海外留学や外資企業就職時に英語力の証明として利用されるTOEFLスコア。
海外では非常に知名度の高い試験ですが、日本では同じETSが運営するTOEICに比べて知名度が高くなく、詳しい情報もあまり出回っていません。
本記事では、社会人がTOEFL高スコアと言われている100点をとるための学習方法や時間、費用などの情報をTOEFL103点を獲得した私の実体験を踏まえて紹介します。
この記事の著者:ゆう
日本生まれ日本育ちの社会人、にゃんこ先生の元生徒です。学生時代に英語学習に打ち込むも成果を出せず、入社時点のTOEICは480点でした。今までのやり方を見直して効率性の高い学習方法を追求した結果、TOEIC895点・TOEFL103点を獲得。海外駐在を経て現在も海外に携わる仕事をしています。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
社会人がTOEFLで100点をとるメリット
海外トップスクールへの留学が選択肢に
社会人がTOEFL iBTを受験をする目的の大半は、海外留学準備のためでしょう。私も最初にTOEFL受験を始めた理由は、勤務先の社費留学にエントリーするためでした。
大学側は留学プログラムの質を維持するためにも入学希望者に対して一定水準以上の英語力を求めています。
大学によって要求スコアは異なりますが、100点以上を保持していればUC Berkeley University (Haas)やLBS、IE Business Schoolといった欧米のトップスクールも留学先候補に入ってきます。
社内評価UPで海外駐在も視野に
TOEFLスコア100点があれば、勤務先に高い英語力をアピールすることができます。
私の勤務先では語学力を記載する人事資料にTOEICだけでなくTOEFLスコアも入力する欄があり、海外駐在を含む人事異動を決める上で重要項目になっています。
海外勤務を目指す社会人にとって、ライバルが既に高スコアを獲得しているTOEICではなかなか差別化を図れません。一方でTOEFLスコア100点という実績は、ライバルに大きな差をつけることができるでしょう。
私も当初の海外留学という目的は達成できませんでしたが、過程でTOEFL103点をとったおかげで勤務先から英語人材と評価され、海外接点の多い部署で毎日英語漬けの日々を送っています。
実践的な英語力が身につく
TOEFLで100点をとるには、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能で一定水準以上のスコアを確保する必要があります。
裏を返すとTOEFLで100点を取得できれば、総合的かつ実践的な英語力の土台ができ上がっています。
私もTOEFL学習を続ける中で100点超えを達成した頃には、ビジネス現場で英語を理由に業務推進で苦労する機会がグッと減っていました。
社会人が独学でTOEFL100点を目指せる?
結論から言うと、後ほど紹介する「適切な目標スコア設定」と「正しい学習ステップ」を踏まえて取り組めば独学でもTOEFL100点獲得は十分可能です。
私も社会人になったばかりの頃はTOEIC400点台とお世辞にも英語が得意ではありませんでした。
それでも英語基礎力を身につけてTOEIC860点超えを達成してから本格的なTOEFL対策に取り組み、5回目のTOEFL受験で103点を獲得しました。
独学で100点をとるまでにかかる勉強時間
前章では独学でもTOEFL100点を狙えるとお伝えしましたが、目標達成までにどのくらい勉強時間がかかるのか気になる人も多いと思います。
私の実体験を踏まえて、1日3時間ほどを英語学習に費やせる前提で、TOEFL100点獲得にかかる勉強時間の目安を紹介します。
平日は仕事が忙しく1日3時間も学習時間を捻出できないと悩んでいる社会人の方は、後述の「社会人の時間活用方法」を参考にしてください。
英語基礎力が十分ではない人(目安としてTOEIC860未満)
TOEFL試験ではかなり難易度の高い英文やリスニング音源が用いられているため、英語基礎力が十分でない人がいきなりTOEFLに特化した対策に取り組んでも十分な成果を上げることはできません。
中高レベルの英単語・文法知識の習得、自分の英語レベルに合った音源教材を用いたオーバーラッピング・シャドーイングなど実践的なリスニング学習を通じて、リーディング・リスニング基礎力を身につけるところから始めてください。
現状の英語レベルなど個人差はありますが、英語基礎力を身につけるまでに1年〜2年程度かかるでしょう。
私の実体験として、私のTOEICスコアがまだ500点半ばの頃に興味本位でTOEFL参考書を読んで、内容が全く理解できずショックを受けたことがあります。
