




「大学生のうちに英語力をつけたい」「洋書を読んでみたいけど、何から始めればいいのかわからない」と思ったことはないだろうか?
英語のリーディング力を伸ばすには、試験対策だけでなく、洋書を活用した多読学習が効果的。
しかし、「洋書=難しい」というイメージがあり、どの本を選べばいいのか悩んでしまう人も多い。
実は、英語学習に適した洋書にはレベルに応じた選び方がある。
いきなり難しい本に挑戦して挫折するのではなく、自分の英語力に合った本からスタートし、徐々にステップアップしていくことが大切だ。
本記事では、大学生向けのおすすめ洋書16冊をレベル別に紹介する。初心者向けの読みやすい作品から、英語圏の大学生が読むアカデミックな本まで幅広くピックアップ。さ
洋書を通じて英語を英語のまま理解し、リスニング力や語彙力を向上させる第一歩を踏み出そう。
目次
- 1 大学生の英語力と洋書選びの基準
- 2 【初心者向け】英語の本を読み始めたい大学生におすすめの洋書8選
- 3 【中級者〜上級者向け】英語力を伸ばしたい大学生におすすめの洋書8選
- 3.1 Stages of Meditation
- 3.2 The Joy Of Music
- 3.3 Voodoo Science: The Road from Foolishness to Fraud
- 3.4 The Brilliant History of Color in Art
- 3.5 How We Got to Now: Six Innovations That Made the Modern World
- 3.6 Uncommon Grounds: The History Of Coffee And How It Transformed Our World
- 3.7 The Arabian Nights
- 3.8 The Woman in Black: A Ghost Story
- 4 その他のおすすめ洋書
- 5 洋書を活用した英語学習法
- 6 終わりに
大学生の英語力と洋書選びの基準
「洋書を読みたい!」と思っても、いきなり難しい本に挑戦して挫折してしまうのは避けたいところ。
まずは 自分の英語力に合った本を選ぶことが大切だ。
では、大学生の一般的な英語レベルを踏まえた上で、どのように洋書を選べばよいのかを解説しよう。
大学生の一般的な英語レベル
日本の大学生の英語力には個人差があるが、
一般的な目安として 英検・TOEFL・IELTSのスコア を参考にすると、自分の英語レベルを把握しやすい。以下の表を見て、自分の現在のレベルをチェックしてみよう。
試験 | 一般的な大学生のレベル | 読解力の目安 |
英検 | 2級~準1級 | 2級=日常会話レベル、準1級=やや難しい評論やエッセイが読める |
TOEFL iBT | 40~80点 | 40点=簡単な短文が読める、80点=大学の講義やエッセイが理解できる |
IELTS | 4.5~6.5 | 4.5=基本的な会話や短文が読める、6.5=学術的な文章もある程度理解できる |
- 初心者(英検2級・TOEFL 40~50点・IELTS 4.5~5.0程度) → 簡単な小説・ヤングアダルト向けの本からスタート!
- 中級者(英検準1級・TOEFL 60~80点・IELTS 5.5~6.0程度) → 少し難しいノンフィクションや自己啓発書に挑戦!
- 上級者(英検1級・TOEFL 90点以上・IELTS 6.5以上) → 英語圏の大学生が読む本やビジネス書を読んでみよう!
大学の学部や学科によって必要とされる英語力は様々なので個人差はあるが、大学生なら英検準1級か1級レベルの洋書は読めるようになりたいものだ。


Lexile指数とは? 洋書選びにどう活用する?
