私にとって、IELTSというテストは怪物級に手こずったシロモノであり、ネット情報では「TOEFLより簡単」という評価が定着していた為、当初油断し過ぎた結果、攻略まで1年半を要してしまった。
IELTSは日本での歴史が浅く、受験生が本当に有益な情報を手にすることが難しいと感じており、筆者の受験長期化もそれが一因だと思われる。
ネットには信憑性の怪しい情報が飛び交っているのに加え、どこまで知見を蓄えているか怪しい有象無象の受験予備校が「対策講座」を喧伝し受験生を惑わせる。
そのような中で、失敗を繰り返しながらIELTSの森を彷徨い、20数回の受験の中である程度確度の高い情報とノウハウを得るに至ったので、もったいぶらずに全て公開したい。
迷える受験生の一助になり、無駄な時間と金の浪費が少しでも減れば幸いである。
目次
IELTS 7.5とは?レベル・難易度・スコア換算
IELTS 7.5は、英語圏の大学・大学院や企業で求められる上級レベルのスコアであり、日本人にとっては決して簡単な壁ではない。
TOEICやTOEFLといった他の試験と比べると、特にスピーキングとライティングの採点基準が異なるため、対策を間違えると苦戦しがちだ。
本セクションでは、IELTS 7.5のレベル感、スコア換算、日本人の平均スコア、そしてどの大学がこのスコアを求めるのかについて詳しく解説する。
IELTS 7.5のレベル感|TOEFL・TOEIC・英検とのスコア換算表
IELTS 7.5はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のC1(上級レベル)に相当するスコアであり、「流暢に英語で意思疎通ができるが、専門的なトピックや細かいニュアンスではややミスがある」というレベルに位置づけられる。
IELTSのスコアを他の試験と換算すると、以下のようになる。
試験 | IELTS 7.5 相当スコア |
---|---|
TOEFL iBT | 102-109 |
TOEIC | 940-990 |
英検 | 1級(合格ライン) |
TOEFL100点を超えるレベルのため、英語での講義を理解し、ディスカッションやレポート作成も問題なくこなせる力が求められる。
そのため、リーディング・リスニングの高スコアに加えて、にスピーキングとライティングの対策が重要になる。
IELTS 7.5が必要な大学・大学院
トップ大学を含む多くの大学や大学院では、IELTS7.0が要件となることが多いが、MBAや大学院の文系学科では、IELTS 7.5を最低条件とするケースもある。
イギリスのトップ大学のオックスフォードやケンブリッジのように、各セクションで7.0以上を求められることも珍しくない。
大学・大学院 | 必要スコア |
---|---|
オックスフォード大学(University of Oxford) | Overall 7.5(各セクション7.0以上) |
ケンブリッジ大学(University of Cambridge) | Overall 7.5(各セクション7.0以上) |
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの法学部 | Overall 7.5 |
ハーバード大学教育大学院 | Overall 7.5(各セクション7.5以上) |
カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム専攻 | Overall 7.5 |
私は、MBA受験の為、出願書類の一つとして求められる英語力証明としてこの試験を受験する必要があった。
一般的にはTOEFLのほうがよく知られているが、IELTSはイギリス発祥の為、欧州ではほぼ全ての学校がIELTSのスコアを受け付けているおり、欧州MBAを目指す私はIELTS受験を選択した。
IELTS 7.5はどのくらい難しい?日本人の平均スコアと比較
IELTS 7.5は、単なる「高得点」ではなく、日本人受験者にとっては上位5%に入るレベルのスコアだ。
日本人のIELTS平均スコア(Academic)
- Overall:5.8
- Listening:6.1
- Reading:6.0
- Writing:5.4
- Speaking:5.3
上記のデータからもわかるように、日本人受験者の多くはスピーキングとライティングで苦戦している。
逆に、リーディングとリスニングは比較的高めのスコアが出るため、7.5を目指すなら 「R+Lで稼ぎ、W+Sで足を引っ張られないようにする」 のが現実的な戦略となる。
