日程:2024年10月26日(土) 14:00〜17:30(入退場自由)
場所:シェラトン都ホテル東京
参加校(一部):Imperial College London, New York University, Johns Hopkins University, NUS, University of Leeds
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東京大学経済学部卒業、慶応義塾大学法科大学院修了。企業法務を取り扱う法律事務所にて弁護士として約7年執務し、労働法やヘルスケア法務、訴訟等を中心に様々な案件に関与。ヘルスケアに関する知見を深めるためにハーバード大学公衆衛生大学院修士課程(MPHプログラム)にて医療政策を専攻し修了。2023年秋よりスタンフォード大学ロースクールに進学。
目次
出身・経歴
今回は貴重な機会をいただきありがとうございます。すみっこと申します。
職業は弁護士で、企業法務をメインで取り扱う法律事務所に勤めています。2022年にハーバード大学公衆衛生大学院の修士課程に留学し、2023年に修了して公衆衛生学の修士号(MPH:Master of Public Health)を取りました。
この8月からは、スタンフォード大学のロースクールに留学する予定です。
いえ、私は岐阜県の小さな市の出身で、高校までは地元の公立校に通いました。受験勉強をして日本の高校・大学に行くことが当たり前という発想だったため、中学高校の時から海外の大学を受験するという選択肢は思い浮かびませんでした。
地方公立高校で情報が限定的だったこともありましたし、また、東京自体が「外の世界」というイメージも強かったことから、特に海外の大学に行きたいという気持ちもありませんでした。
アメリカの大学院に進学を決めた理由
自分で決めたというより、所属事務所のキャリアとして、5〜8年目ぐらいのタイミングでアメリカのロースクールに留学する弁護士が大半という環境に身を置いていたことが大きいです。
周囲にはイギリスのロースクールに行く弁護士もちらほらいたのですが、多数派はアメリカだったので、アメリカの大学院受験を念頭に置いていました。
正直、弁護士として公衆衛生大学院を目指すのはとてもレアです。理由としては、2つあります。
1)実務で担当した分野(労働法、ヘルスケア)を深く学びたい
なぜこの進路を選んだかと言うと、私が弁護士をしていた時に担当していた労働法とヘルスケアという分野を、より深く根本的なところから学びたいと思ったからです。
例えば、メンタルヘルスにより会社を休職した従業員への対応や、ヘルステックベンチャーがビックデータやAIを使って医療関連サービスを提供する際の法律問題についてアドバイスをしていました。
そんな中、段々とクライアントが行っている事業の根本にある、ヘルスケアやウェルビーイング等について理解を深めたいと思うようになりました。自分達弁護士が目を向けるのは、どうしてもクライアントから依頼された個別の法律問題が中心です。
もちろん、クライアントがどのようなビジネスを行い、その仕組みや有用性はきちんと情報収集するのですが、ビジネスの大元にある問題意識や商品開発のベースとなっているエビデンスといった根本の部分を掘り下げる機会はどうしても少なくなります。
そんな中、たまたま公衆衛生学(パブリックヘルス)について知る機会があり、医療政策や、健康に関するエビデンスを作り出す生物統計・疫学などが広く公衆衛生に含まれることを知りました。
詳細は後ほどお話ししますが、公衆衛生という日本語のイメージから想像できるよりもはるかに広い分野を取り扱っており、もはや「健康科学」や「ヘルスケアデータサイエンス」といった訳を充てるのがより適切ではないかと感じたほどでした。
私はパブリックヘルス(公衆衛生)を学ぶことにより「健康」を切り口に分野横断的に様々な範囲の知見を得ることができることを知り、パブリックヘルスに興味を持つようになりました。
2)法学とパブリックヘルス双方に精通している人になりたい
また、調べる中でアメリカの公衆衛生大学院では「パブリックヘルスロー(公衆衛生法)」と言う科目が開講されていることや、ロースクールと公衆衛生大学院のどちらも修了している人がいて、これらの大学院で教鞭を取っていることなどを知り、とても新鮮に感じました。
これに対し、日本では、法学と公衆衛生学の双方に精通している人を聞いたことがなく、そもそもパブリックヘルスという概念自体あまり浸透していません。
そういった点も踏まえて、ひょっとして我々日本の弁護士は、パブリックヘルスというとても有用性の高い分野を見落としているのではないかと思い、そうであれば自分が飛び込んでみるのが面白いのではないかと考えて、公衆衛生大学院を目指すことにしました。
公衆衛生(パブリックヘルス)とは?