「Lexile指数(レクサイル指数)」とは、本の 難易度を数値化した指標 のこと。
アメリカの教育機関などで広く使われており、単語の難易度や文の構造 を基に、本がどのくらいの英語力で読めるかを示している。
Lexile指数の目安
Lexile指数(L) | レベルの目安 | 例 |
500L~800L | 初級者向け | ヤングアダルト小説、簡単な物語(例:『The Hate U Give』HL590L) |
900L~1200L | 中級者向け | 一般的なノンフィクション・小説(例:『Uncommon Grounds』1280L) |
1300L以上 | 上級者向け | 学術書、難易度の高い小説(例:『The Woman in Black』1360L) |
この英検の級を英語の読解力を示すLexile指数に換算すると、準1級がおおよそ1180Lから1200L、1級がおおよそ1280Lから1360Lである。
自分の現在の読解力レベルから洋書を読み始めて、このくらいのLexile指数の洋書を読めるように目標を設定してみてはいかがだろうか。

【初心者向け】英語の本を読み始めたい大学生におすすめの洋書8選
ここで紹介している洋書の中には、Lexile指数の前にHLと書かれているものが多くある。
HLとは、H(high-interest、高い関心)かつL(low-readability、読解力が低い)ということ。ヤングアダルト小説に多く見られる指数で、対象読者層の年齢よりはリーディングレベルが低いものになる。
まだあまり洋書を読破した経験のない方にとっても読みやすい本のはずなので、この機会にぜひチャレンジしてみてほしい。
ここでは特に大学生に読んで欲しい洋書を8作品紹介する。
どれもここ数年発表された比較的新しい作品ばかり。登場人物も10代の若者なので、読んでいて共感できる部分が多いはず。自分探し、生と死、人種などの現代社会における問題、恋愛など、物語のテーマは様々だ。
一般的に、若者を対象とした小説はYoung Adult Novelsとして出版されている。大人気となった『トワイライト』シリーズのようなファンタジー小説も多いが、今回紹介しているようなファンタジー以外の小説も豊富だ。
若い読者にとっては、登場人物の年齢が近かったり、身近なテーマであったりなど、読みやすい作品が多いのではないだろうか?共感できる部分が多ければ、それだけ洋書も読みやすくなるはず。
英語の勉強のために洋書を読みたいと考えている方は、まずはこういった作品から始めてみるのもおすすめだ。
The Inexplicable Logic of My Life
The Inexplicable Logic of My Life (English Edition)
Lexile指数
HL450L
著者紹介
Benjamin Alire Saenzは1954年、アメリカのニューメキシコ出身。詩人、小説家、児童書作家である。
神父をしていた時期もあるが、その後大学へ戻ってクリエイティブ・ライティングなどを学び、タンフォード大学在学中に最初の詩集を完成させた。これまでに多くの文学賞を受賞している。
作品概要
サルはこれまで、ゲイの養父と、愛すべきメキシコ系アメリカ人家族、そして親友のサマンサに囲まれて、自分の居場所が分かっていると思っていた。
しかし、卒業を控えたこの年、サルは突然全てに疑問を感じ、もはや自分が何者なのか分からないことに気づく。一体、自分とは誰なのだろうか?
May先生おすすめの理由
簡単な単語と基本的な文法構造が理解できれば読むことができるレベルの洋書だ。
とはいえ、決して幼稚な文章ではなく、大人が読んでも楽しめる作品で、洋書をあまり読み慣れていない方におすすめの洋書である。
アマゾンのAudibleもあり、ナレーションはアメリカ人俳優・声優が担当している。
こちらも非常に聞きやすい朗読なので、英語を基礎から学びたい方に、リーディングとリスニングの両方の練習にこの作品を活用してみてはいかがだろうか。
The Hate U Give
Lexile指数
HL590L
著者紹介
Angie Thomasはアメリカのミシシッピ出身。ベルヘブン大学でクリエイティブ・ライティングを学んだ。
今回紹介している作品はデビュー作であり、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーランキング1位になり、2000年には映画化もされた。
作品概要
16歳のスターは2つの世界に暮らしている。1つはスターが生まれ育った貧しい地区。もう1つはスターが通う上流階級の高校がある地区だ。
ある日、スターは親友のハリルが警官に撃たれるところを目撃してしまう。これによって、スターが暮らす2つの世界の微妙なバランスが壊れていくのだった。
May先生おすすめの理由
よく使用される語彙や文法構造が理解できれば読むことができるレベルの洋書。1文ずつが短いので、複雑な文法構造が苦手な方でも読みやすそうだ。
単語は若者が使用するような言葉が多く、英語のレベルが低い割にはなかなか難しく感じられるかもしれない。様々な語彙を身につけることができそうだ。
464ページある作品なので、1冊読み切れば、洋書を読む自信がつきそうだ。
One of Us Is Lying
Lexile指数
HL730L
著者紹介
Karen M. McManusは、ヤングアダルト小説を主に執筆する作家である。ノースイースタン大学でジャーナリズムを専攻した。
彼女の作品は40か国語に翻訳され、国際的なベストセラー作品となっている。現在はアメリカのマサチューセッツで暮らしている。
作品概要
とある月曜日の午後、ベイビュー高校の5人の生徒は罰として居残りをさせられた。
秀才ブロンウィン、美女アディ、問題児ネイト、野球のスター選手クーパー、高校のゴシップアプリを開発したサイモン。
ところが、その居残り中にサイモンが死亡する。実はサイモンは翌火曜日に暴露話を投稿しようとしていたのだ。サイモンを殺した犯人とは?
