イギリスの大学への入学は日本の高校生にとっては他の国の大学、特にアメリカに留学するよりハードルが高いと思われています。
これには日本やアメリカとイギリスの制度や学習内容の違いなど、いくつかの理由があります。
ですが、近年はさまざまな方法が新たに作られ、数年前より断然イギリス留学に挑戦しやすくなりました。
この記事ではイギリス大学留学の特徴と、実際に留学する方法をご紹介します。
この記事の著者:みはる
初めまして、みはると申します。私は現在イギリスの大学でイベントマネジメントを学んでいる現役留学生です。留学は正規留学と呼ばれる方法で行なっていて、日本の大学などを通さず、海外大学に在籍、卒業する留学方法です。私自身これが初めての留学であり、イギリス大学入学前は普通の日本の高校に通う、日本から一度も出たことのない高校生でした。留学を考えているみなさんが知りたい情報をわかりやすく発信できればと思います。
目次
留学前に知っておきたい:イギリスについて
イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの地域から成り立つ連合王国で、地域によって政治や教育のシステムに違いがあるので少し注意が必要です。
日本人の留学先としては、大都市の多いイングランドが主流です。
一方で、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドは、イングランドと違った独自の民族意識、文化、歴史を持つ地域。都会より静かな場所を好む人に向いていると思います。
また、「娯楽が比較的少ない街で勉強に集中したい」、「日本人が少なく英語の習得環境に適している」などという理由で、イングランド以外の地域を選ぶ人もいます。
必要であれば、簡単にロンドンやイングランドの他の地域に行くことができます。
[首都ロンドンからの移動時間] | |
ウェールズの首都カーディフまで | 電車で1時間50分 |
スコットランドの首都エジンバラまで | 国内線でおよそ1時間25分 |
北アイルランドの首都ベルファストまで | 国内線でおよそ1時間25分 |
イギリスの教育システムの特徴
日本の高校からイギリス大学への進学は複雑で難しいと思われがちです。これはイギリスの教育制度が日本のものとは違うのが原因です。
日本では6歳で小学校に入学し、18歳で高校卒業、大学に入学します。一方イギリスでは小学校入学が5歳です。
つまり日本では大学入学までの教育が12年、イギリスでは13年行われています。
そしてイギリスの学生は大学入学前の13年の間に、日本で大学1年生が学ぶ一般教養科目も履修しています。
この一般教養科目履修の有無という違いを埋めるために、ファンデーションなどのステップが含まれるため、イギリス大学留学は複雑に見えるのです。
イギリスの大学の特徴
一般教養科目がなく、3年で卒業できる
イギリスの大学では自分が専攻した分野に関する専門科目のみ勉強し、一般教養科目の履修がありません。
また、日本やアメリカと比べて1年短く、3年で学士を修了することができます。
そのため、すでに大学で学びたいことが決まっている人にとっては最適な場所ですが、まだ何をしたいかわからないという高校生には志望学科を選ぶのが難しいかもしれません。
ただイギリスの大学では、学科が細分化されており、日本ではなかなか見かけない学科も多いです。
例えば、日本では、看護を学ぶには看護学科一択です。
しかしイギリスには大人の看護、子供の看護、障害者の看護、精神患者の看護などの分野に分類されています。
このように数えきれないほどの種類があるので、自分が大学で何を学びたいかわからない人でも、興味のある学部を見つけられるかもしれません。
私自身、日本の大学を探している時は自分がやりたいことが全くわかりませんでした。
しかし、イギリスの大学では面白そうな分野が見つかりましたし、同じ学部でも大学によって履修する授業や課題形式が異なるため、志望校もすぐに決まりました。
日本の高校から直接大学進学ができない
前述のように日本とイギリスでは教育制度が違うため、基本的には日本の高校から直接イギリスの大学への進学はできません。
イギリス大学の入学にはA-levelやIB(国際バカロレア)またはそれと同等の資格(日本の大学での一般教養科目の履修)が求められますが、日本の高校生がA-levelやIBを取得するのは困難です。
A-Levelはイギリスの学生が大学進学のために取得する資格です。
テストを受けることで日本の高校生にも取得が可能ですが、独自でのテスト対策は難しいでしょう。
そのため、もし日本で取得する場合は、認定を受けた高校やインターナショナルスクールに通う、または学校とは別に専門のオンライン授業を受講し試験対策をする必要があるので日本の高校生には取得のハードルが高いでしょう。
IB(国際バカロレア)は国際的な大学入学資格を証明する試験で、日本の高卒認定試験と同じような役割を果たします。
