英語に興味のある若い人が増えている中、現在高校生の皆さんも海外留学をしてみたいとお考えの人が多いのではないでしょうか。
英語圏の高校自費留学は一年間という短い期間でも、250万円以上は必要となってしまい、一般的な家庭には大きな出費かと思います。
しかしながら、東京都や国のプログラムを活用することで、比較的安価な値段で高校留学を実現することができます。
この記事では、数ある留学プログラムの一つを活用し、100万円以下で夢のニュージーランドでの高校留学を実現した私が、高校留学のメリットやプログラム、現地での体験を紹介します。
この記事の著者:てつ
新しい言語を学ぶことや違う文化に触れることに楽しさを感じ、高校時代にニュージーランドへの現地高校留学を経験。その後、海外大学進学の夢を持ち、オーストラリア・ロイヤルメルボルン工科大学に進学。現在、コロナウイルスの影響により一時休学し、タイ語と東南アジア文化への理解を深めるため、タイに滞在中。
目次
高校生が海外留学するメリット
人としての成長
まず最初に、高校生の時に海外の文化に深く触れることは、人として大きく成長させてくれるチャンスをくれます。
高校時代に親や友人のサポートがない状態から様々な挑戦するのは、過酷なことです。
言語のバリアで苦労するのはもちろん、自分で全ての問題を解決する必要があります。
しかしながら、コンフォートゾーンから何度も抜け出すことで、日本で楽しい高校生活を送るのとは、比べ物にならない成果を手に入れることができます。
私自身、海外留学を経験したことで、より自立し自分の意見を持つようになりました。
留学が終わる頃には広い視野を持つようになり、周りの問題から国際的な問題にまで気を配るようになりました。
このような経験は、大学進学や就職といった人生の大きな転換点において、より豊富な選択肢を持てる手助けをしてくれます。
周りの人が見えないところまで見えることで、最終的には自分の人生を豊かにすることに繋がります。
もちろん、大学進学後や社会人になってからでも海外留学は可能ですが、若いうちにこのような経験をすることは、困難が多い分成長も多いです。
英語力の向上
高校留学は英語力を伸ばす一番良い方法になります。
高校留学は現地の滞在場所がホームステイもしくは学校の寮のため、常に他人と英語でコミュニケーションを取る必要があります。
例えば、語学学校は、日本人留学生がたくさん在籍していることが多く、日本語を話す誘惑があります。
また、日本人留学生が仲良くなり、常に一緒に行動することで、留学前と留学後の英語力が全く変わらないこともありえます。
それと比べると、ホームステイや寮滞在のある高校留学は、自分を英語の環境に追い込むことができ、英語力を大いに伸ばすことができます。
私はニュージーランド留学中、ホームステイを経験したのですが、高校の授業や英会話レッスンとは違う、生活に基づいた生の英語をたくさん学ぶことができました。
英語のボキャブラリーを増やしたりし、英語を絞り出さない限り、自分の意思や要求がホストファミリーに伝わらないため、自分を追い込むことができました。
英語四技能がより重視されるようになった今、生きた英語の基礎を高校生のうちから頭に叩き込むことは、将来の大学受験やTOEIC受験において有利になります。
一生に一度きりの経験
高校留学は生涯に一度きりの思い出に残る経験になります。
英語や一人での生活に苦労することは多々ありますが、その分濃い留学経験をすることができます。
ホームステイや現地高校での体験は、現地の生活にどっぷりと浸かることができ、より海外らしいライフスタイルを経験することができます。
また、海外の高校は大学と比べ、何倍もコミュニティーが小さいため、他生徒や先生と深い繋がりを築くことができます。現地の友人を作ったり、世界中からの留学生と交流を深める良い機会でもあります。
私自身、日本で高校二年生を過ごすより高校留学することを選択し、かけがえのない体験ができてよかったなと思います。
私はその後、オーストラリアの大学へと進学しましたが、高校留学の方が現地の人と文化との繋がりをより感じられること間違いなしです。
日本の高校を離れるデメリット
高校留学はメリットが大半を占めるのですが、在籍している日本の高校を一年間離れるということはデメリットにも繋がります。
