高校生のみなさんの中には、英語テストの中で長文読解が苦手という人もいるかもしれない。
語彙力を身につけ、文法を理解し、問題を解くコツも習得しなければならないが、そもそも長い文章を英語で読むことに慣れていないという人もいるだろう。
英語の文章に慣れるためには、とにかくたくさん読むしかない。もちろん教科書や参考書に載っている文章でもいいのだが、どうせなら楽しく英文を読みたいもの。
というわけで今回は、高校生のみなさんにおすすめの洋書8冊を紹介する。
どんなレベルの洋書がおすすめ?高校生編
英語レベルの目安
洋書は初めてで何を選べばいいのか分からない、という人のために英語レベルの目安を挙げてみよう。
みなさん一度は英検を受けたことがあると思う。英検準2級は高校中級程度、英検2級は高校卒業程度のレベルである。完璧に換算できるわけではないが、TOEICのリーディングスコアにすると225から300くらいである。
洋書を選ぶ目安にLexile指数というものがあり、それに換算するとだいたい700Lから995Lくらいになるので、まずはこのくらいを目安に読み始めてはどうだろうか。
今回紹介している洋書もこのくらいの英語レベルのものである。
Lexile指数を検索できるウェブサイト(https://hub.lexile.com/find-a-book/search)もあるし、アマゾンの洋書ページにも指数が載っているので、洋書を選ぶときの参考にしよう。自信がついてきたら、もっと難しい本にもぜひ挑戦してみてほしい。
Lexile指数の詳しい使い方は下記の記事も参考にしてみよう。
興味のある本を選ぶ
でも一番大切なのは、最後まで興味を維持できる内容の本を選ぶこと。そして可能なら本の最初の数ページを読んでみて、実際に読めそうか確認するといいだろう。
学習のスタイルによっては、本を読みながら分からないところに線を引いたり、付箋を貼ったり、ということもあるかもしれないので、そういう人には紙の書籍がおすすめだ。
また最近ではKindleなど、電子書籍も増えてきた。自分の生活に取り入れやすい方を選んで、できれば毎日短い時間でもいいので英語を読む時間を確保するようにしよう。
日本語力を鍛える
それから忘れてならないのは、日本語力を鍛えることだ。日本語の文章を読んでその内容がなかなか頭に入ってこない、という人は、英語でも同様のことが起こりえる。
普段から英語の学習に加えて日本語の本や雑誌、新聞を読むように心がけよう。
洋書は聞く!AmazonのAudibleを活用しよう
アマゾンで、洋書を聞けるAudibleというサービスを開始した。
まだ全ての洋書に対応している訳ではないが、ここで紹介している洋書も含め、かなり多くの本に対応している。プロのナレーターが朗読するため、発音もはっきりしていて英語学習者にも聞き取りやすい。購入前にサンプルを聞くこともできる。
初月無料のキャンペーンをやっているため、是非活用してみよう。基本は月1,500円で毎月一つの音源(本)を貰え、会員中は自由に買った本を他の本と交換できるシステムのようだ。
導入は簡単、下図のように各洋書の購入画面からAudible版を選んで購入画面に進もう。
洋書を読んで、聞いて、リーディングとリスニング力をバランスよく高めよう!!
» 参考: 洋書は聞く!?AmazonのAudibleを英語学習に活用しよう!
高校生におすすめの洋書8選
Wonder
著者紹介
R. J. Palacio
パラシオは1963年アメリカ・ニューヨーク出身。両親はコロンビアからの移民であった。学校ではデザインを専攻。イラストレーターとしてのキャリアを積み、様々な本の表紙などを担当した。
「Wonder」はパラシオの作家としてのデビュー作である。現在はブルックリンで夫と2人の息子、2匹の犬とともに暮らしている。
作品概要
主人公のオーガストはアイスクリームを食べたり、Xboxで遊んだりする10歳の普通の少年だ。しかしオーガストの顔には生まれつき重度の奇形がある。
オーガストは自分の顔について、「ぼくの顔がどんな風かは言わないけれど、たぶんあなたが想像しているよりもひどい」と言う。
そのためこれまでずっと家庭で教育を受けてきたのだが、はじめて学校へ行くことになり…?
May先生おすすめの理由
世界的な賞を取り、ニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーランキングに入り、2017年にはジュリア・ロバーツやオーウェン・ウィルソンの出演で映画化もされた人気小説である。
本文中には学校の教科書にはあまり出てこないような単語が使われていたり、1つの文が長いところもあったりするので、最初は少し難しいと感じるかもしれない。
でも1つずつの章はとても短いので、まずは辞書を引きながら章ごとに読めるように挑戦してみよう。
A Monster Calls
著者紹介
Patrick Ness
ネスはアメリカのヴァージニア出身。ハワイやワシントンで暮らし、大学卒業後にイギリスへ移住して、現在もそこで暮らしている。
これまでに9冊の本を執筆し、そのうちの6冊がヤングアダルト小説であり、数々の国際的な賞を獲得してきた。
作品概要
怪物は真夜中過ぎに現れた。でもそれはコナーが予想していた怪物ではなかった。毎晩見る悪夢に出てくる怪物が現れたのだと思ったからだ。
でもこの怪物は違う。そしてこの怪物がコナーに求める、最も危険なものとは?