日本でもいくつかの高校や中等教育学校、インターナショナルスクールなどでIBの勉強と受験が可能ですが、とても限られた数しかなく、A-Level と同じく特に地方に住んでいる方などは取得が難しい資格です。
ただ、IBやA-Level の条件を満たしていない留学生のためにファンデーションやInternational Year Oneという制度があるので、無理をしてA-LevelやIBの資格を取る必要はありません。
2科目を専攻できるジョイント・ディグリー
ジョイント・ディグリーは、「化学と物理学」「経営学と会計学」「国際関係学とジャーナリズム」のように2つの科目を専攻することができる学位です。
他の人1つの科目を専攻するのに対して、2科目専攻するということで、「広く浅く」知識を学ぶことになりますが、 幅広い分野を勉強したい人にはオススメです。
費用
学費
イギリスの大学の場合、学部や専攻によって学費が変動することが多いです。文系分野よりも、理系分野の方が学費が高い傾向にあります。
大学名 | 学費 |
University of Oxford | £33,050~£48,620(参考) |
University of Cambridge | £25,734~£39,162(参考) |
UCL | £28,100~£41,000(参考) |
The University of Edinburgh | £26,500~£34,800(参考) |
上記の表にはいれていませんが、参考までにUniversity of Cambridgeの医学部・獣医学部は年間67,194ポンド(約1337万円)です。あくまで一例ですので、事前に志望校の学費は確認しておきましょう。
また、ファウンデーションコースは、上記の学費と異なる場合があります。各学校のHPを確認してみてください。
生活費
生活費は日本に住んでいてもかかるわけですが、イギリスの大学生の1年の平均生活費は12,200ポンド(約242万円)。
ロンドンは物価や地価が高いので、平均は15,180ポンド(約302万円)です。
また、生活費の割合の多くを占めるのが、寮またはアパートなどの住居費(イギリスではアパートのことをフラットと呼びます)。
現地生も留学生も、1年生は寮に入る生徒が多いです。寮はキッチン付きで自炊できるところや食事付きのところもあります。ほとんどの寮で、光熱費や管理費は含まれています。
その他の生活費に関しては、下記を参照してください。
食費 | 30ポンド/週(6,000円) |
パブなどでの外食 | 12ポンド/1回(2,400円) |
教科書・本・参考文献 | 30ポンド/月(6,000円) |
携帯・スマホ | 15ポンド〜/月(3,000円) |
映画 | 10ポンド/回(2,000円) |
服 | 35~55ポンド/月(6,600〜10,900円) |
(出典:QS TOP UNIVERSITIES)
* 1ポンド=199.12円(2024年6月6日)
生活費は、その人によって快適と感じる環境が違うので、大体の目安としてお考えください。
学部のコースで必要になってくる本は大学の図書館で借りられたり、コネクションがあれば、知り合いや先輩から譲り受けることも可能ですが、エッセイを書くためにものすごい量の本を読むことになります。
公共交通機関の学割もありますし、留学生のアルバイトも認められています。
- 生活費:月59,000〜118,000円(4年間)
- 授業料:上限3,000,000円
- 人数:78名(2023年度実績)
1名に対し年間US£68,000を上限とし、授業料、寮費、保険料等、就学のために大学から請求される費用および生活支援金を支給。
- 授業料・寮費・保険料:上限US£57,000
- 生活費:上限US£11,000
- 人数:米国・英国合わせて年間40名程度(予約型・合格型)
- ファウンデーションコースは対象外
イギリス大学はこういう人におすすめ
この章では、イギリス留学に向いている人の特徴を大きく2つ説明したいと思います。
①やりたいことが決まっている人
1つ目の特徴は、すでにやりたいことが決まっている人です。
前述の通りイギリスの大学では専門科目のみの履修になります。
ファンデーションやA-Levelテストでも自分が学びたい分野の基礎科目を勉強することになります。
そのため、具体的な志望大学、学部が決まっていなくても、ビジネス系や政治系といった学びたい分野は大まかに決めておく必要があるのです。
②時間を節約したい人
もう1つの特徴としては、イギリスの大学は時間を節約し大学を早く卒業したい人におすすめです。
大学での履修範囲の違いにより、イギリスでは学部が3年間、修士が1年と日本よりも早くコースが修了します。
方法を工夫すれば日本やアメリカの学生より早く卒業できます。
特に修士号まで取得したい人には、日本の学生より2年も早く終了できるので最適の場所かもしれません。例外として、スコットランドの大学は学部修了に4年かかります。
