海外留学や海外MBAを目指すうえで重要なのは学校選び。
しかし、海外の学校を選ぶうえで、一つ大変なのは情報集めである。日本語の情報も少なく、イベントや学校説明会も気づいたら終わっていることも多い。
これは、そんな学校を選ぶうえで役に立つであろう情報、サイトを、学校ごとにまとめていくシリーズ第1弾。バブソン大学から始めたい。
WEBページを行ったり来たりする手間や、有用な情報を探す手間が省け、本来やらなけれならないことに時間が使えるようになれば幸いだ。
また、ここのページに漏れており、有用だと思う情報があれば、ドシドシコメント欄に共有してほしい。
バブソン大学MBAの概要
バブソン大学(Babson College)の基本情報
基本情報
バブソン大学(Babson College)とは、アメリカマサチューセッツ州ウェルズリー市にキャンパスを構える私立大学である。
起業家精神、体験学習、リーダーシップを重視し、「Entrepreneurial Thinking & Acting」という基本理念のもと、学生に多様な状況での思考と行動を促すことを目指している。
正式名称:F. W. Olin Graduate School of Business
公式HP:https://www.babson.edu/graduate/
所在地:231 Forest Street, Babson Park, MA 02457
大学院生数:1,237名
提供プログラム:1年制MBA、2年制MBA、オンラインMBA、Finance、Business Analytics、Management等
特徴
バブソン大学のMBAプログラムは、アントレプレナーシップ(起業家精神)に特化した教育が特徴的で、US Newsが発表する「ベストアントレプレナーシップMBAプログラム」では、2023年現在、30年に渡り首位の座を守り続けている。
バブソンの授業にはアントレの文化が深く根付いており、例えば会計学の授業ひとつとっても、大企業の財務分析のみならず、ベンチャーの資金調達やIPOについて議論する機会がある。
授業外でも、学生起業の支援プログラム(The Butler Venture Accelerator Program)や起業案のプレゼン大会(Rocket Pitch Event)を始めとする実践的な機会が提供され、起業を志す者にとって間違いなく刺激的な場所である。
卒業生同士のネットワークも評判が高く、トヨタ自動車代表取締役会長の豊田章男氏や、イオングループCEOの岡田元也氏など、日本からも著名な卒業生を輩出している。
学費とクラスプロファイル
学費
- プログラム期間:21ヶ月
- 学費(2023年):$113,354(1年目$71,564、2年目$41,790)
クラスプロファイル
- 学生数(Full-time MBA):100名強
- 女性比率:33%
- 留学生比率:85%
- 平均勤続年数:6-8年
就職状況・平均給料
- 卒業後の平均的な初任給:$116,935
- 卒業3年後の平均給与:$142,871
- 卒業3ヶ月後の就職率:76%
*出典:Babson Full-time MBA Class Profile、2023年6月時点
バブソン大学のMBAランキング
#1 in Entrepreneurship U.S. News
#2 in Entrepreneurship Bloomberg US B-Schools Ranking
MBAカリキュラム
バブソンMBAの卒業には合計で45単位が必要とされる。そのうち最初の15単位は9つの分野で構成されるCore Course(必修科目)から取得する。
必修科目では、起業家精神、戦略、財務報告、組織マネジメント、ビジネス分析、マーケティング、オペレーションおよび情報管理、ファイナンスなど、基本的な経営学の知識を習得する。
そして、7-14週間の企業コンサルプロジェクトに参加する機会があり、実践的なビジネスの経験を積みながら、クライアントパートナーと協力して問題解決能力を養うことができる。
必修科目
Leading Through Opportunity and Design
- Entrepreneurship
- Strategy
- Financial and Sustainability Reporting
- Managing People and Organizations
Leading Through Innovation and Growth
- Business Analytics
- Marketing
- Operations and Information Management
- Finance
Babson Consulting Experience
- Active, project-based work with a client partner
*提携先企業で7-14週間、コンサルティングプロジェクトに参加するプログラム
選択科目
残りの30単位は以下のような選択科目から取得することになる。
1)Market-aligned Elective Course(様々な市場に合わせた選択科目):
例えば、ビジネスの戦略とゲーム理論、機械学習のビジネスへの応用、デジタル変革と企業の変革、食品分野での起業、交渉術、新規ベンチャーの創造、不動産投資の基礎など、幅広い分野を選択できる。
2)Experiential Learning(実践的学習):
