



IELTSは海外留学や就職、移住など幅広い目的に使える英語試験です。
しかし、「純ジャパにはIELTSは難しい」という話を聞き不安に感じている方も多いかもしれません。
「IELTSは難しいってホント?」
「留学に必要なスコアを取るのはどのくらい難しい?」
「具体的にどんなところが難しいの?」
本記事ではこのような疑問や悩みを抱える方向けに、IELTSの難易度について幅広い観点からしていきます!
本記事を参考にIELTSについての理解を深め、今後の留学や就職に活かしてくださいね。
目次
IELTSとは?
IELTS(International English Language Testing System)は世界中で使われている英語4技能試験で、英語圏の国に留学、就労、移住する際に英語力の証明として使用できます。
まず、IELTS試験の概要について解説していきます。
IELTSとは?
IELTSは海外留学、就労、移住などの際に使用でき世界140ヶ国以上で年間350万人以上が受験するグローバルな英語試験です。
日本では複数の会社が提供しており、会社ごとに料金や日程、会場などは異なりますがテストの内容自体は同じです。
以下、IELTSの基本情報を記載しています。
受験料 | 25,380円~28,500円 *団体と試験方法によって異なる |
試験時間 | 2時間45分(165分)程度 |
試験内容 | 4技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング) |
試験方法 | 筆記試験もしくはコンピュータ試験 *スピーキングは面接官と1対1の対面形式 |
試験日程 | 筆記試験はほぼ毎週 コンピュータ試験はほぼ毎日開催 |
試験会場 | 東京テストセンター:札幌・仙台・埼玉・東京・横浜・長野・金沢・静岡 大阪テストセンター:名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・福岡・熊本 |
申し込み方法 | 各社ホームページから予約 ・British Council ・英検協会 ・IDP ・JSAF ・バークレーハウス |
申し込み時に必要なもの | 有効期限内のパスポート |
詳細は各社ホームページから確認できるので気になる人はチェックしてみましょう。
IELTS試験の種類(アカデミックとジェネラル)
IELTSの試験にはアカデミックモジュール(以下アカデミック)とジェネラル・トレーニングモジュール(以下ジェネラル)の2種類があります。
それぞれ試験内容や対象者が異なるため、自身の目的に合わせて適切なテストを受験しましょう。
種類 | アカデミック | ジェネラル |
対象 | 英語圏の大学・大学院への留学生 | 英語圏での就職・移住希望者 |
問題の内容 | 学術的な会話や場面が中心 | 日常生活や職場でのやりとり |
難易度 | 難 | 普通 |
アカデミックは英語圏への留学希望者が対象のテストで学術的な問題が多く出題され難易度は高めです。
一方ジャネラルは英語圏での就職・移住希望者が対象のテストで日常場面での問題が多く出題されるため難易度はアカデミックに比べると易しめです。
2種類のテストの違いをしっかりと把握して、ご自身の目的に応じて受験準備を行いましょう。
IELTSのスコアと採点方法
IELTSのスコアは4技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)を対象に1(最低)から9(最高)まで0.5点刻みで採点され、各技能の個別スコアと4技能の総合スコアで示されます。
各スコアのレベルは以下の通りです。
9:エキスパート・ユーザー | 英語を自由自在に使いこなす能力を有する。適切、正確、流暢、完全な理解力もある。 |
8:非常に優秀なユーザー | 不正確さや不適切さがみられるが、英語を自由自在に使いこなす能力を有している。慣れない状況下では誤解が生ずる可能性もある。込み入った議論にも対応できる。 |
7:優秀なユーザー | 不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を使いこなす能力を有する。複雑な言葉遣いにも概ね対応でき、詳細な論理を理解できる。 |
6:有能なユーザー | 不正確さ、不適切さ、誤解もみられるが、概ね効果的に英語を使いこなす能力を有する。特に、慣れた状況下では、かなり複雑な言葉遣いの使用と理解ができる。 |
5:中程度のユーザー | 不完全だが英語を使う能力を有しており、ほとんどの状況でおおまかな意味を把握することできる。ただし、間違いを犯すことも多い。自身の専門分野では、基本的なコミュニケーションを取ることが可能。 |
4:限定的なユーザー | 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言葉遣いはできない。 |
3:非常に限定的なユーザー | 非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションの断絶が頻発する。 |
2:散発的ユーザー | 慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を片言で伝える以外、現実的なコミュニケーションをとることは不可能。英語の会話や文章を理解することは困難である。 |
1:非ユーザー | 単語の羅列のみで、基本的に英語を使用する能力を有していない。 |
0:試験放棄 | 必要情報が提供されていない。 |
セクションごとに正答数によりスコアが定められ、それらの平均により総合スコアが定められます。
4技能の総合力を測られるため、実用的な評価基準として世界中で用いられています。
IELTSは難しい?難易度が高いと感じる要因とは
「IELTSは難しい」と言った噂を耳にした人も多いのではないでしょうか?
