こんにちはSIM(シム)です。私は日本の大学に在学中にオーストラリアへ交換留学へいき、現地で一年ほど生活をしました。
日本で当たり前のように生活していては気付けなかったような経験をし、私自身の人生を変える大きなターニングポイントとなりました。
そのような大きな体験をより多くの人にしてほしいと思い、今回は交換留学について徹底解説したいと思います。
交換留学の条件やかかる費用、メリット・デメリット、奨学金など、交換留学の全貌について解説するとともに、選考フローや英語の試験対策など、交換留学の実現に向けた具体的なアドバイスもまとめていますので、交換留学を考えている方の道しるべになれば幸いです。
なお、今回は4年制大学に通う学生が英語圏に留学することを想定しています。それでは早速みていきましょう。
著者について:SIM(シム)
過去に二度の長期留学(オーストラリア・イギリス)をしました。留学前にTOEIC 900、IELTS 7.0取得。趣味は旅で去年はヨーロッパ周遊をし、今年はアジアを中心に回るのが目標です。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
目次
学生ならやらないと損?交換留学の特徴や条件
交換留学とは?
まずはじめに交換留学(派遣留学とも言う)とは何かを説明したいと思います。
語学留学とは異なり、現地の大学生と一緒に授業を受けることになりますので、語学力が一定以上あることが前提となります。
つまり、「英語を勉強をする」のではなく「英語で勉強する」ことが語学留学との大きな差となります。
自分が専攻している分野を英語で学ぶという人もいれば、現地でしか受講できないクラスを受講する場合もあります。
交換留学は現地で取得した単位を日本の大学の単位と交換することができますが、あまりにも専攻と関係のない分野の単位を取得すると交換できない場合がありますので、基本的には自身の専攻に何らかの関係がある科目を受講することになります。
期間に関しては主に1年間(2~3セメスター)在籍することが通常です。
長期休みの前に帰国することもありますので、実際の留学期間は10〜11ヶ月となります。
また、希望すれば2年まで在籍することができる場合もありますが、その場合2年目の単位は交換できないなど条件がつきます。
交換留学で必要な費用
費用に関しては、おおよそですが合計250~300万円ほどかかります。以下が概要です。
- 準備費用(VISA・渡航費・ワクチン接種など)・・・30万円
- 学費(私立大学)・・・100万~150万
- 生活費(家賃・食費など)・・・100万
ヨーロッパや米国などへの渡航は航空券だけで10~15万円します。その他必要に応じてVISAやパスポートの発行などが必要です。
学費はどちらの大学に収めるのかによって変わってきますが、原則は日本の在籍している大学に支払い、留学先では免除されることが一般的です。
また、生活費に関しても、物価の安い国であっても現地で新しく生活を始めるので日本で生活をするより少し多くかかってしまいます。
とは言え、一見大きな費用にも思えますが、もし日本で一人暮らしをしている学生の普段の出費と比較すればそこまで大きな金額ではありません。計画的に貯蓄をしていけば十分に実現可能です。
何が必要なの?交換留学の資格・条件
交換留学生は大学の代表として留学に行くことになりますので、それなりの条件があります。
学校によって条件は異なりますので、個別で確認していただく必要がありますが、一般的には以下のような条件が必要になります。
- 修得単位数が満たされている
- 評定平均値(GPA)が一定以上である
- 英語力が一定以上である
①修得単位数が満たされている
まずはじめに交換留学をするまでに日本の大学で一定以上の単位を履修する必要があります。
大学と留学時期にもよりますが、参考までに私が通っていた大学では、2年生終了の時点で48単位以上、3年生終了の時点で80単位以上取得する必要があります。
またその中には必修科目が指定されている場合もありますので、単位は計画的に取得しましょう。
②評定平均値(GPA)が一定以上である
次にGPAと呼ばれ欧米を中心に使われている数値も一定上でなくてはいけません。GPAとはこれまで取得した単位の評価を数値化し、平均をとったものです。
数値の計算の仕方も教育機関によって少し異なりますが以下の計算方法が一般的です。
-AA/S(90-100)・・・4point
-A(80-89)・・・3point
-B(70-79)・・・2point