ここからは実際に日本人がイギリス大学に入学するための方法を6つ紹介したいと思います。
方法1:現地のファンデーション学校へ入学
特徴
最も一般的な方法の1つは、現地のファンデーションを提供する学校に入学するものです。
授業は3学期制で行われ、修了までは基本1年ですが、IELTSのスコアや授業の成績が基準を満たさない場合は2年かかることもあります。
授業は、自分が学びたい学部に必要な基礎科目とアカデミック英語を学ぶEAPと呼ばれる授業を受講します。
このファンデーションは語学学校や大学に併設されていることが多いです。
特に大学併設型は提携大学をいくつか持っており、一定の成績でプログラムを終了すれば、提携校への進学保証が得られます。
ただ中には提携校がないため、コース修了後の大学への進学保証が得られない学校もあります。
志望大学や学部が提携校の中になかったり学校が提携校を持っていない時は、ファンデーションの成績を使って志望大学へ出願します。
この場合は志望理由書や推薦状を新たに準備する必要がありますが、ファンデーション学校の多くが出願サポートに対応しているので安心です。
コース開始月とコース期間
イギリス大学の新学期は9月ですが、世界各国から留学生が集まるファウンデーションコースは1月や4月など、開始期間に柔軟に対応しています。
日本の高校を3月に卒業することを考えると、4月の開始は都合がいいですよね。
高校卒業から9月までは英語の勉強に集中し、9月からコースを開始する人もいます。
出願方法
現地のファンデーション学校にはUCASを通さず、直接Webサイトを通じて出願します。
ほとんどの学校がIELTS(またはIELTS for UKVI)のスコアのみで入学できるので、高校の成績、志望理由書、推薦状などの準備が必要ありません。
IELTSの必要スコアは学校によって変わりますが、追加学期なしで終了するにはオーバーオール、各セッション共に5.0あると良いでしょう。
どんな人に向いているか
この方法であれば希望の大学、学部にどこでも入学できるので、志望校が決まっていない人におすすめです。
中には大学独自のファンデーションを提供していない所もあるので、そういった大学に進学したい方もこの方法を利用すると良いと思います。
またファンデーション学校はアカデミック英語の指導も手厚いので、英語力に不安がある方や大学入学のIELTSスコアの基準を満たせない方も安心して留学できます。
メリット・デメリット
方法1 | メリット | デメリット |
現地のファンデーション学校 |
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代表的な学校
OnCampus
OnCampusはイギリス各地の大学に併設されているファンデーション学校です。
併設された大学は提携校ですので進学保証がありますが、大学附属ではないので、プログラム終了後は様々な大学へ入学可能です。
必要なIELTSスコアは最低でも4.5です。5.0〜5.5あると卒業が早まり、入学可能な学校の選択肢も増えます。
INTO
INTOはロンドン、マンチェスター、スターリングなどに校舎を持つ学校です。
ファンデーション以外にもA-Levelなど、様々な方法での大学進学をサポートしています。
ロンドン校とマンチェスター校はイングランドを中心にイギリス全土に、スターリング校はスコットランドの大学に提携校を持っており、一定の成績を修めれば提携校への入学が保証されます。
入学にはIELTSのスコアが必要です。求められるスコアは学校によって違いますが、4.5から入学できます。
スコアが高ければ短期間でのプログラム卒業が可能です。
また、志望動機書や推薦書は必要ありません。
その他のファウンデーションコースを調べるにあたって、便利なサイトもあります。参考にしてみましょう、
SI-UK Study in the UK (日本語・英語)
日本語のウェブサイトには、ファウンデーションコースを提供している大学がリストアップされています。
英語の方のウェブサイトには、独自の教育機関が複数の大学と提携して運営するコースが載っています。
方法2:各大学付属のファンデーションコースに入学
特徴
もう一つの一般的な方法としては、大学付属のファンデーションコースに通うことが挙げられます。
これもファンデーション学校と同様に修了までは1年で、一般教養科目やアカデミック英語の授業を必要に応じて履修します。ただ、大学付属なので大学に合わせて2学期制のところが多いです。
一定の成績を修めることで、該当大学への進学が保証されています。
ファンデーション学校との最大の違いは、進学大学を変えられないこともあることです。
大学付属のファンデーションですので、そのファンデーションコースの成績を使って他校への出願はできない場合があります。
ただ、学部変更に関しては柔軟に対応してくれる大学もあります。
