



2023年度からSATはDigital SAT(デジタル SAT)に変更になり、問題形式が大きく変わりました。
また、アメリカでもSATを任意提出から必須に戻す大学が出てきているなど、SATに関する様々なことが変わってきており、SATに関して不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
実際筆者も、手探りでSATの勉強から受験を行い、本当に不安でいっぱいでした。
今回はDigital SATを実際に受験し、1460点を獲得した筆者が、
- 旧SATからの変更点
- どんな人に何点SATが必要か
- SATの予約の取り方
- SAT対策スケジュール
など広い範囲を網羅して解説しています!
それぞれの問題を解く筆者なりのコツ・勉強法は、また別記事で掲載する予定です。そちらも参考にしてみてください。
この記事の著者:Mio
純ジャパ・海外渡航経験なし・地方在住・非IB/APでアメリカと日本の大学を併願。大学と外部団体からそれぞれ奨学金を獲得し、2024秋からリベラルアーツカレッジに進学予定。Digital SATは1320(R,M→600,720)からスタートし、1460(R,M→670,790)を取得。TOEFL 98 DET 130。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
Digital SAT(デジタル SAT)のテスト形式

概要
SATとは、アメリカのCollege Boardという教育機関が運営している大学受験のための統一試験。英語、数学がそれぞれ800点満点で合計1600満点です。
SATはTOEFLなど英語力を測る語学試験と違い、学力を測る試験です。そのため、TOEFLと比べてもかなり難しくなっています。
旧SATからDigital SATにおける変更点
2023年からSATの大きな変更点として、以下の3つがあります。
- 紙媒体ではなく、受験者が持ち込んだパソコンorタブレットでの受験になった
- セクションが3つ(①Reading ②Writing&Language ③Math)から2つ(①Reading&Writing ②Math)になった
- 1つ目のモジュールの正解率に応じて、1つ目のモジュールの難易度が変化するようになった(2つ目のモジュールが急激に簡単に/難しくなる可能性がある。)
新しい問題形式を以下の表にまとめました。
Reading and Writing Section | Math Section | |
問題数 | 各モジュール27問ずつ、計54問 | 各モジュール22問ずつ、計44問 |
制限時間 | 各モジュール32分ずつ、計64分 | 各モジュール35分ずつ、計70分 |
1問当たりの時間 | 1.19分 | 1.59分 |
配点 | 800点 | 800点 |
Digital SAT Reading&Writingセクション概要
32分の2つのモジュールの中で、各25-150words程度の27つの短文を読解します。全て4択問題で、1つの文章につき、問題は1問のみです。
Reading&Writingセクションの前半は、文章の内容を問う問題です。文章の種類としては、評論文、小説文、詩、古文などがあります。
例えば以下のサンプル問題では、短い自然科学系の評論文からこの文章のメインの目的を問われています。
後半は、文法の知識を問う問題です。
例えば以下のサンプル問題は、コンマ、コロン、セミコロン等punctuation(句読点)の使い方の知識を問う問題です。文章の内容を理解していなくても、文構造さえわかれば解くことができます。

Digital SAT Mathセクション概要
35分の2つのモジュールで、それぞれ22つの問題を解きます。選択問題と答えを入力する形式のどちらもあります。
日本の数学教育を受けていれば、かなり簡単な問題が多いです。数学が得意なら満点、苦手でも780-790は取れると思います。

