香港には、学士号を授与する高等機関 が22校あり、そのうちの8校は大学助成委員会が資金を提供しています。
各大学の教育水準は非常に高く世界的にもそのレベルは評価され、地元の学生はもちろん、優秀な留学生が世界中から集まります。
今回は、香港の大学を代表する「香港大学(The University of Hong Kong、以下HKU)」を深堀りしながら紹介。
留学先に香港大学を検討している学生のみなさんのお役に立てるよう、基本情報から留学方法まで幅広く解説していきます。
この記事の筆者:Antieやや
タイ在住。語学力を生かし現地でボランティア活動を中心に毎日を過ごす。バンコクでインターナショナルスクールを卒業し、現在イギリスの大学で心理学とマーケティングを学ぶ息子あり。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
目次
日本人に香港の大学が選ばれる3つの理由
日本人の海外留学といえば、アメリカやイギリスなど英語圏の大学を思い浮かべると思います。
しかし選択枠が増えた今、意外とおすすめなのがアジアの大学。大学入学の競争率がとても高く、狭き門を突破した優秀な学生が集まる傾向があります。
まだ日本ではそれほど認知度が高くないものの、教育水準を保ち、アジアだけではなく世界からも注目を集めているのが香港。国内最難関ともいわれるHKUをはじめとする世界トップクラスの教育水準、評価の高い大学が多くあります。
留学には興味があるけど、言葉も文化も異なる環境で生活するとあると不安も伴うもの。どの国へ留学するべきか悩むところです。
そんな中、近年注目を集めているアジア圏の留学先として名前が挙がる香港。留学先として選ばれる理由をみていきましょう。
英語、広東語、中国語の3ヶ国語習得も可能
イギリス植民地時代の香港では、多くの公立校で英語で授業が行われていました。
中国への返還とともに母国語教育が見直され授業は広東語となり、英語は公用語ではあるが第二外国語として教えられていました。
しかしその後、英語力の低下が問題となり再び英語教育に注目。小学校低学年から英語の授業は必修化されています。また香港の小学生は英語の他にもう1つの第二外国語「普通語」(中国標準語)を学びます。
このような背景からも香港では英語、広東語、普通語を話せる人が多数おり、香港の大学では英語で授業を行うところがほとんど。トライリンガルも夢じゃないかもしれません。
授業料が安く抑えられる
国によって大きく変わる大学の授業料。アメリカなどへの留学ともなると授業料だけで年間500万円などと高額です。
そんな中、香港では他の英語圏と比べて比較的安い授業料を設定。高レベルの教育を求めて近隣諸国からの優秀な留学生が集います。
活気に満ちた都市、香港
世界各国から人々が集まり、優れた国際感覚を身に付けることができる街「香港」。
中国の一部でありながら、古いものと新しいものが共存する東洋と西洋の融合という独自の文化が育まれています。
狭い土地に所狭しに高層ビルが建ち並び、夜ともなると、まばゆいネオンの看板の光があふれているというイメージですが、実は自然保護区も多く点在。週末にはハイキングを楽しむ地元の人で賑わいます。
犯罪率が比較的低い香港は、世界で安全な国の1つとして評価されています。また優れた公共交通網も整備。市内のほぼ全てのエリアへは、地下鉄、トラム、バス、またはフェリーで移動することができます。
香港の教育制度について
2018年の「Programme for International Student Assessment : PISA 」 で香港は優秀な成績を収めました。
PISAとは、 OECD(経済協力開発機構)加盟国79ヶ国を中心に3年ごとに実施される15歳児の学習到達度調査のこと。主に読解力、数学リテラシー、科学的リテラシーを測定します。
ここで気になることが、香港ではどのような教育が行われているの?ということ。学歴社会ともいわれる香港の教育事情からみていきましょう。
出典:The Structure of Hong Kong Educational System
イギリスの植民地だった香港は、中国への返還が行われた1997年以後もそれまで同様、イギリス式の6・5・3・2制(小学校6年、中学校5年、大学進学予科コース2年、大学3年)でしたが、2009年の教育改革に伴い、新制度の6・3・3・4制(小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年)となりました。
香港の義務教育は日本と同じく、小学校6年間・中学校3年間の計9年間です。
香港の学校の種類とカリキュラム
香港の学校は運営している主体により大きく分けて3つの種類があります。
- 公立校
- 政府から助成金を受けている私立校
- インターナショナルスクールなどの私立校
学費については公立校が無料、インターナショナルスクールなどの私立校の学費は非常に高額となります。
また、公用語が英語と広東語という香港の学校(インターナショナルスクールを除く)の授業では、英語または広東語のいずれかを主言語として使用。