-C(60-69)・・・1point
-D/F(59以下)・・・0point
GPA= (AAの単位数×4+Aの単位数×3+Bの単位数×2+Cの単位数×1)/総登録単位数(累計)
計算の例
AA・・・20単位
A・・・15単位
B・・・10単位
C・・・5単位
計・・・50単位
(20×4+15×3+10×2+5×1)÷50= GPA3.0
となります。参考までに、私が通っていた大学では出願時点で2.3以上必要でした。
このように、GPAは通常平均よりやや上に設定されていますので、普段から努力をしている人でしたら特に高い難易度ではありません。
しかし、GPAはこれまでの成績が反映される数値ですので、ちゃんと勉強しなかった人が突然交換留学がしたいと考えても、急にあげることができない数値です。
また、受け入れ先の大学によっては個別でGPAの基準を設けておりますので、そちらの確認も必要です。
例えば、マンチェスター大学などの有名大学ではGPA3.0以上が条件となります。
③英語力が一定以上である
留学を目指す人の1番の難関はこの英語力ではないでしょうか。
一般的にTOEFLやIELTSと呼ばれる英語試験があり、留学先に合わせてどちらかを取得する必要があります。主に北米ではTOEFLを、イギリス圏ではIELTSを受けるものと考えてもらって構いません。
どちらとも非常に難易度の高い試験で1回で満足のいくスコアを取れる人はなかなかいません。
少なくともTOEFLでは120点満点中61点以上、IELTSでは9点満点中6.0以上のスコアを取得しなければならなく、各科目にも最低ラインが設けられている場合もありますので、総合的に英語力が高い必要があります。
認定留学・私費留学との違い
交換留学とは別に、認定留学や私費留学という留学の仕方もあります。交換留学を深く理解するためにこれらの留学についても少し見てみましょう。
認定留学、私費留学とは自身で留学先を見つけてする留学となり、こちらも通常一年間の留学となります。
交換留学は大学が提携した海外の大学との間の交流でしたが、認定留学や私費留学はその限りではありません。これらの留学には、
- どの国のどの大学に行っても良い
- どの授業を受けてもいい
- 学費は留学先に払う
といった特徴が挙げられます。簡単にいうと、個人でやりたいことを勉強しに行く留学と言えます。
大学の数だけ選択肢が広がるのが魅力的です。
アメリカのアートを勉強したい、オーストラリアの植物学を勉強したい、オーストリアで音楽の研究をしたいなど、学びたいことが明確な場合は非常にオススメしたい留学の仕方です。
また、交換留学のような提携した大学周辺は概して治安が良い場合が多いですが、一方認定留学の場合は必ずしも安全な地域とは限りません。治安は絶対に調べましょう。
交換留学5つのメリット
次に交換留学のメリットをみていきましょう。
若いうちに多様性溢れた環境に入れる
交換留学は在学中に行くことになりますので、比較的若いうちに留学を経験することができます。
私も20歳の時にオーストラリアへ留学に行きましたが、そのオーストラリアへの留学が決め手となり、その後イギリスの大学院に進学することを決めました。
このように留学を早く経験するとその後の人生も大きく変わってきますので、もし留学を狙っているのであれば早めにできる交換留学がお勧めです。
単位参入ができる
交換留学は受け入れ先で取得した単位を帰国後に交換することが想定されていますので、十分に4年で卒業することができます。
わざわざ1年休学して留学に行く必要もありませんので、キャリアプラン的にも経済的にも得なことが多いです。
一方で認定留学、私費留学の場合は必ずしも単位が交換できるとは限りません。専攻から離れてしまうと交換ができない、あるいは休学して留学に行くことになりますので、4年で卒業することは難しくなります。
留学先の学費が不要
留学といっても正規留学とは異なり、あくまでも在籍するのは日本の大学ですので、日本の大学の学費を払えば良いという場合が多いです。
海外では年間200〜300万、ハーバードやスタンフォードなどの最難関校では年間700万円もの学費が必要となる大学もありますので、比較的学費が安い日本の大学に学費を納めればいいことはかなり大きなメリットとなります。
認定・私費留学の場合は留学先の大学に学費を支払うため、費用が多くかかることになります。
大学からのサポートが手厚い
交換留学は提携している大学間の交流になりますので、お互いに信頼があります。ですので、比較的書類も少なく、特別難しいことはなく留学に行くことができます。