ここからは、IELTSの難易度を上げている要因について解説していきます!
英検・TOEFLとのスコア比較でみるIELTSの難しさ
まずは国際的な語学力の指標であるCEFRを元に、IELTSのスコアと他のメジャーな英語試験のスコアを比較していきます。
IELTSと同じく海外留学に使える試験として世界中で使われているTOEFL iBTと、日本人になじみ深い英検とのスコア換算表は以下の通りです。
CEFR | IELTS | TOEFL iBT | 英検 |
9.0 | 118 | ― | |
8.5 | 115 | ― | |
C2 | ― | 114 | ― |
8.0 | 110 | ― | |
7.5 | 102 | ― | |
C1 | ― | 95 | 1級 |
7.0 | 94 | ― | |
6.5 | 79 | ― | |
B2 | ― | 72 | 準1級 |
6.0 | 60 | ― | |
5.5 | 46 | ― | |
B1 | ― | 42 | 2級 |
5.0 | 35 | ― | |
4.5 | 32 | ― | |
A2以下 | 0~4.0 | 0~31 | 準2級以下 |
引用:https://www.jp.ets.org/toefl/test-takers/ibt/scores/understand-scores.html
IELTSスコア8.0以上はCEFR基準でほぼネイティブと同等水準にあたり、IELTSスコア7.0で英検の最上位である1級に相当することが分かりました。
満点に近いスコアでの比較で見れば、「IELTSで高スコアを取ることは難しい」というのはあながち間違いではないかもしれません。


日本人の「苦手」から見るIELTSの難しさ
IELTSに対して苦手意識を持つ日本人は少なくありません。ここでは日本人がIELTSを苦手とする理由を3つ紹介していきます。
①専門的な単語が出題される
日本人がIELTSを苦手とする理由の1つ目は、専門的な単語が多く出題されるからです。
IELTSでは実際の論文や書籍などから出題があるため、他の試験と比べて専門的で高度な単語が多く出題されます。
特にアカデミックでは学術的内容が多く出題されることもあり、単語のレベルは他の試験と比べて高い傾向があります。
余裕のある人はTEDなどで学術的内容の英語に慣れておくと良いでしょう。
②スピーキング、ライティングの力が問われる
日本人がIELTSを苦手とする理由の2つ目は、スピーキング、ライティングを含めた4技能の力が問われるからです。
日本の義務教育ではスピーキング、ライティングを含めた4技能は重視されず、大学入試共通テストやTOEICをはじめリーディング、リスニングの2技能のみを問われる事が多いため、スピーキングとライティングの問題に慣れていない人が多くいます。
筆者もスピーキングに関しては問題演習だけでなく、オンライン英会話を利用するなど特に時間をかけて練習しました。
IELTSでは日本人が苦手なスピーキング、ライティングを含めた4技能において高い水準での英語力が求められるため、難しさを感じる人が多いのでしょう。
③イギリス英語で出題される
日本人がIELTSを苦手とする理由の3つ目は、イギリス英語での問題が出題されるからです。
日本の義務教育ではアメリカ英語を教わるため、イギリス英語特有のアクセントや表現に慣れていない人が多くいます。
特にリスニングにおいてアクセントの違いが如実に現れるため、BCCニュースなどを視聴することでイギリス英語に慣れておくのがおすすめです。
IELTSセクションごとの試験内容と難易度
IELTSはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能の力を測る英語試験です。
セクションごとに問われる力が大きく異なるため、それぞれの特徴をしっかり理解し適切な対策を進める事が重要です。
ここからはセクションごとの試験内容と難易度を詳しく解説していきます!
