IELTSリスニングは、日本人にとって特に難易度が高いセクションの一つ。
問題自体は日常的な会話やトピックが多いものの、大文字・小文字の使い分けや単語の正確な書き取り、音声スピードの速さなど、細かなポイントでつまずきやすい。
しかし、効率的な勉強法を実践すれば、短期間でも確実にスコアを伸ばすことが可能だ。
本記事では、IELTSリスニングで「+1.0スコアアップ」を目指すための具体的な対策を解説。
初心者でもすぐに取り組める即効性のあるテクニックから、リスニング力を本質的に鍛える学習法まで網羅。さらに、隙間時間を活用した練習プランや凡ミスを防ぐコツも紹介。
この記事を参考に、リスニングで着実に目標スコアを達成しよう!
目次
IELTSリスニングの基本概要
リスニングセクションの構成
以下は、IELTSリスニングセクションの構成とそれぞれの特徴をまとめた表である。
パート | 内容 | シチュエーション例 | 問題数 |
---|---|---|---|
1 | 日常生活に関連する会話 | ホテルの予約、問い合わせ | 10問 |
2 | 日常生活に関連する独白 | ガイドツアーの説明 | 10問 |
3 | 教育・トレーニング関連の会話 | 学生と講師のディスカッション | 10問 |
4 | アカデミックな講義やスピーチ | 学術的なトピック(例: 科学のプレゼンテーション) | 10問 |
- 試験時間: 約30分(音声再生時間)+10分(解答転記用)
- 音声再生: 各セクション1回のみ再生
問題形式と特徴
IELTSリスニングで出題される問題形式を以下に整理した。
問題形式 | 特徴 | 解答例 |
---|---|---|
選択肢問題 | 単一選択・複数選択があり、正確な聞き取りと判断力が求められる | 正しい記号(A, B, C)を選択 |
記述問題 | 空欄補充や短文記述で正確な単語やフレーズを記入 | “Not more than two words”に従い記述 |
マッチング問題 | 人物、場所、意見などを対応させる | 例: 人名と発言のマッチング |
地図や図表 | 音声を聞きながら地図や図表を完成させる | 指定箇所に適切なラベルを記入 |
正誤問題 | 音声情報に基づき、TRUE/FALSE/NOT GIVENを選択 | 正確に情報を判別する |
初心者がつまずきやすいポイント
IELTSリスニングで多くの初心者が直面する課題と対策を以下にまとめた。
つまずきやすいポイント | 内容 | 解決策 |
---|---|---|
大文字・小文字の使い分け | 名前や固有名詞における大文字・小文字の使い分けが採点対象 | すべて大文字で記入することでミスを防ぐ |
スペルミス | 単語の綴り間違いによる不正解 | 頻出単語をスクリプトから正確に覚える |
制限文字数のルール | “Not more than two words”等の条件を見逃すと不正解 | 問題文を読む際に条件を必ずチェック |
音声の一度きり再生 | 音声が1回のみ再生されるため、聞き逃しが致命的 | 問題文を先に読み、キーワードに注目する |
回答の転記 | 転記時間中にスペリングやフォーマットのミスが発生する | 転記時に文字を確認し、不備がないかチェック |
即効性のあるスコアアップテクニック
大文字・小文字の使い方でケアレスミスを防ぐ
私は、英語学習で急激に実力がついたり、点数がグンと上がる魔法のような勉強法は存在しないと思っている。
しかし、IELTSのリスニングに関しては、一つだけできるアドバイスがある。
単語は全部大文字(又は小文字)で書け
もちろん、大文字、小文字を区別して正確に使い分けられるのが一番良いが、英語学習者としてその感覚を養うのは困難である。
そして、大文字小文字の使い分けの間違いで、5問程度は平気でケアレスミスが発生する。
全て大文字(又は小文字)で書き、+5問正解すれば、簡単にスコアが1.0アップするのだ。※正解不正解とスコアの関係はこちら。
- 採点基準に影響しない: IELTSリスニングではすべての回答を大文字で書いても減点されない。
- 一貫性の確保: 小文字・大文字の区別に悩まずにすむため、余計な注意を払わず回答に集中できる。
- ミスの削減: 固有名詞や略語での大文字・小文字の混同を防ぎやすい。
凡ミスを減らす3つのポイント
リスニングスコアを伸ばすには、凡ミスを減らすことがカギだ。以下の3つの意識ポイントを習慣化しよう。
①記号や番号の選択ミスを防ぐ
- 問題形式(例: 記号選択、番号記入)を必ず確認する。
- 記号選択の場合、正解を選んだ後に問題文を再確認して、間違ったフォーマットで記入していないかチェック。
例題:
- Question: Write the correct room number for the meeting.
