皆さん、Duolingo English Test(以降、DET)を知っていますか?
TOEFLやIELTSは、既によく知られているかもしれません。
しかし、TOEFLやIELTSと同じように、DETも英語能力証明試験の1つの選択肢としてあります。
DETはコロナ禍以降有名になり、特にアメリカの大学で多く導入されるようになりました。
TOEFLやIELTSの受験料が高い、受験会場が遠い、テスト形式が合わない、スコアが伸び悩んでいる等の悩みを持っている人は、ぜひDETを検討してみましょう。
この記事では、DETとは何なのか、基本的な情報をお伝えします!
この記事の著者:Akari
純ジャパ・留学経験無し・地方在住でアメリカの4年制大学を受験し、2023年秋から進学予定です。TOEFL iBTからDuolingo English Testに移行後、DETを計10回以上受験し、120点(Overall)を取得しました。全出願大学にはDETのスコアを提出しました。
監修者:ウメンシャン
日中英のトリリンガル・言語オタク。英語圏留学経験なしからIELTS8.0、TOEFL104、GRE322。コロンビア大学・ペンシルバニア大学・ニューヨーク大学・メルボルン大学教育大学院に合格実績を持つ。慶應義塾大学大学院卒。1児の母。
目次
Duolingo English Testとは?
DETの特徴
Duolingo English Testとは、Duolingoという言語学習アプリを開発した会社が提供する、英語能力証明試験です。
DETの大きな特徴は以下の通りです。
- 受験料が安い
- 結果が48時間以内に届く
- 24時間いつでも自宅で受験可能
- 1ヶ月に3回まで受験可能
- 受験時間が短い
- 問題内容が受験者のレベルによって変わる
一つ一つ確認していきましょう!
受験料が安い
DETの最大の特徴は、受験料が他テストに比べて安いことです。
テスト名 | 受験料 |
DET | 6,615円(2回分購入の場合は5,265円) |
TOEFL iBT | 33,075円 |
IELTS | 25,380円 |
※1ドル=135円で計算
そのため、DETでは出費を抑えて受験することが可能です。
また、コストが低いことから、何度も受験に挑戦することも検討できるかもしれません。
結果が48時間以内に届く
DETでは、受験後48時間以内に結果が届きます。
TOEFLは6日後、IELTSはコンピューター方式で3-5営業日後、ペーパー方式で13日後と、DETはかなり早いことが分かります。
また、40ドル追加で支払いをすると、12時間以内に結果が返却されるオプションも最近追加されたようです。(2023年3月時点)
そのため、テスト提出の締切日が近い場合でも、ギリギリまで粘ることができるのがDETのメリットです。
24時間いつでも自宅で受験可能
DETは、自宅で受験するテストです。TOEFLの場合は会場受験と自宅受験がありますが、DETには会場受験がありません。
そのため、TOEFLやIELTSの受験会場が遠く受験が困難な人でも、DETなら自宅で受験することができます。
また、DETは24時間いつでも自分の好きなタイミングで受験することができ、事前予約等は必要ありません。
そのため、気が向いた時や調子が良い時など、自由に受験のタイミングを調整することができます。
1ヶ月に3回まで受験可能
DETでは、最大で1ヶ月につき3回まで受験することができます。
ギリギリまでスコアアップを狙いたい方は、この制限を踏まえて受験スケジュールを練る必要があります。
受験時間が短い
DETの受験時間は、およそ50分~1時間と言われています。
TOEFLやIELTSは3~4時間かかりますが、それに比べてDETはかなり受験時間が短いと言えます。
そのため、集中力が切れやすく、後半にかけて本調子が出ないと感じる方はDETが向いているかもしれません。
問題内容が受験者のレベルによって変わる
DETでは、受験者が回答した内容によって、問題の難易度も変化します。
統一試験ではなく個々に合った難易度のテストのため、解きやすい感覚を得る一方、明確な採点基準を掴みにくいというデメリットもあります。
DETのスコア
DETのスコアには、「総合スコア」と「サブスコア」があります。
総合スコアは、受験者自身の総合的な英語能力を示すスコアです。
サブスコアは、以下の4つに分かれています。
- Literacy
- Comprehension
- Conversation
- Production
TOEFLやIELTSでは、Reading・Listening・Speaking・Writingの4技能ごとにサブスコアが付きますが、DETでは特殊な分類になっています。
(引用:Duolingo English Test公式ページ)
- Literacy
「読んで書く能力」を測ります。
4技能中、ReadingとWritingが該当します。
- Comprehension
「聞いて読む能力」を測ります。
4技能中、ListeningとReadingが該当します。
- Conversation
「話して聞く能力」を測ります。
4技能中、SpeakingとListeningが該当します。
- Production
「書いて話す能力」を測ります。
4技能中、WritingとSpeakingが該当します。
また、総合スコアとサブスコアは、10〜160の間でスコアが付きます。
(引用:Duolingo English Test公式ページ)
スコアの目安
DETには独自のスコアスケールがありますが、実際の難易度や、他のテストとの換算表はどのようになっているのでしょうか?