また、交換留学生は大学の代表ですので、大学側のサポートも手厚いのが理由の一つとなります。例えば、学生VISAの取得が比較的容易になります。
自身でVISAを取得するとなるとややこしいことが多いですが、大学側が書類を準備してくれる上、交換留学という名目がありますのでVISAの申請が非常に楽になります。
また、寮やホームステイ先を手配してくれる場合もありますので安心です。
認定留学、私費留学の場合は所属する大学とは関係なく自分で準備をしなければならないため、大学を調べるところから、出願、寮をとるところまで全て自身でやることになります。
留学エージェントを利用してこれらの作業を代行してもらう人もいますので、交換留学の準備がいかに楽かが分かります。
大学から奨励金が貰える
私の大学では交換留学生は奨励金として30万円ほど援助をもらいました。大学によって100万円と大きな額をもらえるところもあります。
もちろんこれらはローンではありませんので、返済する必要もありません。留学にはかなりの費用がかかりますので、少しでも多くの資金調達することが鍵となります。
交換留学をするだけで多くの額をもらえるので、経済的負担が減ります。その他、大学以外の政府や民間の給付奨学金も豊富に存在します。
- 東京大学:全学交換留学
- 慶應大学:交換留学について
- 早稲田大学:中長期留学プログラム
- 東洋大学:交換留学
- 龍谷大学:交換留学とは
- 上智大学:交換留学
- 北海道大学:北大の交換留学制度
- 立命館大学:交換留学
- 明治大学:協定留学について
- 東工大:派遣交換留学
- 創価大学:交換留学
- 近畿大学:交換・派遣留学制度
- 日本大学:英語圏交換留学・韓国交換留学
- 関西大学:交換派遣留学
- 同志社大学:外国協定大学派遣留学生制度
- 法政大学:派遣留学制度(協定校留学)
- 立教大学:大学間協定に基づく派遣留学制度について
- 琉球大学:短期交換留学(派遣)制度
- 一橋大学:一橋大学海外派遣留学制度
- 南山大学:交換留学に必要な条件
- 神奈川大学:派遣交換留学
- 駒澤大学:交換留学
- 獨協大学:交換留学
- 芝浦工業大学:交換留学
- 学習院大学:協定留学プログラム
- 梨花女子大学:派遣留学制度(協定校留学)
- 西南学院大学:海外派遣留学制度
交換留学5つのデメリット
交換留学はメリットばかりではありません。メリットの裏返しとしてデメリットもあります。少しでも心の準備ができるように確認しておきましょう。
成績や英語能力のハードルが高い
先にも述べたように、留学の時点である程度の単位、TOEFLやIELTSの英語スコア、GPAが必要になります。普段から多くの単位を履修し、さらにはGPAを上げるために成績が良くなくてはなりません。
また、英語力スコアの取得も早くて3ヶ月から半年は必要になります。留学への気持ちが強ければ乗り越えられる課題ですが、それでも常に努力が必要です。
ひとつでも条件を満たさないと交換留学は道は絶たれてしまうので、遅く留学を決めた人は認定留学・私費留学を目指す傾向にあります。
しかし上で挙げたようなメリットがありますので、まずは交換留学を目指すことをお勧めします。
競争率が高い
交換留学を諦めるもう一つの理由としてその競争率が挙げられます。学校の規模にもよりますが、合格者は一校につき1〜3人ほどと非常に少ないです。
とくにTOEFLスコアやIELTSスコアが低くても構わないような学校には応募者が殺到します。
他者と差別化するためにもなるべく高い英語力をもって選択肢を広げられるようにしましょう。
留学先の選択肢が限られている
交換留学は提携された大学間の交流になりますので、あらかじめ行く大学が決まっています。その意味においては、通常のアメリカ留学やイギリス留学と比べると非常に選択肢が狭まってしまいます。
また、単位を交換することも前提になりますので、勉強できる科目も狭まってきてしまいます。
もしやりたいことが明確で、そこでしか学ぶことができないようであれば、認定留学・私費留学をお勧めします。
一方で、異文化コミュニケーション、英語力向上、海外を堪能すると言ったような目的であれば交換留学の選択肢の範囲内で十分に達成できます。
留年の可能性もある
もし教職課程をとり将来教師になりたいと希望する人はカリキュラムが非常にタイトになりがちです。
ある特定の時期にしか受講できない科目や、実際に学校で教えることもカリキュラムの中に含まれているので、留学時期とタイミングが合わなければ、留年する可能性があります。