リスニング:幅広い英語表現
リスニングは30分間で大問4つの計40問が出題されます。
問題はアカデミックとジェネラル共通で、日常生活で使う表現から学術的・専門的表現を用いた内容まで幅広く出題されます。
具体的な内容としてはセクション1では日常会話、セクション2では日常生活に関連する説明やアナウンス、セクション3では学術的な会話、セクション4では学術的な講演やアナウンスが出題されます。
日常場面から専門的な内容まで幅広い英語表現を理解することが求められる高難度の試験となっています。
専門用語の理解はもちろんですが、学校では習わないような砕けた日常用語も出てくるため両方の対策が必要となります。
リーディング:専門的なトピックと文章量
リーディングは制限時間60分間で3つの長文、計40問が出題されます。
文字数は長文1つにつき800文字~1000文字程度で、大問が進むにつれ長くて複雑で難易度が高い文章が出題される傾向があります。文章は新聞や雑誌、書籍等から様々な専門分野に関する記事が出題されます。
リーディングセクションは日本人の平均スコアが6.1と全4技能の中で最も高い値となっています。
IELTSに限らず英語の新聞や書籍など様々な文章を読むこと、過去問を解いて問題パターンと時間配分に慣れることで安定して得点を取りやすいセクションになっています。
ライティング:異なる題材のアカデミックライティング
IELTSのライティングは制限時間60分で2つのパートが出題され、それぞれ問われる題材や文字数が異なります。
タスク1では問題文に与えられたグラフや図表に関して150語程度で解説する問題が、タスク2では与えられた質問に対して賛成か反対か理由も踏まえて250語程度で説明する問題が出題されます。
出題されるトピックは社会問題やテクノロジーなど多岐にわたるため、日頃から様々なことに関心を持ち、どんなトピックであっても自分の考えを素直に述べられるようにしておきましょう。
評価は「課題の達成度」、「一貫性とまとまり」、「語彙力」、「文法知識と正確さ」で下されます。
特に「課題の達成度」と「文法知識と正確さ」の部分に関しては、「質問に正確に答える」、「文章を見直しスペルミスをなくす」ことを意識するだけである程度の点がとれるセクションになっています。
具体的な対策法としては、自分が書いた文章を第三者に見せ、上記4つの観点から添削してもらうのがおすすめです。
スピーキング:幅広いトピックに対応するアドリブ力
IELTSのスピーキングは個別に部屋に呼び出され面接官と1対1の対面形式で行います。時間は11分~14分程度で3つパートに分かれています。
パート1ではインタビュー形式で12の質問に答えていきます。パート2では受験者がカードを引き、そこに書かれていた内容に関して1~2分間のトークを行います。
パート3ではパート2で説明したテーマに関してディスカッション形式で会話していきます。
トピックは、時事問題や季節のイベント、自分の私生活に関する質問など多岐にわたります。問題が予想しにくくアドリブ力が求められるため日本人が苦手とする分野です。
スピーキングの対策としては「習うより慣れろ」です。過去問で出題傾向を大まかにつかんだら、とにかく「英語で会話する」経験を積み会話に慣れていきましょう。


海外大学・大学院留学に必要なIELTSスコアと到達難易度
ここまでIELTSの試験の難易度について解説してきましたが、「自分が目指すスコアに到達するのがどのくらい難しいのか」が気になるところですよね。
ここでは、留学に必要なIELTSアカデミックのスコアと到達難易度について解説していきます。
IELTS 5.0-5.5のレベル:留学の1stステップ
IELTS 5.0-5.5を取得することで、非英語圏の大学や、英語圏の大学準備コースへの出願が可能になります。
IELTS5.0-5.5は留学関連でスコアを使用できる最低ラインと覚えておきましょう。
高校卒業レベルの基礎がしっかりと固まっている人ならば、IELTSの試験対策を入念に行えばほぼ確実に到達できるレベルだと思います。
留学の1stステップとして、まずは5.0-5.5のラインを目座していきましょう。
IELTS 6.0-6.5のレベル:交換留学・大学留学の基準
交換留学では、IELTS5.5〜6.0程度のスコアが求められることが多いです。5.5程度から大学によっては交換留学に出願できる可能性はありますが、6.0以上あれば選択肢が広がるでしょう。
海外大学進学では、一般的にIELTS6.0~のスコアが求められます。特にIELTS6.5以上であれば難関校を除きほとんどの英語圏・非英語圏の大学への出願が可能となるため、選択肢の幅がぐっと広がります。
高校レベルの基礎が完璧で英語が得意な人でも6.0以上を取るにはかなりの期間勉強が必要です。
筆者がアカデミックで6.5を取るまでには、共通テストの英語で9割をとれるレベルからスタートして、スピーキングなどを中心に半年以上の準備期間を要しました。
オーストラリアやイギリスなど英語圏の大学に留学したいと考えている人はIELTS6.5以上をめざして頑張りましょう。

IELTS 7.0のレベル:トップ大学・大学院の基準
IELTS7.0以上で海外のトップ大学や大学院への出願が可能となります。
IELTS7.0以上で出願が可能となる大学としては、アメリカのハーバード大学、マサチューセッツ工科大学、イギリスのオックスフォード大学、ケンブリッジ大学など世界的に有名な超一流大学が名を連ねています。
このスコアより先はかなり発展的な内容や語句に対する理解を深めていかないと到達できない印象です。
IELTS7.0以上を取ればほとんどの大学・大学院に出願する事が出来るため、本気で一流大学への進学をめざす人やとにかく選択肢を広げたい人は7.0以上を一つの目安としておきましょう。
参考:日本人の平均スコアは?