DET公式によると、下記のようなスコア比較が可能となっています。
(参考:Duolingo English Test公式ページ)
このスコアは、2022年夏頃に修正されたようです。今後も修正される可能性がありますので、随時確認しましょう。
受験の流れ
アカウント作成
まず、公式ページを開き、アカウントを作成しましょう。
Googleアカウントを使用するか、メールアドレス、年齢、パスワードを設定し、アカウント作成完了です。
テスト購入
ログイン後、テストページから「テストを購入する」の購入ボタンをクリックします。
テストは1回分または2回分購入することができ、2回分購入した場合は割安となります。
しかし、購入したテストは購入後21日以内に失効してしまうため、2回分の購入は慎重に検討しましょう。
購入パックの選択後、支払い情報の登録を行い、購入完了です。
支払い方法は、クレジットカードとPayPalが選択可能です。
受験準備
購入後は、受験に向けた準備を行いましょう。
受験場所は自宅ですが、有効と認められる受験のためには確認を行う必要があります。
PC環境
DETは、Mac OSまたはWindowsで受験可能です。
また、マイク、スピーカー、カメラが使用可能なPC環境を用意しましょう。
インターネットは、安定した接続が求められます。
また、GrammarlyをPC上で利用している方は、必ず設定がOFFになっていることを確認してください。
GrammarlyがONになっておりテストが無効になってしまう方が多くいます。
周囲の環境
人が出入りしない部屋、明るく静かな部屋を用意する必要があります。
環境が整っていない状態で受験するとテストが無効になる可能性があるため、注意しましょう。
身分証明書
パスポートや、日本語の顔写真付き身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)が有効となります。
身だしなみ等
イヤホンやヘッドホン等は利用することができません。
また、髪が長い方は髪を結び、耳が常に見える状態を作りましょう。
前髪が目にかかる方は、ピン等でとめましょう。
メガネをかけることは問題ありません。
受験
初回受験の場合は、テスト事前アンケートに回答してから受験開始となります。
2回目以降の方は、再度回答する必要はありません。
アンケート回答後、「テストを受ける」から受験を開始します。
初回受験の場合は、Duolingo English Testのデスクトップアプリをダウンロードする必要があります。
指示に従って、ダウンロードを進めてください。
その後、受験前にカメラやスピーカー、マイク、受験環境の最終確認が行われます。
そして、身分証明書と顔写真の撮影を行います。
特に身分証明書の撮影は、ブレたり暗いと正しく認識されず、撮り直しを求められる場合があります。
また、写真撮影の後は身分証明書の内容を入力する箇所があります。この点も、正しく入力しなければ有効な身分証明書として認められません。
筆者は、受験後に身分証明書が認められず再提出を求められたことがあります。
やや手間がかかり、結果返却も遅くなってしまうため、気をつけましょう。
そして確認が終わると、ついに受験開始です。
受験中は画面から視線を外しすぎず、常に顔をフレームの中に入れるようにしましょう。
タイピングをする場面では、やや視線が下に向いていても問題ないそうです。
また、DETは1回分のテストにつき3回まで受け直しが可能です。
調子が悪い、上手くいかない等と感じた方は、「QUIT TEST」をクリックし受験を中断することもできます。
受験後、結果返却
受験完了後、アップロードと同時に小さなアンケートが表示されます。
英語学習歴やDETの目標スコアを回答し、アップロードを待ちましょう。
アップロードが完了したら、DETのページを閉じ、結果を待ちます。
結果は通常48時間以内に返却されます。返却の際には、メールで通知が来ます。
DETのマイページにログイン後、テストページをスクロールすると結果を見ることができます。
Duolingo English Testで出題される問題
DETでは、他テストには見られない独特な問題が多くあります。
今回は、2023年1月時点での筆者の経験を元に、出題される問題を解説します。
しかし、DETは出題問題の変更や新規追加が頻繁に行われます。最新情報を常にチェックしてください。
また、DETでは「テストを試す」から、練習テストを何度も無料で受験することが可能です。
そのため、無料テストを受験してみて、出題問題に慣れておくことも有効でしょう。
また、無料テストでは非公式ではあるものの予想スコアが分かるため、参考になるかと思います。
前半
Read and Complete