また、IELTS 7.5が必要な大学・大学院では、多くの受験生がこのスコアを取得しているため、単にスコアをクリアするだけではなく、エッセイや面接の対策もしっかり行う必要がある。
IELTS 7.5取得のリアルな体験談
IELTS 7.5の取得は、単なる試験対策だけではなく、英語の総合力が問われる試練だった。
筆者は合計21回も受験し、ようやく目標スコアを達成することができたが、その過程では数多くの失敗や試行錯誤を繰り返してきた。
ここでは、初受験からのスコアの推移、最初の失敗、TOEFLとの比較、特に苦戦したスピーキングとライティングの採点のブレについて、赤裸々に語っていく。
IELTS 7.5取得までの軌跡
筆者がIELTSを受験し始めた当初の目標は、MBA出願に必要なOverall 7.5の取得だった。
しかし、結果として 21回の受験 を経てようやく目標スコアに到達した。
これは、単に「試験慣れ」が不足していたわけではなく、スピーキングやライティングの採点基準の曖昧さが大きな壁になったからだ。
以下が、筆者のスコア推移である。
受験回数 | Listening | Reading | Writing | Speaking | Overall |
---|---|---|---|---|---|
初回(1回目) | 6.5 | 7.0 | 5.5 | 5.5 | 6.0 |
5回目 | 7.0 | 7.5 | 6.0 | 6.0 | 6.5 |
10回目 | 7.5 | 8.0 | 6.0 | 6.0 | 7.0 |
15回目 | 8.0 | 8.0 | 6.5 | 6.5 | 7.0 |
21回目(最終) | 8.0 | 8.5 | 7.0 | 7.0 | 7.5 |
特に苦戦したのは、WritingとSpeakingのスコアがなかなか伸びなかったこと。
ListeningとReadingは対策すれば安定してスコアが取れるが、WritingとSpeakingは「採点者の主観」も入るため、点数のブレが非常に大きかった。
初受験時のスコアと最初の失敗
初めてIELTSを受験した際、筆者は 「TOEFLより簡単」というネットの情報 を鵜呑みにしていた。
実際の結果は Overall 6.0 で、特にWritingとSpeakingが 5.5 という壊滅的なスコアだった。
初回の失敗の原因
- リスニングとリーディングの形式に慣れていなかった
TOEFLと同様、IELTSのListeningは「一発勝負」。途中で音声を止められないため、聞き逃すと即アウト だった。
Readingも「Not Given」の概念に混乱し、確信を持って回答できなかった。
- スピーキングとライティングの採点基準を理解していなかった
スピーキングは「流暢さ」「発音」「語彙の幅」「文法の正確さ」の4つの評価基準があるが、とにかく話せば点数が上がる と思っていたのが大間違い。
ライティングは「タスク達成度」「論理構成」「語彙」「文法」の4つの基準があり、構成を無視した書き方 をしていたためスコアが伸びなかった。
IELTS 7.5とTOEFL 105はどっちが難しい?
MBAや大学院進学を目指す場合、一般的に必要とされる英語スコアは IELTS 6.5~7.5、またはTOEFL 90~110 の範囲に収まることが多い。
「IELTS 7.5が取れれば、どの大学でも英語要件はクリアできる」 というのが一つの目安だ。
しかし、IELTS 7.5を求める学校の多くが、TOEFLでは 105~110点 を要求しているため、TOEFLよりもIELTSの方が簡単ではないか? という考えから TOEFLからIELTSに”逃げる”受験生 も多い。
だが、ここで強調しておきたいのは、IELTS 7.5も決して簡単ではない ということだ。
TOEFL 105よりもIELTS 7.5の方が簡単?
筆者自身もTOEFLを2回受験し、その経験から「TOEFL 105点を取るよりもIELTS 7.5の方がハードルが低い」という意見には概ね同意する。
しかし、それは TOEFL 105点が異常に難しい からであって、IELTS 7.5が簡単というわけではない。
特に純ジャパ(日本国内で英語を学んだ人)にとって、IELTSのスピーキング & ライティングのスコアを安定して7.0以上取るのは至難の業だ。
TOEFLのリーディング & リスニングは難しいが、スピーキングとライティングは「型にはめて対策」しやすい分、英語の瞬発力が求められるIELTSの方が厳しい というケースも多い。
どちらを選ぶべきか?