IELTS公式サイトによると、2023~2024 年の日本人の平均スコアは総合で5.9となっており全体平均の6.4と比べると低い水準となっています。
セクションごとのデータを見ていくと、義務教育で重視されているリスニング、リーディングに比べて義務教育では教わる機会の少ないライティング、スピーキングに苦手意識がある事が分かります。
IELTSアカデミックの日本人平均スコア:
リスニング | リーディング | ライティング | スピーキング | オーバーオール |
5.9 | 6.1 | 5.7 | 5.5 | 5.9 |
参照:IELTS公式サイトhttps://ielts.org/researchers/our-research/test-statistics
ここからは注意ですが、「平均スコアが5.9だからそのくらいのスコアを取るのは簡単。」という認識は誤りです。
IELTSは留学や海外での就職を考えている人が受けるテストであるため、日本人全体の平均と比べたときに当然受験者の英語力は高い傾向があります。
平均スコアの5.9は、「高校卒業レベルの基礎力を完璧に備えた人が、IELTSの試験対策を入念に行った上での平均スコア」だということを念頭に目標設定を行いましょう。
IELTSでスコアを上げるには?
最後に、IELTSでスコアを上げるために筆者が実践した方法の中で特に効果の高かったおすすめの勉強法を紹介していきます!
過去問で出題傾向を把握し、勉強戦略を立てる
必ずやっておきたいのが「早い段階から過去問を解いて、勉強の時間配分や本番での戦略を立てること」です。
IELTSは出題されるテーマやトピックが膨大で問題を予想するのは困難ですが、各設問で問われている力や出題傾向はどの年でも共通しています。
効率的に力をつけるには、「対策→過去問」という順番ではなく「過去問→戦略→対策」のように、まず過去問を解いて全体の傾向を把握してから伸ばしたい分野や苦手分野の勉強をすることが大切です。
第三者から添削やフィードバックを受ける
2つ目の方法は「人を頼る」ことです。特にライティングやスピーキングのセクションは他の人からフィードバックを貰ったり、会話相手になって貰ったりすることで飛躍的にスコアが伸びます。
自分が良く犯すミスや癖などについて分かっているつもりでも、1人で勉強していては意外と見落としがちです。
人に頼るのが苦手な人もAIツールなどを活用して必ず自分だけではなく第三者の視点からフィードバックをもらうという事を心がけていきましょう。
とにかく量をこなす
「最後は根性論かよ。」と思った人もいるかも知れませんが、英語学習において量をこなすことは上達の一番の近道です。
ただ問題を解くという事に限らずとも、英語の本を読んでみたり、洋楽を聴いてみたりして英語に触れる機会を意識的に増やしていきましょう。
特にリスニングやスピーキングなどはどれだけ量をこなしたかが結果に直結します。
大前提としてどの分野にどれほどの時間をかけるかという戦略を立てた上で、できるだけ英語を聞いて、読んで、書いて、話すことを心がけましょう。

まとめ
本記事ではIELTSの難易度やスコアの目安、効果的な勉強法まで詳しく解説しました。
IELTSは海外留学や就職などグローバルに使える試験でありながら、その専門性や問われる技能の広さ、なじみのないイギリス英語などから苦手意識を持つ人も多くいます。
各セクションの特徴をしっかりと理解し、対策を立てることで自身の目的に応じたスコア取得を目指していきましょう。
本記事がIELTSを受験して海外留学や就学を目指している人の助けになれば幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました!