May先生おすすめの理由
中級レベルの語彙も出てくるが、基本的にはよく使用される語彙や文法構造が分かれば問題なく読めるはずだ。
チャプターによって話し手がどんどん変わっていくので、誰が話しているのか混乱しない様にしよう。名前と性別はもちろんのこと、その人物の特徴や性格をしっかり把握しておくと、楽しく読み進めることができるはずだ。
アマゾンのAudibleもあり、それぞれの人物を別のナレーターが朗読しているので、ラジオドラマのような感覚で聴くことができる。
Eliza and Her Monsters
Eliza and Her Monsters (English Edition)
Lexile指数
HL750L
著者紹介
Francesca Zappiaは作家。インディアナポリス大学でコンピューター科学と数学を専攻した。
現在はアメリカのインディアナで暮らしており、時間のあるときは絵を描いたり、ゲームをしたりして過ごしている。
作品概要
18歳のエリザは恥ずかしがり屋で、友だちのいない、ちょっと変わった女の子だ。しかし実は、エリザは非常に人気のあるウェブコミックの正体不明の作者なのである。
ある日、ウォレスが転校してきたことをきっかけに、エリザは現実の世界に目を向けはじめる。ところがエリザの秘密が誤って世間に知られてしまい、これまで築き上げてきたものが壊れていく。
May先生おすすめの理由
基本的な文法構造を理解することができ、中級程度の語彙が多少理解できる人向けの本。
長い文があったり、関係代名詞や挿入句を含む文があったりはするが、決して難しい内容ではないので、あまり混乱せずに読めるはずだ。
話し言葉や日常生活で使われるような言い回しが多くでてくる。洋書を通じて、より実用的な英語を学びたいという方にピッタリの洋書だ。
American Panda
Lexile指数
780L
著者紹介
Gloria Chaoは作家。マサチューセッツ工科大学(MIT)でビジネスを学び、その後、歯科医となった経歴を持つ。
カンフーでは黒帯を保有し、カーリングも行うなど、多彩な才能の持ち主である。
作品概要
17歳のメイは両親のもくろみ通り、飛び級をして、現在はMITの1年生である。両親がメイに望む未来は、医者になり、アイビー・リーグ出身の台湾人と結婚して、子どもをたくさん産むこと。
でもメイは、本当はバイ菌がきらいで、生物の授業では眠ってしまうし、恋に落ちたクラスメイトも台湾人ではない。ところが、疎遠になっていた兄と再会することで、メイは現在の自分に疑問を感じるようになる。
はたしてメイは本来の自分になる方法を見つけることができるのか?