先ほども少しお話したように、パブリックヘルス(公衆衛生)は「健康を科学する学問」と言われていて、とても多面的・分野横断的な分野であることが特徴です。
例えば、
- メンタルヘルスや労働安全衛生に関する問題
- 気候変動等の環境変化がいかにして人間の健康に影響を与えるのかといった問題
- アメリカにおける中絶の権利をめぐる問題
- 裁判所や政府の判断が個人の健康にどのような影響を与えるのか
- HIVの感染を抑えようという国際的な動き
- 日本における公害問題
- 何を食べたり、どのような栄養素を摂取すると、健康上のリスクが下がるのかという問題
もパブリックヘルスといえます。
それ以外にも、人の健康はその背後にある社会経済的なステータスに影響されることも多く、人種・学歴・収入・資産・住居といった要素がその人の健康状態に影響を与えるとされています(こうした要素を健康の社会的決定要因(social determinants of health)といいます)。
例えば、人種差別を経験した青少年は肥満になりやすいかを研究した論文等もあり、パブリックヘルスは、社会学や教育・住宅政策といった分野とも深く結びついていることがわかります。
繰り返しになりますが、人々の健康を切り口に多様な視点からアプローチする分野横断的な特徴がパブリックヘルスの魅力といえます。
パブリックヘルス(公衆衛生)が学べる大学
候補として真っ先に上がるのはアメリカの公衆衛生大学院(School of Public Health)ではないかと思います。
パブリックヘルスは、アメリカだと専門の大学院だけでも70以上、MPH(Master of Public Health)を取れるようなプログラムになれば150以上あり、日本と比較すると良く知られている科目です。
日本だと医学部や薬学部などの一分野と捉えられることが多いですが、アメリカだと医学部から独立した単独の大学院として成立していることは違いとして大きいです。
ハーバード大学公衆衛生大学院
ハーバードを選んだ理由
1)公衆衛生の普及を踏まえた知名度
率直に言うと、日本での知名度です。日本において、パブリックヘルスの知名度は低いと言わざるを得ません。
そのため、アメリカの大学院で学んだパブリックヘルスの知見や魅力を日本で広めようとした時に、日本で知名度のある大学で学んだことは、自身の説明に説得力を持たせる材料になるのではないかと考えました。
2)学部や大学院を越えて、柔軟に受講できる授業
また、ハーバードで受講できる授業の数・多様性も大きな魅力でした。
ハーバードでは、大学院の枠を超えて授業が取れるシステム(cross registration)があり、公衆衛生大学院に在籍しながら、ロースクールやビジネススクール、公共政策大学院など、様々な大学院の授業を取ることができます。
また、ハーバードだけではなく、MIT(マサチューセッツ工科大学)の授業を取ることもできます。
このように、他の様々な大学院の授業をとることによって、自分のやりたいことや興味に合わせてカリキュラムを柔軟に組める点が魅力でした。実際に私も、ロースクールで開講されているパブリックヘルスの法と政策に関するゼミを履修しました。
3)ボストンという立地
そして、ヘルスケア産業のメッカともいわれるボストンで学べることも大きな魅力の1つです。
ファイザーといった製薬企業の本社や研究所があり、ヘルスケアスタートアップも多くあるため、ヘルスケアに興味のある人が学ぶにはうってつけの都市です。
日本人の数は多すぎず少なすぎずで程よいコミュニティが出来上がっており、他の都市と比較すると綺麗で安全な都市であることも魅力的です。
大学院の授業
- レクチャー(講義ベース)
- ケーススタディ(ディスカッションベース)
- フィールドワーク(practicum)
- Independent Study(教員とマンツーマンでの個別研究)
専攻によっても大きく違うのですが、私の専攻では基本的にレクチャーとディスカッションがメインでした。
生物統計や疫学は、基本的な概念や計算に関するレクチャーや問題演習が比較的多かったです。医療政策の授業は、予習に沿ったレクチャーもありつつ、ケースが実際に与えられてディスカッションをしたり、政府関係者に向けた政策メモを起案するといった実践重視の形式でした。
また、practicumと呼ばれる、学校外の機関においてパブリックヘルスに関わるプロジェクトに従事して、自身の取組をポスター等にまとめて生徒の前で発表するというフィールドワーク形式の必修授業もありました。