個人的には留学は非常に刺激的ですし、留学経験のある先生は説得力があると思いますので、留年をしてでも留学に挑戦した方が良いと思います。
行く時期によっては就活とかぶる
多くの場合、留学時に3年次または4年次であることが求められます。そのため学生の多くの人が悩むのが「就活」です。
留学中は学業で忙しくなりますし、留学するの時期によっては日本国内の就活期間とかぶってしまうため、出遅れを不安に感じる学生も多いです。
しかし、交換留学をしても就活は可能です。留学前に企業・業界研究や自己分析等に取り組む、留学中も筆記試験対策を行うなど、できることを計画的に進めましょう。最近ではオンラインの就活イベントや面接なども増えてきています。
海外留学生を対象とした就活イベントもあります。アメリカのボストンで毎年11月に行われている「ボストンキャリアフォーラム」には、海外留学生を積極的に採用したい企業が集まり、企業説明会や選考が行われます。3日間という短期間で企業から内定を貰う学生も多くいるようです。
就職を考えていたが留学中に大学院を目指すことに心変わりした!という話も少なくありません。
就活ももちろん大事ですが、留学中だからこそ経験できることに真っすぐと向き合う毎日にしたいですね。
費用を心配しないで!申請できる給付奨学金
次に奨学金についてお話ししたいと思います。
最近増えてきましたが、直接海外の大学に在籍しない交換留学生でも奨学金をもらう(給付型・貸与型)ことができます。
有名な返済不要の奨学金をいくつか挙げてみましたので、時期や応募条件などを確認しましょう。
トビタテ奨学金
- URL:https://tobitate.mext.go.jp/univ/program/
- 対象:高校生、大学生、短大生、専門学生
- 支援額:月額12〜16万円、渡航支援金15/25万円
日本学生支援機構(JASSO)
- URL:https://www.jasso.go.jp/index.html
- 対象:大学生、短大生、専門学生
- 支援額:月額6〜10万円、渡航支援金16万円
松下幸之助国際スカラシップ
- URL:http://matsushita-konosuke-zaidan.or.jp/works/jpn/promotion_jpn_01.html
- 対象:日本の大学に学部生として在籍する者
- 支援額:月額16万円、渡航費1往復分相当の補助
公益財団法人 業務スーパージャパンドリーム財団 海外留学支援
- URL:https://www.kobebussan.or.jp/overseas.php
- 対象:6ヶ月又は 1 学期以上の大学間又は部局間協定に基づく語学研修を含まない留学プログラム
- 支援額:月額15万円
イノアック国際教育振興財団奨学給付金
- URL:http://www.ic.keio.ac.jp/keio_student/scholarship/guideline2017.pdf
- 対象:大学・大学院に在学もしくは在籍中の日本人学生で外国に留学しようとする者
- 支援額:月額10万円
その他の奨学金
以上に挙げた奨学金のみならず、自身が所属する市や県でも奨学金を出している場合があります。
是非周辺の自治体について調べてみましょう。
この他にも、在籍する日本の大学独自の奨学金や、留学先の大学の奨学金もありますので、漏れなくチェックしましょう。
交換留学の選考フローは?7ステップで解説
ここでは、交換留学を実現するための具体的なステップを紹介します。
交換留学を実現するためには、まず日本の大学で校内選考に合格する必要があります。
大学ごとに選考方法は異なりますが、一例として体験談をもとにした選考フローを7ステップで紹介しますので、参考にしてみてください。
~①願書提出~
交換留学制度を使って留学する意思がある方は全員必ず提出します。内容は氏名や住所などの基本的な情報である場合が多いです。
志望動機書などの提出よりも前に出願締め切りが設定されている場合があるため、〆切日時に余裕をもって提出すると良いでしょう。
~②留学計画書提出~
志望動機書などはこの段階で提出します。
①とほぼ同時期に提出期間が設けられていることも多いため、願書を提出してひとまず安心!というわけにはいきません。
また、②の準備に最も時間がかかります。文章の推敲などの時間も考えると最優先して進めるべきでしょう。
志望動機書についてまとめたこちらの記事も参考にしてください!
