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2023年TOEFL形式変更による時間短縮の内容
ETSのオフィシャルサイトによると、今年7月26日よりTOEFL iBT試験のテスト時間がさらに短くなり、合計2時間の試験となる。
さて、何が変わったのかを一緒に見てみよう!
試験問題の変更
- リーディング:1パッセージを減らし、2パッセージで20問になる。ダミー問題がなくなる。
- リスニング:ダミー問題がなくなる
- スピーキング:変更なし(インストラクションが短く)
- ライティング:Task 1変更なし。Task 2(Independent Task)がAcademic Discussionに変更、回答時間が30分から10分に。
現行のTOEFL試験との比較は、下記の表を参照しよう。
セクション | 現行 | 2023年7月26日以降 | ||
所要時間 | 問題数 | 所要時間 | 問題数 | |
Reading | 54–72分(ダミー有) | 30–40問 | 35分 | 20問 |
Listening | 41–57分(ダミー有) | 28–39問 | 36分 | 28問 |
休憩 | 10分 | ー | なし | ー |
Speaking | 17分 | 4問 | 16分 | 4問 |
Writing | 50分 |
| 29分 |
|
合計 | 3時間超 | 2時間未満 |
※ETS公式サイトに基づきThere is no Magic!!が作成。
その他、テストの構成、スコア計算、試験の難易度、受験料、My Best Scoreのポリシー等は変わっていない。
より具体的な情報に関して、ETSのオフィシャルサイトもチェックしておこう。
受験手続き関連
- テスト終了後その場で、スコアレポート発表日が分かる。また、メールでもスコアレポートのステータスやアップデートの通知が届く。
- 4月13日〜4月30日の間、無料で1回受験日のリスケが可能。
- 受験申込のページはこれからアップデートされる予定。
公式サイトで記載されていないようだが、2023年4月11日に中国で行われた記者会見によると、7月26日以降の受験日は午前・午後が選べるようになるらしい。
形式変更によるメリット・デメリット
メリット:受験体験がかなり改善
従来のTOEFLは、3〜4時間を要する長時間のテストであるため、受験者の精神的負荷が高く、ストレスを感じること多い。
受験者の受験体験を配慮した新しいTOEFLは、体力面が楽になり、集中力がより維持しやすく、精神的負荷が低減されるだろう。
実際Twitter上で受験生や元受験生たちの反応を見る限り、TOEFLの試験時間短縮に関して、新しいライティングタスクの問題形式について若干不安はあるが、基本的には喜びの声が多く、IELTS受験生からTOEFLに切り替えようとする声も出ているようだ。
デメリット:1問あたりの得点の比重が高くなる
ETSによると、試験の難易度や採点方法等に変更がないが、一部のセクションでは問題数が減るので、一つひとつの問題がスコアに影響するウェイトが若干大きくなると予想できる。
例えば、今までリーディングが30問(ダミーがあると40問)で30点なので、場合によって1問2問間違えても29点、30点が取れたこともありえる。
しかし、新形式になると、リーディング20問で30点・ダミー問題なしであれば、これまでと同じミスの個数で同じ点数は取れないだろう。よりミスに慎重に回答をする必要がある。
また、ライティング新形式のAcademic Discussionでは、10分で100字以上の回答を書くため、楽そうに見えるかもしれないが、10分の制限時間内、教授の話や他の学生のコメントを読んで理解した上、的を得ている回答・自分の意見を考える時間も含まれているので、タスク2が簡単になるとは思えない。
変更後のTOEFL iBTで高得点を獲得するためには、より受験者の本当の実力が求められるようになるとも言えるだろう。
受験生の対策
一番の対応策は、確実に英語力を上げていき、自分のパフォーマンスの安定化=スコアの安定化を図っていくことが大事。つまり、基本的な対策方法は今まで通りと同じ。TOEFL対策と純粋な英語力を伸ばす努力を続ければ良い。
ライティングセクションでは、時間が短くなった分、体力はあまり必要とされないが、短い時間でより集中力が求められる。
また、日本語や英語関係なく、物事に対して、しっかりと自分の意見を持ち、その意見を論理的に伝え、他者の反対意見がある場合には適切に表現する能力は、日々、意識的に培っていく必要があるだろう。
新形式のライティングタスク:Academic Discussionについて
概要
Academic Discussionとは、オンラインディスカッションに投稿するシチュエーションと想定し、先生の話と質問、他の学生(2名程度)の回答を読んで、自分の意見を述べるというタスク。
制限時間は10分で、約100ワードの回答が求められる。
参考:TOEFL iBT test Writing Question 2:Writing for an Academic Discussion task
例題
例題1:
Your professor is teaching a class on political science. Write a post responding to the professor’s question. In your response you should:
- express and support your opinion
- make a contribution to the discussion
An effective response will contain at least 100 words. You will have 10 minutes to write it.
Dr. Gupta:As I mentioned in class, governments make public policies to describe their responses to various problems that affect a community. Part of this process involves setting and defending priorities about which issues deserve the most attention and resources. For example, governments need to decide whether they should spend more money on education or on environmental protections. If you were a policy maker, which issue would you argue is more important—education or environmental protections? Why?
Kelly:We all live on planet Earth, and it is the only planet we have. Therefore, we must take care of it. Clearly, protecting the environment should be the government’s priority over education. I think the REAL question is, which approach to protecting the environment—restricting pollution, regulating population, promoting clean energy, or something else—should be the government’s priority.