文理選択があるように、高校のカリキュラムは大学受験を前提に組まれていることが多いです。
このカリキュラムから一年間離れるということは、その分周りの生徒から後れを取るということです。
進学校のような偏差値の高い学校では、留学後に相当な努力をする必要があります。
私の場合、留学前に先生から留学後に希望する授業が取れない可能性があると、伝えられました。
在籍する高校によってカリキュラムや単位のシステムは少し異なるかもしれませんが、留学前に授業や単位について、しっかりと先生に確認をしておきましょう。
また、体育祭や修学旅行などの日本の高校での行事に参加できない可能性もあります。
しかしながら、私も同じプログラムで留学した友人も、デメリットは自分の努力次第でカバーができ、高校留学はメリットの方が大きいと考えているので、是非自分自身で判断してみてください。
日本の高校での手続き
留学する前に日本の在籍校での単位について考える必要があります。
文部科学省では、留学先の高校での取得単位を最大で36単位まで、日本の高校でも認めるよう定めています。
ですので、留学から帰ってきた後、学年を一個下げることなく元の学年に戻ることができます。(在籍校の単位に関する規定や決まりによりできない場合もある)
しかしながら、大学受験のために学年を一個下げて、留学の間の授業を受けたりや先生から休学扱いで留学することを勧められることもあります。
休学する必要があるかわからないという方は、進路担当の先生とよく相談した上、留学扱いにするのか休学扱いにするのかを決めましょう。
私自身、留学扱いで留学をしましたが、高校留学をする前から海外の大学に進学するという目標があったので、留学後の授業選択に大きな支障はありませんでした。
参考までですが、留学扱いで留学をした後でも、日本の上位の大学に留年せずに進学できた友人も多くいますので、自分の希望と努力次第のところではあります。
高校一年留学のプログラムと費用
次世代リーダー育成道場
次世代リーダー育成道場は私が実際に利用したプログラムです。
こちらは東京都の留学プログラムで、都立高校の生徒に限定されてしまうプログラムですが、一番安く高校留学ができるプログラムでもあります。
留学前と留学中、留学終了直前と留学終了後に生徒が集まり研修を受けます。
そのため、留学中の成長だけではなく、様々な研修を通して、学問を深めグローバルな人間に育ててくれます。
私が研修生だった当時、有名な学術者の講演や日本文化への理解を深める研修も多くあり、たくさんのことを学びましたし、他の研修生と意見交換をすることもできました。
このプログラムでは二つのコースを志望することができ、Aコースはオーストラリアもしくはニュージーランド、Bコースはアメリカもしくはカナダに約10ヶ月間留学することができます。
各コースの採用人数は100人ずつで、計200人です。
また、面接や英語の試験などがあり、高校での成績や先生からの推薦書も考慮材料の一つです。
プログラム費用(渡航費・現地での学費・ホームステイ費)は80万円ですが、扶養者の収入により減免される場合もあり、私は40万円でプログラムに参加することができました。
同じ研修生の中にはプログラム費用が全額免除となった友人もおり、経済状況にかかわらず全ての都立高校の学生に開かれている留学のチャンスです。
AFS (American Field Service)
先ほど紹介した次世代リーダー育成道場は、東京都立の高校と応募できる人がとても限られています。
そこで、もう一つ紹介したいのがAFS (American Field Service) です。
AFSは長い歴史を持っている世界的な教育団体で、世界中に拠点があります。
主に、高校生の交換留学を中心に活動しており、毎年多くの学生を日本に受け入れ、そして日本から送り出しています。
英語圏の国のみならず、東南アジアや北欧の国へのプログラムにも応募することができます。ですので、次世代リーダー育成道場と比べて、留学国の選択肢が広いです。
費用は国により異なり、1年弱のプログラムで120万から170万円ほどです。
また、AFSや地方自治体から支給される奨学金に応募することもできます。
2022年出発のコースですと、アメリカが60人、その他の国はほぼ一桁の募集人数となっていますが、特にアジア圏の国は倍率が低い傾向にあるかと思います。