~③書類審査~
大学側が①と②をもとに審査をします。
細かい審査基準や審査後の結果詳細の開示は行っていないことがほとんどです。
ここでは祈るのみ。
~④面接審査~
出願後一か月以降あたりで面接試験があります。(小論文やプレゼンテーションを課される大学もあるようです)
書類を見た面接官がより詳しく聞きたいと思うだろうことを予測しておいて、確実に答えられるように用意しておきましょう。
以下は面接対策として最低限答えられるようにしておきたい質問です。対策の参考にしてみてください。
- なぜ交換留学なのか
- なぜその国/大学なのか
- 留学までの間の計画
- 留学をどう生かすか
- 留学で不安なこと
もちろん、以下の事例のように、書類に記載した内容に沿わない想定外の質問が投げかけれることも実際にあります。「基本的な内容は文面で伝えることができた」とプラスに捉えて、落ち着いて回答しましょう。
- アジア人差別を受けた時、あなたならどう対応するか
- 1年次に成績でCを取っているがその要因は?
面接対策のコツは、面接官になりきる事です。自分が面接官だったら、何を知りたいか。その回答を聴いた後に気になることは何か。どんな学生を合格させたいか。などのこと考えて回答を考えていくと効果的な対策になると思います。
面接官に与える印象も大事です。回答の内容だけでなく、面接官の目を見てはっきりとした声で話す練習もしましょう。
~⑤合格~
面接試験から約1か月後、メールで合否が伝えられます。
~⑥派遣先大学へ出願~
日本の大学内選考に合格すると交換留学生としての留学は確実!!!と思う方は多いかもしれません。
しかし実際には派遣先大学に出願する必要があります。
ここでいう出願は、一般の受験生としてではなく、派遣先大学との協定に基づいてexchange student枠としての出願になります。
一般的に日本の大学のような筆記試験はありませんが、Personal Statement(私はこういう人物だ、という事を示す文書)や英語能力試験の証明書などの提出が求められます。
Personal Statementは志望動機書の英語版…というわけではなさそうです。自分自身を取り巻く環境とそれが自分に与えている影響など、「どんな人物なのか」がより重視されているように感じます。
記載方法や求められる内容について調べてみるとサイトによって内容はさまざまなので、決まった型が存在しているわけではないようですが、しっかりと自己分析をして個性を出すことが重要だと感じます。
何百何千もの願書を受け取る大学側からすると周りと同じようなPersonal Statementは記憶に残らないでしょう。
以下の記事も参考にしながら、自分だけのPersonal Statementを完成させてみてください。
»Personal Statementの書き方とポイント[海外大学・大学院留学に]
~⑦正式に交換留学決定~
出願後しばらくすると派遣先大学から“Congratulations!”と合格通知が送られてきます。
ここでようやく交換留学生として留学することが公式に確定したことになります。
交換留学制度で学内選考に通過した人が派遣先大学から合格を貰えないという話は聞いたことがありませんが、万全の準備は必須です。
TOEFL・IELTSを解説!交換留学に必要な英語力
第1章でも解説したとおり、交換留学に応募するには、TOEFL、IELTSなどの語学能力試験で一定の基準を満たす必要があります。
ここでは、求められる英語力や、それぞれの試験の特徴などについて解説していきます。
応募に必要な英語資格基準
前述のとおり、交換留学に応募するにあたっては、目安として、少なくともTOEFLで61点以上・IELTSでは6.0以上のスコアを取得していなければなりません。
さらに、大学によっては、4技能それぞれで点数条件を求めている場合もあるため、注意が必要です。
ここでは一例として、にゃんこ大学のTOEFL iBT語学要件80の場合を見てみましょう!
