筆写法|書き写すだけ!?英語ライティング力アップの勉強法

筆写法

ねこ君
あー、英語のライティングってどう勉強したら良いの?独学だとなかなか上達しないよね・・

ねこ君
そもそも英語を書くのって苦手だし、例文とか見ても中々書けるようにならなよ。。
にゃんこ先生
筆写法」って知ってる?例文を書き写すことで、正しい英文の書き方を学ぶ方法だよ。
にゃんこ先生
ジェネラルな英語ライティングに効くだけでなく、TOEFLやIELTS等の試験対策としても有効!

 

今回私がお教えしたい勉強法は「筆写法」と呼ばれるライティングの方法で、IELTSのスコアを3か月ほどで6から7に上げることができました。

前半部分では筆写法の効果とやり方を紹介し、後半部分では具体的なIELTS対策の方法をご紹介したいと思います。

IELTS対策のみならず英語のライティングのスキルそのものを伸ばす方法となりますので、是非参考にしていただけたらと思います。

 

著者について:SIM(シム)

過去に二度の長期留学(オーストラリア・イギリス)をしました。留学前にTOEIC 900、IELTS 7.0取得。趣味は旅で去年はヨーロッパ周遊をし、今年はアジアを中心に回るのが目標です。

筆写法とは?書き写すだけで英語ライティングアップ!

筆写法とは

人間の脳は面白いことに未就学児のような小さい年齢の時は直感的・感覚的に言語を学んでいきます。

一方で大人になると「日本語を通して英語を学ぶ」といったように、自身の母国語を通して外国語を見てしまうため、直感的に学ぶことができなくなってしまいます。

しかし言語習得において子供も大人も共通する部分もあります。それは「模倣」をするということです。

 

子供は身の回りの大人を直感的・感覚的に模倣するのに対して、大人は論理的に英語を模倣することにって習得していきます。

ですので、我々大人にとって英語学習において最適な方法はやはり正しく模倣することになります。

そこで私がお勧めしたいのは「筆写法」とよばれるライティングの勉強法です。

方法は簡単でその名の通り、正しい英語をそのまま書き写していくだけです。これだけでライティングが劇的に向上します。

 

ここでのポイントは実際に手を動かして書いていくことです。

英語を読むと早く読むことができますが、英語の一文の中にどのような文法的な働きがあるかまでは気にすることができません。また、読むことをインプットと例えると、書くことはアウトプットすることに近いといえます。

 

つまりインプットをするだけでは知識は増えますが、実戦というアウトプットをしなければいつまでたっても書くことはできません。

書き写し法によって「あえて」ゆっくりと一文一文を文法的に理解できるまで分解しそして書き写していくことによってどんどんアウトプットをしていきます。

 

筆写法の効果

ライティングの英文ストックを増強

日本の英語教育ではインプットに重きが置かれているのでアウトプットする量が絶対的に少ないと感じます。

短い英作文をすることはこれまでやってきましたが、長文を作ったり小論文を書いたりといった作業はこれまであまりやってきませんでした。

 

筆写法ではこのアウトプットの量を補うためにひたすら英語を模倣して書いていきます。すると不思議なことに今まで長く難解だったと思われる文章もそうと思わなくなってきます。

一文一文の本質的な部分(主語や動詞)と補足的な部分の見分けがつくようになっていき、更に慣れてくると使える英文を頭の中にストックすることができるようになります。

このストックを自在に組み合わせることによってライティング力が飛躍的に向上します。

 

正しい文法力をつける

筆写法の1番のメリットは「正解」を模倣することにあります。

我々日本人にとって難しいa/theや前置詞at/in/onなどの違いなどもそのまままるまる書き写して覚えてしまえば今後迷うこともなくなります

自分が書いた英語が正しいのかどうか先生やネイティブの人に確認してもらう必要はありません。初めから正しい英語を書き写していくからです。

 

以下に筆写法の具体的な手順と書き方を挙げましたので見ていきましょう。

 

筆写法のやり方・勉強法

模範解答を用意する

筆写法 やり方1

筆写法をする上で非常に重要となってくるものは模範解答の準備です。自分がどの程度の英語を書きたいのかによって用意する模範解答が異なってきます。

つまり、筆写法における参考書は無限にあり、それは自身の目標やレベルによって自由に設定できます。

とはいえ何を選べばいいのかわからないと思いますので、以下の4点を満たす英文を選んでみましょう。

  1. 自分の目的に合っている
  2. 正しい英文で書かれている
  3. 自分のレベルより少し難しい
  4. モチベーションを維持できる

自分の目的に合っている

まず1点目ですが、自分の目的に合った英語を準備するといいでしょう。例えば留学をするためにIELTSやTOEFLを受験する人はそれらの参考書の模範解答を準備します。