出願方法
大学付属のファンデーションコースにはUCASを通じてまたは大学に直接出願します。
IELTSのスコアの他にも、高校の成績、志望理由書、推薦文などの書類が必要になるので、ファンデーション学校より入学は大変かもしれません。
大学付属のファンデーションを検索するには、UCASや各大学のコース検索ページで進学したい学部名を検索してください。
下に掲載した写真のように、検索結果の中に「コース名 + with foundation year」というのがでてくれば、その大学、学部は付属ファンデーションを提供していることになります。
(UCASページ、ビジネス学科 with Foundation Year 検索結果の一部)
(University of Brighton ファンデーション付きコース検索結果の一部)
なお、UCASの使い方については、「方法6:IB・A-Levelを利用する」内の「出願方法」をご参照ください。
どんな人に向いているか
大学付属のファンデーションへの進学は、主に志望大学、学部が明確に決まっている人におすすめの方法です。
また大学付属なので、ファンデーションを含めて4年間、同じ寮や大学施設などを使用できます。
ですから、同じ環境でじっくり勉強をしたい人にとても良い手段です。
メリット・デメリット
方法2 | メリット | デメリット |
各大学付属のファンデーション |
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方法3:International year oneに入学する
特徴
International year oneの最大の特徴は、ファンデーションと学部を合計3年で卒業できることです。
このコースでは、1年目に大学1年生の授業とファンデーションの内容を並行して受けます。
基準の成績を満たせば学部2年生に進級できるので、学費や生活費などの留学費用を節約できます。
入学にはIELTSのスコアや高校の成績が必要です。
ただ、このコースを提供している大学や学部は限られており、求められるIELTSのスコアもファンデーション学校より高いです。
学校によっては、スコアが足りない人のために早めにスタートするプログラムを作っていることもあります。
どんな人に向いているか
この方法は3年で学部を卒業できるので、資金や時間を節約したい人に最適です。
また、渡英するとすぐに大学の授業も受けることになるので、英語力にはある程度自信がある人の方がいいでしょう。
前述のように、このコースを行なっている学校、学部はとても限られています。
ビジネスや国際関係学などの人気学科で行なっていること多いので、こういった人気の学部を目指している人は検討をしてみるといいと思います。
メリット・デメリット
方法3 | メリット | デメリット |
International year one
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代表的な学校
International year oneは様々な大学が提供しており、学校によって入学可能な学部が違います。
特にラッセルグループと呼ばれる大学群は、このプログラムを行なっていることが多いです。
学校によって入学時に求める英語力も違いますので、自分に合った学校を見つけると良いと思います。この記事では、実際にInternational year oneのプログラムを持つ大学を2つ、例として取り上げます。
University of Leeds(リーズ大学)
リーズ大学はラッセルグループの1つです。
ここでは生物化学、ビジネスマネジメント、マーケティング、国際関係の学科でInternational year oneのプログラムを提供しています。
入学にはIELTS for UKVIという種類のスコア5.5、高校の成績3.5以上などの基準があり、2年生への進級には1年目で英語が65%以上、その他の科目で40%以上の成績を取得しなければなりません。
参考:リーズ大学公式サイト
University of Essex(エセックス大学)
エセックス大学は比較的新しい大学ですが、様々な学部でInternational year oneのプログラムを行なっています。
実施学部には文系から理系学部まで含まれ、例としてはビジネスや経済、政治、心理学、法学、コンピューターサイエンス学部などです。
入学にはIELTS for UKVIでスコア5.5あることが推奨されていますが、学部によって4.0〜4.5から入学できます。スコアによってプログラムの期間や学費が変わります。
方法4:日本でファンデーションを受ける
特徴
4つ目としては、日本でファンデーションを受講する方法があります。
日本での受講は、生活費の節約ができ経済的です。イギリスは日本より物価が高いので、留学にあまりお金をかけたくない人にとっては良い方法でしょう。