IELTSかTOEFL、どちらを受験するかを決める際は、以下のポイントを考慮すると良い。
項目 | IELTS 7.5 | TOEFL 105 |
---|---|---|
試験形式 | 面接官と対面でスピーキング | PCに向かってスピーキング |
リスニング | 英国英語・豪州英語が多い | 米国英語がメイン |
ライティング | タスク1(データ分析)+ タスク2(エッセイ) | Integrated Writing(要約)+ Academic Discussion(短文議論) |
対策のしやすさ | スピーキング・ライティングのブレが大きい | ライティングが短文化され対策しやすい |
スコアの出しやすさ | R+Lで高得点を取ればカバー可能 | Integrated Taskがあるためリスニングの比重が高い |
- 英国・豪州の大学を目指す人
- 面接形式のスピーキングに抵抗がない人
- 紙での受験が得意な人
- 北米の大学・大学院を目指す人
- PCに向かって話すスピーキングに抵抗がない人
- リスニングが得意な人
結論として、どちらが「楽」かではなく、自分の得意・不得意も考慮して考えるべきだ。
IELTS 7.5もTOEFL 105点も、しっかりとした準備と戦略がなければ突破できないレベルなので、最適な選択をしよう。
スピーキング & ライティングの採点のブレに苦戦した話
筆者が最も苦戦したのは スピーキングとライティングのスコアのブレだった。
出来たと思った回の点数がひどく悪かったり、逆も沢山ある。
IELTSのスピーキングは 試験官の主観が大きく影響するため、同じレベルの英語を話してもスコアが大きく異なることがある。
例えば、以下のような経験があった。
受験回 | 内容 | スコア |
---|---|---|
10回目 | 自信あり、流暢に話せた | 6.0 |
11回目 | 話しながら少し詰まった | 6.5 |
12回目 | 試験官がフレンドリーで会話が弾んだ | 7.0 |
ライティングは 「文法の正確さ」「論理の明確さ」 が重視されるが、筆者は何度も6.5で足止めされた。
受験回 | 内容 | スコア |
---|---|---|
9回目 | 語彙を多用、やや複雑な構成 | 6.5 |
18回目 | シンプルな構成で明快に記述 | 7.0 |
IELTS事務局から採点基準は公開されており、その基準に則って採点されているらしいのだが、正直、その基準に照らして、なぜあの回のスコアが悪いのか/この回のスコアが良いのか、という点が理解不能なのである。
このテストを受け続けた筆者の感覚からすれば、各採点官によってスコアにブレのでるテストである。
どんな採点官でも文句なしに良い点の出せる本当の実力がある人々はさて置き、そうでない一般の受験生はIELTSのこういった「気まぐれさ」と闘わなければならない。
IELTS 7.5を最短で取得するための戦略
スコア戦略|R+Lで16点、W+Sで13点を確保
IELTS 7.5を達成するには、4技能(Listening, Reading, Writing, Speaking)の合計スコアを7.25以上にする必要がある。
IELTSのOverallスコアは四捨五入で算出されるため、7.25あれば7.5に繰り上がる。
ここで重要なのは、ListeningとReadingでできるだけ高得点を狙い、SpeakingとWritingの不安定さをカバーすることだ。
経験上、日本人受験者の多くがWritingやSpeakingで高得点を安定して取るのが難しいため、以下のようなスコア配分を意識すると良い。
IELTS 7.5達成のためのスコアシミュレーション
Listening | Reading | Writing | Speaking | Overall |
---|---|---|---|---|
8.5 | 8.5 | 6.5 | 6.5 | 7.5 |
8.0 | 8.0 | 7.0 | 6.5 | 7.5 |
8.5 | 7.5 | 7.0 | 6.5 | 7.5 |
8.0 | 8.5 | 6.5 | 7.0 | 7.5 |
8.0 | 8.0 | 6.5 | 7.5 | 7.5 |
この表からも分かる通り、R+Lで16点以上を確保することで、W+Sのスコアが7.0未満でも7.5を達成できる可能性が高まる。
特に、ReadingとListeningは、正解・不正解が明確なため、対策がしやすい。
そのため、これらのスコアを優先的に伸ばし、WritingやSpeakingの不確実性を補う戦略を取るのが最適だ。
試験日程の戦略|受験回数を確保する重要性
IELTSは、試験のたびにスピーキングやライティングの採点のブレがあるため、一発で狙ったスコアを取得するのは難しい。
特に、Speaking 6.5 → 7.0 や Writing 6.5 → 7.0 は、受験回数を増やすことで突破できる場合が多い。