その後、TOEIC860点超えを達成し、社費留学を目指す中で本格的なTOEFL対策に着手したところ、過去に全く理解できなかった参考書にもなんとか食らいつくことができました。
TOEIC対策がTOEFL対策に直結する訳ではありませんが、一つの目線としてTOEIC860点超え程度の英語基礎力が備わっていれば、TOEFL学習にも対応できると思ってください。
上述の通り英語基礎力を習得したら、いよいよ本格的なTOEFL対策を始めます。
ライティングやスピーキングといったアウトプット学習に加えて、TOEFL試験の出題傾向や時間配分を把握します。
TOEFL100点レベルの英語力を身につけるには、更に半年〜1年程度の期間を費やすことになります。
私の実体験としては、TOEIC400点台から860点超えを達成するまでに約1年、本格的なTOEFL対策に移行してから100点超えを達成するまでに10ヶ月かかりました。
英語基礎力がある人(TOEIC860以上)
上述の通り、既に基礎力がある人はすぐにTOEFL対策に取り組むことができます。
そのため、現時点でTOEIC860点以上のスコアを持っていれば、半年〜1年程度の勉強期間で100点を達成できるでしょう。
短期スコアアップを目指すなら予備校や塾の活用も検討
本章で紹介したとおり、特に英語の基礎作りから始める人が独学がTOEFLで100点超えを達成するには年単位の時間がかかります。
なるべく短期間でスコアアップを目指したいのであれば、TOEFL塾の活用も選択肢に入ってくるでしょう。
巷では数多くの企業がTOEFLやIELTS対策を含む英語予備校を運営していますが、日々仕事で忙しい社会人であれば、学習時間を捻出しやすいオンライン受講可能なスクールから優先的に選択することをおすすめします。
私は学生時代から400〜500点台で低迷していたTOEICスコアを社会人になってから独学で860点超に改善できた経験から、TOEFLも独学で攻略できるはずと信じて予備校の活用を検討しませんでした。
結果的に独学で100点超えを達成できましたが、予備校を利用していればもっと短期間でスコアアップを実現できていたかもしれません。
TOEFLで100点をとるまでにかかる費用
独学でかかる費用は基本的に参考書代と受験料のみ。TOEFL受験料は1回当たり245ドルとTOEICに比べてかなり高額です。
私の実体験ではTOEIC865点を取得後にTOEFL試験対策を始めてから参考書代として2万円、TOEFL受験料(5回分)として当時の為替レート換算で約13万円の計15万円かかりました。
私が参考書代を比較的低めに抑えることができたのは、中国TPOを最大限活用したためです。
中国TPOでは数十回分のTOEFL試験問題が無料公開されているので、独学でTOEFL100点を目指す方は必ず活用してください。
予備校を利用する場合、上記の参考書代と受験料に加えて予備校の受講料金がかかります。
受講料金は予備校やプログラム内容(期間・レッスン形式・講師など)によって大きく異なりますが、相場感としては10〜50万円ほどになります。
TOEFLで100点をとるためのスコア配分
TOEFL100点は、単純計算だと4技能の各パートで25点を取れば達成できますが、スピーキング25点を前提としたスコア配分は、純ジャパ社会人にとってあまり効率的ではありません。
TOEFLスピーキングでは、「概要把握」「流暢さ・聞き取りやすさ」「語彙力・文法力」「話の展開・具体性」の各項目を4点満点で評価され、最終的なスコアが決まります。
TOEFLスコア基準表の通り、4点はネイティブ並みのスピーキング力、3点でも相応のスピーキング力が求められているため、英語を話すことに慣れていない人が20点後半のスコアを目指すのはかなりハードルが高いのです。
私が考える一般的な日本人が目指すべきスコア配分は「R:27、L:27、S:21、W:25」です。ここから得意不得意を踏まえて±1〜2点の調整をして、自分に合ったスコア配分を設定してもよいでしょう。
日本人が比較的得意とするリスニングとリーディングで苦手なスピーキングの穴を埋めれるだけの高スコアを確保しつつ、ライティングでは25点を目指します。
TOEFLライティングでは、TOEFLスコア評価基準に基づいて5段階評価で採点されます。
私たち日本人が最高評価の5点を獲得するのは容易ではありませんが、4点であれば多少の文法・構文ミスや分かりにくい表現があっても許容されます。平均4点を確保できればスコア25点を獲得できるため、純ジャパでも十分狙える水準と言えます。
リスニングやリーディングで30点満点を狙う戦略もありますが、私の経験上、両パートで安定して28点以上を獲得するのは相応にハードルが高く、ライティングとスピーキング対策に時間を費やした方が100点獲得の確率は上がると考えます。