May先生おすすめの理由
この本は1つずつの文がそれほど長くないので、落ち着いて読めばちゃんと理解できるはず。
1つの文が長いとどうしても難しいと感じてしまうかもしれないが、一見長く見える文でも、実はカンマなどで文が区切られていることもある。そういった切れ目ごとに内容を理解していくようにすると、だんだん長文でも難しいと感じることなく読めるようになる。
また、英語学習法の1つとして、本書とは別に本の朗読を収録したオーディオブックも販売されているので、字を見ながら朗読を聞いて、同時に自分でも発音してみると、とてもいい英語学習になる。
A Monster Calls. Patrick Ness, Siobhan Dowd
Fuzzy Mud
著者紹介
Louis Sachar
サッカーは1954年にアメリカ・ニューヨークで生まれた。大学生時代に小学校のアシスタント教師を務め、卒業後にその体験を基にした児童書を書いた。
仕事をしながら本を々を続け、1989年からは作家業に専念している。
作品概要</stro書く日ng>
タマヤとマーシャルは小学生の頃からずっと一緒に通学している。ある日、マーシャルはいじめっ子を避けて下校するために立ち入り禁止の森に踏み入り、タマヤも嫌々ながらついて行った。
しかし2人はすぐに道に迷ってしまう。数週間が立ち、この出来事に関わるようになったアメリカの国家権力や議会は、世界の将来をも揺るがしかねない事を発見する。
May先生おすすめの理由
単語そのものはあまり難しくないが、関係代名詞が頻繁に出てくるので、苦手な人はこれを機会にしっかり学習してみよう。
関係代名詞は一度理解できれば実はそれほど複雑なものではないし、これが分かると長い文章がずっと読みやすくなる。
教科書や参考書などで基礎をしっかり押さえたら、たくさんの文章を読んで様々なパターンに慣れていこう。そうすることで、だんだんと文法を意識しなくても長文の意味が頭に入ってくるようになる。
Jurassic Park
著者紹介
Michael Crichton
クライトン(1942-2008)は作家であり映画監督でもあった。初のベストセラー本はクライトンがまだ医学部に在学していた時に出版された。後に映画と執筆に専念することとなる。
クライトンの著書の数々は38か国語に翻訳され、そのうちの13冊が映画化され、生涯で2億冊以上もの著書を売り上げた。
作品概要
恐竜のDNAを取り出しクローンを作るという驚くべき技術が発明された。
新たにオープンするジュラシックパークという名のテーマパークで、人類ははじめて恐竜をその目で見ることができるのだ。しかし、そこで予想外の出来事が発生し…?
May先生おすすめの理由
今年このジュラシックパーク・シリーズ最新映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が放映されたので、ぜひ映画を観る前に洋書に挑戦してみよう。
本書の中には専門的な単語も多く出てくるので、ある程度辞書を引きながら読み進めることになるかもしれない。ただ、分からない単語を全て辞書で引いていると、なかなかストーリーが進まず、全体的な内容が頭に入ってこないことがある。
また、例えば英語のテストでは辞書を引いて意味を確認することはできない。
だから単語を覚えるのは単語帳などを使って別の機会にすると割り切って、洋書を読むときは最低限の単語調べでストーリーを理解できるように努力しよう。
The Maze Runner
著者紹介
James Dashner
ダシュナーは1972年アメリカ・ジョージア出身。ティーンエイジャー向けの小説を執筆している。現在は妻と4人の子どもとともにユタで暮らしている。
作品概要
トーマスがエレベーターの中で目覚めたとき、唯一覚えていたのは自分の名前だけだった。そして、出会った少年たちも記憶を失っていた。
少年たちを取り囲む巨大な石の壁は、常に変化する迷路となっており、そこが唯一の出口だが、生きて脱出した者は誰もいない。
そこに1人の少女が現れる。少女がもたらしたメッセージ、それは「記憶しろ、生き残れ、そして走れ」
May先生おすすめの理由
難しい単語が出てくるところや、1つの文が長いところもあるが、カンマの区切りなどを利用して部分ごとにしっかり押さえていけば、十分に理解できるはず。
この本だけでも十分楽しめるが、シリーズ化されている作品なので、気に入ったら続編も読んでみよう。
海外にはヤングアダルト小説という、主にティーンエイジャーを対象とした小説が多くある。日本でも人気となった「トワイライト」シリーズなどがそうだ。
本作のように異世界を舞台にしたものや、ヴァンパイアなどが出てくるもの、SF系など様々で、主人公が10代の若者のことがほとんどなので楽しく読めるものが多いと思う。ぜひチェックしてみよう。
The Maze Runner Movie Tie-In Edition (Maze Runner, Book One) (The Maze Runner Series)
The House with a Clock in Its Walls
著者紹介
John Bellairs
べレアズ(1938-1991)はアメリカのミシガン出身。ゴシック系のジャンルで有名な作家である。
ノートルダム大学とシカゴ大学で学び、卒業後は教育現場で教えながら執筆活動をしていたが、1971年以降は作家業に専念した。
作品概要
孤児のルイスは叔父のジョナサンと過ごすことになる。普通の生活を想像していたルイスだったが、ジョナサンはなんと魔法使いだった!