May先生おすすめの理由
Lexile指数は780L。中級レベルの単語が分かり、文法構造が多少難しくても文章を読むことができる人向けの洋書である。1文ずつがそれほど長くないので、意外と読みやすいはずだ。
文章そのものはそれほど難しくないと思うが、皮肉を含む表現が多く出てくるので、その面白さを理解したいところだ。
皮肉っぽい表現は慣れないと分かりにくいかもしれないが、多くの表現に触れることで理解しやすくなる。アマゾンのAudibleもあるので、リスニング練習にもおすすめ。
History Is All You Left Me
Lexile指数
HL820L
著者紹介
Adam Silveraは、ニューヨーク出身の作家。彼の小説はどれも高い評価を得ている。
開発企業に勤めたほか、児童書のセールスマンや児童書やヤングアダルト小説の批評家を務めたこともある。現在はロサンゼルス在住。
作品概要
グリフィンの元彼テオが事故で溺れて亡くなった。
たとえテオが大学のためにカルフォルニアに引っ越しても、ジャクソンと付き合うようになっても、グリフィンはいつかテオが戻ってくると信じて疑っていなかった。
その未来が絶たれた今、グリフィンは未来を立て直すために初めて自分の過去に目を向ける。
May先生おすすめの理由
難しい語彙が含まれていたとしても、文法的に正しく内容を理解する必要のあるレベルである。
難しい単語はそれほど多く出てくるわけではないが、1文ずつが長めなので、句の繋がりなどをしっかり把握しながら読むようにしよう。
――(ダッシュ記号)も洋書にはよく登場するので、慣れておいた方がいいだろう。
アマゾンのAudibleもあり、聞きやすいナレーションとなっている。男性と女性両方の朗読に親しんでおいた方が、偏りなくリスニング力をアップさせることができる。
They Both Die at the End
Lexile指数
870L
著者紹介
上記の『History Is All You Left Me』と同一の著者である。
作品概要
9月5日の深夜をちょっと過ぎたころ、マテオとルーファスは二人とも今日死ぬという悪い知らせを受ける。
二人は赤の他人だったが、最期の日を過ごす友人を見つけるアプリを使って出会い、最期の冒険へと繰り出す。
May先生おすすめの理由
難しい語彙や文法構造が文中に出てきても理解するだけの力が必要となってくるレベルである。
とはいえ、実際にはとてもテンポのいい文章で、会話文も多いので、意外と読みやすく感じられるかもしれない。
非現実的な舞台設定なので、想像力も働かせながら英語を理解するようにしよう。この作品もアマゾンのAudibleで聴くこともできる。
A Girl Like That
Lexile指数
890L
著者紹介
Tanaz Bhathenaはインド出身の作家で、サウジアラビアとカナダで育った。これまでに数々の作品を執筆し、賞にもノミネートされている。
外国語を学びながら様々な国を旅している。現在は家族とともにカナダのトロントで暮らしている。
作品概要
16歳の孤児ザリンは明るく陽気な学生だが、よく恋愛問題が学校で噂となるので、みんな彼女には近づくなと言う。しかし18歳のポロスはザリンに魅了されていた。
ところが、ザリンとポロスはサウジアラビアの都市ジッダの高速道路脇の破損した車の中で死亡しているのが発見される。
その捜査の過程で、ザリンはみんなが思っていたような人物とはかけ離れていたことが明らかになる。
May先生おすすめの理由
難しい語彙や複雑な文法構造であっても理解できる人向けの洋書である。聞き慣れない人名や固有名詞が多く登場するかと思うので、まずはネットで検索して確認した方がよさそうだ。
全体的に文法はそれほど難しくはないと思うが、長い文が多い。句と句の繋がりをしっかり意識しよう。ちょっと難易度の高い洋書の挑戦したい方、語彙を増やしたい方におすすめの1冊だ。
【中級者〜上級者向け】英語力を伸ばしたい大学生におすすめの洋書8選
リーディングも含め英語の勉強は日々継続することが大切。
どんなに英語が得意な人でも、英語に触れない時間が続くと能力が低下してしまう。
一方で、日々少しずつでも英語を読んでいると、だんだん慣れてきて、頭の中でいちいち日本語に訳さなくても英語を理解できるようになってくるものだ。