AFSのメリットの一つに、世界各地のAFS生との交流があります。
留学先で現地の学生とだけではなく、AFSの研修やイベントを通じて世界中に友人を作ることができます。
英語圏ではないへの国の留学を考えている人には、AFSが一番おすすめです。
トビタテ!留学JAPAN
トビタテ!留学JAPANは文部科学省主催のプログラムで、先ほど紹介した二つのプログラムと比べて、より自分にあったスタイルの留学ができます。
分野が
- アカデミック
- プロフェッショナル
- スポーツ・芸術
- 国際ボランティア
の4つに分かれており、アカデミックは期間別にテイクオフ、ショート、ロングの三つに分かれています。
こちらのプログラムの場合、一定額支給される形での支援となります。
長期の高校留学ができるアカデミックのロングコース(107日以上365日以下の留学)ですと、家計基準を満たす生徒で
- 授業料 一括30万円
- 現地活動費 月10万円〜14万円
- 渡航費 10万円〜20万円
となります。
次世代リーダー育成道場やAFSのようにプログラムに参加するというよりは、留学計画を自ら立て、審査に通り、奨学金をもらうという感覚に近いと思います。
トビタテ!留学JAPANの特徴として、より自由に留学できる点があります。
スポーツ・芸術やボランティアのコースがあるように、専門留学という分野で自分が海外でやってみたいことに挑戦することができます。
高校生のうちにヨーロッパで本場の音楽について学びながら、海外の文化や生活を体験するというような留学ができます。
ホームページにも学校に行かない留学計画も可能との記載があります。
海外留学したい目的が、語学や文化のみではない方におすすめな制度です。
こちらも事前研修や事後研修といったイベントがあり、プログラム全体を通して、学びを深めることができます。
その他プログラム
海外高校留学のプログラムは、他の教育団体や企業が主催しているものも多数あります。
先ほど紹介した東京都のプログラムのように、地方自治体が主催している場合もあります。
団体の例でいうと、日本のISAや世界的に有名なEFというのもあります。
ISAの場合、交換留学という形でアメリカやイギリス、オーストラリアやニュージーランドへの留学が可能となります。(https://www.isa.co.jp/)
具体的な費用は170万から200万からで、高めな金額設定となっています。
EFの場合、奨学金などを利用しない限り、私費留学と同じぐらい高い値段を支払う必要があり、他の多くの団体でも同じケースとなります。(https://www.efjapan.co.jp/)
これらを踏まえて、試験を受け選考に受かる必要はあるのですが、最初に紹介した三つのプログラムを利用することを大いにおすすめします。
プログラム以外で必要となる費用
渡航に必要な費用
多くのプログラムの場合、航空券代はプログラム参加費用に含まれていることが多いです。
英語圏の場合、往復で10万円から20万円ほどでしょう。
しかしながら、ビザ取得費用や保険の加入費用などがかかってくる場合があります。
一部の国では、保険加入がビザ取得の必須条件となっており、同時に健康診断を行う必要もあります。
出発前にプログラム参加費用を準備すると同時に、ビザ関連の費用も考慮する必要があります。
現地での生活費
高校留学のホームステイや学生寮での滞在では、基本的に食事代が含まれています。
そのため、現地での生活費は主にお小遣いといった生活用品を買ったり、友達と外食したりする時に必要になる費用です。
また、ランチをランチボックスではなく、学校のカフェテリアで食べる場合なども必要となります。
その他にも、滞在先が留学先の学校から遠い場合は交通費が必要となりますが、自転車を購入し通学するという選択肢もあります。
私自身がニュージーランドの高校に留学していた際には、月に100ドルから150ドルほどのお小遣いを両親に振り込んでもらっていました。
このお金で週末に友達などと遊んだり、バス代などにあてていました。
さらに、学校の課外活動でも一定の費用がかかります。
特に、スポーツ系の部活動に参加したい方はその分、ユニフォーム代や試合代などを準備する必要があります。
また、学校主催の校外学習や他の都市へのキャンプや旅行などに参加したい場合も費用がかかります。