これはバブソン大学のDNAとも言える授業。80以上の外部機関と連携しながら、学生コンサルプロジェクト、独立研究などの形式で、実際のビジネスの場面やワークショップなど、実践的なビジネス経験を積むことができる。
3)Intensity Track(専門領域):
バブソン大学では、特定の専門領域に集中するためのIntensity Trackが提供されている。
例えば、実際の投資ファンドを運営できるBabson College Fund(バブソンカレッジファンド)、起業のプロセスを学ぶEntrepreneurship(起業家精神)トラック、家族経営の独特の課題や戦略を理解するFamily Businessトラック、女性起業家支援のWomen Innovating Now (WIN) Labや、技術とビジネスの統合について学ぶScience, Technology, and the Enterprise (STE)等。
専攻
また、バブソン大学ではConcentration(専攻)を選択することも可能。
Concentration(専攻)は、より深い知識やスキルを開発するためのコースで、ビジネス分析、起業、ファイナンス、グローバルマネジメント、マーケティング、量的ファイナンス(STEM指定)、ビジネス分析と機械学習(STEM指定)などの選考を提供している。
STEM専攻を受講することで卒業後のOPT期間(就業可能な期間)が1年から3年に延長されるので、卒業後アメリカで就職を有利にすすめることができるだろう。
今回紹介したのは最も一般的な2年間のフルタイムMBAだが、バブソン大学には1年間の短期MBAやオンラインMBAのコースも用意されている。詳細が気になる人はホームページをチェックしよう。
バブソン大学の著名な日本人卒業生
バブソン大学の卒業生は、国際的な企業経営者や起業家をはじめ、ビジネス分野において活躍している。
日本人の著名な卒業生を以下に紹介をする。
- 豊田章男(トヨタ自動車株式会社代表取締役会長)
- 岡田元也(イオン取締役兼代表執行役社長)
- 阿部修平(スパークス・グループ株式会社代表取締役社長)
- 佐藤誠一(佐藤製薬株式会社代表取締役社長)
- 村田純一(村田機械株式会社代表取締役会長)
- 清水陶治(東宝不動産株式会社代表取締役元会長)
バブソン大学MBAに留学する理由
起業教育ランキングNo.1
Babsonは起業を学ぶ場所としては世界一。
起業家精神を育むカリキュラムが充実していて、カリキュラム全体を通じてEntrepreneurial Thought & Action® (ET&A™)という教育方法が採用され、起業家に必要な能力、行動力が身に付くよう、すべての授業がアントレプレナーシップの観点から設計されている。
1年目の一学期からEntrepreneurの授業が必修であり、自分のアイディアのピッチやグループで新規ビジネスのアイディアを考えプロトタイプを発表する。
必修以外にもNew Venture CreationやFinance for New Ventureなどの人気の選択科目では、フィールドワーク中心にビジネスプラン、資金調達チーム編成、プロモーション戦略など様々な面で幅広く、アントレを高いレベルで学ぶことができる。
コワーキングスペースだけでなく、ハッチリーと呼ばれる無料のオフィススペース、ローンチパッド(授業以外での起業クラス)、Summer Venture Programなど、起業を目指す生徒の支援制度も豊富だ。
少人数・ダイバーシティのあるMBAプログラム
ビジネスがますますグローバル化する現代において、バブソン大学は国際化を重視している。
アメリカのMBAでは珍しく、留学生が80%以上とインターナショナルな環境だ。多様な背景と視点を持つ学生との交流を通じて、グローバルマインドセットを養う。
クラスサイズは100名強と教授と学生同士の距離は近く、グループワークも多いため親密な関係を作りやすい。
ファミリービジネス出身や起業経験者、起業志望のクラスメートも多いため、アントレ思考であれば同じパッションを持った同士や仲間と会えることだろう。
ボストン郊外という立地
バブソン大学は、アメリカのビジネスの中心地であるボストン近郊、ボストンから車で30分程度のWellesleyという町に位置している。
ハーバードやMIT、タフツといったトップスクールを有するボストンは、イノベーション、テクノロジー、金融などさまざまな産業が盛んであり、起業家やビジネスリーダーが集まるエコシステムが形成されている。
学内だけでなく、ボストン市内でもスタートアップ、ソーシャルイノベーション関連のイベントも多く、ネットワーキングにも便利なロケーション。
若干家賃は高いが、学術都市のボストンは治安も良く住みやすい都市として評判がある。
バブソン大学の偏差値は?出願の難易度や入学条件
海外の大学には、偏差値とという概念がないため、出願の難易度は出願の要件から判断することになる。
MBAの難易度と出願要件
バブソン大学MBAへの出願で必要なものは以下の通り。これはほとんどのMBA留学準備では同様となる。
このように、海外のMBA進学の難易度は、英語力や学力の証明など各種スコアの準備やエッセイ、インタビューなどの準備がハードルとなってくる。
- TOEFL又はIELTS
- GMAT又はGRE(オプショナル)
- ショートエッセイ(Short answer questions)