- EMI (English-medium instruction school):中国語以外の教科を英語で行う学校
- CMI (Chinese-medium instruction school):英語以外の教科を中国語(広東語または北京語)で行う学校
の2つに分かれています。
中国返還前はEMIの学校が大半でしたが、1998年からEMIの学校数が制限されています。英語教育を希望する生徒が多い年度には入学倍率が高くなるため、進学校というイメージが浸透しています。
公立校、または政府から助成金を受けている私立校では、政府が推奨するカリキュラムに沿い、主に教育局(EDB)が枠組みを設定しています。
主に中国語を話さない学生や外国籍の学生を対象にしたインターナショナルスクールでは、ローカルと異なるカリキュラムを提供してます。
幼稚園から大学までの流れ
幼稚園
学歴社会は幼稚園から始まっているといっても過言ではない香港。
幼稚園のカリキュラムは教育機関により異なり、その料金も半日または1日など選択するオプションにより各幼稚園が設定します。
当然ながら評判のよい幼稚園には希望者が殺到。希望する場合には早い時期から受験準備が始まります。
小学校
香港の公立小学校は日本のように学区制ではなく、教育局のPrimary One Admissionシステムを通じて、個人が希望する学校への入学を申請します。
ただし「申請者の兄弟が通っている」や「申請者の親が学校で働いている」などの諸条件、ポイントシステムなど教育局が設定した基準により選定されるため、必ずしも第一志望の学校へ合格できるとは限りません。
この場合には教育局より連絡が届き、次に希望する学校を選び再申請。選定されなかった場合には政府によるコンピューター抽選となります。が、それでも決まらなければ受け入れ枠のある学校へ割り振られることに。
このようなことからも保護者は進学先が決まるまで心配が尽きません。
中学校
小学校に続き公立中学校へは教育局のSecondary School Place Allocation System : SSPAシステムを通じて申請。中等学校の選定は教育局ではなく各学校が入学基準を設定し行われます。香港では基本的に中高一貫教育が行われており、厳しい大学受験を見据えた進学校が人気。
ここで進学率の高い中等学校へ通うかどうかで今後の進路が大きく変わってくるため、小学校での成績が重要。早い時期から進学校を目指すための受験準備を開始します。
なお、SSPAシステムに参加していない私立校やインターナショナルスクールへの申請については直接各学校へ問い合わせの上、手続きを行います。
大学
香港の大学入試は、受験者全員に大学統一入学試験Hong Kong Diplome of Secondary Education Examination : HKDSEを実施。この試験のスコアに加え、学校の成績、大学によってはエッセイや面接を課する場合もあります。
HKDSEのスコア所持者は、Joint University Programmes Admission Ssytem : JUPASというシステムを介して希望大学へ申請。ここで登録した希望大学リストから受験者1人に1校から合格通知書が届きます。
日本に比べて大学数が少ない香港での受験倍率は高く大学進学は狭き門。このような事情からも大学へ進学するためには、早い段階から大学受験を意識しレールに乗せようと必死になるというわけです。
香港の名門大学:香港大学(HKU)とは
香港大学の基本情報と歴史
基本情報
- 名称:The University of Hong Kong(HKU)
- 所在地:Pokfulam, Hong Kong
- 電話番号:+852 2859-2111
- 創立年:1911年
- 学校形態:大学・大学院
- 学生数:学部生: 18,491名 大学院生:15,476名(Enrollment of Students on All Programmes 2023-2024 )
HKUの歴史
HKUの略称で親しまれる香港大学は、香港で最も古い高等教育機関。その歴史は100年以上にもなります。
1910年、当時の香港監督であったフレデリック・ルガードにより大学の基盤を構築。1911年3月30日には、大学条例により正式に自治組織として認可。1912年3月11日、HKUとして大学が正式に開校し最初の入学式が行われました。開校当時は男子のみの入学を許可していましたが、10年後に初めて女子学生が入学しました。
開校当初の学部は、芸術、工学、医学の3つ。1887年に設立された香港中国医学部(1907年に香港医科大学へ改名)を前身としています。著名な卒業生の中には、中国革命の父「孫中山(ソン・チュウザン)」がいます。
1923年に孫中山は学生自治会の招待でHKUを訪れ、歴史的な演説を行いました。日本では「孫文(ソンブン)」の名称が一般的であり、生前は多くの日本人とも関わりを持ち、数度の亡命を含めて何度も日本を訪れています。