Options:- Room 201
- Room 302
- Room 105
正解:
もし「Room 302」が正しい場合、回答欄には「2」と記入しなければならない。
よくあるミス:
回答欄に「Room 302」や「302」と記入する(番号を求められているのに単語や数字だけを書き、形式ミスで不正解)。
②問題文を読む時間の活用
- リスニング開始前の30〜40秒間は、問題文を確認する重要な時間。
- 以下の点を重点的に確認する:
- キーワードの下線引き: 「Who」「Where」「What」などの指示語や固有名詞をマーク。
- 問題形式の把握: 記述、選択、マッチングの形式を正確に理解。
- 文脈の予測: 問題文を読んで、音声でどんな回答を探すべきか予測する。
例題:
Listen to the conversation and answer the following question:
- Question: Who will pick up the speaker from the airport?
活用法:
- 下線を引くキーワード: 「Who」「pick up」「airport」
- 理由: 「Who」により「誰」について答える問題であることを明確にし、「pick up」と「airport」は具体的に探すべき情報を特定する助けになる。
③文字制限付き問題の注意点
- IELTSでは「Not more than two words」や「One word only」といった文字制限が指定されることがある。
- このルールを守らない回答は正答でも不正解とされるため、必ず問題文を読む際に注意する。
問題例 : 「ONE word only」
Question: Where will the next meeting be held?
正しい回答:
- “Library”
- 理由: 制限が「1単語」のため、「the library」や「library building」は不正解。
本質的なリスニング力を鍛える勉強法と心構え
もちろん、肝心の答えが聞き取れなければ、全て大文字で描いても意味はない。
ここでは、シンプルかつ英語力アップに直結する勉強法を紹介する。
- 問題を解く
- 音源を聞く
- スクリプトを読む
- ②/③を繰り返す
以上である。
4ステップ勉強法の詳細
①問題を解く
IELTSの公式問題集又はIELTS中国問題を利用して問題を解こう。
IELTSのリスニングは比較的短く、合計4セクション30分程度のリスニングで、転記時間10分をもらえる。
毎日2セクション、または過去問1回分を勉強するのはどうだろうか。
②音源を聞く
①でミスがあった問題を中心に音源を聞こう。
目標は90%以上の理解。勉強を始めたばかりの人は、全ての問題でミスがあり、英語が宇宙語の様に思えると思う。
軽く1〜2回聞いて③に進もう。
③スクリプトを読む
②で挫折してはいけない。聞いてわからなければ、スクリプトを読めばいいじゃない。
スクリプトを読んで、文章を100%理解しよう。そして、②に戻ろう。
④ ②/③を繰り返す
②、③を繰り返して行うことで、自分の聞き取れない部分/聞いて理解できない部分を洗い出そう。
そして、その苦手部分だけにフォーカスして音源を聞き倒そう。
1日ですべて理解できる様になる必要なんてない。次の日、来週、来月、時間を置いてまた聞いて、理解度を少しづつ深めよう。
わからなければスクリプトを確認して意味を理解しよう。そして、また音源を聞こう。完璧に理解したと思った音源も、継続的に聞くことをお勧めする。
リスニング力を最大化するコツ
本質的なリスニング力を伸ばすため、日常生活の中でリスニング練習を組み込むことが重要だ。
以下のポイントを押さえて、リスニング力を最大化しよう。
頻度を増やし、短時間のセッションを繰り返す
長時間のリスニング練習を行うよりも、短時間のセッションを頻繁に繰り返す方が効果的である。
隙間時間を活用し、日常生活にリスニングを自然に取り入れる工夫をしよう。
場面 | 活用方法 |
---|---|
通勤時間 | 電車やバスの中でリスニング音源を再生する。 |
お風呂 | 防水スピーカーを使い、シャワー中でもリスニング可能にする。 |
家事中 | 洗い物や掃除をしながら英語の音源を聞く。 |
ストレッチや運動中 | ゆったりした運動をしながら英語のフレーズを耳に入れる。 |
ワイヤレススピーカーで生活の中に英語を取り入れる
意思の弱いあなたにおすすめするのは防水ワイヤレススピーカー。
防水対応のワイヤレススピーカーを活用すれば、家中どこでも手軽にリスニング練習ができる。
特にお風呂やキッチンなど、スマホやイヤホンが使いづらい場面で役立つ。
場所 | 活用方法 |
---|---|
お風呂 | 防水スピーカーをシャワールームに設置し、リラックスしながら英語音声を聞く。 |
キッチン | 料理中や洗い物中にポッドキャストやリスニング音源を再生する。 |
リビング | ソファでくつろぎながら英語の映画やインタビューをスピーカーで流す。 |
IELTSリスニング対策3つのTIPS
1パッセージあたりのミスを把握
正答数 | バンドスコア | ミスの数 |
---|---|---|
39–40 | 9.0 | 0–1問 |
37–38 | 8.5 | 2–3問 |
35–36 | 8.0 | 4–5問 |
32–34 | 7.5 | 6–8問 |
30–31 | 7.0 | 9–10問 |
26–29 | 6.5 | 11–14問 |
23–25 | 6.0 | 15–17問 |
18–22 | 5.5 | 18–22問 |
16–17 | 5.0 | 23–24問 |
13–15 | 4.5 | 25–27問 |
10–12 | 4.0 | 28–30問 |
IELTSリスニングの目標点に対して、1パッセージあたり、何問間違えられるのかを把握しておくことが重要。
例えば、バンドスコア8.0を目標とする場合、1パッセージあたりのミスは1~2問、7,0を目標とする場合、1パッセージあたりのミスは2~3問が目安となる。
この場合、難易度が低いパート1や2で正答率を上げ、パート3や4で間違えられる数を寄せることも戦略としては重要だ。
間違えて良い問題数を把握することにより、パート別に勉強をしていても、現時点の実力と、目標スコアまでの距離を把握しやすくなる。
スコアの決まり方については、こちらの記事を参考にして欲しい。
予測力を鍛えて集中力を上げる
音声を聞く前に、答えを予測する力を養うことで、効率的なリスニングが可能になる。
予測力を鍛えるには以下の方法が有効だ。
予測テクニック | 具体例 |
---|---|
文法的予測 | 前置詞の後に名詞が来る、主語の後に動詞が続くなど、基本的な文法ルールを活用する。 |
ロジカルな推測 | 文脈から必要な情報を推測し、どのような回答が適切かを考える。 |
選択肢の絞り込み | 問題文や選択肢を分析し、不適切な回答を事前に排除して効率的に答えを導き出す。 |
具体例
質問: “After the exam, Marcus scheduled a meeting with ______.”