どんな人に何点ほど必要?どの大学で使える?
国内の大学を受験する場合
国内大学受験にSATのスコアは必要か?
- 私立大学の英語学位プログラム/国際系学部入試、一部の国公立大学で提出必須の所があります。受ける可能性のある人はスコアを取得しておくと良いです。
- これらの英語学位プログラム/国際系学部入試は、SATスコアを取得していれば、少ない負担で受験することができます。もし、海外の大学と日本の大学の両方を受験しようと思っている場合、SATを取得しておき、そのスコアを利用して、英語学位プログラム/国際系学部入試を併願することはおススメです。
国内大学受験にSATは何点くらい必要か?
- 平均が公開されていないところが多いですが、基準が高そうな早稲田政経を参考に、1400-1450点あたりを取っておくと良いと思います。(実際筆者はSAT1460点で上智大学国際教養学部に合格しました)
- なお上智国際教養学部に1200点台で合格した人の例を聞いたことがあります。これらの大学はスコアだけで合否を決めるのではないので、スコアが低いかといって、あきらめるのはもったいないです。
大学名 | 学部名 | SAT | SAT合格者平均 | 締め切り(’23年度) | 参考リンク |
私立大学 | |||||
上智大学 | 国際教養学部 4月/9月入学 | 必須 | 不明 | 4月入学①9/20 ②12/139月入学①12/13 ②4/10 | HP |
SPSF 9月入学 | 必須 | 不明 | ①12/13 ②4/10 | HP | |
理工学部英語コース 9月入学 | 必須 SATのほかにIB/APなど必要(詳しくはリンクから) | 不明 | ①12/13 ②4/10 | HP | |
早稲田大学 | 政治経済学部 9月入学 | 必須 | 1441.3 | 2/15 | HP |
国際教養学部AO 4月/9月入学
| 4月:提出可能 9月:共テ/SAT提出可能だが、現役生は不要 | 1402 | 4月入学①9/7 筆記:10/29 9月入学①1/16 | 9月入学
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社会科学部(TAISI)9月入学 | 共テ/SAT提出可能だが、現役生は不要 | 不明 | ①1/16 ②2/15 ③5/8 | HP
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基幹理工学部 英語学位プログラム | 日本の教育制度を受けた方の出願資格はありません | ||||
創造理工学部 英語学位プログラム | 日本の教育制度を受けた方の出願資格はありません | ||||
文化構想学部(JCulP)4月入学 | スコアがある場合提出可 | 不明 | 9/7 | HP
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慶應大学 | 経済学部PEARL 9月入学 | 必須 | 不明 | ①12/1 ②1/29 ③4/4 | HP
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国際基督教大学 | English Language Based Admissions (4月&9月入学) | 必須 | 不明 | ①10/17 ②1/22 ③2/19 | HP
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国公立大学 | |||||
東京大学 | 学校推薦型選抜 工学部、法学部等 4月入学 | 任意 | 不明 | 11/7 | HP |
東京都立大学 | SAT/ACT・IB入試 理学部生命科学科 4月入学 | 必須 | 不明 | 9/5 | HP
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注意:帰国子女入試は含んでいません。
アメリカの大学を受験する場合
アメリカ大学受験にSATのスコアは必要か?
- アメリカトップ大学は任意または不要のところが増える一方で、必須や推奨している大学もあります。可能性を狭めないためにもSATは受けておくべきです。
- SATは重要とする大学と、重要としない(考慮すらしない)大学まで様々です。トップ大はあまりSATを考慮せず、州立大では重要なイメージがあります。
実際の大学のHPを見てみましょう。

これはMIT(マサチューセッツ工科大学)のHPです。We require the SAT or the ACTと書いてあるので、MITはSATを出さなければいけないということです。気になる大学のSAT要件は各自調べてみてください。
参考:Tests & scores | MIT Admissions
最近は、今ま任意提出だった、Brown University, Dartmouth University 等の有名大がSATを必須に戻してきています。最新の情報を各自確認してください。
テストはどのくらい重視されるのか?
College Dataをもとに、入試におけるテストの比重を見てみましょう。

Columbia Universityの選考基準です。Standardized Test(SAT/ACT)は考慮される(Considered)ですが、エッセイや推薦状の方がより重要であることがわかります。
参考:Columbia University Acceptance Rate | CollegeData
州立大学では、下の画像のようにSATがかなり重要な所もあります。(ただしUniversiry of California、いわゆるUC系列はSAT不要です)

University of Missouri(州立大学)の選考基準です。Standardized Test(SAT/ACT)を最重要(Very Important)としていることがわかります。
参考:University of Missouri – Columbia Acceptance Rate | CollegeData
アメリカ大学を受験する場合にSATは何点くらい必要か?
- 一般に、米大受験においては合格者平均を自分のSATスコアが超えていれば、スコアは出した方がいいと言われています。ですので、ひとまずは第一志望校の合格者平均点を目標に勉強するといいでしょう。
- また、あくまでも一般的にですが、大学合格者SATの25パーセンタイルを下回っていたら出さない方がいいと言われています。

これは、New York UniversityのHPです。
箇条書きの一番上の文章は、合格者の中で下から25%~75%に入る人は、1470点~1570点だったということです。もしあなたがNYUが第一志望だったとすると、間を取って1520点を目安の目標に設定し、勉強すると良いでしょう。
参考:NYU Facts
なお、アメリカの大学ではSATスコアがメリットスカラシップの判断基準になることもあります。セーフティ校としてメリットスカラシップを狙う時に、SATが高いとよりお金をもらえやすいと思います。筆者はSAT1460点で出願し、複数のリベカレから$52,000~$40,000の奨学金のオファーを頂きました。