- 推薦状1通
- 英文レジュメ
- 成績証明書
- エッセイ(オプショナル)
- インタビュー
- 100ドルのアプリケーションフィー
- 平均GPA(またはレンジ):3.22
- GMAT平均スコア(またはレンジ):640
- GRE平均スコア:N/A
- 最低語学要件:TOEFL iBT 100、IELTS 7.5、Duolingo English Test 130
就労経験は出願要件に含まれないものの、必要書類の一つである推薦状はnon-academic、つまり学業以外の経験に基づいている必要があるため、実質的には就労経験がある学生を想定している。
入学者の平均勤続年数が6-8年であることからも、就労経験がある学生を受け入れていることがわかる。
稀に新卒でMBAプログラムに入った学生もいるが、彼らはファミリービジネスを持っているか、在学中多くのインターンシップで実務経験を積んできたケースが多い。
出願準備はTOEFL対策から
留学経験や海外経験がない人にとって一番大切なのは、いつ留学したいかを明確に決めて、早めに英語試験の対策を始めることだろう。
帰国子女が数ヶ月で終わらせてしまうような対策に、海外経験のない日本人は2-3年かかってしまうことも多い。
英語試験はやり方を間違えなければ必ず成果を出せるもの。このサイトでは、MBA留学準備に必要な情報を網羅的に提供しているため、リンク先から学習方法などを参考に対策を始めてほしい。
出願の流れ
出願の流れは、英語試験等をクリアし関連書類の準備→出願→面接→合否、となる。
出願締切日は10、1、3、4、5月の5回に分かれている。なお5月以降もrolling admission方式(定員が埋まるまで出願を受け付けること)で出願を受理している。
スケジュールは毎年変わるため、入学方法の詳細は以下から確認しておこう。
エッセイ対策
バブソンのショートエッセイは、今後のキャリアプランや、過去の失敗談、学びやチャレンジ等を聞くことが多い。回答する際には、具体的な事例やエピソードを挙げることで説得力を持たせることが重要だ。
いくつかのエッセイ問題(出典はこちら)を一緒に見てみよう。
例えば、バブソン大学の理念を踏まえた上で、卒業後のキャリアプランについて記述する項目。
Babson College educates entrepreneurial leaders who create great economic and social value everywhere. Using Babson’s mission, describe your short-term and long-term goals and how your goal(s) align with this mission. How do you intend to leverage Babson’s resources to support your ambitions? (300 words or less)
他大学出願時のエッセイの使い回しが難しいため、ホームページなどでバブソンの理念をしっかり理解した上で、自分が成し遂げたいことがバブソンの理念とどのように一致しているか、バブソンのリソースやプログラムをどのように活用するかを具体的に記述しよう。
また、自身の学びを実践に活かすことや失敗の経験が聞かれる項目。結果だけでなく、自分の取った行動やそのプロセスについても記載することが好ましい。
失敗談に関して、その経験自体の記述は簡単に済ませて、経験からどんな学びを得たのか、同じ状況に直面した場合今後どのようなアプローチを取るかを示すという点に、力点を置いて記述するのが好ましい。
Share one thing that you have learned about yourself since starting your most recent job/college. How has this learning impacted other decisions or actions? (150 words or less)
Tell us about a mistake you have made either personally or professionally, and how you learned from it. Looking back, what would you do differently now? (150 words or less)
他の項目ではカバーしきれなかった自身の経験や性質について。重要なのはエッセイ全体のバランスであり、もし他の項目で仕事上の成功について記述したのであれば、ここではより個人的、私的な経験に焦点を当ててアピールするのが好ましい(逆も然り)。
What are three fun facts about yourself that you would like to share with the Admissions Committee? (150 words or less)
面接質問集
在校生(MBA)が面接官でした。インタビューの直前に私のレジュメを軽く読んだと思います。面接はオンラインで受けました。
インタビューは全部で50分ぐらいです。聞かれた質問は以下の通り。雰囲気はかなりフレンドリーで、英語を話すスピードはかなり早かったです。
- Introduce your background.