文章を読み、空欄に入るアルファベットを入力する問題です。文脈から単語や文法、時制を推測します。
回答時間は3分、LiteracyとComprehensionがサブスコアの対象となります。
Read and Select
正しい単語を選ぶ問題です。
存在している単語に酷似しているものも多くあり、見極める必要があります。
回答時間は1分、LiteracyとComprehensionがサブスコアの対象となります。
Listen and Select(2023年5月〜廃止)
発音を聞き、正しい単語を選ぶ問題です。
存在している単語に酷似しているものや、それっぽい発音のものが多くあるため、注意しましょう。
回答時間は1分30秒、ComprehensionとConversationがサブスコアの対象となります。
※DET公式によると、2023年5月以降「Listen and Select」の問題は廃止されるようです。
Listen and Type
流れてくる音声を聞き、文章を正しく書き起こす問題です。
問題が切り替わると同時に1度音声が聞こえ、その後は自分の好きなタイミングで最大2回まで聞き直すことができます。
回答時間は1分、ComprehensionとConversationがサブスコアの対象となります。
Read Aloud
表示されている文章を読み上げ、録音する問題です。
録音のチャンスは1回のみです。正しい発音で、流暢に読む必要があります。
回答時間は20秒、ComprehensionとConversationがサブスコアの対象となります。
Write About the Photo
表示されている写真について、文章で描写する問題です。
回答時間は1分、LiteracyとProductionがサブスコアの対象となります。
Speak About the Photo
表示されている写真について、Speakingで説明する問題です。
回答時間は30秒〜最大1分30秒、ConversationとProductionがサブスコアの対象となります。
Interactive Reading
Interactive Readingのセクションでは、計2つの文章を読み解きます。
1つの文章につき計6問あり、回答時間は7~8分となっています。
また、Interactive Reading内の全ての問題は、LiteracyとComprehensionがサブスコアの対象となります。
Complete Sentences
(引用:Interactive Reading—The Duolingo English Test)
最初の問題である「Complete Sentence」では、文章を読み、空欄になっている箇所に当てはまる正しい単語を選択します。
文脈や文法等を見て、適切に判断する必要があります。
Complete the Passage
(引用:Interactive Reading—The Duolingo English Test)
新しく追加された文章を読み、その間に当てはまる適切な答えを選択し、文章を完成させる問題です。
Highlight the Answer
(引用:Interactive Reading—The Duolingo English Test)
表示されている問題について、該当する箇所を文章中から選択する問題です。
Identify the Idea
(引用:Interactive Reading—The Duolingo English Test)
文章全体の適切な要約文を選ぶ問題です。
Title the Passage
(引用:Interactive Reading—The Duolingo English Test)
文章全体に付けることができるタイトルを選ぶ問題です。
後半
Read, then Write
表示されている質問について、Writingで回答する問題です。
回答時間は最大5分、LiteracyとProductionがサブスコアの対象となります。
Read, then Speak
表示されているトピックと質問文を読み、Speakingで回答する問題です。
回答時間は30秒〜最大1分30秒、ConversationとProductionがサブスコアの対象となります。
Listen, then Speak
音声で流れてくる質問について、Speakingで回答する問題です。出題回数は1回または2回となっています。
回答時間は30秒〜最大1分30秒、ConversationとProductionがサブスコアの対象となります。
Writing Sample
表示されている質問について、Writingで回答する問題です。
回答時間は3分〜最大5分、LiteracyとProductionがサブスコアの対象となります。