またリーディング力を高めるためには、様々なジャンルを読むことも大切だ。ジャンルが固定されてしまうと、目にする語彙も限定されてしまう傾向にある。
上記すすめた洋書のいくつかを読んでみだら、次はもう少し上級レベルの本にチャレンジできるだろう。
これから紹介する8冊も、科学、音楽、ホラー小説など、多岐にわたる分野を集めてみた。
自分が専攻している学科に関しては英語の文献を読んだりする機会も多いと思うので、ぜひそれ以外の書籍も積極的に手にとってみてほしい。
Stages of Meditation
Lexile指数
1180L
著者紹介
ダライ・ラマ14世は1935年にチベット東北部の村に生まれ、2歳にして先代の転生者と認められた。そして6歳から僧院で教育を受け始めた。
1959年に亡命を余儀なくされ、以来インド北部のダラムサラで亡命生活を送っている。
作品概要
ダライ・ラマが実践的瞑想の原則について、特に西洋の人々に分かりやすいように解説した本。
ダライ・ラマ自身にとってもお気に入りの本であり、幾度となくこの本を基にして世界中で教えを広めている。
心の本質、さらにはいかに慈悲や親切心を育むかといったトピックについて書かれている。
May先生おすすめの理由
ダライ・ラマは1989年にノーベル平和賞を受賞し、「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたこともあるほど欧米でも非常に有名で、英語で書かれた著書も多数ある。
その中でもこの本は、最近日本でもよく見聞きするようになった瞑想について書かれた本である。これを読んでいる方々の中にも、瞑想に興味があるという方もいらっしゃるのではないだろうか。
英語学習の面においても、精神面を説いた本書中には普段あまり使わない英単語も多く出てきて勉強になる。
ダライ・ラマ本人も英語でコミュニケーションを取ることができ、過去には英語を習得することの重要性について語ったこともあった。そういった点からも、彼の著書をぜひ1冊は読んでみたいものである。
The Joy Of Music
Lexile指数
1190L
著者紹介
レナード・バーンスタイン(1918‐1990)は指揮者であり作曲家。アメリカのマサチューセッツ州で生まれた。
1943年にニューヨーク・フィルハーモニーのアシスタント・コンダクターに就任すると、急病になった指揮者ワルターの代役としてカーネギー・ホールで指揮し、大成功をおさめた。
ミュージカル「ウエストサイド物語」などで有名。
作品概要
この本は、レナード・バーンスタインの初めての書籍である。初版は1959年に出版されてベストセラーとなり、現在でも出版され続けている。
本書以前の音楽関連書籍とは異なり、いくつかの章はバーンスタインと架空の人物の会話という形式をとっている。
音楽をより深く楽しみたいファンにとっては必読書である。
May先生おすすめの理由
この本の中には、バーンスタインが1954年から1958年にかけて出演したテレビ・ドキュメンタリー・シリーズ「オムニバス」の台本も収録されている。
この中でバーンシュタインはベートーヴェン、バッハ、オペラ、現代音楽、ミュージカル、ジャズと幅広いジャンルの音楽を解説しているので、英語学習的には様々な音楽用語に触れることができる1冊だ。
現在「オムニバス」はDVD化されてもいるので、文字だけでなく映像から学ぶのも良いだろう。
Voodoo Science: The Road from Foolishness to Fraud
Lexile指数
1190L
著者紹介
ロバート・L・パークはメリーランド大学の物理教授である。ニューヨーク・タイムズなどの新聞に論評を多数執筆しているほか、著書も多数ある。
代替医療や疑似科学についての批判的コメントで有名である。現在はメリーランドのアデルフィ在住。
作品概要
この科学的進歩の時代に、私たちはどうすれば本物の新発見と間違った主張を見分けることができるのだろうか。
この本はシンプルに、読者の興味をそそるように科学を説明しながら、科学者でなくともそれらの違いを判別できるよう、私たちを非主流科学の世界へと案内してくれる。