- Why MBA.
- What is your short term goal and long term goal
- Why Babson.
- Leadership experience.
- Conflict experience.
- About your characteristic(what you want to change, and what you do not need to change)
- Any questions.
バブソン大学MBA日本人向けの情報
日本人向けサイト
https://www.babson-japan-unofficial.com/
多くの海外MBAは日本人向けのアンオフィシャルサイトがある。
学校の特徴や合格体験記に目を通すと、どんな人がいるのか、どんなことに力を入れているのかがわかる。
日本人のブログ
- Every day is a new day (class of 2019)
- 日本の農業で世界へ~起業の記録~ (Class of 2017)
- Life with MBA and more (Class of 2014)
- Put up or shut up (Class of 2013)
- ほぼ週刊MBA留学ノート (Class of 2012)
- 上昇思考(Class of 2012)
- アメリカから世界をみる バブソンMBAのブログ(Class of 2011)
- アントレプレナーへの階段 (Class of 2011)
- バブソンMBAのベンチャー日記 (Class of 2011)
- Babson CollegeのTwo-Year MBA Programに通う学生達の日記(Class of 2007)
これで全てではないかもしれないが、日本人の私費や社費の先輩たちが、趣味、自己満足、後輩たちのために受験準備・合格体験談をブログに書いてくれている。
全部読む必要はないが、気になっているMBAの日本人ブログを読むと、英語の情報を読むよりサッと頭に入るから時間の節約になる。
あとは海外生活とか、どんな授業があるのかというような記事も、暇つぶしにはちょうど良い。
大学院、MBAイベント情報
https://www.babson.edu/admission/graduate/Pages/admissions-events.aspx
Akio Toyoda MBA’82 at Babson’s Centennial Commencement
終わりに
今回はバブソン大学MBAについて網羅的な解説をした。
情報は毎年変わるため、必ず最新の情報をHPで確認しよう。
MBAのイベント情報などは、Twitterでも随時情報発信しているため是非フォローしてほしい!
質問です。アントレが強いとどこの大学も言いますが、どうして皆さんバブソンを選ぶのでしょう?
私はバブソン、ESADE、IEをアントレ軸で受けたいと思っていますが、ランキング的にベストはIEだと感じています。
ニャンコ先生、皆さまから助言を頂けますと幸いです。
こんにちは、良い質問だね。
その選択肢の中からバブソンを選ぶという観点から答えると、下記の2つかな。
・アントレNo.1
・アメリカのMBA
どこもアントレが強いとは言うけど、バブソンはアントレランキングが圧倒的No.1ということは事実。単にアントレが強いと言っているだけでなく、世間から認められていて客観性があるよね。
https://www.babson.edu/about/news-events/babson-announcements/us-news-best-undergraduate-schools-entrepreneurship-ranking/
また、今後のキャリアを考えた時、やっぱり使いやすいのはアメリカのMBAだと思う。日本の強い外資系はほとんどアメリカ資本だし、そういう会社や、アメリカ人上司はアメリカのMBAの方が親近感がある。また、アメリカの大学は卒業生の基盤も大きく、世界中に散らばっているので、ひょんなことから縁がつながるなんてことも考えられる。ランキング高めのアメリカ以外の学校に行くより、ランキング100位以内のアメリカの学校に行ったほうが、今後のキャリアは作りやすい(特に外資でのキャリアアップ)と感じる。
一方で、スペインはバブソンのあるボストンよりも、天気も良く過ごしやすいというメリットはあるかもね。食べ物もアメリカよりスペインの方が断然に美味しいはず。さらに、期間的にもアメリカより短いので、学費や家賃も2/3ぐらいで済むのではないかな。そう言った面も学校選びひは絡んでくる要素だと思うよ!