それ以外にも、必修ではありませんが教授とマンツーマンで研究するIndependent Studyというプログラムもあります。実際に私もこのプログラムをとっていて、教授と一緒に論文を書きました。
このように、授業の形式はバラエティーに富んでいますが、授業形式・内容は総じて良く練られているものが多い印象でした。
ディスカッションについて
帰国子女でもなく海外滞在経験もない日本人である自分にとっては、かなりハイレベルに感じました。
私は医療政策の専攻だったのですが、アメリカ人が8割5分ぐらいを占めており、留学生もインドやシンガポール、イギリス、カナダのように英語ネイティブの生徒が多かったため、留学生に配慮したような部分はあまり多くありませんでした。
そして、テーマはUSのヘルスポリシー(アメリカの医療政策)がメインであるため、アメリカ人の方が圧倒的に知識や感覚を持ち合わせています。
例えば、アメリカのアラバマ州における下水処理システムの地域格差について議論することがありましたが、アラバマ州の位置や文化、人種構成に明るくない私は、感覚がつかめずとても苦労しました。
また、ディスカッションの中で何とか発言したとしても「日本だとこうだ」のように自分のフィールドに引き寄せた発言になりがちで、不必要に議論の流れを変えてしまったなと後悔した時もありました。
当たり前のことですが、事前準備をきっちりやっておくことが重要です。
まず、題材となっているリーディングをきちんと読み、要点や自分の感想・意見をまとめる必要があります。
その上で、余裕があればプラスアルファで関連するニュースや論文を見たりして、テーマに対する世論のトレンドを押さえたり、自分の立場(日本人・弁護士)からクラスのディスカッションにとって有用な話題を投下できるかといった点をリサーチします。
このような準備をして臨むことを繰り返すと、多少はクラスの議論に貢献できるようになってくると思います。もっとも、うまくいかないことも多く、一喜一憂状態でしたが…。
フィールドワークについて
フィールドワーク(practicum)で私は、介護老人ホーム等を運営している日本の法人においてプロジェクトを担当しました。
例えば、センサーを用いて入居者の方々の睡眠・食事・排泄等のデータを収集し、それを第三者に提供して新たな製品開発に役立ててもらう、といったデータ活用をする場合、いかなる法的な課題があり、どのように対応すべきかを調査し、報告しました。
このプロジェクトに関与するにあたり、弁護士の業務経験が大いに活きたのですが、より法人の内部に入って様々な知見を得ることができ、普段の業務では得られない知見も多く得られました。
周りの学生では、マサチューセッツ州の保健局や、健康格差の解消を目的に活動しているNGOにおけるプロジェクトに参加する人も多かったですね。
私も、折角アメリカで学んでいるので、現地当局・団体のプロジェクトに参加することも考えたのですが、ロースクールへの出願等も踏まえると手一杯でした。
一度働いてから大学院に進学するメリット・デメリット
メリット
メリットとしては、仕事において持っていた問題意識をもって授業に臨むことができる点です。自分の経験に基づいた事柄について積極的に教授に質問して論文のテーマにしたり、深く学ぶことができるのではないかと思います。
特に公衆衛生学修士(MPH)は専門職学位であり、パブリックヘルスも分野横断的なので、自身の職業経験を前提に自分なりの問題意識をもって学ぶ姿勢が重要だと思います。そうでないと、何となく授業をこなして時間が過ぎてしまう可能性が高いと思います。
デメリット
デメリットとしては、年齢があると思います。
クラスメイトは、平均で言うと20代後半、社会人経験を2-5年積んでから来ている人が多い印象です。専門職大学院ということもあり、学部卒業後にストレートですぐそのまま大学院に進学する人は多くないと思います。
他にも、医学生で医学部(メディカルスクール)を休学して、公共衛生大学院でパブリックヘルスを1年勉強してまた医学部に戻るというキャリアを選択している人もおり、そのような学生の年齢は総じて若い(20代前半~半ば)と感じました。
私は、入学時で34歳だったのですが、年齢が周りと比べて少し上だと感じる時もあります。