1927年には中国語コースの学士の授与が可能になり、中国の文化教育に重点を置くきっかけとなりました。
その後、第二次世界大戦の勃発により学術活動は停止。しかし終戦後の1945年以降に戦後の復興が本格的に始まると、学部の数を増やすなど大学の規模も拡大。
1982年に設置された歯学部は、学部および大学院の学位を授与できる香港で唯一の機関となっています。
1989年以降、香港政府は地元の学生の海外留学への流出を抑えるためにさらなる学部と学位コースを増加。飛躍的な発展を遂げ現在に至ります。
香港大学の特徴と学部紹介
特徴
競争力を高め、長期的発展を促進するためにも世界中の優秀な人材を惹きつけることを目指しているHKU。香港で最も古い高等教育機関として、アジア地域の教育ハブとして発展させることに努めています。
中国の一部でありながらも、本土とは異なる一国二制度を適用しているためヨーロッパの雰囲気を色濃く残す国「香港」では英語教育に積極的。
香港での公用語は広東語ですが、香港では英語を小学低学年から教科として導入しているなどの英語教育制度の違いから、若い世代を中心に英語を話せる住民が多くいます。
このような背景からも、HKUの学生の多くは高い英語力を備えており、 HKUでの授業はほぼ英語で行われています。
その他、中国本土やアジアを中心に世界各国からの留学生を積極的に受け入れていることも特徴の1つ。また、短期海外プログラムやインターンシップ、サマースクール、大学間交流協定による交換留学など、多彩な国際交流も行っています。
学部
香港で最も権威が高いといわれるHKUは10つの学部を擁する総合大学。各学部の専攻科目は多岐にわたり、幅広い教養を身に付ける機会が豊富にあります。
- Faculty of Architecture(建築学部)
- Faculty of Arts(芸術学部)
- Faculty of Business and Economics: HKU Business School(ビジネス経済学部)
- Faculty of Dentistry(歯学部)
- Faculty of Education(教育学部)
- Faculty fo Engineering(工学部)
- Faculty of Law(法学部)
- Li Ka Shing Faculty of Medicine(医学部)
- Faculty of Science(理学部)
- Faculty of Social Sciences(社会科学部)
HKUでは、BASc4年プログラム、ダブルディグリー5年プログラム、共同大学デュアルディグリー4年プログラムなどの学士号取得のための様々なプログラムを設定。自分の目的に合った学士号取得の方法を選択することが可能です。
とりあえず入学して4年で卒業、というためだけの出願ではなく、将来を見据えてどのような選択をするべきかをよく考えて計画を立てることが大切。
HKUのAcademic Advising Officeでは、選択可能な教育オプションについて、また学生が具体的な目標を設定し、それを達成するためのロードマップを作成できるようアドバイス。
Academic Planning SheetやRoadmap for Undergraduate Studyなどのツールを利用しながら、自分の選択するべき学部/専攻を絞り込みながら準備を進めましょう。
世界ランキングとその評価
HKUは、国際的な学力調査などでも上位ランキングに名を連ねる香港を代表する有名大学。
大学教育および教授陣の質の高さは評価され、世界的にみても教育水準が高い大学として知られています。
下記ランキングはイギリスの高等教育情報誌タイムス・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education:THE)が公開しているWorld University Rankings に基づいています。
世界ランキング | 大学名 | 国 |
1 | オックスフォード大学 | イギリス |
2 | スタンフォード大学 | アメリカ |
3 | ハーバード大学 | アメリカ |
4 | カリフォルニア工科大学 | アメリカ |
5 | マサチューセッツ工科大学 | アメリカ |
6 | ケンブリッジ大学 | イギリス |
7 | カリフォルニア大学バークレー校 | アメリカ |
8 | イェール大学 | アメリカ |
9 | プリンストン大学 | アメリカ |
10 | シカゴ大学 | アメリカ |
35 | キングスカレッジロンドン | イギリス |
=36 | カロリンスカ研究所 | スウェーデン |
=36 | 東京大学 | 日本 |
38 | ジョージア工科大学 | アメリカ |
39 | 香港大学 | 香港 |
40 | マギル大学 | カナダ |
その他、香港にはTHE Asia University Rankingsの上位にランクインする大学がいくつかあります。香港の大学の国内ランキングは以下の通りです。
香港ランキング | 大学名 |
1 | 香港大学 |
=2 | 香港中文大学 |