下記にイギリス現地のファンデーション学校と大学附属ファンデーション、そしてこれから紹介する日本でのファンデーションNCUKとNICにかかる生活費と学費を比較しました。
現地のファンデーション学校 | 大学附属ファンデーション | NCUK | NIC | |
学費 | ¥3,520,000 | ¥3,360,000 | ¥1,780,000 | ¥2,000,000 |
生活費 | ¥200,000/月 | ¥200,000/月 | ¥140,000/月 | ¥140,000/月 |
合計 | ¥3,720,000 | ¥3,560,000 | ¥1,920,000 | ¥2,140,000 |
*£1=¥160で計算しています。
*イギリスでの生活費は主要都市以外を想定しています。ロンドンやリーズ、マンチェスターなどの大学主要都市では、生活費が高いことが予想されます。
またファンデーションコースには、大学で使うアカデミック英語を上達させるためのEAPという授業が含まれています。
そのため、渡英前に英語を上達させられるので、英語能力やいきなりの留学に不安がある人にはおすすめです。
しかし日本国内でイギリスのファンデーションコースを提供している学校はほとんどなく、また各学校によって特徴や入学条件、制度が全く違います。
代表的な学校1:NCUK IFY
特徴・出願方法
NCUKは高校卒業直後の4月から7月まで日本で受講する短期集中型のファンデーションプログラムです。そのため、3年で学部を卒業できます。
NCUKのプログラムを一定の成績で卒業すれば、提携校への進学保証があります。
また、イギリス以外にもアメリカやオーストラリアなどにいくつか提携校を持っており留学可能です。
入学にはTOEFLまたはIELTSのスコア(IELTS 5.5相当)、高校の成績と英語の志望理由書が必要です。書類審査の後は、英語での面接、ライティングテスト、数学レベルテストが行われ合否が決まります。
ただ英語力が条件に満たない場合でも、入学前の11月からPre-IFYというプログラムを受講し、英語の勉強をすることができます。
どんな人におすすめか
この方法は時間や費用を節約できます。
また提携校へ入学する場合、IELTSのスコアが不要なので、取得できるか不安な人には安心です。
ただNCUK入学の時点で、英語での面接やライティングテストに対応できるだけの、高い英語力を求められるので、英語が得意な方に向けた方法でしょう。
メリット・デメリット
方法4 | メリット | デメリット |
NCUK (日本でファンデーション) |
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代表的な学校2:NIC
特徴・出願方法
NICは東京と大阪に校舎がある、留学準備のための学校です。在籍期間は1年間で、イギリスだけでなくアメリカやオーストラリア、スイス、マルタなど様々な国への留学が可能です。
4月始まりの3学期制で、レベル分けされたクラスでアカデミック英語を学ぶEAPの授業を受けますが、トップのクラスに入ると一般教養科目の受講も可能です。
2学期の中頃までに留学先を決定し、イギリス進学者は最終学期から渡英直前の7月末までファンデーションコースを行います。
NICのファンデーションコースでは、志望大学の選定やUCASの使用方法など、出願に関する手厚いサポートが受けられます。
また、志望理由書の添削などをイギリス人講師が行なってくれ、推薦状も書いてくれるので、出願に関しては安心です。
ただし、このファンデーションは文系学科と一部の理系、アート系にしか対応していません。医学や絵画を学びたい人は利用できないファンデーションですので、注意してください。
NICのファンデーションに入るにはNICに入学する必要があります。ファンデーションのみの利用はできません。
NIC入学試験では独自の英語試験と日本語での面接を行なっていますが、面接の方が重視されているため、英語力に自信がなくても入学可能です。
どんな人におすすめか
NICは日本でしっかり準備してから留学したい人向けの方法です。カウンセリングや出願、VISA申請などのサポートも充実しているので、万全の準備で留学できると思います。
また、いろいろな国の大学を選べるので、まだ留学先の国を迷っている人にはおすすめです。
ただし、学費が他の方法と比べて多少高く、卒業までにも1年かかるので、費用や時間を節約したい人にはあまり向かない方法でしょう。
特待生入試を受けることで誰でも簡単に給付型の奨学金を得られますので、費用が気になる人が奨学金の取得を考えてみても良いと思います。
メリット・デメリット
方法4 | メリット | デメリット |
NIC (日本でファンデーション) |
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方法5:日本の大学を中退する
特徴