魔法を使おうとしたルイスは、ジョナサンの家の前所有者・セレーナを思いがけず蘇らせてしまう。
そして、セレーナと夫が家の壁に残した時計が、人類を消し去ってしまう可能性があることを知る。それを止められるのはルイスだけだった。
May先生おすすめの理由
初版は1973年に執筆された作品だが、全く古い印象を受けずに読むことができる1冊。
この作品だけではなく、洋書を読んでいるとイタリック体(斜めになったような字)で書かれた部分をよく目にするはずだ。
意味を強調しようとしていたり、登場人物が考えていることを表していたりと内容は様々だが、本書のように英語以外の外国語が書かれている場合もよくある。
当然、英和辞書を引いても出てこないので、そういうこともあると頭に入れておこう。
たいていの場合、イタリック体の後に英語でも意味が書かれているので、その言語を知らなくても内容はきちんと理解できるようになっている。
Women in Science: 50 Fearless Pioneers Who Changed the World
著者紹介
Rachel Ignotofsky
イグノトフスキーは作家兼イラストレーター。アメリカのニュージャージー出身。
歴史や化学にインスピレーションを受け、昼夜問わず執筆活動やイラスト製作に取り組んでいる。現在はロサンゼルス在住。
作品概要
古代から現代にいたるまで、科学技術・テクノロジー・数学の分野に貢献した世界中の女性50人を取り上げた本。
その中には霊長類学者のジェーン・グドールや、月へ向かったアポロ11号に関わったキャサリン・ジョンソンがいる。
また、その女性たちにまつわる様々なトピックが、可愛らしいイラストとともに紹介されている。
May先生おすすめの理由
理系科目は苦手という人でも、楽しく読めそうな本だ。女性1人につき1-2ページという分量なので、長い文章を読むのはまだ苦手という人でも取り組みやすいはず。
英語力アップのためには日々少しずつでも英語の勉強を続けることが大切だ。
リーディングに関して言えば、毎日少しずつでも読んでいると頭が英語に慣れてきて、あまり日本語に訳す必要なく理解できるようになってくる。
こういった本を利用して、日々英語に触れる時間を確保しよう。
Miss Peregrine’s Home for Peculiar Children
著者紹介
Ransom Riggs
リグズは1979年アメリカのメリーランド出身。作家であり、映画監督でもある。
ケニオンカレッジでイギリス文学を専攻したあと、南カルフォルニア大学で映画を学んだ。現在は妻と娘とカリフォルニア在住。
作品概要
16歳のジェイコブは家族に起こった悲劇のあと、ウェールズの沖合の離島へと旅に出た。
そこで『ハヤブサが守る家』の残骸を発見する。探索するうちに、ジェイコブはそこで暮らした子どもたちは奇妙だっただけでなく、危険だったのではないかと考える。
そして不可能だとは分かりつつも、彼らはまだ生きているのではないか、と。
May先生おすすめの理由
映画化された作品なので内容を知っているという人もいるだろうが、原書を読んで映画との違いも楽しんでみてほしい。
1つずつの文は少し長めではあるが、単語はそれほど難しくはなく、会話もたくさん出てくるので読みやすいはず。こうした小説の中の会話文から学ぶことができる表現も多い。
場合によっては辞書に載っていない口語表現もあるかもしれないが、今はインターネットを使って日本語の意味を調べることもできる。
実際に英語で会話する機会があれば洋書から学んだ表現を使うようにすると、より忘れにくくなるのでおすすめだ。
この記事の著者:May先生
みなさん、こんにちは。Mayです。 これまでに、留学したり、独学で勉強して英検1級を取得したり、幼児英語教育に3年間携わったりしてきました。 英語はなかなか短期間で身につくものではありません。 でも自分に合った学習方法を見つけてどんどん上達していく人を、たくさん見てきました。 みなさんが英語をより楽しく身につけられるように、私の経験や知識をお伝えできればと思っています。
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