=2 | 香港科技大学 |
4 | 香港城市大学 |
5 | 香港理工大学 |
6 | 香港バプテスト大学 |
7 | 香港教育大学 |
香港大学卒業の著名人・有名人
HKUは国内最高峰の大学として、様々な分野で活躍する多くの著名な卒業生を輩出してきました。
その中には、HKUの前身である香港中国医学部を卒業し歴史に名前の残す偉人「孫中山」がいます。
また、香港特別行政区政府の主要な政府高官や立法評議会のメンバーもHKUの卒業生。香港政府トップの行政長官「Carrie Lam Cheng Yuet-ngor(キャリー・ラム)」もその1人。
HKUを卒業後にさまざまな政府機関に勤務した後、2017年に行政長官に就任し現在に至ります。
その他の香港の大学
香港国内のトップ大学として評価を得ている上位3大学は、世界的にみてもその評価は高く、留学生にも人気の大学となっています。
香港中文大学
香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong : CUHK)は、建物および設備数、学生数とも香港で最大のキャンパス規模を誇る総合大学です。
THEアジアランキング(2020年)では8位にランクイン。芸術学部、経営学部、教育学部、工学部、法学部、医学部、理学部、社会科学学部の8つの学部があります。
授業での使用言語は主に英語、中国語(広東語・普通語)となりますが、英語での授業が多いため中国語をほとんど話さない留学生も多くいます。
大きな特徴として、イギリスの名門校オックスフォード大学、ケンブリッジ大学を彷彿させるカレッジ制度を採用。
現在9つのカレッジがあり、CUHKの学生は留学生を含みいずれかのカレッジに属することになります。
香港科技大学
香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology: HKUST)は、ビジネスとテクノロジー分野における最先端の大学。
1991年に設立された比較的新しい大学です。キャンパスは九龍島東部の丘の上にあり、沿岸部を見渡せる自然豊かな場所に位置しています。
THEアジアランキング(2020年)では5位とその評価は高く、中国本土、韓国、インドなどを含む周辺諸国からの優秀な留学生も多く在籍。
学部は、理学部、工学部、経営学部(ビジネスマネージメント)、人文社会科学部、そしていくつかの異なる学問分野にまたがり研究を行う学際的プログラム(IPO)があります。
IPOでは、工学または理学、および経営学と2つの異なる分野での学士取得(デュアルディグリー)が可能。技術的、そしてビジネス的観点から問題を分析し解決する知識や方法を学ぶことできます。
授業のほとんどはHKU同様、英語で行われています。
香港大学の学費・留学費用と奨学金
学費と生活費の目安
ここではHKU学部入学時にかかる費用についてみていきましょう。1学年度にかかる主な費用の目安は以下の通りです。
なお、HKUでは地元の学生と留学生それぞれに対して異なる授業料を設定しています。
Budget Item | Cost |
Tuition Fees | HK$171,000 (non-local) |
Student’s Union Fees | HK$240 |
Caution money | HK$350 |
Accommodation | HK$16,310~36,322 |
Living Expenses | HK$50,000 |
Miscellaneous | HK$15,000 |
Total | HK$252,900~(約340万円)※1 |
※1 2020年11月現在の為替レートとなります。
留学生向けの奨学金制度
HKUでは、①奨学金(Merit-based Scholarships and Prizes)②政府助成金(Financial Aid)と大きく分けて2種類の補助金制度を用意しています。
メリットに基づく奨学金は、学業に優れた学生に授与する学術奨学金、ある特定の国出身者を対象にした奨学金、文化活動やスポーツ分野において卓越した成果をあげた学生のための奨学金、などその種類は多岐に渡り、これら奨学金の中には留学生対象のものも含まれています。
一部の奨学金は対象者の中から大学側の推薦により選抜が行われ授与されるため、自分から申請する必要はありません。
申請が必要な奨学金については、HKU奨学金ウェブサイト内のApply for Scholarshipsにて公表。最新の情報、申請手続きなどについては、定期的にウェブサイトにアクセスすることをおすすめします。
政府助成金は、経済的理由で学費の支払いが困難な学生に対して香港政府から支給される学費補助のことで、地元の学生を対象にしているため留学生には財政援助を提供していません。
また、フルタイムの学部留学生は、学期中にキャンパスでパートタイムのアルバイト、また夏休み中にはインターンシップを行うことが許可されています。
詳細は香港移民局ウェブサイト、学生ビザポリシーに掲載されています。
香港大学(HKU)への進学方法と入学条件