【WritingとListeningで17以上/Readingで18以上/Speakingで20以上】という細かい要件がついているとします。
この場合、ねこ君がTOEFL iBT82点を取得(=80点は満たしている)していたとしても各4技能でも得点を満たしていないと応募要件をクリアしたことにはなりません。
にゃんこ大学の語学要件 | ねこ君 |
TOEFL iBT80 (W&L17,R18,S20) | TOEFL iBT 82 |
ねこ君の4技能スコア:
①:W17,L18,R29,S18
→合計得点は満たしているが、Speakingの最低条件を満たしていない(=応募不可能
②:W18,L18,R23,S23
→合計得点と各技能の両方で要件を満たしている(=応募可能
また【TOEFL iBTまたはIELTSのどちらかの基準を満たせばよい】場合もあります。
たとえばノーマジック大学の語学要件が「TOEFL iBT72またはIELTS6.5」だとします。この場合、どちらかの条件を満たせていれば応募可能です。
TOEFLと同様に、IELTSでも各4技能に細かい要件が求められることもあります。TOEFL iBTでなかなか点数を取れなくても、IELTSで要件を満たすことができたという人も沢山いますので、諦めずに挑戦してみると良いかもしれません!
英語力のレベル感
続いて、IELTSやTOEFLの点数のレベル感について解説します。
IELTS | TOEFL | 実用英語技能検定 | TOEIC |
7.0~8.0 | 95~120 | 1級(2600-3299) | 850~990 |
5.5~6.5 | 72~94 | 1級/準1級(2300-2599) | 670~849 |
4.0~5.0 | 42~71 | 準1級/2級(1950-2299) | 410~669 |
(文部科学省「各資格・検定試験とCEFR都の対照表」を参考に筆者作成)
上の表は、IELTS・TOEFL・英検・TOEICのスコアを照らし合わせた表です。
「自分はIELTS5.5だから、、、TOEFLだとこのくらいなのか~」という感じで自分が今どのレベルにいるのか見て見ましょう!
ここではIELTSバンドスコアを参考に、各レベルの英語力の目安を解説します。
《IELTS:4.0-5.0 TOEFL:42-71 英検:準1級・2級 TOEIC:410-669》
このレベルの方は、英文法や言い回し、単語のチョイスにはまだ問題があるものの、馴染みのあるトピックであればなんとか対応できるくらいの英語力。
英語を聴いて何の話か詳細な内容はよくわからないけど、所々知っている単語や言い回しを聴き取れる経験があるな~という方はこのあたりのレベルかもしれません!
《IELTS:5.5-6.5 TOEFL:72-94 英検:1級・準1級 TOEIC:670-849》
このレベルの方は、文法や言い回しが完璧!とまではいきませんが大体の状況においても対応できるくらいの英語力。
帰国子女ではないけど英語が得意または好きだという方が多いような気がします。(正確さがまだ足りない/4技能で得意不得意が認識できる)
《IELTS:7.0-8.0 TOEFL:95-120 英検:1級 TOEIC:850-990》
このレベルの方は、不正確さや不適応さがあっても複雑な状況や分野についても不自由なく使いまわせる英語力。
海外経験のある方や日常的に英語に触れてきた方に当てはまると思います。
英語力のレベルを客観的に見つめることは、何を伸ばす必要があるのかを明確にすることでもあります。まずは「己を知る」ことから始めてみてはいかがでしょうか!
TOEFLとは?