筆者もスピーキングで6.5と7.0を行ったり来たりしていたが、試験官のフレンドリーさや当日の調子に左右されることが多かった。
そのため、「この試験で絶対に7.5を取らなければならない」という状況を避け、受験回数を確保するのが鉄則。
また、IELTSの試験は人気が高く、6〜7週間前には予約が埋まることが多い。そのため、スコアが出るまで先に複数回分の試験を予約しておくことを推奨する。
試験日5週間前以降はキャンセル不可になるが、目標スコアが早めに出たら、残りの試験はキャンセル費用を支払っても構わないと割り切る方が良い。
リーディング & リスニングを先に仕上げる
IELTSで7.5を狙うなら、まずはリーディング(R)とリスニング(L)を先に仕上げるのが鉄則。
その理由は、
- R+Lは正解・不正解が明確なため、安定したスコアを出しやすい
→ W+Sは主観的な採点のため、スコアのブレが大きい - W+SはR+Lの土台があってこそ伸びる
→ ライティングやスピーキングで高得点を取るには、語彙力・読解力・リスニング力が不可欠
実際、筆者のケースでは、リーディング8.5・リスニング8.0を安定させた時点で、最終的に7.5を達成できた。
ライティングとスピーキングの対策を始める前に、まずはR+Lで16点(L8.0 + R8.0)を確保することが、最短ルートでのIELTS 7.5取得につながる。
IELTSリーディング対策
Readingについて重要なことは、①速読力をつけること、②IELTS問題形式に慣れること の二つだと考える。
書いてみると余りにありふれたものだが、この二点をどこまで突き詰めてやるか肝心だ。
速読力UPの単語・多読トレーニング
ここでいう速読力とは、「一文一文内容を理解しつつも高速で読む」力であり、ザっと読んでザっと理解すると言うことではない。
ある程度までは単語力=速読力となるため、まずは単語力の養成を最初の一歩としてお勧めしたい。
色々な方が仰っていることだが、有名なTOEFL3800のレベル3迄を全て暗記することで十分と思う。
大量の英文を読み込み、読解スピードを向上させる
英文読解のスピードを妨げるモノの一つに「文構造が掴みづらい」というのが有る。
主語が分からない/この単語は動詞の過去形なのか、それとも前の名詞を修飾する過去分詞なのか分からない/ この現在分詞の主語が分からない、等。
この点については、先ずは基本的な文法事項をしっかり押さえ、どんな複雑な文章が来ても時間をかければ訳せるように、知識の整理をするのが良いと思う。
その上で、その文法知識が自然に高速で出てくるよう英語で書かれた文章をとにかく読みまる。
量を読み込むことによって、文構造や内容について「あたり」つけることが出来るようになり、結果として少ない労力で文構造を把握することが出来るようになるのである。
» 【初心者向け】英語多読のためのおすすめ洋書10選【入門編】
リーディングの問題形式への対応
いくらテスト形式に若干の癖があるとはいえ、一番重要なのは①の速読力をつけることであることは覚えておいて欲しい。
Not Given
Readingを若干難しくさせているのが、文章の内容理解を問う問題で、Yes/Noに加えてNot Givenという選択肢が存在することである。
要は、文章内の情報でYes/Noを言い切れない、というのであればこの選択肢を選ぶ。
どういった場合にこの選択肢になるか、公式問題集等で感触を確かめておくことをお勧めしたい。
原則として、明確な根拠を問題文から引っ張ってくることが出来なければ「Not Given」で間違いない。
時間感覚
経験上、全3パッセージの中では一番最後が難しく、回答し切る為には25~28分ほど必要があった為、第2パッセージ終了時点で32~35分経過になるように心がけた。
難易度は必ずしも第1パッセージ<第2パッセージとは成らないので留意が必要。公式問題集を解き、この辺りの時間感覚を身に着けて頂きたい。
その他
個人的に以下を実践した。
先ず設問をざっと読み、あたりを付けながら問題文を読む。
特に有効なのは「各研究者の持論を選択せよ」といったような問題で、問題文に研究者の名前が出てくるたびに鉛筆で○を付けたりとか。
問題文を読み進めながら設問を同時に解いく。イメージ的には、先ず1~2パラを読んで、設問の中で慎重に回答できるものがないか探し、あれば回答する。
» 34日でIELTSリーディングを5.5から7.5に上げた勉強方法
IELTSリスニング対策
Listeningについて、私は元来非常に不得意であった。耳が慣れてくる迄に一定の時間を要する為、期限が決まっている方は早めに対応頂きたい。
IELTSのListeningで高得点を取るには、以下要素を満たす必要がある。
- 音が聞き取れていること
- 聞き取れた音を英語として認識し、意味を取れること
- 聞き取れない部分について、脳内で情報を補完し意味をとれること