世界がグローバル化していく中でHKUでは、国際社会でリーダーシップを発揮できる「グローバル人材」の育成を目指しています。
世界各国から多くの留学生を受け入れるのみならず、40ヶ国以上のパートナシップネットワークを通じて、3,500人以上の学生に学期または1年間の交換留学、夏期プログラム、およびインターンシップなど様々な機会での海外留学体験を提供しています。
日本からHKUへ留学する一般的な方法は、
- 学部留学
- 交換留学
となります。
その他、香港または海外(中国本土を除く)の大学の学部課程に在籍している場合には「編入」という方法があります。編入のための手続きは所定のシステムを通じで申請を行い、単位移行の査定を受けます。
しかし単位認定は入学後に各学部により検討。編入時に全ての大学単位を移行できるとは限らず、ましては香港とは教育システムが異なる日本の大学の単位が認定される保証もないため注意が必要です。
ここからは「学部留学」と「交換留学」についての概要を確認していきましょう。
まずは日本の高校を卒業後に留学する方法「学部留学」。
正規の学部生として学士号の取得を目指します。出願はHKUが所定する方法で提出。留学生または非JUPAS保持者は、HKUのウェブサイト上で直接申請を行います。
主な選考プロセスは以下のとおりです。
- 学部/専攻を選択する
- 入学条件などの詳細な情報を収集
- 必要書類の確認、準備をする
- 申請書を提出
- 合否の連絡
- オファーを受け入れたら学生ビザを申請する
学部/専攻を選択
「やりたいことが決まらない」と自分の進路に悩む学生も多いはず。「志望校の決定は早めに」や「学部はもう決めたの?」などは、受験生が必ず先生や親からいわれることだと思います。
確かに将来の進路について早めに決められるのであれば、目標が明確になり受験勉強のモチベーションも上がるもの。
しかし学部や専攻の種類はあまりにも多く、名前を見ただけでは実際に何を学ぶのかわからなかったり、具体的に職業とどう結びつくのかわかりにくい場合も。
そもそも、高校生が自分の将来就きたい職業について短期間で決めるのは決して容易ではなく、迷ったりすることは当然のことだと思います。が、それでも学部/専攻を選んで出願しなければなりません。
HKUでは、申請書に希望する学部/専攻を5つまで記入して提出。
ここで考慮するべきことが第一希望以外に選択した学部/専攻のことです。
もしあなたが第一希望以外に4つ選択するとします。万が一に第一希望が不合格だった場合には、その4つが第2希望と位置づけされ全てが合否判定の対象に。
どの学部/専攻から合格通知を受け取っても後悔のないよう、学部/専攻の選択は慎重に行うことが大切です。
入学条件の確認
HKUの学部課程の入学のための出願には以下の条件を満たしていることが必須。条件を満たして初めて出願が可能となります。
これらはあくまでのも出願資格であり、入学を保証するものではありません。
世界中からの留学生を受け入れているHKU。
各国出身教育施設の教育課程が香港の高等学校の教育課程と同程度であるか、または申請者が高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者かどうかを審査するために、様々な入学基準を設定しています。
日本から出願をする場合には、「卒業証明書」「成績証明書(5段階評価で平均4.5以上)」を取得する必要があります。
その他、学力の達成レベルを証明するために以下のいずれかのスコアの提出を求めています。
- International Baccalaureate Diploma(国際バカロレア)
- GCE A-Level /International A-Level(GCEAレベル /国際Aレベル)
- SATまたはACT plus Writing
- SAT Subject Test
- Advanced Placement(APテスト)
- インド高等学校証明書試験
これらテストは受験すればいいというものではなく、HKUでは出願の際に提出を求めている全てのテストに出願可能となる最低ラインのスコアを設定。その情報を公開しています。
学部によっては、出願の要件としてあらかじめ決められた学力テストや適正テストなどのスコアの提出を求めていることがあります。
出願要件についての詳細は各学部ウェブサイトを確認してください。
英語力レベルの証明(TOEFL/IELTS)
英語が母国語ではない留学生がHKUに出願する資格を得るには、HKUが求める英語能力の基準を満たす必要があります。
HKUではいくつかの英語能力試験のスコアを認めており、それぞれに最低限必要となるスコアを設定しています。
日本からの留学には、TOEFL iBTまたはIELTS (Academic Module)のスコアの提出が一般的。
なお、両テスト共に有効期間が2年間のため、留学を検討している場合には注意が必要。計画的に準備を進めて受験に臨みましょう。
IELTS | 6.5 |
TOEFL | 93 (internet-based test) |
