IB(国際バカロレア)は、文部省が推進している21世紀を担うグローバル人材を育成する教育プログラムです。
特に注目を浴びている理由は、IBディプロマ資格取得によって、海外の有名大学に進学するのに有利となると言われているからです。
そのため、IBディプロマが取得できる学校に進むことを考えている親御様も多いと思いますが、カリキュラムの内容がよくわからない、IBを取ることで海外大学への進学が本当に有利になるのかなど、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、IBプログラムのカリキュラムをご説明し、IBディプロマを履修するメリット・デメリットを詳しく解説します。
この記事の著者:Sacha
海外滞在歴30年以上。イギリスでMBA取得後、世界4大会計税務事務所の1つでパートナー格として長年勤務。娘は日英のバイリンガルで、赴任地で英国インターナショナルスクールに通いIGCSE、そしてIBディプロマを取得。IB最終スコアでは世界1%以内の成績を納め、世界TOP10校の英国大学に進学しました。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
目次
IB(国際バカロレア)とは
概要
IB (国際バカロレア:International Baccalaureate)は、スイスに本部を置く国際バカロレア機構による世界的な学習プログラムです。
もともとは、国際的な機関で働く方や外交官などを親に持つ子ども達が母国で大学進学するために、1つの国の制度や内容に偏らない世界共通の大学入学資格を与えるプログラムとして開発されました。
IBの使命は、「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献するグローバル人材の育成」です。
2023年6月現在、国際バカロレアの認定を受けている学校は、世界159以上の国や地域に約5600校あります。日本における国際バカロレア認定を受けている学校は、2023年6月30日現在、候補校を含めて211校となっています。
(参照:文部科学省 IB推進コンソーシアム 認定校・候補校)
日本においても、文部省がIBの普及・拡大を推進していますが、なぜなのでしょうか?
文部科学省は、「今、求められる力」として、課題発見・解決能力、論理的思考力、コミュニケーション能力等向上を目指す総合教育を、1999年の学習指導要領改訂で公表し、グローバル人材の育成を目指しています。
(参照:文部科学省 今も求められる力を高める総合的な学習の時間の展開)
IBは、文部科学省が目指すこの「課題解決能力、真の生きる力を身に付けた人材の育成」に最もふさわしい教育プログラムの一つとして、推進されることになりました。
IBの仕組み
IBカリキュラムは、年齢ごとに3つの教育区分があります。
- 3~12歳:PYP(Primary Years Programme):初等教育
- 11~16歳:MYP(Middle Years Programme):中高等教育
- 16~19歳:DP(Diploma Programme):大学入学準備コース
このうち、16〜19歳を対象としたDPと呼ばれるディプロマプログラムが、IB教育の主要プログラムです。
ディプロマプログラムでは、2年間のカリキュラム履修後、最終試験を経て、世界中の大学入学資格である国際バカロレア資格を取得することができます。
IB ディプロマプログラム(DP)のカリキュラム
ここからは、16~19歳を対象としたディプロマプログラム(DP)について、そのカリキュラムや特徴を解説していきます。
IBの目指す学習者像
IBのカリキュラムを理解するために、まずはIBの目指す学習者像(The IB Learner Profile)を見る必要があります。
この学習者像は、IBの使命を具体化した国際バカロレアの教育方針であり、この人物像を育成するために開発されたのが、IBディプロマのカリキュラムです。
10の人物像は以下の通りです。
- 探究する人
- 知識のある人
- 考える人
- コミュニケーションが出来る人
- 信念を持つ人
- 心を開く人
- 思いやりのある人
- 挑戦する人
- バランスの取れた人
- 振り返りができる人
IBディプロマプログラム(DP)のカリキュラム
IBディプロマのカリキュラムは、6つの教科グループと、「コア」と呼ばれる3つの必修要件から構成されています。
(出典:国際バカロレアを活用した 大学入学者選抜要項作成ガイド 2021)
6つの教科グループ
6つの教科グループから1科目ずつ選択し、6科目を2年間で学習します。グループ6の芸術については、代わりにグループ2(第二言語)、3(人文社会)、4(自然科学)の科目からもう1科目選択することもできます。
- グループ1:言語と文学(母国語)
- グループ2:第2言語
