交換派遣の留学選考で行われる面接試験。
どんなことを聞かれるのか、ドキドキしますよね!
この記事では、これから面接試験に挑むみなさんが抱くであろう『?』に沿って、対策方法と実際に試験を受ける時に頭にいれておきたいコツをお伝えします!
この記事の著者:のん
都内の大学4年法学部に在学中。学内の派遣留学選考に合格し、今年8月から米国マサチューセッツ州にアート留学中。自分自身の経験や考えが、1人でも多くの人の一歩を踏み出すきっかけになればと思い執筆に挑戦中!
交換留学の面接試験とは?
交換留学の学内選考では、一次審査で書類審査・二次審査で面接審査が行われることが一般的です。
多くの大学の選考では、書類と面接等の審査を通して「その人が大学を代表する交換留学生としてふさわしい人物か」を総合的に評価します。
したがって、一次審査で落ちたから二次審査の面接試験を受ける資格がない、というようにはならないでしょう。
このように交換留学の選考を受ける過程で「面接試験」は必ず通る道なのです!
目的とは?
「その人が大学を代表する交換留学生としてふさわしい人物か」を測ることです。
この目的は書類審査を含めて全ての選考過程に共通して当てはまることですが、面接試験は直接自分の言葉で考えや思いを伝える場であるため、審査員からみた私たちの「イメージ」を左右する重要な要素になります。
所要時間は?
10分~30分程度と、大学によって様々です。
筆者の大学では約20分間、面接官3人と筆者1人で面接が行われました。
限られた時間の中で自分の思いを端的かつ明確に伝えなければなりません。
ここに対策の意義があります!
形式は?
形式について、使用言語と実施方法の2つをお伝えします。
使用言語
日本語のみ あるいは 日本語と英語(または派遣先の国の言語)で行われる場合があります。
筆者の場合、英語圏への留学ですので「日本語+英語」で行われました。各言語で聞かれる時間比率は5:5くらいでした。
聞かれる内容について詳しくは後述しますが、英語だからといって必ずしも答えやすく簡単な質問が聞かれるわけではないようです。
問われる言語に関わらず、自分の意志を伝わるように伝える対策をする必要があります。
実施方法
これも大学によって異なります。
筆者の大学では、コロナウイルスの蔓延もあったためオンラインで行われました。同時期に他大学の友人が受けた面接試験は「対面」で「5人の学生(集団面接)」が一緒に面接試験を受けたそうです。
筆者は集団面接を実際に体験していないので詳しくはお伝え出来ませんが、
自分だけではない場面では、他の学生の話を「聴く姿勢/反応」も評価基準に入ってくるのではないでしょうか。
どんなことが聞かれるの?5つの質問(解説+質問集)
さて面接試験では実際にどんなことが聞かれるのでしょうか。
ここでは「これだけは完璧に準備しておいてほしい!5つの質問」を紹介します。
どうして留学したいのか(志望動機)
これは必ず聞かれると思っておいて間違いありません。
紙面の志望動機書で記載した内容を何度も確認して、要約できるようにしておきましょう。
- 「語学力を伸ばしたいから」
- 「外国人の友人が欲しいから」
- 「海外に行きたいから」
という理由で留学を志す人もいるかもしれません。
このような志望動機は、
- 「日本でもできることじゃないの?」
- 「留学じゃなくてもできるのでは?」
といった質問が必ず飛んできます。
どうして語学力を伸ばしたいのか、日本で学ぶこととは何がどう違うのか、どうして海外に行きたいのか、
など表面上だけでなく深いところまで自分の気持ちに『なぜ?』を問いかけてみましょう。
ご参考までに、アート留学を直前に控える筆者の「なぜ」留学したいのかを少しご紹介します。
- 「アート留学したいのはなぜ?」
「院進学に必要なポートフォリオ(作品集)等を創れるだけの技術や知識が必要だから」
- 「アメリカで院進学したいのはなぜ?」
「日本で芸術をもっと身近にする夢があり、専門性や芸術が生活に根差すアメリカの環境で芸術家や人々の考え方や社会の在り方を吸収したいから」
- 「就職してからではなく大学生である今、留学するのはなぜ?」
「自分の性格上、何事も中途半端な形には終わらせられない+割と何でもやりがいを見出して楽しみながらできる。だからこそ、就職してからその時にやっている仕事を辞めてまでアート留学を選択するか不確か(+職場の雰囲気もある)。
それなら夢も持っている今、そのためにアートを勉強したいと強く思っている自分の気持ちを叶えるために行動するべきだと考えるから。」
「なぜ」が基盤になる志望動機書の書き方について、
こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ覗いてみてください!