日本人が苦手意識を持っているスピーキングとライティングですが、TOEFL試験に特化した対策をとれば、上記スコアは十分射程圏内です。
私のTOEFLスコア推移ですが、リーディング・リスニング対策に重点を置いて臨んだ初回スコア「R:27、L:25、S:19、W:19、Total:90」でした。
ここからスピーキングとライティング対策に時間を割きつつ、隙間時間を活用してリーディングとリスニング学習も継続した結果、少しずつスピーキングとライティングのスコア改善していき、受験5回目で「R:26、L:28、S:23、W:26、Total:103」と100点超えを達成しました。
TOEFLで100点をとるためのおすすめ対策ステップ
ステップ1:単語
TOEFL試験対策で真っ先に取り組むべきなのはTOEFL頻出英単語の暗記です。
TOEFLでは、歴史・芸術・地学・天文学など普段の生活では馴染みのないアカデミックな内容が出題されます。
TOEFLは英語力を測る試験のため、各科目の基礎知識がなくても問題を解けるようになっていますが、そもそも専門用語の英単語を知らないと読み聞きとりすらできません。
まずはTOEFL用英単語帳を1冊用意して、語彙を増やすことに専念してください。
おすすめは「TOEFLテスト英単語3800」という単語帳です。TOEFL業界で最も有名な参考書の一つですが、実際に私もこの単語帳のレベル3単語まで暗記して103点を取得しました。
TOEFL対策に限らず英語学習で最も挫折しやすいのが単語学習ですが、このステップをしっかりこなすことで、後続の学習効果が飛躍的に向上します。
当時の私の学習方法として、各英単語の類義語を単語帳の余白に書き込んでいました。TOEFLでは同じ意味を持つ英単語が複数出題されるため、類義語まで一纏めで覚えることで効率的に語彙力を伸ばせるようになりました。
ステップ2:リスニング
TOEFLの基礎語彙力を習得したら、次にリスニング対策に着手します。理由はリスニングパートが重要な得点源であるだけでなく、リスニング力がライティングとスピーキングの試験パートでも要求されるためです。
両パートでは問題文だけでなく英語音声を聞いた上で回答しなければならない設問が含まれていて、リスニング力が不十分だとそもそも問われている内容を理解できません。
当時の私は、TOEFLリスニング問題が多数収録されている「TPO Listening for TOEFL Plan」という無料アプリを使って、毎日の通勤時間や隙間時間をリスニング学習の時間に充てていました。
TOEFL形式のリスニング音源を利用することで、英語リスニング力の強化に加えてTOEFLで出題されるアカデミックな内容の基礎知識も身につき、学習効率を高められるのでおすすめです。
ただし、上記紹介のアプリはアンドロイド非対応なので注意してください。
当時の私の学習方法として、リスニング学習時は必ず設問パートまで1セットで取り組んでいました。通勤時などの隙間時間も利用していたため、リスニングに集中せずつい聞き流してしまうことも少なくありませんでした。
しかし、TOEFLリスニングの設問パートまで通して取り組むようにしたところ、問題を解かなければいけない緊張感から本編パートも集中力を切らさずにリスニングできるようになり、学習の質向上に成功しました。
ステップ3:リーディング
リスニング対策の次に着手するのはリーディング対策です。余裕がある人はリスニング対策と同時に始めましょう。
リーディングは多くの日本人が一番得意とするパートであり貴重な得点源です。裏を返すとリーディングスコアが不安定なままだとTOEFL100点は非常にハードルが高くなるためしっかり対策していきましょう。
TOEFLリーディングで最も注意すべきは時間配分。
1パッセージ当たり700語前後・10問のボリュームをわずか18分間で解かなければならず、本文を何度も読み返したり一言一句完璧に理解している時間的余裕はありません。
事前に設問内容を理解した上で本文に目を通しつつ、回答に関係ありそうな部分を集中的に読み込むことで、効率的に問題を解いていきます。
中国TPOなどTOEFL形式の問題を時間を意識して解く訓練を繰り返して、自分なりの回答ペースを掴んでください。
また、リーディング問題を数多く解いていくと、自分の得意・苦手ジャンルが見えてきます。
私の場合、歴史・芸術ジャンルの正答率が低かったため、途中から同ジャンルの問題を集中的に解いて、TOEFL試験本番のスコアの揺れを抑えるように心がけていました。
ステップ4:ライティング
リスニング・リーディングの合計スコアが安定して40点を超えるようになったら、ライティング対策に取り組みます。
ライティングは正しいやり方で対策すれば、短期間で大幅なスコアUPを狙えるパートです。