- グループ3:人文社会
- グループ4:自然科学
- グループ5:数学
- グロープ6:芸術 – 音楽、美術、ダンス、フィルム、演劇
6科目のうち、3科目(4科目も可能)を選んで、大学1年生レベルまでの上級レベルのHL (Higher Level)として各240時間、その他を標準レベルのSL (Standerd Level)として各150時間学習します。
3つの必修要件(コア科目)
同時に、カリキュラムの中核 (コア)として、下記の3つの必修要件を履修します。このコア科目の存在は、探求型学習とグローバル教育を強調するIB教育の大きな特徴です。
- TOK (Theory of Knowledge、知識の理論)
「知識とは何か」「考えるとは何か」について学びます。批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促します。 - EE (Extended Essay、課題論文)
個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文を提出します。 - CAS (Creativity, Activity & Service、創造性・活動・奉仕)
課外活動やボランティア活動を行います。学問的な学習の外にある「実社会の重要性」に価値を置く体験的な学習です。
IBディプロマプログラム(DP)の評価方法について
6つの科目はそれぞれ7点満点、合計42点で評価され、そこにコア科目の3点を加えた45点満点がIBディプロマの最終評価となります。
IBディプロマを取得するためには、2年間のカリキュラムを全て履修し、45点満点中、原則として24点以上を取る必要があります。
「外部評価」と「内部評価」について
IBディプロマの評価は、内部評価(IA)と外部評価(EA)の総合点で決定されます。
内部評価は、各学校の担当教員が IBの教科ガイドの評価規定に基づいて評価し、国際バカロレア機構に提出します。その後、国際バカロレア機構のモデレーション(確認調整)を受け、適正に調整評価されます。
外部評価は、IB試験官による評価です。主に世界共通の最終試験が対象ですが、他にも記述課題、また美術ではレポートそしてポートフォリオ、音楽では発表、TOKではエッセイ、そしてEEのレポートが外部評価の対象です。
科目ごとに 外部評価と内部評価の比重が決まっています。一般的な点数配分は以下の通りです。
内部評価 (IA) | 外部評価 (EA) | |
グループ1 | 30% | 70% |
グループ2 | 25% | 75% |
グループ3 | 20% | 80% |
グループ4 | 20% | 80% |
グループ5 | 20% | 80% |
グループ6 | 30~40% | 60~70% |
TOK | 33% | 67% |
EE | レポート | |
CAS | 18ヶ月以上の学外での自主活動 | ポートフォリオ |
IB「予想スコア」による大学への出願ついて
IBのもう1つの特徴は、予想スコア(predicted score)があることです。
IBの最終試験は大半が5月に、または11月に実施されますが、最終評価を待って大学に出願できないことが多いため、予想スコアで出願する仕組みとなっています。
予想スコアは最終試験を受けるまでに、生徒が提出したレポートと授業への取り組み態度などを基に、学校が総合的に判断して予測スコアを算出し、国際バカロレア機構に提出し、予測スコアを得ることになります。
出願した大学からは、この予想スコアで条件付き合格がもらえます。
イギリスやオーストラリアでは必須スコアと明記した条件つき合格となりますが、アメリカの大学の場合、最終成績が大幅に落ちない限りオファーに影響を与えない無条件合格が採用されています。
IBのディプロマプログラム(DP)のメリット
メリット① 国内・国外の大学進学に有利。単位認定が可能な場合も
国際バカロレアのディプロマ資格は、世界100カ国以上の大学入学資格となります。
様々な国で認知度が高いため、海外大学進学を視野に入れる場合、選択肢が大きく広がります。IBの成績を生かして出願できる入学審査方式の国は、イギリス、EU諸国、オーストラリア、シンガポール、カナダ、アメリカなどです。
アメリカ、カナダでは特定の学科の受講免除となり、 1年目の単位が与えられることのある大学も多くあります。
イギリスの大学は3年制で専門課程のみです。そのため、日本の高校卒業証書では、直接イギリスの大学に進学することはできず、ファウンデーションコースという教養課程を1年学習してからの大学入学となります。しかし、IBディプロマを取得すると、すでに教養課程のレベルを終えていることとなるため、そのまま大学に進学できます。
国内の大学でIBスコアを生かして受験している学校は、東大、京大、上智大学、早稲田大学、ICU、慶応義塾大学、岡山大学、法政大学などです。