そもそもTOEFLとは、世界基準の英語試験のものです。ETSという教育測定機関によって、英語圏の教育機関に入学する人の英語力を測ることを目的に生まれました。
より聴き馴染みのあるTOEICが主に就職や昇進のシーンで利用されるのに対して、TOEFLは海外大学/大学院に入学する際に利用されることが多いです。
そのため、試験内容もTOEICがビジネスシーンを連想させるような問題が多いのに対して、TOEFLは大学の講義で出てくるようなよりアカデミックな内容が問われます。
TOEFL(iBT) | TOEIC |
海外進学 | 就職・昇進 |
アカデミック | ビジネスシーン |
4技能(L&R&W&S) | 2技能(Li&R) |
TOEFLの中でもiBTとかITPとか何が違うの?という方へ
TOEFLには4つの種類があり、簡単にまとめると以下の通りです。
TOEFL iBT | PC受験。交換留学先の入学条件は主にこれ。L/R/W/Sの4技能。 |
TOEFL ITP | 団体向け試験。大学内のクラス分け等で実施される。 |
TOEFL CBT | PC受験。iBTの前身。Speakingの代わりに文法問題がある。現在は完全に廃止。 |
TOEFL PBT | 紙媒体。ネットの普及で現在は完全に廃止。 |
TOEFL iBTの日本人の平均点
次に【TOEFL iBTの日本人の平均点】を見てみましょう。
TOEFL iBT Test and Score Summary2021によると、日本人の平均点は74点です。
4技能の内訳は以下の通り。
- リスニング→19
- リーディング→19
- ライティング→19
- スピーキング→17
交換留学の応募要件は最低でも71点ですので、ちょうど日本人の平均点あたりとなっています。
しかし、各技能に注目してみるとそう簡単ではないかもしれません。
筆者の大学で募集しているアメリカのある大学では「4技能それぞれで19以上」の要件が示されています。そのため、平均点の人は特にスピーキング技能を向上させる必要があります。
自分のスコアと平均点、目指す大学の語学要件を照らし合わせて、戦略的にスコア取得を狙えると良いと思います!
IELTSとは?
TOEFLと同様に交換留学の語学要件として求められる場合が多いのがIELTS。IELTSも世界的に認められている英語力測定テストです。
4技能の試験があり、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、カナダとアメリカへの留学に加えて、就労や移住をする人に向けられています。
IELTSの日本人の平均点
【IELTSの日本人の平均点】を見てみましょう。
IELTS公式が発表しているTest Taker Performanceによると、Overall5.8が日本人の平均点です。
4技能の内訳は、以下の通り。
- リスニング→6.0
- リーディング→5.6
- ライティング→5.6
- スピーキング→5.8
交換留学応募の最低条件は(筆者の大学の募集要項では)6.0以上であるので、
スコアを上げなければなりません。
特にスピーキングは苦手とする人が多い技能です。先述したように比較的スコアを上げやすいと言われるIELTSですので自分にあった勉強法で対策を進められると良いでしょう!
TOEFLとIELTSどっちにする?
「TOEFLよりもIELTSの方が点が取りやすい」と一度はきいたことはあるのではないでしょうか?
もちろん、人によりますが、IELTSの方が点が取りやすいと言われる理由は主に4つあります。
- 試験を受ける環境
- 問題に出てくる単語の難易度
- 複合問題がない
- リスニング問題の形式が親切
①試験を受ける環境
試験を受ける環境は想像以上にスコアに影響します。
TOEFLの試験会場では、受験者が一斉に問題を解き始めるのではなく到着した人から順次受験していきます。
したがって、自分がリスニングをしている隣で他の受験者画スピーキングをしている…なんてことが普通にあります。
それに対してIELTSでは、全ての受験者が一斉にテストを受けるため、リスニング試験中に隣の人の声がして気が散るというようなことは起こりません(独り言を言っている人はいるかもしれませんが…)。
さらに、スピーキング試験の形式もスコアを左右するでしょう。
IELTSでは面接官と一対一で試験する形になるため、相手からの自然な反応や空気感もあり、PCのマイクに向かって一方的に回答するTOEFLに比べて話しやすいと感じる人が多いでしょう。
② 問題に出てくる単語の難易度
TOEFLではアカデミックな内容の試験問題であるため文章に出てくる単語も専門的な用語や初めて目にするような難しい単語も含まれます。
例えば、loathe(ひどく嫌う)/mutation(突然変異)/protozoa(原生動物)。筆者は見たことも聞いたこともない単語です!