この回答は大学にも送付され、スコアの採点対象にもなります。
Speaking Sample
表示されている質問について、Speakingで回答する問題です。
準備時間は30秒、回答時間は1分〜最大3分です。
この回答は大学に送付されますが、スコアの採点対象にはなりません。
→追記:DET公式によると、2023年5月以降はスコアの採点対象になるとのことです。
Interactive Listening(2023年5月〜導入)
DET公式によると、2023年5月から「Interactive Listening」という問題形式が追加されるようです。
Listen and Respond
「Listen and Respond」では、短い文の読み上げ音声が流れた後に、返事として正しい文章を選択して会話を行います。
返事を選択する問題は計5〜6問、回答時間は4分です。ComprehensionとConversationがサブスコアの対象となります。
Summarize the Conversation
「Listen and Respond」が終了した後、会話の内容を要約するWriting問題が出題されます。
制限時間は75秒と、かなり短くなっています。LiteracyとProductionがサブスコアの対象となります。
新しい問題形式「Interactive Listening」に関しては、DET公式から解説のYouTube動画がアップロードされているようです。2023年5月以降に受験予定の方は、ぜひ確認しましょう。
NEW! Interactive Listening task on the DET: Everything you need to know and a sample question
Duolingo English Testはどんな時に使える?
DETを導入している大学
前述の通り、DETを導入する大学はコロナ禍以降急増しました。
DET公式ページによると、世界中の4000校以上の大学や教育機関で導入されているそうです。
特に、アメリカはほとんどの大学が導入しています。
しかし、例えばAmherst CollegeではDETを導入していない等、一部の大学ではDETを受け付けていない場合もあるため、慎重に確認を行う必要があります。
DETの公式ページから、DETを導入している大学を調べることが可能となっています。リサーチの際には、ぜひ活用しましょう!
大学等への提出方法
大学等の教育機関への提出は、とても簡単に、無料で行うことができます。
まず、DETにログインし、自分のテストページを開きます。
その後、大学に提出したいスコアまでスクロールし、右下に表示されている「結果を送信する」をクリックします。
その後、出願したい教育機関を選択します。
出願したい大学を検索し、選択します。複数校にチェックを入れ、同時に提出することも可能です。
その後、提出する大学の名前とプログラムを確認し、「送信」を押します。
ちなみに、大学院も併設されている教育機関の場合、プログラムが「大学」か「大学院」か、よく確認するようにしましょう。
DETがオススメな人
前述の通り、DETにはTOEFLやIELTSにはない特徴があります。
そのため、DETが合っているかもしれない人は以下のような方です。
- なるべく受験料を節約したい人
- 受験会場が遠く、受験が困難な人
- テスト形式や時間が合わないと感じている人
- スコアが伸び悩んでいる人
- 出願締切まで時間がなく、ギリギリまでスコアアップを狙いたい人
筆者の場合、最初はTOEFL iBTを受験していました。
しかし約半年後、TOEFL iBTの80点前後でスコアが伸び悩みはじめ、費用がかさんでしまうことも考慮した結果、DETに移行することを決断しました。
このように、ある程度のラインまではTOEFLやIELTSで粘り、その後DETに移行し何度も受験するという方法も非常に有効です。
また、出願大学によってどのテストを受験するか選択することも非常に重要です。
筆者の場合、出願予定だった大学のほとんどがDET導入済みだったことから、DETを選びました。
結果として、受験料を大きく節約することができた上、ギリギリまで粘ることができたため出願2週間前にスコアを上げることができました。
まとめ
今回は、メジャーになりつつある「Duolingo English Test」について紹介しました。
もちろん、英語のスコアメイキングは根本の英語力の問題を解決しなければ、スコアアップは望めません。
しかし、もしかすると「テスト形式」を見直すことによって、想定外のスコアアップが期待できるかもしれません。
ぜひ、DETを新たな選択肢として視野に入れながら、自分に合ったテストを検討してみましょう!