(参照:文部科学省 IB推進コンソーシアム 日本における国際バカロレアを活用した大学入試が可能な大学)
大学進学の目安のスコアは下記のとおりです。
上位比率 | 進学先の目安 | 世界大学ランキング | |
42点以上 | 3% | 超難関大学 | 10位以内 |
36点以上 | 15% | 50位以内 | |
30点以上 | 50% | 難関大学 | 100位以内 |
24点以上 | フルディプロマ取得 |
(出典:国際バカロレア機構 国際バカロレアを活用した 大学入学者選抜要項作成ガイド 2021 )
なお、日本の大学のIB入学生の平均スコアは、下記の通りです。
大学 | 平均スコア |
東大 | 36.81 |
京大 | 36.19 |
大阪大学 | 35.03 |
慶應大学 | 34.56 |
早稲田大学 | 33.64 |
ICU | 32,62 |
上智大学 | 31.58 |
(出典:国際バカロレア機構 国際バカロレアを活用した 大学入学者選抜要項作成ガイド 2021 )
メリット② 幅広い教科の知識が得られる
IBディプロマでは、母国語、外国語、科学、社会、数学と芸術の6つの教科グループのうち、各グループから1科目ずつ6科目を学びます。
科学の選択科目ではコンピュータ科学やデザイン・テクノロジー、社会学に関する科目では心理学、哲学、ビジネス経営、 経済、 グローバル政治など、日本の普通の高校では学べない科目があります。
また6科目のうち、3又は4科目を、日本やカナダ、アメリカの一般教養の大学1年生レベルまでの上級レベル (higher Level)まで専門的に学習します。
メリット③ 思考力を身につけることができる
IBの学習内容は、IB理想の学習者像のなかにある「探求する人」と「考える人」が反映され、主体的に学ぶ力を養う内容となっています。
授業では、生徒同士のグループワークを通じて実践的に学ぶ機会が多いですし、エッセイ、プレゼンの課題も多くあります。
課題では、自分で調べて意見をまとめる能力も求められます。必修要件の1つである「EE」と呼ばれる課題論文では、自分でテーマを決め、分析・判断し、論ずる必要があります。
最終試験では、「インプットしてきた知識をどれだけ適切にアウトプットし、応用できるのか」が問われます。一問一答式ではなく、大きな設問に対してエッセイを書く記述式の試験です。
そのため、IBでは、過去問や教科書を暗記するだけでは、課題や最終試験において高得点を取ることは不可能なのです。
特に日本の教育と違うのは、数学です。IBの数学では、答えに至る過程の道筋を記述する必要があります。計算過程、導出、式変形、証明、など回答に至るまで必要な過程を書き示す必要があり、過程があっていれば、回答が正解でなくても、部分点がもらえます。
メリット④ 課外活動がIB必修要件となっている
IBの必修要件の1つである「CAS」では、授業で学べない体験学習として、様々な種類の課外活動やボランティアを行い、その振り返りを学校に提出します。
この課外活動はアメリカの大学の願書を提出するときの大切な要件ですので、アメリカへの進学にメリットとなります。
課外活動は、アメリカ以外の進学には必要ではありませんが、将来のために実践的な体験ができる貴重なプログラムです。
IBディプロマプログラム(DP)の注意点
注意点① 英語で考え説明できるレベルの高い英語力が必要
IBは基本的に英語で授業を受けることが求められます。英語で6科目を勉強するだけでなく、思考力を養うカリキュラムですので、高い英語力がなければ日々の課題をこなす事でさえも時間と労力が掛かります。
文部科学省と国際バカロレア機構が協力して、ディプロマの一部の科目を日本語でも実施可能とする日本語ディプロマのプログラムの開発が進められています。しかし、日本語ディプロマでも、英語に加えて他の1教科を英語で受ける必要があり英語を避けることはできません。
またほとんどの科目で、英語で書かれたテキストを使用します。従って、日本語ディプロマでも相応の英語力が求められます。
注意点② 科目数が多い・難易度が高い
幅広い科目を学ぶことができることはメリットでもありますが、大学の入試としてのみの観点からみると必要以上のカリキュラムをこなすことともなります。
英国大学資格試験であるケンブリッジ国際のA-level教科は3〜4科目です。自分の興味のある教科もしくは行きたい学部の求める教科に絞って、2年間より専門的に学んでいきます。
そのため、IBで入学する際は、上述した「上級レベル(Higher Standard)」の科目の結果のみが入学条件として考慮され、またコアの学習も全く必要ありません。
アメリカでは、高校の成績が大切で、日本の高校卒業資格で大学進学できます。ただトップの大学に入るには、それに加えて自分の選択した科目のみのAPを取得する生徒が多いことは確かです。