- IELTSのTipsを知り対応出来ること
本質的なリスニング力をつける方法
①音が聞き取れているか
まずは、言語としてではなく音として確りと聞き取れているか。
「発音出来ない音は聞き取れない」と良く言われるが、相当部分これは当たっていると思う。
実際、「英語耳」を使ったり、フィリピンの英会話学校で発音のトレーニング積んだ結果、飛躍的に音を捉えやすくなった。
但し下記②&③とも表裏一体であり、英語の知識が増えるにつれて自然と「聞こえてくる」音も増加する。
②聞き取れた音を英語として認識し、意味を取れること
これは、例え音が聞こえたとしても、Listeningする内容がスクリプト等の文字に起こされた形になった場合に、それを音声と同じ速さで読んで理解できる英語力がなければ聞き取りは叶わない。
従い奇妙に聞こえるが、先ずは一定の速読能力を付ける必要がある。
このの段階のトレーニングとして、シャドウイングが最も効果的であったと感じる。口で追いかけながら理解できるようになるまで、Scientific Americanやofficial問題集を只管にやっていた。
③聞き取れない部分について、脳内で情報を補完し意味をとれること
日本語でもそうだが、我々は実は聞こえていない音を脳内で補完し、聞こえてきた内容の意味を取っている。
英語でも同様に、nativeといえども一言一句の全ての音節を聞き取れている訳ではない。
この脳内補完は、ある意味「予測辞書」のようなものだが、これは当該言語に関する豊富な知識を要する。
多くの文章に触れ「この文脈ならここの場所に、この単語がはいる筈だ」といった様な処理を瞬時に行っているのである。
夢のない話だが、脳内に大量の英文データベースを作る必要ある為、これも相応の時間を要す。
IELTSリスニング問題形式への対応
私の考えるIELTSのTipsは以下の通り。
- とにかく先読み
先に設問を読んでから問題を聴くのと、そうでないのとでは天地の開きがあるので、必死に先読みすべき。当該部分の問題文が放送されていない時は、常に先読みする。
本件とも関連するが、考えても直ぐわからない問題、聴き逃してしまった問題は、勇気をもって切り捨てるべき。
ここで時間を浪費すると、先読みの時間を削られてしまい、さらに深い傷を負う事請け合いだ。時間を掛けて正答率が上がるわけでも無し。
- スペリング
スペリングは意外に鬼門になってくる、
私は、自分にとって紛らわしい単語/書いてみたら間違えた単語をpick upして書けるように練習することを心がけた。
- 公式問題集をやり込む
Readingの回でも述べたが、IELTSの参考書としてofficial問題集に替わるものはない。
音声のスピード/イントネーション/設問の作り方など、当然ながら本番に近い。
筆者は、これらの音声をiphoneで1.4倍速にして聞き、本番で音声がゆっくり感じられるようにした。
上記対策で、当初5.5であったスコアは最大8.0まで伸びた
IELTS ライティング対策
IELTSライティングはスピーキングと並んでスコアの伸びにくいセクションだ。
特に「6.5の壁」に苦戦する受験生が多く、何度受験しても7.0に届かないという悩みをよく聞く。
しかし、採点基準を理解し、効果的な対策をすれば7.0も決して不可能ではない。
採点基準を理解する|高得点を取るためのポイント
まず、IELTSライティングは4つの評価基準で採点される。
評価基準 | 内容 | 高得点を取るためのポイント |
---|---|---|
Task Achievement / Task Response | 課題に適切に答えているか | 設問の指示に正確に従い、要求された要素をすべてカバーする |
Coherence and Cohesion | 論理的な一貫性、つながり | 明確な段落構成と適切な接続詞を使い、論理的に展開する |
Lexical Resource | 語彙の豊富さ | 言い換え(パラフレーズ)を活用し、バリエーション豊かな表現を使う |
Grammatical Range and Accuracy | 文法の正確さと多様性 | 長文を適切に使い、ミスを減らす |
特に、7.0を狙うには「Task Achievement」「Coherence and Cohesion」のスコアを上げることが重要。
つまり、単純に語彙や文法を増やすだけではなく、論理的な文章構成を意識することが求められる。
フィードバックを活用したライティングの改善方法
ライティングで高得点を取るには、「書いて終わり」ではなく、必ずフィードバックを受けて修正を重ねることが重要。
自分で気づけないミスや改善点を第三者の視点で指摘してもらうことで、スコアアップにつながる。
- 自分で書いたエッセイを見直す
- 文法ミス・語彙の繰り返し・論理の流れをチェック
- 添削サービスを活用する
- IELTS専門のブ講師にチェックしてもらう