目標が日常的に使うカジュアルな表現をかけるようにしたいとするならば、参考書のようなかっちりした表現を扱うソースを用意する必要はありません。

 

正しい英文で書かれている

次に2点目ですが、正しい英語で書かれている必要があります。

例えば、自動翻訳機能で作られた英語や第一言語を英語としない人の英語は、筆写法においてはできるだけ参考にしない方がよろしいかと思われます。

できるだけ校閲を経たもの、あるいはネイティブが話したり描いたりしているソースを選びましょう。

 

自分のレベルより少し難しい

3点目も非常に重要です。あまりに簡単すぎる英語は書き写していてもあまり身につきません。

というのも簡単な表現などはすでに自身のストックの中に入っており、新しく学ぶことが少ないからです。

スピーキングのシャドーイングではアウトプットのスピードが速いので実力より少し簡単なものを用意すると良いですが、筆写法はアウトプットのスピードが遅いので少し難しいくらいでも問題ありません。

反対に難しすぎる英語も学びが少なくなってしまうので、やめておきましょう。

 

モチベーションを維持できる

最後にモチベーションを維持できるものを選びましょう。

英語力向上だけに目を向けているとつまらない素材ばっかりを選んでしまいがちですが、継続が一番大切です。

自分がやってて楽しい(少なくともつまらないと感じない)素材を選びましょう。特別な目的がなければ、好きな小説、映画、YouTubeなど自由に好きなものを選びましょう。

 

にゃんこ先生
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一文をとにかく分解

筆写法 やり方2

では模範解答を選んだところで実際にやってみましょう。やり方は簡単で、模範解答をひたすら書き写していきます。

注意点はただ書き写すこと自体が目的なのではなく、文の要素に注目しながら丁寧に模写をするということです。例えば、下記のような文章があったとします。

The graph shows that the proportion of mobile phone owners who took photos on their phones rose by 25%, from 51% to 76% from 2018 to 2020.

(このグラフは、携帯電話で写真を撮る人の割合は2018年から2020年の間で51%から76%へ25%上がったことを示している。)

 

一見みると長い文章で、これを模写していくわけですが、これをわかりやすく意味単位で切ってい考えるようにします。

  1. The graph(何が)
  2. shows (どうした)
  3. that the proportion of mobile phone owners(何が)
  4. who took photos on their phones(どんな人が)
  5. rose(どうなった)
  6. by 25%(どの程度)
  7. from 51% to 76%(どこからどこまで)
  8. from 2018 to 2020(いつの間).

このように大きく分けるとおおよそ8つのフレーズに分けることができました。

3や4はもう少し分解することもできますが、「何が」「どんな人が」と言った意味単位で分けたいので、今回はそのままにしておきました。

 

一文はこの小さい単位のフレーズの集まりだと言うとがわかります。もう一例見てみましょう。

The spread of infectious diseases was the main cause of high infant mortality of England in 1840.

(1840年におけるイギリスの高い幼児死亡率の主な原因は、伝染病の蔓延であった。)

これを意味単位で区切っていくと以下のようになります。

  1. The spread of infectious diseases  (何が)
  2. was (どうだった)
  3. the main cause(何)
  4. of high infant mortality(どの)
  5. of England (どこの)
  6. in 1840.(いつ)

 

必ずしもこのような単位で区切る必要はありませんが、こちらも短い6つのフレーズに分けることができました。

このように一見長く見える文章でも分けてみると短いフレーズが集まってるだけと思うようになります。

ノートを開いて一文一文手で書いていく単純作業のように見えますが、丁寧に書き写していくことによって文章の本質がわかるようになることが筆写法の最大のポイントです。

 

理解はできるけれど自分では書くことがないような表現方法や、読むだけでは気づかなかったような文法や論理展開に気づくことができます。

これを意識することに慣れると、一見長い文章でもフレーズごとに切り離して考えることができるようになり、自分でも長く複雑な文章を書くことができるようになります。

 

一文を単純化しテンプレート化

筆写法 やり方3

一文が小さいフレーズの繋がりだと分かったところで、次に一文を単純化するを説明していきます。

実際に主語や動詞、目的語、数字などを自由に入れ替えをするために、以下のように一文を単純化させていきます。先ほどの、

The graph shows that the proportion of mobile phone owners who took photos on their phones rose by 25%, from 51% to 76% from 2018 to 2020.