それと比較して、IBディプロマプログラムは、どの国の学習プログラムよりも総合的な上に、専門的でもあります。
各国の大学で認知度も高く、このプログラムで高得点が取れる実了があれば、各国の大学への入学に有利となる一方で、大学入試の観点からのみ見れば、各国の大学に入学するために必要な科目条件を遥かに超えたプログラムとなっているのです。
注意点③ 学習時間が膨大
IBディプロマでは課題やエッセイの量が多く、特に2年目は課題に追われているという話をよく耳にします。
課題は、最終的なスコアに直結するので、常に全力で勉強に取り組む必要があります。また、最終スコアに影響するTOKやEEなどの長期間取り組むエッセイや論文を複数こなした上に、CASの課外活動にも2年間で合計150時間以上取り組む必要があります。
アメリカのSAT試験、APテストのように1回のテストのために学習するのではなく、IBは2年間継続して学習する必要のある、学習時間を多く必要とするカリキュラムです。
注意点④ 自己管理能力が成功の鍵
IBは大学入試試験型でなく、2年間継続して課題やエッセイに取り組んだ上に最終試験のあるカリキュラムです。最終試験の比重は高いのですが、2年間の内部評価も20-30パーセントを占めます。
そのため、燃え尽き症候群となって最終試験前に疲れてしまい、最終試験で予想スコアより下がる生徒も多くいる実情があります。
2年間、継続して学習し、さらに最終試験で力を発揮するためには、オン、オフをうまく使える、自己管理能力を備えた生徒が最終試験でも良い成績を収めています。
娘は世界ランキングを持つジュニアテニスプレイヤーでしたので、1年目はよく海外遠征で学校を休んでいました。そのためできる時に集中して学習することを身につけ、2年目に特に集中して学習したため最終試験まで燃え尽きることなくやり遂げることができました。
注意点⑤ 科目選びを慎重に行う必要がある
IBディプロマの科目選びでは2点が大切となります。
1つは、行きたい大学の必修科目を確認することです。これは、特にイギリスやオーストラリアでは、大学と学科によって、必要な科目が決まっていますので、先に調べる必要があります。
2つ目は、最終試験までやり切るために、自分が興味のある科目を選ぶことも大切です。
娘は、科学の3科目がIGCSE(英国教育ベースの国際中等教育修了証)で最高点でした。そのため科学を2つとるか、1つは芸術をとるか迷いました。結局、科学は1つにし、その代わりに科学をHL(Higher Level)、そして美術をSL(Standerd Level)で取りました。
その結果、楽しくディプロマ履修し、また最終成績も44と素晴らしい成績を納めることができましたが、イギリスの大学に願書を出すときに、1つのHL科学科目を履修したのみだと、理系の学部に入学できる大学の数は限られていました。
運よく、第一志望の大学の自然科学の入学条件の必修科目に適合していたため、理学士として卒業することができましたが、希望の進学先の出願条件も見据えて、科目選びは慎重に行う必要があると感じました。
なお、アメリカの大学に出願する場合は、選択科目は通常関係ありませんので、もっと自由に科目を選べます。
注意点⑥ 「教科書」がない
教科書がないので進捗を把握できないという親御様の不安をよく聞きます。
日本の教育システムの場合は、1年で1冊の教科書を終えるので、進行状況を可視化することができますが、IBプログラムには国際バカロレア機構が出している共通の教科書は確かにありません。
しかし、国際バカロレア機構が制定したカリキュラム・シラバスに沿って、いくつかの出版社が、IB対応の教科書を出版していますので、教科書がないというわけではありません。
IB ディプロマ対応の教科書は、Oxford University Press、 Hodder Eduction (Paul Hoang)、 Cambridge University Press、 Pearson社が英語で出版しています。
どの教科書を使用するかは、学校で指定されているものを用意するのが一番です。
国際バカロレアを取得するための学校選び
最後にIBディプロマを取得するための学校選びのポイントを考えてみましょう。
インターvs一条校
IBディプロマ取得のためには、IBディプロマコースを提供しているインターナショナルスクールか日本の高校(一条校)のどちらかに進学することとなります。
IBディプロマで必要な英語で考えて英語で説明できるレベルに達するには、中学からIBのインターナショナルスクールに入学し、英語力および英語で思考できる力を身につけたうえで、高校からのIBディプロマコースに備えることが一番確実です。
娘は、日本の小学校に通い、中学から英国インターに入りました。英国インターでは英語クラスは成績順にクラス分けされていました。
英国インターでは英語クラスは成績順にクラス分けされていました。娘は英語で文章を書くことが苦手だったため、入学時は一番下のクラスに入りました。