イリノイ州のリベラルアーツカレッジ、Lake Forest Collegeの出している、merit scholarhip eligibilityの表です。あくまで目安ですが、SATが1420以上あると、$34,000の奨学金がもらえるようです。
参考:Scholarships | Lake Forest College
また、TOEFLなど英語足切りの代替スコアとして使えるところもあります。

University of RichmondのHPです。University of Richmondでは英語資格として、TOEFL 100点またはSAT Reading660をRequiredとしています。実際筆者はTOEFLは98でしたが、SAT Readingで670を取れたので、代替することができました。
参考:https://admissions.richmond.edu/process/international/english-proficiency.html
Columbia University等の大学も代替できるようです。
参考:English Proficiency Requirements | Columbia Undergraduate Admissions
カナダの大学を受験する場合
主要大学である、Universtiy of Toronto, Mcgill University, University of British Columbiaは不要です。ただスコアを提出することはできるようです。
参考:English language proficiency | Undergraduate Admissions – McGill University
参考:English Language Requirements – Future Students. University of Toronto
参考:International high schools – UBC | Undergraduate Programs and Admissions
ヨーロッパの大学を受験する場合
それぞれの国・大学によって、状況が異なっています。
- SATを提出することで、ファンデーションコースを免除にできる(3年で卒業できる)大学があります。
- SATを提出することで奨学金がもらえる大学があります。
- 数学を高校で履修していなかった場合、SATの受験が課されることがあります。
- SATが必須でなくても、Additional Info欄にスコアを書くことができる大学もあります。
受けたい・受ける可能性のある大学に関して、HPだけでなく各自の大学のadmission officeに直接問い合わせて確認してください。問い合わせることで、HPに書いてない情報ももらえるからです。
奨学金出願の目安
大型奨学金では、SATのスコアを出願の目安にしていることもあります。例えば、柳井正財団公募制海外大学奨学金(予約型)はSAT1400点を基準としています。(2023年の予約型)6、8月のSATまでに1400点を取ると良いでしょう。
(ですがこれより低い・スコアが無い状態で応募し、受かった先輩は何人も知っています。スコアが無いからといって出願を辞めるのはもったいないです。)
- エン財団、柳井正財団、笹川平和財団、グルーバンクロフト基金は任意提出
- JASSOはそもそも提出不可
参考:
2024年度海外留学支援制度(学部学位取得型) | JASSO
SAT対策スケジュール
語学試験とSATの優先順位は?
前提として、語学要件の取得(TOEFL/IELTS/DET)を優先してください。
SATの提出は任意なところは多いですが、TOEFL/IELTS/DETは必須なことが多いです。TOEFL/IELTSのReadingがある程度解けるように(TOEFLなら25点ほど、IELTSなら6.5ほど)なってからでないと、SATの文章は太刀打ちできません。
いつ頃学習を始めればいい?
2年生の終わり~3年生の最初あたりに始める人が多い気がします。
2年生の3月や3年生の5月のSATは、本番の雰囲気になれるためにとりあえず受けておくのがおススメです。
何回受験する?
1回で目標スコアは取れないことがほとんどなので、2回以上受ける想定でスケジュールを組みましょう。
目標スコアと取得時期
(米大向けの奨学金団体に出願される方は特に、)6月or8月のSATまでに1400以上は取ることを目標にしましょう。(上記の柳井財団のスコア基準を満たすためです。)
8月からはエッセイに集中するのが望ましいので、できれば8月、遅くても大学出願までに第一志望のmiddle 50%のスコアを取れるようにしましょう。
筆者のスケジュール
筆者は3年4月からSATの勉強を始めました。全く文章は読めませんでしたが、とりあえず受験した5月は1320でした。このスコアを柳井財団予約型に出して、書類選考に合格しました。その後8月に1430、10月に1460(自己ベスト)をとり、これを大学に出しました。(11月と12月のSATは受けましたが、下がる一方でした。)
目標スコアが取りたい時期までに取れなかったら?
アメリカの受験では、3年生の2学期になり英文エッセイを沢山執筆していく中でスコアが上がる人が多いです。そのため12月のSATまで受け続ける人も結構います。エッセイ執筆の段階の前にSAT目標スコアが取れていないことを心配しすぎる必要はありません。
また、先に述べたように、課外活動やエッセイの方が入学決定に占める重要度は高いです。SATばかりに時間を使わず、課外活動をもっと発展させる・エッセイ執筆をする方が効果的だと思います。
(筆者の友達は、3年の夏あたりまでは課外活動をしている人もいました。)
新Digital SAT受験の流れ
①受験申込
受験日の3か月前くらいから登録できます。席がすぐ埋まってしまうので、なるべく早く申込をしましょう。
My SATという、SATの受験申込と得点閲覧・送信等ができるサイトのアカウントを作ります。アカウント作成はこちらのリンクから:My SAT(検索エンジンでmy SATと検索しても出てきます。)
Create new accountからアカウントを作成します。
学校の名前を入力する所があるがありますが、名前を検索して出てこなかったら、Not Listedを選んでください。