最後の方法は日本の大学を中退し、イギリスの大学に入学し直すことです。現在すでに日本国内の大学へ進学が決まっている人には魅力的な方法です。
前述のように、イギリス大学に入学するには基本的にファンデーションが必要です。
しかし、日本の大学で一般教養科目の履修を終えていれば、ファンデーションは必要ありません。
大学で履修した科目の成績があれば、UCASを通じてまたは志望大学へ直接出願できます。
なお、UCASを利用した出願方法に関しては、次の章「方法6:IB・A-Levelを利用する」内の「出願方法」をご参照ください。
ただし、大学や学部によって必要な科目が違いますので、大学のホームページや留学エージェントを通じて一度確認すると良いでしょう。
どんな人に向いているか
この方法は主にすでに日本の大学へ入学が決まっている人、通っている人向けの方法です。
また直接イギリスの大学へ入学するので、英語力に自信があった方が良いでしょう。英語力が十分でないと、留学先で授業についていけなくなる危険があります。
メリット・デメリット
方法5 | メリット | デメリット |
日本の大学を中退する |
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方法6:IB・A-Levelを利用する
特徴
高校で取得したIB(国際バカロレア)またはA-Levelを利用し、大学に直接出願する方法です。
この場合は1年間のファウンデーションが必要なく、3年で学士を修了することができます。
大学の選び方
①プレディクト・グレード(Predicted Grades) を知る
IB(国際バカロレア)を取得してからの受験では、願書を提出する前に学校の各科目の教師から予想スコア(Predicted Grades)を受け取ることができます。
各大学のホームページには、必要スコアが記載されおり、志望大学、コースの入学基準をクリアしている場合に願書を提出することができます。
②ランキングを参考にする
100校以上もあるイギリスの大学。その中から学力を含め、自分に合った学校を選ぶのは大変な作業です。一体、どのような基準で選んだらいいのでしょうか。
筆者はまず、THE世界大学ランキング(World University Rankings/Times Higher Education)やQS世界大学ランキング(QS World University Rankings)といった情報を参考にしていました。
参照サイト:
また、専攻する学部に絞り込んだランキングを参考にするのも有効です。世界ランキング等は機関によって基準が異なり、学部別のランキングは異なる結果になることも多くあります。
調べ方は、Complete University GuideのRankingページにアクセスして、「Subject League Tables」をクリックすれば、下記画面の左側から学びたい学部・専攻を選ぶだけです。
③自分にとってベストな条件を選ぶ
イギリス留学で大学を選ぶ際、大学ランキングは1つの参考情報となりますが、その他にも考慮すべきポイントがあります。
大学へのアクセスや立地、周辺環境などがその中の1つです。
また留学生の数など、留学生を取り巻く環境は地域により違いがあるため、それぞれの大学のウェブサイトや留学したいと思う都市のことがわかるサイトなどを活用し、なるべく多くの情報を得ることも大切です。
また、現実問題として留学かかる費用も考慮しなくてはいけません。
留学生の授業料は、多少の差はありますがどこの大学も大体同じくらいです。が、ロンドンなどの大都市では物価が高く生活費が高くなるなど、地域により生活費の差が生じます。
ロンドンから電車で2時間ほどの地方都市の大学へ通っている生徒は、インターンシップを探す際に、ほとんどの会社はロンドンというちょっとした問題に直面することもあります。
この場合毎日通うことはできないので、ロンドンでアパートを借りることになります。もしロンドンの大学を選べば、インターンシップなどもっと容易に探すことができるかもしれません。
出願方法
出願時は、UCAS(ユーカス)というツールを使うのが最も一般的です。
各大学へ直接出願する方法もありますが、UCASを使えば出願状況や結果を一括管理できるので便利です。
UCASでは、志望校が決まったら、一度に一括して5校まで申請をすることができます。また、ほとんどの大学は高校最終学年の1月15日が締め切りとなっています。
ただし、オックスブリッジ(オックスフォード大学とケンブリッジ大学)、医学部、獣医学部、歯学部への申請は10月15日までに申請を済ませなくてはならず、さらにTSA(Thinking Skills Assessment) やBMAT(Biomedical Adnissions Test) など別の入学試験、面接が必要になります。
大学出願には住所や連絡先のほか、英文の志望動機書、推薦状、高校の成績、卒業証明書、IELTSのスコアなどが必要です。