必要書類と願書を提出
オンライン申請書の作成の際には入力を始める前に記入内容を確認。その上であらかじめ必要書類を事前に準備しておきましょう。
準備が整ったら入力を開始。申請書を作成するための主な入力内容と流れは以下の通りです。
(1)オンラインからの申請受付が開始されたら、HKUウェブサイト内の「APPLY NOW」をクリックします。
出典:International Undergraduate Admissions
(2)申請を行うためにまずはアカウントを作成。氏名や住所、Eメールアドレスなどの基本情報を入力します。申請後の入学状況などの追跡もここで行うことができます。
出典:International Undergraduate Admissions
(3)アカウント作成後にログインをするとオンライン申請のページへと進み、ここから画面の指示に従い必要事項の入力を始めます。入力内容と申請の流れは、
- 基本情報
- アカデミック・プロファイル
- 学歴(高校の成績、テストスコアを含む)※申請書には自分でスコアを入力。ハードコピーの公式文書は大学から合格を受け取った後のみ必要となります。
- 希望する専攻/学部(5つまで選択可)
- 課外活動
- 推薦状 ※推薦状の招待メールは、申請書に記入した人物へ直接送信されます。
- その他の情報
- 出願料の支払い(450香港ドル)
- 必要書類をアップロード
となります。申請後に記入漏れや書類の不備があった場合にはアドミッションから連絡。訂正や追加の書類のアップロード等は、最終結果が出るまでアカウント上で行うことができます。
条件付き又は確定オファーの合否連絡
合否の連絡はアカウントを通じて、もしくはEメールにて詳細が届きます。
HKUの合格オファーには、条件付きオファー(Conditional offer)と確定オファー(Firm offer)の2種類があります。
条件付きオファーとは、予測スコアや暫定結果に基づいて出願する場合に受け取るオファーのこと。
最終試験で特定の学業成績を達成することにより入学のオファーを保持する、などの諸条件が含まれています。これらHKUが設定した条件を満たす最終結果を提出しオファーが確定します。
確定オファーとは、最終または公式の結果で出願をする場合に、それ以上の条件なしに合格が決定されるオファーのこと。
オファーを受けたら、申請書に記入した情報についての公式文書を提出するよう求められます。
香港の学生ビザを申請
香港に居住する権利を持たない全ての学生は、個々の責任においてHKSAR学生ビザを申請する必要があります。
ビザは、アドミッションオフィス(Admissions annd Academic Liaison : AAL-overseas)を通じて申請。
ビザの発給までにかかる時間は、申請者や申請内容などにより様々ですか、最大で8~10週間かかる場合もあります。
詳細についてはStudent visa-Important Notes and Application Guidelinesをご参照ください。
香港大学への交換留学制度
交換留学制度とは海外の協定大学へ留学する制度のこと。
「大学間協定大学」との単位互換制度を利用することで、休学することなく留学をすることができます。
HKUの学部学生交換プログラム(Worldwide Undergraduate Student Exchange : HKUWW)は、積極的に世界各国の大学と協定を結ぶことにより多くの交換留学生を受け入れています。
HKUと協定を結んでいる日本の大学は以下の12校です。
日本の大学からHKUへの交換留学制度を利用しての留学を希望する場合の選考方法は、
Step1 学内審査
書面審査、面接審査により学内審査を実施。審査では主に学業成績、語学、申請志望動機などにより総合的に判断します。詳細については各大学の募集要件を確認してください。
Step2 HKUによる審査
学内審査を通過した学生は、HKUが定める申請書類を作成し提出。日本の協定校側がHKUへ学生を推薦し、HKUの国際事務局(IAO)にて審査が行われます。
交換留学の概要や特徴、主な資格・条件・選考方法や募集スケジュールなどについてはIncoming Student Exchange Programmeをご覧ください。
最後に
海外留学というとアメリカやイギリスなど英語圏の国に目が行きがち。しかし少し視点を変えてみると選択枠は大きく広がります。
そんな中、アジア経済の中心である東アジアの国「香港」への留学に注目。HKUはアジア圏の大学の中でも、多様性と国際性を備えたアジアのグローバル大学として認識されています。
多民族・多言語社会のおもしろさ、街の雑踏と豊かな自然とのコントラスト、植民地支配の名残など、なかなか味わえないものが体験できる香港において 国内トップ大学といわれるHKU。
留学先の選択枠に入れたい大学の1つです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
I am an HKUer, at the best I am!