と言う文章の主語、目的語や具体的な数字を抜くと以下のようになります。

~~ /shows /that ~~ /rose /by ~~percent, /from ~~% to ~~% /from ~~ to ~~/.
(~~が~~年から~~年の間で~~%から~~%へ~~%上がったことを表している。)

このように単純化したテンプレートとして覚えると~部分を具体的な名前を数字を入れ替えるだけで簡単に全く異なる一文を作ることができます。

This chart shows that the number of people who used more than two cell phones rose by 10% from 10% to 20 % from 2017 to 2019.

(この図式は携帯電話で2つ以上持つ人の数が2018年から2021年の間で10%から20%へ10%上がったことを示している。)

 

もう一方の例文も見てみましょう。

The spread of infectious diseases was the main cause of high infant mortality of England in 1840.

といった文章も、

The spread of ~ was the main cause of ~ of ~ in~.

といった具合に分解・簡略化できます。あとはこの主語や数字を入れ替えてみると、

The spread of infectious flu virus was the main cause of high mortality of USA in 2018.

このように大人が学ぶ英語とは、この覚えたフレーズや表現を組み合わせて一つの文章を作り上げていくこととも言えます。

ですので入れ替えるだけで対応できるよう単純化されたテンプレートをより多く覚えることが鍵となります。

 

オリジナルノートの作成

筆写法 やり方4

次に模写をしながら単純化されたテンプレートをどんどん増やしノートに集めていきます。

ノートのまとめ方・書き方は自由ですが、同じような表現は同じページにまとめると良いでしょう。例えば、

There is an immediate sharp increase.(即座に急激な増加がある)

単純化➡︎There is a(n) ~increase.

と言う文章と、

There is a steep rise.(険しい上昇がある)

単純化➡︎There is a(n) ~ rise.

と言う文章は、同じページ書くと復習する際に同じような表現を思い出すことができます。

 

表現の引き出しを多くすることが目的で、「この表現いいな」「使ってみたいな」と思うフレーズを書き出していくことが重要になります。

あまりに難解で自分でもよく意味を理解していないフレーズはそもそも覚えることが難しく、下手に学んでも普段使うことができないので、書く必要はないでしょう。

 

同じ言い回しを使うことを避けると言われている英語です。

表現方法が増えることによって文全体が単調でなくなり、事象を描写したり自身の主張をはっきり述べることができるようになります。

読み手が間違った解釈をしてしまうことを回避できたり、細かなニュアンスが伝わるようになるのでバリエーションをどんどん増やしていきましょう。

 

IELTSライティング試験問題に適用

IELTSライティング試験問題に適用

次にIELTS のwritingセクションを例に筆写法を使った対策法を見ていきましょう。

TASK1 データを詳細に描写する訓練

IELTSのWriting はTASK1とTASK2に分かれており、TASK1では以下のような特徴があります。

  • 円グラフや棒グラフなどから情報を読み取る
  • 最低150字以上
  • 解答時間目安:20分

 

採点基準:

  • Task Achievement タスクの到達度
  • Coherence & Cohesion 論理の一貫性
  • Lexical Resource 語彙力
  • Grammatical Range and Accuracy 文法の多様性と正確性

 

このセクションでは客観的なデータをスピーディーに読み取り、情報を豊かな表現で描写する能力が必要になります。

つまり、英語力が採点されるのは当然のこと、正しく情報が読み取れることが重要視されるため、そのための対策が必要になります。

私がお勧めするのは一度問題を解いて自身の英語力を把握した後に、すぐにTASK1の模範解答を模写してしまうことです。

 

TASK1は客観的な事象を扱うため、人によってデータの読み取り方が大きく異なると言うことはないため「解答」が存在します。

自身の意見などは扱う必要がないため(むしろ個人的意見は避けるべき)、TASK1に関しては問題をどんどん解いていってデータを描写する方法を身につけていくことが最善の方法と言えるでしょう。

こちらは本屋で売られている参考書を手に取り書き進めていくことをお勧めします。

 