May先生おすすめの理由
科学を扱った本と聞くと文系の方は敬遠してしまうかもしれないが、本書は20ページ前後の10作のエッセイに分かれており、ひとつずつは読みやすい長さなので挑戦しやすいはずだ。
科学的内容とはいえ、ユーモアを織り交ぜた解説となっているし、身近なテーマを扱っているので、語彙を広げるのに適していると言えるだろう。
「科学に関心はないので、その分野の英語に関わることもない」と思う方もいるかもしれないが、この本に取り上げられているような医療や政府事業の話題はニュースによく出てくる。
こうした語彙力も備えていると英語のニュースを断然理解しやすくなる。
The Brilliant History of Color in Art
The Brilliant History of Color in Art
Lexile指数
1200L
著者紹介
ビクトリア・フィンレイは作家でありジャーナリスト。スコットランドのセント・アンドリューズ大学で社会人類学を専攻したのち、ジャーナリストとして香港で11年間働いた。現在はイングランドのダービシャーで暮らしている。
作品概要
氷河期に洞窟の壁に描かれた絵から、現代の芸術作品にいたるまで、それらに見られる色について説明している本である。
色にまつわる知られざる事実や、それぞれの色が科学的にいかに成り立っているのかについても触れている。
May先生おすすめの理由
色にまつわる本ということで写真が豊富に掲載されており、見た目にも楽しい本である。
とはいえその内容はかなり専門的で、英語の面から言っても学ぶことは多い。例えば、色の名前は思いのほか理解しないままになっていることがある。
日本語でもそうかもしれないが、普段あまり使わない色の名前は、その名前と色が一致していない場合があるので、これを機会に確認したいものだ。
この他にも地名や鉱物の名前など知識として入れておきたい語彙が多くでてきて、興味深い本である。
How We Got to Now: Six Innovations That Made the Modern World
Lexile指数
1230L
著者紹介
スティーブン・ジョンソンは作家。1968年にワシントンにて生まれた。
現在までに11冊の本を出版しているほか、「タイム」「ニューヨーク・タイムズ」「ウォールストリート・ジャーナル」などにも寄稿している。現在はカリフォルニア在住。
作品概要
イノベーションの歴史をひもとく1冊。冷蔵庫や時計、メガネのレンズといった現代生活の一部である品々が、アマチュアや企業家の人々によって生み出され、意図せず歴史的結果を残すまでを追跡する。
May先生おすすめの理由
写真や絵が豊富に掲載されているので、視覚的にも興味をそそる本である。
その発明品がいかに生まれたかを説明するだけでなく、一見関係のなさそうな物事の意外なつながりを明らかにしているのがこの本の特徴だ。
この関連性を理解するためには内容をきちんと把握しなければならないので、英語の読解力を高める良い練習になるだろう。
とはいえ、文章そのものは決して堅苦しい感じではなく、取り上げられている内容も日常生活に深く関わりのあるものばかりなので、楽しく読み進められそうだ。
Uncommon Grounds: The History Of Coffee And How It Transformed Our World
Lexile指数
1280L
著者紹介
マーク・ペンダーグラストはアメリカのアトランタ出身。ハーバード大学で英文学を学んだのち、高校や小学校で教えた。
その後教職を離れ、1991年からは作家として活躍している。その作品の数々は15か国語に翻訳され、出版されている。
作品概要
エチオピアのアビシニアの丘で発見されてから、20世紀にかけて世界的な消費物に上り詰めるまでの、コーヒーの歴史をまとめた1冊。
しかし、この本が紹介しているのはそれだけではない。コーヒーの生産、交易、消費を通じて、より広い歴史的テーマについて掘り下げていく。
May先生おすすめの理由
このブログの読者の方々の中にも、大学生活にコーヒーが欠かせないという方は多いことと思う。
私たちの日常生活になくてはならないコーヒーがどのように発見され、世界中に広まってスターバックスまで辿りついたのか、この本では順を追って説明されている。