しかし、中学卒業時には、一番上のクラスとなり、IGCSEでは英語は満点、そしてIBでは上級レベルのHL (Higher Level)の英文学の最終スコアも満点でしたので、中学から適切な環境で学習することで、IBに必要な英語力は身に付くということの証明となるかと思います。
しかし、費用面から見てみると、インターナショナルスクールの学費は、年間2百万円から3百万円となります。
私立中学の相場は年間140万円、公立中学は50万円が目安となっていますので、中学からインターナショナルスクールに通うことはコスト面のハードルが高い選択です。
そのため、文部科学省の指導で、IBのプログラムのある一条校を増やすことが推進されているのです。
IB認定校の都道府県毎のリストは、文部科学省のIB推進コミソシーアムの出しているものがありますので、参照してください。以下は、IBディプロマコースを提供しているインターと一条校のリストの抜粋です(2023年9月時点)。
英語イマージョンvs日本語で学ぶ一条校
一条校で学ぶ場合は「すべて英語で学ぶ」英語のIBディプロマコースか「一部を日本語で学ぶ」日本語ディプロマコースを履修するかという視点で学校を選ぶことが可能です。
日本語ディプロマコースを選択することで、中学からIBのインターナショナルスクールに入学し、英語力および英語で思考できる力を身につけるという準備は必要なくなります。
ただ、日本語ディプロマコースでも教科書は英語で、また2科目は英語ですので、英語が不要というわけではありません。中学からIBのプログラムのある一条校に通うことも選択肢です。
現在、前項で紹介したIBディプロマコースが取得可能な一条校のうち、日本語DPの認定校は全国で34校です。
詳細は、文部科学省 IB推進コミソシーアムの認定校リストをご参照ください。
卒業生の平均スコアから選ぶ
一般的にですが、学校を選ぶときには、卒業生の平均スコアそして卒業生の進学先を参考にすることが多いようです。
地域によってIB認定校の数は違っていますので選択肢はお住まいの地域によって違いますが、ご参考として、2022年5月のIB平均スコアの高かった日本のIB校をご紹介します。
平均スコア | 世界順位 | |
ケイ・インターナショナルスクール東京(東京都) | 42.1点 | 世界5位 |
サンモール・インターナショナルスクール(神奈川県) | 38.5点 | 世界46位 |
同志社インターナショナルスクール(京都府) | 37.1点 | 世界82位 |
セント・メリーズ・インターナショナルスクール(東京) | 37点 | ー |
立命館宇治高等学校 (京都府) | 36.4点 | ー |
(参照:https://www.ib-schools.com/league-tables/global-top-ib-schools)
参考までに世界の平均IBスコアは、31.98でした。
終わりに
IBディプロマは、総合的で実践性とまた専門性も備えた、グローバル人材を育成する素晴らしいプログラムです。そして高スコアを取得できればどの国のトップの大学に入ることもできます。
実際に娘は、IBを取得し、世界のトップ10の大学に入学し、学士卒業後に英国最大の製造メーカーのR&D採用で世界トップ10大学の修士課程を卒業した人達と一緒にマネジメント候補生として就職しました。
この会社は最終面接まではAIを活用した入社試験でしたので、IBで幅広くバランスよく学んだことが認められたのだと感じました。
しかし、ご理解いただきたいのは、IBディプロマでは、求められるアウトプットの質が各国のカリキュラムをはるかに超えたものということです。
日本の教育でのゴールとなるアウトプットは、大学入試での正解です。テストで尋ねられた問題に、正しく答えられるかがすべてです。つまり知識となっていることを証明することです。
IBのアウトプットは、試験の解答だけでなく、道筋を立て記述し、それを他者に対して示すことが求められます。つまりIBは、知識を学ぶだけでなく「知識の応用」ができる人を育成するプログラムです。
これが、どの国のトップの大学でもIBで高いスコアを取得した生徒が優先される理由であり、また未来のグローバル人材を育成するカリキュラムとして、文部科学省が推進している理由です。
IBはグローバル人材を育成するというミッションのもとに開発された広範囲で高度な素晴らしいカリキュラムですが、高度な英語力が必要な上に、学習に費やす時間も膨大です。
IBディプロマ学校への進学を選ばれる前に、このカリキュラムを履修する目的は何なのか、またトップ大学に入学することが目的であるならば、必要な高スコアを取得することができるのか、今一度考えてみてください。
よく考慮した後、未来のグローバル人材を育成するIBディプロマプログラムを選択することが、IBディプロマ取得に成功する最初の鍵だと思っています。