予測: 「with」という前置詞の後には名詞が来るため、人名や役職に注意を払う。「exam」と「meeting」という文脈から、教育関連の人物(例: tutor)が答えになる可能性が高い。
次に出る問題を見越した準備
音声中にも次の問題を意識することで、効率的に答えを導き出せる。本番での実践例を以下に示す。
準備のステップ | 具体的な行動 |
---|---|
キーワードを意識 | 問題文に下線を引いたキーワード(Who, Where, Whatなど)を音声中に注意して聞く。 |
次の問題に目を通す | 現在の問題を解きつつ、次の問題の形式やキーワードを確認する。 |
時間配分を意識 | 1問にこだわりすぎず、音声に合わせて問題を進めるタイミングを見極める。 |
例
質問文: “What is the purpose of Marcus’s meeting?”
次の問題に備えるため、音声中で「meeting」という単語が出たら注意を払いながら、次の問題文を確認。文脈を把握しやすくなる。
TOEFLからIELTSに移行する方へ
IELTSのリスニング自体はTOEFLより簡単である。
講義よりも会話形式が多く、アカデミックな内容が少ないからだ。
しかし、問題形式はTOEFLよりややこしい。大文字や小文字の使い分けや、文章を読みながらリスニング、そして単純な選択式ではなく、多くの形式で問題が出題される。
過去問を10-20セットぐらい解き、問題形式に慣れるための演習をする必要がある。
TOEFLリスニングとの違い
比較項目 | IELTSリスニング | TOEFLリスニング |
---|---|---|
形式 | 4つのセクション(会話、モノローグ) | 主にアカデミックな講義や会話 |
内容 | 日常生活や一般的なテーマ(例: 旅行の計画、電話での会話) | アカデミックな内容(例: 科学や歴史の講義) |
質問形式 | 空欄補充、選択肢、マッチングなど多様 | 主に選択肢問題 |
音声のアクセント | 英国、豪州、ニュージーランド、米国など多様な英語アクセント | 米国英語が中心 |
音声再生回数 | 各セクションで音声は1回のみ再生 | 各講義や会話も1回のみ再生 |
採点基準 | 回答の正確性(スペルミスや文字制限のルールが厳しい) | 回答の選択肢が正しいかどうか |
問題形式への対応法
IELTSリスニングは問題形式が多岐にわたるため、それぞれに対応する具体的な対策が必要である。
問題形式 | 特徴 | 対応法 |
---|---|---|
空欄補充 | 指定された単語数(例: “One word only”)を超えると不正解。 | 必ず文字数制限を確認し、簡潔な答えを心がける。 |
選択肢問題 | 音声の内容に似たフレーズが選択肢に混ざることが多い。 | 問題文を先に読み、キーワードをマークしてから音声を聞く。 |
マッチング | 選択肢をリスト形式で提示。音声中の情報を整理する必要がある。 | 音声中の話題や単語に注意し、選択肢との関連性を素早く判断する。 |
地図や図表の完成 | 視覚情報(例: 地図や図表)に基づいて正しい場所や情報を埋める形式。 | 音声開始前に図表を確認し、場所や方向を表す言葉に注目する。 |
終わりに
IELTSリスニングは、一見するとTOEFLより簡単に思えることもあるが、その多様な問題形式や採点基準を考えると、計画的な準備が不可欠だ。
重要なのは、日々の練習を継続し、自分の弱点を正確に把握して改善を重ねること。
焦らず、自分のペースで着実に進めてほしい。