どうしてその国・その大学なのか
交換留学先には、例えば英語圏ならアメリカ・イギリス・オーストラリアなど複数の選択肢がありますよね。
そこで面接官が知りたいのは、あなたの留学先が「なぜその国でなければならないのか」でしょう。
多様性を肌で感じたいからアメリカ!といっても、なぜイギリスや他の国ではだめなのか、
このようなことも含めて回答を考えておく必要があるでしょう。
派遣先大学にみなさんはどのようなこだわりを持っていますか?
全ての大学にその大学にしかない特徴があると思います。「選択した大学と自分の関係性」の伝え方は人によって様々ありますが、
ご参考までに、筆者は時間軸(過去・現在・未来)に沿ってを試験官にお伝えしましたよ!
アメリカにアート留学をする筆者の理由について、簡単に紹介します。
- なぜアメリカなのか
「アメリカは個性の「自由」を尊重し、芸術の教育に関してもそうであるため、私自身を表現したい筆者にはその環境が必要だと思ったから。(+大学から奨学金を貰える経済的な面)」
- なぜその大学なのか
「留学生の少なさ・少人数授業・文化の街ボストン近郊の条件が揃うから。語学力や自立心を伸ばすに現地生とできるだけ多く関わりたく、アートという全く新しい分野を学ぶ上で教授やクラスメイトと対話できる環境は安心材料。美的感覚を磨くには実際に評価されている作品に触れるべきだから。」
具体的にどんなことを勉強する予定なのか(留学中計画)
どのような内容を学ぶ授業を履修したいのか、その内容を学ぶことで何を得たいのか、まで考えておくと留学中の計画を尋ねられた時に安心です。
派遣先のホームページ等で前年度のシラバスが掲載されていると思いますので、それを参考に計画立ててみると良いでしょう。
アイビーリーグのような有名大学であれば、特定の教授の授業を受けたい!という方もいますよね。
その場合は可能であればその教授に連絡を取ってみて自分の興味関心を伝えてみるのも良いと思います。
こうすることで授業内容について詳しく教えてもらえたり、自分が学びたいことを分析することができます。
また、交換留学はあくまで「勉強」が目的です。
ボランティアやバックパッカーなどの計画は話しても良いとは思いますが、回答内容を勉強以外のことだけにすることはやめておいた方が良いでしょう。
例として、筆者の留学中計画をご紹介します。
大まかに、前期は実技(drawing/painting/printmaking等)と理論(美術史等)を広く履修し、後期は前期を踏まえて履修する教科の幅を狭める予定です。
学外活動では、アートクラブに所属して毎週美術館で作品に触れます。
アート初心者であるため、派遣先の教授に連絡を取り、院進学を考えていることを伝えた上で相談しながら一緒に履修を組んでもらいました。
欧米は特に、学生側が動けば手厚いサポートをしてくれる環境なので留学前から積極的に行動してみると計画が充実するのではないでしょうか!
留学の経験を留学後・将来にどう活かすのか(留学後計画)
「留学で得たものを留学後にどのように活かすのか」についてまで考えていることも重要になってきます。
留学を通して得たものをそのままにしておいてしまうことはもったいないですよね。
3「留学中計画」とセットで考えていきます。
大学院に進学予定の方なら研究内容に関わるかもしれませんし、就職を考えている方なら業界や、そうでなくても留学先で培う日本を見る新たな視点など、人それぞれの活かし方がありますね!
筆者の例で言うと、留学後の計画では院進学のためのポートフォリオ等の書類と奨学金制度への応募準備が主な計画です。
帰国後自分で準備を進めていけるように、留学中から派遣先大学の教授と密に連絡をとり関係を築いておく必要があります。
留学中の経験をどう活かすのかについては、授業を通して吸収したことをポートフォリオ等で発揮します。また、芸術が日常に身近なアメリカの環境で生活することから、日本では現状を変えるために何が必要なのかを考えていくための材料になると考えています。
留学前の今何をやっているのか(留学前計画)
これを読んでいる方はまだ留学に行くことが決まっていないかもしれません。
行くことが決まったわけじゃないのに留学前になにすれば良いの~と思いますよね。
しかし、今そう思った方は留学に行く目的がまだしっかりとは定まっていないのかもしれません。
留学に行くことは「目的」ではなく、あくまで目的を達成するための「手段」です。だからこそ面接官も留学に行くことがまだ決定していない学生にこの質問をするのではないでしょうか。
語学力の底上げだけでなく、例えばサステイナビリティをテーマに留学に行く方なら留学に行く前に日本の現状と問題点を理解しておくことも留学前計画といえるでしょう!