でも、日本人に限って言うと、医師として10年ほどキャリアを積んで30代中〜後半で留学する人も多かったので、心配になるほどではありませんでした。そもそも、アメリカでは年齢を聞かれることが日本と比較して圧倒的に少なく、年齢を気にする機会は少ないと思います。
留学生活
1日のスケジュール
学期によって違うのですが、毎日びっしりと授業が入っている訳でもありません。
平日は毎日1〜3コマぐらい授業があり、授業の合間には友人とランチやお茶をしたり、授業の復習をしたりしています。金曜日は、他の曜日と比較して授業が少ないこともあり、私も授業を取らずに翌週の予習をしたりしていました。
1日のスケジュールですが、1限(8:00開始)がある日は、6:00ぐらいに起床して、7:30ぐらいに学校行って授業を受けて、その後は予習復習をしたり、課題をしたりしていました。
それ以外の日は7:00くらいに起床して身支度ができ次第学校に行っていましたが、日によって起床時間・就寝時間はかなりばらつきがありました。課題が終わらず明け方まで作業していた日も何日かありましたね…。
個人的には、授業とその課題、期末の勉強、フィールドワーク等をしながらロースクールの出願準備を進めたのがきつかったです。そもそもが1年で修士を取るプログラムなので、密度はかなり濃く、1年があっという間でした。
休日の過ごし方
秋学期は、普段の授業、フィールドワーク、論文執筆、ロースクール出願準備と盛り沢山だったので、休日も、何らかの作業をしていることが多かったですね。
その後、春学期になって少し負担が軽くなってきたので、ようやくボストンの観光地に休日行きました。同期と、ボストンのイタリアンが美味しい地区に行ったのですが、同期も含めてそこにいくのがみんな初めてでした笑。自分だけではなく、みんな忙しかったのでしょうね。
ボストン4~5月になってくると過ごしやすい日が多くなってくるので、ダウンタウンを散歩したり、水族館・美術館に行ったりするのは良いリフレッシュになりました。
また、ボストン以外にも足を伸ばし、ペンシルベニア大学やジョンズホプキンス大学、ミシガン大学などを訪問して学生と交流したりもしました。
日米の大学院の生活の違い
まず、言語の違いはやはり大きかったです。
また、日本の大学院では一人暮らしだったのに対し、ハーバードでは学生寮で、共同生活を共にする中から生まれる交友関係がある点も大きな違いですね。アメリカの大学院では、様々なイベントを通じて交友関係を広げられる機会も多いので、積極的に活用すると良いと思います。
食事は、日本にいた時のような安くて栄養も取れるような選択肢が少ないので、自炊をするなりして工夫する必要があると思います。私
は日本にいるとき、サラダチキンやスープで小腹を満たしていたのですが、アメリカではそのような調整ができず、結果的に15キロ近く太りました。
なお、これは生活ではないかもしれないのですが、教授と生徒の距離がかなり近いのも大きな違いかなと思います。
気軽にオフィスアワーなどを使って質問できるので、積極的に利用して授業の課題の相談等をガツガツやって行ける人にメリットがあるシステムだと思います。
体感的には、相談等を頻繁にしていた授業の方が良い成績を取れたので、成績を気にされる方はぜひ積極的に望んでほしいと思います。
大学院の費用
私が留学した時にかかった、大まかな費用の内訳は以下の通りです。
- 授業料 $69,000/年
- 寮費(光熱・ネット代込み、家具付き)$2200/月
- 医療保険 約25万円/年
やはり高いですね。私のときで授業料は約$69,000/年で、当時のレートでは1000万円を超えた記憶です。また、寮費も約$2200/月ほどかかりました。
これでも光熱費・インターネット代込み、家具付きなので周囲の相場と比較するとかなり安い部類に入るのではないかと思います。
また、住む寮やアパートによっては、かなり金額が異なってきます。上の金額よりも安い金額だった同期もいましたので、あくまで参考程度に捉えていただければと思います。
周囲の話も踏まえると、ボストンの物価は、ニューヨークやロサンゼルスほど高くはないけれども、他の大半のアメリカの都市よりは高い部類に入るように思います。
医療保険も大学のものに加入すると25万ほどかかります。配偶者や家族がいると割高になるので、医療保険だけで年100万くらい飛んでいく可能性があります。
ただ、安い保険はカバーされる医療サービスの範囲が狭い可能性があるので注意が必要です。知り合いの中には、親知らずの抜歯をしたところ保険でカバーされておらず、50万円以上の請求がされた人がいたと聞いたことがあります。