Register for SATから申込をします。

チェックボックスがいっぱいでてくるセクションはただのアンケートなので、適当に答えるまたは飛ばすで良いです。

受験会場と日付を入力するセクションです。自分の住んでいる国を選びます。

その後受ける日付を選択します。

テストセンターを選びます。東京、大阪にテストセンターが集中しているため、地方の人は都市部に受けに行く必要があります。SATは土曜の早朝から始まるので、自宅から遠い場所で受験するなら、前泊が必要です。
前泊予定のホテルからテストセンターへの道順をGoogle Mapなどで調べたうえで、アクセスが良いテストセンター選びましょう(朝でも移動手段が複数あるか、乗り換えが少なくわかりやすい道順でいけるか、という基準で選びましょう。)。
そのテストセンターを受けたことある人からどんな受験環境だったか聞いてから選ぶとさらに安心です。

写真をアップロードするセクションがあります。
この写真は証明写真のようなものである必要はなく、自室で自撮りで大丈夫です。また、後からこの写真は変更できます。テスト前に見た目が大きく変わったら(髪を切ったなど)、写真を撮影し直し、再びアップロードするのが良いです。
テストで使うデバイスを選びます。
自分が使い慣れているデバイスを選びましょう。著者はWindowsとiPadでそれぞれ受けたことがあります。テストセンターではWiFiが使えるので、iPadはcellular(セルラー)モデルである必要はありません。

問題集を買うページがありますが、これと全く同じ問題がBlueBookという公式アプリで解けるので、買う必要は特に無いです。紙媒体で問題を見たい人は買ってもいいかもしれません。

最後に料金を支払います。
支払わないと自分の席が確保されません。受験料は、執筆当時$103で($1=150円で計算)約15,450円でした。
②Bluebookのインストール
BluebookはSATを受ける際に使うパソコンやタブレット用のアプリです。
BluebookのFull-length practiceから4つの模擬試験を受けることができます。模擬試験を受けた後は、予想点数の閲覧や問題の復習がMy SATからできるようになっています。
SATを受ける人は早めにインストールしておいてください。
ダウンロード用リンク:https://bluebook.app.collegeboard.org/

③テスト当日
タイムスケジュール
公式では、
7:45に開場、8:00に受付締め切り
8:15-8:45の間にテスト開始
となっていますが、筆者の時は7:45より前でもテストセンターに入って受付やテストの準備をすることができました。余裕をもってテストセンターへ行きましょう。
参考:What to Expect on Test Day – SAT Suite | College Board
持ち物
必須のもの:
- 3時間充電しなくても動く、かつBluebookをインストールしてあるテスト用デバイス
- 受験票(1週間前にBluebookから印刷できます。)
- 写真付き身分証明書(パスポートなど)
- 鉛筆と消しゴム
あったらいいもの:
- Math Section用の電卓(三乗根を外せるものが好ましいです。テスト中にBluebook上の電卓を使うこともできますが、筆者は使いにくく感じたので、自分の電卓を持っていきました。)
- 飲み物とお菓子(糖分を取れるもの(チョコやラムネ等)と、噛み応えがあるもの(ガムやグミ等)をそれぞれ持っていくのがおすすめです。お菓子は休憩時間中だけですが、飲み物はテスト中にも飲むことができます。)
- 予備のデバイス
参考:What to Bring on SAT Test Day
その他のアドバイス
当日のメンタルの状態が大切です。
英語の文章に抵抗感があると点数が低くなりやすいです。筆者は、英語の小説を読むのにはまっていた時期が一番高い得点が出ました。苦手意識をなるべく取り除いて、英語好き!という状態で臨みましょう。
英語の勉強の成果が出るのには時間がかかります。筆者は最初、全くSATの文章が理解できず、勉強するたびに睡魔に襲われていました。
しかし、毎朝30分勉強し続けた結果、高いとは言えませんが1460点を取ることができました。短期的に結果がでることの方が珍しいです。SATは長期的に向き合うことが大事です。
終わりに
今回は、2023年度から形式が大幅に変わった、Digital SATの概要、SATはどのような人に何点必要か、スケジュール観等を紹介しました。
SATをめぐるアメリカ大入試の状況は、刻々と変化していきます。この記事だけに頼るのではなく、様々なソースを使い、常に最新情報を得てください!