筆者が留学前にやっていることは以下の通りです。
まず、TOEFLの勉強です。院出願の際に必要という事もありますが、TOEFLを勉強しておくとアカデミックな単語を身につけられたり日頃から耳を英語に慣れさせることも出来ます。
また、デッサンの練習もしています。留学は1年間しかないため少しでも感覚を身に着けておきたくて始めました。
就活をしている友人と積極的に会話をすることも心がけています。筆者自身の知見も拡がりますし、人と話しすことで自分の計画や目標を整理をすることができます。
面接試験対策の質問集
前項では対策必須5選を紹介しました。
ここでは、それ以外にされるかもしれない質問をまとめましたのでぜひ参考にしてみてください!
- なぜ留学に行きたいの?
- なぜ「派遣(交換)」留学を選んだの?
- なぜその国なの?
- なぜその大学なの?
- 留学中は具体的に何を勉強する予定?
- 留学に向けて今やっていることは?
- 今回の留学を留学後にどう活かしていく?
- 留学後の計画は?(就職/進学など)
- 今までの海外経験はある?
- 留学で不安なことは何?
- 人種差別されたらどう対応する?
- 日本のどんな点を留学先で発信していきたい?
- 留学で楽しみなことは?
これらの質問の回答を考える際に、「なぜ?」を問い続けてみてください。
例えば「なぜその大学なの?」という質問では、
「国際政治学で有名な大学だから」
→「なぜその分野で有名な大学で学ぶ必要があるの?」
→「具体的にどの点が他の大学の国際政治学の授業とは異なるの?」
…など回答を詰めていくと漏れなく自分の考えを整理できると思います!
面接対策のコツ ~日本語編~
練習方法(英語も共通)
ここからは、具体的な対策方法を紹介します。大きく分けて3つのステップがあると思います。
《ステップ1》自己分析の繰り返し
このステップでは、「なぜ」を問いかけて自分が留学する目的をはっきりさせます。
ここで回答内容をどれだけ詰められるかが、この後のステップに進む土台となると思います!
面接試験対策をする頃は、志望動機書などの書類を提出した後の方もいるでしょう。その場合は、志望動機書に書いたことを基に更に「なぜ」を深堀していきます。
この時に頭の中で思うだけでなく、箇条書きでも良いので紙に書き出してみて『言語化』することを意識してみてください!
《ステップ2》声に出す
回答内容を考えた後、次に行うのが「声に出してみる」ことです。
言いたいことは理解していたとしてもそれを声に出してみると、言語化の部分で不自然な箇所が見つかったり、あまりにも長い回答になっていた、といったことに新たな意識が向きます。
筆者は1人で練習する時に鏡に向かって言っていました。
その時に意識したのが「結論をまず初めに伝えること」です。
なぜ?と問われたら「~だからです」を一番に答えます。
Yes or Noを問われたらまず「そう思う/思わない」です。
そのあとに、理由や説明を加えましょう。
集団面接であればなおさら、短く端的に伝えることを意識すると、面接官からの評価も高くなると思います!
面接試験ではもちろん紙に書いてあることを読むわけではありません。
「覚えたことを言う」という前提で練習を進めていくと、本番で緊張して頭が真っ白になってしまった!!!なんていうこともあるかもしれません。
この状況になることも考えた上で、回答内容を一語一句覚えるのではなく「伝えたいことは何か」を頭に刻みこむことを意識して繰り返し練習していくと良いと思います。
《ステップ3》誰かに聴いてもらう
1人で練習していた時は上手く話せたのに、誰かを前にしたら言いたいことが出てこなくて上手く伝えられなかった!ということもあるでしょう。
また、自分ではまとまっていると思っていた回答内容でも、論理的に飛躍してしまっている場合もあります。
誰かに聞いてもらうと、このような点に気づかせてもらうことができます。誰に聴いてもらうかについて、学校の先生や親、友人など誰でも良いと思います。
しかし、自分のことを「よく知っている人」と「そうでない人」の両方に聴いてもらう機会をもてるとなお良い思います。
交換留学選考に応募する前から自分の思いや経緯を知っている友人に面接練習をしてもらった場合、比較的お願いしやすいですよね。
しかしその反面、自分のことを知り過ぎている場合は回答内容の言葉足らずなどに気づかない可能性があります。
自分のことをあまり知らない人(例えば授業を履修している教授など)に練習相手をお願いすると、論理性や言葉遣い、回答を聴いた時に受ける印象など、実際に面接官が感じるであろう評価に近い視点からフィードバックを受けることが出来るのではないでしょうか。
筆者は、仲の良い友人と家族、そして留学したいと思っていることも知らない友人に練習相手になってもらいました。
頼む人が多ければ多いほど貰えるフィードバックも多くなるので積極的にお願いすると良いと思います!