英語学習的に言えば、コーヒーの世界的な普及に合わせて、時代や地域をまたいだ語彙に触れられるのがこの本のいいところだ。展開もはやく、ユーモアも交えた文章なので、楽しく読めることだろう。
The Arabian Nights
The Arabian Nights (Leather-bound Classics)
Lexile指数
1320L
著者紹介
リチャード・バートン(1821-1890)は探検家であると同時に、作家そして翻訳家であった。イギリスのデヴォン出身。アジアやアフリカを旅したことで知られている。
多くの功績の中で特に広く認識されているのが、「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」を翻訳したことである。
作品概要
この本には、「アリババと40人の盗賊」「船乗りシンドバッドの冒険」「アラジン」など、日本でもお馴染みの中東の物語が収められている。
どれも古代の作品であるにもかかわらず、現代においても人々の想像力を魅了する、愉快で魅惑的な物語である。
May先生おすすめの理由
この本は、現在日本ではまずお目にかかることのない革装本となっており、本好きなら読む前からわくわくしそうな本である。
この本を含むCanterbury Classics社の革装本シリーズには「シャーロックホームズの冒険」や「不思議の国のアリス」など様々なタイトルがあるので、チェックしてみても楽しそうだ。
この「アラビアン・ナイト」は総ページ数が750ページとかなり長いが、一つ一つの物語は50ページほどと短いので読みやすいのではないだろうか。
現在の書籍ではあまり見かけないような文語が多く出てくるので、より語彙や英語の知識を深めたい方には特におすすめだ。
The Woman in Black: A Ghost Story
Lexile指数
1360L
著者紹介
スーザン・ヒルは50年以上のキャリアを持つ作家である。イギリスのスカボロー出身。キングス・カレッジ・ロンドンに進学すると、大学1年の時に最初の小説を書き、それが出版された。
それ以降、スーザンの著書は56冊にものぼる。1975年に結婚し、娘のうちの一人も作家である。
作品概要
物語はクリスマス・イヴに始まる。主人公のアーサー・キップスは子どもたちに幽霊の話をするようせがまれるが、何も知らないと答える。
しかしアーサーは、まだ若かった頃にある経験をしていたのだった。そしてアーサーはその経験を本に書き始める。2012年にダニエル・ラドクリフ主演で映画化もされた作品。
May先生おすすめの理由
時代設定が20世紀初頭のイギリスということで多少馴染みのない語彙も出てくるが、読むのに困るほどではないだろう。
ホラー好きにおすすめなのは言うまでもないが、そうでなくとも次の展開を知りたくてあっという間に読み進められそうだ。
英語の難易度は高いがページ数は少なめなので、普段小説はあまり読まないという人にもぜひ挑戦してほしい。
ノンフィクションから本作のような小説まで、幅広いジャンルの作品を読んで、英語のリーディング力を高めていこう。
その他のおすすめ洋書

中学生レベル(初心者向)
現役中学生、あるいは中学生レベルの英語からやり直したい学習者に取っては、上記で紹介している洋書は少しチャレンジングかもしれない。
そのような方は、まず対訳付(英語、日本語が両方表記されている本)の洋書を手にとってみては如何だろうか?
左に英語、右に日本語が乗っているため、英語がわからない時に直ぐに日本語を見ることができるのだ。
最終的には英語だけの本を読めるようになって欲しいが、最初の2、3冊は対訳本で長文を読むことに慣れると良いだろう。
» 今から始める洋書多読 中学生でも読める対訳本シリーズ20冊
また、洋書を英語学習者用に編集し、文法や語彙を調整して書き直されたGraded Readersは、中学生や高校生でもサクサク読めることだろう。
» ペンギンリーダーズ300冊総まとめ〜初心者からの英語多読〜
ジャンル別洋書(中上級者向)

少し洋書を読むのに慣れてきた中級者・上級者はジャンル別に自分の興味のある分野の洋書を読むのはどうだろう?