IELTSの勉強法では何が正しい表現なのかわからないうちは、ネットにある情報は間違いを含む場合があるので、できるだけIELTS対策の参考書など正式な校閲を通して出版されたものが好ましいです。

以下のようなTOEFLやIELTSのライティング専門の本を用意し一つ一つ丁寧に筆写していきましょう。

【音声ダウンロード付】実践IELTS技能別問題集ライティング

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Writing for Ielts (Collins English for Exams)

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TASK1に関してはできるだけ多くの解答例に目を通すことに越したことはありませんが、一題一題丁寧に見ていくと言う意味では量より質が大事だとも言えます。

 

TASK2 論理的思考の訓練

TASK2は以下のような特徴があります。

  • 社会問題等について賛否を述べる
  • 最低250字以上
  • 解答時間目安:40分

 

採点基準:

  • Task Achievement タスクの到達度
  • Coherence & Cohesion 論理の一貫性
  • Lexical Resource 語彙力
  • Grammatical Range and Accuracy 文法の多様性と正確性

 

TASK2はTASK1とは異なり、ある事象やテーマに対して自身の意見を述べるセクションとなっているため、「回答」はありますが「解答」はありません。

英語力に加えある事象に対する洞察力があるかどうかも採点基準になります。

主観的な意見を述べるセクションになりますので、模範解答を筆写しても一例に過ぎなく完全な答えではありません。

 

しかしそれでも筆写法をするメリットはあります。それはTASK2において論理展開は非常に重要だからです。

筆写をすることによってその模範解答がどのような論理を展開しているのか、あるいはその表現などを学ぶことができます。

 

一つ例を挙げると、譲歩の構文などがそうです。特定の議題に対して、単に

I think that~(私は~だと思う。)

と短く意見を述べるのではなく、

I agree with the idea that ~ to some extent. However, I believe that~.(~と言う考えにはある程度賛成できるが、私は~だと信じる。)

といったような譲歩の構文を使うことによって、自身の意見を表現豊かに主張することができます。

 

TASK2に関しては正解がない分訓練をしにくい部分はありますが、こういったような論理展開のテンプレートを増やしていくことが重要になります。

また、勉強法として例題だけを筆写するのはバリエーションに限界があります。

そこで私がおすすめしたいのは、英語論文によく使われる表現集を一冊買うことです。特に私は以下の本をお勧めします。

最新 英語論文によく使う表現 基本編

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この中に似たような表現が一つにまとめられているので、自分のノートを作る際に参考にしてほしいと思います。

例えば、結果を言う表現を挙げると、

  • The result of the experiment was~~~.
  • The following results were obtained:~~~.
  • Our results agree with those obtained by~~~.

といった幅広い表現が同じページに羅列しており、問題集を解きもう少し豊かな書き方がしたいと思ったときに非常に有益な本です。

 

あくまでも自分の手で書いて分解・単純化するプロセスを通して覚えることが筆写法の重要な部分となりますので、これらの本だけを買って読むだけにはしないようにしましょう。

 

にゃんこ先生
この練習法はIELTSだけでなく、TOEFLのIndependet Taskにも有用だね!

 

終わりに

いかがだったでしょうか。

筆写法は非常に時間のかかる勉強法にはなりますが、自分のレベルを知り、使える表現の幅を広げるには非常に有効な方法です。

今回は後半でIELTSの対策法を取り上げましたが、IELTS対策のみならずライティング力そのものを上げることができます。

是非時間がある時に試してみてください。ありがとうございました。

 

ねこ君
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にゃんこ先生
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にゃんこ先生
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3 件のコメント

  • いつもこのサイト、メール、ドライブにお世話になっております。ありがとうございます!

    toefl受験しようと考えており、模範解答を参考にやるべきとおっしゃられていましたが、toeflのライティング対策の模範解答を理解しながら、書き写す方法は大丈夫でしょうか、それともreadingのようなアカデミックな内容を書き写すべきか、listeningのconversationのような内容の方がいいでしょうか?

    自分自身、writingなどに自信はない初学者です。よろしくお願い致します。

  • こんにちは!目的がTOEFLライティング対策であれば、TOEFLライティングの模範解答を利用すれば良いね。

    この記事でも言っているように、ただ書き写すだけではあまり効果がなく、文章を分解しながら、使えると思う表現をストックし、使いこなせるようにすることが大切だよ!

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