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IELTSとは?
IELTSは、主に海外大学、大学院への留学や、海外就職、移住・移民の申請に使われている英語試験だ。
世界中の教育機関と企業で認められており、特に英国圏(イギリス、カナダ、オーストラリア等)ではIELTSが重要視されている。イギリス圏での就職の際に使われる、PET、FCE、BULATSなどよりも汎用性が高い。
TOEFLが主流のアメリカでも、基本的にはIELTSのスコアも認められており、今後、日本の大学入試の際、英語成績としてIELTSのスコアが提出できるようになる可能性もある。
テストの概要
- アカデミックモジュール
アカデミック(学術的な)からわかるように、このテストのスコアは大学などの教育機関に留学する時に必要となる。
- ジェネラルモジュール
ジェネラルモジュールはイギリス圏を中心とした移民申請、英語圏への就職する際に使うことができる。
両者とも主要4技能(リスニング、リーディング、ライティング、スピーキング)のテストで構成され、試験時間は約3時間となる。
試験の流れ・時間割:
- リスニング: 40分 (4セクション、全40問)(内10分は答案記入)
- リーディング:60分 (3つの文章題、全40問)
- ライティング:60分 (2つのタスク)
- スピーキング:約20分(3題)
留学が目的であれば、アカデミック、その他移民や就職が目的であれば、ジェネラルを受ける。
では二つのモジュールの違いはなんだろうか?
基本の問題形式は同様で、約70%は同じ試験である。
- 各技能に与えられるテスト時間
- 問題数
- リスニング
- スピーキング
- ライティングにおけるタスク2
- リーディングの文章3つの内の1つ
主な違いはリーディングとライティングだ。
- リーディング
3つの内2つの文章はアカデミックに比べジェネラルの方が短い。加えてジェネラルは文章の内容も仕事や生活というテーマになることが多く、アカデミックに比べて豊富な種類の文章が出題される。
- ライティング
ジェネラルの場合、タスク1は手紙や物語を書くなど、アカデミックスキルからは離れたことを行う。
この記事やこのサイトで議論しているIELTSは、基本、留学で必要なアカデミックモジュールのテストを指す。
またIELTSの大きな特徴として、全て手書きのペーパーテストであるため大文字か小文字かや、nかrなのかなど丁寧に書く必要があることだ。
日本では鉛筆でのみ受験が許可されていたが、2019年3月から、PCでの受験も可能になった。
また、スペリングは、イギリス英語とアメリカ英語どちらでも良い。
採点方法
リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングそれぞれのセクションで0〜9.0(0.5刻み)で採点される。
四セクションの平均点(四捨五入あり。例:平均6.25であればOA6.5になり、6.125であればOA6.0になる)がオーバーオールのテスト結果になり、合格・不合格はない。
リーディング・リスニングは40問のうち、正解不正解の数でバンドスコアが決まる。
リスニング | |
スコア | 正解数 |
5 | 16 |
6 | 23 |
7 | 30 |
8 | 35 |
リーディング | |
スコア | 正解数 |
5 | 15 |
6 | 23 |
7 | 30 |
8 | 35 |
出典:IELTS公式サイト
ライティングに関しては、「質問に答えている」「一貫性」「語彙力」「文法力」という4つの基準で、それぞれ0−9で評価され、その平均点がライティングのスコアになる。
つまり、この四つの基準は、どれがより重要というのがなく、採点に同じウェイト(25%)を占めている。
それぞれの基準で、具体的にどのようなレベルが何点というのは、下記の公式採点基準表を参照してみよう。
また、スピーキングの採点もライティングと同じように、「流暢性・一貫性」「語彙力」「文法力」「発音」という四つの基準に基づいて採点される。
TOEFLとの違い
TOEFLもIELTSも、海外の大学・大学院留学に必須の英語力試験となる。では、IELTSとTOEFLは何が違うのだろう?
問題形式から言うと、TOEFLのリーディングとリスニングは全て選択式で、IELTSは選択式だけでなく、穴埋めや短答式もある。
内容的には、IELTSと比べると、TOEFLのリーディング・リスニングはもっと学術的で難しい傾向がある。
スピーキングも、TOEFLはPCに向かって喋ることに対し、IELTSは試験官と対面で話すので、人によってハードルは若干低くなるかもしれない。
さらに、IELTSのスピーキング問題は数ヶ月ごとに更新され、同じ期間中は同じ問題プールが繰り返し利用されるので、完全な本番問題集を手に入れることが可能。(詳しくはこちらのページを参照しよう。)TOEFLのスピーキングはこのような対策アプローチができない。
ライティングに関して、TOEFLにはリスニング素材とリーディング素材を使うIntergratedライティングがあるため、リスニングやメモ取りが苦手な人にとってはIELTSのほうが取り組みやすいかもしれない。
»参考:TOEFL iBTとIELTSどっちが簡単?選び方と違い、特徴を徹底比較
IELTSのレベル感(英検、TOEIC、TOEFLとの比較)
英検、TOEIC、TOEFL等と比較し、IELTSのレベル感や難易度はどの程度なのだろうか?