伝記や自己啓発、ノンフィクションは現実の話であるため、ファンタジーなど架空の話よりもイメージが付きやすく初心者から楽しめるはず。
» 【ジャンル別おすすめ洋書124冊】児童書・自己啓発・雑誌からTOEIC対策まで
ベストセラー・ビジネス洋書(上級者向)

洋書探しにベストセラーは最高のリソースだ。
アメリカでも高級紙として知られているニューヨークタイムズが選ぶベストセラーは、英語学習のためだけでなく教養になる本ばかり。洋書上級者は是非チャレンジして欲しい。
ニューヨークタイムズのベストセラーには小説だけでなく、社会人興味を引くビジネス洋書もたくさん含まれているため、ビジネス関連の知識のアップデートにもおすすめだ。
» 洋書はベストセラーから!NEW YORK TIMESおすすめの20作品
洋書を無料で
あまり知られていないのだが、著作権が切れた洋書はキンドルで無料で読めるのだ。実際、AmazonのKindleストアでは3万冊以上の本が無料でダウンロードできる。
しかし、そんなに選択肢があると、逆にどれを読んだら良いか困るもの。
下記の記事でKindleで無料で読めるおすすめ洋書をジャンル別に100冊まとめてある。是非多読生活の充実に活用して欲しい。
【完全版】Kindleジャンル別無料洋書100選【多読・英語学習】
洋書を活用した英語学習法
洋書を読むことは、単にリーディング力を伸ばすだけでなく、英語を英語のまま理解する力を養い、リスニングや語彙力の向上にもつながる効果的な学習法である。
しかし、学習として意識しすぎると、途中で挫折してしまう人も多い。
効率よく続けるためには「多読」を中心に、無理なく英語に触れられる環境を作ることが大切だ。
多読が重要な理由
多くの英語学習者が最初に陥りがちなのが、「知らない単語が出るたびに辞書を引いてしまう」「一文一文を完璧に理解しようとする」といった学習方法である。
確かに精読(Intensive Reading)は、細かい表現を学ぶ上では有効だが、それでは長続きしにくい。
また、精読では文章全体の流れをつかむ力が養われにくく、実際の英語のコミュニケーションや試験の読解スピード向上にはつながりにくい。
それに対して、多読(Extensive Reading)では、以下のようなメリットがある。
- 英語を英語のまま理解する習慣がつく
頭の中でいちいち日本語に訳さなくても、英語をそのままイメージとして捉える力が身につく。 - 読解スピードが向上する
多少知らない単語があっても、前後の文脈から意味を推測しながら読み進めることで、全体の意味を把握する力が鍛えられる。 - リスニング力の向上につながる
文章を読みながら英語の構造に慣れることで、リスニングの際にも素早く理解できるようになる。
英語学習においては、まずは「楽しみながら続ける」ことが何よりも重要だ。そのためにも、多読を習慣化し、英語に触れる時間を増やすことを優先しよう。


挫折しないための工夫
洋書を読み始めても、途中で挫折してしまう人は少なくない。その原因の多くは、以下のようなものだ。
- 難しすぎる本を選んでしまう(辞書を引く回数が増えてストレスになる)
- 読み進めるスピードが遅く、達成感が得られない
- 英語を「勉強」として捉えすぎるあまり、楽しめない
これらを防ぐために、次のような工夫を取り入れるとよい。
1. Kindleの活用
Kindleを使えば、辞書機能を活用しながらスムーズに読み進められる。
特に「ワンタップで単語の意味を調べられる」機能は、紙の辞書や翻訳アプリを使うよりもはるかにストレスが少なく、読書の流れを妨げない。
また、ハイライト機能を使えば、気になった単語や表現を後から簡単に見返せる。とはいえ、わざわざノートをとる必要はなく、基本的には「読み続ける」ことを優先すればよい。


2. Audible(オーディオブック)との併用
リーディングとリスニングを並行して行うことで、理解度が飛躍的に向上する。
- 音声を聞きながら読むと、英語のリズムや発音が身につく
- 速読力が鍛えられ、リスニング時の処理速度も上がる
- 単語の発音を学ぶことで、リスニングやスピーキングの向上にもつながる
特に初心者のうちは、ネイティブの音声を聞きながら目で文章を追うことで、英語の音と文字のつながりを意識しやすくなる。
3. 読みやすい本を選ぶ
「せっかく読むなら難しい本を選ばないと意味がない」と考えてしまいがちだが、これは逆効果になりやすい。
自分のレベルに合った本を選び、「無理なく読み進められる範囲で少しずつレベルアップしていく」ことが大切。
また、物語の展開が分かりやすく、興味を持ちやすい本を選ぶことも重要だ。
例えば、ヤングアダルト(YA)向けの小説は比較的読みやすく、ストーリーも面白いため、初心者に適している。


終わりに
洋書を読むことは、英語学習の中でも特に効果的な方法のひとつだ。
しかし、最初から難しい本に挑戦したり、細かく理解しようとしすぎると、途中で挫折してしまうことが多い。
本記事では、初心者でも読みやすい洋書から、英語圏の大学生が読むような少しレベルの高い本まで、目的やレベルに応じたおすすめ書籍を紹介した。
大切なのは、無理せず継続できる方法を見つけること。
ぜひ、自分に合った洋書を見つけ、楽しく英語を学んでいこう。