以上のようにアクティビティに参加すればするほどお金が必要になってしまいますが、現地の文化への理解を深め、友人を作る良い機会ですので、たくさん参加することをおすすめします。
現地でお金を確保する方法
留学先でお金を確保する方法は主に海外送金とキャッシングの二つがあります。
海外送金は現地の銀行で口座を開設する必要があるのですが、口座開設は初期の手間がかかり、高校生だと少し難しく、一年未満の留学の場合はキャッシングがおすすめです。
私自身、三菱UFJデビットというデビットカードを前々から使用しており、留学中もこのカードを使って、現地で現金を下ろしていました。
こちらのカードがおすすめな理由は、
- 年会費無料
- 高校生でも簡単に作れる
- 利用後メールが届くので、お金の管理がしやすい
- 即時払いで口座残高を超えた引き落としが発生しない
- 海外のVISAマークのある全てのATMでお金が下ろせる
などがあります。
通帳とキャッシュカードを家族に預け、定期的にお金を振り込んでもらうことで、現地で時間や場所を問わずお金を引き出すことができるので便利です。
実際のニュージーランドでの留学体験
授業や学校の様子
ニュージーランドの高校は日本と比べ、選択できる授業の幅がとても広いです。
ですが、毎授業の授業数や時間が長く、私は1週間に5〜6科目のみ取っていました。
歴史や英語といった基本的な教科はもちろん、経済学や観光学、ホスピタリティーといった大学で学ぶような教科を選択できる高校もあります。
ですので、より自分の興味関心に沿った授業を選び、知識を深めることができます。
また、ESOLという英語が第二言語の生徒向けの英語のクラスもあり、他の留学生と基礎の英語力を鍛えることができます。
普通の英語の授業は、文学の読解など留学生にとって難しいことを学ぶので、ESOLのクラスで先生のサポートを受けながら、しっかりと基礎をつけましょう。
私は現地の男子校に通っていたため、授業でも体育関連のものがとても人気で、課外活動もスポーツ系のものが多かった印象です。
ホームステイ
私は約10ヶ月のニュージーランド留学中に二つのホストファミリーを経験しました。
ホストファミリーとの交流は、留学先国の文化をより理解する良い機会でもあり、英語力を高めるチャンスでもあります。
ホストファミリーにラグビーの試合やマオリ族の行事に連れてもらうなど、ホームステイならではの思い出をたくさん作ることができました。
しかしながら、食事面では全てホストファミリーに任せるため、自分の食べたいものが食べられなかったり、毎日ジャンクフードということもあります。
また、それぞれの家での決まりや門限など、ホストファミリーにしっかりと確認をし、理解する必要があります。
私自身、家族以外の家に長期間滞在したのは、ニュージーランド留学が初めてだったので、苦労した部分もありましたし、得たものもたくさんありました。
ニュージーランドでの生活
ニュージーランドはとても自然が豊かな国で、私が留学していたウェリントンという都市は海も山もダウンタウンから徒歩で行けるような場所でした。
そのため、ゆっくりとしたスピードのリラックスした生活を送ることができます。
スキーやトレッキングなど、一年を通して自然を楽しめるアクティビティもたくさんあるので、自然が好きな方にはとてもおすすめできます。
また、ニュージーランドは多民族国家のため、様々な国からの移民が住んでおり、異文化を身近に感じながら、多種多様な料理に触れることもできます。
アジア系の移民も多いため、日本食なども気軽に食べることができます。
初めての海外高校留学には、とてもおすすめできる国の一つです。
まとめ
以上、高校留学のプログラムや実際の体験を紹介しましたが、いかかでしたでしょうか。
高校留学は、留学前に英語力をできる限り上げることはもちろん、楽しいことも困難も、留学先ではたくさん待ち受けていることを、心にいれておくことがとても大事です。
私自身を含め、多くの留学生が留学前に、憧れの海外の留学生活は全てが楽しいということを考えがちですが、そんなことはありません。
日本で生活するのと比べ、何倍もの困難やストレスが待ち受けています。
しかし、その先には自分自身の大きな成長も待っていますし、一生忘れられない思い出にもなります。
是非、心の準備をしっかりとした上で、夢の高校留学の準備を進めていってください!