ETS(TOEFLの開発機関)やIELTS公式サイトと文部科学省が提示しているスコア換算表を紹介する。ご覧の通り、それぞれの換算が若干違っていて、定論がない。
ETSの換算
TOEFL | IELTS |
35-45 | 5 |
46-59 | 5.5 |
60-78 | 6 |
79-93 | 6.5 |
94-101 | 7 |
102-109 | 7.5 |
110-114 | 8 |
出典:ETS公式サイト
英検の換算
バンドスコア | 解説 | テスト比較 |
9 | 4技能全てにおいてネイティヴ並みの語力と理解力がある。 | T:118-120 |
8-8.5 | 多少のミスは見受けられるが十分通用するレベルである。筋の通った議論が可能。 | T:110-117 |
7-7.5 | 豊富な語彙と複雑な英語を理解する能力があるが、場面によってはミスが生じる。 | T:94-109、英検1級 |
6-6.5 | 状況による英語力の差が大きいものの、理解し英語をうまく使う能力がある。 | T:60-93、英検準1級 |
5-5.5 | 日常生活レベルの英語力を駆使できるが、時折理解や語彙力に欠ける。 | T:35-59、英検2級 |
4-4.5 | 高度な語彙は理解できないが限定されたシーンでは英語を駆使できる。誤解などが多く見受けられる。 | T:32-34、英検準2級 |
3 | コミュニケーションが多少取れるが、間違いや途切れることが多くある。非常に限定された状況でしか英語を駆使でない。 | 英検3級 |
2 | 4技能において全てを理解することは不可能で、会話では単語の羅列が頻繁に行われる。 | 英検4級 |
1 | 基本的に英語を使用できるレベルに達していない。 | |
0 | 評価可能な情報なし。 |
出典:IELTS公式サイト
文部科学省の換算
出典:文部科学省(平成30年3月)
IELTS技能別のテスト形式・試験内容
リスニング
時間:40分(内10分は答案記入)
問題数:4セクション、40問
リスニングではネイティブ同士の通話、学生同士の議論、そして大学の授業などが題材となり、聞く能力を測る。また、リスニングには多くの単語記述問題が出るため、スペリング能力も問われる。
IELTSの特徴として、オーストラリアアクセントや、イギリスアクセントなど、多種多様の話し手を理解しなくてはいけないという点だ。
ちなみに、後半になるにつれて問題は難しくなる。
具体的な出題形式
- 選択問題
- 空白補充問題
- マッチング問題
- 表や地図、プランなどの空白補充問題
- 文章が要約された表やノートの空白補充問題
リスニングテストは二つのモジュールで違いがないため、どちらを受けたとしても、学術的な知識、生活的な知識の両方が必要とされる。
IELTS Listening対策記事:
リーディング
時間:60分
問題数:3パッセージ、40問
具体的な出題形式
- 選択問題
- マッチング問題
- 文章の空欄補充
- 正誤判断問題
- 文章が要約されたノートや表の空欄補充問題
- 図表の空欄補充問題
アカデミックモジュール
3つのパッセージが出題される。学術的な文章(生物学や歴史など)が出るため、アカデミックな語彙力が試される。文章の長さは他の英語試験に比べて比較的長く、2000語から3000語となる。
ジェネラルモジュール
3つのセクションに分かれている。
1つめには複数の短い文章、2つめには1に比べて少し長い文章、そして3つめにはアカデミックと同じ長さの文章。
ジェネラルモジュールには、近年のニュースや生活についてなどのアカデミックな文章と、生活にまつわる文章の両方が出されるためアカデミックと比べて幅広い知識が必要である。
IELTS Reading対策記事:
ライティング
時間:60分(タスク1:20分 、タスク2:40分)
問題数:2つのタスク
アカデミックモジュール
タスク1(150文字以上):棒グラフ、円グラフなどの図や表の説明する。
タスク2(250文字以上):トピックが与えられ、それについての意見を論述する。
ジェネラルモジュール
タスク1(150文字以上):特定の状況が与えられ、それに関しての手紙や、ストーリを作る問題
タスク2(250文字以上):アカデミックモジュールに同じ。
アカデミックモジュールと、ジェネラルモジュールのタスク2には学術的、フォーマルな文章の書き方が要求される。語彙力と文章構成力が問われる課題になっている。
IELTS Writing対策記事:
スピーキング
時間:15〜20分
問題数:3パート
スピーキングでは、生活で使える英語を持っているか判断される。質問を理解しているか、単語だけではなくしっかりと文章で話しているかなど。
パート1
初対面であった人と会話する感じで、自己紹介がメインである。試験官はあなたについて好きな動物や、趣味、住んでいるところなど