英文の志望動機書(Personal Statement)
志望動機は4000 character* 以下で、複数の学部に出願する場合も作成する志望動機書は1つです。
志望度が最も高い大学、学部の内容に合わせて作成すると良いと思います。
英語には日本語とは違う文章構造があるため、志望動機書を作成するには英語独特の文章構造を理解しそれに沿って書く必要があります。
推薦状
出願においては、教員が書いた英文の推薦書も提出します。
英語の推薦書は教員が書き、UCASやメールを通じて大学に提出してもらわねばなりません。
書いてくれる先生を探すなどの準備が大変ですし、日本の高校でイギリスの志望動機書や推薦文の書き方を知っている先生は少ないでしょう。
何しろ初めての経験だったため、当初は申請をエージェントに任せようかとも思い相談をしたりもしましたが、結局は本人と一緒に入力し、念のために不備がないか、学校のカウンセラーにも再確認をお願いしました。
我が家は、アメリカの大学にも願書(Common Application) を提出したのですが、それに比べたらUCASはとてもシンプル。
前もって何を入力するのか理解しておくといいかと思います。
IELTS
IELTSも大学の授業に対応可能なレベルを求められますので、大学や学部によって違いがありますが、最低でもオーバーオール、各セッション全てで5.5~6.0以上を取得しなければなりません。
出願後について
UCASの申請からしばらくすると、出願の際に提出した各科目の教師による予想スコア(Predicted Grades)やパーソナルステイトメントなどの書類を元に、各大学は結果を知らせてきます。
大学からの返答は、条件なしオファー(Unconditional Offers)、または条件付きオファー(Conditional Offers)、不合格(Unsuccessful)の3種類。
条件なしオファー(Unconditional Offer)とは、条件なしであなたを受け入れますよ、ということですが、ほとんどの大学は最終のテストスコアにより入学の可否を決めるため、この段階で条件なしのオファーを出すことはあまりないものだと後で知りました。
条件付きオファー(Conditional Offer) は、それぞれのコースに入学するための最低条件を満たしている場合にほとんどの学生が受け取るもので、最後に受けるテストでこれだけのスコアを取れば入学できますよ、と言った具体的な条件をつけた入学許可となります。
そして不合格(Rejection) は、残念ながら席をオファーできない場合に送られてきます。
こういった結果はUCAS上で確認できるのはもちろん、出願した各大学から直接メールが届きます。出願後の結果はいつ届くもの?とドキドキしていましたが、大学によりその時期は異なります。
オックスブリッジを含む5校へ出願した生徒は、早いところで出願から2週間ほどで条件付きオファー(Conditional Offers)の連絡をいただきました。
そしてUCASには申請の際に必要な情報だけではなく、その他にも役に立つ情報がたくさんあります。一度じっくりと読んでみることをおすすめします。
また、ニュースレーターに登録すると定期的に興味のある内容のニュースレターが配信されるので、ぜひ利用してみてくださいね。
ニュースレター:https://web.ucas.com/advisers-signup
もしどの学校からもオファーをもらえなかったら
万が一、最後のテストの結果が大学が提示した条件に満たなく不合格となってしまった場合などは、クリアリングを検討しましょう。
クリアリングとは、7月の時点で入学先が決まっていない場合に利用できる制度で、学生の定員に空きがある大学/コースへ改めてUCAS上から出願をすることができます。
日本の大学受験では希望校に入学できなかった場合、浪人という選択をとる学生も多くいますが、イギリスでは最後の最後まで入学のチャンスが与えられています。
クリアリング(Clearing)の流れ
UCASの申請締切日、6月末で大学はいったん受付を締め切ります。
そして7月になるとIBなどのテストスコアの結果がわかり、条件付きオファーを受け取っている学生が実際にどれだけ入学し、またどれだけの空きがあるのかある程度明確になってきます。
人気のある有名大学がクリアリングで空きを出すこともあり、こうなると早いもの勝ち状態となります。
そのため、クリアリングを利用して再度出願をする場合には、希望する大学/コースと早めに連絡を取り合い、出願が可能であるかを確認する必要があります。
そして、無事大学側からクリアリングでの出願許可を受け取ったら、UCAS上の「Add Clearing Choice」に出願したい大学名などの情報を入力します。
あとは8月下旬頃に大学から直接、またはUCASを通じて受験者に結果が伝えられます。
