります。
ここでは新しい問題が毎日更新されますから、試験と同じように毎朝のルーティーンとして一題解く習慣をつけると、スコアアップに繋がること間違いなしです。
終わったら必ず動画の最後に載る答えと照らし合わせて復習まで行いましょう。
最初に問題を把握
IELTSのリスニングスコアアップの最も大切なコツは「問題を素早く把握すること」です!
問題に出てくる話者達の関係、会話の場所や時間など…これらをいち早く理解するために、いくつかのポイントをおさえましょう。
キーフレーズを聞き取る!
例えば、リスニング冒頭に”(店名・会社名). How may I help you?” などというフレーズがあったら、どんな状況だと考えられるでしょうか。
まず、対面でこのような話し方はしないですよね。会社名を名乗っていることから、電話での会話と予想することができます。
このように、問題のなるべく早い段階で状況を理解できると会話の展開が予想しやすくなり、スコアアップに繋がります。
キーフレーズの例としては、
- (会社名・店名). How may I help you? → 電話越し、会社と顧客か会社どうしの会話と予想できる
- She’s/ He’s / I’m going to talk about… → 誰かのスピーチが始まる?
- Thanks for coming today to do ○○○ → 何かの集まり,このフレーズを言った人が教授・チューターの可能性大
といったように、小さなセリフからでも様々な推測ができ、会話が進むにつれて候補が絞れていけるのが理想です。
表を読み込む余裕を持とう!
記述式の解答の際には、問題用紙に表が載っており穴埋め形式で問題が出ます。
会話が始まってしまう前に表を最後まで読んで、どのような状況での会話が予想されるかにある程度のめどをつけておくだけで、聞き取れる量にも差が出てきます。
話者の立場を素早く把握
会話が行われている状況を把握すると同時に、話者同士の関係も把握できるようにしましょう。
IELTSで多く使われるシチュエーションの例は、教授/チューターと生徒複数名による会話です。どの声が教授でどれが生徒なのかを理解するだけでも、どこに耳を傾ける必要があるのかが分かります。
または、話者が一人のみのスピーチ形式のリスニングでは誰に向けたスピーチをしているのかも素早く掴みましょう。
教授の講義なのか、ツアーガイドの説明なのか…そこが正確に把握できないと、何も分からないまま会話が終わってしまう、ということになりかねません。
分からない単語に怖気づかない!
リスニングの練習中や練習問題を解いている際に分からない単語や聞き取れなかった部分があると焦りますよね。
まるで、会話全体が理解できていないように感じてしまうこともあるかと思います。
が、本番でも同じように焦ってパニックになってしまうと、点数を取れる部分でもミスをする可能性が高まります。
聞き取れない単語は焦らずに、前後の部分から予測だてておきましょう。
練習問題であれば、解き終わったら必ず意味を調べたりスクリプトを読んでみて確認します。
ただ、本試験中には怖気づかずに落ち着いて問題を把握していきましょう。
最後の10分をうまく活用
最後に10分間もの空き時間があり、問題用紙に書き残した答えのメモを解答用紙に移すことができます。
IELTSの場合はこの間に先のセクションの問題を解く(リーディングを始めてしまう) ことができません。
ですから、単語のスペルなどを悩む問題は、カタカナでもいいので答えをさっとメモして次の問題を読んでおきましょう。
ここで詰まってしまうか次に移れるかで明暗が分かれてきます。
悩んだ問題には印をつけ、最後の10分間で答えを絞れるような試験の進め方を練習しておきましょう。
更なるスコアアップを目指すなら
TED動画
もう既にIELTSで良い点数を保持しながら、更なるスコアアップに躍進している方に何よりもおすすめするのは、TEDで英語学習です。
TEDとは、毎回様々な学問分野や芸術界などで著名な人の講演を開催し、その様子をYoutube等で公開している非営利団体です。
世界各国から講演者が招かれ、また大量に動画が公開されているのでリスニング練習には最適です。トピックも多種多様なので自分の興味のある分野の動画で練習してもよいでしょう。
英語の字幕が付いているのでシャドーイングの練習も可能です。英語だけでなく内容のレベルも高いので、ハイレベル英語学習者にはもってこいの練習素材です。
動画によっては、難しい専門用語などが出てくるものもありますが、あえて調べることなく話者の解説や内容からおおよその意味を推測する練習もできるととても有効です。
私は字幕なし・途中でも調べずに解説だけでどれだけ理解できるか練習に使っていました。
おすすめポッドキャスト
BBCのサイトやPodcastアプリなどを使って、ラジオ代わりにポッドキャストを聴くのもいいリスニング対策になります。
私は英語学習用にBBC Six Minutes Englishを、アカデミックな英語に慣れるためにMore or Lessという番組をよく利用していました。
BBC Six Minutes English
BBC Six Minutes Englishはサイトに読まれた文が掲載されているので、聞き取れなかった部分は確認しながら聞き進めていました。
また内容も英語で使える表現についてだったので、様々な慣用句や熟語をここで勉強しました。
More Or Less
More Or Lessは統計やデータの裏に隠れた意味を学ぶ番組でかなりレベルが上がります。
これはただ聞くだけではなく、あとから友達と感想を話したり意見を交わしたりするために聞きました。
後からアウトプットに使うことが先に頭に入っていると、より一生懸命に聞き取って自分の意見を考えるようになり、ただ聞いているだけよりも効果がありました。
周りに番組について話し合える人がいなくても、ノートなどに内容と意見をまとめるようにするのでもよいでしょう。
海外圏のIELTS対策サイト
IELTS対策サイトやYotubeなど、オンラインで見つかる対策のための資料は英語の方が圧倒的に多いです。
ここでは、有用な英語のサイトを2つ紹介します。英語でIELTS対策をすると英語学習に一石二鳥ですよ。
IELTS LIZ
IELTS Lizはリスニングだけでなく、IELTS対策全般に使えるサイト。
豊富な問題量と細かい解説がありしかも無料で多くの問題に触れられますから、知らなくては損です。
ウェブサイトだけでなく、Youtubeにも動画がたくさんあるのでチェック必須。
IELTS中国問題
中国のウェブサイトで、過去問やケンブリッジの問題集が無料で練習することができます。
公式問題集を何冊も買うとコストが高くなってしまうので、このサイトで模試形式で練習を繰り返しました。
IELTS buddy
IELTSbuddyも知っていると有用なサイトです。練習問題の数を重ねたい際に、ここから問題を選んで解いてみましょう。
私はIELTS対策として参考書を買った経験がなく、いつもこういったウェブサイトを使って試験勉強をしていました。
上の2つのサイトだけでも十分な量の練習問題があるので高価な公式問題集を買わずにもスコアアップを達成できました。
特にIELTS Lizのリソースは質も高くて非常に役立ちました。
最後に
英語が聞き取れるようになるには、まず聞き取りたい単語を知っていることが前提になります。
更にはその単語のスペルが分かるだけでなく、発音方法まで知っていないと「聞き取る」ことができないのです。
そういった意味では、私はリスニングは英語力の柱のような存在であると思っています。
この記事でご紹介したリソースや勉強法を利用しながら、この「柱」を太く強いものにして、良いスコアを目指してください。