Andrew: I disagree with Kelly that that the environment is more important than education. Education is actually the best way to protect the environment. Educated people can see how their decisions affect the world around them. Also, with better science and technology education, we can develop solutions to environmental problems. Therefore, I think the government should spend more money on education.
例題2:
Your professor is teaching a class on economics. Write a post responding to the professor’s question. In your response you should:
- express and support your opinion
- make a contribution to the discussion
An effective response will contain at least 100 words. You will have 10 minutes to write it.
Dr. Achebe: When people are asked about the most important discoveries or inventions made in the last two hundred years, they usually mention something very obvious, like the computer or the cell phone. But there are thousands of other discoveries or inventions that have had a huge impact on how we live today. What scientific discovery or technological invention from the last two hundred years—other than computers and cell phones—would you choose as being important? Why?
Paul: I mean, we’re so used to science and technology that we are not even aware of all the things we use in our daily lives. I would probably choose space satellites. This technology happened in the last hundred years, and it has become important for so many things. Just think about navigation, or telecommunications, or even the military.
Claire: I am thinking about medical progress. Like, for example, when scientists discovered things about healthy nutrition. I am thinking of identifying all the vitamins we need to stay healthy. I am not sure exactly when the vitamin discoveries happened, but I know they are very important. Our health is much better than it was 200 years ago.
採点基準
Independent Taskのように、導入+論点1&具体例+論点2&具体例+結論という構成は必要ではないが、採点基準は大きく変わっていない。
高得点の回答は「十分な説明や具体例」「複雑な文型や熟語等上級な英語表現」「ほぼ文法やスペルミスなし」が求められる。
出典はこちら
Academic Discussionの対策方法は?
現行のTOEFLのIndependent Writingの問題形式は、IELTSやGREなど様々な英語試験で使われているスタンダードの問題とも言えるが、素材を提供せず完全に学生自身の過去の知識や経験に依存しているライティングタスクでもある。
新形式のAcademic Discussionは、先生や生徒の話を聞いた上で、自分の意見を述べるというもの。
実際、大学でエッセイやレポートを書く時、特定のトピックについて調査や幅広く資料を読んでから自分の意見を書くことが一般的。
他者の観点の分析や批評、そこから自分の考えを展開していくという意味で、Academic Discussionのタスクはより大学でのライティングのニーズに適している。
具体的な例題解説と対策方法は、6月にTOEFL Writing 26+オンライン講座で解説をしているため、チェックしてほしい。
こんにちは!!いつもブログ拝見させていただいています!
Mybest Scoresの導入とありますが、
各セクションの最高点が合計80点を超えていれば、
そのテストでの合計が例えば78点とかでも、80点以上獲得したということで、大学に提出できるんですか?
それぞれの大学でMyBest Scoreについて違う方針がある(認める/認めない/見解を発表していないのどちら)ので、
大学のホームページを見るか、学校のアドミッションオフィスに直接に聞く必要があるよ!
感覚的には今のところ認めない学校が多い気がするね。
返信いただきありがとうございます!
大学のホームページを確認したところ
Effective August 1, 2019, the TOEFL “My Best” scores may be considered, but only in relation to the most recent score report section and composite scores.
と、あったのですが、
composite scoresとはどういうことでしょうか(><)
Composite scoreは組み合わせたスコアで、つまりMyBest Scoreのこと。
MyBest Scoreはここ2年間のテストのスコアから各セクションの最高点を選んだもので、
大学側が言いたいのは、その選ばれた最高点は直近のテストに出ているものであれば(たぶん)認めるよ、ということ。
例えば、Speakingの最高点が24だけど、それは1年半前のもので、それ以降24取ったことがない、という状況であれば、この大学はSpeaking24点として認めない可能性が高い。
出願が無駄にならないように、自分のMyBest Scoreは認められるかどうか、事前に大学のアドミッションオフィスに聞いておこう!
いつも有益な情報を提供いただき、ありがとうございます。
もし分かれば教えていただきたいのですが、昨年から新しくなったTOEFLのScore Reportには各TaskごとのScore(High, Fair, etc.)は表示されないのでしょうか。
今年の2月にTOEFLを受験し公式My Pageでスコアを確認したのですが、例えばWritingのIntegratedとIndependentそれぞれのスコアは表示されず、Writing全体の点数が表示されるだけでした。
IntegratedとIndependentどちらに注力すべきか判断できず、困っています。
御存知であれば、教えていただけますと幸いです。
Tomoriさん、質問ありがとう!
Best Scoreが導入されてから、スコアレポートでIntegratedとIndependentそれぞれのパフォーマンスは表示されなくなった。受験生にとって本当に不便だね。
そのため、二つのタスクの採点ポイントをきちんと理解して準備するしかない。
採点基準の詳細:
https://www.path-to-success.net/toefl-writing-rating-criteria
自分の弱点や注力すべきタスクを見つける方法としては、自分で分析することと、人にフィードバックを貰う方法がある。Task1やTask2を添削してくれるサービスを使って、フィードバックに応じて注力すべきタスクや改善点を見つけることもできるのではないかな!
>>にゃんこ先生
やはりそうでしたか。
おっしゃるとおり、評価指標が無くなり大変不便に思っていたところです。
ただ、これを良いきっかけとして捉えて、自分の弱点を知るべく外部への添削依頼をしてみようと思います。
ご回答いただき、ありがとうございました!!