早い段階で定員割れをしている大学の中には、8月下旬まで待たずにオファーを出してくれる大学もあります。
どんな人に向いているか
日本国内または海外の高校で、IB(国際バカロレア)またはA-Levelを取得している人のみが可能な方法です。
また、既に英語力の基準をクリアしている人におすすめです。
メリット・デメリット
方法6 | メリット | デメリット |
IB・A-Levelを利用する |
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まとめ
この記事を読んで、イギリス留学は複雑で難しいと思ってしまった方もいるかもしれません。
イギリスは教育制度が違うため、日本人がイギリス大学にスムーズに入学することは難しいです。
しかし、近年は多様な方法で入学ができるように変わってきており、それぞれの方法に長所と短所があります。
時間や費用、学びたい分野など、みなさんがイギリス留学で何を重視するかを決めれば、最適な方法はおのずと決まると思います。
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こんにちは。
オックスフォード大学の受験を考えているものです。
SATとSATsubjectのスコアを使って出願しようと思っているのですが、その場合IELTSのスコアは必要なのでしょうか?SAT(reasoning)とIELTSのどちらかひとつあればそのスコアで英語力の保証になるのでしょうか?
公式のサイトは何回か読んだのですがどうしても分かりませんでした汗
よろしくお願いいたします。
こんにちは、コメントありがとう。
SATとIELTSの目的が違い、SATは学力試験で、IELTSは英語力の試験となる。
Oxfordの公式サイトでは、International qualification(その一つはSAT)とEnglish language requirement(その一つはIELTS)両方求めているので、両方提出する必要があるね。
https://www.ox.ac.uk/admissions/undergraduate/applying-to-oxford/for-international-students
SATを準備しなくても良い選択肢としてはファンデーションコースに通うこと。詳しくはこちらの記事を確認してね。
https://www.path-to-success.net/foundation-course-uk
こんにちは
オックスフォード大学進学を検討している者です
質問⬇️
イギリス大学に進学するにあたって日本の高校から
直接イギリス大学受験は無理でありファンデーション
コース又は現地でsix formの過程を終了しなくては
いけないと聞いたのですがSATを出願するのであれば
日本の高校から直接イギリス大学に受験する事は
可能なのでしょうか?
質問が上手くまとめられず申し訳ないです
お手数ですが是非ご回答頂きたいです
質問ありがとう!
SATは基本アメリカの大学進学用で、イギリスの大学進学の場合はA-Levelという試験(希望専攻によって必要な科目が異なる)が通用される。
OxfordではいままでSATを認めていたけど、来年から認めなくなるらしい。
詳しくはOxfordのオフィシャルサイトの出願資格ページを確認してね。
日本の高校でも、IBプログラムであれば直接に進学する資格はあるけどね。
回答有難うございます!
ずっと疑問だったので助かりました
日本の高校からそのままOxfordに入学
された方の記事にSATを受けたと書かれて
いたのですが変わってしまうんですね…
丁寧にURLまで有難うございます
早く英語をマスターして活用出来るようにします!
日本のインターナショナルスクールに通っています。アメリカのカリキュラムです。
イギリスの大学に入学するためには、英語に問題がなくともIELTSなどを受ける必要はあるのでしょうか?
質問ありがとう。ほとんどの場合IELTSが必要だね。
大学・学部によって異なり、要件が合えばIELTS免除できるところもあるので、志望校・志望専攻のアドミッションオフィスに直接に問い合わせたほうが確実だよ。
インターの場合、海外大学進学に詳しいカウンセラーもいるはずなので、カウンセラーと相談するのもおすすめだよ!
こんにちは。
Alevel を独学で取得することは可能ですか??
質問ありがとう。
何を受ける、どうやって勉強する、どれぐらいの評価を取りたいのか、
それなりの英語力、情報収集力と努力があれば、独学もできないことではないと思うよ!
Alevelは個人での受験はできるんでできるんですか?可能なら今年中に試験を受けたいと考えています
はい、A-Levelは個人でも受験できるよ。
British councilのサイトを見てみよう:https://www.britishcouncil.jp/exam/other/school/cambridge-igcse-a-level/cie