多種多様の質問を投げかけてくる。それに対して、しっかりと受け答えができているかを見られる。
パート2
二分間のスピーチ。試験官からメモとペンが渡される。試験官によりトピックが選ばれ、1分間でスピークノートを作る。パート2ではどれだけ長く話せるか、流暢であるかなどが見られる。
パート3
パート2とつながるお題に関して試験官と話しをする。生活を変える発明品は何か? 広告を見て最近買ったものは何か?などかなり幅広く深い質問が投げられる。
質問にしっかりと答えられているか、自分の意見を示しそれを説明できるかどうかが試される。
スピーキングテストでは、生活で使える英語を持っているか判断される。質問を理解しているか、単語だけではなくしっかりと文章で話しているかなどが大切だ。
IELTS Speaking対策記事:
アイエルツテストの申し込み方法
受験料・費用
価格:25,380円(税込)
試験日程・受験申込
IELTSは日本では4つの団体(英検、British Council、JSAF、IDP)を通じで受験することができ、試験日程や会場は団体によって異なるため、それぞれのホームページを確認する必要がある。
値段はどこの団体を通じて受験しても同じだが、British CouncilのPC受験は1,000円程高い。
IELTSには1dayと2daysという受験形態がある。
1day:一日で4技能を終わらせることができる。
2days:一日目にスピーキング以外を、二日目にスピーキングを行う
IELTSの申し込みは下記のリンクからそれぞれ行おう。
申込ページ:
個人受験の場合、試験の19日前の正午まで申込可能であり、受験するためには有効なパスポートが必要になる。
海外でIELTSを受験する場合、申し込みはIELTSの公式ホームページから、在住の国を選び、「Find a test location」をクリックし、さらにCity/Stateを選んで、近くのテスト会場を「Book Now」すれば良い。
結果発表・キャンセル
IELTSの結果は、ペーパーテストの場合13日後にマイページで確認可能。PCで受験した場合は受験日の5−7日後確認可能となる。
成績証明書(Test Report Form)も同日に登録の住所宛へ郵送され、到着までは約1週間程度がかかる。
試験結果について(参考)
- 英検:テスト結果
- British Council:試験結果―IELTSのスコアについて
- JSAF:IELTS成績証明書(Test Report Form-TRF)について
- IDP :試験結果
スコアの有効期限は2年間だ。
申し込みをキャンセルするには、申し込みの機関によってやり方が違う。
英検協会なら、マイページにログインしてオンラインでキャンセルできるが、IDPの場合は申請書を提出する必要がある。
よくある質問集
・IELTSのスコアは大学入試にも使える?
英語外部検定を活用している大学は数多くある。大学受験の際、IELTSやTOEFL iBT、英検等のスコアがあれば、得点換算、加点、英語科目のみなし満点などの優遇がある。
大学入試に、IELTSスコアが使える・認められる学校について、詳しくはこちらのサイトが良くまとめている。
・IELTSにおすすめの参考書は?
基本的には公式問題集を使おう。公式問題集は過去にIELTSで出題された過去問が使われている。
下記のページでは、アイエルツで7.0以上を目指すためにおすすめの参考書や単語、アプリや無料リソースを紹介しているため、活用してほしい。
» 7.0を超える!IELTSおすすめ教材(参考書)と単語帳10選【無料リソースも!】
・IELTSのオススメの対策方法は?
上記「IELTS技能別のテスト形式・試験内容」という節に置いて、それぞれのセクションの勉強法・対策方法の記事を紹介した。
また、下記の記事では包括的なIELTS勉強法を解説している。初心者から上級者まで参考になると思うのでぜひチェックしてほしい。
・日本での就職には英検、TOEIC、IELTSどれが有利?
英検は日本で認知度があるが、海外の人・企業にとって全く馴染みのない存在。IELTSは国際的に知られている試験であるが、あくまで留学目的がメイン。
そのため、日本で就職する目的であれば、日本で一番人気のあるTOEICがおすすめだ。TOEICの難易度はIELTSより低く、コスパが良い。
ただ、海外(英語圏)で就職するには、IELTSが絶対的に有利なので、自分の目標に合わせて受験を決めよう。
・IELTSのオススメの予備校・塾はある?
IELTS対策はほとんど独学で完結するため、予備校や塾は基本的には不要と考える。
特にリーディングとリスニングは根本的な英語力が必要になるため、語学学校で講座を取るよりも自分で英語力を伸ばす努力が必要だ。
対策方法に関してはこちらの記事で全てまとめているため、まずは勉強を開始してみよう。