- フィードバックをもとに再度エッセイを書く
- 指摘された点を修正し、同じミスを繰り返さないように意識する
- おすすめのフィードバックツール
ツール名 | 特徴 |
---|---|
Grammarly | 文法・スペルミスの自動チェック |
IELTS Writing 7.0+ | IELTS専門の添削サービス |
ChatGPT | パラフレーズや構成チェックに活用 |
IELTS スピーキング対策
IELTSスピーキングは「試験官との会話形式」で行われるため、暗記だけでは通用せず、瞬発力が求められる。
特に、7.0を目指すなら「流暢に話せるかどうか(Fluency)」が大きなカギになる。
スピーキングの採点基準と「流暢さ」の重要性
IELTSスピーキングは4つの基準で採点される。
評価基準 | 内容 | 高得点を取るためのポイント |
---|---|---|
Fluency and Coherence (流暢さと一貫性) | どれだけスムーズに話せるか、論理的に話を展開できるか | 言葉に詰まらず、適切なつなぎ言葉を使う |
Lexical Resource (語彙の豊富さ) | 言い換えや適切な表現の使用 | 難しい単語を無理に使わず、自然な言い回しを意識 |
Grammatical Range and Accuracy (文法の正確さと多様性) | 文法ミスの少なさ、さまざまな構文の使用 | 受動態・仮定法・関係代名詞を意識的に使う |
Pronunciation (発音) | 発音の明瞭さ、強勢・抑揚 | ゆっくり話し、抑揚をつけることで伝わりやすくする |
この中でも、Fluency and Coherence(流暢さと一貫性)の評価が特に重要。
試験官は「スムーズに話し続けられるか」を重視しており、多少の文法ミスよりも、話が止まらないことが高評価につながる。
実際の試験で使えるフィラー(つなぎ言葉)の活用
スピーキングで高得点を取るためには、沈黙を避けることが重要。
そこで、「考える時間を稼ぐためのフィラー(つなぎ言葉)」を活用しよう。
考える時間を作るためのフレーズ
フレーズ | 意味・使い方 |
---|---|
That’s an interesting question. | 「それは興味深い質問ですね。」(考える時間を確保) |
I’ve never really thought about it, but… | 「それについて深く考えたことはありませんが…」(即答できない時に使う) |
Well, let me see… | 「ええと、そうですね…」(沈黙を避ける) |
To be honest, I think… | 「正直に言うと、私は…」(話の流れを作る) |
It really depends on the situation, but… | 「状況によりますが…」(議論を広げる) |
話を広げるためのフレーズ
フレーズ | 使い方 |
---|---|
For example… | 例を挙げる |
Another reason is that… | もう一つの理由を述べる |
That reminds me of… | 関連する話題に展開 |
On the other hand… | 反対意見を述べる |
これらの表現を適切に使うことで、スムーズに会話を続けられるようになり、「流暢さ」の評価が上がる。
頻出トピックの準備と回答パターンの構築
IELTSスピーキングの質問はある程度パターンが決まっている。
特に、Part 1(自己紹介・身近な話題)とPart 2(スピーチ問題)は、事前に準備できる部分が多い。
Part 1(自己紹介・日常的な話題)
- Work or Study: 「あなたは学生ですか?仕事をしていますか?」
- Hometown: 「あなたの故郷について教えてください。」
- Hobbies: 「休日は何をして過ごしますか?」
- Technology: 「スマートフォンをよく使いますか?」
Part 2(2分間のスピーチ)
- Describe a memorable trip.(思い出に残る旅行について話す)
- Describe a book that influenced you.(影響を受けた本について話す)
- Describe a person you admire.(尊敬する人物について話す)
Part 3(ディスカッション)
- 「観光業は経済にどのような影響を与えるか?」
- 「将来の働き方はどう変わると思いますか?」
とはいえ、いくら練習をしてもなかなか本番では練習したトピックが出題されない。
本番でアイディアが浮かばなかったということを避けるため、私は「IELTS Speaking 7.0+」を活用した。
このパッケージは、本番で出題される問題や模範解答が収録されている。事前に全ての問題に目を通し、ある程度自分の回答を準備しておくことで、流暢に話すことができるようになる。