ハーバード大学公衆衛生大学院への受験
GPA/TOEFLなどテストスコア
GPA
ハーバードの公衆衛生大学院に出願するにあたり、日本の大学の学部とロースクール、どちらのGPAも提出する必要がありました。
私のGPAは、学部とロースクール合わせてどちらも3.5ぐらいで、WES(World Education Services)という外部の成績評価サービスを使用して算出し直したGPAスコアを提出しましたが、上記より多少上がった記憶です。
TOEFL
TOEFLは大学院の出願のために勉強しました。ハーバードを含め、多くの公衆衛生大学院のTOEFLの最低点として100点が求められていますが、カリフォルニア大学バークレー校は90点と少し低めだった記憶です。
私は最終的に103点で提出しました。MBAやLLM受験生の中には、「思ったより低い」と感じる方もいると思います。
ロースクールに比べたら、公衆衛生大学院のTOEFLのハードルは低めで、100点を取れていればどこの大学でも出願上足を引っ張ることは無いように思います。
英語の勉強法
日本にいたとき、英語を話す機会はほとんどありませんでした。
でも、リーディングやライティングに関しては、業務の中で国際的な案件に複数参加していたため、英文の契約書や資料を読んだり、英文メールを書く機会はありました。
ただ、M&Aやファイナンスを担当している弁護士と比較すると、私が業務で英語に触れる機会はそれほど多く無かったと思います。
リスニングは、TOEFLでも点数が安定せず、あまり自信がある分野ではありませんでした。
もっとも、留学後は授業や日常会話を通して段々と耳が慣れていった感覚があります。例えば、最初は複雑な構文が追えなかったのですが、段々と聞き取れるようになってきている感覚がありました。
TOEFLの対策方法
TOEFLはかなり苦戦して、1年〜1年半ぐらいはしっかり勉強していました。
最初は、スピーキングとライティングの型を身につけるために塾を利用していましたが、リスニングとリーディングはほぼ独学に近い形で勉強していました。
にゃんこ先生のブログを読むことで勉強法を学んで、例えば洋書の多読をしたりリスニングアプリを使ってみたり、自分で勉強していました。
出願について
公衆衛生大学院への出願は、SOPHASというポータルサイト上で行います。
全学校共通の入力フォームと、各大学ごとの入力フォームとがあり、まずは全体をざっと見てどのような事項の入力が必要か、どのような書類を入手する必要があるかチェックすることが重要です。
例えば、Experience(職歴、インターン、ボランティアなど)やAchievements(受賞等の実績)などについて、スカスカの状態で出すと見劣りすると思いますので、早めに材料を揃えておく必要があると気づけます。
ハーバード公衆衛生大学院へ出願するにあたり、上記のスコア等以外、必要になってくるのは、
- Personal Statement
- CV
- 推薦状
で、特別な追加書類は求められませんでした。
もっとも重要なのはPersonal Statementですが、字数制限がありあまり多く書けないので、これまでのバックグラウンドからなぜハーバードで学びたいのか、修了後の展望等をコンパクトにまとめなければならないのは注意する必要があります。
出願のタイムライン
私は、かなり早め早めに動いていたと思います。
大体、受験の一年前ぐらいから推薦状を頼みたい方にコンタクトをとって、推薦状を書いてもらう約束をしていました。身近な上司に頼めるのであれば、推薦状については夏ころに動き出すのでも大丈夫だと思います。
私は、フルブライト奨学金にも出願していたので、フルブライトの締め切りに合わせて出願する年の5月末には簡単な研究計画書を、7月末には具体的なエッセイ等を提出できるようなタイムラインで動いていました。
出願ワンポイント
1)やりたいことや将来を明確にする
まず、大学院でやりたいことと卒業後の進路を明確にしておくことが、様々な出願書類を準備するうえでの土台になると思うので、時間がかかってもこの点をまずはしっかり言語化できるようにしておくことが重要だと思います。
実際、どの大学でも①なぜこの大学院を選んだのか、②大学院で何がしたいのか、③卒業後は何がしたいのか、といったあたりは高い確率で聞かれるので、念入りに準備するのが良いと思います。