私自身、初回のTOEFL試験では19点でしたが、本格的にライティング対策を行った結果、2回目以降は安定して25点以上をキープしつつ最高27点を獲得できました。
リスニング・リーディングに加えてライティングでも目標レンジのスコアを安定して獲得できるようになれば、TOEFL100点が一気に現実的になります。
ステップ5:スピーキング
ライディング対策が終わったら、最後にスピーキング対策を行います。
スピーキングは他パートに比べて安定して高スコアを維持することが難しいため、全体の足を引っ張らない20〜22点の維持を目指します。
一方で、このスコアレンジを取れる実力が身につけば、試験問題の相性次第では23点以上をとる可能性もあります。その場合、仮に他パートで目標スコアに届かなくてもスピーキングで穴埋めできるため、試験を受けつづければ100点を達成できます。
当時の私の学習方法として、TOEFLスピーキングでは表現の豊かさも評価項目に含まれているため、ネイティブが使う汎用性の高いフレーズを複数ストックして使いこなせるようにしていました。
私たち純ジャパが自力でネイティブ表現を思いつくのは至難の業です。あらかじめ自分が使いやすいネイティブフレーズをいくつか手元に用意しておくことで、本番で表現豊かな回答ができるようになります。
社会人の時間活用方法
前章でおすすめの学習ステップを紹介しましたが、仕事で忙しい社会人にとっては肝心の学習時間を確保することが容易ではありません。
本章では、私が10ヶ月間のTOEFL独学期間中に実践していた時間活用術を紹介します。
早朝時間(2時間)
毎日安定して学習時間を確保するためには、生活リズムを夜型から朝型に切り替えることを強くおすすめします。早朝時間であれば、急な残業や飲み会の誘いなどで学習時間が潰れてしまう心配がありません。
私もTOEFL対策を始めた当初は仕事終わりの夜時間を英語学習に充てていましたが、仕事の疲れからあまり勉強に集中できませんでした。
そこで思い切って平日夜は最低限の勉強だけで済ませて22時ころに就寝して翌朝5時に起きる習慣に切り替えた結果、疲れもなく英語学習に集中できる時間を安定して確保できました。
早朝時間は特に頭が冴えているため、リーディング中心に中国TPOで各パートの実践問題を時間制限付きで通して解く時間に充てていました。
通勤時間(1時間)
当時は通勤に片道30-40分ほどかかっていましたが、歩いている間はTOEFLアプリでリスニング学習、電車に乗っている間は単語帳で語彙力強化に充てることで、合計1時間ほどの学習時間を確保していました。
昼休憩時間(0.5時間)
十分な昼休憩時間を取れない日もありましたが、時間を確保できた日には早朝学習で解いたリーディングパートの本文やライティングパートの解答文例をスマートフォンでチェックしていました。
一度解いた問題を少し時間を空けて同日中に復習する学習法は、格段に記憶の定着が深まったので非常におすすめです。
就寝前時間(0.5〜1.5時間)
前述の通り早起きのために夜時間にはあまり学習予定を詰め込まず、就寝前30分間を英単語学習に充てていました。
一方で、仕事が早めに終わった日やTOEFL試験が近い期間などは、各パートの大問を1〜2つ選んで練習問題として解いていました。
まとめ
本記事では、社会人がTOEFLで高スコアを獲得する上で必要な情報を紹介しました。
TOEFLはとても難しい試験ですが、正しい努力を続ければ必ず目標スコアを獲得できます。
さらに、TOEFL対策は実践的な英語力の習得にも繋がるメリットの多い英語学習なので、ぜひ目標スコア達成に向けて頑張ってください。
現在TOEFLスコア80を目指して勉強してます。
しかし、TOEFLリスニングがちんぷんかんぷんで全く聞き取れる気がしません。
今は難易度を落として速読英熟語のオーバーラッピングをしていますが、なんとかTOEFLにくらいついてリスニング勉強をしていくか、もしくはVOAとかを使ってリスニング慣れしてからTOEFLに入るかどちらが良いでしょうか?
ちなみに内容的にはVOAよりted edの方が興味はあります。
よろしくお願いします。
theiさん、質問ありがとう!
現在のご状況を考えると、まずはリスニングに慣れ、基本を固めるのが良い。
興味のある内容から学ぶことで、学習のモチベーションも保ちやすくなるので、TED-Edにしたほうが良いと思う。
合わせて少しづつでよいのでTOEFLの音源で精聴を続けるのがおすすめ。
ある程度慣れてきたら、TOEFLのリスニング中にメモを取る練習をぜひしてみよう。
TOEFLリスニングでは、情報を聞き取りながら重要なポイントをメモする能力が求められるので、普段から鍛えることで、試験中もパニックにならずに情報を整理することができる。