最終的にスピーキングで7.0が獲得できたのはこの教材のおかげだと言っても過言ではないだろう。
IELTS7.5獲得におすすめの教材|実際に使って効果があったもの
IELTS 7.5を取るためには、単なる「勉強時間」よりも、どの教材をどう使うかが重要になる。
筆者自身、20回以上の受験を重ねる中で、いろいろな教材を試してきたが、「これは使ってよかった!」と思えたものを厳選して紹介する。
模試:ケンブリッジIELTS 公式問題集(Cambridge IELTS)
IELTSの試験対策をしている人なら誰もが聞いたことがある最強の公式教材。
とにかく本番の試験と「全く同じ形式」「全く同じレベル」の問題を解けるのが最大のメリット。
筆者自身、最初の数回は公式問題集をやらずに挑んでしまい、実際の試験とのギャップに戸惑った。
特にリスニングとリーディングは、公式問題集をやらずに受験すると「あれ?こんなに難しかったっけ?*となる確率が高い。
- 試験の3か月前から、毎週1回は本番と同じ環境で解く(時間を測り、スピーキング以外はすべて一気にやる)
- 間違えた問題は、原因分析をしてノートに記録(特にリスニングとリーディング)
- 試験直前の1週間は、過去に解いた模試を再度見直す(解説を読んで理解が深まる)
公式問題集を5冊分(合計40回分の模試)解いた後は、リーディングとリスニングで8.0以上を安定して取れるようになった。
単語対策:TANZAM(英単語学習アプリ)
IELTS 7.5を取るには、英単語のレベルを「TOEIC 900点レベル」からもう1段階上げる必要がある。
単語力がないと、リーディングの文章を読むスピードが上がらず、ライティングやスピーキングでも「同じような単語ばかり使ってしまう」という問題が出てくる。
TANZAMは、IELTS向けの単語を効率的に学べるだけでなく、「視覚的に覚えられる」のがポイント。
筆者はリーディングでつまずくたびに、「あ、この単語、どこかで見たことある……」という経験を何度もしたが、TANZAMを使ってからはこの回数が激減した。
- 1日50語ずつ覚えるルールを設定(アプリの復習機能を活用)
- 通勤時間にリスニングモードで単語を音声で聞き流す
- スピーキングやライティングで「TANZAMで覚えた単語を1つでも使う」ことを意識
単語力が上がると、リーディングの解答スピードが圧倒的に早くなり、リスニングでも「聞き取れる単語が増える」ことを実感できた。
リスニング対策:ポッドキャスト(Scientific American/6-Minute English)
IELTSリスニングは、過去問を解くだけではスコアが伸びにくい。特に、試験の音声は「ナチュラルスピード」なので、それに慣れることが重要になる。
ポッドキャストを活用することで、「ネイティブの自然な話し方」に慣れ、シャドーイングの素材としても使える。
過去問だけやっていたときは7.0止まりだったが、ポッドキャストを活用し始めてから7.5~8.0にスコアアップした。
- Scientific Americanを毎朝1本聞く(出勤・通学時間を活用)
- BBC 6-Minute Englishのスクリプトを読みながらシャドーイング
- 試験2週間前から、ポッドキャストのスピードを1.2倍にしてリスニング強化
ライティング & スピーキング対策(Writing 7.0+ & Speaking 7.0+)
ライティングとスピーキングは、自己学習だけではスコアが伸びにくい。
特にIELTSのスコアは、「採点基準に沿った英語を話せているか」が重要になる。
IELTS Writing 7.0+は、戦略的なライティングの書き方を学びつつ、添削を受けることで具体的に何を修正すべきかが明確になるのが特徴。
ライティングは自己流で続けても 6.0前後で停滞しがちだが、評価ポイントを意識した書き方を身につけることで 7.0 以上に伸ばしやすくなる。
また、IELTS Speaking 7.0+ は、本番で出題される問題で徹底的に練習できるのが強み。
スピーキング試験では「見たことのない問題が出て、頭が真っ白になる」のが一番怖いが、この教材を活用すれば「これは見たことがある!」と思える問題が増え、本番でも落ち着いて対応できる。
筆者自身、スピーキングが6.0から伸び悩んでいたときに Speaking 7.0+ を使い、試験官の評価ポイントを意識することで 6.5 → 7.0 にスコアアップできた。
役立ちTIPS|知っておくと便利な情報
IELTS 7.5を目指すなら、単なる勉強法だけでなく、試験の運用や実際に受験した人しか知らない情報も押さえておくべきだ。
「ネット上にあまり出回っていない情報(=私が足で集めた情報)」にフォーカスして、有益そうなものをお伝えししたい。
IELTSの試験予約は早めに確保するべき理由