2)早め早めに動いて推薦状を依頼
私の場合、特に苦労したのが推薦状です。
私はパブリックヘルスに関するバックグラウンドがあるわけではなかったため、国内外の専門家にコンタクトを取って自分の問題意識についてZoomやメールでディスカッションし、十分に仲が深まったところで推薦状の作成をお願いしました。
直前に知り合った場合、推薦状のために仲良くなった、という感じが伝わってしまうのではないかという懸念があったため、早め早めにコンタクトを取りました。
その過程で、各大学のパブリックヘルスに関係する方々に、自己紹介と意見交換をお願いするメールを送り、とにかく機会が得られるようにしました。
仕事をしながらの準備でしたので、結果に結びつかないかもしれない作業を淡々とやり続けるのはとても辛いものでした。しかし、今振り返ると、このような地道な努力と貪欲な姿勢が、合格を勝ち取ることができた大きな要因の1つだったと思います。
推薦状は、単に地位の高い方ではなく、「この人は情熱を持っていて能力もある。是非貴大学院で学ばせてやってほしい。」と書いていただけるような方に依頼できるかがポイントだと思います。
最後に
通っている大学院は、どんな人におすすめ?
公衆衛生大学院は、ヘルスケア・健康・ウェルビーイングに興味がある人であればどなたにもおすすめできます。
パブリックヘルスと言われるとピンとこないかもですが、「健康科学」や「ヘルスケアデータサイエンス」のような感覚で捉えていただきたいです。
専門職大学院ですので、自分のバックグラウンドや、やりたいことに合わせて学びを自分で作ることができ、幅広く深い学びを得ることができます。
未来への展望
まず、弁護士のキャリアとして、アメリカのロースクールを卒業した後にアメリカの弁護資格を取るというのが一般的だからという点があります。
また、ハーバードでパブリックヘルス側から法律を見ることができたので、今度は弁護士として法律側からパブリックヘルスやヘルスケアに関連した分野を研究したいと考えています。
スタンフォードは、メディカルスクールとロースクールとの連携も強く、プラネタリーヘルス(地球環境が健康に与える影響)やバイオデザインに関する知見を深められるのではないかと期待しています。
将来は、日本に戻り、労働法、ヘルスケア関連を中心により弁護士としての専門性を高めていきたいと思っています。
また、アメリカの医療政策の広さを学んだからこそ、日本の医療政策の良いところ・悪いところが相対的に見えてきたと思っているので、いずれは医療政策にも携わりたいと思っています。
また、中長期的な目標ではあるのですが、パブリックヘルスの概念・有用性を日本に広めたいという想いがあります。
繰り返しお話しているとおり、日本においてパブリックヘルスという単語はほとんど知られていませんし、日本語訳の「公衆衛生」という単語から来るイメージがその可能性に蓋をしてしまっていると考えています。
だからこそ、パブリックヘルスの概念・有用性に関する情報を提供し続けることによって、より多くの人々が興味を持ったり学んでみたいと感じるようになるのではないかと思っています。
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こうした英米のトップスクール大学院に入るには選考時に学部の学歴によりフィルターされますか?
有名大学なら第一印象が良いかもしれないけど、選考で見られるのはTOEFL/IELTSスコア、GPA、エッセイ、推薦状、GMATまたはGRE等の書類だね。
一方、日本人(日本の大学卒)にあまり影響がないとは思うけど、一部のイギリスやオーストラリアのトップ校は、特定の国(例えば中国とか)のあるランク以上の大学でないと出願できないという決まりがある。
にゃんこ先生、返信ありがとうございます。
実は私は放送大学の学生です。一部サイトで放送大学の学位は海外大学院に「一般的には」認められないという話をみました。
そうなのでしょうか?
学士の学位を持っているなら、通常は問題ないよ(せめてアメリカやオーストラリア、ニュージーランドあたりは問題ない)。
「認められないかも」だから諦めるのではなく、まず自分の目標(なんのためにどの分野で留学したい)を決めて、志望校を絞ってみよう。
そして、英語試験やGREとかを極力高いスコアを出して自分の英語力と学力を証明する。
それらの実績を持って志望校のアドミッションに問い合わせてね!