面接対策のコツ ~英語編~
どうして英語で聞かれるの?(意図)
面接試験では英語(留学先の言語)で質問される場合もあります。そもそもなぜ面接官は英語で質問するのだと思いますか?
英語で最低限のコミュニケーションを取ることができるか
を見ているのだと筆者は思います。
交換留学制度に応募するという事は、ある程度の語学力がある方でしょう。したがって、「最低限」コミュニケーションをとれて当たり前だと考えられます。
難しく考えてしまう方もいるかもしれませんが、「この学生は今の回答で三単現のsが抜けていたから不合格!」とはならないと思いますので、文法などが完璧でなくとも自分の考えを英語で伝えることができれば十分でしょう。
面接試験で求められる英語によるコミュニケーション能力は、練習すれば誰でもできるということです。
せっかくTOEFLやILETSの条件を突破してきたのに「英語を話せないから無理!」と面接試験を諦めるのはもったいないです。とにかく練習です!
筆者は、紙に伝えたい用件だけ箇条書きでメモして、回答を英語で話す練習を繰り返ししました。
本番はきっと緊張して覚えたことが出てこないだろうと思っていたため、一言一句覚えるのではなくその場で文章を考えて話す意識です。
英語ができる友人に面接官役をお願いして回答に違和感があれば指摘してもらっていましたよ!
使える英語表現
面接官》 | 回答者》 |
あなたについて教えてください |
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なぜ○○? |
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留学計画を教えてください |
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もし…したら? |
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その他 |
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合格するための心構え
面接試験は、面接官に直接自分をアピールできる唯一のチャンスです。自分の思いや考えを伝える際に、回答内容の他にも重要なポイントがいくつかあります。
最後にそれらのポイントをお伝えします!
アイコンタクト
誰かとお話をする時、自分の目線を意識していますか?
面接の場面など、緊張すると上や下を向いてしまったりきょろきょろしてしまう方もいるでしょう。あまりよろしくない印象を与えてしまうかもしれません。
どんなに回答内容が論理的でわかりやすいものであったとしても、適切なアイコンタクトが出来ているかいないかでは印象が全く異なります。
面接試験では、面接官の目のあたり(眉間や鼻でも良いと思います)を見ることを心がけましょう。
話すスピード
緊張すると私たちは速く話してしまいがちですよね。
そうなってしまうことを前提に、練習ではゆっくりと間を意識しながら一言ずつ丁寧に発言することを意識してみると本番でも上手くいくと思います。
普段から無意識に早口で話す人もいますので、前述したステップ3の練習方法の中で、自分の話すスピードに対してフィードバックを求めてみると良いでしょう。
聴く姿勢
学生は、発言する内容や発言中の態度だけでなく面接時間中はずっと評価されていると思いましょう。
面接官からの質問を聴く際は、頷きながら聴くなど「聴いている」姿勢を態度で示せると良いと思います。
グループ面接の場合は、聴く姿勢がとても重要です。
自分ではない誰かが回答している時、だらっとしていたり集中していない顔をしているのではなく、姿勢を保ち頷くなどして反応を示すと好印象だと思います。
自信
「自信」が一番大事だと筆者は思います!言葉の明瞭さや姿勢などで伝えたいことに自信を込めます。この姿勢は必ず面接官に伝わります。
回答を考えていると、「これで良いのかな?」と不安になることがあるかもしれません。しかし、答えは人ぞれぞれで正解はないと思います。自分の回答に自信を持って、それを論理的に伝えることが大事です!
面接試験は自分をアピールする最大のチャンスです。万全の対策をして自信をもって当日を迎えてください。みなさんが面接試験の手ごたえに満足できるように心から応援しています!