IELTSは試験の予約が埋まりやすい。特に都市部では、受験したい日程の1~2か月前には満席になっていることも珍しくない。
筆者も、気づいたら希望日の試験がすべて埋まっており、仕方なく地方で受験した経験がある。
- 3か月前には試験スケジュールをチェックしておく
- 試験日が決まっていなくても、キャンセル可能な枠をとりあえず押さえる
- 繁忙期(春・秋)は特に注意。受験者が増える時期はさらに早めに予約
特に、スコアメイクが必要な締め切りが決まっている人は、受験計画をしっかり立てることが大事だ。
試験日が埋まっている場合は韓国で受験するのもアリ
アプリケーションの〆切が迫ってるのに、IELTSのサイトを開いたらもうテスト日程空席がない!ヤバい!という状況は誰しも経験すると思う。
そこで私は韓国での受験をお勧めしたい。
何故なら、韓国では、テストの申し込み締め切りが「一週間前」かつ「テスト一週間前でも結構席が空いてる」のだ。
日本だと〆切が「五週間前」かつ「激込みで実際は二ヵ月前くらいに申し込まないと空いていない」ので、これは天と地の差。
注意点としては以下の通り。
- 登録には韓国の携帯電話番号が要る。日本で韓国のSIMを買えるのでそれを利用されたし。東京だと大久保や新宿で購入可能。
- speaking試験の日程が、writing試験終了時に発表される。ただ、多くはwriting試験当日か翌日に設定される模様。writing試験は土曜日になることが多いので、金曜日休みをとって三連休にして韓国に行けば十分対応できるだろう。なお、事前に「writing試験当日に設定してくれ」とお願いすればその様になる可能性もある為、予約時にダメ元で事務局に頼んでみる(メールする)のも良いかもしれない。
- 試験は日本と同じく午前8時くらいから始めるので、試験会場近くの宿を手配されたし。
ライティング対策でUK Plusに過度な期待をしない方がいい理由
IELTSのライティング対策として、日本で人気のあるUK Plusの添削サービス。
筆者もこれを利用したが、これで「7.0」を取ることは難しい。「6.0」迄なら対応できるかもしれないが、期待し過ぎてはいけない。
少々ネガティブな内容で申し訳ないが、こういった評価を書くこともフェアな競争を維持する為に必要だし、何より必死に勉強している受験生に有益である為記載したい。
なぜ期待しすぎない方がいいのか?
- フィードバックが抽象的で、どこをどう直せばスコアが上がるのか不明瞭
- 7.0以上を目指す場合、より細かい添削が必要だが、それには対応しきれていない
- 「とにかくたくさん書いて提出しろ」という指導方針で、戦略的な学習になりにくい
筆者はUK Plusを半年利用したが、スコアは6.5から伸び悩んだ。
その後、別の添削サービス(Writing 7.0+)に切り替え、明確なフィードバックをもらうことで目標スコアに到達。
公式問題集を安く入手する方法 & 無料で学べるサイト
IELTSの公式問題集は、国内で購入すると1冊6,000円ほどとかなり高額。しかし、実はもっと安く手に入れる方法がある。
1. 海外で購入 中国や東南アジアでは、公式問題集が日本の1/3程度の価格で手に入る。筆者も中国出張の際にまとめ買いし、1冊約1,200円で購入した。
2. 無料で過去問を使う
- 中国のIELTSサイトでは、公式問題集の過去問が無料公開されている
- IELTS模試を40回分以上無料で解けるサイトもある(”IELTS online practice tests”で検索)
公式問題集は本番対策に必須なので、賢く入手して活用しよう。
IELTS Task 1の問題が多様化!対策のポイント
IELTSのライティングTask 1といえば、「グラフ問題」が定番だったが、最近の傾向は変わってきている。
- プロセス図(例:チーズができる工程を説明)
- 地図の変化(例:ある都市の10年間の変遷を記述)
- 複数グラフの組み合わせ(円グラフ + 折れ線グラフなど)
筆者も、当初はグラフのテンプレートだけで対策していたが、最近の試験ではプロセス図が出題され、対応できずに苦戦した。
さまざまなタイプの問題に触れつつ、テンプレートに頼らず、柔軟に記述できる力をつけることが大切になる。
終わりに
IELTS 7.5は決して簡単なスコアではない。特に純ジャパ(日本で英語を学んだ人)にとっては、高い壁に感じるかもしれない。
しかし、筆者自身が経験したように、正しい戦略と継続的な努力があれば、誰でも達成できる。
筆者も最初のスコアは6.0で、そこから7.5を取るまでに21回の受験を経た。その中で学んだことは、「やみくもに受験してもスコアは伸びない」ということだ。
「IELTS 7.5を取るために何が必要か?」 その答えはシンプルだ。
自分に合った正しい学習法を見つけ、戦略的に学習を継続すること。
この記事が、あなたのIELTS 7.5達成の一助になれば幸いだ。