問題の回答に関係なければ読み飛ばせばよいのですが、このような単語を知っているか知らないかで正誤が分かれるのがTOEFLです。
それに対してIELTSでは、そこまで難しい単語は出てこず出てきたとしても問題は解けるようになっています。イメージ的にはTOEICの単語のような感じです!
③ 複合問題がない
TOEFLでは、ライティング問題の中でリスニングとリーディング、要約も含まれているなど複合問題が出てくることが特徴です。
これはIELTSよりも難しいと思われる大きな理由なのではないでしょうか。
④ リスニング問題の形式が親切
リスニング問題でも大きな違いがあります。IELTSでは音声を聴きながら問題に目を通すことができるため、ある程度問われることを予想することができます。
他方TOEFLでは、音声を聴き終えてから始めて問いを見るので、インプットする情報量が多いのに加えてリスニング中のメモの取り方も練習する必要があるでしょう。
このように、一般的にはIELTSの方が高いスコアを取りやすい(スコアを上げやすい)と言われています。
語学要件でTOEFL/IELTSのどちらでもよい場合は、自分の得意不得意を理解してどちらを受験するかを選ぶと良いかもしれませんね!
» もう悩まない!TOEFL vs IELTSどっちを受ける?徹底比較・換算表
おすすめの学習法
交換留学を考えている方へのアドバイス
早め早めの準備を
交換留学は常に上記の通り非常に準備が大変な上競争率も高いです。特に大変なのはTOEFL、IELTSのスコアをとることでしょう。
1回で満足のいくスコアを取ることは非常に難しいですし、一回の受験料も非常に高いです。
また、希望の受験日や試験会場を取るためにはなるべく早く申し込まなければなりませんし、試験を受けてから結果が手元に届くまでにも時間がかかります。
交換留学制度の応募締め切り日までに提出できる状態の資格証明を必ず入手しておかなくてはならないので、もし交換留学を考えているのならばできるだけ早めに準備をすることをお勧めします。
また、GPAもすぐに上げることができない数値ですので、普段から準備を怠らず真面目に授業にとりかかりましょう。
奨学金に関しても早い時期に応募を締め切ってしまうところも多いで、募集要項と申請時期は留学出願前から確認しておきましょう。
留学中は非常に大変な勉強の毎日が待っていますが、留学準備が終わるころにはそれに耐えられるだけの力がつきます。
是非近い自分の将来を見据えて行動しましょう。
とにかく楽しむ
交換留学は長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれですが、その期間に日本では味わえないようなたくさんの経験をします。
辛いこともあると思いますが、とにかく楽しむことが大事です。
スーパーで物を買うことすら初めは難しいかもしれませんが、意外となんとかなってしまいます。
日々のひとつひとつが全て前進と感じられるように前向きに考えて留学を楽しみましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は交換留学について基本情報から実現に向けた具体的なステップまで、その全貌を解説させていただきました。
交換留学を目指したいけど何から始めていいのかわからない人や、留学を迷っている人がこの記事を読み前向きな決断ができれば幸いです。ありがとうございました。
わかりやすい情報をありがとうございました。
私は早稲田大学商学部に通っているのですが、留学でどの国に行くか、どの大学を選ぶかでかなり迷っています。
具体的には、できるだけレベルの高い大学に留学し刺激を受けるのか、バブソン大学のような、日本の大学では受けることのできない授業を受けに行くのか、もしくは中国に留学し中国語をマスターするのかなどです。
にゃんこ先生ならばどのような基準で留学先を選ぶのかを教えて頂きたいです。
こんにちは!将来やりたいことが明確に決まっていないのであれば、出来るだけトップスクールに行くのは良い選択になる。
また、起業など特定のやりたいことがあれば、バブソンのような尖った学校や、その分野で強い学校に行くのもありだよ。どこを選んでもアメリカは日本の教育方法とは違うので刺激を受けられるはず。
中国かアメリカかはかなり趣向が違うので、これもどんな自分になりたいのか、今後何を武器として活躍したいのかにもよるね。
個人的にはまだまだ経済的・教育水準的にもアメリカが強いので、特に希望がなければアメリカに行った方が良いとは思うけど・・。中国語のためだけに中国に留学をするのは勿体無いし言語だけなら別の方法で学べるので。